(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
揚収収容側船舶の甲板上や岸沿いの岸面上の基準設置面上や設置台(1)に、揚収小型艇(26)の艇首側と艇尾側の位置に合わせた2連の回動可能な回動アーム(2)を取付、回動アーム(2)の回動角変動に影響されず基準設置面や設置台(1)に対して常時略鉛直方向に自力で伸縮する機構構造と動力部とを備え、回動アーム(2)の先端から下方に伸びた伸縮可能な多段伸縮フレーム(50)を取付、多段伸縮フレーム(50)の先端には、艇首側支持アーム(8b)と艇尾側支持アーム(8c)を正面側(Fr)に突出して取付、艇首側支持アーム(8b)の前方向(F)には進入標識体(51)を取付、回動アーム(2)を正面側へ振り出し、多段伸縮フレーム(50)の各段を自力伸長させ所定の深度まで艇首側支持アーム(8b)と艇尾側支持アーム(8c)を水没させ、進入標識体(51)を目標に揚収小型艇(26)を進入させ揚収小型艇(26)の左舷と右舷とを進入標識体(51)に押し当てて前方向(F)と、後方向(R)との位置決め後、多段伸縮フレーム(50)の各段を収縮させて、揚収小型艇(26)に対して正面側(Fr)と、背面側(Re)との位置決めを成しながら、揚収小型艇(26)をすくい上げ、回動アーム(2)を背面側(Re)へ振り戻し揚収する小型艇揚収装置。
前方向と、後方向に配置された2連の回動アーム(2)は回転機A(2a)により回動される回動連結軸A(2b)をそれぞれ取付、それぞれの回動連結軸A(2b)を連結軸B(31)により連結することにより、2連の回動アーム(2)が同期回動可能とし、回転機A2aは回動用移動歯車2cを取付た回動連結軸A(2b)とともに回動アーム(2)に取付けられ、回転機A(2a)によって回動連結軸A(2b)を回転することにより、甲板上や岸沿いの岸面の基準設置面や設置台(1)の上面に設置された回動用固定側歯車(1c)と、回動用移動歯車(2c)との噛み合いによって回動アーム(2)を回動(正逆)する請求項1〜3のいずれか1項に記載の小型艇揚収装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の小型艇揚収装置の、特許文献1に開示された技術には次のような欠点があった。
装置伸縮ブームを揚収小型艇に接近させ、フックを装備したワイヤー等の吊り索を吊り下げ作業人員により装着後、小型艇を吊り上げる揚収作業は、波浪に揺られ、足元を視認しつつの小型艇揚収作業人員にとって危険であることが想定できる。
【0005】
フックを装備したワイヤー等の吊り索はその揚収作業人員不在のため、無人艇の揚収では役に立たない。
【0006】
フックを装備したワイヤー等の吊り索での揚収は、荒天時であれば、波浪による吊り上げバランスを取りきれないことが想定される。
【0007】
フックを装備したワイヤー等の吊り索の設置作業は時間を要し、緊急時の対応に問題が 想定される。
【0008】
小型艇揚収時には揚収収納側船舶は微速あるいは停船状態での揚収作業に限られる。
本発明は、以上の問題点を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
揚収収容側船舶の甲板上や岸沿いの岸面上の基準設置面上や設置台に、揚収小型艇の艇首側と艇尾側
の位置に合わせた回動可能な
2連の回動アームをそれぞれ取付、それぞれの回動アームの先端には基準設置面に対して略鉛直方向に
自力で伸縮する動力部を内部に備えた多段伸縮フレームを取付る
。さらに揚収小型艇の艇首側の多段伸縮フレームの先端には、揚収小型艇船底の艇首側をすくい上げるための艇首側支持アーム
と、揚収小型艇船底の艇尾側をすくい上げるための艇尾側支持アームとを
正面側に突出して取付る
。さらに艇首側支持アームの
前方向には、揚収小型艇の進入目標となる進入標識体を取付、それぞれの
回動アームを振り出し、多段伸縮フレームを伸長させ
、それぞれの支持アームを一定の深度まで水中に
水没させ、水上面には進入標識体を視認可能に準備する
。揚収小型艇を進入目標となる進入標識体の2本のポールの間の小型艇揚収位置決め浮体位置まで進入させ、
揚収小型艇の推進力によって進入標識体に押し当てて揚収小型艇を揚収位置に保持した状態で、次に多段伸縮フレームを収縮させ、揚収小型艇の船底を艇首側支持アームと艇尾側支持アームとですくい上げる
。揚収小型艇の船底が水面から離脱し、さらに波浪の影響の無い位置まで上昇確認出来れば2連の回動アームを揚収収
容側船舶の甲板上や、岸沿いの岸床側へ回動振り戻し揚収完了とする
。次にそれぞれの支持アーム上の揚収小型艇は、多段伸縮フレームを、再度伸長させ、小型艇収納設置台へと移載し固縛索等によって固縛し揚収完了となる
。小型艇の繰り出し動作は、揚収動作の逆動作となる。
【0010】
本発明を使用することにより、フックを装備したワイヤー等の吊り索を必要とせず、装着の手間もなく、しかるに無人小型艇であっても安全にさらに短時間に揚収繰り出し可能な小型艇揚収装置となる、また無人小型艇は作業者の視認によって遠隔操作されている。
【0011】
揚収側船舶が一定の速度(小型艇揚収装置水流抵抗負荷に対する許容強度まで)での走
行中の小型艇揚収が可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
なお各部は模式的に示すものであって、本発明は図示また形態(形状、数量等)に限定するものではない。また本小型艇揚収装置に関する説明中の位置関係を、F(前方向)、R(後方向)、Fr(正面側)、Re(背面側)について矢印によって
図1に示し説明する。
(実施の形態)
以下、本発明の実施の形態を
図1〜
図16を用いて説明する。
また本小型艇揚収装置は、4段目伸縮フレーム8、8aの他は、揚収される小型艇の艇 首側と艇尾側に対称に設置され、乗艇台11によって一体化されている、説明が重複するため形態の説明は主に艇尾側について説明する。
【0014】
本小型艇揚収装置は、揚収収容側船舶の甲板上や岸沿いの岸床面等に
図1に示す基準設
置面の設置台1や、あるいは甲板上や岸沿いの岸面の基準設置面に直接取付、小型艇の揚
収を行う。
【0015】
図1に示す回動アーム2は2列を1組として、前方向(F)と後方向(R)に2連の配
置構造を成している。
【0016】
図1に示す回動アーム用固定軸1aは、それぞれ前方向(F)、後方向(R)の回動アーム固定軸用軸受け1bに貫通させ回転可能に甲板上や岸沿いの岸面の基準設置面や設置台
に取り付けられている。
【0017】
図1に示す回動アーム2は、回動アーム用固定軸1aに回動可能に回動アーム用固定軸
1aの軸上に拘束して取付けられている。
【0018】
図1に示す回転機A2aは回動用移動歯車2cを取付た回動連結軸A2bとともに回動アーム2に取付けられ、回転機A2aによって回動連結軸A2bを回転することにより、甲板上や岸沿いの岸面の基準設置面や設置台1の上面に設置された回動用固定側歯車1cと
図2に示す回動用移動歯車2cとの噛み合いによって回動アーム2を回動(正逆)する。
【0019】
図16に示す連結軸B31によって回動連結軸A2bを連結拘束することにより、前記2連の回動アーム2はともに同期して回動動作が出来る。
【0020】
図1に示す回転機A2aに因らずとも
図15に示すストロークアクチュエータB30をそれぞれの回動アーム2に取付、同期駆動することによって前記2連の回動アーム2はともに同期して回動動作が出来る。
【0021】
図2に示す2列の固定リンク3は、
図1に示す回動アーム用固定軸1aに拘束して取付られ、
図2に示す2列の第1連結ロッド3aの第1連結ロッド二山ナックルA3bとピン接合し、さらに2列の第1連結ロッド3aの第1連結ロッド二山ナックルB3cは2列の第1回動リンク3dとピン接合している。
【0022】
図2に示す2列の第1回動リンク3dは
図1に示す第1回動リンク用軸2dに回転可能
に取付られ、
図2に示す2列の第2連結ロッド3eの第2連結ロッド二山ナックルA3fとピン接合し、さらに2列の第2連結ロッド3eの第2連結ロッド二山ナックルB3gは、2列の回動アーム2と回動可能に組み合った第2回動リンク4の左右にピン接合し、第2回動リンク4の下端面に備わった連結ブラケット4aによって取付られた多段伸縮フレーム50が基準設置面1の鉛直方向に対して平行に移動するリンク機構構造を成している。
【0023】
図2に示す第2回動リンク4は、
図1に示す2列の回動アーム2の前方向(F)と後方向(R)に取付られた第2回動リンク用軸受け53に、
図1に示す第2回動リンク4の前方向(F)と後方向 (R)に取付られた第2回動リンク取付軸54を貫通させ回動可能に取付ている。
【0024】
図2に示す第2回動リンク4は、
図1に示す連結ブラケット4aを介して1段目伸縮フレーム5を保持している。
【0025】
図1に示す多段
伸縮フレーム50の段数には定数量の限定がなく何段であっても良い。
【0026】
図3と
図4に示す多段
伸縮フレーム50の、1段目伸縮フレーム5は、1段目伸縮フレーム5の上端の正面側(Fr)方向に伝動帯回転駆動機13を取付、さらに1段目伸縮フレーム5の上端の背面側(Re)方向には第1従動プーリ14を取付、1段目伸縮フレーム5の下端の背面側(Re)方向には第2従動プーリ15を取付ている。
【0027】
図3と
図5に示す多段
伸縮フレーム50の、2段目伸縮フレーム6は、2段目伸縮フレー ム6上端の背面側(Re)方向には第3従動プーリ16を取付、2段目伸縮フレーム6 下端の背面側(Re)方向には第4従動プーリ17を取付ている。
【0028】
図3と
図6に示す多段
伸縮フレーム50の3段目伸縮フレーム7は、3段目伸縮フレーム7上端の背面側(Re)方向に第5従動プーリ18を取付、さらに3段目伸縮フレーム7上端の正面側(Fr)方向には第6従動プーリ19を取付、3段目伸縮フレーム7下端の正面側(Fr)方向に第7従動プーリ20を取付ている。
【0029】
図3と
図7に示す多段
伸縮フレーム50の、4段目伸縮フレーム8は、4段目伸縮フレーム7上端の背面側(Re)方向には伝動帯固定冶具22を取付、らに4段目伸縮フレーム7下端の背面側(Re)方向にも伝動帯固定冶具22を取付ている。
【0030】
図3に示す多段
伸縮フレーム50の伝動帯21の通し方は、4段目伸縮フレーム7上端の背面側(Re)伝動帯固定冶具22に、伝動帯21の一端をピン接合し、1段目伸縮フレーム5の上端の正面側(Fr)方向の伝動帯回転駆動機13の上方を通し、さらに1段目伸縮フレーム5の上端の背面側(Re)方向の第1従動プーリ14の上方から1段目伸縮フレーム5下端の背面側(Re)方向の第2従動プーリ15の下方を通し、2段目伸縮フレーム6上端の背面側(Re)方向の第3従動プーリ16の上方へ通す、さらに2段目伸縮フレーム6下端の背面側(Re)方向の第4従動プーリ17の下方へ通し、さらに3段目伸縮フレーム7上端の背面側(Re)方向の第5従動プーリ18の上方を通し、3段目伸縮フレーム7の上端の正面側(Fr)方向の第6従動プーリ19の上方へと通し3段目伸縮フレーム7のフレームの内部を下方向へ貫通して3段目伸縮フレーム7の下端の正面側(Fr)方向の第7従動プーリ20の下方を通して4段目伸縮フレーム8下端の背面側(Re)伝動帯固定冶具22に伝動帯21のもう一方の端をピン接合して一輪の輪形を成している。
【0031】
前記、
図3に示す伝動帯21の通し方をすることによって、多段フレーム50各段の 伸縮フレームは全て、伝動帯21の正逆移動により同期して同じストローク量を伸縮可能となる。
【0032】
前記、伸縮チェン伝動帯21と各従動プーリは、揚収による負荷に応じた複数列とすることが出来る。
【0033】
図3と
図5に示す2段目伸縮フレーム6は、1段目伸縮フレーム5内の、前方向、後方向(F,B)規制伸縮軌道用ローラ24と正面、背面方向(Fr,Re)規制伸縮ローラ23によって2段目伸縮フレーム6の外摺動面をそれぞれ規制され、伝動帯21を
図3と
図4に示す第1従動プーリ14の上方から第2従動プーリ15の下方を通し、さらに
図3と
図5に示す第3従動プーリ16の上方から第4従動プーリ17の下方へ通し2段目伸縮フレーム6を吊下げた構造として上下方向を規制し保持されている。
【0034】
図3と
図6に示す3段目伸縮フレーム7は2段目伸縮フレーム6内の、前方向、後方向
(F,R)規制伸縮軌道用ローラ24と正面、背面方向(Fr,Re)規制伸縮ローラ23によって3段目伸縮フレーム7の外摺動面をそれぞれ規制され、伝動帯21を
図3と
図6に示す第5従動プーリ18、の上方から第6従動プーリ19の上方を通してさらに
図3と
図6に示す第7従動プーリ20の下方を通し3段目伸縮フレーム7を吊下げた構造として上下方向を規制し保持されている。
【0035】
図3と
図7と
図8に示す後方4段目伸縮フレーム8は、3段目伸縮フレーム7内の、前方向、後方向(F,B)規制伸縮軌道用ローラ24と正面、背面方向(Fr,Re)規制伸縮ローラ23によって4段目伸縮フレーム8の外摺動面をそれぞれ規制され、伝動帯21の両終端を
図7に示す4段目伸縮フレーム8の上端、下端に取付られた伝動帯固定金具22に固定して上下方向を規制し保持されている。
【0036】
図1に示す後方4段目伸縮フレーム8及び前方4段目伸縮フレーム8aには、緩衝材 9を取付、揚収、繰り出し時の揚収小型艇26との接触を和らげる。
【0037】
図1に示す4段目伸縮フレーム8と8aには揚収小型艇26の艇首側と艇尾側の船底 をすくい上げる為の艇尾側支持アーム8cと艇首側支持アーム8bとを備えている。
【0038】
図1と
図8に示す前方4段目伸縮フレーム8aの正面側(Fr)に突出して取付られた艇首側支持アーム8bには揚収小型艇26の進入目標となる進入標識体51を取付ている。
【0039】
図8に示す進入標識体51は艇首側支持アーム8bの前方
面側(F)から、さらに前方向(F)に伸び、上方へと曲がって伸びた、揚収小型艇
26の左舷側と右舷側に合わせて配された2本のポール状の位置決め浮体マスト12を備え、位置決め浮体マスト12の鉛直部12aには揚収小型艇26の左舷用と右舷用の水面波動に同期して上下方向に摺動可能な小型艇の進入目標となる小型艇揚収位置決め浮体10を取付ている。
【0040】
図8に示す進入標識体51は位置決め浮体マスト12のそれぞれの鉛直部12aを軌道
として、鉛直部12aの下端から小型艇揚収位置決め浮体10の下端までの間を上下方向
に摺動可能な、軌道案内ユニット55を取付ている。
【0041】
図8に示す軌道案内ユニット55は、揚収小型艇の左舷側と右舷側に合わせて配され
た2本のポール状の位置決め浮体マスト12のそれぞれの鉛直部12aに軌道案内鉛直
部10aを取付、軌道案内繋ぎ材52によって一体化させ、軌道案内繋ぎ材52を中心
として揚収小型艇の左舷側と右舷側に渡る、揚収小型艇26の船底切っ先が波浪上下動
による小形艇揚収位置決め浮体10への不良食い込みを防止する、船底切っ先位置決め
浮体10bを取付ている。
【0042】
図1に示す多段伸縮フレーム50の2段目伸縮フレーム6〜前方、後方4段目伸縮フレ
ーム8と8aの全フレームは、1段目伸縮フレーム
5に設置された、伝動帯回転駆動機13
を正逆転することにより、各伸縮フレームが同ストローク分同時に伸縮する。
【0043】
図1に示す多段伸縮フレーム50は、2連の回動アーム2の回動中にあっても、2列の
固定リンク3と第1連結ロッド3aと第1回動リンク3dと第2連結ロッド3eと第2回動リンク4とのリンク機構構造によって、常時基準設置面や設置台1の上面に対して略鉛直を維持できる。
【0044】
図1に示す多段伸縮フレーム50は、
図14に示す、回転機B29による回転によって前記、形態説明のリンク機構に因らずとも常時、基準設置面や設置台1の平面に対して略鉛直を維持出来る。
【0045】
図1に示す多段伸縮フレーム50の伸縮動作は、伸縮チェン伝動帯回転駆動機13に因らずとも、
図12に示すストロークアクチュエータA28を、伸縮する段数に合わせた台
数を各段の伸縮フレームへの設置による、ストローク動作による伸縮動作としても良い。
【0046】
図1に示す多段伸縮フレーム50の伸縮動作は、伸縮チェン伝動帯回転駆動機13に よらずとも、
図12に示すストロークアクチュエータA28と、伝動帯21と併用することによっても、多段伸縮フレーム50の各伸縮フレームを同ストローク分同時に伸縮する。
【0047】
図3に示す伝動帯21はチェンや両刃構造のタイミングベルトや単なるロープ及びベ ルトであっても良い。
【0048】
図3に示す
各従動プーリ14から20は、伝動帯21に合わせた形状で良い。
【0049】
回動アーム2の振り出しと多段伸縮フレーム50の伸長により進入標識体51を水面 の一定の位置に待機し、揚収小型艇26を進入させた後多段フレーム50を収縮させす くい上げ、回動フレーム2を振り戻し揚収小型艇26を揚収する、またその逆動作によって揚収小型艇26を繰り出すことが出来る。