(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6432009
(24)【登録日】2018年11月9日
(45)【発行日】2018年11月28日
(54)【発明の名称】押し出し具付バターケース
(51)【国際特許分類】
B65D 85/74 20060101AFI20181119BHJP
A47G 21/00 20060101ALI20181119BHJP
【FI】
B65D85/74
A47G21/00 E
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-177155(P2017-177155)
(22)【出願日】2017年8月29日
【審査請求日】2017年8月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】593223950
【氏名又は名称】大久保 チイ
(72)【発明者】
【氏名】大久保 チイ
【審査官】
二ッ谷 裕子
(56)【参考文献】
【文献】
実公昭35−24063(JP,Y1)
【文献】
登録実用新案第3005241(JP,U)
【文献】
実公昭39−15861(JP,Y1)
【文献】
実開平2−49885(JP,U)
【文献】
特開2010−259742(JP,A)
【文献】
実開昭52−3983(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 85/74
A47G 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
押し出し具と、中敷きシートと、収納ケースと、で構成される押し出し具付のバターケースであって、
前記押し出し具は、ところてん押出し式の押し出し筒体と、押し出し棒と、で形成され、
前記中敷きシートは、前記収納ケース内の底部に敷設される形状に形成される弾性シートの一端に上方にせり上がる取っ手部と、該一端と対向する他端の下方に上方に持ち上げる機能を有する弾性カール部を形成し、
前記収納ケースは、上方が開口する収納容器と、該収納容器の開口口を密封する密閉蓋から成ること特徴とする押し出し具付バターケース。
【請求項2】
前記押し出し筒体の先端部に、押し出し口が斜めに形成された補助キャップを装着して成ることを特徴とする請求項1記載の押し出し具付のバターケース。
【請求項3】
前記補助キャップの押し出し口が、複数の押し出し穴で形成されていることを特徴とする請求項2記載の押し出し具付バターケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食パン等にぬられるバター、マーガリン、餡、ジャムなどを手を汚すことなく押し出すことができる押し出し機能と、バターケース内に収納される押し出し具をワンタッチで取り出すことができる取り出し機能を有するバターケースに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、食パンに固形のバターをぬる場合、バターケースの蓋を開いた後、銀紙包装紙を捲ってバターを露出させた後、バターナイフで必要な分量だけ切り取って使用していた。しかしながら、冷蔵庫から取り出した直後のバターは冷気によって硬直しているため、その硬直したバターをバターナイフで削り取るには面倒さと難儀さが伴うことから、冷気で硬直したバターを食パンにぬるまでには常温に置いて軟らかくなるまで待たなければならないといった不便さがあった。また、銀紙包装紙の開閉の毎に手が汚れると共に、手がバターに直に触れることによって衛生面の問題が発生すると共に、銀紙包装紙の開封した箇所が剥き出しの状態になることから、バターの表面が乾燥して品質の劣化が起こるといった問題があった。
【0003】
上記の問題を解決しようとするバターケースの提案がなされている。例えば、市販されている形状の異なった包装済みのバターを、冷蔵庫から取り出した直後でも衛生的にバターケースから押し出して、バターケースごと手に持ってパンにぬったり、調理に使用できるとともに、使用後も衛生的で製品の劣化を少なく保存することができる「押し出し機能付きバターケース」(特許文献1)が提案され、公知技術となっている。
【0004】
また、使用時に簡単にバターを取り出し、使用後も簡単にバターを保存することができる「押し出し式バターおよびバターケース」(特許文献2)が提案され、公知技術となっている。
【0005】
しかしながら、上記における「押し出し機能付きバターケース」ならびに「押し出し式バターおよびバターケース」の何れの提案も、バターケース内に収納される押し出し具が複雑構造であることから、該複雑構造の中にバターカスなどが入り込んで衛生的に好ましくない状態になると共に、使用されるバターの形状が固形またはステック状であることを前提にしていることから、バター以外のペースト状の餡やジャムなどを食パン等にぬることができる構造を有していないといった問題があるものであった。
【0006】
本出願人は、上記におけるバターケースにおける押し出し機能に着目すると共に、該押し出し機能を有する押し出し具をバターケースから簡単に取り出すことができないものかという着想の下、食パン等にぬられるバター、マーガリン、餡、ジャムなどを手を汚すことなく押し出すことができる押し出し機能と、バターケース内に収納される押し出し具をワンタッチで取り出すことができる取り出し機能を有するバターケースを開発し、本発明における「押し出し具付バターケース」の提案に至るものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実用新案登録第3206361号公報
【特許文献2】実開平6−80692号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記問題点に鑑み、食パン等にぬられるバター、マーガリン、餡、ジャムなどを手を汚すことなく押し出すことができる押し出し機能と、バターケース内に収納される押し出し具をワンタッチで取り出すことができる取り出し機能を有するバターケースの提供を図ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は上記課題を解決するためになされるもので、本発明の押し出し具付バターケースは、押し出し具と、中敷きシートと、収納ケースと、で構成される押し出し具付のバターケースであって、前記押し出し具は、ところてん押出し式の押し出し筒体と、押し出し棒と、で形成され、前記中敷きシートは、前記収納ケース内の底部に敷設される形状に形成される弾性シートの一端に上方にせり上がる取っ手部と、該一端と対向する他端の下方に上方に持ち上げる機能を有する弾性カール部を形成し、前記収納ケースは、上方が開口する収納容器と、該収納容器の開口口を密封する密閉蓋から成る手段を採る。
【0010】
また、本発明の押し出し具付バターケースは、前記押し出し筒体の先端部に、押し出し口が斜めに形成された補助キャップを装着して成る手段を採る。
【0011】
また、本発明の押し出し具付バターケースは、前記補助キャップの押し出し口が、複数の押し出し穴で形成されている手段を採る。
【発明の効果】
【0012】
本発明の押し出し具付バターケースによれば、押し出し具よって、市販の固形のバターや、マーガリンを手を汚さずに容易に押し出して食パン等にぬることができるといった優れた効果を奏する。
【0013】
また、本発明の押し出し具付バターケースによれば、上方にせり上がる取っ手部と、上方に持ち上げる機能を有する弾性カール部を有する中敷きシートによって、バターケース内に収納される押し出し具をワンタッチで取り出すことができるといった優れた効果を奏する。
【0014】
また、本発明の押し出し具付バターケースによれば、収納ケースにバターやジャムなどが充填された押し出し具を密封収納することによって、コンパクトに収納することができると共に、衛生的に保管することができるといった優れた効果を奏する。
【0015】
また、本発明の押し出し具付バターケースによれば、押し出し具の押し込み棒の押し込み具合によって、残りの使用量が常に目視で確認することができるといった優れた効果を奏する。
【0016】
また、本発明の押し出し具付バターケースによれば、押し出し具の押し込み具合によって、手を汚すことなく好みの量を適量ぬりつけることができるといった優れた効果を奏する。
【0017】
また、本発明の押し出し具付バターケースによれば、押し出し筒体の先端部に、押し出し口が斜めに形成され、さらに押し出し口に複数の押し出し穴で形成された補助キャップを装着することによってペースト状の餡やジャムなどが垂れ零れることなく均等にぬり付けることができるといった優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明における押し出し具付バターケースの実施形態を示す説明図である。(実施例1)
【
図2】本発明における押し出し具付バターケースの使用状態を示す説明図である。
【
図3】本発明における押し出し具付バターケースのその他の実施形態を示す説明図である。(実施例2)
【
図4】本発明における押し出し具付バターケースのその他の実施形態を示す分解斜視図である。(実施例3)
【0019】
本発明の押し出し具付バターケース10は、食パンB等にぬられるバター、マーガリン、餡、ジャムなどを手を汚すことなく押し出すことができる押し出し機能と、バターケース内に収納される押し出し具20をワンタッチで取り出すことができる取り出し機能を有する手段を採ったことを最大の特徴とする。以下、本発明の実施形態を、図面に基づいて説明する。
【0020】
尚、本発明の押し出し具付バターケース10は、以下に述べる実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内、すなわち同一の作用効果を発揮できる形状及び寸法の範囲内で、適宜変更することができる。
【実施例1】
【0021】
図1は、本発明における押し出し具付バターケースの実施形態を示す説明図である。
本発明の押し出し具付バターケース10は、押し出し具20と、中敷きシート30と、収納ケース40と、で構成される押し出し具付のバターケースであって、押し出し具20は、ところてん押出し式の押し出し筒体21と、押し出し棒22と、で形成され、中敷きシート30は、収納ケース40内の底部に敷設される形状に形成される弾性シートの一端に上方にせり上がる取っ手部31と、該一端と対向する他端の下方に上方に持ち上げる機能を有する弾性カール部32を形成し、収納ケース40は、上方が開口する収納容器41と、該収納容器41の開口口42を密封する密閉蓋43から成る手段を採ることができる。
【0022】
押し出し具20は、片手で持つことができるところてん押出し式の押し出し筒体21と押し出し棒22で形成され、ステック状のバターや、ブロック状のバターを棒状に切断した上で、押し出し筒体21内に充填させて押し出し棒22で押し出すことで、自分好みの量を手を汚すことなく容易に押し出すことができる。また、押し出し具20は、中敷きシート30の上部に複数収納することができる。
【0023】
中敷きシート30は、例えば、収納ケース40の底部に敷設される弾性を有する合成樹脂製のシートで形成され、該弾性シートの一端に上方にせり上がる取っ手部31と、該一端と対向する他端の下方に、上方に持ち上げる機能を有する弾性カール部32を形成して、収納ケース40内に収納される押し出し具20の取り出しを容易にしている。
【0024】
収納ケース40は、例えば、上方が開口する合成樹脂製の収納容器41と、該収納容器41の開口口42を密封する合成樹脂製の密閉蓋43から成り、押し出し具20と、押し出し具20内に充填されるバター、マーガリン、餡、ジャムなどを完全密封状態で保管することができる。
【0025】
以上で構成される本発明の押し出し具付バターケース10は、押し出し具20よって、市販の固形のバターや、マーガリンを手を汚さずに容易に押し出してぬることができると共に、中敷きシート30によって、バターやジャムなどが充填された押し出し具20を容易に取り出すことができ、さらに収納ケース40にバターやジャムなどが充填された押し出し具20を密封収納することによって、コンパクトに収納することができると共に、衛生的に保管することができることに加えて、押し出し具20の押し出し棒22の押し込み具合によって、残りの使用量が常に目視で確認することができる共に、押し出し具20の押し込み具合によって、手を汚すことなく好みの量を適量ぬりつけることができる押し出し具付バターケース10の提供を可能とする。
【0026】
図2は、本発明における押し出し具付バターケースの使用状態を示す説明図である。
図2(a)は収納ケース40から押し出し具20を取り出している状態を示す。
中敷きシート30の一端に上方にせり上がる取っ手部31と、該一端と対向する他端の下方に、上方に持ち上げる機能を有する弾性カール部32を形成して、収納ケース40内に収納される押し出し具20の取り出しを容易にしている。
【0027】
図2(b)は食パンBの表面にバター、マーガリンなどをぬっている状態を示す説明図である。
食パンBの表面に押し出し具20を押し当ててスライドさせることによってバター、マーガリン、餡、ジャムなどを手を汚さすことなく容易にぬることができる。さらに親指で押し出し棒22を押し出し筒体21に押し込むことで自分の好みに合わせてバター、マーガリン、餡、ジャムなどの量を適宜調節することができる。
【実施例2】
【0028】
図3は、本発明における押し出し具付バターケースのその他の実施形態を示す説明図である。
図3(a)は、本発明における押し出し具付バターケースの分解斜視図である。
本発明における押し出し具付バターケース10は、押し出し筒体21の先端部に、押し出し口51が斜めに形成された補助キャップ50を装着して成る手段を採ることができる。
【0029】
補助キャップ50は、押し出し筒体21の先端部に強勘合に押し込まれて装着されるもので、押し出し口51が食パンBなどにぬりやすいように斜めにカットされて形成される。
【0030】
図3(b)は食パンBの表面にバター、マーガリンなどをぬっている状態を示す説明図である。
本発明の押し出し具付バターケース10は、押し出し具20の押し出し口51が斜めにカットされていることによって、手の向きがパンの表面に合わせてぬりやすい角度でぬることができる。
【実施例3】
【0031】
図4は、本発明における押し出し具付バターケースのその他の実施形態を示す分解斜視図である。
本発明の押し出し具付バターケース10は、補助キャップ50の押し出し口51が、複数の押し出し穴52で形成されている手段を採ることができる。
【0032】
本発明の押し出し具付バターケース10の使用状態においては、補助キャップ50の押し出し口51に複数の押し出し穴52が形成されていることによって、ペースト状の餡やジャムなどが垂れ零れることなく均等にぬり付けることができる。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明における押し出し具付バターケースは、バター、マーガリンやジャムなどを手を汚すことなく押し出して使用することができると共に、収納ケースにコンパクト且つ衛生的に保管することができることから、本発明の「押し出し具付バターケース」の産業上の利用可能性は極めて大であるものと思料する。
【符号の説明】
【0034】
10 押し出し具付バターケース
20 押し出し具
21 押し出し筒体
22 押し出し棒
30 中敷きシート
31 取っ手部
32 弾性カール部
40 収納ケース
41 収納容器
42 開口口
43 密閉蓋
50 補助キャップ
51 押し出し口
52 押し出し穴
B 食パン
【要約】
【課題】食パン等にぬられるバター、マーガリン、餡、ジャムなどを手を汚すことなく押し出すことができる押し出し機能と、バターケース内に収納される押し出し具をワンタッチで取り出すことができる取り出し機能を有するバターケースの提供を図る。
【解決手段】本発明の押し出し具付バターケース10は、押し出し具20と、中敷きシート30と、収納ケース40と、で構成される押し出し具付のバターケースであって、該押し出し具20は、ところてん押出し式の押し出し筒体21と、押し出し棒22と、で形成され、中敷きシート30は、前記収納ケース40内の底部に敷設される形状に形成される弾性シートの一端に上方にせり上がる取っ手部31と、該一端と対向する他端の下方に上方に持ち上げる機能を有する弾性カール部32を形成し、収納ケース40は、上方が開口する収納容器41と、該収納容器41の開口口42を密封する密閉蓋43から成る手段を採る。
【選択図】
図1