(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6432011
(24)【登録日】2018年11月9日
(45)【発行日】2018年11月28日
(54)【発明の名称】装身具の長さ調整機能付き留め具
(51)【国際特許分類】
A44C 25/00 20060101AFI20181119BHJP
【FI】
A44C25/00 B
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-255371(P2017-255371)
(22)【出願日】2017年12月19日
【審査請求日】2018年6月5日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】501193090
【氏名又は名称】石水 総
(72)【発明者】
【氏名】石水 総
【審査官】
石井 茂
(56)【参考文献】
【文献】
実開平3−11822(JP,U)
【文献】
特表2002−515270(JP,A)
【文献】
国際公開第2006/134796(WO,A1)
【文献】
登録実用新案第3155597(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A44C 25/00
A44C 5/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の装飾板の一方の端部内側対向面に設けた、ばね力によって付勢されるヒンジ部と、前記装飾板の他方の端部に設けられ前記ヒンジ部のばね力により閉じられる一対の係止部と、前記一対の装飾板の内側対向面に一定の間隔を隔てて設けた複数の係合突起と、前記ヒンジ部の後端に設けられ真珠等のネックレスの一端を接続するための接続板とを備えた第1留め具と、該第1留め具と同一構成の第2留め具とを有し、
前記ネックレスの両端部にそれぞれ接続した前記第1留め具及び第2留め具の一対の前記装飾板の後端を指で摘まんで、その先端部を前記ヒンジ部のばね力に抗して開口させ、前記第1留め具及び第2留め具を互いに、水平軸に対して90度回転させて嵌合させ、相対する互いの係合突起と該係合突起間に形成される凹部とを噛み合わせて前記第1留め具と第2留め具とを結合することを特徴とする装身具の長さ調整機能付き留め具。
【請求項2】
前記装飾板は、略アーチ状に形成され、及び/又は前記装飾板に網目状の穴を穿ったことを特徴とする請求項1の装身具の長さ調整機能付き留め具。
【請求項3】
前記接続板は、前記ヒンジ部から後方に引き出され、他方の留め具を嵌合せる際に、該他方の留め具の前記一対の係止部の先端で前記接続板の端部を挟持させることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の装身具の長さ調整機能付き留め具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば真珠のネックレス等に使用される装身具の長さ調整機能付き留め具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の真珠のネックレスを着用する場合、例えば
図12に示すように、ネックレス1を首にいわゆるO型に着用した場合(A)と、ネックレス1の一端を胸のあたりまで垂れ下がるように、いわゆるY型に着用する場合(B)がある。
【0003】
このようにO型及びY型の両方に使えるようにネックレス端部の留め具2a、2bをクリップ式として連珠3の適当な位置で係止できる構造なっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−56429号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような真珠のネックレス等に使用される装身具の長さ調整機能付き留め具は、いわゆるO型に着用した場合、
図12(A)に示したように、留め具2a,2bが近接して並んで配置され美的センスを競う装身具着用者には評判が悪い。
【0006】
一方、特開平9−56429号公報には、ヒンジによって開閉可能真珠ネックレス等の長さ調整機能付き留め具が開示されている。この留め具の形状、種類を変えることによりO型及びY型に限らず、その他の真珠ネックレスの使い方も可能である。
しかしながら、留め具の挟持部に弾性シートを固着させなければならず、構成が複雑でコスト高となることを免れない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたもので、以下のような構成を備えている。
すなわち、請求項1に記載の本発明の装身具の長さ調整機能付き留め具は、一対の装飾板の一方の端部内側対向面に設けた、ばね力によって付勢されるヒンジ部と、前記装飾板の他方の端部に設けられ前記ヒンジ部のばね力により閉じられる一対の係止部と、前記一対の装飾板の内側対向面に一定の間隔を隔てて設けた複数の係合突起と、前記ヒンジ部の後端に設けられ真珠等のネックレスの一端を接続するための接続板とを備えた第1留め具と、該第1留め具と同一構成の第2留め具と有する。
【0008】
上記の構成において、前記ネックレスの両端部にそれぞれ接続した前記第1留め具及び第2留め具の一対の前記装飾板の後端を指で摘まんで、その先端部を前記ヒンジ部のばね力に抗して開口させ、前記第1留め具及び第2留め具を互いに、水平軸に対して90度回転させて嵌合させ、相対する互いの係合突起と該係合突起間に形成される凹部とを噛み合わせて前記第1留め具と第2留め具とを結合することを特徴とするものである。
【0009】
請求項2に記載の発明は、前記装飾板を略アーチ状に形成し、及び/又は前記装飾板に網目状の穴を穿ったことを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、前記接続板の構成について、前記ヒンジ部から後方に引き出し、他方の留め具を一方の留め具に嵌合せる際に、前記他方の留め具の一対の係止部の先端により前記接続板の端部を挟持させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、上記のように構成したので以下のような効果を奏する。
第1め具及び第2留め具を互いに、水平軸に対して90度回転させて嵌合させ、相対する互いの係合突起と該係合突起間に形成される凹部とを噛み合わせて前記第1留め具と第2留め具とを結合するため、確実に固定でき、第1留め具及び第2留め具の端部をばね力に抗して開放させない限り、第1留め具と第2留め具が離脱することがない。
【0012】
装飾板は、略アーチ状に形成され、及び/又は前記装飾板に網目状の穴を穿ったことを特徴としているので、斬新でデザイン性に優れるとともに、網目状に穴を穿っているので、留め具としての重量が軽減され、軽量化とコストの低減を実現することが可能となる。
なお、本発明の実施例では装飾板の表面をアーチ状に湾曲させたが、平面状でも良く、その模様は網目状である必要はなく、種々のデザインが可能である。
【0013】
また、前記接続板の構成について、前記ヒンジ部から後方に引き出し、他方の留め具を一方の留め具に嵌合せる際に、前記他方の留め具の一対の係止部の先端により前記接続板の端部を挟持させることを特徴とする本実施例では、留め具同士の水平軸に対する相対的な回転が阻止され、相互の係合突起と凹部との噛み合いと相俟って留め具同士の結合が確実となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の装身具の長さ調整機能付き留め具の一実施例を示す斜視図である。
【
図5】上記留め具のヒンジ部に収納されるばね部材と接続板の斜視図である。
【
図6】本発明の留め具の開いた状態を示す斜視図である。
【
図7】本発明の留め具における第1留め具と第2留め具の連結前の状態を示す斜視図である。
【
図8】上記同様に連結後の状態を示す斜視図である。
【
図9】本発明の留め具を使用したネックレスを、いわゆるO型にして着用する場合の斜視図である。
【
図10】本発明の留め具を使用したネックレスを、いわゆるY型にして着用する場合の斜視図である。
【
図11】本発明の留め具を使用したネックレスを2本用意し、相手方のネックレス端部に設けた留め具同士を連結して長尺の装身具とした状態の斜視図である。
【
図12】従来の留め具を使用した真珠のネックレスの着用例を示し、同図(A)は、いわゆるO型として着用する場合、同図(B)はいわゆるY型として着用する場合の状態を示している。
【実施例】
【0015】
以下に、本発明の好適な実施例を、図を参照して説明する。
本発明の装身具の長さ調整機能付き留め具100は、
図7及び
図8に示すように、同一構成の第1留め具101と第2留め具102から成り、水平軸に対して互いに90度回転させて両者を結合する。
【0016】
上記第1留め具101及び第2留め具102は同一構成であるため、
以下、第1留め具101の構成について詳細に説明する。
第1留め具101は、
図1に示すように、一対の装飾板10,11を有する。この装飾板10,11は、例えば外側にアーチ状に湾曲して形成され、その枠内には網目状の模様になるように穴12が穿ってある。この穴12の位置、大きさによって当該装飾板10,11に形成される模様が異なってくる。
【0017】
例えば、真珠ネックレスの連珠自体はその大きさ、配置は変化させ得るが、連珠を構成する1個の真珠は、すべて球形をしているため、装身具としての変化性を出し難い。このため、真珠ネックレスにおける端部の留め具が全体の変化性を持たせるための重要なデザイン要素となっている。
【0018】
したがって、装飾板10,11を如何に趣向のあるものにデザインするかが真珠ネックレスの市場性を決定するポイントともなっている。
【0019】
装飾板10,11の一方(
図1及び
図2では右側後端)には、
図5のコイルばね13のばね力によって付勢されるヒンジ部14が設けられている。
上記ヒンジ部14は、装飾板10,11の端部内側対向面に突出する支持部15a,15bを組み合わせ、軸16により軸支してあり、該軸16を支点として装飾板10,11が搖動できる構成となっている。
【0020】
この実施例では、上記支持部15a,15bの間には接続板17が介在し、軸16に回動可能に軸支されている。この接続板17の端部には透孔18が設けられ、この透孔18に、装身具、例えば真珠ネックレスの一端が連結できるようになっている。
【0021】
前記一対の装飾板10,11の端部内側対向面(
図1及び
図2の左側先端部)には、一対の突出部材19a,19bから成る係止部20が設けられている。
一方、装飾板10,11の後端部(
図1及び
図2の右側後端部)の外側には互いに外方に盛り上がる摘み部21a,21bが設けられており、この摘み部21a,21bを内方に押圧することで、装飾板10,11の後端が窄められ、逆に、装飾坂10,11の先端部が軸16を中心に回動し、互いに当接する突出部材19a,19bが離間し、
図2に示すような状態となる。
【0022】
前記係止部20における突出部材19a,19bは、装飾板11,12の端部内側対向面から内方に突出し、基部から二又に分かれた略馬蹄形状を成し、その先端部で突出部材19a,19bが嵌合する相補形状となっており、長孔20が形成される。この長孔22は、
図8に示すように、一方の接続板17を他方の係止部20の突出部材19a,19bで挟み付ける構造となっている。
【0023】
なお、上記の実施例では接続板17を係止部20の突出部材19a,19bで挟み付ける構造としたが、必ずしもこの構造に限定されることなく、前記接続板17を挟み付けなくても良い。
要は、第1留め具101と第2留め具102を水平軸に対して90度回転して連結した場合に、連結の安定性と確実性が確保できるような構造であれば良い。
【0024】
次に、前記一対の装飾板10,11の内側対向面に一定の間隔を隔てて設けた複数の係合突起23について説明する。この係合突起23は、装飾板10,11の長手方向の内側両端部に設けられ、一方の留め具100を他方の留め具101に、水平軸に対して90度ずらして結合した場合に、長手方向に一定の間隔を隔てて並ぶ係合突起23, 23に一方の係合突起23,23が嵌まり込み、互いに位置規制されるため、留め具101,102に互いに離反する方向に引張力を加えても離脱することがない。
【0025】
さらに、上記構成の装身具の長さ調整機能付き留め具100の使用方法について説明する。
先ず、真珠ネックレスをいわゆるO型に着用する場合は、
図9に示すように、真珠ネックレス24の両端に設けた第1留め具101と第2留め具102とを水平軸に対して互いに90度回転させて結合させる。
【0026】
すなわち、一方の装飾板10の摘み部21aと他方の装飾板11の摘み部21bを親指と人さ指で摘まんで、第1留め具101の先端部をコイルばね13のばね力に抗して開口させる。同様の操作により第2留め具102の先端部を開口させ、両者の先端部同士を突き合わせ、互いの内部に挿入した段階で摘まみ力を開放すれば、第1留め具101と第2留め具102が互いに係合突起23,23に位置規制され、正確かつ確実に結合がなされる。
【0027】
次に、
図10のように真珠ネックレスをいわゆるY型に着用する場合は、第1留め具101と第2留め具102とを結合せず、例えば一方の第1留め具101を真珠ネックレス24の適当な長さのところでクリップし、他方の端部の第2留め具102は吊下げた状態としておく。このようにすることにより、第1留め具101及び第2留め具102が趣向に富むアクセサリーとなる。
【符号の説明】
【0028】
1 ネックレス
2a,2b 留め具
3 連珠
100 装身具の長さ調整機能付き留め具
101 第1留め具
102 第2留め具
10 装飾板
11 装飾板
12 穴
13 コイルばね
14 ヒンジ部
15a,15b 支持部材
16 軸
17 接続板
18 透孔
19a,19b 突出部材
20 係止部
21a,21b 摘み部
22 長孔
23 係合突起
24 真珠ネックレス
【要約】
【課題】結合が確実でがつ操作が容易あるとともに、外観的体裁が良好な装身具の長さ調整機能付き留め具を提供すること。
【解決手段】一対の装飾板10,11の一方の端部内側対向面に設けた、ばね力によって付勢されるヒンジ部14と、前記装飾板10,11の他方の端部に設けられ前記ヒンジ部14のばね力により閉じられる一対の係止部20と、前記一対の装飾板10,11の内側対向面に一定の間隔を隔てて設けた複数の係合突起23と、前記ヒンジ部14の後端に設けられ真珠等のネックレス24の一端を接続するための接続板17とを備えた第1留め具101と、該第1留め具101と同一構成の第2留め具102と有し、これら1留め具101と第2留め具を水平軸に対して90度回転させて結合する。
【選択図】
図1