特許第6432015号(P6432015)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6432015
(24)【登録日】2018年11月9日
(45)【発行日】2018年11月28日
(54)【発明の名称】階段用傾斜棚
(51)【国際特許分類】
   E04F 19/08 20060101AFI20181119BHJP
【FI】
   E04F19/08 D
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-140959(P2018-140959)
(22)【出願日】2018年7月27日
【審査請求日】2018年7月27日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】718001399
【氏名又は名称】石倉 一成
(72)【発明者】
【氏名】石倉 一成
【審査官】 兼丸 弘道
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−167370(JP,A)
【文献】 実開昭62−141835(JP,U)
【文献】 特開平07−011759(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 19/08
E04F 11/00−11/18
A47B 43/00−45/00
A47B 47/00−47/06
A47B 57/00−57/58
A47B 61/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状の支持体の一辺部にL字形構造体を形成した棚本体と、階段の複数の段鼻部に掛け渡して設置できる長さを有する板状で、長さ方向の一端に、階段の踏み板部に掛ける事ができるように掛止部が設けられた止め具を備え、前記棚本体を、前記止め具の表面側に、前記L字形構造体が前記掛止部とは前記長さ方向の反対側に位置するように固定してなる事を特徴とする階段用傾斜棚。
【請求項2】
階段の上段の踏み板部に第1の前記止め具を掛け、中段の踏み板部に第2の前記止め具を第1の前記止め具の一部部位と隣接して掛け、下段の踏み板部に第3の前記止め具を第2の前記止め具の一部部位と隣接して掛けていくことができるように、第1の前記止め具、第2の前記止め具、第3の前記止め具が配置され、前記棚本体をいずれかの隣接する前記止め具にまたがって固定してなる事を特徴とする請求項1記載の階段用傾斜棚。
【請求項3】
前記止め具は、前記踏み板部に掛かる部位に階段の傾斜に合わせて可動しつつ前記踏み板部に密接する可動プレートを備え、粘着性のある耐震マットを介して前記可動プレートと前記踏み板部が密着する事を特徴とする請求項1または2記載の階段用傾斜棚。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は住宅を全くキズつける事なく、通行の邪魔にあまりならない階段の端角を利用してちょっとした物置スペースを簡単かつ効果的につくる事ができる、階段用傾斜棚に関するものである。
【背景技術】
【0002】
階段は基本的に通路であり、物置スペースではないが、住宅事情によっては踊り場を物置スペースとして利用している家庭は多く、階段にはみ出す様に収納物を置いている家庭も少なくないというのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許4174067
【特許文献2】特許4038526
【特許文献3】特開2003-097042
【特許文献4】特開2002-047772
【特許文献5】特開平10-238053
【特許文献6】特許6002629
【特許文献7】特開2009-293200
【特許文献8】特開2008-297763
【特許文献9】特開2004-169470
【特許文献10】特開2001-132248
【特許文献11】特開平11-276254
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
階段に収納物を置くと足の踏み場がその分狭まる事は避けられないが、何の対策もせず置けば殊の外場所を取るものである。また掃除もいちいち退かせてから行わなくてはならず面倒くさい。
【0005】
特許文献1〜5の発明はデッドスペースとなりやすい空間を有効利用して大容量の収納スペースを創出するが、あらかじめその構造を導入する事を念頭において住宅の設計をしておく必要性が高く、既存の住宅に追加して導入する事は極めて困難である。また費用も相当かかる事が予測される。
【0006】
特許文献6〜10の発明もあらかじめその構造を導入する事を念頭において住宅の設計をしておく必要性が高く、既存の住宅に追加して導入する事は困難である上に、ある程度広いスペースを有した住宅でないと導入が難しい。また費用も相当かかる事が予測される。
【0007】
特許文献11の発明も家屋の構造によってはデッドスペースとなっている空間を有効利用して大容量の収納スペースを創出する可能性があるが、大規模な工事が必要であり気軽に導入できるものではない。また費用も相当かかる事が予測される。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は住宅を全くキズつける事なく、通行の邪魔にあまりならない階段の端角を利用してちょっとした物置スペースを簡単かつ効果的につくる事ができる、階段用傾斜棚を提供する。
【0009】
本発明は板状の支持体の一辺部にL字形構造体を形成した棚本体と、階段の踏み板部に掛かる止め具を備え、前記棚本体を前記止め具に固定してなる事を特徴とする階段用傾斜棚を提供する。
【0010】
本発明は前記階段用傾斜棚において、階段の上段の踏み板部に第1の前記止め具を掛け、中段の踏み板部に第2の前記止め具を前記第1の止め具の一部部位と隣接して掛け、下段の踏み板部に第3の前記止め具を前記第2の止め具の一部部位と隣接して掛けていくとともに、前記棚本体を前記止め具のいずれかに固定しなる事を特徴とする階段用傾斜棚を提供する。
【0011】
本発明は前記止め具において、前記踏み板部に掛かる部位に階段の傾斜に合わせて可動しつつ前記踏み板部に密接する可動プレートを備え、粘着性のある耐震マットを介して前記可動プレートと前記踏み板部が密着する事を特徴とする階段用傾斜棚を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、前記L字形構造体が収納物を保持しつつ前記止め具が階段から滑り落ちる事を防止し、前記収納物を階段の傾斜に沿って置く事ができる。
【0013】
本発明によれば前記棚本体を前記止め具に固定するという手法を用いる事により、階段の踏み板部や蹴上げの間隔寸法に関わらず前記棚本体のサイズを好き勝手に設定して、連続的に設置していく事ができる。
【0014】
本発明によれば階段用傾斜棚を足元の端角に設置する事により、前記階段の足場は狭めるものの通行の際一番巾を必要とする人の体の胴部や両手を振る空間は狭めないため、階段の死角スペースを有効利用できる合理性がある。また仮に大きな地震で収納物や階段用傾斜棚自体が万一滑り落ちたとしても、足元を滑り落ちていくため人の頭上に落ちる可能性は極めて低い。
【0015】
本発明によれば階段の上段の踏み板部に第1の前記止め具を掛け、中段の踏み板部に第2の前記止め具を前記第1の止め具と一部部位を隣接して掛け、下段の踏み板部に第3の前記止め具を前記第2の止め具と一部部位を隣接して掛けていくとともに、複数個の前記棚本体を前記止め具のいずれかに固定していく事により、それぞれの段毎に滑り落ち防止機能を効かせる事ができて安全性を高める事ができる。またどんな段数の階段にでも好き勝手に前記止め具を追加して掛けていく事ができ、前記棚本体を好き勝手に連続的に設置していく事ができる。
【0016】
本発明の前記止め具において、前記踏み板部に掛かる部位に階段の傾斜に合わせて可動しつつ前記踏み板部に沿って密接する可動プレートを備え、粘着性のある耐震マットを介して前記可動プレートと前記踏み板部を密着させておけば、大きな地震等の際にも階段用傾斜棚の階段からの離脱を抑制し、収納物の滑り落ち事故を相当程度抑制する事ができる。
【0017】
本発明によれば前記棚本体と前記止め具の下側は空間が開いているため、掃除が極めて行いやすい。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】棚本体1(ピン固定式)の正面図(A)と平面図(B)と側面図(C)。
図2】止め具2(ピン固定式)の正面図(A)と平面図(B)と側面図(C)。
図3】止め具2を階段99に掛けた所を描いた正面図(A)と平面図(B)。
図4】止め具2に棚本体1を固定している所を描いた正面図(A)と平面図(B)。
図5】棚本体3(ビス止め固定式)の正面図(A)と平面図(B)と側面図(C)。
図6】止め具4(ビス止め固定式)の正面図(A)と平面図(B)と側面図(C)(D)。
図7】止め具4を階段99に掛けた所を描いた正面図(A)と平面図(B)と止め具4の一部部位同士を仮固定している箇所の断面図(C)
図8】止め金具4に棚本体3をビス止め固定している所を描いた正面図(A)と平面図(B)とビス止め固定箇所の断面図(C)。
図9】棚本体5(ビス止め固定式、溝部50・51を備えたタイプ)の正面図(A)と平面図(B)と側面図(C)。
図10】止め金具4に棚本体5をビス止め固定した箇所の断面図。
図11】棚本体5を用いた階段用傾斜棚に収納物を置いた時のイメージ図。
図12】棚本体6(面ファスナー固定式、L字形構造体69を備えたタイプ)の正面図(A)と平面図(B)と側面図(C)。
図13】止め具7(面ファスナー固定式、可動プレート71および耐震マット72を備えたタイプ)の正面図(A)と平面図(B)と側面図(C)(D)。
図14】止め具7を階段99に掛けた所を描いた正面図(A)と平面図(B)と止め具7の一部部位同士を仮固定している箇所の断面図(C)
図15】止め金具7に棚本体6を固定している所を描いた正面図兼、ファイルボックス100を置いた時のイメージ図。
図16】階段99にA4サイズの雑誌110を直置きした時のイメージ図(A)と、階段99の壁に衣料品111を掛けた時のイメージ図(B)と、階段用傾斜棚を用いてファイルボックス100を置いた時のイメージ図(C)。
図17】階段99の上段から階段用傾斜棚に収納物113が滑り落ちてきた時のイメージ図(A)と、階段99上段の踊り場に設置した家具の棚から収納物113が落ちてきた時のイメージ図(B)。
図18】階段用傾斜棚の下側を掃除する時のイメージ図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1〜4では止め具2(図2)を階段99に設置し、棚本体1(図1)を固定する手順を説明している。具体的には、図3は階段99の段鼻部98付近の踏み板部97に止め具2を掛ける手順を説明している。図4は止め具2のピン穴20に棚本体1のピン10を挿入して固定するという手順を説明している。なおピン固定式はあくまで固定方法の一例であり、ビス止め固定式など一般的に用いられている固定方法であればどんな固定方法を用いても問題はない。
【0020】
図5〜8では止め具4(図6)を階段99に設置し、棚本体3(図5)を固定する手順を説明している。具体的には、図7は階段99の上段の段鼻部98付近の踏み板部97に止め具4を掛け、中段の段鼻部98付近の踏み板部97に別の止め具4を上段に掛けた止め具4とそれぞれの仮固定用レール構造41の一部部位同士を嵌め合わせながら掛け、下段の段鼻部98付近の踏み板部97にまた別の止め具4を中段に掛けた止め具4とそれぞれの仮固定用レール構造41の一部部位同士を嵌め合わせながら掛けるという手順を説明している。図8は棚本体3の穴30と、止め具4のビスの下穴代替溝40が適宜重なる一部の箇所においてビス49を用いてビス止めし、棚本体3を止め具4に固定するという手順を説明している。なお止め具4は仮固定用レール構造41の一部部位同士を嵌め合させながら階段99に掛けていくという手法を用いた事により、棚本体3と止め具4との間の固定可能箇所に死角が生まれるとともにその死角が段毎に少しずつズレていくという状況が生じるため、適宜固定できるビス止め固定式を採用しているが、ビス止め固定式はあくまで一例であり両面テープや面ファスナーなど一般的に用いられている適宜固定が可能な固定方法であればどんな固定方法を用いても問題はない。また仮固定用レール構造41はあくまで作業性向上のための構造であり、備えるとしても一般的に用いられている仮固定構造であればどんな仮固定構造であっても問題はない。
【0021】
図9〜11は溝部50と溝部51を備えたビス止め固定式の棚本体5の基本的構造図(図9)と、棚本体5と止め具4のビス止め固定箇所の断面図(図10)と、棚本体5を用いて階段用傾斜棚を設置して市販のファイルボックス100と単行本101を収納した時のイメージ図である(図11)。なお溝部50は収納物をキズ付けないためにビス49の頭部を納める構造の一例であり、備えるとしても座グリ加工や皿グリ加工など一般的に用いられているビスの頭部を納める構造であればどんな構造を用いても問題はない。また溝部51は階段用傾斜棚の設置姿を見栄え良くするために備えた止め具4を覆い隠すための構造であり、必ず備えないと本発明の機能が果たせないというものではない。
【0022】
図12〜15では、止め具7(図13)を階段99に設置し、棚本体6(図12)を固定する手順を説明している。具体的には、図14は階段99の上段の段鼻部98付近の踏み板部97に止め具7を、可動プレート71と踏み板部97とを耐震マット72を介して密着させつつ掛け、中段の段鼻部98付近の踏み板部97に別の止め具7を、上段に掛けた止め具7とそれぞれの仮固定用レール構造41の一部部位同士を嵌め合わせながら可動プレート71と踏み板部97とを耐震マット72を介して密着させつつ掛け、下段の段鼻部98付近の踏み板部97にまた別の止め具7を、中段に掛けた止め具7とそれぞれの仮固定用レール構造41の一部部位同士を嵌め合わせながら可動プレート71と踏み板部97とを耐震マット72を介して密着させつつ掛ける手順を説明している。図15は棚本体6(図12)に備えた面ファスナー60と、止め具7(図13)に備えた面ファスナー70を密着させ、止め具7に棚本体6を連続的に固定していくという手順を説明している。なお面ファスナー固定方式あくまで一例であり、ビス止め固定方式や両面テープなど一般的に用いられている適宜固定が可能な固定方法であればどんな固定方法を用いても問題はない。またL字形構造体69は、L字形構造体19と併用する事によりファイルボックス100を囲って安全性を高める提案の一例であり、備えるとしても欄干など一般的に用いられている構造であればどんな構造であっても問題ではない。
【0023】
図16は、階段99にA4サイズの雑誌110を直置きした時のイメージ図(A)と、階段99の壁面に設置したフックに衣料品111を掛けた時のイメージ図(B)と、階段99に設置した階段用傾斜棚にファイルボックス100を設置した時のイメージ図(C)であり、イメージ図(C)は階段の端角を少し利用するだけならば通行の障害にはほとんどならず、両手を振る空間に至っては全く狭めない事を証明している。すなわちこれは、階段99の足元に設置する本発明には階段の死角スペースを有効利用しうる合理性がある事を示している。
【0024】
図17(A)に示すように本発明の階段用傾斜棚の棚本体1・3・5・6は階段99の踏み板部97に設置するため、大きな地震等で万一収納物113が落下したとしても足元を滑り落ちる事となり、例えば図17(B)に示すように階段99の踊り場に設置した家具から収納物113が落下してきた場合と比べて危険度は低い。すなわちこれは万が一の場合でも、本発明は人に与えるダメージが低い事を示している。
【0025】
図18に示すように、本発明の階段用傾斜棚の棚本体1・3・5・6の下側は空間が開けているため掃除が極めて行いやすい。
【符号の説明】
【0026】
1 棚本体(ピン固定式)
2 止め具(ピン固定式)
3 棚本体(ビス止め固定式)
4 止め具(ビス止め固定式)
5 棚本体(ビス止め固定式、溝部50・51を備えたタイプ)
6 棚本体(面ファスナー固定式、L字形構造体69を備えたタイプ)
7 止め具(面ファスナー固定式、可動プレート71と耐震マット72を備えたタイプ)
10 ピン(ピン固定式用のピン)
19 L字形構造体
20 ピン穴(ピン固定式用のピン穴)
30 穴(ビス止め固定式用ビス穴)
40 ビスの下穴代替溝
41 仮固定用レール構造
49 ビス(尖り先のビス)
50 溝部(ビス49の頭納め用溝)
51 溝部(止め具4納め用溝)
59 L字形構造体(溝部50を備えた場合のL字形構造体)
60 面ファスナー(フック側)
69 L字形構造体(棚本体側面に形成したL字形構造体)
70 面ファスナー(ループ側)
71 可動プレート
72 耐震マット(両面粘着性ジェルマット)
97 踏み板部
98 段鼻部(滑り止めレール材が貼られた部位)
99 階段
100 ファイルボックス(A4サイズが収納できる、市販品)
101 単行本
110 A4サイズの雑誌
111 衣料品
113 収納物
【要約】
【要 約】
【課 題】階段に物を直置きすると殊の外場所を取り、掃除をするにもいちいち退かせなくてはならず面倒くさい。
【解決手段】本発明は階段の上段の踏み板部に第1の止め具を掛け、中段の踏み板部に第2の前記止め具を前記第1の前記止め具の一部部位と隣接して掛け、下段の踏み板部に第3の前記止め具を前記第2の止め具の一部部位と隣接して掛けていくとともに、板状の支持体の一辺部にL字形構造体を形成した棚本体を前記止め具に連続して固定していく事を特徴とする、住宅を全くキズつける事なく設置でき、階段の掃除も簡単にする事ができる、階段用傾斜棚に関するものである。
【選択図】図11
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18