(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6432039
(24)【登録日】2018年11月16日
(45)【発行日】2018年12月5日
(54)【発明の名称】室内空気質制御システム
(51)【国際特許分類】
F24F 11/54 20180101AFI20181126BHJP
F24F 11/56 20180101ALI20181126BHJP
F24F 7/00 20060101ALI20181126BHJP
A47L 9/28 20060101ALI20181126BHJP
【FI】
F24F11/54
F24F11/56
F24F7/00 A
A47L9/28 Z
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-250075(P2014-250075)
(22)【出願日】2014年12月10日
(65)【公開番号】特開2016-109403(P2016-109403A)
(43)【公開日】2016年6月20日
【審査請求日】2017年10月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100170494
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 浩夫
(72)【発明者】
【氏名】宮田 貴文
(72)【発明者】
【氏名】林 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】藤本 訓
【審査官】
田中 一正
(56)【参考文献】
【文献】
特開2002−209818(JP,A)
【文献】
特開2014−226199(JP,A)
【文献】
特開2014−152995(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/54
F24F 11/56
F24F 7/00
A47L 9/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内に配置される空気清浄機と、電気掃除機と、
前記空気清浄機の信号の送受信を無線で行う空気清浄機通信部と、
前記電気掃除機の信号の送受信を無線で行う電気掃除機通信部と、
前記空気清浄機と前記電気掃除機の信号の送受信を無線で行う通信装置で構成され、
前記電気掃除機通信部は、前記電気掃除機が運転を開始した場合に、電気掃除機運転信号を送信し、
前記通信装置は、前記電気掃除機運転信号を受信した場合に、空気清浄機停止指示信号を送信し、
前記空気清浄機通信部は、前記空気清浄機停止指示信号を受信した場合に、前記空気清浄機の運転を停止し、
また、前記電気掃除機通信部は、前記電気掃除機が運転を停止した場合に、電気掃除機停止信号を送信し、前記通信装置は、前記電気掃除機停止信号を受信した場合に、空気清浄機運転指示信号を送信し、前記空気清浄機通信部は、前記空気清浄機運転指示信号を受信した場合に、所定の時間を空けてから前記空気清浄機の運転を開始し、前記所定の時間は、部屋の大きさ又は掃除頻度によって変更可能な室内空気質制御システム。
【請求項2】
前記空気清浄機は、室内のほこりなどを検出するほこりセンサを備え、
前記空気清浄機通信部が前記空気清浄機運転指示信号を受信した場合に、前記空気清浄機が所定の時間運転するとともに、前記ほこりセンサによって室内のほこり濃度を検出し、検出したほこり濃度に従って運転継続・停止を決定する請求項1に記載の室内空気質制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般家庭や事務所等で使用される空気清浄機の制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の室内空気質制御システムは、電気掃除機が運転を開始した場合に空気清浄機に対し運転信号を送信するものが知られている(例えば、文献1参照)。
【0003】
以下、その室内空気質制御システムについて図を参照しながら説明する。
【0004】
図4に示すように、空気清浄機101は、空気清浄機制御部102と空気清浄機101の信号の受信を無線で行う空気清浄機通信部103を備えている。
【0005】
電気掃除機111は、電気掃除機制御部112と電気掃除機111の信号の送信を無線で行う電気掃除機通信部113を備えている。
【0006】
従来の室内空気質制御システムは、電気掃除機111が運転を開始した場合に、電気掃除機制御部112は電気掃除機通信部113に運転信号の送信を指示する。そして、空気清浄機通信部103が空気清浄機停止指示信号を受信したことを検知した空気清浄機制御部102は、空気清浄機101の運転を運転することで、いち早く室内のほこりなどを集塵するというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平1−180215号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このような従来の室内空気質制御システムにおいては、空気清浄機と電気掃除機が同時に運転する構成になっていたので、空気清浄機からの送風が床面に堆積しているほこりなどを舞い上げることがある。すなわち、掃除機で吸い取れるはずのほこりなどを舞い上げて空気清浄機が捕集すると言う、無駄な運転をしていた。
【0009】
そこで本発明は、上記従来の課題を解決するものであり、電気掃除機と空気清浄機を連携して運転することにより効率的に室内のほこりなどを捕集することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そして、この目的を達成するために、本発明の室内空気質制御システムは、室内に配置される空気清浄機と、電気掃除機と、空気清浄機の信号の送受信を無線で行う空気清浄機
通信部と、電気掃除機の信号の送受信を無線で行う電気掃除機通信部と、空気清浄機と電気掃除機の信号の送受信を無線で行う通信装置で構成され、電気掃除機通信部は、電気掃除機が運転を開始した場合に、電気掃除機運転信号を送信し、通信装置は、電気掃除機運転信号を受信した場合に、空気清浄機停止指示信号を送信し、前記空気清浄機通信部は、前記空気清浄機停止指示信号を受信した場合に、前記空気清浄機の運転を停止
し、また、前記電気掃除機通信部は、前記電気掃除機が運転を停止した場合に、電気掃除機停止信号を送信し、前記通信装置は、前記電気掃除機停止信号を受信した場合に、空気清浄機運転指示信号を送信し、前記空気清浄機通信部は、前記空気清浄機運転指示信号を受信した場合に、所定の時間を空けてから前記空気清浄機の運転を開始し、前記所定の時間は、部屋の大きさ又は掃除頻度によって変更可能なものであり、これにより所期の目的を達成するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、電気掃除機通信部は、電気掃除機が運転を開始した場合に、電気掃除機運転信号を送信し、通信装置は、電気掃除機運転信号を受信した場合に、空気清浄機停止指示信号を送信し、前記空気清浄機通信部は、前記空気清浄機停止指示信号を受信した場合に、前記空気清浄機の運転を停止することで、空気清浄機からの送風が止まるため、床面に堆積しているほこりなどを空気中に舞い上げることを抑制する。これにより、電気掃除機で吸い取れるはずのほこりなどを空気清浄機が運転することなく電気掃除機で捕集するため、効率的に室内のほこりなどを捕集することができるという効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施の形態1の室内空気質制御システムの構成図
【
図2】本発明の実施の形態1の処理を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の請求項1記載の室内空気質制御システムは、室内に配置される空気清浄機と、電気掃除機と、前記空気清浄機の信号の送受信を無線で行う空気清浄機通信部と、前記電気掃除機の信号の送受信を無線で行う電気掃除機通信部と、前記空気清浄機と前記電気掃除機の信号の送受信を無線で行う通信装置で構成され、前記電気掃除機通信部は、前記電気掃除機が運転を開始した場合に、電気掃除機運転信号を送信し、前記通信装置は、前記電気掃除機運転信号を受信した場合に、空気清浄機停止指示信号を送信し、前記空気清浄機通信部は、前記空気清浄機停止指示信号を受信した場合に、前記空気清浄機の運転を停止するという構成を有する。これにより、前記空気清浄機の送風が止まり、床面に堆積しているほこりなどを空気中に舞い上げることを抑制する。そのため、電気掃除機で吸い取れるはずのほこりなどを空気清浄機が運転することなく電気掃除機で捕集するため、効率的に室内のほこりなどを捕集することができるという効果を奏する。
【0014】
また、前記電気掃除機通信部は、前記電気掃除機が運転を停止した場合に、電気掃除機停止信号を送信し、前記通信装置は、前記電気掃除機停止信号を受信した場合に、空気清浄機運転指示信号を送信し、前記空気清浄機通信部は、前記空気清浄機運転指示信号を受信した場合に、所定の時間を空けてから前記空気清浄機の運転を開始するという構成にしてもよい。これにより、前記電気掃除機の排気風や、掃除を行う人の動きなどにより室内のほこりなどが空気中に舞い上げられたことで、前記電気掃除機では捕集できなかったほこりなどを効率的に前記空気清浄機で捕集することができるという効果を奏する。
【0015】
また、前記空気清浄機は、室内のほこりなどを検出するほこりセンサを備え、前記空気清浄機通信部が前記空気清浄機運転指示信号を受信した場合に、前記空気清浄機が所定の時間運転するとともに、前記ほこりセンサによって室内のほこり濃度を検出し、検出したほこり濃度に従って運転継続・停止を決定するという構成にしてもよい。
【0016】
これにより、空気清浄機が不必要に長時間運転することがなくなるため、室内のほこりを捕集しつつ空気清浄機の無駄な消費電力を削減することができるという効果を奏する。
【0017】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0018】
(実施の形態1)
図示しないが、空気清浄機1は、筐体に吹出口、吸込口を設け、内部にファンモータ、集塵フィルタを備えている。
図1に示すように、空気清浄機1には、運転と停止や通信の制御を行う空気清浄機制御部2と、空気清浄機1の運転、停止などの信号の送受信を無線で行う空気清浄機通信部3を備えている。この空気清浄機1は、吹出口から空気を吹き出し、室内の空気を循環させることにより、床面に堆積しているほこりなどを舞い上げる。そして、吸込口から集塵フィルタを通して空気を吸い込むことにより、空気中に舞い上げられたほこりなどを捕集するものである。
【0019】
図示しないが、電気掃除機11は、筐体に吹出口、吸込口設け、内部にファンモータ、集塵フィルタを備えている。また、
図1に示すように、電気掃除機11の運転と停止や通信の制御を行う電気掃除機制御部12と、電気掃除機11の運転、停止などの信号の送受信を無線で行う電気掃除機通信部13を備えている。この電気掃除機11は、吸込口から集塵フィルタを通して床面の空気吸い込み、吹出口から吸い込んだ空気を吹き出すことにより、床面に堆積しているほこりなどを捕集するものである。
【0020】
通信装置21は、空気清浄機通信部3、および、電気掃除機通信部13と信号の送受信を無線で行うものである。
【0021】
使用者が掃除を始めるときの各機器の実際の動作を
図2のフローチャートを用いて説明する。
【0022】
電気掃除機11が運転する(ステップS1−1)と、電気掃除機制御部12は電気掃除機通信部13に電気掃除機運転信号の送信を指示する(ステップS1−2)。通信装置21は、電気掃除機通信部13から電気掃除機運転信号を受信する。
【0023】
次に、電気掃除機運転信号を受信した通信装置21は、空気清浄機通信部3に空気清浄機停止指示信号を送信する(ステップS1−3)。空気清浄機通信部3が空気清浄機停止指示信号を受信すると、この情報は、空気清浄機制御部2に伝達される。そして、空気清浄機制御部2は、空気清浄機1の運転を停止する(ステップS1−4)。
【0024】
これにより、電気掃除機11の運転中に空気清浄機1の送風が止まるので、床面に堆積しているほこりなどを空気中に舞い上げることを抑制する。そのため、電気掃除機11で吸い取れるはずのほこりなどを空気清浄機1が運転することなく電気掃除機11で捕集するため、効率的に室内のほこりなどを捕集することができる。
【0025】
次に、使用者が掃除を終えたときの各機器の動作を
図3のフローチャートを用いて説明する。
【0026】
電気掃除機11が停止する(ステップS2−1)と、電気掃除機制御部12は電気掃除機通信部13に電気掃除機停止信号の送信を指示する(ステップS2−2)。通信装置21は、電気掃除機通信部13から電気掃除機停止信号を受信する。
【0027】
電気掃除機停止信号を受信した通信装置21は、空気清浄機通信部3に空気清浄機運転指示信号を送信する(ステップS2−3)。空気清浄機通信部3が空気清浄機運転指示信号を受信すると、この情報は、空気清浄機制御部2に伝達される。そして、空気清浄機制御部2は、所定の時間を空けてから空気清浄機1の運転を開始する(ステップS2−4)。ここで、所定の時間を空けてから運転を開始するのは、一般的には、掃除の途中で一時的に電気掃除機11を停止することがあると考えられるからである。この所定の時間の間に電気掃除機11が運転を再開して空気清浄機通信部3が空気清浄機停止指示信号を受信すると、空気清浄機1は運転の停止を継続することになる。一方、所定の時間が経過するまでに、空気清浄機通信部3が空気清浄機停止指示信号を受信しなかった場合には、空気清浄機1は運転を開始する。空気清浄機1の運転を開始するまでの所定の時間は、部屋の大きさや、電気掃除機11の使用頻度によって変更できるとよい。
【0028】
上記のように、電気掃除機11が運転を開始すると、通信装置21が空気清浄機1に対して空気清浄機停止指示信号を送る。従って、電気掃除機11の運転中には空気清浄機1は停止状態になるので、掃除中に空気清浄機1が埃を舞い上げることがなくなる。一方、電気掃除機11が吸引した空気を吹出口から吹き出すため、あるいは、人が掃除を行うために動くので、室内では、電気掃除機11では捕集できなかったほこりなどが舞い上げられた状態になる。そこで、掃除終了時には、電気掃除機停止信号を発信することで、電気掃除機11で室内の掃除を終えたことを認識する。そして、掃除終了後には、空気清浄機1を運転することによって、空気中に舞い上げられたほこりなどを効率的に空気清浄機1で捕集することができる。
【0029】
また、空気清浄機1に室内のほこりなどを検出するほこりセンサ4を備え、空気清浄機1が運転を再開したときの運転は、まず所定の時間だけ動作させる予備運転としてもよい。この予備運転の間にほこりセンサ4が室内のほこりなどを検知すると、空気清浄機1は本来の空気清浄運転を開始する。そして、空気清浄運転中に、ほこりセンサ4がほこりなどを検知しなくなれば(ほこりセンサ4の出力が許容値以下になれば)、空気清浄機1の運転を停止する。一方、予備運転によって、ほこりセンサ4がほこりなどを検知しなかった場合には、予備運転終了と共に空気清浄機1は停止となる。予備運転として運転する所定の時間は、部屋の大きさによって変更できるとよい。
【0030】
このように、空気清浄機1は、所定の時間だけ運転する予備運転を行うことで、不必要に長時間運転することがなく、室内のほこりを捕集しつつ空気清浄機1の無駄な消費電力を削減することが出来る。
【0031】
なお、電気掃除機通信部13と空気清浄機通信部3は、通信装置21を介することなく、直接信号の送受信を行う構成にしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明にかかる室内空気質制御システムは、電気掃除機と空気清浄機を連携して運転することにより効率的に室内のほこりなどを捕集することを可能とするものであるので、一般家庭や事務所等で使用される空気清浄機の制御方法等として有効である。
【符号の説明】
【0033】
1 空気清浄機
2 空気清浄機制御部
3 空気清浄機通信部
4 ほこりセンサ
11 電気掃除機
12 電気掃除機制御部
13 電気掃除機通信部
21 通信装置
101 空気清浄機
102 空気清浄機制御部
103 空気清浄機通信部
111 電気掃除機
112 電気掃除機制御部
113 電気掃除機通信部