特許第6432316号(P6432316)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6432316
(24)【登録日】2018年11月16日
(45)【発行日】2018年12月5日
(54)【発明の名称】針状体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 37/00 20060101AFI20181126BHJP
【FI】
   A61M37/00 505
【請求項の数】3
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-245753(P2014-245753)
(22)【出願日】2014年12月4日
(65)【公開番号】特開2016-106757(P2016-106757A)
(43)【公開日】2016年6月20日
【審査請求日】2017年11月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100108578
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 詔男
(74)【代理人】
【識別番号】100152146
【弁理士】
【氏名又は名称】伏見 俊介
(72)【発明者】
【氏名】旭井 亮一
(72)【発明者】
【氏名】住田 知也
【審査官】 川島 徹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−248299(JP,A)
【文献】 特表2013−515524(JP,A)
【文献】 特開2014−079557(JP,A)
【文献】 特表2004−504120(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
参照基板上に錐体の形状に形成された参照針部が設けられた第一の針状体原版を作製し、
前記第一の針状体原版から、前記参照針部の形状に凹んだ第一の凹部が形成された第一の凹版を作製し、
前記第一の針状体原版の前記参照針部の一部を除去した形状である修正針部を有する第二の針状体原版を作製し、
前記第二の針状体原版から、前記修正針部の形状に凹んだ第二の凹部が形成された第二の凹版を作製し、
前記第二の凹版から、前記第二の凹部の形状に突出した穿刺針部が基板上に設けられた針状前駆体を、水に難溶性の樹脂を用いて製造し、
前記第一の凹版の前記第一の凹部内に、少なくとも水溶性の高分子溶液を供給し、
前記第一の凹版の前記第一の凹部内に前記針状前駆体の前記穿刺針部を配置し、
前記高分子溶液を乾燥させ、乾燥した前記高分子溶液の少なくとも一部を可溶針部とすることを特徴とする針状体の製造方法。
【請求項2】
前記第二の針状体原版の前記修正針部は、前記参照針部の一部を除去して形成されたことを特徴とする請求項1に記載の針状体の製造方法。
【請求項3】
前記針状前駆体を製造した後で、前記針状前駆体の前記基板に貫通孔を形成し、
前記第一の凹版の前記第一の凹部内に前記針状前駆体の前記穿刺針部を配置して、前記貫通孔内に前記高分子溶液を供給し、
前記高分子溶液を乾燥させたときに、前記貫通孔内で乾燥した前記高分子溶液が、前記可溶針部に連なる可溶部となることを特徴とする請求項1又は2に記載の針状体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬剤等の送達物を経皮投与するための針状体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
人体に痛みを与えることなく簡便に薬剤、ワクチン等の送達物を投与する方法として、皮膚上から送達物を浸透させ体内に送達物を投与する経皮吸収法がある。これは、μm(マイクロメートル)オーダーの微細なマイクロニードル(針状体)を用いて皮膚を穿刺し、皮膚内に送達物を投与する方法である。
この種の針状体としては、特許文献1に記載されたものが知られている。
【0003】
特許文献1の針状体は、支持基板(基板)上に針状の突起部(針部)を備える。
針状体は、水溶性高分子と、二糖と、たんぱく質を含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014−4077号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、使用者により皮膚の硬さは異なる。このため、使用者によっては、針状体の強度が低くて、皮膚に針状体の突起部を穿刺しにくい場合がある。
【0006】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであって、皮膚を針部でより確実に穿刺することができる針状体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明の針状体の製造方法は、参照基板上に錐体の形状に形成された参照針部が設けられた第一の針状体原版を作製し、前記第一の針状体原版から、前記参照針部の形状に凹んだ第一の凹部が形成された第一の凹版を作製し、前記第一の針状体原版の前記参照針部の一部を除去した形状である修正針部を有する第二の針状体原版を作製し、前記第二の針状体原版から、前記修正針部の形状に凹んだ第二の凹部が形成された第二の凹版を作製し、前記第二の凹版から、前記第二の凹版の前記第二の凹部の形状に突出した穿刺針部が基板上に設けられた針状前駆体を、水に難溶性の樹脂を用いて製造し、前記第一の凹版の前記第一の凹部内に、少なくとも水溶性の高分子溶液を供給し、前記第一の凹版の前記第一の凹部内に前記針状前駆体の前記穿刺針部を配置し、前記高分子溶液を乾燥させ、乾燥した前記高分子溶液の少なくとも一部を可溶針部とすることを特徴としている。
【0010】
また、上記の針状体の製造方法において、前記第二の針状体原版の前記修正針部は、前記参照針部の一部を除去して形成されたことがより好ましい。
また、上記の針状体の製造方法において、前記針状前駆体を製造した後で、前記針状前駆体の前記基板に貫通孔を形成し、前記第一の凹版の前記第一の凹部内に前記針状前駆体の前記穿刺針部を配置して、前記貫通孔内に前記高分子溶液を供給し、前記高分子溶液を乾燥させたときに、前記貫通孔内で乾燥した前記高分子溶液が、前記可溶針部に連なる可溶部となることがより好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の針状体の製造方法によれば、皮膚を針部でより確実に穿刺することができる針状体を提供できる
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第1実施形態の針状体の側面の断面図である。
図2】同針状体の要部の平面図である。
図3】本実施形態の針状体の製造方法を示すフローチャートである。
図4】同針状体の製造方法の第一の針状体原版作製工程を説明する断面図である。
図5】同針状体の製造方法の第一の凹版作製工程を説明する断面図である。
図6】同針状体の製造方法の第二の針状体原版作製工程を説明する断面図である。
図7】同針状体の製造方法の第二の凹版作製工程を説明する断面図である。
図8】同針状体の製造方法の針状前駆体製造工程を説明する断面図である。
図9】同針状体の製造方法の溶液供給工程及び針状前駆体配置工程を説明する断面図である。
図10】本発明の第1実施形態の変形例における針状体の(a)斜視図及び(b)平面図である。
図11】本発明の第1実施形態の変形例における針状体の(a)斜視図及び(b)平面図である。
図12】本発明の第1実施形態の変形例における針状体の(a)斜視図及び(b)平面図である。
図13】本発明の第1実施形態の変形例における針状体の(a)側面の断面図及び(b)平面図である。
図14】本発明の第1実施形態の変形例における針状体の(a)側面の断面図及び(b)平面図である。
図15】本発明の第1実施形態の変形例における針状体の(a)側面の断面図及び(b)平面図である。
図16】本発明の実施形態の実施例2の製造方法で製造される針状体の側面の断面図である。
図17】同針状体の平面図である。
図18】同製造方法を説明する、第一の凹版内に配置した針状前駆体の断面図である。
図19】同製造方法を説明する、溶液を滴下する状態を示す断面図である。
図20】同製造方法を説明する、溶液を乾燥させて可溶針部及び可溶部とした状態を示す断面図である。
図21】本発明の実施形態の実施例2の変形例における針状体の(a)側面の断面図及び(b)平面図である。
図22】本発明の実施形態の実施例2の変形例における針状体の(a)側面の断面図及び(b)平面図である。
図23】本発明の実施形態の実施例2の変形例における針状体の(a)側面の断面図及び(b)平面図である。
図24】本発明の第2実施形態の針状体の側面の断面図である。
図25】本発明の実施形態の製造方法を説明する、第一の凹版内に配置した針状前駆体の断面図である。
図26】同製造方法を説明する、第一の凹版内に溶液を供給する状態を示す断面図である。
図27】本発明の変形例の実施形態における針状体の側面の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(第1実施形態)
以下、本発明に係る針状体の第1実施形態を、図1から図23を参照しながら説明する。
図1及び2に示すように、本針状体1は、基板10と、錐体の形状に形成され、基板10上に設けられた複数の針部15とを備えている。なお、以下では、後述する穿刺針部と可溶針部とを区別するために、断面図でない場合であっても穿刺針部にハッチングを付して示す。
ここで言う錐体とは、平面上の閉じた領域と、この平面外の一定点とを規定したときに、平面から一定点に向かうにしたがって領域が相似形状を保ったまま大きくなることなく一定点に一致する形状になるまで変形していくときに領域が通過する空間のことを意味する。
錐体は、円錐や四角錐等の、いわゆる数学的な意味での錐体を含む。この場合、平面上の領域が底面となり、一定点が頂点となる。ここで言う頂点とは、数学的な意味での点ではなく、一定の広がりをもった範囲を意味する。
錐体の底面は、円形や正方形に限定されず、楕円形、半円形、扇形、多角形等の形状でもよい。
【0014】
本実施形態の針状体1は、皮膚を穿刺し、皮膚内に送達物を投与する。針状体1の針部15の高さHは、10μm以上2000μm以下の範囲内であることが好ましい。針部15の幅Wは、1μm以上500μm以下の範囲内であることが好ましい。針部15の幅Wは、針部15を錐体の底面を含む基準面上に投影したときに、投影した形状における外径が最も大きくなる向きの長さである。
針部15の幅Wに対する針部15の高さHであるアスペクト比(H/W)は、0.5以上20以下の範囲内であることが好ましい。
【0015】
針部15は、水に難溶性の樹脂で形成され、錐体の一部を構成する穿刺針部16と、水溶性の高分子を含んで形成され、錐体の残部を構成する可溶針部17とを有している。
本実施形態では、針部15は底面が四角形の四角錐の形状となっている。
【0016】
穿刺針部16を形成する材料には、水に難溶性の樹脂であって、生分解性の樹脂を用いることがより望ましい。生分解性の樹脂の例としては、ポリ乳酸、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート・アジペート、ポリブチレンサクシネート・カーボネート、ポリカプロラクトン、ポリエステルアミド、ポリエステルカーボネート、並びにこれらの混合物を挙げることができる。穿刺針部16としては、特に、生体適合性を有する樹脂材料であるポリ乳酸、乳酸とグリコール酸の共重合体等を用いることが好ましい。
穿刺針部16に生分解性の樹脂を用いれば、仮に穿刺針部16針の先端(頂点)等が欠けて皮膚内に残存するようなこととなっても、穿刺針部16は使用者の体内で分解され、使用者に悪影響を殆ど及ぼさない。
本実施形態では、穿刺針部16は底面が三角形の三角錐の形状となっている。すなわち、針部15は四角錐である錐体の形状に形成され、四角錐の一部である三角錐を穿刺針部16が構成している。
【0017】
可溶針部17を形成する水溶性の高分子としては、デンプン、カルボキシメチルセルロース(CMC)、キトサン、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒアルロン酸、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリアクリル酸系ポリマー、ポリアクリルアミド(PAM)、ポリエチレンオキシド(PEO)が用いることができる。
これらの水溶性の高分子の中でも、カルボキシメチルセルロース、キトサン、及びヒアルロン酸の中から選択することが好ましい。この理由は、これらの材料は生物学的に安全性が高いためである。
【0018】
水溶性の高分子には、二糖(二糖類)やたんぱく質が含まれていてもよい。
二糖には、例えばスクロース、ラクツロース、ラクトース、マルトース、トレハロース、セロビオース、コージビオース、ニゲロース、イソマルトース、イソトレハロース、ネオトレハロース、ソホロース、ラミナリビオース、ゲンチビオース、ツラノース、マルツロース、パラチノース、ゲンチオビウロース、マンノビオース、メリビオース、メリビウロース、ネオラクトース、ガラクトスクロース、シラビオース、ルチノース、ルチヌロース、ビシアノース、キシロビオース、プリメベロース、トレハロサミン、マルチトール、セロビオン酸、ラクトサミン、ラクトースジアミン、ラクトビオン酸、ラクチトール、ヒアロビウロン酸、スクラロースの中から選択して用いることができる。
【0019】
これらの二糖の中でも、トレハロースを用いることが好ましい。この理由は、トレハロースは二糖の中でも結晶構造が水に特に近いため、たんぱく質を保護し安定化してくれるからである。
この場合には、可溶針部17には、水溶性の高分子、二糖、及びたんぱく質が含まれることになる。
【0020】
可溶針部17には、薬理活性物質や、化粧品用の送達物を含むことができる。このとき、送達物として芳香を有する材料を用いた場合、使用に際して匂いを付与することができ、美容品として用いるのに好ましいものとすることができる。
本実施形態では、可溶針部17は底面が三角形の三角錐の形状となっている。
【0021】
基板10は、板状に形成されている。基板10は穿刺針部16と同一の材料で形成することができる。
各針部15は、基板10から立設するように延びている。各針部15の基板10から離間した側の端部が頂点15aとなり、基板10側の端面が底面15bとなる。
穿刺針部16及び可溶針部17は、針部15の底面15bから延び、錐体である針部15の頂点15aにそれぞれ配置されている。
本実施形態では、針部15の底面15bの全体が基板10に接触している。
【0022】
次に、以上のように構成された本針状体1を製造する本実施形態の針状体1の製造方法(以下、「製造方法」とも略称する)について説明する。図3は、本実施形態の製造方法を示すフローチャートである。
【0023】
まず、第一の針状体原版作製工程(図3のステップS1)において、図4に示すように、参照基板101上に錐体の形状に形成された参照針部102が設けられた第一の針状体原版100を作製する。第一の針状体原版100は、針状体1とほぼ同一の形状に形成されたものである。すなわち、参照基板101は基板10と同様の板状に形成されている。参照針部102は、針部15と同一の形状に形成されている。
具体的には、第一の針状体原版100を形成する原版材料を準備し、微細加工技術を用いて所望するパターン形状を有する第一の針状体原版100を作製する。
【0024】
微細加工技術としては、機械加工もしくは半導体製造に使用される公知の手法を用いることができる。例えば、リソグラフィ法、ウェットエッチング法、ドライエッチング法、サンドブラスト法、レーザー加工法等を用いてもよい。
原版材料についての制限は特に無く、微細加工に用いる方法に適する材料を選択することができる。原版材料は、加工適性や、材料の入手容易性等から材質を選択することが望ましい。例えば、ステンレス鋼やアルミニウム、チタン等の金属材料、アルミナ、窒化アルミニウム、マシナブルセラミックス等のセラミックス、また、シリコンやガラス等の硬脆性材料、アクリルやポリアセタール等の有機材料が挙げられる。
以上の工程により得られた第一の針状体原版100は、以下に説明する複製のための原版として用いることができる。
【0025】
ここで作製された第一の針状体原版100には、後述する複製版である第一の凹版105の離型性を向上させるために、転写前に表面形状の加工及び化学的な表面改質を施してもよい。具体的には、機械加工による研磨、穴あけ、溝加工や、エッチングプロセスを用いた表面加工及び表面改質、もしくは離型剤の塗布等を好適に用いることができる。
【0026】
次に、第一の凹版作製工程(ステップS3)において、図5に示すように、第一の針状体原版100から、参照針部102の形状に凹んだ第一の凹部106が形成された第一の凹版105を転写成形材料を用いて作製する。
転写成形材料は、特に制限されるものではないが、第一の針状体原版100を良好に転写し得る形状追従性、転写成型における転写性、耐久性及び離型性を考慮した材質を選択することができる。
【0027】
このような転写成形材料としては、特に限定されないが、離型性に優れた樹脂を含む溶液を使用することが好ましい。例えば、ニッケル、ケイ素、炭化ケイ素、タンタル、グラッシーカーボン、石英、シリカ等の無機物;シリコーン系ポリマー(シリコーンゴム)、ウレタンゴム、ノルボルネン樹脂、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、アクリル等の熱可塑性樹脂、ポリメタクリル酸メチル、液晶ポリマー等の樹脂組成物が挙げられる。
これらの転写成形材料の中でも、成形性、微細形状の追従性、型離れという観点から、シリコーン系ポリマー、ニッケル、ケイ素、炭化ケイ素、タンタル、グラッシーカーボン、石英、シリカがより好ましく、シリコーン系ポリマーが更により好ましく、ポリジメチルシロキサンを含有するシリコーン系ポリマーであることが特に好ましい。
【0028】
例えば、PDMS(ポリジメチルシロキサン:東レ・ダウコーニング株式会社製、SYLGARD184等)に硬化剤を添加したシリコーン樹脂を使用することができる。離型性に優れたシリコーン樹脂を用いることで、後述する溶液固化工程S15において、固化した溶液Lの剥離性が向上し、第一の凹版105の損傷を防止することができる。
第一の針状体原版100に転写成形材料を充填する。転写成形材料が硬化した後で、第一の針状体原版100から剥離することで第一の凹部106が形成された第一の凹版105を作製することができる。
【0029】
次に、第二の針状体原版作製工程(ステップS5)において、図6に示すように、第一の針状体原版100の参照針部102の一部を除去した形状である修正針部111を有する第二の針状体原版110を作製する。この例では、第二の針状体原版110の修正針部111は、参照針部102の一部である可溶針部17の形状の部分を実際に除去して形成したものである。修正針部111は、穿刺針部16と同一(ほぼ同一も含む)の三角錐の形状となる。
第二の針状体原版110は、参照基板101と、参照基板101上に設けられた修正針部111とを備えている。
第二の針状体原版110の作製方法については、特に制限は無く、第一の針状体原版作製工程S1で説明したリソグラフィ法等の微細加工技術を用いることができる。
【0030】
次に、第二の凹版作製工程(ステップS7)において、図7に示すように、第二の針状体原版110から、修正針部111の形状に凹んだ第二の凹部116が形成された第二の凹版115を作製する。
第二の凹版115は第一の凹版105と同様に作製することができる。第二の凹版115を作製することで、同一の複製版(第二の凹版115)から多量の針状体1を製造することができるため、針状体1の生産コストを抑制し、生産性を高めることが可能となる。
【0031】
次に、針状前駆体製造工程(ステップS9)において、第二の凹版115に転写成形材料を充填することで第二の凹版115の第二の凹部116の形状に突出した図8に示す穿刺針部16が基板10上に設けられた針状前駆体120を製造する。
針状前駆体120を製造する転写成形材料としては、前述の水に難溶性の樹脂が用いられる。
転写成形材料の充填方法についての制限は無いが、生産性の観点から、インプリント法、ホットエンボス法、射出成形法、押し出し成形法、及びキャスティング法等の公知の樹脂成形法を用いてもよい。
また、ここでは製造方法として、ポリマー成形の例を示したが、本発明の製造方法はこれに限られるものではなく、公知の加工技術を適宜用いた方法でもよい。
【0032】
第二の凹版115に転写成形材料が充填された状態で、冷却を行う。冷却は少なくとも転写成形材料に対して実施されればよい。転写成形材料に熱可塑性の樹脂を用い、針状前駆体製造工程S9において転写成形材料を溶融して転写を実施する場合は、転写成形後に転写成形材料と第二の凹版115とを一括して室温まで冷却してもよい。
転写成形材料として熱可塑性の樹脂を、複製版である第二の凹版115として金属版を用いた場合、両者の線膨張係数の差から転写成形材料の収縮量が第二の凹版115の収縮量よりも大きくなり、第二の凹版115の傾斜部側壁に沿って、転写成形材料が上方へ移動して、第二の凹版115と転写成形材料の界面が分離される。
続いて、転写成形材料を第二の凹版115から完全に剥離して、針状前駆体120を得る。この時、冷却によって転写成形材料が第二の凹版115から離型しているため、転写成形材料、すなわち針状前駆体120を第二の凹版115から容易に取外すことが可能であり、剥離に伴う針状前駆体120の破損を低減できる。
【0033】
また、第二の凹版115上から針状前駆体120を分離する剥離性を向上させる場合は、第二の凹版115に転写成形材料を充填する前に、第二の凹版115の表面上に離型効果を増すための離型層を予め堆積してもよい。離型層としては、例えば広く知られているフッ素系の樹脂を用いることができる。離型層の形成方法としては、CVD法、スピンコート法、ディップコート法等の薄膜形成手法を好適に用いることができる。
【0034】
次に、溶液供給工程(ステップS11)において、図9に示すように、第一の凹版105の第一の凹部106内に、少なくとも水溶性の高分子溶液を含む溶液Lを供給する。
より詳しくは、水溶性の高分子溶液、二糖、送達物であるたんぱく質を水に溶解させて(水溶液にして)、溶液Lを製造する。溶液Lは、第一の凹版105の第一の凹部106内に流入できる程度の流動性を有することが好ましい。溶液Lの溶媒は、水や非極性溶媒等の、針状前駆体120と触れても、針状前駆体120を溶かさない溶媒であることが望ましい。
溶液Lの供給方法は、第一の凹版105の形状及び寸法に応じ適宜公知の方法を選択することができる。例えば、スピンコート法、ディスペンサーを用いる方法、キャスティング法、インクジェット法等を用いることができる。
また、第一の凹版105への溶液Lの供給に際し、第一の凹版105の周囲の環境を減圧下又は真空下にしてもよい。溶液Lが精度よく乾燥されるためには、減圧下で前記溶液を滴下するのが望ましい。溶液Lの充填後に大気開放することで、第一の凹版105及び針状前駆体120と溶液Lとの界面に気泡が入るのを防ぐことができる。
【0035】
次に、針状前駆体配置工程(ステップS13)において、第一の凹版105の第一の凹部106内に針状前駆体120の穿刺針部16を配置する。このとき、穿刺針部16の先端が第一の凹部106の底に達するようにする。
そして、溶液固化工程(ステップS15)において、溶液Lを乾燥して固化させ、固化した溶液Lを可溶針部17とする。なお、第一の凹版105内に針状前駆体120を配置してから、第一の凹版105内に溶液Lを供給してもよい。
溶液Lの固化は、常温での乾燥であっても完結するが、溶液Lを加熱乾燥して製造時間を短縮することが好ましい。本発明にあっては、糖類が成形材料として用いられている場合、溶液Lを乾燥するときに加熱手段を用いたとしても送達物であるたんぱく質の劣化を防ぐことができる。
【0036】
なお、溶液Lを加熱する際の加熱温度は、気泡が針状体1に残ることを避けるため、溶液Lが沸騰しない程度の温度に設定することが好ましい。このため、加熱温度は50℃以上90℃以下の範囲内にすることが好ましい。加熱は、公知のいずれの加熱手段であってもよく、例えば溶液Lが充填された第一の凹版105を載置するホットプレートを用いることができる。
場合によっては、第一の凹版105と針状前駆体120の基板10との間に隙間を形成しておくことが望ましい。これは、溶液Lが乾燥し固化する際に、溶液Lの溶媒の蒸気(水蒸気)を逃がすためである。
【0037】
溶液Lが乾燥し固化することで可溶針部17となり、穿刺針部16及び可溶針部17で針部15となる。針状前駆体120の基板10及び針部15で、針状体1が構成される。
溶液Lが固化して可溶針部17となった後で、第一の凹版105から可溶針部17を脱離する。針部15は錐体の形状になる。
可溶針部17の脱離方法は、例えば固化物を凹版(第一の凹版105)から物理的な力で剥離する方法、化学的な方法で凹版を選択的に溶解する方法等を用いることができる。
以上の工程により、針状体1が製造される。
【0038】
このように構成された本針状体1は、図1に示すように使用者Pの皮膚P1に針状体1を押圧して取付けて使用される。すなわち、使用者Pの皮膚P1に、針状体1の基板10が接触するまで針部15を穿刺する。穿刺針部16は水に難溶性の樹脂で形成されているため充分に硬く、皮膚P1中の水分と反応しない。このため、皮膚P1が確実に穿刺される。
一方で、皮膚P1中の水分と反応して可溶針部17が溶けていき、可溶針部17中の高分子、二糖、及びたんぱく質が投与される。
穿刺針部16及び可溶針部17は針部15の頂点15aにそれぞれ配置されているため、皮膚P1の表面から奥まで穿刺針部16で確実に穿刺するとともに、可溶針部17でその奥の位置に高分子等が投与される。
一定時間経過したら、皮膚P1から針状体1を取外す。
【0039】
以上説明したように、本実施形態の針状体1及び製造方法によれば、針部15は水に難溶性の樹脂で形成された穿刺針部16を有しているため、充分に硬く皮膚P1中の水分と反応しない。このため、従来の特許文献1の針状体よりも皮膚P1を確実に穿刺することができる。そして、針部15が有する可溶針部17が皮膚P1中の水分と反応して溶けることで、使用者Pに高分子等を投与することができる。
また、本実施形態の製造方法によれば、第一の凹版105及び第二の凹版115を用いることで、同一形状の針状体1を容易に製造することができる。
【0040】
穿刺針部16及び可溶針部17は、針部15の頂点15aにそれぞれ配置されている。したがって、皮膚P1の表面から奥まで穿刺針部16で確実に穿刺するとともに、可溶針部17でその奥の位置に高分子等が投与することができる。
第二の針状体原版110の修正針部111は、参照針部102の一部を除去して形成されたものである。これにより、参照針部102の一部を削れば修正針部111が形成されるため、修正針部111の形成が容易になる。
【0041】
なお、本実施形態では、修正針部111は参照針部102の一部を除去して形成したとした。しかし、修正針部111は、参照針部102を削ることなく、前述の微細加工技術を用いて独自に形成したものであってもよい。
このような製造方法であっても、本実施形態の製造方法と同様の効果を奏することができる。
【0042】
本実施形態の針状体1の針部15は、以下に説明するようにその構成を様々に変形させることができる。
図10の針状体1Aは、針部20は底面が四角形の四角錐の形状であり、可溶針部22が、四角形である針部20の底面の1つの隅部を含む四角形を底面とする四角錐の形状である。すなわち、可溶針部22の底面は、針部20の底面を形状は変えずに大きさを小さくしたものである。
穿刺針部21の形状は、針部20から可溶針部22を除いた形状である。
【0043】
図11の針状体1Bでは、針部25は底面が円形の円錐の形状である。穿刺針部26、可溶針部27は、底面が半円形の錐体である半円錐の形状である。
図12の針状体1Cでは、針部30は底面が円形の円錐の形状である。穿刺針部31は、中心角が180°よりも大きい扇形である底面を有する錐体である。可溶針部32は、中心角が180°よりも小さい扇形である底面を有する錐体である。
【0044】
図13の針状体1Dでは、針部35は底面が円形の円錐の形状である。針部35の軸線Cに平行な基準平面T1を規定する。基準平面T1は、軸線Cから離間した位置に配置されている。針部35のうち基準平面T1よりも軸線C側が穿刺針部36であり、基準平面T1よりも軸線Cとは反対側が可溶針部37である。
この変形例では、針部35の頂点35aには可溶針部37は配置されず、穿刺針部36のみが配置されている。
【0045】
図14の針状体1Eでは、針部40は底面が円形の円錐の形状である。針部40の軸線Cに交差する基準平面T2を規定したときに、針部40のうち基準平面T2よりも針部40の頂点40a側が可溶針部42であり、基準平面T2よりも針部40の頂点40aとは反対側が穿刺針部41である。
この変形例では、針部40の頂点40aには穿刺針部41は配置されず、可溶針部42のみが配置されている。
【0046】
図15の針状体1Fでは、針部45は底面が円形の円錐の形状である。針部45の軸線Cを中心軸とする円柱形状の側面を基準平面T3と規定する。このとき、針部45のうち基準平面T3よりも針部45の軸線C側が穿刺針部46であり、基準平面T3よりも針部45の軸線Cとは反対側が可溶針部47である。
この変形例では、針部45の頂点45aには可溶針部47は配置されず、穿刺針部46のみが配置されている。
【0047】
(実施例)
以下では、本発明の実施例を具体的に示してより詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0048】
(実施例1)
以下では、基板10に貫通孔が形成されない場合の製造方法を説明する。
まず、シリコンウエハーをダイシングソーで研削し、第一の針状体原版100を作製した。得られた第一の針状体原版100をさらにダイシングソーを用いて研削し、第二の針状体原版110を得た。続いて、転写成形材料としてシリコーン樹脂(東レ・ダウコーニング株式会社製、SILPOT184)を調液し、第二の針状体原版110に流し込んで熱硬化の後に剥離することで第二の針状体原版110が転写された第二の凹版115を得た。
続いて加熱した前記第二の凹版115上に樹脂ペレットを滴下し熱圧縮成形することで、針状前駆体120を得た。
【0049】
その一方で、前述のシリコーン樹脂を調液し、第一の針状体原版100に流し込んで熱硬化の後に剥離することで、第一の針状体原版100が転写された第一の凹版105を得た。続いて、図示しない容器内に、重量比20%量のカルボキシメトキシセルロースにトレハロース重量比5%量に調液した溶液Lを用意した。第一の凹版105に、調液した溶液Lを滴下した。
後述するように溶液Lを乾燥させると体積が小さくなるため、溶液Lを多めに滴下することが好ましい。
【0050】
最後に、第一の凹版105の第一の凹部106内に針状前駆体120の穿刺針部16を配置して貼り合せた。加熱乾燥機を用いて25℃で3日間静置し乾燥させたのちピンセットで剥離し、本発明の針状体を得た。
【0051】
(実施例2)
以下では、針状体原版100、110、凹版105、115を用いて、円錐の形状の針部25を備える針状体1Bを変形させた針状体2の製造方法を説明する。図16及び17に示すように、針状体2の基板10には、基板10の厚さ方向に見たときに円形状となるとともに可溶針部27の縁部内に配置された貫通孔11が形成されている。この貫通孔11内には、可溶針部27と同一の材料で形成された可溶部51が設けられている。可溶部51は可溶針部27に連なっている。
【0052】
まず、シリコンウエハーをダイシングソーで研削し、第一の針状体原版100を作製した。得られた第一の針状体原版100をさらにダイシングソーを用いて研削し、第二の針状体原版110を得た。続いて、転写成形材料としてシリコーン樹脂(東レ・ダウコーニング株式会社製、SILPOT184)を調液し、第二の針状体原版110に流し込んで熱硬化の後に剥離することで第二の針状体原版110が転写された第二の凹版115を得た。
続いて加熱した前記第二の凹版115上に樹脂ペレットを滴下し熱圧縮成形することとで針状前駆体120を得た。
【0053】
針状前駆体120を製造した後で、COレーザーを用いて図18に示すように針状前駆体120の基板10に貫通孔11を形成した。貫通孔11は、後述するように可溶針部17が形成される空間V1に連なるように形成した。
次に、前述のシリコーン樹脂を調液し、第一の針状体原版100に流し込んで熱硬化の後に剥離することで、第一の針状体原版100が転写された第一の凹版105を得た。
【0054】
図19に示すように、ビーカー等の容器125内に、重量比20%量のカルボキシメトキシセルロースにトレハロース重量比5%量に調液した溶液Lを用意した。第一の凹版105に、基板10における穿刺針部26が設けられた面とは反対側の面側から溶液Lを滴下する。
減圧下で第一の凹版105の第一の凹部106内に針状前駆体120の穿刺針部26を配置すると、針状前駆体120の貫通孔11内に溶液Lが供給される。加熱乾燥機を用いて50℃で終夜静置し、図20に示すように溶液Lを乾燥させる。すると、空間V1内で乾燥した溶液Lが可溶針部27になる。貫通孔11内で乾燥した溶液Lが、可溶針部27に連なる可溶部51となる。溶液Lは、乾燥して可溶針部27や可溶部51になるときに体積が小さくなる。第一の凹版105内に、前述の針状体1Bの構成にさらに可溶部51を備えた針状体2が製造される。
【0055】
図示しないピンセット等により第一の凹版105から剥離することで、図16及び17に示す針状体2を得た。
ここで、必要に応じて、針状体2から乾燥した溶液Lの余分な部分を除去する。
針状体2及びこの製造方法では、基板10に貫通孔11が形成されている。このため、基板10における針部25が設けられた面とは反対側の面側から溶液Lを供給して可溶針部27や可溶部51を形成でき、針状体2の製造が容易になる。
【0056】
なお、針状体2の針部25は、以下に説明するようにその構成を様々に変形させることができる。
図21の針状体2Aは、針状体2の針部25に代えて前述の針部35を備えている。基板10の厚さ方向に見たときに、貫通孔11は可溶針部37の縁部内に配置されている。
【0057】
図22の針状体2Bでは、針部55は底面が円形の円錐の形状である。針部55の軸線Cに交差する基準平面T2を規定したときに、針部55のうち基準平面T2よりも基板10側が穿刺針部56である。穿刺針部56には、軸線C上に連通孔56aが形成されている。
針部55を構成する可溶針部57は、基準平面T2よりも頂点55a側に配置された先端部材57aと、穿刺針部56の連通孔56a内に配置された連通部材57bとを有している。
この変形例では、基板10の貫通孔11は軸線C上に形成され、可溶部51は連通部材57bに連なっている。
【0058】
図23の針状体2Cは、針状体2の針部25に代えて前述の針部45を備えている。基板10の厚さ方向に見たときに、貫通孔11は可溶針部47の縁部内に配置されている。可溶部51は可溶針部47に連なっている。
【0059】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について図24から図26を参照しながら説明するが、前記実施形態と同一の部位には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
図24に示すように、本針状体3は、前述の基板10と、錐体の形状に形成され、基板10上に設けられた複数の針部60及び連結可溶部65とを備えている。
貫通孔11は、基板10における隣り合う針部60の間の部分に形成されている。
【0060】
針部60は、例えば底面が四角形の四角錐の形状である。針部60は、四角錐の形状の穿刺針部61と、穿刺針部61の表面(側面)に設けられた可溶針部62とを有している。穿刺針部61、可溶針部62は、前述の穿刺針部16、可溶針部17と同一の材料で形成することができる。
連結可溶部65は、基板10上における針部60が設けられた側に設けられている。連結可溶部65は、可溶針部17と同一の材料で形成することができる。連結可溶部65は、隣り合う針部60の可溶針部62にそれぞれ連なるとともに、可溶部51に連なっている。
【0061】
次に、以上のように構成された本針状体3を製造する製造方法について説明する。
針状前駆体製造工程S9において、前述した工程により、図25に示すように穿刺針部131が基板10上に設けられた針状前駆体130を製造する。この基板10に貫通孔11を形成する。
第一の凹版135の第一の凹部136内に針状前駆体130の穿刺針部131を配置する。このとき、第一の凹版135に形成された段部137に基板10を係止させること等により、第一の凹部136と穿刺針部131との間に隙間V2が形成されるようにする。
【0062】
図26に示すように、第一の凹版135内に基板10における穿刺針部131が設けられた面とは反対側の面側から溶液Lを供給する。溶液Lは、貫通孔11を通して隙間V2に流れ込む。
溶液Lを加熱、乾燥することで、溶液Lが図24に示す可溶針部62、連結可溶部65及び可溶部51となり、針状体3が製造される。
【0063】
以上説明したように、本実施形態の針状体3及び製造方法によれば、針部60は穿刺針部61と可溶針部62とを有しているため、皮膚P1を針部でより確実に穿刺することができる。可溶針部62が針部60の全表面に設けられているため、皮膚P1内で可溶針部62が溶けやすくなる。
【0064】
以上、本発明の第1実施形態及び第2実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の構成の変更、組み合わせ、削除等も含まれる。各工程において公知の資料から類推できる他の部材、部品及び製造方法をも含むものとする。
さらに、各実施形態で示した構成のそれぞれを適宜組み合わせて利用できることは、言うまでもない。
【0065】
例えば、前記第1実施形態の針状体1では針部15の底面15bの全体が基板10に接触しているとした。しかし、図27に示すように針部15の底面15bの一部、具体的には、可溶針部17の底面の一部が基板10に接触していなくてもよい。この場合、基板10における針部15が設けられた面に平行であって、接触していない底面を通る基準平面T5を規定する。穿刺針部16、可溶針部17のうち基準平面T5に対して基板10とは反対側の穿刺針部16A、可溶針部17Aにより構成される針部15Aが、四角錐の形状に形成される。この場合においても、基板10上に錐体の形状に形成された針部15Aが設けられていることになる。
実施形態では、基板10に複数の針部が設けられているとした。しかし、基板10に設けられる針部の数に制限はなく、1つでもよい。
【0066】
(産業上の利用可能性)
針状体の使用現場においては、単純な押圧操作により速やかに痛みも無く経皮に薬剤を投与可能なので、臨床医療現場での利用可能性は極めて大きい。また、医療のみならず、微細な針状体を必要とする様々な分野に利用可能である。例えば、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)デバイス、光学部材、創薬、化粧品、美容用途等に用いる微細な針状体の製造方法としても有用である。
【符号の説明】
【0067】
1、1A、1B、1C、1D、1E、1F、2、2A、2B、2C、3 針状体
10 基板
15a、35a、40a、45a 頂点
11 貫通孔
15、15A、20、25、30、35、40、45、55、60 針部
16、16A、21、26、31、36、41、46、56、61、131 穿刺針部
17、17A、22、27、32、37、42、47、57、62 可溶針部
51 可溶部
100 第一の針状体原版
101 参照基板
102 参照針部
105、135 第一の凹版
106、136 第一の凹部
110 第二の針状体原版
111 修正針部
115 第二の凹版
116 第二の凹部
120、130 針状前駆体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
図11
図12
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