(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
車両のバンパ(7)内においてバンパレインフォースメント(9)の車両前方側に配設されたバンパアブソーバ(2)と、前記バンパアブソーバに車幅方向に延びて形成された溝部(2c)に装着される内部に中空部(3a)が形成された検出用チューブ部材(3)と、前記検出用チューブ部材の前記中空部内の圧力を検出する圧力センサ(4)とを有し、前記圧力センサによる圧力検出結果に基づいて前記バンパへの物体の衝突を検知する車両用衝突検知装置(1)において、
前記検出用チューブ部材は、車幅方向における少なくとも一部が車両前後方向に所定量だけ潰れた状態で前記溝部に装着されることを特徴とする車両用衝突検知装置。
前記溝部は、その車両前後方向の長さ(L,L1,L2)が車幅方向位置で異なると共に、車幅方向における少なくとも一部における車両前後方向の長さ(L1)が前記検出用チューブ部材の車両前後方向の長さ(D)よりも短くなっていることを特徴とする請求項1に記載の車両用衝突検知装置。
前記溝部は、前記バンパアブソーバの車両前後方向の長さが長い車幅方向位置ほど、当該溝部の車両前後方向の長さが短くなるように形成されたことを特徴とする請求項3に記載の車両用衝突検知装置。
前記溝部の車両前後方向の長さは、前記バンパアブソーバの前面(2a)から当該溝部における車両後方側の内壁面又は開口面(2d)までの車両前後方向の長さ(A,A1,A2,A´,A´1,A´2)が長い車幅方向位置ほど、当該溝部の車両前後方向の長さ(L)が短くなるように形成されたことを特徴とする請求項1または2に記載の車両用衝突検知装置。
前記溝部は、その車両前後方向の長さが車幅方向中心部側において前記検出用チューブ部材の車両前後方向の長さよりも短くなっていることを特徴とする請求項2から5のいずれか一項に記載の車両用衝突検知装置。
前記溝部内における前記検出用チューブ部材の少なくとも車両前方側及び後方側のいずれか一方に、前記検出用チューブ部材を押圧して車両前後方向に所定量だけ潰れた状態にするための押圧部材(12,121)を備えたことを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の車両用衝突検知装置。
前記押圧部材は、前記溝部に対向する位置に設けられ車両前方側に突出した突出部(12c)を有し、前記突出部により前記検出用チューブ部材を車両前方側に押圧することを特徴とする請求項10に記載の車両用衝突検知装置。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[第1の実施形態]
以下、本発明の第1の実施形態の車両用衝突検知装置について、
図1〜
図7を参照して説明する。
図1及び
図2に示すように、本実施形態の車両用衝突検知装置1は、バンパアブソーバ2、検出用チューブ部材3、圧力センサ4、速度センサ5、衝突検知ECU6、バンパレインフォースメント9等を備えて構成される。この車両用衝突検知装置1は、車両前方に設けられたバンパ7への歩行者等の物体の衝突を検知するものである。このバンパ7は、
図3に示すように、バンパカバー8、バンパアブソーバ2、バンパレインフォースメント9を主体として構成されている。
【0014】
バンパアブソーバ2は、車両前方側の面である前面2aと車両後方側の面である後面2bとを有して構成され、バンパレインフォースメント9の前面9aに対向する位置に配設される。このバンパアブソーバ2は、バンパ7において衝撃吸収の作用を受け持つ部材であり、例えば発泡ポリプロピレンなどからなる。
【0015】
また、バンパアブソーバ2の車両前後方向の長さA(厚さ)は、車幅方向位置にて異なるものとなっている(
図2参照)。具体的には、
図3に示す車幅方向中心部側(センター部分)におけるバンパアブソーバ2の前後長さA1が、
図4に示す車幅方向端部側(コーナ部分)におけるバンパアブソーバ2の前後長さA2よりも長く(厚く)なっている。長さA1は、例えば65mm程度である。長さA2は、例えば30mm程度である。
【0016】
バンパアブソーバ2の後面2bには、
図3及び
図4にも示すように、検出用チューブ部材3を装着するための溝部2cが形成されている。この溝部2cは、矩形形状の断面を有し、車幅方向に沿って形成されている。溝部2cには、車両後方側に開口面2dが形成されており、この開口面2dから検出用チューブ部材3が装着される。なお、バンパアブソーバ2の後面2bは、バンパレインフォースメント9の前面9aに当接している。また、バンパアブソーバ2とバンパレインフォースメント9とは、それぞれに設けられた嵌合部(図示しない)により嵌合固定されている。
【0017】
溝部2cの車両前後方向の長さLは、車幅方向位置で異なるものであり、バンパアブソーバ2の車両前後方向の長さA(厚さ)に応じて設定されている(
図2参照)。すなわち、溝部2cは、バンパアブソーバ2の車両前後方向の長さAが長い車幅方向位置ほど、当該溝部2cの車両前後方向の長さLが短くなるように形成されている。この場合、
図3に示す車幅方向中心部側(センター部分)における溝部2cの前後長さL1が、
図4に示す車幅方向端部側(コーナ部分)における溝部2cの前後長さL2よりも短くなっている。なお、バンパアブソーバ2の車両前後方向の長さAとは、バンパアブソーバ2の前面2aから溝部2cの開口面2dまでの前後長さのことである。
【0018】
具体的には、
図3に示す車幅方向中心部側(センター部分)における溝部2cの前後長さL1は、検出用チューブ部材3の車両前後方向の長さ(外径D)よりも所定長さだけ短く設定されている。この外径Dは、検出用チューブ部材3を溝部2cへ装着する前の状態における長さである。具体的には、本実施形態の検出用チューブ部材3の外径Dが8mm程度であるのに対して、センター部分における溝部2cの前後長さL1は7mm程度となっている。つまり、センター部分における溝部2cの前後長さL1は、検出用チューブ部材3外径Dよりも1mm程度短くなっている。従って、車幅方向中心部側における検出用チューブ部材3は、車両前後方向に1mm程度だけ潰れた状態で溝部2cに装着される。
【0019】
一方、
図4に示す車幅方向端部側(コーナ部分)における溝部2cの前後長さL2は、検出用チューブ部材3の車両前後方向の長さ(外径D)と同程度の長さに設定されている。このように、本実施形態では、バンパアブソーバ2の前後長さAが長い車幅方向中心部側(センター部分)における溝部2cの前後長さL1を検出用チューブ部材3の前後長さよりも短くし、センター部分以外の車幅方向端部側(コーナ部分)等における溝部2cの前後長さL2を検出用チューブ部材3の前後長さと同程度に設定している。
また、
図5に示すように、溝部2cの車両上下方向の長さHは、検出用チューブ部材3の車両上下方向の長さ(外径D)よりも長く設定されている。
【0020】
検出用チューブ部材3は、
図1及び
図2に示すように、内部に中空部3aが形成され、車幅方向(車両左右方向)に延びているチューブ状の部材であり、バンパアブソーバ2の上記溝部2cに装着されるものである。この検出用チューブ部材3は、車両のバンパ7内におけるバンパレインフォースメント9の前面9a(車両前方側)に対向する位置に配設される。検出用チューブ部材3の両端部は、バンパレインフォースメント9の車幅方向左右の外側にて、略コ字状に湾曲して後述する圧力センサ4に接続される。なお、上述したように、車幅方向中心部側(センター部分)では、溝部2cの前後長さL1が検出用チューブ部材3の外径Dよりも小さい(L1<D)ため、検出用チューブ部材3は車両前後方向に所定量(この場合1mm程度)だけ潰れた状態で溝部2cに配設される。
【0021】
この検出用チューブ部材3は、円形の断面形状を有し、合成ゴム、例えばシリコーンゴムからなる。
図5に示すように、検出用チューブ部材3の外径Dは、例えば8mm程度である。検出用チューブ部材3の内径dは、例えば4mm程度である。また、検出用チューブ部材3の周壁の肉厚tは、例えば2mm程度である。なお、検出用チューブ部材3の断面形状は、円形に限られず、四角形などの多角形であってもよい。また、検出用チューブ部材3の材質としては、他にもエチレンプロピレンゴム(EPDM)などでもよい。
【0022】
圧力センサ4は、バンパレインフォースメント9の前面9aよりも車両後方側に配置される。具体的には、圧力センサ4は、バンパカバー7内の左右両端部側に2つ設置され、バンパレインフォースメント9の後面9bにボルト(図示しない)等で締結することにより固定されて取り付けられる。本実施形態では、このように圧力センサ4を2つ設置することにより、冗長性及び検出精度を確保している。
【0023】
この圧力センサ4は、
図2に示すように、検出用チューブ部材3の左右両端部に接続され、検出用チューブ部材3の中空部3a内の圧力を検出するように構成されている。具体的には、圧力センサ4は、気体の圧力変化を検出するセンサ装置であり、検出用チューブ部材3の中空部3a内の空気の圧力変化を検出する。圧力センサ4は、
図1に示すように、伝送線を介して衝突検知ECU(Electronic Control Unit)6に電気的に接続され、圧力に比例した信号を衝突検知ECU6へ出力する。衝突検知ECU6は、圧力センサ4による圧力検出結果に基づいて、バンパ7への歩行者の衝突を検知する。また、衝突検知ECU6は、歩行者保護装置10に電気的に接続されている。
【0024】
速度センサ5は、車両の速度を検出するセンサ装置であり、衝突検知ECU6に信号線を介して電気的に接続されている。この速度センサ5は、車両速度に比例した信号を衝突検知ECU6へ送信する。
【0025】
衝突検知ECU6は、CPUを主体として構成され、車両用衝突検知装置1の動作全般を制御するものであり、圧力センサ4、速度センサ5、歩行者保護装置10のそれぞれに電気的に接続されている(
図1参照)。衝突検知ECU6には、圧力センサ4からの圧力信号(圧力データ)、速度センサ5からの速度信号(速度データ)等が入力される。衝突検知ECU6は、圧力センサ4による圧力検出結果(入力信号)及び速度センサ5による速度検出結果(入力信号)に基づいて、所定の衝突判定処理を実行し、バンパ7への歩行者等の物体の衝突を検知した場合には歩行者保護装置10を作動させる。
【0026】
バンパ7は、車両の衝突時における衝撃を和らげるためのものであり、バンパカバー8、バンパアブソーバ2、バンパレインフォースメント9等から構成される。バンパカバー8は、バンパ7の構成部品を覆うように設けられ、ポリプロピレン等の樹脂製の部材である。このバンパカバー8は、バンパ7の外観を構成すると同時に、車両全体の外観の一部を構成するものとなっている。
【0027】
バンパレインフォースメント9は、バンパカバー8内に配設されて車幅方向に延びるアルミニウム等の金属製の剛性部材であって、
図3及び
図4に示すように、内部中央に梁が設けられた中空部材である。また、バンパレインフォースメント9は、車両前方側の面である前面9aと、車両後方側の面である後面9bとを有している。このバンパレインフォースメント9は、
図1及び
図2に示すように、車両前後方向に延びる一対の金属製部材であるサイドメンバ11の前端に取り付けられる。
【0028】
通常、車両の衝突事故においては、車両の進行方向(車両前方)に存在する歩行者や車両と衝突する場合が多い。このため、本実施形態では、圧力センサ4をバンパレインフォースメント9の後面9bに配設して、車両前方の歩行者や車両との衝突に伴う衝撃(外力)が、車両前方に設けられたバンパカバー8等から圧力センサ4に直接伝わることをバンパレインフォースメント9の存在によって保護している。
【0029】
歩行者保護装置10としては、例えばポップアップフードを用いる。このポップアップフードは、車両の衝突検知後瞬時に、エンジンフードの後端を上昇させ、歩行者とエンジン等の硬い部品との間隔(クリアランス)を増加させ、そのスペースを用いて歩行者の頭部への衝突エネルギーを吸収し、歩行者の頭部への衝撃を低減させるものである。なお、ポップアップフードの代わりに、車体外部のエンジンフード上からフロントウインド下部にかけてエアバッグを展開させて歩行者の衝撃を緩衝するカウルエアバッグ等を用いてもよい。
【0030】
次に、本実施形態における車両用衝突検知装置1の衝突時の動作について説明する。車両の歩行者等との衝突が発生すると、歩行者等との衝突による衝撃(外力)により、バンパ7のバンパカバー8が車両後方側へ変形する。続いて、バンパカバー7の変形に伴って、バンパアブソーバ2が衝撃を吸収しながら車両後方側へ変形すると同時に、検出用チューブ部材3が車両前後方向に潰れるように変形する。このとき、検出用チューブ部材3の中空部3a内の圧力が急上昇し、この圧力変化が圧力センサ4に伝達する。
【0031】
特に、本実施形態では、上述したように、車幅方向中心部側(センター部分)において、溝部2cの前後長さL1を検出用チューブ部材3の外径Dよりも小さくしている(L1<D)ため、検出用チューブ部材3が車両前後方向に所定量だけ潰れた状態で溝部2cに配設されている(
図2及び
図3参照)。具体的には、本実施形態の検出用チューブ部材3の外径Dが8mm程度であるのに対して、センター部分における溝部2cの前後長さL1は7mm程度となっている。つまり、センター部分における溝部2cの前後長さL1は、検出用チューブ部材3外径Dよりも1mm程度短くなっている。従って、車幅方向中心部側における検出用チューブ部材3は、車両前後方向に1mm程度潰れた状態で溝部2cに装着される。
【0032】
このように、本実施形態では、検出用チューブ部材3を前後方向に所定量だけ潰れた状態で溝部2cに装着することで、
図6及び
図7に示すように、所定の大きさの外力に対する圧力センサ4の出力が大きくなるようにしている。すなわち、溝部2cの前後長さL(L2=8[mm])が検出用チューブ部材3の前後長さ(外径D=8[mm])と同程度である場合に比べ、溝部2cの前後長さL(L1=7[mm])を検出用チューブ部材3の前後長さ(外径D=8[mm])よりも短くした場合の方が、圧力センサ4の出力が大きくなる(
図6参照)。これにより、
図7の点線で示されるL≧Dの場合の衝突時における圧力センサ4の出力に比べ、
図7の実線で示されるL<Dの場合の衝突時における圧力センサ4の出力の方が、圧力センサ4による圧力検出値の立ち上がりが早くなる。
【0033】
ここで、圧力センサ4により検出可能な「圧力検出範囲」について説明する。上述したように、衝突時にバンパカバー7が変形すると、バンパアブソーバ2が車両後方側へ変形すると同時に、検出用チューブ部材3が車両前後方向に潰れるように変形する。この検出用チューブ部材3の変形は、検出用チューブ部材3の車両前方側及び後方側の内壁面どうしが接触するまで継続する。検出用チューブ部材3の車両前方側及び後方側の内壁面が接触した状態(底付き状態)になると、更にバンパアブソーバ2が変形しても、それ以上検出用チューブ部材3が前後方向に変形し難くなるため、圧力センサ4により検出される圧力の出力が飽和状態になる。このように検出用チューブ部材3の変形によって検出可能なバンパアブソーバ2の変形量には制限があり、この範囲を「圧力検出範囲」という。
【0034】
この「圧力検出範囲」は、衝突前のバンパアブソーバ2の前後長さA、及び検出用チューブ部材3の前後長さ(外径D)に応じて変化する。すなわち、バンパアブソーバ2の前後長さA(厚さ)が長い(厚い)車幅方向中心部側では、バンパアブソーバ2の前後長さAが短い(薄い)車幅方向端部側に比べて、検出用チューブ部材3が底付き状態になるまでに時間がかかるため、圧力検出範囲が大きくなる。
【0035】
一方、中空の検出用チューブ部材3単体の「圧力検出レンジ」は、内径d÷外径D×100により算出されることが知られている。検出用チューブ部材3の外形寸法が、外径D=8[mm]、内径d=4[mm]の場合、検出用チューブ部材3単体の圧力検出レンジは、4/8×100=50%となる。本実施形態では、車幅方向中心部側における検出用チューブ部材3は、前後方向に1mm程度潰れた状態で溝部2cに装着されている。この部分における検出用チューブ部材3単体の圧力検出レンジは、(4−1)/(8−1)×100≒43%となる。つまり、検出用チューブ部材3を前後方向に所定量だけ潰れた状態で溝部2cに装着すると、検出用チューブ部材3単体の圧力検出レンジが小さくなる。
【0036】
本実施形態では、バンパアブソーバ2の前後長さA1(厚さ)が長い(厚い)車幅方向中心部側(センター部分)において、溝部2cの前後長さL1を検出用チューブ部材3の前後長さ(外径D)よりも短くすることで、検出用チューブ部材3単体の圧力検出レンジを小さくしている。一方、バンパアブソーバ2の前後長さA2が短い(薄い)車幅方向端部側(コーナ部分)等において、溝部2cの前後長さL2を検出用チューブ部材3の前後長さと同程度にすることで、検出用チューブ部材3単体の圧力検出レンジを最大限確保している。これにより、車幅方向位置における圧力センサ4による「圧力検出範囲」のばらつきを小さくしている。
【0037】
続いて、車両用衝突検知装置1の衝突検知ECU6は、圧力センサ4及び速度センサ5の検知結果に基づいて、所定の衝突判定処理を実行する。この衝突判定処理では、圧力センサ4及び速度センサ5の検出結果に基づいて、例えば衝突物の有効質量を算出し、この有効質量が所定の閾値より大きい場合、歩行者との衝突が発生したものと判定する。更に、車両速度が所定の範囲(例えば時速25km〜55kmの範囲)内である場合に、歩行者保護装置10の作動を要する歩行者との衝突が発生したものと判定する。
【0038】
ここで、「有効質量」とは、衝突時における圧力センサ4の検出値より、運動量と力積の関係を利用して算出する質量をいう。車両と物体との衝突が発生した場合、歩行者とは質量の異なる衝突物では、検知される圧力センサ4の値が異なる。このため、人体の有効質量と、想定される他の衝突物の質量との間に閾値を設定することにより、衝突物の種類を切り分けることが可能となる。この有効質量は、次式に示すように、圧力センサ4により検出される圧力の値の所定時間における定積分値を、速度センサ5により検出される車両速度で割ることにより算出される。
M=(∫P(t)dt)/V・・・(式1)
【0039】
なお、Mは有効質量、Pは所定時間における圧力センサ4による検出値、tは所定時間(例えば、数ms〜数十ms)、Vは速度センサ5により検出される衝突時の車両速度を示している。有効質量を算出する方法には、他にも、衝突した物体の運動エネルギーEを表す式E=1/2・MV
2を用いて算出することが可能である。この場合、有効質量は、M=2・E/V
2により算出される。
【0040】
そして、衝突検知ECU6は、歩行者保護装置10の作動を要する歩行者との衝突が発生したと判定した場合、歩行者保護装置10を作動させる制御信号を出力し、歩行者保護装置10を作動させて、上記したように歩行者への衝撃を低減させる。
【0041】
以上説明したように、第1の実施形態の車両用衝突検知装置1は、車両のバンパ7内においてバンパレインフォースメント9の車両前方側に配設されたバンパアブソーバ2と、バンパアブソーバ2に車幅方向に延びて形成された溝部2cに装着される内部に中空部3aが形成された検出用チューブ部材3と、検出用チューブ部材3の中空部3a内の圧力を検出する圧力センサ4とを有し、圧力センサ4による圧力検出結果に基づいてバンパ7への物体(歩行者等)の衝突を検知する。そして、検出用チューブ部材3は、車幅方向における少なくとも一部(この場合、車幅方向中心部側)が車両前後方向に所定量だけ潰れた状態で溝部2cに装着されることを特徴とする。
【0042】
この構成によれば、車幅方向における少なくとも一部(この場合、車幅方向中心部側)が予め車両前後方向に所定量だけ潰れた状態で検出用チューブ部材3を溝部2cに装着することで、当該検出用チューブ部材3の少なくとも一部分における圧力センサ4の出力の立ち上がりを早くさせることができる。これにより、車両用衝突検知装置1の衝突検知精度を向上させることができる。
【0043】
また、溝部2cは、その車両前後方向の長さLが車幅方向位置で異なると共に、車幅方向における少なくとも一部(この場合、車幅方向中心部側)における車両前後方向の長さL1が検出用チューブ部材3の車両前後方向の長さ(外径D)よりも短くなっていることを特徴とする。
【0044】
この構成によれば、溝部2cの車幅方向における少なくとも一部(この場合、車幅方向中心部側)における車両前後方向の長さL1を、検出用チューブ部材3の車両前後方向の長さ(外径D)よりも短くすることで、この部分に装着される検出用チューブ部材3を予め車両前後方向に所定量だけ潰れた状態にすることができる。これにより、当該部分の圧力センサ4の出力の立ち上がりを早くさせることが可能となる。
【0045】
また、バンパアブソーバ2の車両前後方向の長さAは、車幅方向位置にて異なるものであり、溝部2cの車両前後方向の長さLは、バンパアブソーバ2の車両前後方向の長さAに応じて設定されている。この場合、溝部2cは、バンパアブソーバ2の車両前後方向の長さAが長い車幅方向位置ほど、当該溝部2cの車両前後方向の長さLが短くなるように形成されている。具体的には、車幅方向中心部側における溝部2cの車両前後方向の長さL1が、検出用チューブ部材3の車両前後方向の長さ(外径D)よりも短くなっていることを特徴とする。
【0046】
この構成によれば、バンパアブソーバ2の車両前後方向の長さAに応じて、溝部2cの車両前後方向の長さLを適宜設定することで、車幅方向全体に亘って圧力センサ4の出力を充分に発生させることができる。すなわち、バンパアブソーバ2の前後長さA(厚さ)が長い(厚い)車幅方向位置では、溝部2cの前後長さL1を検出用チューブ部材3の前後長さ(外径D)よりも短くすることにより、衝突時における圧力センサ4の出力を大きくすることができる。これにより、車幅方向位置における圧力センサ4による圧力検出範囲のばらつきを小さくすることが可能である。
【0047】
また、溝部2cは、バンパアブソーバ2の後面2bに形成され、バンパアブソーバ2の後面2bは、バンパレインフォースメント9の前面9aに当接していることを特徴とする。この構成によれば、バンパアブソーバ2の後面2bとバンパレインフォースメント9の前面9aとが当接しているので、車両の歩行者等との衝突に伴う衝撃(外力)を剛性部材であるバンパレインフォースメント9により確実に受け止めることができる。これにより、検出用チューブ部材3が車両後方側に撓むことを確実に防止でき、正確に衝突検知を行うことができる。更に、検出用チューブ部材3が溝部2cから脱落することを防止でき、検出用チューブ部材3を溝部2cに安定して配置することができる。
【0048】
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態について、
図8〜
図10を参照して説明する。なお、
図8〜
図10において上記第1の実施形態と同一部分には同一の符号を付して説明を省略し、異なる部分についてだけ説明する。第2の実施形態においては、
図8〜
図10に示すように、検出用チューブ部材3が装着される溝部2cがバンパアブソーバ2の内部における車両前後方向中央側に配設されている点が第1の実施形態と異なる。
【0049】
また、溝部2cの車両前後方向の長さLは、バンパアブソーバ2の前面2aから当該溝部2cにおける車両後方側の内壁面までの車両前後方向の長さA´に応じて設定されている(
図8参照)。すなわち、バンパアブソーバ2の前後長さA´が長い車幅方向位置ほど、溝部2cの前後長さLが短くなっている。
【0050】
具体的には、バンパアブソーバ2の前後方向の長さA´は、
図9に示す車幅方向中心部側(センター部分)におけるバンパアブソーバ2の前後長さA´1が、
図10に示す車幅方向端部側(コーナ部分)におけるバンパアブソーバ2の前後長さA´2よりも長く(厚く)なっている。このため、車幅方向中心部側(センター部分)における溝部2cの前後長さL1は、検出用チューブ部材3の車両前後方向の長さ(外径D)よりも所定長さ(この場合1mm程度)だけ短く設定されている。また、車幅方向端部側(コーナ部分)における溝部2cの前後長さL2は、検出用チューブ部材3の車両前後方向の長さ(外径D)と同程度の長さに設定されている。なお、外径Dは、溝部2cへ装着する前の状態における検出用チューブ部材3の前後長さである。
【0051】
第1の実施形態と同様に、検出用チューブ部材3の外径Dは8mm程度である。また、センター部分における溝部2cの前後長さL1は7mm程度である。また、センター部分以外のコーナ部分等における溝部2cの前後長さL2は、7mm程度である。従って、車幅方向中心部側における検出用チューブ部材3は、車両前後方向に1mm程度潰れた状態で溝部2cに装着される。
【0052】
なお、バンパアブソーバ2の内部に前後長さLが異なる溝部2cを形成する方法については、例えば、前後に分割された2つのバンパアブソーバを接着固定することによって行うものとする。この場合、一方のバンパアブソーバの後面に前後長さLが異なる溝部2cを形成して検出用チューブ部材3を装着後、当該後面に他方のバンパアブソーバの前面を接着することで、本実施形態のバンパアブソーバ2が形成される。また、1つのバンパアブソーバに前後長さが異なる貫通孔を設けることにより、本実施形態のバンパアブソーバ2を形成してもよい。
【0053】
この第2の実施形態においても、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。すなわち、車幅方向における少なくとも一部(この場合、車幅方向中心部側)が予め車両前後方向に所定量だけ潰れた状態で検出用チューブ部材3を溝部2cに装着することで、当該検出用チューブ部材3の車幅方向中心部側における圧力センサ4の出力の立ち上がりを早くさせることができる。これにより、車両用衝突検知装置1の衝突検知精度を向上させることができる。
【0054】
また、溝部2cの車幅方向中心部側における車両前後方向の長さL1を、検出用チューブ部材3の車両前後方向の長さ(外径D)よりも短くすることにより、車幅方向中心部側に装着される検出用チューブ部材3を予め車両前後方向に所定量だけ潰れた状態にすることを可能としている。
【0055】
また、バンパアブソーバ2の前面2aから溝部2cにおける車両後方側の内壁面までの車両前後方向の長さA´に応じて、溝部2cの車両前後方向の長さLを適宜設定することで、車幅方向全体に亘って圧力センサ4の出力を充分に発生させることができる。すなわち、バンパアブソーバ2の前後方向の長さA´が長い(厚い)車幅方向位置では、溝部2cの前後長さL1を検出用チューブ部材3の前後長さ(外径D)よりも短くすることにより、衝突時における圧力センサ4の出力を大きくしている。
【0056】
[第3の実施形態]
次に、本発明の第3の実施形態について、
図11〜
図13を参照して説明する。なお、
図11〜
図13において上記第1の実施形態と同一部分には同一の符号を付して説明を省略し、異なる部分についてだけ説明する。第3の実施形態においては、
図11〜
図13に示すように、バンパレインフォースメント9の車両前方側に、検出用チューブ部材3を車両後方からの車両前方側へ押圧するための押圧部材12が設けられている。
【0057】
また、第3の実施形態では、溝部2cの車両前後方向の長さLが車幅方向全体に亘って同じ長さになっている点が、第1の実施形態と異なる。すなわち、
図12に示す車幅方向中心部側(センター部分)における溝部2cの前後長さL1と、
図13に示す車幅方向端部側(コーナ部分)における溝部2cの前後長さL2とが、同じ長さになっている。この場合、溝部2cの車両前後方向の長さL1,L2は、検出用チューブ部材3の車両前後方向の長さ(外径D)と同程度の長さに設定されている。
【0058】
押圧部材12は、矩形板状の部材であり、車両前方側の面である前面12aと、車両後方側の面である後面12bとを有して構成される。この押圧部材12は、バンパアブソーバ2の後面2bとバンパレインフォースメント9の前面9aとの間に、車幅方向全体に亘って配設される。
【0059】
押圧部材12は、バンパアブソーバ2よりも硬い材質、例えばバンパアブソーバ2よりも発泡倍率の低い発泡樹脂からなる。この押圧部材12は、バンパアブソーバ2の溝部2cに検出用チューブ部材3を装着した後に、バンパアブソーバ2の後面2bに配設される。バンパアブソーバ2と押圧部材12とは、例えば接着固定される。また、押圧部材12とバンパレインフォースメント9とは、それぞれに設けられた嵌合部(図示しない)により嵌合固定される。なお、押圧部材12の材質としては、他にもポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等の合成樹脂でもよい。
【0060】
押圧部材12の前面12aにおける車幅方向中心部側(センター部分)には、突出部12cが設けられている。突出部12cは、押圧部材12の前面12aから車両前方側に突出している。具体的には、突出部12cは、車両前方側にxmmだけ突出している(
図12参照)。この突出部12cは、車両側方から見た断面形状が矩形形状であり、溝部2c(検出用チューブ部材3)に対向する位置に車幅方向に沿って配設される。なお、突出部12cの断面形状は矩形に限られず、例えば半円形などでもよい。
【0061】
ここで、検出用チューブ部材3は、柔軟性を有する合成ゴムからなり、内部に中空部3aが形成された中空のチューブ状部材であるため、押圧部材12の突出部12cにより車両前方側へ押圧されると、車両前後方向に変形する。これにより、検出用チューブ部材3の車幅方向における少なくとも一部(この場合、車幅方向中心部側)が、溝部2c内において車両前後方向に所定量だけ潰れた状態になる。具体的には、
図12に示す例では、L1=8[mm]、x=1[mm]、L´1=L1−x=8−1=7[mm]となっている。また、検出用チューブ部材3の外径Dは8mm程度である。従って、車幅方向中心部側における検出用チューブ部材3は、車両前後方向に1mm程度潰れた状態で溝部2cに装着されることになる。
【0062】
一方、
図13に示す車幅方向端部側(コーナ部分)においては、押圧部材12の前面12aに突出部12cが設けられていない。また、溝部2cの前後長さL2は、検出用チューブ部材3の車両前後方向の長さ(外径D)と同程度の長さに設定されている。このため、車幅方向端部側における検出用チューブ部材3は、車両前後方向に潰れていない状態で溝部2cに装着される。
【0063】
つまり、第3の実施形態では、車幅方向中心部側にだけ突出部12cが設けられた押圧部材12を、バンパアブソーバ2の後面2bとバンパレインフォースメント9の前面9aとの間に配設することで、検出用チューブ部材3の車幅方向中心部側が車両前後方向に所定量だけ潰れた状態で溝部2cに装着されるようにしている。
【0064】
なお、第1の実施形態と同様に、バンパアブソーバ2の車両前後方向の長さA(厚さ)は、車幅方向位置にて異なるものとなっている(
図11参照)。具体的には、
図12に示す車幅方向中心部側(センター部分)におけるバンパアブソーバ2の前後長さA1が、
図13に示す車幅方向端部側(コーナ部分)におけるバンパアブソーバ2の前後長さA2よりも長く(厚く)なっている。
【0065】
以上説明した第3の実施形態の車両用衝突検知装置1では、溝部2c内における検出用チューブ部材3の車両後方側に、検出用チューブ部材3を押圧して車両前後方向に所定量だけ潰れた状態にするための押圧部材12を備えたことを特徴とする。
【0066】
この第3の実施形態によっても、上記第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。すなわち、溝部2c内における検出用チューブ部材3の車両後方側に、当該検出用チューブ部材3を押圧して車両前後方向に所定量だけ潰れた状態にするための押圧部材12(突出部12c)が設けられているので、検出用チューブ部材3の車幅方向における少なくとも一部(車幅方向中心部側)を、予め車両前後方向に所定量だけ潰れた状態で溝部2cに装着することができる。これにより、車幅方向中心部側における圧力センサ4の出力の立ち上がりを早くさせて、車両用衝突検知装置1の衝突検知精度を向上させることができる。
【0067】
特に、溝部2cの車両前後方向の長さLを車幅方向位置で変更させる必要がなく、溝部2c内における検出用チューブ部材3の車両後方側に押圧部材12を設けることにより、簡易な構成で、溝部2c内に装着された検出用チューブ部材3を車両前後方向に所定量だけ潰れた状態にすることができる。
【0068】
また、押圧部材12は、バンパアブソーバ2よりも硬い材質からなることを特徴とする。この構成によれば、押圧部材12がバンパアブソーバ2よりも硬い材質からなるので、当該押圧部材12により中空の検出用チューブ部材3を押圧することで、検出用チューブ部材3を車両前後方向に所定量だけ確実に潰れた状態にすることができる。
【0069】
また、溝部2cは、バンパアブソーバ2の後面2bに形成され、押圧部材12は、バンパアブソーバ2の後面2bとバンパレインフォースメント9の前面9aとの間に配設されることを特徴とする。
【0070】
この構成によれば、バンパアブソーバ2の後面2bとバンパレインフォースメント9の前面9aとの間に挟まれるようにして押圧部材12を配設することで、当該押圧部材12を安定して配置できる。更に、溝部2cの車両後方側に設けられた押圧部材12の存在により、検出用チューブ部材3が溝部2c内から脱落することを確実に防止できる。
【0071】
また、押圧部材12は、溝部2cに対向する位置に設けられ車両前方側に突出した突出部12cを有し、突出部12cにより検出用チューブ部材3を車両前方側に押圧することを特徴とする。
【0072】
この構成によれば、溝部2cに対向する位置に設けられた突出部12cにより検出用チューブ部材3を車両前方側に押圧することにより、溝部2c内に装着された検出用チューブ部材3を車両前後方向に確実に変形させることができ、車幅方向中心部側における圧力センサ4の出力の立ち上がりを確実に早くさせることが可能である。
【0073】
また、押圧部材12は、バンパアブソーバ2の後面2bに車幅方向全体に亘って配設されることを特徴とする。この構成によれば、押圧部材12がバンパアブソーバ2の後面2bに車幅方向全体に亘って配設されるので、押圧部材12とバンパレインフォースメント9との間に、車幅方向全体に亘って隙間ができないようにすることができる。これにより、検出用チューブ部材3が車両後方側に撓むことを確実に防止でき、正確に衝突検知を行うことができる。
【0074】
また、突出部12cは、押圧部材12の車幅方向における少なくとも一部(この場合車幅方向中心部側)に設けられたことを特徴とする。この構成によれば、押圧部材12の突出部12cによって検出用チューブ部材3を押圧することで、車幅方向における少なくとも一部(車幅方向中心部側)において、溝部2c内に装着された状態の検出用チューブ部材3の車両前後方向の長さL´を、検出用チューブ部材3の外径Dよりも短くすることができる。これにより、車幅方向中心部側における圧力センサ4の出力の立ち上がりを早くさせることができる。
【0075】
[第4の実施形態]
次に、本発明の第4の実施形態について、
図14を参照して説明する。なお、
図14において上記第1の実施形態と同一部分には同一の符号を付して説明を省略し、異なる部分についてだけ説明する。第4の実施形態においては、
図14に示す車幅方向中心部側(センター部分)における溝部2c内に、検出用チューブ部材3を車両後方からの車両前方側へ押圧するための押圧部材121が設けられている。
【0076】
押圧部材121は、矩形板状の部材であり、車幅方向に沿って延びている。この押圧部材121は、バンパアブソーバ2よりも硬い材質、例えばバンパアブソーバ2よりも発泡倍率の低い発泡樹脂からなる。押圧部材121の車両上下方向の長さは、溝部2cの開口面2dの上下長さよりも小さく設定されている。このため、バンパアブソーバ2の溝部2cに検出用チューブ部材3を装着した後に、溝部2cの開口面2dから押圧部材121を車両前方(溝部2cの奥方)へ押し込むことで、溝部2c内に押圧部材121を配置することができる。また、押圧部材121の車両前後方向の長さxは、1mm程度である。
【0077】
押圧部材121が溝部2c内に押し込まれると、車幅方向中心部側における検出用チューブ部材3は、溝部2c内において前後方向に1mm程度潰れた状態になる。
図14に示す例では、L1=8[mm]、x=1[mm]、L´1=L1−x=8−1=7[mm]となっている。
【0078】
一方、図示しないが、車幅方向端部側(コーナ部分)においては、溝部2c内に押圧部材121が設けられていない。また、溝部2cの前後長さL2は、検出用チューブ部材3の車両前後方向の長さ(外径D)と同程度の長さに設定されている。このため、車幅方向端部側における検出用チューブ部材3は、車両前後方向に潰れていない状態で溝部2cに装着される。
【0079】
つまり、第4の実施形態では、車幅方向中心部側の溝部2c内にのみ押圧部材121を配設することで、検出用チューブ部材3の車幅方向中心部側が車両前後方向に、押圧部材121の前後長さ分だけ潰れた状態で溝部2cに装着されるようにしている。
【0080】
なお、図示しないが、第1の実施形態と同様に、車幅方向中心部側(センター部分)におけるバンパアブソーバ2の前後長さA1が、車幅方向端部側(コーナ部分)におけるバンパアブソーバ2の前後長さA2よりも長く(厚く)なっている。
【0081】
以上説明した第4の実施形態の車両用衝突検知装置1では、溝部2c内における検出用チューブ部材3の車両後方側に、検出用チューブ部材3を押圧して車両前後方向に所定量だけ潰れた状態にするための押圧部材121を備えたことを特徴とする。
【0082】
この第4の実施形態によっても、上記第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。すなわち、溝部2c内における検出用チューブ部材3の車両後方側に、当該検出用チューブ部材3を押圧して車両前後方向に所定量だけ潰れた状態にするための押圧部材121が設けられているので、検出用チューブ部材3の車幅方向における少なくとも一部(車幅方向中心部側)を、予め車両前後方向に所定量だけ潰れた状態で溝部2cに装着することができる。これにより、車幅方向中心部側における圧力センサ4の出力の立ち上がりを早くさせて、車両用衝突検知装置1の衝突検知精度を向上させることができる。
【0083】
また、第3の実施形態と同様に、溝部2cの車両前後方向の長さLを車幅方向位置で変更させる必要がなく、溝部2c内における検出用チューブ部材3の車両後方側に押圧部材121を設けることにより、簡易な構成で、溝部2c内に装着された検出用チューブ部材3を車両前後方向に所定量だけ潰れた状態にすることができる。更に、押圧部材121の車幅方向位置をずらすだけで、検出用チューブ部材3が車両前後方向に所定量だけ潰れた状態とする箇所を容易に変更することができる。また、押圧部材121の前後長さ(厚さ)を適宜変更させることで、検出用チューブ部材3の前後方向の潰れ量を容易に調節することができる。
【0084】
なお、押圧部材121を配置する位置は、溝部2c内における検出用チューブ部材3の車両後方側に限られない。例えば、
図15に示すように、溝部2c内における検出用チューブ部材3の車両前方側に押圧部材121を配置してもよい。この場合も、上記第4の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0085】
[その他の実施形態]
本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変形又は拡張を施すことができる。例えば、上記実施形態では、圧力センサ4をバンパレインフォースメント9の後面9bに取り付けるものとしたが、これに限られず、圧力センサ4の配設位置は適宜変更可能であるものとする。
【0086】
また、上記第1の実施形態では、溝部2cの車両前後方向の長さLが、車幅方向中心部側において検出用チューブ部材3の車両前後方向の長さ(外径D)よりも短くなっているものとしたが、これに限られない。溝部2cの前後長さLは、バンパアブソーバ2の前後長さAが長い車幅方向位置ほど短くなるように形成されていればよい。例えば、バンパアブソーバ2の前後長さAが40mm以上の車幅方向位置において、溝部2cの前後長さLを検出用チューブ部材3の前後長さ(外径D)よりも短くするものとしてもよい。また、車幅方向端部側におけるバンパアブソーバ2の前後長さA2が厚くなっている場合には、車幅方向端部側における溝部2cの前後長さL2を、検出用チューブ部材3の前後長さ(外径D)よりも短くすればよい。また、バンパアブソーバ2の前後長さAに応じて、溝部2cの前後長さLを車幅方向に数mm刻みで設定してもよい。
【0087】
また、上記実施形態では、バンパアブソーバ2の車両前後方向の長さAが車幅方向で異なる場合について説明したが、これに限られない。例えば、バンパアブソーバ2の車両前後方向の長さA(厚さ)が車幅方向全体に亘って均一である場合にも本発明を適用可能である。この場合、車幅方向端部側(コーナ部分)における溝部2cの車両前後方向の長さLを検出用チューブ部材3の外径Dよりも短くすればよい。これにより、衝突に伴う衝撃(外力)が車両側方へ逃げることで検出用チューブ部材3に外力が伝わり難いおそれがあるコーナ部分において、圧力センサ4の出力を充分に発生させることが可能となる。
【0088】
また、上記実施形態では、衝突判定処理において、有効質量が所定の閾値以上になった場合に歩行者保護装置10の作動を要する歩行者との衝突が発生したと判定するものとしたが、これに限られない。例えば、圧力センサ4により検出された圧力の値、圧力変化率等を衝突判定の閾値として用いてもよい。