(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
内燃機関(100)においてクランク軸(101)からの機関トルクの伝達によりカム軸(102)が開閉駆動するバルブのバルブタイミングを調整するバルブタイミング調整装置であって、
前記クランク軸および前記カム軸の一方と連動して回転するハウジング(20)と、
前記クランク軸および前記カム軸の他方と連動して回転し、前記ハウジングの内部空間を周方向の一方側の第1油圧室(33)と周方向の他方側の第2油圧室(34)とに仕切るベーン部(32)を有し、前記第1油圧室および前記第2油圧室に供給される作動油の圧力に応じて前記ハウジングに対して相対回転するベーンロータ(30)と、
前記第1油圧室と前記第2油圧室との間において前記ハウジングと前記ベーンロータとの間に形成されているクリアランス(51)をシールするシール部材(52、53、94)と、
を備え、
前記ハウジングおよび前記ベーンロータの一方を第1回転体と呼び、前記ハウジングおよび前記ベーンロータの他方を第2回転体と呼ぶ場合において、
前記第1回転体は、前記第1油圧室と前記第2油圧室との間であって且つ径方向において前記第2回転体と対向する箇所に、軸方向へ延びている溝(54、55、91)を有し、
前記溝の両方の側面は、前記溝の底面(56)から径方向へ離れるほど溝幅が小さくなるよう傾斜している第1傾斜面(58、59、92、93)を有し、
前記シール部材は、周方向において前記第1傾斜面と対向する箇所に、前記第2回転体側ほど前記シール部材の周方向幅が小さくなるよう傾斜している第2傾斜面(61、62、95、96)を有し、
前記クリアランスと前記溝の内部空間とを合わせた空間を油圧空間と呼び、
前記シール部材のうち前記底面と対向する箇所の一部と前記底面とが密着しつつ前記第1傾斜面と前記第2傾斜面とが密着しているとき、前記シール部材のうち、前記底面側に向かって前記油圧空間に露出している部分を底面側露出部と呼び、前記第2回転体の被シール面側に向かって前記油圧空間に露出している部分を被シール面側露出部と呼ぶ場合において、
前記底面側露出部の径方向投影面積は、前記被シール面側露出部の径方向投影面積よりも大きいことを特徴とするバルブタイミング調整装置。
前記シール部材は、前記底面と対向する箇所に形成された少なくとも1つの突起(65)を有することを特徴とする請求項1または2に記載のバルブタイミング調整装置。
前記シール部材と前記底面との間の空間のうち、前記突起に対して軸方向に隣接する箇所には、前記突起に対する周方向の一方の空間(66)と他方の空間(67)とをつなぐ連通空間(68)があることを特徴とする請求項3に記載のバルブタイミング調整装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の発明では、シール完了後に例えば振動等に起因してシール部材がハウジングから離れて、シール部材とハウジングとの隙間に作動油が流れ込むと、シール部材に作用するハウジング側への油圧力とベーンロータ側への油圧力とが同じとなる。そのため、シール部材をハウジング側へ付勢する付勢力が発生せず、再度シールすることができなくなる。
【0006】
本発明は、上述の点に鑑みてなされたものであり、その目的は、スプリングを用いることなくハウジングとベーンロータとの間のクリアランスをシールすることができ、且つ、シール途中でシール部材が被シール面から離れても再度シールすることができるバルブタイミング調整装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によるバルブタイミング調整装置は、クランク軸およびカム軸の一方と連動して回転するハウジングと、クランク軸およびカム軸の他方と連動して回転するベーンロータと、ハウジング内の第1油圧室と第2油圧室との間においてハウジングとベーンロータとの間に形成されているクリアランスをシールするシール部材とを備える。
【0008】
ハウジングおよびベーンロータの一方を第1回転体と呼び、他方を第2回転体と呼ぶ場合において、第1回転体は、第1油圧室と第2油圧室との間であって且つ径方向において第2回転体と対向する箇所に、軸方向へ延びている溝を有する。溝の両方の側面は、溝の底面から径方向へ離れるほど溝幅が小さくなるよう傾斜している第1傾斜面を有する。
シール部材は、周方向において第1傾斜面と対向する箇所に、第2回転体側ほどシール部材の周方向幅が小さくなるよう傾斜している第2傾斜面を有する。
ここで、クリアランスと溝の内部空間とを合わせた空間を油圧空間と呼ぶ。また、シール部材のうち底面と対向する箇所の一部と底面とが密着しつつ第1傾斜面と第2傾斜面とが密着しているとき、シール部材のうち、底面側に向かって油圧空間に露出している部分を底面側露出部と呼び、第2回転体の被シール面側に向かって油圧空間に露出している部分を被シール面側露出部と呼ぶ。この場合において、底面側露出部の径方向投影面積は、被シール面側露出部の径方向投影面積よりも大きい。
【0009】
このようにバルブタイミング調整装置を構成することによって、第1油圧室と第2油圧室との圧力差に応じてシール部材が溝に対して周方向へ相対移動して、第1傾斜面と第2傾斜面とが密着すると、シール部材のうち、溝の底面側に向かって油圧空間に露出している部分(底面側露出部)の径方向投影面積は、第2回転体の被シール面側に向かって油圧空間に露出している部分(被シール面側露出部)の径方向投影面積よりも大きくなる。このとき、底面側露出部に作用する第2回転体側への油圧力は、被シール面側露出部に作用する第1回転体側への油圧力よりも大きくなる。そのため、シール部材は、第2回転体側へ移動して被シール面に密着し、クリアランスのシールが完了する。
【0010】
さらに、シール完了後に例えば振動等に起因してシール部材が第2回転体から離れて、シール部材とハウジングとの隙間に作動油が流れ込んだとしても、上述と同じプロセスをたどって再度シールされる。
したがって、本発明によれば、スプリングを用いることなくハウジングとベーンロータとの間のクリアランスをシールすることができ、且つ、シール途中でシール部材が被シール面から離れても再度シールすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。実施形態同士で実質的に同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。図面は、構成を分かり易くするために模式的に示されている。図面に示された各部の寸法、角度および寸法比は、必ずしも正確なものではない。
[一実施形態]
本発明の一実施形態によるバルブタイミング調整装置を
図1に示す。バルブタイミング調整装置10は、内燃機関100のクランク軸101に対しカム軸102を相対回転させることによって、カム軸102が開閉駆動する図示しない吸気弁のバルブタイミングを調整するものであり、クランク軸101からカム軸102までの動力伝達経路に設けられている。
【0013】
(全体構成)
先ず、バルブタイミング調整装置10の全体構成について
図1、
図2を参照して説明する。
図1、
図2に示すように、バルブタイミング調整装置10は、ハウジング20、ベーンロータ30および油路切換弁40を備えている。
【0014】
ハウジング20は、スプロケット21、フロントプレート25およびリアプレート26から構成されている。
スプロケット21は、カム軸102の軸方向延長上で当該カム軸102と同軸上に設けられている。スプロケット21は、筒部22、外歯部23および複数の突出部24を形成している。外歯部23は、筒部22の外壁に設けられており、タイミングチェーン103を介してクランク軸101に連結されている。突出部24は、筒部22から径方向内側へ突き出している。
【0015】
フロントプレート25は、スプロケット21に対し軸方向の一方側に設けられている。リアプレート26は、スプロケット21に対し軸方向の他方側に設けられている。カム軸102は、リアプレート26の嵌合孔27に嵌め入れられている。スプロケット21、フロントプレート25およびリアプレート26は、ボルト28により一体に固定されている。ハウジング20は、クランク軸101と連動して回転する。
【0016】
ベーンロータ30は、ハウジング20内で当該ハウジング20に対し相対回転可能に設けられており、ボス部31および複数のベーン部32を形成している。ボス部31は、後述のスリーブボルト28によってカム軸102に固定されている。ベーン部32は、ボス部31から径方向外側へ突き出し、ハウジング20の内部空間すなわち各突出部24間の空間を進角室33と遅角室34とに仕切っている。進角室33は、ベーン部32に対して周方向の一方に位置している。遅角室34は、ベーン部32に対して周方向の他方に位置している。
【0017】
ベーンロータ30は、進角室33に連通している進角油路35と、遅角室34に連通している遅角油路36と、ボス部31のカム軸102側の端面に開口している供給油路37とを有している。カム軸102の外部油路104は、例えばエンジンブロック等の油路105を介してオイルポンプ106に連通しており、供給油路37は、外部油路104に連通可能である。ベーンロータ30は、進角室33または遅角室34に供給される作動油の圧力に応じてハウジング20に対して相対回転し、ベーンロータ30とハウジング20との間の回転位相を進角側または遅角側に変化させる。
【0018】
油路切換弁40は、スリーブボルト41およびスプール48などから構成されている。
スリーブボルト41は、ベーンロータ30に対してカム軸102とは反対側からベーンロータ30に挿入されて、カム軸102にねじ込まれている。また、スリーブボルト41は、頭部42とねじ部43との間にスリーブ部44を形成している。スリーブ部44は、進角油路35に連通している進角ポート45と、遅角油路36に連通している遅角ポート46と、供給油路37に連通している供給ポート47とを有している。
【0019】
スプール48は、スリーブ部44の内側で軸方向へ往復移動可能であり、軸方向位置に応じてスリーブ部44の各ポート同士を選択的に接続可能である。具体的には、スプール48は、ハウジング20に対するベーンロータ30の回転位相を進角側に変化させる場合、供給ポート47と進角ポート45とを接続しつつ、遅角ポート46をスプール48の内側を通じて外部のドレン空間に連通させる。また、スプール48は、ハウジング20に対するベーンロータ30の回転位相を遅角側に変化させる場合、供給ポート47と遅角ポート46とを接続しつつ、進角ポート45をスプール48の外側を通じて外部のドレン空間に連通させる。
【0020】
スリーブボルト28の頭部42の内側にはストッパプレート49が嵌め付けられている。スプール48は、スプリング39によってストッパプレート49側に付勢されている。スプール48の軸方向位置は、スプリング39による付勢力と、ストッパプレート49に対しスプール48とは反対側に設けられたリニアソレノイド107による押圧力とのバランスによって決まる。
【0021】
以上のように構成されたバルブタイミング調整装置10では、回転位相が目標値よりも遅角側である場合、油路切換弁40によって進角室33が供給油路37と接続されつつ、遅角室34が外部のドレン空間と接続される。これにより、進角室33に作動油が供給されつつ遅角室34の作動油が外部に排出されて、ベーンロータ30がハウジング20に対し進角側に相対回転する。
【0022】
また、回転位相が目標値よりも進角側である場合、油路切換弁40によって遅角室34が供給油路37と接続されつつ、進角室33が外部のドレン空間と接続される。これにより、遅角室34に作動油が供給されつつ進角室33の作動油が外部に排出されて、ベーンロータ30がハウジング20に対し遅角側に相対回転する。
また、回転位相が目標値と一致する場合、油路切換弁40によって進角室33および遅角室34が閉じられる。これにより、回転位相が保持される。
【0023】
(特徴構成)
次に、バルブタイミング調整装置10の特徴構成について
図2〜
図8を参照して説明する。以下の説明において、「径方向」とはベーンロータ30の径方向のことであり、また、「軸方向」とはベーンロータ30の軸方向のことである。
図2、
図3に示すように、バルブタイミング調整装置10は、進角室33と遅角室34との間においてハウジング20とベーンロータ30との間のクリアランス51をシールするシール部材52、53をさらに備えている。
【0024】
ベーンロータ30は、進角室33と遅角室34との間であって且つ径方向においてハウジング20(筒部23)と対向する箇所に、軸方向へ延びている溝54を有する。シール部材52は、溝54に設けられている。
ハウジング20の筒部23は、進角室33と遅角室34との間であって且つ径方向においてベーンロータ30と対向する箇所に、軸方向へ延びている溝55を有する。シール部材53は、溝55に設けられている。
【0025】
溝54と溝55との構成は、形成箇所がベーンロータ30かハウジング20かの違いはあるものの、実質的に同一である。また、シール部材52とシール部材53との構成は、設置箇所が溝54か溝55かの違い、および、被シール面がハウジング20かベーンロータ30かの違いはあるものの、実質的に同一である。そのため、以下では、
図4に代表的に示す溝54およびシール部材52について説明する。
【0026】
図4に示すように、溝54の両方の側面は、溝54の底面56から径方向へ離れるほど溝幅が小さくなるよう傾斜している第1傾斜面58、59を有する。本実施形態では、溝54の横断面形状は台形である。
【0027】
シール部材52は、周方向において第1傾斜面58、59と対向する箇所に、ハウジング20側ほどシール部材52の周方向幅が小さくなるよう傾斜している第2傾斜面61、62を有する。本実施形態では、シール部材52の横断面形状は台形である。
【0028】
シール部材52が溝54に対して周方向の一方へ相対移動したとき、一方の第1傾斜面58と一方の第2傾斜面61とが密着する。また、シール部材52が溝54に対して周方向の他方へ相対移動したとき、他方の第1傾斜面59と他方の第2傾斜面62とが密着する。
【0029】
溝54の径方向の開口縁部57の周方向幅をW1、開口縁部57とハウジング20との径方向の距離をS、シール部材52のうち、シール面63からベーンロータ30側への径方向の長さがS以下となる部分(先端部分)69の周方向幅をW2とすると、周方向幅W2は周方向幅W1よりも小さい。シール面63は、ハウジング20の筒部23の被シール面64と対向する面であり、シール完了時に当該被シール面64と密着する面である。第1傾斜面59と第2傾斜面62とが密着し、且つ、シール面63と被シール面64とが密着する状態であっても、第1傾斜面58と第2傾斜面61との間には隙間が形成される。
【0030】
図1、
図4に示すように、シール部材52は、溝54の底面56と対向する箇所に形成された突起65を有する。本実施形態では、突起65は、シール部材52の軸方向中央部であり且つ周方向中央部である箇所に1つ設けられている。突起65の軸方向長さは、シール部材52の軸方向長さと比べて十分小さい。シール部材52と底面56との間の空間のうち、突起65に対して軸方向に隣接する箇所には、突起65に対する周方向の一方の空間66と他方の空間67とをつなぐ連通空間68がある。空間66の作動油は、連通空間68を経由して空間67へ流れる。その逆も同様である。
【0031】
図5は、進角室33および遅角室34の作動油が共に排出された状態を示す。この場合、シール部材52は、作動油の圧力を受けず、溝54内で自由に動ける状態にある。
図5の状態から遅角室34に作動油が供給されると、遅角室34の作動油がクリアランス51を通じて溝54内に流入する。このとき、シール部材52は、第1傾斜面59と第2傾斜面62との間の隙間にある作動油の圧力を受けて周方向の一方へ移動し、
図6に示すように第1傾斜面59と第2傾斜面62とが密着する。
図6では、シール部材52の突起65は底面56と密着している。
【0032】
クリアランス51と溝54の内部空間とを合わせた空間を油圧空間と呼ぶ場合において、
図6に示す状態のとき、シール部材52のうち、底面56側に向かって油圧空間に露出している部分(以下、「底面側露出部」という)の径方向投影面積は、被シール面64側に向かって油圧空間に露出している部分(以下、「被シール面側露出部」という)の径方向投影面積よりも大きくなる。このとき、底面側露出部に作用するハウジング20側への油圧力は、被シール面側露出部に作用するベーンロータ30側への油圧力よりも大きくなる。そのため、シール部材52は、
図7に示すようにハウジング20側へ移動して被シール面64に密着し、クリアランス51のシールが完了する。
【0033】
さらに、シール完了後に例えば振動等に起因して、
図8に示すようにシール部材52が被シール面64から離れて、シール部材52とハウジング20との隙間に作動油が流れ込んだとしても、上述の
図6、
図7と同じプロセスをたどって再度シールされる。
【0034】
(効果)
以上説明したように、本実施形態では、溝54の両方の側面は、溝54の底面56から径方向へ離れるほど溝幅が小さくなるよう傾斜している第1傾斜面58、59を有する。シール部材52は、周方向において第1傾斜面58、59と対向する箇所に、ハウジング20側ほどシール部材52の周方向幅が小さくなるよう傾斜している第2傾斜面61、62を有する。
【0035】
このようにバルブタイミング調整装置10を構成することによって、進角室33と遅角室34との圧力差に応じてシール部材52が溝54に対して周方向へ相対移動して、第1傾斜面58(または59)と第2傾斜面61(または62)とが密着すると、シール部材52の底面側露出部の径方向投影面積は、被シール面側露出部の径方向投影面積よりも大きくなる。このとき、底面側露出部に作用するハウジング20側への油圧力は、被シール面側露出部に作用するベーンロータ30側への油圧力よりも大きくなる。そのため、シール部材52は、ハウジング20側へ移動して被シール面64に密着し、クリアランス51のシールが完了する。
【0036】
さらに、シール完了後に例えば振動等に起因してシール部材52が被シール面64から離れて、シール部材52とハウジング20との隙間に作動油が流れ込んだとしても、上述と同じプロセスをたどって再度シールされる。
したがって、本実施形態によれば、スプリングを用いることなくハウジング20とベーンロータ30との間のクリアランス51をシールすることができ、且つ、シール途中でシール部材52が被シール面64から離れても再度シールすることができる。
【0037】
また、本実施形態では、周方向幅W2は周方向幅W1よりも小さい。そのため、シール部材52は、溝54の開口縁部57にひっかかることなく被シール面64側に移動できる。また、シール部材52が溝54の底面56から最も離れる状態(シール完了状態)であっても、第1傾斜面58(または59)と第2傾斜面61(または62)との間に隙間を形成することができる。そのため、進角室33と遅角室34との圧力差が生じたとき、シール部材52の径方向位置にかかわらず、クリアランス51から第1傾斜面58(または59)と第2傾斜面61(または62)との間の隙間に確実に作動油を流入させることができる。
【0038】
また、本実施形態では、シール部材52は、溝54の底面56と対向する箇所に形成された突起65を有する。そのため、溝54の底面56とそれに対向するシール部材52の面の全体とが密着することにより底面56とシール部材52との間の隙間に作動油が流入できなくなることを、防止できる。
【0039】
また、本実施形態では、シール部材52と底面56との間の空間のうち、突起65に対して軸方向に隣接する箇所には、突起65に対する周方向の一方の空間66と他方の空間67とをつなぐ連通空間68がある。これにより、空間66と空間67との間で作動油を行き来させることができる。そのため、シール部材52と底面56との間の空間の全体に作動油を満たして、シール部材52にハウジング20側への油圧力を十分に作用させることができる。
【0040】
[他の実施形態]
本発明の他の実施形態では、
図9に示すように、溝91の第1傾斜面92、93は、溝91の側面の一部に形成されてもよい。また、シール部材94の第2傾斜面95、96は、シール部材94の側面の一部に形成されてもよい。そのため、溝およびシール部材の横断面形状は台形でなくてもよい。
【0041】
本発明の他の実施形態では、突起は2つ以上設けられてもよい。突起の形成箇所は、軸方向中央部に限らず、また周方向中央部に限らない。突起の軸方向長さをシール部材の軸方向長さと同じとし、突起に形成された孔により連通空間を設けてもよい。
本発明の他の実施形態では、シール部材は、ゴム製に限らず、例えば金属製、樹脂製などであってもよい。
【0042】
本発明の他の実施形態では、ハウジングは、2つの部材、あるいは4つ以上の部材から構成されてもよい。
本発明の他の実施形態では、油路切換弁は外部に設けられてもよい。つまり、バルブタイミング調整装置は油路切換弁を含まなくてもよい。
本発明の他の実施形態では、バルブタイミング調整装置は、内燃機関の排気弁のバルブタイミングを調整するものであってもよい。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の形態で実施可能である。