特許第6432468号(P6432468)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6432468
(24)【登録日】2018年11月16日
(45)【発行日】2018年12月5日
(54)【発明の名称】車両制御装置及び走路推定方法
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20181126BHJP
   B60W 30/165 20120101ALI20181126BHJP
   B60W 40/072 20120101ALI20181126BHJP
【FI】
   G08G1/16 C
   B60W30/165
   B60W40/072
【請求項の数】9
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-168729(P2015-168729)
(22)【出願日】2015年8月28日
(65)【公開番号】特開2017-45356(P2017-45356A)
(43)【公開日】2017年3月2日
【審査請求日】2017年11月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100139480
【弁理士】
【氏名又は名称】日野 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100125575
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100175134
【弁理士】
【氏名又は名称】北 裕介
(72)【発明者】
【氏名】酒井 唯史
【審査官】 鎌田 哲生
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−206275(JP,A)
【文献】 特開2009−096402(JP,A)
【文献】 特開2006−178675(JP,A)
【文献】 特開平11−296799(JP,A)
【文献】 特開2015−079446(JP,A)
【文献】 米国特許第6292752(US,B1)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0291276(US,A1)
【文献】 国際公開第2009/145694(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00−99/00
B60W 10/00−10/30
B60W 30/00−50/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両(MA)が走行する走路を推定する車両制御装置(20)であって、
前記走路を区画する区画線を認識する区画線認識部と、
前記自車両の前方に存在する先行車両を認識する車両認識部と、
認識された前記先行車両の位置の履歴に基づいて、前記先行車両の走行軌跡を推定する軌跡推定部と、
認識された前記区画線に基づいて、前記走路を特定する複数の走路パラメータとして、複数の第1パラメータを推定する第1推定部と、
推定された前記走行軌跡に基づいて、前記複数の走路パラメータとして、複数の第2パラメータを推定する第2推定部と、
推定された各第1パラメータの第1信頼度をそれぞれ算出する第1信頼度算出部と、
推定された各第2パラメータの第2信頼度をそれぞれ算出する第2信頼度算出部と、
前記走路パラメータのそれぞれについて、前記第1信頼度及び前記第2信頼度に応じて、前記第1パラメータと前記第2パラメータとを統合して、統合パラメータを算出するパラメータ統合部と、を備え、
算出された前記統合パラメータに基づいて前記走路を推定する車両制御装置。
【請求項2】
前記複数の走路パラメータは、前記走路の曲率と、前記走路の幅方向における前記自車両の位置に対する前記走路の幅方向の中心のオフセットとを含み、
前記第1信頼度算出部は、前記第1パラメータとしての前記曲率及び前記オフセットの前記第1信頼度をそれぞれ算出し、
前記第2信頼度算出部は、前記第2パラメータとしての前記曲率及び前記オフセットの第2信頼度をそれぞれ算出し、
前記パラメータ統合部は、前記曲率及び前記オフセットのそれぞれについて、前記第1パラメータと前記第2パラメータとを統合して、前記統合パラメータを算出する請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項3】
前記第1信頼度算出部は、前記第1パラメータのそれぞれについて、前記第1パラメータの時系列上の変化率に基づいて前記第1信頼度を算出し、
前記第2信頼度算出部は、前記第2パラメータのそれぞれについて、前記第2パラメータの時系列上の変化率に基づいて前記第2信頼度を算出する請求項1又は2に記載の車両制御装置。
【請求項4】
前記パラメータ統合部は、前記走路パラメータのそれぞれについて、前記第1信頼度及び前記第2信頼度に応じて、前記第1パラメータ及び前記第2パラメータのうちの一方を選択し、選択した一方を前記統合パラメータとする請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両制御装置。
【請求項5】
前記パラメータ統合部は、前記走路パラメータのそれぞれについて、前記第1信頼度及び前記第2信頼度に応じて、前記第1パラメータ及び前記第2パラメータのそれぞれに重み付けし、重み付けした前記第1パラメータと前記第2パラメータとを足し合わせて前記統合パラメータを算出する請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両制御装置。
【請求項6】
前記パラメータ統合部により算出された各統合パラメータの統合信頼度をそれぞれ算出する統合信頼度算出部を備え、
前記統合信頼度算出部は、前記統合パラメータのそれぞれについて、前記統合パラメータに対応する前記第1パラメータと、前記統合パラメータに対応する前記第2パラメータとの差が大きいほど、前記統合信頼度を低下させる請求項1〜5のいずれか1項に記載の車両制御装置。
【請求項7】
前記車両制御装置は、前記統合パラメータに基づいて、前記自車両の運転支援を実施するものであって、
前記統合信頼度に応じて、前記運転支援の度合を変化させる支援処理部を備える請求項に記載の車両制御装置。
【請求項8】
前記支援処理部は、前記統合パラメータごとに、前記運転支援に用いる前記統合パラメータの大きさ及び変化量の少なくとも一方を制限値に制限する制限部を備え、
前記制限部は、前記統合信頼度に応じて、前記制限値を変化させる請求項7に記載の車両制御装置。
【請求項9】
自車両が走行する走路を推定する車両制御装置(20)が実行する走路推定方法であって、
前記走路を区画する区画線を認識するステップと、
前記自車両の前方に存在する先行車両を認識するステップと、
認識された前記先行車両の位置の履歴に基づいて、前記先行車両の走行軌跡を推定するステップと、
認識された前記区画線に基づいて、前記走路を特定する複数の走路パラメータとして、複数の第1パラメータを推定するステップと、
推定された前記走行軌跡に基づいて、前記複数の走路パラメータとして、複数の第2パラメータを推定するステップと、
推定された各第1パラメータの第1信頼度をそれぞれ算出するステップと、
推定された各第2パラメータの第2信頼度をそれぞれ算出するステップと、
前記走路パラメータのそれぞれについて、前記第1信頼度及び前記第2信頼度に応じて、前記第1パラメータと前記第2パラメータとを統合して、統合パラメータを算出するステップと、
を備える走路推定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両制御装置、及び車両制御装置が実行する走路推定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、路面に描かれた白線の認識結果や先行車両の軌跡を用いて、自車両が走行する走路を推定し、推定した走路に基づいて運転支援を行う技術が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1に記載の自動運転制御システムは、認識した白線により特定される走路に沿って自車を走行させる第一走行制御手段と、認識した先行車両に追従するように、自車の走行を制御する第二走行制御手段と、を備えている。そして、上記自動運転制御システムでは、白線の認識結果の時間的なばらつきや、認識した白線から算出した曲率と車速及びヨーレートから算出した曲率との差に基づいて、第一走行制御手段から第二走行制御手段に切り替えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−206275号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
白線の認識結果及び先行車両の走行軌跡のいずれからでも、走路を特定する複数のパラメータを推定することはできる。従来、白線の認識結果に基づいて推定したパラメータと先行車両の走行軌跡に基づいて推定したパラメータとを、択一的に切り替えて走路を推定していた。しかしながら、本発明者は、パラメータによって、白線の認識結果に基づいて推定したパラメータの方が精度のよいものもあれば、先行車両の走行軌跡に基づいて推定したパラメータの方が精度のよいものもあるとの知見を得た。よって、白線の認識結果に基づいて推定したパラメータと、先行車両の走行軌跡に基づいて推定したパラメータとを、択一的に切り替えて走路を推定することは好ましくない。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑み、区画線の認識結果と先行車両の走行軌跡とを適切に用いて、走路を高精度に推定することが可能な車両制御装置を提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、自車両が走行する走路を推定する車両装置であって、前記走路を区画する区画線を認識する区画線認識部と、前記自車両の前方に存在する先行車両を認識する車両認識部と、認識された前記先行車両の位置の履歴に基づいて、前記先行車両の走行軌跡を推定する軌跡推定部と、認識された前記区画線に基づいて、前記走路を特定する複数の走路パラメータとして、複数の第1パラメータを推定する第1推定部と、推定された前記走行軌跡に基づいて、前記複数の走路パラメータとして、複数の第2パラメータを推定する第2推定部と、推定された各第1パラメータの第1信頼度をそれぞれ算出する第1信頼度算出部と、推定された各第2パラメータの第2信頼度をそれぞれ算出する第2信頼度算出部と、前記走路パラメータのそれぞれについて、前記第1信頼度及び前記第2信頼度に応じて、前記第1パラメータと前記第2パラメータとを統合して、統合パラメータを算出するパラメータ統合部と、を備え、算出された統合パラメータに基づいて前記走路を推定する。
【0008】
本発明によれば、走路を区画する区画線が認識される。そして、認識された区画線に基づいて複数の走路パラメータである複数の第1パラメータが推定され、推定された各第1パラメータの第1信頼度がそれぞれ算出される。また、先行車両が認識され、先行車両の走行軌跡が推定される。そして、推定された走行軌跡に基づいて複数の走路パラメータでる複数の第2パラメータが推定され、推定された各第2パラメータの第2信頼度がそれぞれ算出される。
【0009】
外乱等の影響が少ない定常的な状況における二つの推定方法の基本特性は、走路パラメータごとに異なる。よって、走路パラメータごとに、区画線に基づいた推定精度の方が高くなったり、走行軌跡に基づいた推定精度の方が高くなったりすることもある。そのため、走路パラメータを一まとめにして、第1パラメータと第2パラメータのどちらかを択一的に選択することは望ましくない。ただし、自車両の走行における都度の状況においては、外乱等の自車両が存在する環境における各種条件によって、二つの推定方法における走路パラメータごとの推定精度の高低が、定常的な状況とは変わることもある。よって、走路パラメータごとに、第1パラメータと第2パラメータとを統合するとしても、状況に関わらず一様な統合をすることも望ましくない。そこで、走路パラメータのそれぞれについて、第1信頼度及び第2信頼度に応じて、第1パラメータと第2パラメータとが統合され、統合パラメータが算出される。これにより、走路パラメータごとに、信頼度の高い統合パラメータを算出できる。したがって、区画線の認識結果と先行車両の走行軌跡とを適切に用いて、走路を高精度に推定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】車載カメラ装置及びレーダ装置の搭載位置を示す図。
図2】車両制御装置の構成を示すブロック図。
図3】白線認識から走路パラメータを推定する態様を示す図。
図4】走行軌跡から走路パラメータを推定する態様を示す図。
図5】統合パラメータを算出する態様を示す図。
図6】運転支援を実施する処理手順を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、車両制御装置を具現化した実施形態について、図面を参照しつつ説明する。まず、図1及び図2を参照して、本実施形態に係る車両制御装置の構成について説明する。本実施形態に係る車両制御装置は、ECU20から構成されている。ECU20は、CPU、ROM、RAM及びI/O等を備えたコンピュータである。ECU20は、CPUがROMに格納されているプログラムを実行することにより、後述する各機能を実現する。
【0012】
ECU20には、ECU20へ検知情報を入力するセンサとして、カメラ装置10及びレーダ装置11が接続されている。また、ECU20には、ECU20から制御指令を出力する装置として、操舵制御装置40及び警報装置50が接続されている。
【0013】
カメラ装置10は、例えばCCDイメージセンサ、CMOSイメージセンサ、近赤外線センサ等の単眼カメラ又はステレオカメラを含む装置である。図1に示すように、カメラ装置10は、例えばフロントガラスの上端付近で且つ車幅方向の中央付近に取り付けられており、自車両MAの前方へ向けて所定角度範囲で広がる領域を撮影する。そして、カメラ装置10は、所定周期ごとに、撮影した画像をECU20へ送信する。
【0014】
レーダ装置11は、例えば、ミリ波を送信波とするミリ波レーダを含む装置であり、図1に示すように、自車両MAの前端部分に設置されている。レーダ装置11は、所定の検知角で広がる領域内の物標の位置を検知する。具体的には、レーダ装置11は、所定周期で送信波を送信して、物標に反射された反射波を複数のアンテナにより受信する。そして、レーダ装置11は、送信波を送信してから反射波を受信するまでの時間から、自車両MAから物標までの距離を算出する。
【0015】
また、レーダ装置11は、ドップラー効果による反射波の周波数変化から、自車両MAに対する物標の相対速度を算出する。さらに、レーダ装置11は、複数のアンテナにより受信した反射波の位相差から、物標の方位を算出する。物標の位置及び方位を算出できると、その物標の自車両MAに対する相対位置を特定することができる。レーダ装置11は、所定周期ごとに、送信波の送信並びに相対位置と相対速度の算出を行い、算出した物標の相対位置及び相対速度からなる検知情報をECU20へ送信する。なお、所定周期は、カメラ装置10における所定周期と同じでもよいし異なっていてもよい。
【0016】
操舵装置40は、ECU20から送信された制御指令に基づいて、自車両MAが走路内の走行を維持するように、自車両MAの操舵制御を実施する装置である。警報装置50は、自車両MAの車室内に設置されたスピーカやディスプレイ、ブザーである。警報装置50は、ECU20から送信された制御指令に基づいて、走路逸脱警報を出力する。
【0017】
ECU20は、白線認識部21、第1パラメータ推定部22、第1信頼度算出部23、先行車両認識部24、軌跡推定部25、第2パラメータ推定部26、第2信頼度算出部27、パラメータ統合部28、統合信頼度算出部29、及び支援処理部30の機能を実現する。
【0018】
白線認識部21(区画線認識部)は、カメラ装置10により撮影された画像にsobelフィルタ等を適用してエッジ点を抽出し、抽出したエッジ点に対してハフ変換等を行って、自車両MAが走行する走路(車線)を区画する左右の白線Ll,Lrを認識する。白線認識の手法は周知であるため、詳細な説明は省略する。なお、本実施形態では、白色の区画線に限らず黄色の区画線等も含めた全ての区画線を白線と称する。
【0019】
第1パラメータ推定部22(第1推定部)は、白線認識部21により認識された白線に基づいて、走路を特定する複数の走路パラメータを推定する。推定する走路パラメータは、曲率ρ1、ヨー角φ1、オフセットd1である。曲率ρ1は走路の曲率、ヨー角φ1は、自車両MAの進行方向に対する走路の幅方向の中心線の傾きである。また、オフセットd1は、走路の幅方向における自車両MAの位置に対する中心線のずれ量である。これらの走路パラメータは、操舵制御装置40による自車両MAの操舵制御や、警報装置50による逸脱警報の出力に用いられる。
【0020】
具体的には、第1パラメータ推定部22は、図3に示すように、認識した左右の白線Ll,Lrから、走路の幅方向の中心線Lcを算出する。そして、第1パラメータ推定部22は、算出した中心線Lcの曲率、自車両MAに対する中心線Lcの傾き、走路の幅方向における自車両MAの位置に対する中心線Lcのずれ量を、曲率ρ1、ヨー角φ1、オフセットd1として算出する。本実施形態では、第1パラメータ推定部22により算出された曲率ρ1、ヨー角φ1、オフセットd1が、それぞれ第1パラメータに相当する。
【0021】
第1信頼度算出部23は、第1パラメータ推定部22により推定された走路パラメータ、すなわち曲率ρ1、ヨー角φ1、オフセットd1の信頼度Rρ1、Rφ1、Rd1をそれぞれ算出する。信頼度は、各走路パラメータの推定精度を表し、推定精度が高いほど信頼度は高い。具体的には、第1信頼度算出部23は、各パラメータの時系列データの変化率に基づいて、各パラメータの信頼度Rρ1、Rφ1、Rd1を算出する。一般的に、走路が急激に変化することはなく、今回の処理タイミングで算出したパラメータの値が、前回の処理タイミングで算出したパラメータの値から、急激に変化することはない。しかしながら、自車両MAから遠方における白線を用いたパラメータの推定精度が低下したり、自車両MAが存在する環境下での各種条件によってパラメータの推定精度が低下したりして、パラメータの時間変化率が急激に変化することがある。この場合、パラメータの推定値が急激に変化したことに基づいて、パラメータの推定値の信頼度が低下した旨を把握できる。なお、定常的な状況において画像に基づいて白線を認識する場合、自車両MAの近傍における認識精度よりも遠方における認識精度は低くなる。
【0022】
よって、第1信頼度算出部23は、各パラメータについて、例えば、前回算出したパラメータの値に対する今回算出したパラメータの値の変化量が、判定値よりも大きい場合に、信頼度Rρ1、Rφ1、Rd1を基準値よりも低くする。第1信頼度算出部23は、判定値を段階的に用意しておき、最高値から最低値までの間において、信頼度Rρ1、Rφ1、Rd1を段階的に算出してもよいし、変化量が大きいほど信頼度Rρ1、Rφ1、Rd1を低く連続的に算出してもよい。走路が急カーブの形状となっている場合、パラメータの時間変化率は比較的大きくなるが、一般に画像に基づいた急カーブの認識精度は比較的低いため、信頼度が低く算出されてもよい。このようにして、走路パラメータごとに、時系列上の変化率を逐次監視することにより、定常的な状況における推定精度に、都度の状況における各種条件を加味した信頼度が判定される。なお、白線が認識できなかった場合は、信頼度Rρ1、Rφ1、Rd1を例えば0にする。
【0023】
先行車両認識部24は、レーダ装置11から送信された検知情報から物標の位置(第1位置)を取得する。また、先行車両認識部24は、カメラ装置10により撮影された画像からエッジ点を抽出し、抽出したエッジ点に対してハフ変換等を行って、物標の存在を示す特徴点を抽出する。そして、先行車両認識部24は、抽出した特徴点から物標の位置(第2位置)を取得する。さらに、先行車両認識部24は、互いに近傍に位置する第1位置と第2位置とを、同じ物標に対応するものであると対応づける。第1位置と第2位置とが互いに近傍に存在し、レーダ装置11及びカメラ装置10により物標の位置が精度良く取得できている状態を、フュージョン状態と称する。
【0024】
先行車両認識部24は、フュージョン状態であると判定した物標について、画像から抽出した特徴点に対してパターンマッチングを行う。そして、先行車両認識部24は、物標が車両であるか歩行者であるかを判別し、判別した種別を物標に対応づける。さらに、先行車両認識部24は、物標ごとに、自車両MAに対する相対位置及び相対相度を対応づける。そして、先行車両認識部24は、取得した物標の中から、自車両MAの走路の前方を走行し、自車両MAが追従可能な先行車両MBを認識する。
【0025】
軌跡推定部25は、先行車両認識部24により認識された先行車両MBの位置の履歴に基づいて、先行車両MBの走行軌跡Tcを推定する。具体的には、軌跡推定部25は、図4に示すように、先行車両MBの位置の履歴P1〜P5を繋いで、走行軌跡Tcを算出する。少なくとも3つの先行車両MBの位置の履歴があれば、走行軌跡Tcが算出される。
【0026】
第2パラメータ推定部26(第2推定部)は、軌跡推定部25により推定された走行軌跡Tcに基づいて、走路を特定する複数の走路パラメータを推定する。推定する走路パラメータは、曲率ρ2、ヨー角φ2、オフセットd2であり、それぞれ曲率ρ1、ヨー角φ1、オフセットd1に対応する。
【0027】
具体的には、第2パラメータ推定部26は、算出した走行軌跡Tcの曲率、自車両MAの進行方向に対する走行軌跡Tcの傾き、走路の幅方向における自車両MAの位置に対する走行軌跡Tcのずれ量を、曲率ρ2、ヨー角φ2、オフセットd2として算出する。本実施形態では、第2パラメータ推定部26により推定された走路パラメータ、すなわち曲率ρ2、ヨー角φ2、オフセットd2が、それぞれ第2パラメータに相当する。
【0028】
第2信頼度算出部27は、第2パラメータ推定部26により推定された走路パラメータ、すなわち曲率ρ2、ヨー角φ2、オフセットd2の信頼度Rρ2、Rφ2、Rd2をそれぞれ算出する。具体的には、第1信頼度算出部23による信頼度Rρ1、Rφ1、Rd1と同様に、各パラメータの時系列データの変化率に基づいて、各パラメータの信頼度Rρ2、Rφ2、Rd2を算出する。信頼度Rρ2、Rφ2、Rd2の算出手法は、信頼度Rρ1、Rφ1、Rd1と同様であるから、詳細な説明は省略する。なお、先行車両MBが認識できず、走行軌跡Tcを推定でなかった場合は、信頼度Rρ2、Rφ2、Rd2の信頼度を例えば0にする。また、走行軌跡Tcを推定できたが、位置の履歴のサンプリング数が比較的少ない場合には、信頼度Rρ2、Rφ2、Rd2の信頼度を低下させてもよい。
【0029】
パラメータ統合部28は、第1パラメータである曲率ρ1、ヨー角φ1、オフセットd1と、第2パラメータである曲率ρ2、ヨー角φ2、オフセットd2とを統合して、車両制御に用いる曲率ρ0、ヨー角φ0、オフセットd0を算出する。本実施形態では、曲率ρ0、ヨー角φ0、オフセットd0がそれぞれ統合パラメータに相当する。
【0030】
ここで、一般に、晴天の日中のような外乱の影響が少ない定常的な状況では、白線の認識結果に基づく推定精度の方が高い走路パラメータと、走行軌跡Tcに基づく推定精度の方が高い走路パラメータとがある。一般に、白線の認識精度は、自車両MAの近傍よりも遠方の方が低くなるため、自車両MAの近傍で認識した白線だけから算出するオフセットd1の推定精度は比較的高くなるが、自車両MAから遠方で認識した白線を用いて算出する曲率ρ1の推定精度は比較的低くなる。一方、走行軌跡Tcは実際に先行車両MBが走行した軌跡であるため、走行軌跡Tcから算出する曲率ρ2の推定精度は比較的高くなる。また、先行車両MBは、必ずしも走路の幅方向における中心を走行しているとは限らないため、走行軌跡Tcから算出するオフセットd2の推定精度は比較的低くなる。
【0031】
このように、定常的な状況では、走路パラメータごとに、白線の認識結果に基づく推定の基本特性と、走行軌跡Tcに基づく推定の基本特性とが異なる。よって、自車両MAの制御に用いる3つの走路パラメータを一まとめにして、白線の認識結果に基づく第1パラメータか、走行軌跡Tcに基づく第2パラメータか、選択することは望ましくない。
【0032】
そこで、パラメータ統合部28は、走路パラメータのそれぞれについて、第1パラメータと第2パラメータとを統合する。本実施形態において、第1パラメータと第2パラメータとを統合することには、それぞれのパラメータの比率を0〜100%の範囲で変化させ、その上で両パラメータを足し合せることを含む。
【0033】
ただし、雨天や夜間のような外乱等の影響がある都度の状況下では、二つの推定方法における走路パラメータごとの推定精度の高低が、定常的な状況とは変わることもある。例えば、白線の認識結果に基づくオフセットd1よりも、走行軌跡Tcに基づくオフセットd2の方が、推定精度が高くなることもある。また、先行車両が存在しない場合など、走行軌跡Tcに基づく曲率ρ2よりも、白線の認識結果に基づく曲率ρ1の方が、推定精度が高くなることもある。よって、都度の状況に関わらず、走路パラメータごとに、第1パラメータと第2パラメータとを一様な比率で統合することは望ましくない。
【0034】
したがって、パラメータ統合部28は、図5に示すように、第1信頼度及び第2信頼度に応じて、第1パラメータと第2パラメータとを統合して、統合パラメータを算出する。上述したように、第1信頼度及び第2信頼度は、定常的な状況における推定精度に、都度の状況における各種条件を加味した信頼度である。よって、第1信頼度及び第2信頼度に応じて、第1パラメータと第2パラメータとを統合することにより、定常的な状況における基本特性に都度の状況を加味して、統合パラメータが算出される。パラメータ統合部28は、信頼度Rρ1及び信頼度Rρ2に応じて、曲率ρ1及び曲率ρ2を統合して、統合パラメータである曲率ρ0を算出する。また、信頼度Rφ1及び信頼度Rφ2に応じて、ヨー角φ1及びヨー角φ2を統合して、統合パラメータであるヨー角φ0を算出する。また、信頼度Rd1及び信頼度Rd2に応じて、オフセットd1及びオフセットd2を統合して、統合パラメータであるオフセットd0を算出する。
【0035】
具体的には、パラメータ統合部28は、走路パラメータごとに、第1信頼度及び第2信頼度に応じて、第1パラメータ及び第2パラメータのうちの一方を選択し、選択した一方を統合パラメータとする。すなわち、走路パラメータごとに、第1パラメータと第2パラメータとで、信頼度の高い方のパラメータを、統合パラメータとする。例えば、曲率ρ1の信頼度Rρ1よりも曲率ρ2の信頼度Rρ2の方が高い場合は、曲率ρ2を統合パラメータの曲率ρ0とする。
【0036】
あるいは、パラメータ統合部28は、走路パラメータごとに、第1信頼度及び第2信頼度に応じて、第1パラメータ及び第2パラメータのそれぞれに重み付けして、重み付けした第1パラメータと第2パラメータとを足し合わせて、統合パラメータを算出してもよい。例えば、統合パラメータの曲率ρ0を算出する場合、曲率ρ1にRρ1/(Rρ1+Rρ2)の重みを付け、曲率ρ2にRρ2/(Rρ1+Rρ2)の重みを付けて、足し合せる。
【0037】
統合信頼度算出部29は、パラメータ統合部28により算出された各統合パラメータ、すなわち曲率ρ0、ヨー角φ0、オフセットd0の統合信頼度Rρ0、Rφ0、Rd0をそれぞれ算出する。第1パラメータの曲率ρ1、ヨー角φ1、オフセットd1と、第2パラメータの曲率ρ2、ヨー角φ2、オフセットd2とは、理想的にはそれぞれ一致するものであるが、何らかの推定誤差により差が生じる。一般に、第1パラメータと第2パラメータとの差が大きい場合は、差が小さい場合よりも、統合パラメータに含まれる推定誤差が大きい可能性が高い。よって、統合信頼度算出部29は、統合パラメータのそれぞれについて、対応する第1パラメータと対応する第2パラメータとの差が大きいほど、統合信頼度を低下させる。
【0038】
具体的には、パラメータ統合部28により、統合パラメータとして、第1パラメータと第2パラメータのいずれか一方が選択された場合は、統合信頼度算出部29は、選択された方のパラメータの信頼度を、第1パラメータと第2パラメータとの差が大きいほど低下させて、統合信頼度とする。例えば、統合パラメータの曲率ρ0として、第2パラメータの曲率ρ2が選択された場合は、曲率ρ2の信頼度Rρ2を、曲率ρ1と曲率ρ2との差が大きいほど低下させて、曲率ρ0の信頼度Rρ0とする。統合信頼度算出部29は、第1パラメータと第2パラメータとの差が所定値以下であれば、選択された方のパラメータの信頼度を上げ、差が所定値以下であれば、選択された方のパラメータの信頼度を下げて、統合信頼度としてもよい。
【0039】
あるいは、パラメータ統合部28により、第1パラメータと第2パラメータとを信頼度で重み付けして足し合せた場合は、同様に第1信頼度と第2信頼度とを重み付けして足しわせ、足し合せた信頼度を、第1パラメータと第2パラメータとの差が大きいほど低下させて、統合信頼度とする。例えば、曲率ρ1と曲率ρ2とを重み付けして足し合せたものを曲率ρ0とした場合は、信頼度Rρ1と信頼度Rρ2とを重み付けして足し合せたものを、曲率ρ1と曲率ρ2との差が大きいほど低下させて、曲率ρ0の信頼度Rρ0を算出する。統合信頼度算出部29は、第1パラメータと第2パラメータとの差が所定値以下であれば、重み付けして足し合せた信頼度を上げ、差が所定値以下であれば、重み付けして足し合せた信頼度を下げて、統合信頼度としてもよい。
【0040】
支援処理部30は、統合パラメータに基づいて、自車両の運転支援を実施する。運転支援を実施する際、逸脱警報を実施するよりも操舵制御を実施する方が、運転者の負担を軽減できるが、統合パラメータの誤差が大きいときに操舵制御を実施すると、走路内の走行を妨げるおそれがある。よって、支援処理部30は、統合パラメータの統合信頼度に応じて、運転支援の度合を変化させ、運転支援の度合に応じた制御指令を車両制御装置40又は警報装置50へ送信する。
【0041】
例えば、支援処理部30は、統合信頼度Rρ0、Rφ0、Rd0が全て第1閾値以上の場合には、制御量として統合パラメータρ0、φ0、d0から自車両MAの操舵トルクを算出し、算出した操舵トルクに応じた制御指令を操舵制御装置40へ送信して、操舵制御を実施する。また、支援処理部30は、統合信頼度Rρ0、Rφ0、Rd0が全て第1閾値よりも低い場合は、運転支援を実施せず、統合信頼度Rρ0、Rφ0、Rd0のうちのいずれか1つが第1閾値よりも低い場合には、車線から自車両MAが逸脱しそうなときに、警報出力の制御指令を警報装置50へ送信して、走路逸脱警報を実施する。
【0042】
ここで、統合パラメータに基づいて自車両の運転支援を実施する際に、比較的大きな操舵トルクで自車両MAを制御する場合、統合パラメータの誤差が大きいと、直ぐに自車両MAが走路を逸脱してしまうおそれがある。よって、支援処理部30は、操舵制御を実施する際に、統合信頼度Rρ0、Rφ0、Rd0に応じて、自車両MAを制御する操舵トルクの大きさを変化させる。
【0043】
具体的には、支援処理部30は、例えば、統合信頼度Rρ0、Rφ0、Rd0が全て第2閾値以上の場合には、比較的強い操舵トルクによる自車両MAの操舵制御を実施する。また、支援処理部30は、統合信頼度Rρ0、Rφ0、Rd0のいずれかが、第1閾値よりも大きな値である第2閾値よりも低い場合には、比較的弱い操舵トルクによる自車両MAの操舵制御を実施する。支援処理部30は、比較的強い操舵トルクによる自車両MAの操舵制御を実施する場合は、統合パラメータから操舵トルクを算出する際のゲインを比較的大きくする。また、支援処理部30は、比較的弱い操舵トルクによる自車両MAの操舵制御を実施する場合は、統合パラメータから操舵トルクを算出する際のゲインを比較的小さくして、操舵トルクを低減する。
【0044】
また、支援処理部30は、制限部31の機能を備える。制限部31は、操舵トルクを算出する際に用いる統合パラメータの大きさ及び変化量を制限値に制限する。制限値は統合パラメータごとに設定されている。例えば、曲率ρ0の制限値がXであり、算出された曲率ρ0の値YがXよりも大きい場合は、制限部31は、操舵トルクを算出する際に用いる曲率ρ0の値を制限値のXとする。また、例えば、曲率ρ0の変化量の制限値がΔXであり、前回の曲率ρ0の値がA、今回の曲率ρ0の値がBで、変化量ΔY(=B−A)が制限値のΔXよりも大きい場合、制限部31は、操舵トルクを算出する際に用いる曲率ρ0の値を、A+ΔXに制限する。すなわち、制限部31は、操舵トルクを算出する際に用いる曲率ρ0の値を、AからBに一度に変化させず、A+ΔXに制限する。
【0045】
さらに、制限部31は、統合パラメータごとに、統合パラメータの統合信頼度に応じて、制限値を変化させる。具体的には、制限部31は、統合パラメータごとに、統合パラメータの統合信頼度が低いほど、制限値を小さくする。例えば、制限部31は、曲率ρ0の信頼度Rρ0が閾値よりも低い場合は、曲率ρ0の制限値及び曲率ρ0の変化量の制限値を、信頼度Rρ0が閾値以上の場合よりも小さくする。なお、制限部31は、各統合パラメータの大きさ及び変化量のいずれか一方を制限値に制限するだけでもよい。
【0046】
次に、運転支援を実施する処理手順について、図6のフローチャートを参照して説明する。本処理手順は、ECU20が、所定周期で繰り返し実行する。
【0047】
まず、カメラ装置10により撮影された画像に基づいて、自車両MAが走行する走路の左右の白線を認識する(S21)。続いて、レーダ装置11により検知された検知情報、及びカメラ装置10により撮影された画像に基づいて、先行車両MBを認識し、先行車両MBの走行軌跡Tcを推定する(S11)。
【0048】
続いて、S10で認識した白線に基づいて、走路パラメータである曲率ρ1、ヨー角φ1、オフセットd1を算出する(S12)。続いて、S11で推定した先行車両MBの走行軌跡Tcに基づいて、走路パラメータである曲率ρ2、ヨー角φ2、オフセットd2を算出する(S13)。
【0049】
続いて、S12で算出した曲率ρ1、ヨー角φ1、オフセットd1の信頼度Rρ1、Rφ1、Rd1をそれぞれ算出する(S14)。続いて、S13で算出した曲率ρ2、ヨー角φ2、オフセットd2の信頼度Rρ2、Rφ2、Rd2をそれぞれ算出する(S15)。
【0050】
続いて、信頼度Rρ1と信頼度Rρ2、信頼度Rφ1と信頼度Rφ2、信頼度Rd1と信頼度Rdに基づいて、曲率ρ1と曲率ρ2、ヨー角φ1とヨー角φ2、オフセットd1とオフセットd2をそれぞれ統合する。そして、統合パラメータである曲率ρ0、ヨー角φ0、オフセットd0をそれぞれ算出する(S16)。
【0051】
続いて、曲率ρ1と曲率ρ2との差、ヨー角φ1とヨー角φ2との差、オフセットd1とオフセットd2との差に基づいて、統合パラメータの統合信頼度Rρ0、Rφ0、Rd0をそれぞれ算出する(S17)。
【0052】
続いて、統合パラメータρ0、φ0、d0、及び統合信頼度Rρ0、Rφ0、Rd0に基づいて、自車両MAの操舵トルクを算出する(S18)。統合信頼度が比較的低い場合は、操舵トルクを0とし、走路逸脱警報を実施する、又は運転支援を実施しない。続いて、S17で算出した操舵トルクに応じた制御指令を車両制御装置40へ送信する(S19)。走路逸脱警報を実施する場合は、自車両MAが走路を逸脱しそうなときに、警報出力を指令する制御指令を警報装置50へ送信する。以上で本処理を終了する。
【0053】
以上説明した本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
【0054】
・走路パラメータごとに、白線認識に基づいて推定された第1パラメータと、走行軌跡Tcに基づいて推定された第2パラメータとが、各パラメータの信頼度に応じて統合され、統合パラメータが算出される。よって、走路パラメータごとに、信頼度の高い統合パラメータを算出できる。したがって、白線の認識結果と先行車両MBの走行軌跡Tcとを適切に用いて、走路を高精度に推定することができる。
【0055】
・外乱等の影響の少ない定常的な状況において、白線の認識結果に基づく推定では、曲率ρ1の推定精度が比較的低くオフセットd1の推定精度が比較的高くなる。一方、同じ状況において、走行軌跡Tcに基づく推定では、曲率ρ2の推定精度が比較的高くオフセットd2の推定精度が比較的低くなる。すなわち、パラメータ推定の基本特性としては、曲率ρ1よりも曲率ρ2の推定精度が高く、オフセットd2よりもオフセットd1の推定精度が高くなる。よって、曲率ρ1と曲率ρ2、オフセットd1とオフセットd2を、個別に統合すると効果的である。
【0056】
・都度の状況に応じて、定常的な状況での基本特性が変化することがある。各走路パラメータの時系列上の変化率は、定常的な状況における推定精度と都度の状況における各種条件によって増減する。よって、走路パラメータごとに時系列上の変化率を逐次監視し、その変化率に基づいて信頼度の変化を判定すれば、定常的な状況における推定精度に、都度の状況における各種条件を加味した信頼度を判定できる。すなわち、走路パラメータごとの信頼度の判定を正しく実施できる。
【0057】
・走路パラメータごとに、第1信頼度及び第2信頼度に応じて、第1パラメータと第2パラメータのうちの一方が選択され、選択された一方が統合パラメータとされる。この場合、走路パラメータごとに、二つの異なる方法で推定されたパラメータのうちの信頼度の高い方を選択して、信頼度の高い統合パラメータを算出することができる。
【0058】
・走路パラメータごとに、第1信頼度及び第2信頼度に応じて、第1パラメータ及び第2パラメータのそれぞれが重み付けされ、足し合されて統合パラメータが算出される。この場合、走路パラメータごとに、二つの異なる方法で推定されたパラメータの信頼度を反映して、信頼度の高い統合パラメータを算出できる。
【0059】
・第1パラメータと第2パラメータとの差が大きい場合は、差が小さい場合よりも、統合パラメータに含まれる誤差が大きい可能性が高い。よって、統合パラメータごとに、第1パラメータと第2パラメータとの差が大きいほど、統合パラメータの統合信頼度が下げられる。これにより、各統合パラメータについて、適切な統合信頼度を算出できる。
【0060】
・統合パラメータの統合信頼度に応じて、自車両MAを制御する操舵トルクの大きさを変化させることにより、統合信頼度が高い場合には運転者の負担を軽減しつつ、統合信頼度が低い場合には自車両MAの走路逸脱を抑制することができる。
【0061】
・統合パラメータごとに、統合パラメータの大きさ及び変化量の少なくとも一方が制限値に制限されることにより、自車両の操舵トルクが制限値に応じて制限される。そして、統合パラメータごとに、統合信頼度に応じて制限値が変化させられる。これにより、統合信頼度に応じて自車両の操舵トルクが制限される。したがって、統合信頼度が高い場合には運転者の負担を軽減しつつ、統合信頼度が低い場合には自車両MAの走路逸脱を抑制することができる。
【0062】
(他の実施形態)
・先行車両MBの認識は、レーダ装置11により検知された検知情報、及びカメラ装置10により撮影された画像のいずれか一方のみに基づいて行ってもよい。なお、先行車両MBの認識を上記二つのうちのいずれか一方のみに基づいて行う場合は、レーダ装置11により検知された検知情報に基づいて行うと、例えば画像が不鮮明な状況でも、走行軌跡Tcに基づいて推定した走路パラメータを用いて、運転支援を実施できる。
【0063】
・運転支援として、自車両MAの操舵制御のみを実施し、逸脱警報制御は実施しなくてもよい。すなわち、統合信頼度が閾値よりも高い場合には操舵制御を実施し、統合信頼度が閾値以下の場合には運転支援を実施しなくてもよい。この場合、警報装置50はECU20に接続されていなくてもよい。
【0064】
・ECU20の各機能は、車両に搭載された処理装置(コンピュータ)であるECU20に限らず、例えば運転者が所持する携帯情報端末等の処理装置で実現してもよい。
【符号の説明】
【0065】
20…ECU、MA…自車両、MB…先行車両。
図1
図2
図3
図4
図5
図6