特許第6432682号(P6432682)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6432682
(24)【登録日】2018年11月16日
(45)【発行日】2018年12月5日
(54)【発明の名称】電磁クラッチ
(51)【国際特許分類】
   F16D 27/112 20060101AFI20181126BHJP
【FI】
   F16D27/112 W
   F16D27/112 K
【請求項の数】4
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2017-528687(P2017-528687)
(86)(22)【出願日】2016年7月12日
(86)【国際出願番号】JP2016070544
(87)【国際公開番号】WO2017010479
(87)【国際公開日】20170119
【審査請求日】2017年7月27日
(31)【優先権主張番号】特願2015-139705(P2015-139705)
(32)【優先日】2015年7月13日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】特許業務法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊波 悟史
(72)【発明者】
【氏名】林 敏弘
【審査官】 中島 亮
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−161389(JP,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2011−0018699(KR,A)
【文献】 特開2002−195298(JP,A)
【文献】 特開平11−351282(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16D 25/00−39/00
F16D 48/00−48/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動源(10)から出力された回転駆動力を駆動対象装置(2)に対して伝達する電磁クラッチであって、
前記駆動対象装置の回転軸の軸線(S)を中心として前記回転駆動力により回転する駆動側回転体(30)と、
前記駆動側回転体に対して前記軸線の軸線方向一方側に配置されて、前記軸線を中心として回転自在に構成された従動側回転体(40)と、
板状に形成されて、前記駆動対象装置の回転軸(2a)と共に回転可能に構成され、前記従動側回転体に接続される板バネ(45)と、
前記板バネに取り付けられる閉塞部材(60、70)と、を備え、
前記従動側回転体には、前記軸線方向の一端側から他端側に貫通する第1貫通穴(40a)が形成され、
前記板バネには、前記軸線方向の一端側から他端側に貫通する第2貫通穴(45b、45c、45d)が形成され、
前記従動側回転体の前記第1貫通穴に対する径方向内側、前記駆動側回転体、前記従動側回転体の前記第1貫通穴に対する径方向外側、を通る磁気回路の発生と消滅の切り替わりに応じて、前記板バネの弾性変形により、前記駆動側回転体と前記従動側回転体との連結および離間が切り替わり、
前記閉塞部材は、前記第2貫通穴の少なくとも一部を塞ぐ主閉塞部(71b〜71d)と、前記軸線方向に交差する方向に前記主閉塞部から突出するフランジ部(73)と、前記主閉塞部の前記軸線方向の前記従動側回転体とは反対側の面と接続して前記第2貫通穴から前記軸線方向の前記従動側回転体とは反対側に突出する部分(72b〜72d)と、を有し、
前記フランジ部は、前記板バネと前記従動側回転体の間において、前記板バネの、前記第2貫通穴の側の端部と、前記軸線方向に重なり、
前記駆動側回転体と前記従動側回転体とが連結したクラッチオン状態において、前記板バネの前記第2貫通穴の側の前記端部から、前記軸線方向に沿って前記フランジ部に至るまでの最短距離(L3)は、前記板バネの前記第2貫通穴の側の前記端部から径方向に沿って前記主閉塞部に至るまでの最短距離(L1)よりも、長い、電磁クラッチ。
【請求項2】
前記閉塞部材の一部は、前記板バネと前記従動側回転体の間に配置されている請求項1に記載の電磁クラッチ。
【請求項3】
前記第1貫通穴と前記第2貫通穴が前記軸線方向に重なる請求項1または2に記載の電磁クラッチ。
【請求項4】
前記主閉塞部と前記フランジ部は、一体に成形されている請求項1ないし3のいずれか1つに記載の電磁クラッチ。
【発明の詳細な説明】
【関連出願への相互参照】
【0001】
本出願は、2015年7月13日に出願された日本特許出願番号2015−139705号に基づくもので、ここにその記載内容が参照により組み入れられる。
【技術分野】
【0002】
本開示は、電磁クラッチに関するものである。
【背景技術】
【0003】
従来、この種の電磁クラッチにおいて、走行用エンジンから出力される回転駆動力を冷凍サイクル装置の圧縮機へ伝達するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
このものにおいて、内部への異物の侵入を防止するために、当該電磁クラッチの外側を覆うカバーを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−293734号公報
【発明の概要】
【0006】
発明者は、板バネおよびハブを適用したタイプの電磁クラッチについて、その内部への異物の侵入を防止する構造について検討した。
【0007】
このタイプの電磁クラッチは、圧縮機の回転軸とともに回転するハブと、アーマチャに対して軸線方向一方側に配置されている板バネと、回転軸の軸線を中心として走行用エンジンからの回転駆動力によって回転するプーリと、軸線を中心として回転自在に構成されているアーマチャとを備える。板バネは、ハブおよびアーマチャのそれぞれに接続されている。
【0008】
ここで、電磁コイルに通電することにより、アーマチャとプーリの間に電磁力としての吸引力が作用して、板バネが弾性変形した状態で、アーマチャとプーリが連結される。一方、電磁コイルへの通電を停止すると、アーマチャとプーリの間に吸引力が発生することが停止され、板バネの弾性変形が戻ることにより、アーマチャとプーリが分離する。
【0009】
ここで、電磁コイルによってアーマチャとプーリの間に吸引力を発生させるために、アーマチャおよびプーリに、磁束が通過する磁気回路を形成することが必要になる。
【0010】
このため、アーマチャには、磁束が通過する領域を径方向外側および径方向内側に分離するために、軸線方向に貫通し、かつ軸線を中心とする円弧状に延びる貫通穴を設ける必要がある。
【0011】
さらに、板バネには、弾性変形が可能かつ容易になるために軸線方向の一端側から他端側に貫通する貫通穴が設けられている。したがって、異物が板バネの貫通穴およびアーマチャの貫通穴を通してアーマチャとプーリの間に侵入して、クラッチ作動の不具合を生じる恐れがある。特に、板バネの貫通穴とアーマチャの貫通穴とが重なっていると、異物がアーマチャおよびプーリの間に侵入し易くなる。
【0012】
本開示は上記点に鑑みて、アーマチャに相当する従動側回転体とプーリに相当する駆動側回転体の間に異物が侵入する可能性を低減する電磁クラッチを提供することを目的とする。
【0013】
本開示の1つの観点によれば、駆動源から出力された回転駆動力を駆動対象装置に対して伝達する電磁クラッチが、前記駆動対象装置の回転軸の軸線を中心として前記回転駆動力により回転する駆動側回転体と、前記駆動側回転体に対して前記軸線の軸線方向一方側に配置されて、前記軸線を中心として回転自在に構成された従動側回転体と、板状に形成されて、前記駆動対象装置の回転軸と共に回転可能に構成され、前記従動側回転体に接続される板バネと、前記板バネに取り付けられる閉塞部材と、を備え、前記従動側回転体には、前記軸線方向の一端側から他端側に貫通する第1貫通穴が形成され、前記板バネには、前記軸線方向の一端側から他端側に貫通する第2貫通穴が形成され、前記従動側回転体の前記第1貫通穴に対する径方向内側、前記駆動側回転体、前記従動側回転体の前記第1貫通穴に対する径方向外側、を通る磁気回路の発生と消滅の切り替わりに応じて、前記板バネの弾性変形により、前記駆動側回転体と前記従動側回転体との連結および離間が切り替わり、り、前記閉塞部材は、前記第2貫通穴の少なくとも一部を塞ぐ主閉塞部(71b〜71d)と、前記軸線方向に交差する方向に前記主閉塞部から突出するフランジ部(73)と、前記主閉塞部の前記軸線方向の前記従動側回転体とは反対側の面と接続して前記第2貫通穴から前記軸線方向の前記従動側回転体とは反対側に突出する部分(72b〜72d)と、を有し、前記フランジ部は、前記板バネと前記従動側回転体の間において、前記板バネの、前記第2貫通穴の側の端部と、前記軸線方向に重なり、前記駆動側回転体と前記従動側回転体とが連結したクラッチオン状態において、前記板バネの前記第2貫通穴の側の前記端部から、前記軸線方向に沿って前記フランジ部に至るまでの最短距離(L3)は、前記板バネの前記第2貫通穴の側の前記端部から径方向に沿って前記主閉塞部に至るまでの最短距離(L1)よりも、長い、
【0014】
このように、閉塞部材が板バネの第2貫通穴の少なくとも一部を塞いでいるので、第2貫通穴から従動側回転体と駆動側回転体の間に異物が侵入する可能性が低減される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】第1実施形態における冷凍サイクル装置の全体構成を示す図である。
図2図1の電磁クラッチの回転軸の軸線を含む断面のうち軸線に対して上側を示す半断面図である。
図3】アーマチァ単体を軸線方向一方側から視た図である。
図4】板バネ単体を軸線方向一方側から視た図である。
図5】板バネおよび閉塞部材を軸線方向一方側から視た図である。
図6】板バネおよび閉塞部材を軸線方向他方側から視た図である。
図7】板バネ単体の軸線方向一方側の斜視図である。
図8】板バネおよび閉塞部材の軸線方向一方側の斜視図である。
図9】板バネおよび閉塞部材の軸線方向他方側の斜視図である。
図10】クラッチオフ時における閉塞部材等の拡大断面図である。
図11】クラッチオン状態における閉塞部材等の拡大断面図である。
図12】非組み付け状態における閉塞部材等の拡大断面図である。
図13】アーマチァの貫通穴を板バネおよび閉塞部材に投影した図である。
図14】第2実施形態における電磁クラッチの回転軸の軸線を含む断面のうち軸線に対して上側を示す半断面図である。
図15】アーマチァ単体を軸線方向一方側から視た図である。
図16】板バネ単体を軸線方向一方側から視た図である。
図17】板バネおよび閉塞部材を軸線方向一方側から視た図である。
図18】板バネおよび閉塞部材を軸線方向他方側から視た図である。
図19】板バネ単体の軸線方向一方側の斜視図である。
図20】板バネおよび閉塞部材の軸線方向一方側の斜視図である。
図21】板バネおよび閉塞部材の軸線方向他方側の斜視図である。
図22】クラッチオフ時における閉塞部材等の拡大断面図である。
図23】クラッチオン状態における閉塞部材等の拡大断面図である。
図24】非組み付け状態における閉塞部材等の拡大断面図である。
図25】アーマチァの貫通穴を板バネおよび閉塞部材に投影した図である。
図26】第3実施形態における電磁クラッチのうちハブ、緩衝部材、およびアーマチァを軸線方向一方側から視た図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、説明の簡略化を図るべく、図中、同一符号を付してある。
【0019】
(第1実施形態)
図1は、本実施形態の電磁クラッチ20が適用された車両用空調装置の冷凍サイクル装置1の全体構成図である。
【0020】
冷凍サイクル装置1は、コンプレッサ2、放熱器3、膨張弁4、および、蒸発器5を接続したものである。コンプレッサ2は、冷媒を吸入して圧縮する。放熱器3は、コンプレッサ2の吐出冷媒を放熱させる。膨張弁4は、放熱器3から流出される冷媒を減圧膨張させる。蒸発器5は、膨張弁4にて減圧された冷媒を蒸発させて吸熱作用を発揮させる。
【0021】
コンプレッサ2は、車両のエンジンルームに設置されている。コンプレッサ2は、走行用駆動源としての走行用エンジン10から電磁クラッチ20を介して出力される回転駆動力によって圧縮機構を駆動させることにより、蒸発器5から冷媒を吸入して圧縮する。
【0022】
なお、圧縮機構としては、吐出容量が固定された固定容量型圧縮機構、あるいは、外部からの制御信号によって吐出容量を調整可能に構成された可変容量型圧縮機構のいずれを採用してもよい。
【0023】
本実施形態の電磁クラッチ20は、コンプレッサ2に連結されたプーリ一体型のクラッチ機構である。電磁クラッチ20は、エンジン側プーリ11からVベルト12を介して与えられる走行用エンジン10の回転駆動力をコンプレッサ2に伝達する。エンジン側プーリ11は、走行用エンジン10の回転駆動軸に連結されているものである。
【0024】
電磁クラッチ20は、後述するようにプーリ30およびアーマチァ40を備える。プーリ30は走行用エンジン10からのVベルト12を介して与えられる回転駆動力によって回転する駆動側回転体を構成する。アーマチァ40は、コンプレッサ2の回転軸2aに連結された従動側回転体を構成する。電磁クラッチ20は、プーリ30とアーマチァ40との間を連結、あるいは離すことで、走行用エンジン10からコンプレッサ2への回転駆動力の伝達を断続するものである。
【0025】
つまり、電磁クラッチ20においてプーリ30とアーマチァ40とが連結されると、走行用エンジン10の回転駆動力がコンプレッサ2に伝達されて、冷凍サイクル装置1が作動する。一方、電磁クラッチ20においてプーリ30とアーマチァ40とが離間すると、走行用エンジン10の回転駆動力がコンプレッサ2に伝達されることはなく、冷凍サイクル装置1も作動しない。
【0026】
次に、本実施形態の電磁クラッチ20の詳細構成について説明する。
【0027】
図2は、電磁クラッチ20の軸線方向半断面図である。この軸線方向半断面図は、電磁クラッチ20においてコンプレッサ2の回転軸2aの軸線Sを含んで、かつ軸線Sに沿う断面図である。軸線方向は、軸線Sに平行な方向である。
【0028】
図2に示すように、電磁クラッチ20は、プーリ30、およびアーマチァ40、電磁コイル50を備える。
【0029】
まず、プーリ30は、外側円筒部31、内側円筒部32、および、端面部33を有している。
【0030】
外側円筒部31は、図2に示す軸線Sを中心線とする円筒状に形成されている。外側円筒部31の外周側には、Vベルト12が掛けられるV溝が形成されている。このV溝は、具体的には、ポリV溝である。
【0031】
内側円筒部32に対して軸線Sを中心とする内側には、ボールベアリング34の外側レース34aが固定されている。ボールベアリング34は、コンプレッサ2の外殻を形成するハウジング2cに対して、コンプレッサ2の回転軸2aの軸線Sを中心線としてプーリ30を回転自在に固定するものである。そのため、ボールベアリング34の内側レース34bは、コンプレッサ2のハウジング2cにスナップリング等の固定部材によって固定されている。
【0032】
内側円筒部32は、外側円筒部31に対して軸線Sを中心とする径方向の内側に配置されて、軸線Sを中心とする円筒状に形成されている。
【0033】
端面部33は、外側円筒部31および内側円筒部32の軸線方向一方側同士を結ぶように、回転軸2aに垂直な方向(すなわち、軸線Sを中心とする径方向)に広がる。また端面部33の中央部には、端面部33の表裏を貫通する円形状の貫通穴が形成されている。なお、軸線方向一方とは、図2に示すように、軸線方向のうち、アーマチァ40から板バネ45へ向かう向きをいう。また、軸線方向他方とは、図2に示すように、軸線方向のうち、アーマチァ40から板バネ45へ向かう向きをいう。
【0034】
本実施形態の外側円筒部31、内側円筒部32、および端面部33は、いずれも磁性材(例えば、鉄)にて形成され、後述する磁気回路を構成する。
【0035】
外側円筒部31と端面部33の間には、軸線方向の一端側から他端側に貫通する貫通穴33aが複数設けられている。複数の貫通穴33aは、それぞれ、回転軸2aの軸線Sを中心とする円弧状に形成されている。複数の貫通穴33aは、それぞれ、軸線Sを中心とする円周方向に並べられている。複数の貫通穴33aは、図2図3に示すアーマチァ40の複数の貫通穴40aに対して径方向外側に位置する。なお、貫通穴40aは、図2で表した断面には存在しないが、図2では、便宜的に図2で表した断面よりも奥側にある貫通穴40aの境界を破線で表している。
【0036】
内側円筒部32と端面部33の間には、軸線方向の一端側から他端側に貫通する貫通穴33bが複数設けられている。複数の貫通穴33bは、それぞれ、回転軸2aの軸線Sを中心とする円弧状に形成されている。複数の貫通穴33bは、それぞれ、軸線Sを中心とする円周方向に並べられている。複数の貫通穴33bは、アーマチァ40の複数の貫通穴40aに対して径方向内側に位置する。
【0037】
本実施形態では、外側円筒部31、内側円筒部32、および端面部33は、一体に成形されているものである。
【0038】
端面部33のうち軸線方向一方側の面は、プーリ30とアーマチァ40が連結された際に、アーマチァ40と接触する摩擦面を形成している。そこで、本実施形態では、端面部33の軸線方向一方側の一部に、端面部33の摩擦係数を増加させるための摩擦部材35が配置されている。摩擦部材35は、リベット41cに対して軸線方向他方側で、かつ複数の貫通穴33aのうち1つの貫通穴33aに対して軸線方向に重なるように配置されている。摩擦部材35は、非磁性材で形成されており、具体的には、アルミナを樹脂で固めたものや、金属粉末(例えば、アルミニウム粉末)の焼結材が採用されている。
【0039】
アーマチァ40は、プーリ30に対して軸線方向一方側に配置されている。図2図3に示すように、アーマチァ40は、回転軸2aに直交する方向(すなわち、径方向)に広がるとともに、中央部にその軸線方向の一端側から他端側に貫通する貫通穴40dが形成された環状部材である。アーマチァ40は、後述する磁気回路を構成する。本実施形態のアーマチァ40の回転中心は、回転軸2aの軸心に一致している。
【0040】
具体的には、アーマチァ40は、磁性材(例えば、鉄)にて形成されるリング部材40b、40cを備える。リング部材40b、40cは、それぞれ、回転軸2aの軸線Sを中心とするリング状に形成されている。リング部材40bは、リング部材40cに対して径方向外側に配置されている。リング部材40bの径内周側の端部の一部が、リング部材40cの径外周側の端部の一部に、連結されている。リング部材40b、40cの間には、軸線方向の一端側から他端側に貫通する貫通穴40aが3個設けられている。つまり、リング部材40b、40cは、複数の貫通穴40a(すなわち第1貫通穴)を形成する第1貫通穴形成部を構成している。複数の貫通穴40aは、それぞれ、軸線Sを中心とする円弧状に形成されている。複数の貫通穴40aは、それぞれ、軸線Sを中心として円周方向に並べられている。
【0041】
アーマチァ40のうち軸線方向他方側の平面は、プーリ30の端面部33に対向しており、プーリ30とアーマチァ40が連結された際に、プーリ30と接触する摩擦面を形成している。
【0042】
ハブ42は、プーリ30とアーマチァ40とに対して軸線Sを中心とする径方向内側に配置されている。ハブ42は、アーマチァ40とコンプレッサ2の回転軸2aとを連結する連結部材を構成している。
【0043】
具体的には、ハブ42は、軸線方向に延びる円筒部42aと、この円筒部42aのうち軸線方向一方側から径方向外側に広がる円板部42bとを備えている。径方向外側とは、軸線Sを中心とする径方向の外側のことである。円板部42bは、プーリ30およびアーマチァ40に対して軸線方向一方側に配置されている。円筒部42aには、コンプレッサ2の回転軸2aが固定されている。
【0044】
ハブ42とアーマチァ40との間には、軸線Sに対する垂直方向に広がる板バネ45が配置されている。板バネ45は、ハブ42の円板部42bに対して複数のリベット41aによって接続されている。板バネ45は、複数のリベット41b、41cによってアーマチァ40に接続されている。このことにより、板バネ45は、ハブ42およびアーマチァ40のそれぞれに接続されている。したがって、板バネ45は、回転軸2aと共に回転可能に構成される。
【0045】
本実施形態のリベット41b、41cは、磁性体(例えば、鉄)により形成されている。なお、図2図13に表されたリベット穴141bには、リベット41bが挿入される。また、図2図13に表されたリベット穴141cには、リベット41cが挿入される。
【0046】
板バネ45は、ハブ42に固定されることで、プーリ30からアーマチァ40が離れる方向の弾性力を、アーマチァ40に作用させる。この弾性力により、プーリ30とアーマチァ40が離されたクラッチオフ状態では、ハブ42に連結されたアーマチァ40とプーリ30の端面部33との間に予め定めた所定間隔の隙間が形成される。
【0047】
板バネ45は、鉄等の磁性体によって薄板状に形成された弾性部材である。図4に示すように、板バネ45のうち軸線Sを中心とする径方向内側には貫通穴45aが設けられている。図2に示すように、貫通穴45aを、ハブ42の円筒部42aが、貫通している。図5は、電磁クラッチ20のうち板バネ45および閉塞部材60のみを軸線方向一方側から視た図であって、ハブ42の図示を省略している。また、図6は、電磁クラッチ20のうち板バネ45および閉塞部材60のみを軸線方向他方側から視た図である。
【0048】
図4に示すように、板バネ45には、弾性変形を可能かつ容易にするために貫通穴45b、45c、45dが設けられている。板バネ45において貫通穴45b、45c、45dが設けられることにより、当該板バネ45の剛性が弱まって弾性変形が可能かつ容易になっている。また、アーマチァ40の貫通穴40aは、板バネ45の貫通穴45b、45c、45dに対して軸線方向に重なっている。
【0049】
また、板バネ45と閉塞部材60から成る部品をインサート成型で製造する際に閉塞部材60の素材となる部材が注入される板バネ45上の位置に、3つの注入穴44b、44c、44dが形成されている。注入穴44b、44c、44dは、軸線方向に貫通している。したがって、インサート成型時に、閉塞部材60の素材となる部材が、注入穴44b、44c、44dを通ることで、閉塞部材60の素材となる部材が、板バネ45の軸線方向一方側と軸線方向他方側の両方に行き渡る。
【0050】
貫通穴45b、45c、45dは、貫通穴45aに対して径方向外側に配置されている。貫通穴45b、45c、45dは、それぞれ、軸線方向に貫通している。貫通穴45b、45c、45dは、軸線Sを中心とする円周方向に並べられている。
【0051】
板バネ45は、径方向外側部46a、径方向内側部46b、3つのブリッジ部47b、47c、47d、および、3つのアイランド部49b、49c、49dを有している。
【0052】
径方向外側部46aは、板バネ45の径方向最外周にある略円環形状の部材であり、貫通穴45b、45c、45dよりも径方向外側にある。したがって、径方向外側部46aは、板バネ45の径方向外側領域を占める。
【0053】
径方向内側部46bは、板バネ45の径方向最内周にあり、貫通穴45aと貫通穴45bの間、貫通穴45aと貫通穴45cの間、および、貫通穴45aと貫通穴45dの間に配置される。径方向内側部46bは、略円環形状の部材である。したがって、径方向内側部46bは、板バネ45の径方向内側領域を占める。
【0054】
ブリッジ部47b、47c、47dのそれぞれは、軸線Sを中心とする径方向外側端において径方向外側部46aと連結し、軸線Sを中心とする径方向内側端において径方向内側部46bと連結する。径方向外側部46aと径方向内側部46bの間で、ブリッジ部47b、貫通穴45c、ブリッジ部47c、貫通穴45d、ブリッジ部47d、貫通穴45bが、軸線Sを中心とする円周方向に、この順で並んでいる。したがって、貫通穴45b、45c、45dのうち隣り合う2つの貫通穴の間には、径方向外側部46aと径方向内側部46bを接続するブリッジ部47b、47c、47dが設けられている。
【0055】
図4に示すように、アイランド部49b、49c、49dの各々は、貫通穴45bに囲まれた位置に配置されて軸線Sを中心とする周方向に伸びる形状を有している。アイランド部49b、49c、49dの各々の径方向最外端の周方向中央部は、径方向外側部46aに連結されている。
【0056】
また、図2図4図7に示すように、アイランド部49bは、径方向外側部46aに接続する接続部分49baと、当該接続部分49baのみに接続するフローティング部49bbとを有している。軸線方向における接続部分49baの位置は、軸線方向における径方向外側部46a、径方向内側部46bの位置と同じである。軸線方向におけるフローティング部49bbの位置は、接続部分49baよりも軸線方向一方側にずれている。
【0057】
また、図4図7に示すように、アイランド部49cは、径方向外側部46aに接続する接続部分49caと、当該接続部分49caのみに接続するフローティング部49cbとを有している。軸線方向における接続部分49caの位置は、軸線方向における径方向外側部46a、径方向内側部46bの位置と同じである。軸線方向におけるフローティング部49cbの位置は、接続部分49caよりも軸線方向一方側にずれている。
【0058】
また、図4図7に示すように、アイランド部49dは、径方向外側部46aに接続する接続部分49daと、当該接続部分49daのみに接続するフローティング部49dbとを有している。軸線方向における接続部分49daの位置は、軸線方向における径方向外側部46a、径方向内側部46bの位置と同じである。軸線方向におけるフローティング部49dbの位置は、接続部分49daよりも軸線方向一方側にずれている。
【0059】
このように、アイランド部49b、49c、49dの各々は、径方向外側部46aによって片持ちされた状態となっている。そして、貫通穴45bは、径方向外側部46aとアイランド部49bによって囲まれている。また、貫通穴45cは、径方向外側部46aとアイランド部49cによって囲まれている。また、貫通穴45dは、径方向外側部46aとアイランド部49dによって囲まれている。
【0060】
本実施形態では、板バネ45の貫通穴45b、45c、45dにアーマチァ40の貫通穴40aが軸線方向に重なるように、板バネ45およびアーマチァ40が成形されている。
【0061】
図2図5図6図8図9に示すように、板バネ45には、貫通穴45b、45c、45dを塞ぐ閉塞部材60が取り付けられている。閉塞部材60は、アーマチァ40とプーリ30が連結する際に生じる衝撃を緩和するとともに、アーマチァ40とプーリ30との間に異物が侵入することを抑制する役割を果たす。図5図6図8図9図10図11図12に示すように、閉塞部材60は、サブ閉塞部材61b、61c、61d、62b、62c、62d、63、64b、64c、64dから構成されている。
【0062】
サブ閉塞部材61b、61c、61dは、それぞれ、主閉塞部61b、61c、61dともいう。サブ閉塞部材62b、62c、62dは、それぞれ、フロートカバー部62b、62c、62dともいう。サブ閉塞部材63は、フランジ部63ともいう。サブ閉塞部材64b、64c、64dは、それぞれ、アーマチァ側肉厚部64b、64c、64dともいう。
【0063】
なお、図10は、クラッチオフ状態である図2の閉塞部材60附近の拡大断面図である。また、図11は、クラッチオン状態における同じ部分の拡大断面図である。また、図12は、非組み付け状態における板バネ45および閉塞部材60の同じ部分の拡大断面図である。なお、非組み付け状態とは、板バネ45および閉塞部材60が互いに組み付けられ且つ板バネ45と閉塞部材60が電磁クラッチ20の他の部分に組み付けられていない状態をいう。また、図10図11図12においては、主閉塞部61bとフロートカバー部62bとの境界を破線で表している。
【0064】
主閉塞部61b、61c、61dは、薄膜形状の部材である。主閉塞部61bの一部は、貫通穴45b内に配置されて貫通穴45bを閉塞する。また、主閉塞部61bの他の一部は、フローティング部49bbとアーマチァ40の間に配置され、フローティング部49bbの全体を軸線方向他方側から覆う。そして、主閉塞部61bの当該他の一部は、フローティング部49bbとアーマチァ40によって押圧されて圧縮されている。
【0065】
主閉塞部61cの一部は、貫通穴45c内に配置されて貫通穴45cを閉塞する。また、主閉塞部61cの他の一部は、フローティング部49cbとアーマチァ40の間に配置され、フローティング部49cbの全体を軸線方向他方側から覆う。そして、主閉塞部61cの当該他の一部は、フローティング部49cbとアーマチァ40によって押圧されて圧縮されている。
【0066】
主閉塞部61dの一部は、貫通穴45d内に配置されて貫通穴45dを閉塞する。また、主閉塞部61dの他の一部は、フローティング部49dbとアーマチァ40の間に配置され、フローティング部49dbの全体を軸線方向他方側から覆う。そして、主閉塞部61dの当該他の一部は、フローティング部49dbとアーマチァ40によって押圧されて圧縮されている。
【0067】
フロートカバー部62bは、閉塞部材60のうち、フローティング部49bbよりも軸線方向一方側に配置された部材である。フロートカバー部62bは、主閉塞部61bの軸線方向一方側の面と接続し、当該面から軸線方向一方側に突出する。そしてフロートカバー部62bは、フローティング部49dbの全体を軸線方向一方側から覆う。また、図5に示すように、フロートカバー部62bは、アイランド部49bを覆う部分から注入穴44bの内部まで、ブリッジ部47bの軸線方向一方側を通って伸び、注入穴44bの軸線方向他方側の開口部において、アーマチァ側肉厚部64bと接続する。
【0068】
フロートカバー部62cは、閉塞部材60のうち、フローティング部49cbよりも軸線方向一方側に配置された部材である。フロートカバー部62cは、主閉塞部61cの軸線方向一方側の面と接続し、当該面から軸線方向一方側に突出する。そしてフロートカバー部62cは、フローティング部49cbの全体を軸線方向一方側から覆う。また、図5に示すように、フロートカバー部62cは、アイランド部49cを覆う部分から注入穴44cの内部まで、ブリッジ部47cの軸線方向一方側を通って伸び、注入穴44cの軸線方向他方側の開口部において、アーマチァ側肉厚部64cと接続する。
【0069】
フロートカバー部62dは、閉塞部材60のうち、フローティング部49dbよりも軸線方向一方側に配置された部材である。フロートカバー部62dは、主閉塞部61dの軸線方向一方側の面と接続し、当該面から軸線方向一方側に突出する。そしてフロートカバー部62dは、フローティング部49dbの全体を軸線方向一方側から覆う。また、図5に示すように、フロートカバー部62dは、アイランド部49dを覆う部分から注入穴44dの内部まで、ブリッジ部47dの軸線方向一方側を通って伸び、注入穴44dの軸線方向他方側の開口部において、アーマチァ側肉厚部64dと接続する。
【0070】
このように、主閉塞部61bとフロートカバー部62bは、軸線方向一方側と軸線方向他方側から、フローティング部49bbを挟んでいる。また、主閉塞部61cとフロートカバー部62cは、軸線方向一方側と軸線方向他方側から、フローティング部49cbを挟んでいる。また、主閉塞部61dとフロートカバー部62dは、軸線方向一方側と軸線方向他方側から、フローティング部49dbを挟んでいる。このようになっていることで、クラッチオフ状態からクラッチオン状態への遷移が発生する際に、閉塞部材60による制振性が向上する。
【0071】
図6図9図10図11図12に示すように、フランジ部63は、主閉塞部61b、61c、61dの外周端部から、軸線方向に垂直に交差する方向に、突出している。フランジ部63は、薄膜形状を有している。そして、フランジ部63の軸線方向の最大厚みは、サブ閉塞部材61b、61c、61d、62b、62c、62d、64b、64c、64dの軸線方向の平均厚みのどれよりも、小さい。したがって、主閉塞部61b、61c、61dのフランジ部63側端部と、当該端部に繋がるフランジ部63とが、段差形状を形成する。
【0072】
図6図9図10図11図12に示すように、フランジ部63は、板バネ45の径方向内側部46bのうち、貫通穴45b、45c、45d(すなわち第1貫通穴)を囲んで形成する縁部(すなわち第2貫通穴形成部)の全体を、軸線方向他方側から覆う。すなわち、フランジ部63は、板バネ45とアーマチァ40の間にあって、当該縁部と軸線方向に重なる。当該縁部は、径方向内側部46bの貫通穴45b、45c、45d側の端部である。
【0073】
また、フランジ部63は、板バネ45の径方向外側部46aのうち、貫通穴45b、45c、45dを囲んで形成する縁部(すなわち第2貫通穴形成部)の全体を、軸線方向他方側から覆う。また、フランジ部63は、アーマチァ側肉厚部64b、64c、64dと共に、板バネ45のブリッジ部47b、47c、47dの全体を、軸線方向他方側から覆う。すなわち、フランジ部63は、板バネ45とアーマチァ40の間にあって、当該縁部と軸線方向に重なる。当該縁部は、径方向外側部46aの貫通穴45b、45c、45d側の端部である。
【0074】
したがって、フランジ部63のうち、板バネ45の軸線方向他方側を覆う部分は、板バネ45とアーマチァ40によって押圧されて圧縮されている。なお、図6では、主閉塞部61b、61c、61dとフランジ部63の境界を示す点線を便宜的に記載している。
【0075】
また、上述の通りなので、板バネ45のブリッジ部47b、47c、47dのうち、貫通穴45b、45c、45dを形成する縁部(すなわち第2貫通穴形成部)の全体も、当然に、フランジ部63によって軸線方向他方側から覆われる。すなわち、当該縁部の全体が、フランジ部63と軸線方向に重なっている。図10図11図12には、フランジ部63が、板バネ45の径方向内側部46bのうち、貫通穴45bを形成する縁部と軸線方向に重なっている状態が示されている。
【0076】
アーマチァ側肉厚部64b、64c、64dは、ブリッジ部47bの軸線方向他方側に配置され、軸線方向に直交する方向の端部においてフランジ部63と接続する。また、アーマチァ側肉厚部64b、64c、64dは、それぞれ、注入穴44b、44c、44dを介して、主閉塞部61b、61c、61dと接続する。
【0077】
アーマチァ側肉厚部64b、64c、64dの軸線方向の平均厚みは、フランジ部63の軸線方向の最大厚みよりも、大きい。したがって、アーマチァ側肉厚部64b、64c、64dは、フランジ部63よりも、軸線方向他方側に突出している。このようになっていることで、板バネ45がリベット41b、41cによってアーマチァ40に固定された状態において、板バネ45が軸線Sを中心とする周方向に沿って、軸線方向に波形状に撓む。
【0078】
具体的には、板バネ45のうち、アーマチァ側肉厚部64b、64c、64dと当接する部分は、アーマチァ40から遠ざかる向きに撓み、それ以外の部分は、アーマチァ40に近付く向きに撓む。このように、板バネ45が撓むことで、クラッチオフ時における板バネ45の剛性が高まり、クラッチオフ時の外部振動に対して堅牢になる。
【0079】
また、アーマチァ側肉厚部64b、64c、64dは、それぞれ、板バネ45の穴151b、151c、151dにも挿入されている。これにより、アーマチァ側肉厚部64b、64c、64dが板バネ45から剥がれてしまう可能性が低減される。
【0080】
また、図13に示すように、サブ閉塞部材61b、61c、61d、63、64b、64c、64dは、全体として、アーマチァ40の複数の貫通穴40aの一部を軸線方向一方側から覆う。なお、図13では、図6と同じ図に、アーマチァ40の貫通穴40aの外周縁を軸線方向に投影した図形が破線で示されている。したがって、仮に板バネ45とアーマチァ40の間に異物が侵入しても、その異物が貫通穴40a内に侵入する可能性が低減される。
【0081】
本実施形態の閉塞部材60は、弾性変形可能な弾性材料としてのゴム材料から成る。具体的には、閉塞部材60は、EPDMからなる。EPDMは、エチレンプロピレンゴムの略である。
【0082】
本実施形態の閉塞部材60は、サブ閉塞部材61b、61c、61d、62b、62c、62d、63、64b、64c、64dが、同一のゴム材料によって一体に成形されたものとなっている。すなわち、サブ閉塞部材61b、61c、61d、62b、62c、62d、63、64b、64c、64dが、一体に成形された1つの部品としての閉塞部材60を構成している。
【0083】
このように、アーマチァ40、ハブ42、板バネ45、閉塞部材60およびコンプレッサ2の回転軸2aが互いに対して固定されている。そして、プーリ30とアーマチァ40が連結されると、プーリ30、アーマチァ40、ハブ42、板バネ45、コンプレッサ2の回転軸2aがその軸心を中心線として回転する。
【0084】
電磁コイル50は、コア50aおよびコイル部50bを備える。コア50aは、鉄等の磁性体からなるもので、コンプレッサ2の回転軸2aの軸線Sを中心とするリング状に形成されている。コイル部50bは、コア50aの内側に配置されている。コイル部50bは、銅やアルミ等からなるコイル線が例えば樹脂成形されたスプールに複列および複層に巻きつけられていることにより構成されている。
【0085】
次に、本実施形態の電磁クラッチ20の作動について説明する。
【0086】
まず、クラッチオン状態について説明する。電磁コイル50に通電されると、電磁コイル50からの磁束が矢印GSの如くプーリ30の外側円筒部31、アーマチァ40のリング部材40b、プーリ30の端面部33、アーマチァ40のリング部材40c、プーリ30の内側円筒部32、電磁コイル50の順に流れる。その結果、矢印GSのような磁気回路が発生する。
【0087】
このことにより、プーリ30およびアーマチァ40の間に電磁力としての吸引力が作用して、板バネ45が弾性変形する。このとき、閉塞部材60は、板バネ45に保持された状態で、板バネ45とともに弾性変形する。この状態で、プーリ30とアーマチァ40とが当接して連結される。このため、走行用エンジン10からの回転駆動力がエンジン側プーリ11、Vベルト12、プーリ30、アーマチァ40、板バネ45、ハブ42、コンプレッサ2の回転軸2aの順に伝達される。この状態が、クラッチオン状態である。
【0088】
次に、クラッチオフ状態について説明する。電磁コイル50への通電が停止すると、上述の磁気回路が消滅し、プーリ30とアーマチァ40の間に吸引力が発生しなくなる。この結果、板バネ45の弾性変形が戻る。このとき、閉塞部材60は、板バネ45に保持された状態で、板バネ45とともに弾性変形が戻る。このことにより、プーリ30からアーマチァ40が分離する。このため、走行用エンジン10からコンプレッサ2の回転軸2aに回転駆動力が伝達されることが停止される。この状態が、クラッチオフ状態である。
【0089】
ここで、クラッチオフ状態においては、非組み付け状態と違い、板バネ45が上述の通り軸線Sを中心とする周方向沿って、軸線方向に波形状に撓む。これにより、図12の非組み付け状態において板バネ45の径方向内側部46bの軸線方向他方側面に接触していたフランジ部63が、図10に示すように、径方向内側部46bから軸線方向他方側に離間する。
【0090】
したがって、非組み付け状態において主閉塞部61b、61c、61dのうち径方向内側部46bの外周端に対向かつ接触していた面が、クラッチオフ状態においては、図10に例示するように、当該外周端に対して、軸線方向他方側にずれる。このとき、図10の例では、主閉塞部61bの内周端の一部が径方向内側部46bの外周端部に接触している。しかし、場所や状況によっては、主閉塞部61bの内周端と径方向内側部46bの外周端部との間に隙間ができてしまう。
【0091】
また、クラッチオン状態においては、板バネ45の弾性変形がクラッチオフ状態よりも大きくなるので、主閉塞部61bの内周端と径方向内側部46bの外周端部との間に図11に示すように隙間ができてしまう可能性が更に高くなる。
【0092】
そのような隙間ができた場合においても、径方向内側部46bの外周端部を軸線方向他方側から覆うフランジ部63が存在することで、上記隙間がラビリンス構造となる。したがって、隙間から板バネ45とアーマチァ40の間に異物が侵入しても、それがフランジ部63を越えて更にアーマチァ40の貫通穴40aに侵入する可能性が低減される。
【0093】
以上説明した本実施形態によれば、電磁クラッチ20は、コンプレッサ2とともに回転するハブ42と、回転軸2aの軸線Sを中心として回転駆動力により回転するプーリ30と、アーマチァ40とを備える。アーマチァ40は、プーリ30に対して軸線方向一方側に配置されて、回転軸2aの軸線Sを中心として回転自在に構成されて、軸線Sを中心とする円弧状に延びるとともに、軸線方向の一端側から他端側に貫通する貫通穴40aを有する。板バネ45は、ハブ42に接続され、かつアーマチァ40に接続されて、軸線方向の一端側から他端側に貫通する貫通穴45b、45c、45dを形成して弾性変形が可能かつ容易に構成されている。
【0094】
アーマチァ40の貫通穴40aが板バネ45の貫通穴45b、45c、45dに対して軸線方向に重なっている。
【0095】
電磁コイル50は、アーマチァ40のうちリング部材40b、40cとプーリ30の外側円筒部31、内側円筒部32、および、端面部33とを矢印GSの如く通過する磁束を発生させる。これによって、アーマチァ40とプーリ30の間に電磁力としての吸引力を発生させる磁気回路が構成される。電磁コイル50に通電することにより、アーマチァ40とプーリ30の間に電磁力としての吸引力が作用して、板バネ45が閉塞部材60とともに弾性変形した状態で、アーマチァ40とプーリ30が連結される。電磁コイル50への通電を停止すると、アーマチァ40とプーリ30の間に吸引力が発生することが停止され、板バネ45の弾性変形が戻る。これに伴い、閉塞部材60の弾性変形が戻る。このため、アーマチァ40とプーリ30が分離する。
【0096】
閉塞部材60の一部は、上述の通り、板バネ45とアーマチァ40の間に配置されている。具体的には、主閉塞部61b、61c、61dの一部、フランジ部63の全体、および、アーマチァ側肉厚部64b、64c、64dの全体が、板バネ45とアーマチァ40の間に配置されている。このため、閉塞部材60は、板バネ45とアーマチァ40の間を埋めることができる。これに加えて、主閉塞部61b、61c、61dは、板バネ45の貫通穴45a、45b、45cを塞ぐように形成されている。したがって、アーマチァ40とプーリ30の間に異物が侵入することを抑えることができる。
【0097】
また、フランジ部63は、板バネ45のうち貫通穴45b、45c、45cを形成する縁部(すなわち第2貫通穴形成部)を、軸線方向他方側から覆うように、形成されている。このため、主閉塞部61b、61c、61dが経年変化により変形および縮小しても、フランジ部63が主閉塞部61b、61c、61dとともに、貫通穴45b、45c、45dを塞ぐことができる。したがって、より確実に、アーマチァ40とプーリ30の間に異物が侵入することを抑えることができる。
【0098】
以上により、貫通穴45a、45b、45cを塞ぐ主閉塞部61b、61c、61dと、フランジ部63とを同一材料、同一の部品とすることにより、部品点数の増加を減らすことができる。これにより、電磁クラッチ20において、異物が貫通穴45a、45b、45cおよび貫通穴40aを通して内部に侵入することを抑制することができる。
【0099】
また、フランジ部63は、板バネ45およびアーマチァ40の間に配置されている。これに加えて、フランジ部63の軸線方向の厚みは、主閉塞部61bのうち径方向内側端部の厚みに比べて小さくなっている。ここで、主閉塞部61b、61c、61dのうち径方向外側において、軸線方向一方側には、リベット41bが位置する。このため、リベット41bによる締結力が緩むことを抑制して、アーマチァ40が連結する力を安定化させることができる。
【0100】
なお、図11に示すように、クラッチオン状態において、距離L3が距離L1よりも短くなっている。ここで、距離L3は、クラッチオン状態における、径方向内側部46bの貫通穴45b側の上記端部(すなわち外周端部)から軸線方向に沿ってフランジ部73に至るまでの最短距離である。
【0101】
(第2実施形態)
次に第2実施形態について説明する。本実施形態の電磁クラッチ20は、第1実施形態の電磁クラッチ20に対して、閉塞部材60を閉塞部材70に置き換える等の変更が施されている。本実施形態と第1実施形態で同じ符号で言及されている要素は、それぞれほぼ同等の部材であり、それらについての詳細な説明は省略する。
【0102】
本実施形態の電磁クラッチ20は、第1実施形態と同様の、車両用空調装置の冷凍サイクル装置1に適用される。
【0103】
図14に示すように、本実施形態の閉塞部材70は、第1実施形態の閉塞部材60と同様、板バネ45に取り付けられる。また、図15に示すように、本実施形態のアーマチァ40のリング部材40b、40cの間には、軸線方向の一端側から他端側に貫通する貫通穴40aが4個設けられている。
【0104】
また、図16図19に示すように、本実施形態の板バネ45は、第1実施形態と同様の構成要素46a、46b、47b、47c、47d、49b、49c、49dを有している。板バネ45には、第1実施形態と同様の貫通穴45a、45b、45c、45dが形成されている。また、本実施形態の板バネ45では、板バネ45とアーマチァ40を固定するためのリベット穴141bが廃されている。
【0105】
また、図14図17図18図20図21に示すように、板バネ45には、貫通穴45b、45c、45dを塞ぐ閉塞部材70が取り付けられている。閉塞部材70は、アーマチァ40とプーリ30が連結する際に生じる衝撃を緩和するとともに、アーマチァ40とプーリ30との間に異物が侵入することを抑制する役割を果たす。図17図18図20図21図22図23図24に示すように、閉塞部材70は、サブ閉塞部材71b、71c、71d、72b、72c、72d、73、74b、74c、74dから構成されている。
【0106】
サブ閉塞部材71b、71c、71dは、それぞれ、主閉塞部71b、71c、71dともいう。サブ閉塞部材72b、72c、72dは、それぞれ、フロートカバー部72b、72c、72dともいう。サブ閉塞部材73は、フランジ部73ともいう。サブ閉塞部材74b、74c、74dは、それぞれ、アーマチァ側肉厚部74b、74c、74dともいう。
【0107】
なお、図22は、クラッチオフ状態である図14の閉塞部材70附近の拡大断面図である。また、図23は、クラッチオン状態における同じ部分の拡大断面図である。また、図24は、非組み付け状態における板バネ45および閉塞部材70の同じ部分の拡大断面図である。また、図22図23図24においては、主閉塞部71bとフロートカバー部72bとの境界を破線で表している。
【0108】
主閉塞部71b、71c、71dは、薄膜形状の部材である。主閉塞部71bの板バネ45への取り付け形態は、第1実施形態における主閉塞部61bの板バネ45への取り付け形態と同じである。具体的には、主閉塞部71bの一部は、貫通穴45b内に配置されて貫通穴45bを閉塞する。また、主閉塞部71bの他の一部は、フローティング部49bbとアーマチァ40の間に配置され、フローティング部49bbの全体を軸線方向他方側から覆う。そして、主閉塞部71bの当該他の一部は、フローティング部49bbとアーマチァ40によって押圧されて圧縮されている。主閉塞部71c、71dの板バネ45への取り付け形態は、第1実施形態における主閉塞部61c、61dの板バネ45への取り付け形態と同じである。
【0109】
フロートカバー部72bの板バネ45への取り付け形態は、第1実施形態におけるフロートカバー部62bの板バネ45への取り付け形態と、同じである。具体的には、フロートカバー部72bは、主閉塞部71bの軸線方向一方側の面と接続し、当該面から軸線方向一方側に突出する。そしてフロートカバー部72bは、フローティング部49dbの全体を軸線方向一方側から覆う。また、フロートカバー部72bは、アイランド部49bを覆う部分から注入穴44bの内部まで、ブリッジ部47bの軸線方向一方側を通って伸び、注入穴44bの軸線方向他方側の開口部において、フランジ部73と接続する。このように、主閉塞部71bとフロートカバー部72bは、軸線方向一方側と軸線方向他方側から、フローティング部49bbを挟んでいる。このようになっていることで、閉塞部材60による制振性が向上する。フロートカバー部72c、72dの板バネ45への取り付け形態は、第1実施形態におけるフロートカバー部62c、62dの板バネ45への取り付け形態と、同じである。
【0110】
図18図22図23図24に示すように、フランジ部73は、主閉塞部71b、71c、71dの外周端部から、軸線方向に直交する方向に、突出している。フランジ部73は、薄膜形状を有している。
【0111】
フランジ部73の形状は、第1実施形態のフランジ部63の形状と概ね同じである。フランジ部73に対する、閉塞部材70の他の部材、板バネ45、アーマチァ40の関係は、基本的に、第1実施形態におけるフランジ部63に対する閉塞部材60の他の部材、板バネ45、アーマチァ40の関係と、同じである。
【0112】
アーマチァ側肉厚部74b、74c、74dは、ブリッジ部47bの軸線方向他方側に配置され、軸線方向に直交する方向の端部においてフランジ部73と接続する。アーマチァ側肉厚部74b、74c、74dの形状は、第1実施形態のアーマチァ側肉厚部64b、64c、64dと概ね同じである。
【0113】
また、アーマチァ側肉厚部74b、74c、74dに対する、他のサブ閉塞部材、板バネ45、アーマチァ40の関係は、基本的に、第1実施形態におけるアーマチァ側肉厚部64b、64c、64dに対する他のサブ閉塞部材、板バネ45、アーマチァ40の関係と、同じである。
【0114】
また、図25に示すように、サブ閉塞部材71b、71c、71d、73、74b、74c、74dは、全体として、アーマチァ40の複数の貫通穴40aの一部を軸線方向一方側から覆う。なお、図25では、図18と同じ図に、アーマチァ40の貫通穴40aの外周縁を軸線方向に投影した図形が破線で示されている。したがって、仮に板バネ45とアーマチァ40の間に異物が侵入しても、その異物が貫通穴40a内に侵入する可能性が低減される。
【0115】
クラッチオフ状態においては、非組み付け状態と違い、板バネ45が上述の通り軸線Sを中心とする周方向に撓む。これにより、図24の非組み付け状態において板バネ45の径方向内側部46bの軸線方向他方側面に接触していたフランジ部73が、図22に示すように、径方向内側部46bから軸線方向他方側に離れる。
【0116】
したがって、非組み付け状態において主閉塞部71b、71c、71dのうち径方向内側部46bの外周端に対向かつ接触していた面が、クラッチオフ状態においては、図22に例示するように、当該外周端に対して、軸線方向他方側にずれる。このとき、図22の例では、主閉塞部71bの内周端の一部が径方向内側部46bの外周端部に接触している。しかし、場所や状況によっては、主閉塞部71bの内周端と径方向内側部46bの外周端部との間に隙間ができてしまう。
【0117】
また、クラッチオン状態においては、板バネ45の弾性変形がクラッチオフ状態よりも大きくなるので、主閉塞部71bの内周端と径方向内側部46bの外周端部との間に図23に示すように隙間ができてしまう可能性が更に高くなる。そのような隙間ができた場合においても、径方向内側部46bの外周端部を軸線方向他方側から覆うフランジ部73が存在することで、上記隙間がラビリンス構造となる。したがって、隙間から板バネ45とアーマチァ40の間に異物が侵入しても、それがフランジ部73を越えて更にアーマチァ40の貫通穴40aに侵入する可能性が低減される。
【0118】
ここで、図22図23図24を用いて、閉塞部材70の形状について、第1実施形態の閉塞部材60の形状と比較して、説明する。主閉塞部71bのうち、軸線Sを中心とする径方向内側の端部は、軸線方向一方側に向かうにつれて、軸線Sを中心とする径方向のより外側に移動する。しかし、主閉塞部71bの径方向内側部46b側の端部の、軸線方向の厚みは、第1実施形態の主閉塞部61bに比べて、大きくなっている。
【0119】
その結果、図23に示すように、クラッチオン状態において、距離L3が距離L1よりも長くなっている。ここで、距離L3は、クラッチオン状態における、径方向内側部46bの貫通穴45b側の上記端部(すなわち外周端部)から軸線方向に沿ってフランジ部73に至るまでの最短距離である。また、距離L1は、クラッチオン状態における、径方向内側部46bの当該外周端部から軸線Sを中心とする径方向に沿って主閉塞部71bに至るまでの最短距離である。フランジ部63と主閉塞部71cの間にも、フランジ部63と主閉塞部71dの間にも、同様の関係が成り立つ。
【0120】
このようになっていることで、図23に示すように、クラッチオン状態において、主閉塞部61bの内周端と径方向内側部46bの外周端部との間に発生する隙間を、小さくすることができる。
【0121】
また、このような主閉塞部71b、71c、71dおよびフランジ部73の構成および効果は、主閉塞部71b、71c、71dの径方向外側部46a側端部においても成り立つ。クラッチオン状態において、距離H3は距離H1よりも長い。ここで、距離H3は、クラッチオン状態における、径方向外側部46aの貫通穴45b、45c、45d側の端部から、軸線方向に沿ってフランジ部73に至るまでの最短距離である。また、距離H1は、径方向外側部46aの貫通穴45b、45c、45d側の端部から径方向に沿って主閉塞部71b、71c、71dに至るまでの最短距離である。
【0122】
(第3実施形態)
上記第1、第2実施形態では、閉塞部材60によって板バネ45の貫通穴45b、45c、45dを覆うようにした例について説明した。本実施形態では、これに代えて、閉塞部材60Aによってアーマチァ40の複数の貫通穴40aが塞がれる。以下、本実施形態について、図26を参照して説明する。
【0123】
図26は、本実施形態の電磁クラッチ20を軸線方向一方側から視た図である。図26では、電磁クラッチ20において、プーリ30の図示を省略し、アーマチァ40、板バネ80a、80b、80c、ハブ42、および閉塞部材60Aを示している。
【0124】
本実施形態の電磁クラッチ20と上記第1、第2実施形態の電磁クラッチ20とは、板バネ80a、80b、80cおよび閉塞部材60Aが相違している。このため、以下、板バネ80a、80b、80cおよび閉塞部材60Aについて説明し、板バネ80a、80b、80cおよび閉塞部材60A以外の構成についてはその説明を省略する。
【0125】
閉塞部材60Aは、図2中の閉塞部材60の代わりに設けられたもので、軸線Sを中心として薄板状の円板状に形成されている。閉塞部材60Aは、アーマチァ40と板バネ80a、80b、80cとの間に配置されて、アーマチァ40の3つの貫通穴40a(鎖線で示す)を軸線方向一方側(図26中紙面垂直方向手前側)から塞いでいる。
【0126】
板バネ80a、80b、80cは、図26中の板バネ45の代わりに設けられたもので、それぞれ、細長い薄板状の金属を湾曲させてなるものである。板バネ80a、80b、80cは、それぞれ、リベット81a、81b、81cによってアーマチァ40に接続されている。板バネ80a、80b、80cは、それぞれ、リベット82a、82b、82cによってハブ42に接続されている。
【0127】
このことにより、板バネ80a、80b、80cは、ハブ42およびアーマチァ40のそれぞれに接続されている。本実施形態の閉塞部材60は、ハブ42およびアーマチァ40のそれぞれに固定されている。
【0128】
以上説明した本実施形態によれば、閉塞部材60Aは、アーマチァ40と板バネ80a、80b、80cとの間に配置されて、アーマチァ40の複数の貫通穴40aを軸線方向一方側から塞いでいる。これにより、電磁クラッチ20において、異物が貫通穴40aを通してアーマチァ40とプーリ30の間に侵入することを抑制することができる。
【0129】
(他の実施形態)
(1)上記第1、第2の実施形態では、駆動源を走行用エンジン10とした例について説明したが、これに限らず、走行用エンジン10以外の装置を駆動源としてもよい。
【0130】
(2)上記第1、第2の実施形態では、駆動対象装置をコンプレッサ2とした例について説明したが、これに限らず、コンプレッサ2以外の装置を駆動対象装置としてもよい。
【0131】
(3)上記第1、第2の実施形態では、アーマチァ40の貫通穴40aが板バネ45の貫通穴45b、45c、45dに対して軸線方向に重なるようにした例について説明したが、これに代えて、軸線方向において、アーマチァ40の貫通穴40aが板バネ45の貫通穴45b、45c、45dに対してオフセットするようにしてもよい。
【0132】
(4)上記第1、第2の実施形態では、アーマチァ40を円弧状の貫通穴40aによって2つのリング部材40b、40cに分割するようにした例について説明したが、これに限らず、アーマチァ40において、2つ以上の円弧状貫通穴を径方向にオフセットして配置して、アーマチァ40を3つ以上のリング部材に分割するようにしてもよい。
【0133】
同様に、プーリ30においても、2つの円弧状の貫通穴33a、33bを径方向にオフセットして配置する場合に限らず、3つ以上の円弧状の貫通穴を径方向にオフセットして配置してもよい。
【0134】
(5)上記実施形態では、閉塞部材60、70、60Aは、いずれも一体の部材である。しかし、閉塞部材60、70、60Aは、複数の分離した部材から構成されていてもよい。
【0135】
(6)閉塞部材は、前記第2貫通穴の全部を塞いでいるが、一部のみを塞いでいるだけでも、異物を排除する効果はある程度達成される。つまり、閉塞部材は、前記第2貫通穴の少なくとも一部を塞いでいれば、ある程度の効果が達成される。
【0136】
(7)上記実施形態では、フランジ部63は、主閉塞部61b、61c、61dの外周端部から、軸線方向に垂直に交差する方向に、突出している。また、フランジ部73は、主閉塞部71b、71c、71dの外周端部から、軸線方向に垂直に交差する方向に、突出している。
【0137】
しかし、フランジ部63は、主閉塞部61b、61c、61dの外周端部から、軸線方向に非垂直に交差する方向に突出していてもよい。また、フランジ部73は、主閉塞部71b、71c、71dの外周端部から、軸線方向に非垂直に交差する方向に突出していてもよい。
【0138】
(8)なお、本開示は上記した実施形態に限定されるものではなく、適宜変更が可能である。また、上記各実施形態は、互いに無関係なものではなく、組み合わせが明らかに不可な場合を除き、適宜組み合わせが可能である。また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。 また、上記各実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではない。また、上記各実施形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、位置関係等に限定されるものではない。
図1
図2
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