特許第6432864号(P6432864)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6432864-スマートフォンケース。 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6432864
(24)【登録日】2018年11月16日
(45)【発行日】2018年12月5日
(54)【発明の名称】スマートフォンケース。
(51)【国際特許分類】
   G03B 5/00 20060101AFI20181126BHJP
   G03B 17/56 20060101ALI20181126BHJP
   H04N 5/232 20060101ALI20181126BHJP
   H04N 5/225 20060101ALI20181126BHJP
【FI】
   G03B5/00 J
   G03B17/56 H
   H04N5/232 480
   H04N5/225 100
【請求項の数】4
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2015-13713(P2015-13713)
(22)【出願日】2015年1月8日
(65)【公開番号】特開2016-126310(P2016-126310A)
(43)【公開日】2016年7月11日
【審査請求日】2017年11月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】502023941
【氏名又は名称】株式会社エフティシー
(72)【発明者】
【氏名】西村 隆
【審査官】 渡邉 勇
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−191615(JP,A)
【文献】 特開2007−298594(JP,A)
【文献】 特開2013−104986(JP,A)
【文献】 特開2016−071293(JP,A)
【文献】 特開2004−348147(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 5/00 − 5/08
G03B 17/56 −17/58
H04N 5/222− 5/257
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スマートフォンを装着し、スマートフォン自体をX軸Y軸方向に搖動させて手振れ補正を行なう三層構造に形成したスマートフォンケースであって、内ケースにはスマートフォンの端部を係止する爪を設け、X軸方向に延びる回転軸を設けて当該回転軸を中ケースの回転軸穴に結合させ、中ケースにはY軸方向に延びる回転軸を設けて、当該回転軸を外ケースの回転軸穴に結合させ、内ケースと中ケースには搖動を制御する駆動ユニットを装着し、外ケース内に収容され外ケース外に引き出し可能な、ケーブルとライトニングを有するスマートフォンケース。
【請求項2】
駆動ユニットを内ケースと中ケースに設けた請求項1に記載のスマートフォンケース。
【請求項3】
駆動ユニットに電気を供給する二次電池を設け、当該二次電池とスマートフォンとをケーブルとライトニングを介して接続し、当該スマートフォンへの充電を可能にした請求項1又は2に記載のスマートフォンケース。
【請求項4】
二次電池は外ケースと内ケースの間にあって、中ケースの一部が切りかかれたスペースに配置される請求項3記載のスマートフォンケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はスマートフォンケースに関し、詳しくは静止画像や動画像の撮影中に生じた手振れを補正して、ブレのない画像を撮影可能にするスマートフォンケースに関する。
【背景技術】
【0002】
静止画や動画の撮影中に手振れがあったとしても、結像面上での像ブレを防いで鮮明な画像が得られるようにした手振れ補正装置が多く実用化されている。
特許文献1,2などで知られるように、デジタルカメラの手振れ補正装置には主として撮影光学系中の一部のレンズを移動させる方式と、スマートフォンや携帯電話などではレンズユニットを揺動させて補正する方式がある。
【0003】
【特許文献1】特開2004−348147
【特許文献2】特開2007−93953
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
光学式の手振れ補正装置の場合には、カメラボディの振れを検出する角速度センサーなどの振動センサーと、振動センサーからの手振れ信号に基づいて補正量を算出する演算部と、演算部からの補正信号を受けて光学系などを移動させるアクチュエータが用いられている。電子式の場合は、振動センサーにより手振れに伴う撮影光軸の振れ角を手振れ信号として検出し、デジタル補正して対応する技術などが知られている。
【0005】
光学式の手振れ補正装置ではレンズやアクチュエータの小型化が困難で、スマートフォンなどのモバイル機器では長い間電子式が採用されてきた。電子式では暗い被写体での手振れ補正が十分ではなく、実質画面の縮小や画質の劣化を伴うなどの副作用があるために、光学式の実現が待たれていたが、近年レンズユニットなどの小型化が実現し、光学式手振れ補正装置がスマートフォンにも搭載できるようになった。しかし、スマートフォンという限られたスペース内では、十分な補正量を確保できないという課題が残っている。
【0006】
静止画像での撮影光軸の振れ角は30分〜40分あれば良いとされているが、動画像ではその3〜4倍程度の補正量が必要といわれている。本発明は上記内容を考慮してなされたもので、光学式手振れ補正装置をスマートフォンの筐体内にではなく、筐体外つまりスマートフォンケースに光学式手振れ補正装置を設けて、十分な補正量を確保する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
スマートフォンを装着し、スマートフォン自体をX軸Y軸方向に搖動させて手振れ補正を行なう三層構造に形成したスマートフォンケースであって、内ケースにはスマートフォンの端部を係止する爪を設け、X軸方向に延びる回転軸を設けて当該回転軸を中ケースの回転軸穴に結合させ、中ケースにはY軸方向に延びる回転軸を設けて、当該回転軸をソトケースの回転軸穴に結合させ、内ケースと中ケースには陽動を制御する駆動ユニットを装着し、外ケース内に収容され外ケース外に引き出し可能な、ケーブルとライトニングを有するスマートフォンケースである。
【0008】
駆動ユニットを内ケースと中ケースに設け、駆動ユニットに電気を供給する二次電池を設け、当該二次電池とスマートフォンとをケーブルとライトニングを介して接続し、当該スマートフォンの充電を可能にし、二次電池は外ケースと内ケースの間にあって、中ケースの一部が切り欠かれたスペースに配置されるスマートフォンケースを提供する。
【0009】
本発明の特徴はレンズとイメージセンサーが組み込まれているスマートフォン自体が、撮影光軸の振れ角に対応する点にあり、従来の補正方法と比較しても一切の画質の劣化を生じない点にある。又、スペース的にもケース側にはスマートフォンの筐体内よりも制約が少ないため、十分な補正量を確保しやすく、動画にも十分対応できる光学式手振れ補正が可能となる。
【発明の効果】
【0010】
光学式手振れ補正装置をスマートフォンの筐体内にではなく、筐体外に設けることが可能な、スマートフォンケースを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態に係るスマートフォンケース
図2】本発明の構成全体を表す分解斜視図。
図3】スマートフォンケース内に、二次電池を設置した状態を表す断面図。(a)は図1中A−A断面図であり、(b)は図1中B−B断面図である。
図4】駆動ユニットを構成する主要部品と概念図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
スマートフォンを装着し、スマートフォン自体をX軸Y軸方向に搖動させて手振れ補正を行なう三層構造に形成したスマートフォンケースであって、内ケースにはスマートフォンの端部を係止する爪を設け、X軸方向に延びる回転軸を設けて当該回転軸を中ケースの回転軸穴に結合させ、中ケースにはY軸方向に延びる回転軸を設けて、当該回転軸を外ケースの回転軸穴に結合させ、内ケースと中ケースには陽動を制御する駆動ユニットを装着し、外ケース内に収容され外ケース外に引き出し可能な、ケーブルとライトニングを有するスマートフォンケース
【0013】
駆動ユニットを内ケースと中ケースに設け、駆動ユニットに電気を供給する二次電池を設け、当該二次電池とスマートフォンとをケーブルとライトニングを介して接続し、当該スマートフォンの充電を可能にし、二次電池は外ケースと内ケースの間にあって、中ケースの一部が切り欠かれたスペースに配置されるスマートフォンケースを提供する。
【0014】
図1はスマートフォン15を当スマートフォンケース100にセットした状態の図である。図2は本発明の全体を構成する図で、番号にしたがって説明する。
外ケース1は外観部を構成し、スマートフォンケース100は手振れ補正装置を構成する。ライトニングカバー2はライトニングを外ケースに固定するものである。二次電池3は外ケースに固定され、手振れ補正やスマートフォンへの充電に使用する。
【0015】
FPC4は外ケースに固定される。充電用コネクター5は二次電池3の充電に利用するコネクター。角速度センサー6A6Bはヨー及びピッチ方向のブレを検出するセンサー。FPC7は中ケース11に固定されるサブのFPC。電源スイッチ8は手振れ補正装置の電源スイッチ。
【0016】
バッテリーチェッカーボタン9は二次電池3の電圧をチェックする。ライトニングと充電ケーブル10は、外ケースに固定されていて、いつでもケース外に引き出せる。中ケース11は、二次電池3との緩衝を避けるため、電池を内蔵した分ケース全体の厚みが増さないように、中心部を大きく切り欠いて対応している状態を図3に示す。ヨーおよびピッチ方向の手振れ補正量の範囲内に、二次電池3を収納した図になる。
【0017】
トーションバネ12A12Bは中ケース11と内ケース14に取り付けて、ヨー及びピッチ方向への動力を生み出す。駆動ユニット13Aは中ケース11に取り付けられ、駆動ユニット13Bは内ケース14に取り付けられる。
【0018】
図4に駆動ユニットの概要を示す。ステッピングモータ01のウオームギヤ―02がウオームホイール03に噛み合う。カムギヤー04は、等速度カム05と一体になっている。ホームポジションセンサー06はカムギヤー04のホームポジションを認識するセンサー。カムフォロアー07は、等速度カム05に接して搖動運動を生む。
(駆動ユニット13Aおよび13Bは公知の技術で構成されている。
例えば特開2007−93953参照)
【0019】
内ケース14は、スマートフォンを取り付けるための爪と、スマートフォン15自体が発する電池の熱を放熱するための、複数の穴が設けてある。二つの回転軸は中ケース11の回転軸穴に結合する。スマートフォンは15になる。
【0020】
本発明は三層構造のケースを形成し、ジンバル機構を活用した手振れ補正装置を内蔵するスマートフオンケースである。ケースには角速度センサー、X軸Y軸方向の手振れを補正する駆動ユニット、制御回路、電池などの手振れ補正装置に必要な部品と、副次的に必要とする機能部品などが含まれている。
【0021】
スマートフォンはカメラ撮影を多用すると電力消費が多いために、電池切れを起こすことがあった。あるいは、電池切れを注意しながらの撮影になった。
仮に電池切れを起こせばすべての機能を失う。非常用として乾電池式の簡易的な充電器がコンビニなどで市販されているが、撮影を再開できるほど十分なものではなく、あくまでも一時しのぎである。また多くはバッテリーが使い捨てタイプであり、経済性あるいは携帯性の面からも改善が求められている。
【0022】
カメラ機能が向上して撮影時間が長くなると、スマートフォンの現時点での電池容量はユーザの要望に十分に応えているとはいえない状況にある。カメラ機能を多用するユーザには、安定した手振れ補正装置と電源を提供する必要があり、これまで十分な対応とは言えないこの二つは、車の両輪に相当する課題でもあった。この二つの課題を解決する手段として、本発明は手振れ補正装置と、それに使用する大容量の二次電池と、その電池を充電に使用するためのケーブルとライトニングを、外ケース内に装備して対応した。
【0023】
動画投稿サイトの利用者が急増している。スマートフォン内蔵の手振れ補正は動画撮影には不十分と言われているが、本発明のスマートフォンケースは、スマートフォン自体をケース内で揺動させる方式のため、補正幅を拡張しつつ追従性を向上させ、高精度で応答性に優れた手振れ補正効果を得ることが可能になった。
【0024】
iphoneにはステディカムスムージという動画撮影専用の手振れ補正機器が存在し、多くのマニアが利用している。この機器は事前の微妙なセットや、使用時にはある程度の習熟が必要とされているが、当スマートフォンケースはスマートフォンをケースにセットして、電源をONするだけで、誰でもその場で簡単に使用できる。
【0025】
本発明は手振れ補正装置を装備していない「格安スマホ」などにもオプションとして手振れ補正装置を提供できる。このことは、ユーザが必要とするしないに係わらず、手振れ補正装置を内蔵し、そのコストをユーザに一様に負担させてきた、これまでの横並び的開発姿勢にも、一石を投ずる効果を期待できる。
【0026】
多くのスマートフォンケースが商品化されているが、その多くはスマートフォン本体の電池の放熱を妨げている。長時間使用するとスマートフォンの電池は高熱になり、本体のケースを通して放熱するのだが、スマートフォンケースで本体のケースをカバーした状態になると、放熱効果を妨げることになる。
【0027】
電池を高熱状態で繰り返し使用すると、劣化を早め電池の寿命を短くする。その点本発明のスマートフォンケースは、三層構造に形成されており、スマートフォンが直接セットされる内ケースには、ユーザの手の体温が加わることもない。また、内ケースとスマートフォンの接触面には、複数の穴を設けて放熱効果を高めて劣化を防ぎ、電池の寿命を長める効果を期待できる。
【符号の説明】
【0028】
1外ケース
3二次電池
5充電コネクター
8手振れ補正電源スイッチ
10ライトニング
11中ケース
13A13B駆動ユニット
14内ケース
15スマートフォン
100スマートフォンケース
図1
図2
図3
図4