特許第6432908号(P6432908)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6432908
(24)【登録日】2018年11月16日
(45)【発行日】2018年12月5日
(54)【発明の名称】散薬供給装置
(51)【国際特許分類】
   A61J 3/00 20060101AFI20181126BHJP
【FI】
   A61J3/00 310E
   A61J3/00 310F
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-113600(P2015-113600)
(22)【出願日】2015年6月4日
(65)【公開番号】特開2016-221174(P2016-221174A)
(43)【公開日】2016年12月28日
【審査請求日】2017年8月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000151472
【氏名又は名称】株式会社トーショー
(74)【代理人】
【識別番号】100106345
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 香
(72)【発明者】
【氏名】大村 義人
【審査官】 村上 勝見
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−000193(JP,A)
【文献】 特開平06−164996(JP,A)
【文献】 特開2013−085204(JP,A)
【文献】 特開2004−080170(JP,A)
【文献】 特開2013−048899(JP,A)
【文献】 特開2006−133269(JP,A)
【文献】 特開2008−149036(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0150092(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 3/00
B65B 37/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
散薬カセットを着脱可能に保持するカセット保持機構と、前記散薬カセットから排出されて落下している散薬を撮像装置で撮ってその画像から散薬送出量を算出する撮像計測手段と、前記カセット保持機構と前記撮像装置とを内部に保持する筐体とを備えた散薬供給装置において、前記撮像装置のうち前記カセット保持機構側の部分または前記撮像装置の全体を囲って前記撮像装置への散薬飛来を阻止する散薬飛来阻止部材が設けられて前記筐体の内部に保持されており、前記散薬飛来阻止部材のうち前記撮像装置の撮影方向に当たる部分または前記散薬飛来阻止部材の全部に透明部材が用いられており、前記筐体のうち前記撮像装置の下方に位置する部位に集塵用の吸気口が形成されており、上下両端の開口した着脱式の管路体からなり前記筐体の内部に装着されると下端開口が前記吸気口と連通し上端開口が前記散薬飛来阻止部材の下方に来る集塵経路延長部材が設けられていることを特徴とする散薬供給装置。
【請求項2】
散薬カセットを着脱可能に保持するカセット保持機構と、前記散薬カセットから排出されて落下している散薬を撮像装置で撮ってその画像から散薬送出量を算出する撮像計測手段とを備えた散薬供給装置において、
前記撮像装置のうち前記カセット保持機構側の部分または前記撮像装置の全体を囲って前記撮像装置への散薬飛来を阻止する散薬飛来阻止部材が設けられており、前記散薬飛来阻止部材のうち前記撮像装置の撮影方向に当たる部分または前記散薬飛来阻止部材の全部に透明部材が用いられており、
前記透明部材の外面のうち前記カセット保持機構側の面であって前記撮像装置の撮影方向に当たる部分を拭く又は掃く拭掃部材が設けられており、
前記カセット保持機構と前記撮像装置と前記散薬飛来阻止部材と前記拭掃部材とを内部に保持する上部筐体と、前記上部筐体を揺動可能に支持する基部と、前記上部筐体の揺動を伝達して前記拭掃部材を稼動させる揺動連動機構とが設けられていることを特徴とする散薬供給装置。
【請求項3】
前記散薬カセットから落下した散薬を受け入れて一時貯留する開閉弁付き貯留ホッパ及び前記貯留ホッパを支承するホッパ保持機構が前記基部の内部に設けられており、前記基部のうち前記撮像装置の下方に位置する部位に集塵用の吸気口が形成されており、上下両端の開口した着脱式の管路体からなり前記基部に装着されると下端開口が前記吸気口と連通し上端開口が前記散薬飛来阻止部材の下方に来るとともに前記ホッパ保持機構の近くにも来る集塵経路延長部材が設けられていることを特徴とする請求項2記載の散薬供給装置。
【請求項4】
前記集塵経路延長部材の上端開口がコの字状になっていることを特徴とする請求項3記載の散薬供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、散薬カセットから散薬を少しずつ送り出しながら送出量を撮像にて計測する散薬供給装置に関し、さらに飛散散薬の影響を軽減・抑制する技術にも関する。
【背景技術】
【0002】
散薬供給機構の構成例として、いわゆるR円盤や分割マス等の大形部材を用いる配分分割式の他、散薬を定量で又は可変量で少しずつ送り出しながら送出量を計測することで必要量だけ供給する小形の計量分割式が挙げられる。
前者の配分分割式には振動フィーダが多用されており、なかには(例えば特許文献1参照)、送出散薬が流れ出て落ちて来ているか否かを検出するためにフォトセンサ等を設けたり、散薬の飛散を防止するために集塵装置を設けてその集塵ヘッドを散薬フィーダの近傍に配置したものもある。
【0003】
後者の小形の計量方式には、スクリュー回転数などから送出量を算出する容積計測方式や、送出側か受取側で重量を測定する重量計測方式、落下中の散薬を撮った画像から送出量を算出する謂わば撮像計測方式がある。
それらのうち、容積計測方式や重量計測方式は、それだけで微量の散薬を精度良く測定しようとすると時間とコストが嵩むため、一包分ずつの散薬分割でなく、一患者分ずつの散薬分割に用いられてきた。
【0004】
これに対し、撮像計測方式や、それと重量計測方式との組合せ方式は、一包分ずつの散薬分割まで実用に適うものとなっている(例えば特許文献2参照)。
また、撮像計測方式の散薬供給機構では(例えば特許文献2参照)、供給対象の散薬を収容した円筒状の散薬カセットが横置き状態で装着されると、散薬カセットの口を開けて散薬カセットを軸回転させることにより、散薬を薄く広げながら逐次排出させるとともに、落下散薬を撮像装置で撮った画像を処理して散薬送出量を時々刻々算出するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−149036号公報
【特許文献2】特開2013−048899号公報
【特許文献3】特願2014−206872号[出願]
【特許文献4】特願2014−228583号[出願]
【特許文献5】特願2014−230399号[出願]
【特許文献6】特願2014−230848号[出願]
【特許文献7】特願2014−231116号[出願]
【特許文献8】特願2014−241407号[出願]
【特許文献9】特願2015−013778号[出願]
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような撮像計測方式やそれに重量計測を組み合わせた散薬供給装置については、実用性を高めるために種々の改良が加えられており(特許文献3〜9参照)、例えば、横置き円筒カセット回転方式の散薬供給機構を配分分割式の散薬供給機構や包装装置と共に筐体の中に収めた薬剤分包機や(特許文献3参照)、円筒カセットの収容散薬量が減っても散薬の排出速度がさほど下がらないように円筒カセットを底側より口側の低い傾斜状態で保持するようになった散薬供給装置(特許文献4参照)、駆動軸の先端部に対して軸方向遊嵌状態かつ回転方向係止状態で嵌合する穴が形成されて口下がり傾斜姿勢で保持して軸回転させても回転速度が変動しないようになった散薬カセット(特許文献5参照)、二つの支承部材で持ち替えることで散薬を開閉式ホッパにて迅速かつ正確に微量分割しうるようになった散薬供給装置(特許文献6参照)などが開発されている。
【0007】
ところが、飛散散薬の影響を軽減・抑制することに関しては、未だ、散薬の飛散を防止するための集塵装置を並設・付設する程度にとどまっていた。
しかしながら、撮像計測を行う散薬供給装置にあっては、撮像装置の部品に飛散散薬が付着すると、なかでもレンズ中央等に飛散散薬が付着すると、それが画像に写り込んだり、画像が不鮮明になったりして、その悪影響が測定精度に及ぶことがある。特に微少流量計測を行う場合には、測定精度が不所望なまで損なわれることにもなりかねない。
そこで、撮像計測方式に適した飛散散薬の影響軽減手段を開発してそれを具備した散薬供給装置を実現することが技術的な課題となる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の散薬供給装置は(解決手段1)、このような課題を解決するために創案されたものであり、散薬カセットを着脱可能に保持するカセット保持機構と、前記散薬カセットから排出されて落下している散薬を撮像装置で撮ってその画像から散薬送出量を算出する撮像計測手段とを備えた散薬供給装置において、前記撮像装置のうち前記カセット保持機構側の部分または前記撮像装置の全体を囲って前記撮像装置への散薬飛来を阻止する散薬飛来阻止部材が設けられており、前記散薬飛来阻止部材のうち前記撮像装置の撮影方向に当たる部分または前記散薬飛来阻止部材の全部に透明部材が用いられていることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の散薬供給装置は(解決手段2)、上記解決手段1の散薬供給装置であって、前記透明部材の外面のうち前記カセット保持機構側の面であって前記撮像装置の撮影方向に当たる部分を拭く又は掃く拭掃部材が設けられていることを特徴とする。
【0010】
さらに、本発明の散薬供給装置は(解決手段3)、上記解決手段2の散薬供給装置であって、前記カセット保持機構と前記撮像装置と前記散薬飛来阻止部材と前記拭掃部材とを内部に保持する上部筐体と、前記上部筐体を揺動可能に支持する基部と、前記上部筐体の揺動を伝達して前記拭掃部材を稼動させる揺動連動機構とが設けられていることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の散薬供給装置は(解決手段4)、上記解決手段3の散薬供給装置であって、前記散薬カセットから落下した散薬を受け入れて一時貯留する開閉弁付き貯留ホッパ及び前記貯留ホッパを支承するホッパ保持機構が前記基部の内部に設けられており、前記基部のうち前記撮像装置の下方に位置する部位に集塵用の吸気口が形成されており、上下両端の開口した着脱式の管路体からなり前記基部に装着されると下端開口が前記吸気口と連通し上端開口が前記散薬飛来阻止部材の下方に来るとともに前記ホッパ保持機構の近くにも来る集塵経路延長部材が設けられていることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の散薬供給装置は(解決手段5)、上記解決手段4の散薬供給装置であって、前記集塵経路延長部材の上端開口がコの字状になっていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
このような本発明の散薬供給装置にあっては(解決手段1)、散薬飛来阻止部材を設けたことにより、散薬落下経路から飛び散った散薬が撮像装置に向かって来ても途中で散薬飛来阻止部材に阻止されることから、撮像装置への散薬付着が防止されるので、撮像装置に対する飛散散薬の影響が軽減される。
しかも、散薬飛来阻止部材のうち少なくとも撮像装置の撮影方向に当たる部分は透明になっているので、散薬飛来阻止部材を設けても、撮像装置による落下散薬の撮像機能は、維持される。
【0014】
このような散薬飛来阻止部材を設けると、撮像装置の代わりに散薬飛来阻止部材の外面に飛来散薬が付着することがあり、その付着部位が透明部材のうち撮像装置の撮影方向に当たる部分であると、その影響が撮像計測に及びかねないところ、本発明の散薬供給装置にあっては(解決手段2)、拭掃部材を設けて透明部材の必要部分を拭いて又は掃いて清掃するようにもしたことにより、散薬飛来阻止部材に対する飛散散薬の影響が軽減される。しかも、散薬飛来阻止部材のうち清掃対象部分は、撮像装置のレンズのような精密な曲面である必要がなく、平坦面であっても良いので、拭掃部材が簡素なもので済む。
【0015】
さらに、本発明の散薬供給装置にあっては(解決手段3)、基部と上部筐体とに係る揺動連動機構にて基部に対する上部筐体の揺動を伝達して拭掃部材を稼動させるようにもしたことにより、供給散薬の変更時などに散薬落下経路その他の内部状態の確認や洗浄作業等のために上部筐体を揺動させて基部との間を開閉すると、それに随伴して拭掃部材が稼動し、それによって透明部材の必要部分が清掃されるので、モータ等の駆動部材や清掃開始スイッチ等の操作部材を付設しても良いがそうするまでもなく簡便に、さらには清掃の失念を防止する清掃監視機能などを制御装置に付加しても良いがそうするまでもなく確実に、必要な清掃が行われることとなる。
【0016】
また、本発明の散薬供給装置にあっては(解決手段4)、着脱式で丸洗い容易な集塵経路延長部材を導入して、それを基部に装着すると吸気口が散薬飛来阻止部材の被清掃部位や貯留ホッパの散薬受入口に近づくとともに散薬飛来阻止部材の下方域や貯留ホッパ及びホッパ保持機構の近傍域にまで広がるようにしたことにより、貯留ホッパに向けて落下している途中に飛散した散薬も、散薬飛来阻止部材の被清掃部位から落とされた散薬も、的確に集塵されることとなる。
【0017】
また、本発明の散薬供給装置にあっては(解決手段5)、集塵経路延長部材の上端開口をコの字状に形成したことにより、集塵経路延長部材の着脱が容易に行えるうえ、装着した集塵経路延長部材が貯留ホッパ等を三方から囲むので集塵が効率良く行われる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施例1について、散薬供給装置の構造や動作状態を示す一部断面の模式図であり、(a)が上部筐体を上げて前面を開けた状態、(b)が集塵経路延長部材の平面図、(c)が上部筐体を下げて散薬カセットを保持させた状態、(d)が散薬を計量している状態である。
図2】(a)が散薬カセットを保持した上部筐体の一部断面模式図、(b)が基部の一部断面模式図、(c)及び(d)が散薬供給装置を装備した散薬分包機の斜視図である。
図3】(a)〜(c)何れも散薬飛来阻止部材の斜視図である。
図4】(a)が集塵経路延長部材の斜視図、(b)が基部の斜視図、(c)が基部の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
このような本発明の散薬供給装置について、これを実施するための具体的な形態を、以下の実施例1により説明する。
図1〜4に示した実施例1は、上述した解決手段1〜5(出願当初の請求項1〜5)を総て具現化したものである。
なお、それらの図示に際しては、簡明化等のため、ボルト等の締結具や,ヒンジ等の連結具,モータドライバ等の電気回路,コントローラ等の電子回路の詳細などは図示を割愛し、発明の説明に必要なものや関連するものを中心に図示した。
【実施例1】
【0020】
本発明の散薬供給装置の実施例1について、その具体的な構成を、図面を引用して説明する。図1(a),(c),(d)は、何れも、散薬供給装置10の右側面図に相当する一部断面の模式図であり、(a)が上部筐体20の前部を上げて散薬供給装置10の前面を開けた状態、(c)が上部筐体20を下げて散薬カセット4を保持させた状態、(d)が散薬カセット4から散薬7を少しずつ送り出しながら送出量を撮像にて計測するとともに開閉弁付き貯留ホッパ42で分割計量している状態を示している。図1(b)は、集塵経路延長部材50の平面図である。
【0021】
また、図2(a)は、散薬カセット4を保持している上部筐体20の右側面図に相当する一部断面の模式図であり、図2(b)は、基部40の右側面図に相当する一部断面の模式図、(c)及び(d)が散薬供給装置10及びそれを装備した散薬分包機60の斜視図である。さらに、図3(a)〜(c)は、何れも、散薬飛来阻止部材30の斜視図である。また、図4は、(a)が集塵経路延長部材50の斜視図、(b)が集塵経路延長部材50を装着した基部40の斜視図、(c)が集塵経路延長部材50を装着した基部40の平面図である。
【0022】
散薬供給装置10は(図1図2参照)、上側の上部筐体20と下側の基部40とを具備したものであり、そのうち基部40は、散薬供給装置10が単体で使用されるのであれば机上等の適宜な平坦面の上に載置され(図示せず)、散薬供給装置10が散薬分包機60に組み込まれるのであれば散薬分包機60の最上層部に取り付けられるようになっている(図2(c),(d)参照)。
【0023】
何れの構成であれ(図1(a),図2(d)参照)、上部筐体20の後端下部と基部40の後端上部とが蝶番等の揺動部材にて連結されて、上部筐体20が基部40によって揺動可能に支持されているので、上部筐体20の前端部に手を掛けてそこを上げると、上部筐体20が揺動して散薬供給装置10の前面が開き、内部の目視確認や清掃作業などが行えるようになっている。なお、常態では(図1(c),(d),図2(c)参照)、上部筐体20の前端部を下げて散薬供給装置10の前面を閉じておき、その状態で散薬カセット4の着脱や散薬7の供給を行うようになっている。
【0024】
上部筐体20の上面には(図1図2参照)、散薬カセット4の出し入れ用のカセット出入口が形成されており、そこを手動で開閉させるカセット出入口蓋22が付設されている。また、上部筐体20の内部には(図1図2参照)、カセット保持機構21と撮像装置23と回転駆動機構24とカセット開閉機構25と散薬飛来阻止部材30と拭掃部材32とが装備されている。さらに、基部40の内部には(図1図2参照)、開閉弁付き貯留ホッパ42とホッパ保持機構41と集塵ダクト43の端部および吸気口44とが装備されている。揺動連動機構33+34+35も設けられているが、これは、上部筐体20と基部40とに分かれて装備されていて、上部筐体20の揺動による散薬供給装置10の開・閉に伴って分離・係合するようになっている。
【0025】
カセット保持機構21は(図1図2(a)参照)、蓋付き有底円筒状容器からなる散薬カセット4をカセット出入口蓋22経由で着脱しうるものであり、装着された散薬カセット4を、水平状態で(特許文献2参照)又は底側より口側の低い傾斜状態で(特許文献4〜9参照)、かつ、軸回転可能な状態で、保持するようになっている。
回転駆動機構24は、カセット保持機構21上の散薬カセット4を軸回転させるものであり、散薬カセット4の後端外周部に噛合して(特許文献2参照)、又は散薬カセット4の後端面穴に嵌合して(特許文献4〜9参照)、回転力を伝達するようになっている。
【0026】
カセット開閉機構25は(図1図2(a)参照)、カセット保持機構21に保持されている散薬カセット4の前端開口の蓋を保持して、その散薬カセット4の口を散薬7の排出のために開け閉めするようになっている(特許文献2〜9参照)。
撮像装置23は、カセット保持機構21の前方または前斜め下に設けられていて、散薬カセット4から排出されて落下している散薬7を撮るようになっている(図1(d)参照)。散薬7の送出量をコントローラ11の画像処理にて算出しうるよう、散薬7が横に広がったところを撮るようになっている(特許文献2〜9参照)。撮像装置23が上述したカセット保持機構21や次に述べる散薬飛来阻止部材30と共に上部筐体20に装備されているので、上部筐体20が揺動しても撮影位置がずれないものとなっている。
【0027】
散薬飛来阻止部材30は(図1図2(a),図3参照)、この例では撮像装置23の収容保持を兼ねた箱体からなり、撮像装置23の全体をほぼ密封状態で囲っているので、散薬カセット4からの排出落下中に飛散した散薬や基部40から舞い上がった散薬などが飛来して来ても、それが撮像装置23に到達するのは阻止されるようになっている。
この散薬飛来阻止部材30の後面の略中央部分、ここは撮像装置23のうち撮影方向に当たる部分を含む後面部分であるが、そこには例えば透明なガラス平板からなる透明部材31が配されている。なお、透明は、撮像装置23の感光に関して透明であれば良い。
【0028】
拭掃部材32は(図1図2(a),図3参照)、柔らかいゴムやプラスチック等からなる細長い部材からなり、次に述べる揺動連動機構33+34+35の揺動部材34の一の揺動端部に保持されて、非保持側部分・自由側部分を透明部材31の両面のうちカセット保持機構21側の面に接触させているので、その面のうち撮像装置23の撮影方向に当たる部分を含む範囲を、揺動部材34の揺動に随伴して拭くものとなっている。図示の例では、付着散薬を拭き落とすことを意識して概ね上下方向に拭くようにしたが、左右方向や斜め方向など他の方向に拭くようにしても良い。
【0029】
揺動連動機構33+34+35は(図1図2(a),図3参照)、上部筐体20の散薬飛来阻止部材30によって揺動可能に支持された揺動部材34と、揺動部材34の他のの揺動端部に保持された転動輪33と、基部40の前面寄り部位に装着された斜路部材35とを具備したものであり、それらのうち揺動部材34と斜路部材35は離れていて直に接することがない。これに対し、転動輪33と斜路部材35は、上部筐体20を下げて散薬供給装置10を閉じると係合するが、上部筐体20を上げて散薬供給装置10を開けると離隔するようになっている。なお、離隔時に、拭掃部材32が下がるとともに、転動輪33が斜路部材35の転動用斜面の高位側に来るように、その向きに揺動部材34を揺動させようとする図示しないバネ等からなる付勢手段が揺動部材34に付設されている。
【0030】
また、斜路部材35のうち転動輪33と係合することがある上面部分は、斜めに形成されて転動用斜面になっている。さらに、転動輪33が揺動部材34の他の揺動端部に保持されていて、転動輪33を横方向へ移動させると、揺動部材34が揺動し、更に拭掃部材32が上下動するようにもなっている。そして、これらの部材からなる揺動連動機構33+34+35は、上部筐体20の前面開閉時の揺動のうち、転動輪33が斜路部材35の転動用斜面を転動するときの運動を、拭掃部材32に伝達して拭掃部材32を弧状に往復運動させることにより、拭掃部材32を稼動させて、透明部材31の両面のうちカセット保持機構21側の面を拭掃部材32に拭かせるものとなっている。
【0031】
開閉弁付き貯留ホッパ42は(図1図2(b),特許文献3〜9参照)、上端開口が広く下端開口が狭い漏斗状部材を主体としたものであり、下端かその近傍に開閉弁が付設されている。そして、その弁を閉じた状態で、カセット保持機構21に保持されている散薬カセット4から少しずつ排出されて落下した散薬7を受け入れて一時貯留し、開閉弁を開けて貯留散薬を下方へ落下させて放出するようになっている。
ホッパ保持機構41は、上述の開閉弁付き貯留ホッパ42を支承して散薬落下経路中に保持するものであるが、内蔵した又は付設された小形の精密なロードセル等にて開閉弁付き貯留ホッパ42及び貯留散薬の重量を計測するようになっている。
【0032】
集塵ダクト43は(図1図2(b)参照)、図示しないエアクリーナ(集塵機,負圧吸引源)に接続されており、その一端部が吸気口44に連結されている。
吸気口44は(図1図2(b),図4(c)参照)、集塵用の開口であり、ダクト詰まり防止のために網状・格子状の部材が装着されている。その形成位置は、次に詳述する集塵経路延長部材50によって上方へ延長されるとともに横へ拡張されるので、厳密である必要は無いが、概ね、基部40のうち撮像装置23の下方に位置する部位に形成される。より具体的には、基部40の上面のうち前端寄りのところであって、透明部材31のうち拭掃部材32によって拭かれる部位の下方のところに、形成されている。
【0033】
集塵経路延長部材50は(図1図2(b),図4参照)、上下両端が何れも開口している縦の角形ダクトのような管路体からなるものであるが、隣り合う2隅のうち上端寄りの部分が横方向へほぼ平行に引き延ばされたかのような変形管体であり、上端開口52がコの字状になっている(図1(b),図4(a),図4(c)ハッチング参照)。下端開口51は下端開口51より狭いが吸気口44よりは広い(図4(c)参照)。集塵経路延長部材50は基部40の上面のうち前端寄りのところに着脱しうるようになっているので、そこに集塵経路延長部材50を装着すると(図4(b)参照)、下端開口51が吸気口44と連通し合い(図1(c),図4(c)参照)、さらに、上端開口52が散薬飛来阻止部材30の下方に来るとともにホッパ保持機構41の近くにも来る(図1図4参照,特に図4(c)ハッチング部分を参照)。このような集塵経路延長部材50は、上端開口52が下端開口51より大きいので、受け皿としても機能し、吸気口44へ集塵し切れなかった散薬を内底面等にとどめるものとなっている。
【0034】
コントローラ11は、基部40(図2(b)参照)や他の適宜な電装空間に設置された専用の又は散薬分包機60と共用のマイクロプロセッサ等からなり、上述した各機構の動作制御を行う制御装置であると同時に、画像処理やデータ処理を行う演算装置であり、さらには、撮像装置23で撮った画像から散薬送出量を算出する撮像計測手段として機能するとともに、ホッパ保持機構41で測定した開閉弁付き貯留ホッパ42及び貯留散薬の重量値から散薬分割量を算出する重量計測手段としても機能するようになっている。また、エアクリーナの制御も行って、吸気口44からの吸気を、散薬飛散量の比較的少ない散薬送出量の計測中には弱く行わせるが、散薬飛散量の比較的多い開閉弁付き貯留ホッパ42の弁開閉時には強く行わせるようにもなっている。
【0035】
この実施例1の散薬供給装置10について、その使用態様及び動作を、上述した各図面を引用して説明する。
【0036】
散薬供給装置10を稼動させるに先立ち、散薬の種類等に応じて必要であれば、上部筐体20の前端を持ち上げて散薬供給装置10の前側を開き(図1(a),図2(d)参照)、集塵経路延長部材50を取り出して清掃や洗浄を行うとともに(図1(a),(b)図4(a)参照)、散薬供給装置10の内部を手持ち式の集塵装置等で清浄にする。そして、そのような清浄作業の結果確認に加えて、異常状態の有無の目視確認や、必要であれば内装部材の調整や交換なども行い、内部に対する作業や確認等が済んだら、集塵経路延長部材50を基部40に装着し(図1(c),図4(b),(c)参照)、それから上部筐体20の前端を下げて散薬供給装置10を閉じて(図1(c),図2(c)参照)、散薬供給装置10の稼動準備作業を終える。
【0037】
このようにして稼動準備がなされると、散薬供給装置10の前側の開閉に伴って拭掃部材32が透明部材31を拭くので(図3(b),(c)参照)、透明部材31が綺麗になる。詳述すると、最初の閉時には転動輪33が斜路部材35の転動用斜面の低位側に位置していて拭掃部材32が透明部材31の上部に来ているが(図3(c)参照)、上部筐体20が開側へ揺動させられると転動輪33が斜路部材35の転動用斜面の高位側に移動し更には離隔して拭掃部材32が透明部材31の下部に来るので(図3(b)参照)、拭掃部材32が透明部材31を上から下へ一拭きする。
【0038】
それから、上部筐体20が閉側へ揺動させられると、転動輪33が、先ず斜路部材35の転動用斜面に係合し、それから高位側から低位側へ転動し、それに伴って、拭掃部材32が透明部材31の下部から上部へ移動するので、拭掃部材32が透明部材31を下から上へもう一拭きする(図3(c)参照)。
こうして、散薬供給装置10の内部の清掃や確認のために散薬供給装置10を開閉すると、それに随伴して透明部材31の両面のうち散薬落下経路側の面であるカセット保持機構21側の面が拭掃部材32にて拭かれるので、内向きのため人手では清掃しづらい透明部材31が意識して清掃するまでもなく綺麗な状態に維持される。また、透明部材31から拭き落とされた散薬は集塵経路延長部材50の中に入るため、集塵経路延長部材50の清掃時に除去されるか吸気口44から吸い出されるので、二次汚染も無い。
【0039】
散薬供給装置10の稼動準備が調ったら、手動で、調剤対象の散薬7を収容しているカセット出入口蓋22を開けて(図1(c)参照)、そこから散薬カセット4を上部筐体20に入れ、カセット保持機構21に保持させるが、その際(図2(a)参照)、散薬カセット4を横にしてカセット後部を回転駆動機構24と係合させるとともにカセット蓋をカセット開閉機構25と係合させ、それからカセット出入口蓋22を閉める。
そして、散薬カセット4の装着後は、分包量(散薬送出量)や分包数(送出回数)といった調剤指示データを操作入力やダウンロード等にてコントローラ11に与える。
【0040】
そうすると、その後は、コントローラ11の制御により自動で、開閉弁付き貯留ホッパ42の開閉弁が弁駆動機構によって閉じられ、カセット開閉機構25によって散薬カセット4の口が僅かに開けられ、回転駆動機構24によって散薬カセット4が軸回転させられるので、散薬7が、散薬カセット4の口から少しずつ排出されて、落下する(図1(d)参照)。そのとき、散薬7は、(同図では左右方向の)厚みが薄い状態で、(同図では紙面に垂直な方向である)横に広がりながら、撮像装置23の前(撮影方向)を落下して、開閉弁付き貯留ホッパ42の中に入り込む。そして、その落下中の散薬7が撮像装置23によって撮られ、その画像に基づきコントローラ11の撮像計測プログラム実行によって落下中の散薬7の量の推定値が算出される。
【0041】
また、開閉弁付き貯留ホッパ42に入り込んだ散薬7は、その中に一時貯留され、開閉弁付き貯留ホッパ42とホッパ保持機構41のロードセルにて重量測定される。そして、その重量変化に基づきコントローラ11の重量計測プログラム実行によって一時貯留中の散薬7の量が算出される。それから、更に、コントローラ11によって、一時貯留中の散薬7の量と落下中の散薬7の量という二つの算出値に基づいて散薬カセット4からの散薬送出量が算出され、その散薬送出量が指定の一包量(分割量)に達すると又はそう見込まれると、カセット開閉機構25によって散薬カセット4の口が閉められるとともに、弁駆動機構によって開閉弁付き貯留ホッパ42の開閉弁が開けられて、一包量(分割量)の散薬7が下流の図示しない包装装置等へ送り込まれる。
【0042】
このような動作が一包量(分割量)毎に繰り返されて、指定の分包数(送出回数)だけ行われると、所要の散薬供給動作が完了するので、散薬カセット4の口を閉めた状態で散薬供給装置10が動作停止する。その後、同じ散薬カセット4から同じ散薬7を再び調剤するのであれば、上述した調剤指示データの設定から行うが、使用済みの散薬カセット4を散薬供給装置10から取り外すときには上述した装着時と逆順の作業を行う。さらに、必要に応じて、散薬供給装置10の前側を開き、上述した稼動準備作業も行う。
こうして、横置き円筒カセット回転方式で散薬供給が行われるが、散薬供給装置10は幾つかの点で改良されている。
【0043】
すなわち、散薬飛来阻止部材30によって撮像装置23が囲われているので、散薬カセット4から排出された散薬7の一部が飛散して撮像装置23に向かって来ても、散薬飛来阻止部材30によって撮像装置23への到達が阻止されるので、撮像装置23には飛来散薬が付着しない。また、撮像装置23を囲う散薬飛来阻止部材30のうち撮影方向の部位には透明部材31が配されているので、撮像装置23が散薬飛来阻止部材30によって囲われていても、撮像装置23の散薬撮影機能は維持される。さらに、撮像装置23の代わりに散薬飛来阻止部材30の透明部材31に飛来散薬が付着したとしても、その散薬は、上部筐体20を開閉すると、それに随伴して作動する拭掃部材32によって拭かれ、集塵経路延長部材50の中に落下するので、簡便かつ適切に取り除かれる。
【0044】
しかも、その集塵経路延長部材50は、コの字状の上端開口52が透明部材31及び拭掃部材32の下方に位置するばかりかホッパ保持機構41や開閉弁付き貯留ホッパ42の近傍域にまで広がっているので、落下時に開閉弁付き貯留ホッパ42の外まで散らかってしまった散薬までも逃さず捕捉することができる。捕捉された散薬は多くが下端開口51に連通する吸気口44を介して集塵され、集塵経路延長部材50内に残った散薬も、着脱容易な集塵経路延長部材50の丸洗い等によって確実に除去される。さらに、吸気口44からの吸気についても、散薬飛散量の比較的少ない散薬送出量の計測中には弱くなるが、散薬飛散量の比較的多い開閉弁付き貯留ホッパ42の弁開閉時には強くなるので、計測精度を損なうことなく、しかも効率よく、飛散散薬の集塵が行われる。
【0045】
[その他]
上記実施例では散薬飛来阻止部材30が撮像装置23の全体を囲っていたが、撮像装置23への散薬7の飛来を適度に阻止することができれば、散薬飛来阻止部材30が撮像装置23の全体を囲うことは必須でなく、散薬飛来阻止部材30は、撮像装置23のうちカセット保持機構21側の部分やそれを含む部分を囲うものであっても良い。
また、上記実施例では、散薬飛来阻止部材30のうち撮像装置23の撮影方向に当たる部分を含む一平面にだけ透明部材31が用いられていたが、それに透明部材31の採用が限定される訳でなく、それより多くの部分さらには散薬飛来阻止部材30の全部に透明部材が用いられていても良い。
さらに、上記実施例では、拭掃部材32がワイプ式の拭く部材であったが、透明部材31の表面を清掃して付着散薬を除去できれば、拭掃部材32は、スイープ式の掃く部材であっても良い。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明の散薬供給装置は、単独で使用しても良いが、散薬分包機に組み込まれることが多く、その際、配分分割用の機構を置換する形で包装装置の直上に設けて散薬を一包分ずつ包装装置へ送り込むようにしても良く、散薬フィーダを置換する形で回転配分式の散薬供給装置に組み込んでも良く、散薬フィーダに散薬を供給する形で回転配分式の散薬供給装置に付設しても良く、回転配分式の散薬供給装置と並設しても良く、それらを切り替えられるようにしても良い。
【符号の説明】
【0047】
4…散薬カセット、7…散薬、
10…散薬供給装置、
11…コントローラ(制御装置・演算装置,撮像計測手段,重量計測手段)、
20…上部筐体、21…カセット保持機構、22…カセット出入口蓋、
23…撮像装置(撮像計測手段)、24…回転駆動機構、25…カセット開閉機構、
30…散薬飛来阻止部材、31…透明部材、32…拭掃部材、
33+34+35…揺動連動機構、33…転動輪、
34…揺動部材、35…斜路部材(基部側固定)、
40…基部、41…ホッパ保持機構(重量計測手段)、
42…開閉弁付き貯留ホッパ、43…集塵ダクト、44…吸気口、
50…集塵経路延長部材、51…下端開口、52…上端開口、
60…散薬分包機
図1
図2
図3
図4