(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6433089
(24)【登録日】2018年11月16日
(45)【発行日】2018年12月5日
(54)【発明の名称】認可スペクトルおよび無認可スペクトル上の動的リソース割り当てのためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
H04W 28/16 20090101AFI20181126BHJP
H04W 72/08 20090101ALI20181126BHJP
H04W 16/14 20090101ALI20181126BHJP
H04W 72/04 20090101ALI20181126BHJP
【FI】
H04W28/16
H04W72/08
H04W16/14
H04W72/04 111
【請求項の数】17
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2016-568002(P2016-568002)
(86)(22)【出願日】2015年5月18日
(65)【公表番号】特表2017-516414(P2017-516414A)
(43)【公表日】2017年6月15日
(86)【国際出願番号】CN2015079204
(87)【国際公開番号】WO2015172748
(87)【国際公開日】20151119
【審査請求日】2016年12月27日
(31)【優先権主張番号】61/994,734
(32)【優先日】2014年5月16日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/670,215
(32)【優先日】2015年3月26日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504161984
【氏名又は名称】ホアウェイ・テクノロジーズ・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100146835
【弁理士】
【氏名又は名称】佐伯 義文
(74)【代理人】
【識別番号】100140534
【弁理士】
【氏名又は名称】木内 敬二
(72)【発明者】
【氏名】アミネ・マーレフ
(72)【発明者】
【氏名】モハメド・アデル・サレム
(72)【発明者】
【氏名】ジアンレイ・マ
【審査官】
望月 章俊
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第8126473(US,B1)
【文献】
米国特許出願公開第2007/0026868(US,A1)
【文献】
特表2010−505324(JP,A)
【文献】
国際公開第2014/066403(WO,A1)
【文献】
特開2014−207673(JP,A)
【文献】
米国特許第7512094(US,B1)
【文献】
米国特許出願公開第2013/0156005(US,A1)
【文献】
特表2014−502799(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W4/00−H04W99/00
H04B7/24−H04B7/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
認可帯域および無認可帯域に及ぶ信号送信を円滑にするための方法であって、
スケジューラによって、統合無線インターフェース上で伝送されるトラフィックフローを識別するステップであって、前記トラフィックフローは、セルラー通信用に認可されている主要帯域と無認可通信用に確保されている補完帯域の両方の部分の上で伝送され、前記主要帯域と前記補完帯域の両方に同じ無線アクセス技術(RAT)が使用される、ステップと、
前記統合無線インターフェース上の前記トラフィックフローの全体的なサービス品質(QoS)要件が満たされるように、前記トラフィックフローが送信される速度、および、前記トラフィックフローを送信するための前記主要帯域および前記補完帯域上のスペクトルの量を動的に変化させるように送信ポイントに促すステップとを含む方法。
【請求項2】
前記全体的なQoS要件が満たされるように、前記トラフィックフローが送信される速度、および、前記トラフィックフローを送信するための前記主要帯域および前記補完帯域上のスペクトルの量を動的に変化させるように前記送信ポイントに促すステップは、
前記主要帯域および前記補完帯域上の前記トラフィックフローの累積送信速度が最小閾値よりも高く維持されるように、前記トラフィックフローが送信される速度、および、前記トラフィックフローを送信するための前記主要帯域および前記補完帯域上のスペクトルの量を動的に変化させるように前記送信ポイントに促すステップを含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記トラフィックフローが送信される速度、および、前記トラフィックフローを送信するための前記主要帯域および前記補完帯域上のスペクトルの量を動的に変化させるように前記送信ポイントに促すステップは、
前記補完帯域上の実効送信速度が下方閾値を下回るときに前記主要帯域の追加のスケジュールされたリソースを前記トラフィックフローに割り当てるステップ、または、
前記補完帯域上の送信速度が上方閾値を超えるときに前記主要帯域のより少ないスケジュールされたリソースを前記トラフィックフローに割り当てるステップ、または、
前記トラフィックフローの一部が前記主要帯域上で送信される第1の速度を変化させるように前記送信ポイントに促し、前記トラフィックフローの一部が前記補完帯域上で送信される第2の速度を変化させるように前記送信ポイントに促すステップであって、前記第2の速度は、前記第1の速度が変化させられる量に反比例する量だけ変化させられる、ステップ、または、
切り替え基準が満たされたときに、前記トラフィックフローの一部を前記主要帯域から前記補完帯域に、またはその逆に、動的に切り替えるように前記送信ポイントに促すステップ
を含む請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記切り替え基準は、前記補完帯域の承認なしのリソースの上の競合レベルが上方閾値を超えるか、または下方閾値を下回るときに、または、前記主要帯域におけるスケジュールされたリソースの可用性が上方閾値を超えるか、または下方閾値を下回るときに満たされる請求項3に記載の方法。
【請求項5】
スケジューラであって、
プロセッサと、
前記プロセッサによる実行のためのプログラミングを記憶する非一時的コンピュータ可読記憶媒体であって、前記プログラミングは請求項1から4のいずれか一項に記載の方法における動作を実現するための命令を含む、非一時的コンピュータ可読記憶媒体とを備えるスケジューラ。
【請求項6】
認可帯域および無認可帯域に及ぶ信号を送信するための方法であって、
送信ポイントと1つまたは複数の受信ポイントとの間に統合無線インターフェースを確立するステップであって、前記統合無線インターフェースはセルラー通信用に認可されている主要帯域と無認可通信用に確保されている補完帯域の両方の上で無線信号を伝送するように適応され、前記主要帯域と前記補完帯域の両方に同じ無線アクセス技術(RAT)が使用される、ステップと、
前記送信ポイントによって、前記統合無線インターフェース上で無線送信を実行するステップであって、前記無線送信は、前記主要帯域および前記補完帯域の両方の部分の上でトラフィックフローを伝送する、ステップと、
前記統合無線インターフェース上の前記トラフィックフローの全体的なサービス品質(QoS)要件が満たされるように、前記トラフィックフローが送信される速度、および、前記トラフィックフローを送信するための前記主要帯域および前記補完帯域上のスペクトルの量を動的に変化させるステップとを含む方法。
【請求項7】
前記全体的なQoS要件が満たされるように、前記トラフィックフローが送信される速度、および、前記トラフィックフローを送信するための前記主要帯域および前記補完帯域上のスペクトルの量を動的に変化させるステップは、
前記主要帯域および前記補完帯域上の前記トラフィックフローの累積送信速度が最小閾値よりも高く維持されるように、前記トラフィックフローが送信される速度、および、前記トラフィックフローを送信するための前記主要帯域および前記補完帯域上のスペクトルの量を動的に変化させるステップ、または、
前記主要帯域上の前記トラフィックフローの第1の送信速度および第1のスペクトルの量を変化させ、前記補完帯域上の前記トラフィックフローの第2の送信速度および第2のスペクトルの量を変化させるステップであって、前記第2の送信速度および前記第2のスペクトルの量は、前記第1の送信速度および前記第1のスペクトルの量に反比例する量だけ変化させられる、ステップ、または、
切り替え基準が満たされたときに、前記トラフィックフローの一部を前記主要帯域から前記補完帯域に、またはその逆に、動的に切り替えるステップ、または、
切り替え基準が満たされたときに、前記補完帯域、前記主要帯域、またはその両方において前記無線送信が及ぶスペクトルの量を動的に変化させるステップ
を含む請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記トラフィックフローの一部を前記主要帯域から前記補完帯域に、またはその逆に、動的に切り替えるための切り替え基準は、
前記補完帯域の承認なしのリソースの上の競合レベルが上方閾値を超えるか、または下方閾値を下回るときに、または、
前記主要帯域におけるスケジュールされたリソースの可用性が上方閾値を超えるか、または下方閾値を下回るときに満たされる請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記補完帯域、前記主要帯域、またはその両方において前記無線送信が及ぶスペクトルの量を動的に変化させるための切り替え基準は、
前記補完帯域の承認なしのリソースの上の競合レベルが上方閾値を超えるか、または下方閾値を下回るときに、または、
前記主要帯域におけるスケジュールされたリソースの可用性が上方閾値を超えるか、または下方閾値を下回るときに、または、
前記主要帯域におけるスケジュールされたリソースの可用性が上方閾値を超えるか、または下方閾値を下回るときに満たされる請求項7に記載の方法。
【請求項10】
送信ポイントであって、
プロセッサと、
前記プロセッサによる実行のためのプログラミングを記憶する非一時的コンピュータ可読記憶媒体であって、前記プログラミングは請求項6から9のいずれか一項に記載の方法における動作を実現するための命令を含む、非一時的コンピュータ可読記憶媒体とを備える送信ポイント。
【請求項11】
認可帯域および無認可帯域に及ぶ信号を動的に適応させるための方法であって、
送信ポイントと1つまたは複数の受信ポイントとの間に統合無線インターフェースを確立するステップであって、前記統合無線インターフェースはセルラー通信用に認可されている主要帯域と無認可通信用に確保されている補完帯域の両方の上で無線信号を伝送するように適応され、前記主要帯域と前記補完帯域の両方に同じ無線アクセス技術(RAT)が使用される、ステップと、
トラフィックフローを前記統合無線インターフェース上で送信するステップであって、前記トラフィックフローは、少なくとも前記主要帯域の一部および前記補完帯域の一部の上で伝送される、ステップと、
トラフィックのサービス品質(QoS)要件および前記補完帯域のチャネル状態の一方または両方に従って前記補完帯域上で前記トラフィックフローを伝送するリソースの量を動的に変化させるステップとを含む方法。
【請求項12】
前記補完帯域上で前記トラフィックフローを伝送するリソースの量を動的に変化させるステップは、
前記トラフィックフローの前記QoS要件に従って前記補完帯域上で前記トラフィックフローを伝送するリソースの前記量を動的に変化させるステップ、または、
前記補完帯域上の前記チャネル状態に従って前記補完帯域上で前記トラフィックフローを伝送するリソースの前記量を動的に変化させるステップ
を含む請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記トラフィックフローの前記QoS要件は、前記トラフィックフローの最低送信速度要件を含む請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記補完帯域上の前記チャネル状態は、前記補完帯域上のチャネル負荷、または、前記補完帯域上の待ち時間、スループット、およびパケット損失レベルのうちの少なくとも1つを含む請求項12に記載の方法。
【請求項15】
送信ポイントであって、
プロセッサと、
前記プロセッサによる実行のためのプログラミングを記憶する非一時的コンピュータ可読記憶媒体であって、前記プログラミングは請求項11から14のいずれか一項に記載の方法における動作を実現するための命令を含む、非一時的コンピュータ可読記憶媒体とを備える送信ポイント。
【請求項16】
認可帯域および無認可帯域に及ぶ信号を受信するための方法であって、
送信ポイントと1つまたは複数の受信ポイントとの間に統合無線インターフェースを確立するステップであって、前記統合無線インターフェースはセルラー通信用に認可されている主要帯域と無認可通信用に確保されている補完帯域の両方の上で無線信号を伝送するように適応され、前記主要帯域と前記補完帯域の両方に同じ無線アクセス技術(RAT)が使用される、ステップと、
前記受信ポイントによって、前記統合無線インターフェース上でトラフィックフローを受信するステップであって、前記トラフィックフローは、少なくとも前記主要帯域の一部および前記補完帯域の一部の上で伝送され、前記補完帯域上で前記トラフィックフローを伝送するために使用されるリソースの量は、トラフィックのサービス品質(QoS)要件および前記補完帯域のチャネル状態の一方または両方に従って動的に変化させられる、ステップとを含む方法。
【請求項17】
受信ポイントであって、
プロセッサと、
前記プロセッサによる実行のためのプログラミングを記憶する非一時的コンピュータ可読記憶媒体であって、前記プログラミングは請求項16に記載の方法における動作を実現するための命令を含む、非一時的コンピュータ可読記憶媒体とを備える受信ポイント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この特許出願は、発明の名称を「System and Method for Integrated Licensed-Unlicensed QoS-Driven Spectrum Access」とする、2014年5月16日に出願された米国仮出願第61/994,734号、および発明の名称を「System and Method for Dynamic Resource Allocation over Licensed and Unlicensed Spectrums」とする、2015年3月26日に出願された米国非仮出願第14/670,215号の優先権を主張し、それらはこれによってそれらの全体が再現されているかのように参照によりここに組み込まれる。
【0002】
本発明は、概して、ネットワーク内のリソースの割り当てを管理すること、特定の実施形態において、認可スペクトルおよび無認可スペクトル上の動的リソース割り当てのためのシステムおよび方法のための技術およびメカニズムに関する。
【背景技術】
【0003】
行政主体は、異なる使用のために無線スペクトルの帯域を確保している。たとえば、米国連邦通信委員会(FCC)、国際電気通信連合(ITU)、および他の規制機関は、認可活動(たとえば、ラジオ、テレビ、衛星、移動体遠隔通信など)のためにスペクトルのいくつかの部分を確保し、一方、無認可活動のためにスペクトルの他の部分を確保している。認可スペクトルは、認可活動に従事する公共団体および/または民間団体によって合意された運用プロトコルだけでなく、規制機関によって規定された規制の対象となり得る。無認可通信用に確保されているスペクトルも、特に送信電力および共有アクセスに関して、対応する規制機関によって規定されている規制の対象になり得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
技術的利点は、概して、認可スペクトルおよび無認可スペクトル上の動的リソース割り当てのためのシステムおよび方法を説明するこの開示の実施形態によって達成される。
【0005】
一実施形態によれば、認可帯域および無認可帯域に及ぶ信号送信を円滑にするための方法。この例では、方法は、統合無線インターフェース上で伝送されるトラフィックフローを識別することを含む。トラフィックフローは、セルラー通信用に認可されている主要帯域と無認可通信用に確保されている補完帯域の両方の部分の上で伝送される。方法は、統合無線インターフェース上のトラフィックフローの全体的なサービス品質(QoS)要件が満たされるように、トラフィックフローが主要帯域および補完帯域のそれぞれの部分の上で送信される速度を動的に変化させるように送信ポイントに促すことをさらに含む。この方法を実行するための装置も提供される。
【0006】
別の実施形態によれば、認可帯域および無認可帯域に及ぶ信号を送信するための方法が提供される。この例では、方法は、送信ポイントと1つまたは複数の受信ポイントとの間に統合無線インターフェースを確立することを含む。統合無線インターフェースは、セルラー通信用に認可されている主要帯域と無認可通信用に確保されている補完帯域の両方の上で無線信号を伝送するように適応される。方法は、統合無線インターフェース上で無線送信を実行することをさらに含む。無線送信は、主要帯域および補完帯域の両方の部分の上でトラフィックフローを伝送する。方法は、統合無線インターフェース上のトラフィックフローの全体的なサービス品質(QoS)要件が満たされるように、トラフィックフローが主要帯域および補完帯域のそれぞれの部分の上で送信される速度を動的に変化させることをさらに含む。この方法を実行するための装置も提供される。
【0007】
さらに別の実施形態によれば、認可帯域および無認可帯域に及ぶ信号を動的に適応させるための方法が提供される。この例では、方法は、送信ポイントと1つまたは複数の受信ポイントとの間に統合無線インターフェースを確立することを含む。統合無線インターフェースは、セルラー通信用に認可されている主要帯域と無認可通信用に確保されている補完帯域の両方の上で無線信号を伝送するように適応される。方法は、統合無線インターフェース上で無線送信を実行することをさらに含む。無線送信は、主要帯域および補完帯域の両方の部分の上でトラフィックフローを伝送する。方法は、トラフィックのサービス品質(QoS)要件および補完帯域のチャネル状態の一方または両方に従って補完帯域上でトラフィックフローを伝送するリソースの量を動的に変化させることをさらに含む。この方法を実行するための装置も提供される。
【0008】
さらに別の実施形態によれば、認可帯域および無認可帯域に及ぶ信号を受信するための方法が提供される。この例では、方法は、送信ポイントと1つまたは複数の受信ポイントとの間に統合無線インターフェースを確立することを含む。統合無線インターフェースは、セルラー通信用に認可されている主要帯域と無認可通信用に確保されている補完帯域の両方の上で無線信号を伝送するように適応される。方法は、統合無線インターフェース上でトラフィックフローを受信することをさらに含む。トラフィックフローは、少なくとも主要帯域の一部および補完帯域の一部の上で伝送される。補完帯域上でトラフィックフローを伝送するために使用されるリソースの量は、トラフィックのサービス品質(QoS)要件および補完帯域のチャネル状態の一方または両方に従って動的に変化させられる。この方法を実行するための装置も提供される。
【0009】
本開示、およびその利点のより十分な理解のために、添付の図面に関してされた以下の説明への参照がここで行われる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】一実施形態の無線通信ネットワークの図を例示する。
【
図2】適応可能な無線インターフェース上で主要スペクトルおよび補完スペクトルの両方の部分に及ぶ無線送信を伝送するように適応された一実施形態の無線ネットワークの図を例示する。
【
図3】主要帯域および補完帯域上の送信速度を動的に変化させるための一実施形態の方法のフローチャートを例示する。
【
図4】補完帯域内の無線送信が及ぶスペクトルの量を動的に変化させるための一実施形態の方法のフローチャートを例示する。
【
図5】補完帯域上で及ぶスペクトルおよび符号化レートを変化させることによってQoSメトリックを動的に調整するための別の実施形態の方法のフローチャートを例示する。
【
図6】QoS駆動統合スペクトルアクセスを提供するように適応されている一実施形態のネットワークアーキテクチャの図を例示する。
【
図7】主要帯域および補完帯域の両方に及ぶ無線送信をサポートするための一実施形態の統合無線インターフェースの図を例示する。
【
図8】その上にトラフィックをオフロードするために拡張スペクトルの割合を決定するための一実施形態のアルゴリズムのブロック図を例示する。
【
図10】一実施形態のコンピューティングプラットフォームの図を例示する。
【
図11】一実施形態の通信デバイスの図を例示する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
異なる図の中の対応する番号および記号は、一般に、違ったふうに示されるのでなければ、対応する部分を指す。図は、実施形態の関連する態様を明確に例示するように描かれ、必ずしも原寸通りに描かれていない。
【0012】
この開示の実施形態の製作および使用は、以下で詳しく説明される。しかしながら、ここで開示されている概念は、幅広く様々な特定の文脈において具現化されることが可能であり、ここで説明されている特定の実施形態は、単に例示であり、請求項の範囲を限定する役割をしないことは理解されるべきである。さらに、添付の請求項によって定義されているようなこの開示の思想および範囲から逸脱することなく様々な変更、置換、および改変がここで行われ得ることが理解されるべきである。
【0013】
ロングタームエボリューション(LTE)アドバンスト(LTE-A)プロトコルなどの、多くの無線遠隔通信プロトコルは、この開示を通して「主要帯域」と総称される、セルラー通信用に認可されている周波数帯域でのみ作動する。Wi-Fiプロトコルなどの他の無線遠隔通信プロトコルは、この開示を通して「補完帯域」と称される、無認可帯域でのみ作動する。「認可帯域」という用語は「主要帯域」という用語と入れ換えて使用され得るとともに、「無認可帯域」という用語は「補完帯域」という用語と入れ換えて使用され得る。特に、セルラー送信用に認可されている周波数帯域は、時々変化することがあり、「主要帯域」という用語は、この出願の出願後にセルラー送信用に再認可されている周波数帯域を指す。補完帯域は、産業、科学、および医療(ISM)帯域などの、非遠隔通信目的のために確保されているスペクトルを含み得る。主要帯域上で作動する遠隔通信プロトコルは、多くの場合、より信頼できるデータ送信を提供するが、補完帯域上で作動する遠隔通信プロトコルは、多くの場合、減少した信頼性にもかかわらず、低遅延高容量送信をサポートすることができる。
【0014】
主要帯域および補完帯域の両方の部分に及ぶ無線送信を伝送するように構成されている統合無線インターフェースは、米国特許出願第14/669,333号(アトニードケット番号HW 91017895US02)において説明され、それはその全体が再現されているかのように参照によりここに組み込まれる。この開示の態様は、統合無線インターフェース上のトラフィックフローのサービス品質(QoS)要件が満たされるように、主要帯域および補完帯域のそれぞれの部分の上でトラフィックフローの送信速度を動的に変化させるための技術を提供する。いくつかの実施形態において、QoS要件は、統合無線インターフェース上のトラフィックフローの累積送信速度が閾値を超えたときに満たされる。累積送信速度は、統合無線インターフェース上の合計の/全体的な送信速度であり、これは主要帯域上の送信速度と補完帯域上の送信速度との総和を含む。たとえば、一方の帯域上の送信速度は、他方の帯域上の送信速度の低下に比例する量だけ増加され得る。いくつかの実施形態において、送信速度は、補完帯域の競合レベルに基づき変化され得る。たとえば、高競合期間には、主要帯域上の送信速度は、補完帯域上のより低い実効送信速度を補償するために上げられ得る。同様に、低競合期間には、主要帯域上の送信速度は、補完帯域上のより高い実効送信速度を補償するために下げられ得る。主要帯域上の送信速度を上げる/下げる一方法は、トラフィックフローへのより多い/より少ない承認ベースの/スケジュールされたリソースをスケジュールすることである。さらなる他の実施形態において、送信速度は、主要帯域上のリソース可用性に基づき変化され得る。いくつかの実施形態では、送信速度は、補完帯域、主要帯域、またはその両方における無線送信が及ぶスペクトルの量を変更することによって変化させられ得る。たとえば、補完帯域が及ぶスペクトルの量は、送信ポイントが競合ベースのアクセス方式を使用してアクセスしようとしている補完帯域内の承認なしのリソースの数を増加または減少させることによって変化させられ得る。別の例として、主要帯域が及ぶスペクトルの量は、送信または受信ポイントに割り振られたスケジュールされたリソースの数を加減または減少させることによって変化させられ得る。いくつかの実施形態において、及ぶスペクトルの量を変化させることは、送信ポイントが、他の帯域に影響を及ぼすことなく対応する帯域上のデータ送信速度を増加/減少させることを可能にし得る。これらのおよび他の態様は、以下でより詳しく説明される。
【0015】
ここで使用されているように、「統合無線インターフェース」という用語は、第5世代(5G)LTEシステムにおけるセルラー無線アクセスネットワーク(RAN)などの、一般の無線アクセス技術(RAT)に従って作動するインターフェースと整合し得るような、一般の物理および媒体アクセス制御(MAC)接続を共有する無線インターフェースを指す。いくつかの実施形態において、統合無線インターフェースは、セルラー通信用に認可されている主要帯域に対する1つの無線インターフェース構成および無認可通信用に確保されている補完帯域に対する1つの無線インターフェース構成を含む、少なくとも2つのスペクトルタイプ依存の無線インターフェース構成を含む。
【0016】
図1は、データを伝達するためのネットワーク100を例示する。ネットワーク100は、カバーエリア101を有する基地局110、複数のモバイルデバイス120、およびバックホールネットワーク130を備える。図示されているように、基地局110は、モバイルデバイス120から基地局110への、およびその逆の、データを搬送する役割をする、モバイルデバイス120とのアップリンク(破線)および/またはダウンリンク(点線)接続を確立する。アップリンク/ダウンリンク接続上で搬送されるデータは、バックホールネットワーク130を用いてリモートエンド(図示せず)に/から伝達されるデータだけでなく、モバイルデバイス120間で伝達されるデータを含み得る。ここで使用されているように、「基地局」という用語は、強化型基地局(eNB)、マクロセル、フェムトセル、Wi-Fiアクセスポイント(AP)、または他の無線対応デバイスなどの、ネットワークへの無線アクセスを提供するように構成されている任意の構成要素(または構成要素の集合体)を指す。基地局は、1つまたは複数の無線通信プロトコル、たとえば、ロングタームエボリューション(LTE)、LTEアドバンスト(LTE-A)、高速パケットアクセス(HSPA)、Wi-Fi 802.11a/b/g/n/acなどに従って無線アクセスを提供し得る。ここで使用されているように、「移動デバイス」という用語は、ユーザ機器(UE)、移動局(STA)、および他の無線対応デバイスなどの、基地局との無線接続を確立することができる任意の構成要素(または構成要素の集合体)を指す。いくつかの実施形態において、ネットワーク100は、中継局、低電力ノードなどの、様々な他の無線デバイスを含み得る。
【0017】
米国特許出願第14/669,333号(アトニードケット番号HW 91017895US02)において説明されているように、主要スペクトルおよび補完スペクトルの両方の部分に及ぶ無線送信をサポートする統合無線インターフェースは、送信ポイントと受信ポイントとの間で確立され得る。
図2は、主要スペクトルおよび補完スペクトルの両方の部分に及ぶ無線送信を伝達するために適応された一実施形態の無線ネットワーク200を例示する。図示されているように、無線ネットワーク200は、送信ポイント210、受信ポイント230、およびスケジューラ270を備える。送信ポイント210は、無線送信を放射するように適応された任意のデバイスであってよく、受信ポイント230は、送信ポイント210によって送信された無線信号を受信するように適応された任意のデバイスであってよい。たとえば、送信ポイント210は、基地局、中継局、または移動局であってよい。同様に、受信ポイント230も、基地局、中継局、または移動局であってよい。
【0018】
統合無線インターフェース213は、送信ポイント210と受信ポイント230との間で確立され、少なくとも主要帯域の一部および補完帯域の一部に及ぶ無線送信290を搬送するように適応される。無線送信290は、任意のタイプの無線信号であってよい。たとえば、無線送信290は、ダウンリンク信号、アップリンク信号、デバイス間信号、無線バックホールリンク上で(たとえば、隣接基地局などの間で)伝達される信号、または送信ポイントと受信ポイントとの間で伝達される任意の他の無線信号であってよい。無線送信290は、また、異なる送信形式/特性を有し得る。たとえば、無線送信290は、ユニキャスト送信、マルチキャスト送信、またはブロードキャスト送信であってよい。別の例として、無線送信は、単一のアンテナから、または複数のアンテナから伝達されるシングルレイヤシグナリングおよび/またはマルチレイヤシグナリング、たとえば、シングルユーザ(SU)多入力多出力(MIMO)送信、マルチユーザMIMO送信などを含み得る。
【0019】
スケジューラ270は、統合無線インターフェース213上のトラフィックをスケジュールするように適応された制御プレーンエンティティであってよい。いくつかの実施形態において、スケジューラ270は、送信ポイント210上の統合された構成要素である。たとえば、送信ポイント210は基地局であってよく、スケジューラ270は、ダウンリンク送信をスケジュールするように適応された基地局の内蔵された構成要素であってよい。他の実施形態において、スケジューラ270は、受信ポイント230上の統合された構成要素である。たとえば、受信ポイント230は基地局であってよく、スケジューラ270は、送信ポイント210からのアップリンク送信をスケジュールするように適応された基地局の内蔵された構成要素であってよい。さらに他の実施形態において、スケジューラ270は、送信ポイント210および受信ポイント210から独立している。一例として、スケジューラ270は、基地局のクラスタに対するスケジューリングを実行するように適応された集中型コントローラであってよい。別の例として、送信ポイント210および/または受信ポイント230は、低電力ノードであってよく、スケジューラ270は、低電力ノードに対するスケジューリングを実行するように適応されたマクロ基地局の内蔵された構成要素であってよい。さらなる別の例として、送信ポイント210および受信ポイント230は、モバイルデバイスまたはマシンであってよく、スケジューラ270は、送信ポイント210と受信ポイント230との間のデバイス間(D2D)またはマシン間(M2M)送信に対するスケジューリングを実行するように適応された基地局の内蔵された構成要素であってよい。他の実現も可能である。
【0020】
送信機210は、全体的な送信速度を最小の閾値よりも高く維持するために、主要帯域および/または補完帯域の上でトラフィックフローの部分が送信される速度を動的に変化させる。一実施形態において、速度は、切り替え基準が満たされたときに変化される。たとえば、切り替え基準は、補完帯域上の競合レベルが上方閾値を超えるか、または下方閾値を下回るときに満たされ得る。別の例では、切り替え基準は、主要帯域内の利用可能なスケジュールされたリソースの数が上方閾値を超えるか、または下方閾値を下回るときに満たされ得る。送信機210は、トラフィックフローのサービス品質(QoS)性能メトリックを閾値よりも高く維持するために、主要帯域および/または補完帯域の上でトラフィックフローの部分が送信される速度を動的に変化させる。たとえば、切り替え基準は、トラフィックフローの測定された待ち時間メトリック(またはパケット遅延)が上方閾値を超えるか、または下方閾値を下回るときに満たされ得る。別の例として、切り替え基準は、トラフィックフローの測定されたパケットドロップ率が上方閾値を超えるか、または下方閾値を下回るときに満たされ得る。さらに別の例として、切り替え基準は、トラフィックフローの測定されたジッタメトリックが上方閾値を超えるか、または下方閾値を下回るときに満たされ得る。他のQoSパラメータも、切り替え基準に含まれ得る。
【0021】
送信機210は、補完帯域および主要帯域上で統計的QoS制約を有するトラフィックを多重化し得る。ここで称されているような「統計的QoS制約」は、いくつかのパケット(たとえば、全パケットのうちの少し)がQoS要件に違反する形態で伝達されるときでも満たされ得るQoS制約である。たとえば、トラフィックフローが統計的待ち時間要件を有する場合、サービス契約は、ある割合のパケットが遅延限界内で伝達される限り満たされ得る。統計的QoS制約は、トラフィックフロー内のすべてのパケットがQoS要件を満たす形態で伝達されることを必要とする「決定論的QoS制約」と異なり得る。
【0022】
いくつかの実施形態において、補完帯域は、追加のトラフィックが主要帯域にオフロードされるとともに、補完帯域が統計的QoS制約を満たすことができる程度までトラフィックを伝送するために使用され得る。たとえば、送信機210は、トラフィックフロー送信のサービス品質(QoS)性能メトリックを監視して、統計的QoS制約が満たされているかどうか、またはこのペースで満たされることになるかどうかを決定し得る。QoS性能メトリックが下方閾値を下回った場合(たとえば、少なすぎるパケットが統計的QoS制約を満たすためにQoS要件を満たしている)、送信機210は、トラフィックフローの一部(または全部)を補完帯域から主要帯域に切り替え得る。逆に、QoS性能メトリックが上方閾値を上回った場合(たとえば、統計的QoS制約を満たすために必要とされるより実質的に多くのパケットがQoS要件を満たしている)、送信機210は、トラフィックフローの一部(または全部)を主要帯域から補完帯域に切り替え得る。
【0023】
この開示の態様は、切り替え基準が満たされたときにトラフィックを主要帯域から補完帯域に動的に切り替えるための方法を提供する。
図3は、送信ポイントによって実行され得るように、主要帯域および補完帯域の上で送信速度を動的に変化させるための方法300を例示する。図示されているように、方法300はステップ310で始まり、送信ポイントは受信ポイントとの統合無線インターフェースを確立する。次に、方法300はステップ320に進み、送信ポイントは、主要帯域および補完帯域の一部分の上でトラフィックフローを伝送する統合無線インターフェース上で無線送信を実行する。その後、方法300はステップ330に進み、送信ポイントは、トラフィックフローの全体的な送信速度を最小閾値よりも高く維持するために、それぞれの主要帯域および補完帯域の上でトラフィックフローの送信速度を動的に変化させる。いくつかの実施形態において、スケジューラが、これらのステップのうちの1つまたは複数を実行するように送信ポイントに促し得る。
【0024】
この開示の態様は、切り替え基準が満たされたときに補完帯域、主要帯域、またはその両方において無線送信が及ぶスペクトルの量を動的に変化させるための方法も提供する。より具体的には、送信ポイントは、主要帯域および補完帯域の上で無線送信によって搬送されるデータを多重化し得る。そして、送信ポイントは、基準が満たされたときに帯域の一方または両方において及ぶスペクトルの量を動的に調整し(たとえば、広げ、または狭め)得る。送信ポイントは、両方の帯域において及ぶスペクトルを同時に調整し得る。逆に、送信ポイントは、一方の帯域において及ぶスペクトルを、他方の帯域において及ぶスペクトルを調整することなく調整し得る。
【0025】
いくつかの実施形態において、一方の帯域上でスペクトルを広げ/狭め、他方の帯域上ではそうしないことは、送信ポイントが、調整されていない帯域上の送信特性を変更することなく全体的な送信速度を調整することを可能にする。たとえば、送信ポイントは、補完帯域の送信特性を変えることなく主要帯域において及ぶスペクトルの量を広げ/狭め得る。これは、送信ポイントが、補完帯域上のアクティビティに影響を及ぼすことなく、たとえば、補完帯域上の競合レートを増加させることなどせずに、主要帯域上の送信速度を増加または減少させることを可能にし得る。同様に、送信ポイントは、主要帯域の送信特性を変えることなく補完帯域において及ぶスペクトルの量を広げ/狭め得る。これは、送信ポイントが、主要帯域上のアクティビティに影響を及ぼすことなく、たとえば、他のユーザに/からリソースを再割り当てすることなどせずに、補完帯域上の送信速度を増加または減少させることを可能にし得る。
【0026】
図4は、補完帯域、主要帯域、またはその両方において無線送信が及ぶスペクトルの量を動的に変化させるための方法400を例示する。図示されているように、方法400はステップ410で始まり、送信ポイントは受信ポイントとの統合無線インターフェースを確立する。次に、方法400はステップ420に進み、送信ポイントは、主要帯域および補完帯域の両方に及ぶ無線送信を統合無線インターフェース上で実行する。その後、方法400はステップ430に進み、送信ポイントは、切り替え基準が満たされたときに補完帯域、主要帯域、またはその両方において無線送信が及ぶスペクトルの量を動的に変化させる。
【0027】
他の実施形態において、一方の帯域上でスペクトルを広げ/狭め、他方の帯域上ではそうしないことは、送信ポイントが、調整されていない帯域上のアクティビティに影響を及ぼすことなく、それだけでなく、調整された帯域上の送信速度を変更することなく、調整された帯域上で符号化レートを調整することを可能にする。この形態で符号化レートを変化させることは、調整された帯域上で伝達されているパリティ情報の情報ビットに対する比を送信ポイントが操作することを可能にし、それによって、調整されていない帯域上のアクティビティに影響を及ぼすことなくトラフィックフローのQoSメトリックを送信ポイントが操作することを効果的に可能にし得る。たとえば、送信ポイントは、対応する帯域上で、スペクトルを広げ、符号化レートを増加させることによって主要帯域または補完帯域上のパケット損失率を改善し得る。別の例として、送信ポイントは、対応する帯域上で、スペクトルを狭め、符号化レートを減少させることによって主要帯域または補完帯域上のスペクトル効率を改善し得る。
【0028】
図5は、補完帯域上で及ぶスペクトルおよび符号化レートを変化させることによってQoSメトリックを動的に調整するための方法500を例示する。図示されているように、方法500はステップ510で始まり、送信ポイントは受信ポイントとの統合無線インターフェースを確立する。次に、方法500はステップ520に進み、送信ポイントは、主要帯域および補完帯域の両方の部分に及ぶ無線送信においてトラフィックフローを送信する。
【0029】
その後、方法500はステップ530〜540に進み、送信ポイントは、トラフィックフローのQoSメトリックを監視し、QoSメトリックが許容可能範囲内にあるかどうかを決定する。許容可能範囲は、トラフィックフローの統計的QoS制約に依存し得る。QoSメトリックが許容可能範囲内にある場合、方法500はステップ530〜540に戻り、これらのステップは、QoSメトリックが許容可能範囲外になるか、またはトラフィックフローの送信が完了するまで繰り返される。
【0030】
QoSメトリックが許容可能範囲外にある場合、方法500はステップ550に進み、送信ポイントはQoSメトリックが低すぎるか、または高すぎるかを決定する。QoSメトリックは、統計的QoS要件を満たすために要求されるより少ない割合のパケットがQoS要件を満たしているときに低すぎであり得る。QoSメトリックは、統計的QoS要件を満たすために要求されるより著しく多い割合のパケットがQoS要件を満たしている、たとえば、トラフィックフロー送信が統計的QoS要件を超えているときに高すぎであり得る。
【0031】
QoSメトリックが低すぎる場合、方法500はステップ560〜570に進み、送信ポイントは、補完帯域が及ぶスペクトルの量および補完帯域上の符号化レートの両方を増加させる。逆に、QoSメトリックが高すぎる場合、方法500はステップ580〜590に進み、送信ポイントは、補完帯域が及ぶスペクトルの量および補完帯域上の符号化レートの両方を減少させる。その後、方法500はステップ530〜540に戻り、これらのステップは、QoSメトリックが許容可能範囲外になるか、またはトラフィックフローの送信が完了するまで繰り返される。同様の手順が、主要帯域上のスペクトルおよび/または符号化レートを調整するために使用されることが可能である。いくつかの実施形態において、符号化レートおよび送信速度は、これらの帯域のうちの一方または両方が及ぶスペクトルを調整した後に変化させられ得る。
【0032】
いくつかの実施形態において、トラフィックフローは、主要帯域および補完帯域上で多重化され得る。そのような実施形態において、異なる割合のトラフィックが、トラフィックのQoS制約に基づきそれぞれの主要帯域および補完帯域に割り当てられ得る。
図6は、QoS駆動統合スペクトルアクセスを提供するように適応されている一実施形態のネットワークアーキテクチャを例示する。この例では、第1のUE(UE1)は、統計的QoS制約の第1のセット(γ
1、δ
1、ε
1)を有するが、第2のUE(UE2)は、統計的QoS制約の第1のセットと異なる統計的QoS制約の第2のセット(γ
2、δ
2、ε
2)を有する。図示されているように、第1のUEに関連付けられているトラフィックは、主要スペクトルおよび補完スペクトルの両方の上で多重化されるが、第2のUEに関連付けられているトラフィックは、補完スペクトル上で排他的に伝達される。ブロックされた無認可リソースは、第1のUEまたは第2のUEと補完帯域の承認なしのリソースにアクセスすることを試みている他のデバイスの送信の間の衝突を示し得る。
【0033】
いくつかの実施形態において、無線ネットワークは、スペクトル(認可および無認可)のプールを作成し、ネットワークの容量および信頼性に従ってプールを通じてトラフィックをルーティングし得る。認可および無認可プールにおけるトラフィックは、周波数帯域の特性および各帯域における予想トラフィックに従って選択された異なる波形を使用して送信され得る。
【0034】
たとえば、他のユーザ、および/または電子レンジなどの器具によって引き起こされる干渉の存在により、無認可スペクトルは認可スペクトルよりも信頼性が低い可能性があるという認識とともにルーティングが行われ得る。
【0035】
この開示の態様は、次世代または第5世代の無線インターフェースなどの、統合無線インターフェース(AI)を介して認可スペクトル帯域および無認可スペクトル帯域の両方に及ぶ無線送信を実行するためのシステムおよび方法を開示する。この開示の態様は、全体のシステム容量を増加させ得るが、アプリケーション特有のサービス品質(QoS)要件も満たす。この開示の態様は、無線ネットワークを無認可スペクトルに拡張して、ネットワーク容量を改善する。この開示の態様は、認可スペクトルと無認可スペクトルとの間の動的な切り替え技術、スペクトルをまたぐ柔軟な負荷分散、認可スペクトル上の最小化された干渉、および認可スペクトルに対する需要の減少を提供する。認可スペクトルは、主要帯域および/またはコア帯域/スペクトルとも称され、高優先度トラフィックおよび決定論的QoS要件を有するトラフィックに使用され得る。これは、統計的QoS要件を有するトラフィックのためのフォールバックスペクトル(たとえば、必要に応じて)としての役割をし得る。無認可スペクトルは、主要帯域および/またはコア帯域/スペクトルとも称され、トラフィック・オフローディングに使用されることが可能であり、いくつかの実施形態において、ベストエフォート型トラフィックおよび統計的QoS要件を有するトラフィックに使用されることが可能である。
【0036】
図7は、主要帯域および補完帯域の両方に及ぶ無線送信をサポートするための一実施形態の統合無線インターフェースを例示する。主要帯域は、制御シグナリング、緊急サービス、セキュリティ、ネットワークアクセス、放送、同期チャネル、および決定論的QoS要件を有するトラフィックなどの、より高い優先度のトラフィックに使用され得る。無認可スペクトルは、統計的QoS要件を有するトラフィックだけでなく、トラフィック・オフローディングの目的のために日和見的に、またベストエフォート型(遅延耐性)トラフィック(たとえば、動画、画像、音楽などのコンテンツダウンロード)に使用され得る。ネットワーク要素は、トラフィックタイプおよび/またはアプリケーション特有のQoS要件を満たすために主要帯域と補完帯域との間でトラフィックを動的に切り替えることができる。これは、負荷を意識したスペクトル拡張/収縮を提供する。
【0037】
一実施形態において、補完スペクトルは、主要帯域からのデータオフローディング・トラフィックなどの様々なタスク、および負荷を意識した需要ベースの適応的スペクトル拡張-収縮に使用される。異なるスペクトル帯域が使用されているので、異なる無線インターフェース(AI)が、主要帯域および補完帯域に使用されることが可能であることに留意すべきである。代替的に、同じ無線インターフェースは、主要帯域および補完帯域の両方に及ぶ送信を搬送するために使用されることが可能である。一実施形態において、スペクトルタイプ依存のSoftAIは、主要帯域および補完帯域のために異なる送信パラメータ(たとえば、物理層(PHY)設計)を提供する。これは、異なる波形、異なるアクセス方式、フレーム構造、チャネル化などを可能にし得る。送信ポイント(TP)連携およびUE連携を考慮した無認可スペクトルに対する需要を決定するために仮想リソース関連付け(V-RA)ベースの共同無線リソース管理(RRM)方式が使用されることが可能である。認可スペクトルのフォールバック作動のための主要性能指標(KPI)監視メカニズムは、QoS要件が満たされることを確実にするために追加され得る。
【0038】
図8は、その上にトラフィックをオフロードする拡張スペクトルの割合を決定するための一実施形態のアルゴリズムのブロック図を例示する。認可トラフィック・オフローディングに使用される補完帯域の割合は、公正のために、たとえば、無認可帯域における平均トラフィック負荷、認可スペクトルおよび無認可スペクトルにおけるチャネル状態、および最低速度、遅延への敏感さ、優先度、および他のものなどの認可トラフィックQoS要件などの要因に基づき他の共存するシステムに対する影響を減少させるために、柔軟にかつ動的に調整されることが可能である。
【0039】
スペクトル感知は、トラフィック・オフローディングに日和見的に使用されるべき無認可スペクトルの未使用部分を識別するために使用されることが可能である。OFDMは、最も一般的に使用されているマルチキャリア波形であるが、そのパワースペクトル密度の高い帯域外サイドローブに悩まされることが知られている。これは、共存するシステムに対する隣接チャネル干渉問題を引き起こし、保護帯域の使用を必要とし得る。代替的に、補完帯域への動的アクセスは、より多くのスペクトルが含まれるスケーラブルなベースバンド波形の使用を必要とし得る。
【0040】
フィルタリングは、OFDMの帯域外放射を減少させるために使用されることが可能である。特定の周波数フラグメントのために動的に設計される適応フィルタを有するFiltered-OFDM(F-OFDM)は、無認可スペクトルの非連続フラグメントに動的にアクセスするために、よりスペクトルが効率的でスケーラブルな波形とすることが可能である。
【0041】
OFDM/OQAMは、OFDM波形よりも多くのスペクトルが含まれるフィルタバンク・マルチキャリア(FBMC)波形であり(保護帯域または巡回プレフィックスを必要としない)、また無認可スペクトルなどの動的スペクトル共有環境において、より高い柔軟性をもたらし、より高い複雑度およびより多くの待ち時間と引き換えにF-OFDMよりも良い性能をもたらし得る。
【0042】
この開示の態様は、主要帯域におけるOFDMなどの実証済みマルチキャリア波形および/または補完帯域におけるF-OFDMまたはFBMC波形などの動的スペクトル共有環境により適した波形の使用を組み合わせるスペクトルタイプ依存マルチキャリアシステムを提供する。
【0043】
拡張された無認可スペクトルにおけるスペクトルアクセスは、listen-before-talk(LBT)規制などのある領域におけるいくつかの規制に従うために要求され得る。補完帯域における適応的なおよび柔軟なフレーム構造は、測定および同期チャネルの送信を可能にするだけでなく、LBTメカニズムなどの規制の制限に適合することができる。一実施形態において、競合のないアクセスおよび競合ベースのアクセスのための持続時間が定期的なチャネル感知結果に従って調整されることが可能である無認可スペクトルにおけるフレーム構造は、
図9に図示されているとおりである。
【0044】
スケジュールされた承認ベースのアクセスは、主要帯域上で使用され得るが、競合ベースのアクセスは、補完帯域上で使用され得る。補完帯域上で競合ベースのアクセスを使用することは、スペクトルが、共存するシステムと共有されることを可能にし得る。一実施形態において、2つの競合レベルが定義されることが可能である。第1のものは、無線アクセス技術(RAT)間競合であり、第2のものは、RAT内競合である。RAT間競合において、競合は、補完帯域を使用する異なる無線アクセス技術の間(たとえば、5G RATと他のRATとの間)である。RAT内競合において、競合は、類似の技術エンティティ(たとえば、ベストエフォート型トラフィックを有する5Gネットワークエンティティ)の間である。
【0045】
一実施形態において、特別に設計されたMACプロトコルが、補完帯域を効率的に使用し、補完帯域上の2つのレベルの競合を適切に処理するために使用される。これは、LBTランダムアクセス手順のいくつかの形態を許容することが可能であり、中心エンティティは、5G RATが無認可スペクトル上の平均トラフィック負荷に基づき補完帯域を使用すべきかどうかを決定し得る。無認可帯域に軽い負荷がかかっていると感知されたときに、中心エンティティは、5G RATが無認可スペクトルにアクセスする確率を適応的に増加させることが可能であり、その逆も可能である。そのような中心エンティティは、RAT内競合を管理するためにスケジュールされたアクセスまたは競合ベースのアクセスのいずれかを使用することができる。
【0046】
集中型コントローラは、アプリケーションシナリオ、トラフィックタイプ、QoS、およびセキュリティ要件に依存してどのUEによってどのスペクトルが使用されるべきかを選択するために使用されることが可能である。代替的に、UEが決定プロセスに参加することを可能にするために規則および条件がUEにプッシュされることが可能である。
【0047】
例示的な一シナリオにおいて、音声、事業者特有のサービス、または高セキュリティデータベアラなどの高いQoSのデータは、QoS要件が満たされることを確実にするために認可スペクトル上で送信されることが可能である。一方、弾性トラフィック、たとえば、ベストエフォート型および遅延耐性データベアラは、無認可(および信頼性の低い)スペクトル上で転送されることが可能である。集中型コントローラは、無認可帯域上でもたらされるQoSを連続的にまたは定期的に測定し、期待されるQoSが保証されることが可能でないときはいつでもUEおよびトラフィックを認可スペクトルに動的に切り替えて戻すことができる。QoS要件が無認可スペクトル上で満たされることが可能でないときはいつでも認可スペクトルへのフォールバックが起こることを確実にするために、フォールバックメカニズムが利用されることが可能である。
【0048】
UE
iが3つのパラメータ(γ
i、δ
i、ε
i)によって捕捉されるQoS特性を持つ周期的トラフィックを有すると仮定し、γはパケット到着レートであり、δは最大許容ジッタ(2つの連続するパケット出発の時刻と2つの連続するパケット到着の時刻との間の差)、およびεはジッタ違反の許容可能確率である。
【0049】
決定論的QoS保証を有するUEについては、ε
iはゼロに等しい。この場合、ジッタ違反のためのマージンがないので、集中型コントローラは、認可スペクトルを使用するようにUEに決定論的QoSを割り振る。スペクトルリソースの効率的な使用を達成するために、集中型コントローラは、統計的QoS要件を有するUEに対して無認可スペクトルリソースを割り振り得る。無認可スペクトルは、信頼できないものであり得るので、そのリソースは、あるブロッキングレートqで特徴付けられる。集中型コントローラは、無認可スペクトル上の平均ブロッキングレートを監視することができ、これらの特性に基づき、QoSが許容可能なレベルの範囲内にある、たとえば、q<ε
iである限り無認可スペクトルを使用するようにUEに統計的QoSを割り振り得る。
【0050】
この技術分野の当業者は、既存のソリューションは、同時に、全体のシステム容量を最大化し、多様なトラフィックタイプに対するQoS制約(たとえば、弾性対非弾性のトラフィック)が満たされていることを確実にしながら、統合無線インターフェースを使用して認可スペクトル帯域および無認可スペクトル帯域の両方を効率よく利用する統合スペクトルアクセス方法を可能にするソリューションを提供しないことを理解するであろう。上述のソリューションは、5G無線アクセスネットワークの性能を向上させるために、アプリケーション特有のQoS特性を利用して、認可スペクトルおよび無認可スペクトルの両方を効率よく利用することができる。
【0051】
図10は、ここで開示されているデバイスおよび方法を実現するために使用され得る処理システムのブロック図を例示する。特定のデバイスは、図示されている構成要素のすべて、または構成要素のサブセットのみを利用し得るとともに、統合のレベルは、デバイス毎に変わり得る。さらに、デバイスは、複数の処理ユニット、プロセッサ、メモリ、送信機、受信機などの、構成要素の複数のインスタンスを含み得る。処理システムは、スピーカー、マイクロフォン、マウス、タッチスクリーン、キーパッド、キーボード、プリンタ、ディスプレイ、および同様のものなどの、1つまたは複数の入出力デバイスが設けられた処理ユニットを備え得る。処理ユニットは、中央処理ユニット(CPU)、メモリ、大容量記憶デバイス、ビデオアダプタ、およびバスに接続されているI/Oインターフェースを含み得る。
【0052】
バスは、メモリバスまたはメモリコントローラ、周辺機器バス、ビデオバス、または同様のものを含む任意のタイプのいくつかのバスアーキテクチャの1つまたは複数であり得る。CPUは、任意のタイプの電子データプロセッサを備え得る。メモリは、スタティック・ランダムアクセスメモリ(SRAM)、ダイナミック・ランダムアクセスメモリ(DRAM)、同期DRAM(SDRAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、これらの組合せ、または同様のものなどの任意のタイプのシステムメモリを備え得る。一実施形態において、メモリは、起動時に使用するためのROM、およびプログラムを実行しながら使用するためのプログラムおよびデータ記憶のためのDRAMを含み得る。
【0053】
大容量記憶デバイスは、データ、プログラム、および他の情報を記憶し、データ、プログラム、および他の情報をバスを介してアクセス可能にするように構成されている任意のタイプの記憶デバイスを備え得る。大容量記憶デバイスは、たとえば、ソリッドステートドライブ、ハードディスクドライブ、磁気ディスクドライブ、光ディスクドライブ、または同様のもののうちの1つまたは複数を備え得る。
【0054】
ビデオアダプタおよびI/Oインターフェースは、外部入力および出力デバイスを処理ユニットに結合するためにインターフェースを提供する。例示されているように、入力および出力デバイスの例は、ビデオアダプタに結合されたディスプレイ、およびI/Oインターフェースに結合されたマウス/キーボード/プリンタを含む。他のデバイスは、処理ユニットに結合され得るとともに、追加のまたはより少ないインターフェースカードが利用され得る。たとえば、ユニバーサルシリアルバス(USB)(図示せず)などのシリアルインターフェースは、プリンタ用のインターフェースを提供するために使用され得る。
【0055】
処理ユニットは、イーサネット(登録商標)ケーブル、または同様のものなどの、有線リンク、および/またはノードもしくは異なるネットワークにアクセスするための無線リンクを備え得る、1つまたは複数のネットワークインターフェースも含む。ネットワークインターフェースは、処理ユニットがネットワークを介してリモートユニットと通信することを可能にする。たとえば、ネットワークインターフェースは、1つまたは複数の送信機/送信アンテナおよび1つまたは複数の受信機/受信アンテナを介して無線通信を提供し得る。一実施形態において、処理ユニットは、データ処理、および他の処理ユニット、インターネット、リモート記憶設備、または同様のものなどのリモートデバイスとの通信のためにローカルエリアネットワークまたは広域ネットワークに結合される。
【0056】
図11は、上で説明されている1つまたは複数のデバイス(たとえば、UE、NB、など)と同等のものであり得る通信デバイス1100の一実施形態のブロック図を例示する。通信デバイス1100は、
図11に図示されているように配置されてもよい(または配置されなくてもよい)、プロセッサ1104、メモリ1106、および複数のインターフェース1110、1112、1114を含み得る。プロセッサ1104は、計算および/または他の処理関係タスクを実行することができる任意の構成要素であってよく、メモリ1106は、プロセッサ1104のためのプログラミングおよび/または命令を記憶することができる任意の構成要素であってよい。インターフェース1110、1112、1114は、通信デバイス1100がセルラー信号を使用して通信することを可能にする任意の構成要素または構成要素の集合体であってよく、セルラーネットワークのセルラー接続上で情報を受信および/または送信するために使用され得る。
【0057】
説明は詳細になされたが、添付の請求項によって定義されているようなこの開示の精神および範囲から逸脱することなく様々な変更、置換、および改変が行われることが可能であることが理解されるべきである。さらに、この技術分野の当業者は、この開示から、現在存在している、または後に開発される、プロセス、マシン、製造、組成物、手段、方法、またはステップは、ここで説明されている対応する実施形態と実質的に同じ機能を実行し、または実質的に同じ結果を達成し得ることを容易に理解するので、本開示の範囲は、ここで説明されている特定の実施形態に制限されることを意図されていない。したがって、添付の請求項は、その範囲内に、そのようなプロセス、マシン、製造、組成物、手段、方法、またはステップを含めることを意図されている。
【符号の説明】
【0058】
100 ネットワーク
101 カバーエリア
110 基地局
120 モバイルデバイス
130 バックホールネットワーク
200 無線ネットワーク
210 送信ポイント
213 統合無線インターフェース
230 受信ポイント
270 スケジューラ
290 無線送信
300 方法
400 方法
500 方法
1100 通信デバイス
1104 プロセッサ
1106 メモリ
1110、1112、1114 インターフェース