特許第6433182号(P6433182)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ トクデン株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6433182-誘導発熱ローラ装置 図000002
  • 特許6433182-誘導発熱ローラ装置 図000003
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6433182
(24)【登録日】2018年11月16日
(45)【発行日】2018年12月5日
(54)【発明の名称】誘導発熱ローラ装置
(51)【国際特許分類】
   H05B 6/14 20060101AFI20181126BHJP
   H05B 6/42 20060101ALI20181126BHJP
   F16C 13/00 20060101ALI20181126BHJP
【FI】
   H05B6/14
   H05B6/42
   F16C13/00 Z
   F16C13/00 C
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-147632(P2014-147632)
(22)【出願日】2014年7月18日
(65)【公開番号】特開2016-24932(P2016-24932A)
(43)【公開日】2016年2月8日
【審査請求日】2017年6月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000110158
【氏名又は名称】トクデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 真大
(72)【発明者】
【氏名】岡本 幸三
(72)【発明者】
【氏名】北野 孝次
【審査官】 豊島 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−108399(JP,A)
【文献】 特開2010−002806(JP,A)
【文献】 特開2011−154952(JP,A)
【文献】 特開2002−147964(JP,A)
【文献】 実開昭57−039323(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 6/00 − 6/44
F16C 13/00 − 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転自在に支持されたローラ本体と、
前記ローラ本体の内部に設けられ、前記ローラ本体を誘導発熱させる誘導コイルを有する誘導発熱機構と、
霧状の冷却媒体を前記ローラ本体及び前記誘導発熱機構の間に導入して前記ローラ本体を冷却する冷却機構と、
前記誘導コイルに交流電圧を印加する交流電圧印加部と、
前記誘導コイルに直流電圧を印加して、結露した前記冷却媒体を蒸発させる直流電圧印加部とを備える誘導発熱ローラ装置。
【請求項2】
前記冷却機構が、前記交流電圧印加部による交流電圧の印加が停止された後に、前記霧状の冷却媒体を前記ローラ本体及び前記誘導発熱機構の間に導入する請求項1記載の誘導発熱ローラ装置。
【請求項3】
回転自在に支持されたローラ本体と、
前記ローラ本体の内部に設けられ、前記ローラ本体を誘導発熱させる誘導コイルを有する誘導発熱機構と、
霧状の冷却媒体を前記ローラ本体及び前記誘導発熱機構の間に導入して前記ローラ本体を冷却する冷却機構と、
前記誘導コイルに交流電圧を印加する交流電圧印加部と、
前記誘導コイルに直流電圧を印加する直流電圧印加部とを備え、
前記直流電圧印加部が、前記交流電圧印加部による交流電圧の印加が停止された後に、前記直流電圧を前記誘導コイルに印加する誘導発熱ローラ装置。
【請求項4】
回転自在に支持されたローラ本体と、
前記ローラ本体の内部に設けられ、前記ローラ本体を誘導発熱させる誘導コイルを有する誘導発熱機構と、
霧状の冷却媒体を前記ローラ本体及び前記誘導発熱機構の間に導入して前記ローラ本体を冷却する冷却機構と、
前記誘導コイルに交流電圧を印加する交流電圧印加部と、
前記誘導コイルに直流電圧を印加する直流電圧印加部とを備え、
前記直流電圧印加部による前記直流電圧の印加タイミングと前記冷却機構による前記霧状の冷却媒体の導入タイミングとが連動している誘導発熱ローラ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、誘導発熱ローラ装置に関し、特にローラ本体及び誘導発熱機構の間に霧状の冷却媒体を供給する冷却機構を備える誘導発熱ローラ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の誘導発熱ローラ装置としては、特許文献1に示すように、ローラ本体と当該ローラ本体内に設けられた誘導発熱機構との間に霧状の冷却媒体を流通させるものが考えられている。
【0003】
この誘導発熱ローラ装置では、霧状の冷却媒体がローラ本体の内面に接触して蒸発するときの気化潜熱と、霧状の冷却媒体がローラ本体及び誘導発熱機構の間で温度上昇するときの顕熱及び気化蒸発するときの潜熱とにより、ローラ本体を冷却することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−108399号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、ローラ本体に対して外部からの熱入力が大きい場合には、ローラ本体の表面温度は目標設定値よりも高い温度となろうとするため、誘導コイルへの交流電圧の供給を最小化し、一方で、霧状の冷却媒体を連続的に供給して、ローラ本体の表面温度を前記目標設定値となるように制御する。
【0006】
ところが、霧状の冷却媒体の一部は誘導コイルの冷却にも寄与し、これによって誘導コイルの温度が所定値以下となった場合には、霧状の冷却媒体が誘導コイルの周囲に結露してしまう。そうすると、誘導コイルの絶縁性能が劣化してしまう等の不具合が生じる。
【0007】
ここで、誘導コイルの外面に樹脂バリア層を設けることで誘導コイルを保護し、誘導コイルの周囲に結露した水(結露水)による誘導コイルの絶縁性能の低下を防ぐことが考えられる。
【0008】
しかしながら、前記樹脂バリア層の欠陥部分の存在や、前記樹脂バリア層の拡散浸透等により、誘導コイルを結露水から完全に保護することが困難であり、誘導コイルの絶縁性能の低下を防ぐことは難しい。
【0009】
また、ローラ本体の最高温度が250℃以上の場合には、前記樹脂バリア層に耐熱樹脂を用いることになるが、熱的劣化を生じるため、樹脂では無く無機セメントで代替することが考えられる。
【0010】
しかしながら、無機セメント自体が緻密ではないため、結露水が浸透して、誘導コイルの絶縁性能の低下を防ぐことは難しい。
【0011】
そこで本発明は、上記問題点を解決すべくなされたものであり、誘導コイルに生じる結露を防止して、誘導コイルの絶縁性能の低下を防ぐことをその主たる課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
すなわち本発明に係る誘導発熱ローラ装置は、回転自在に支持されたローラ本体と、前記ローラ本体の内部に設けられ、前記ローラ本体を誘導発熱させる誘導コイルを有する誘導発熱機構と、霧状の冷却媒体を前記ローラ本体及び前記誘導発熱機構の間に導入して前記ローラ本体を冷却する冷却機構と、前記誘導コイルに交流電圧を印加する交流電圧印加部と、前記誘導コイルに直流電圧を印加する直流電圧印加部とを備えることを特徴とする。
【0013】
このようなものであれば、誘導コイルに直流電圧を印加する直流電圧印加部を有しているので、誘導コイルに直流電圧を印加することで、誘導コイルをジュール発熱させることができる。これにより、誘導コイル自身を加熱することができ、誘導コイルの周囲に結露が生じ難くすることができ、また、誘導コイルの周囲に付着した結露水を蒸発させることができる。
なお、誘導コイルに直流電圧を印加した場合にはローラ本体は誘導発熱されないので、ローラ本体の目標設定値に対する温度制御への影響は無い。
【0014】
前記冷却機構が、前記交流電圧印加部による交流電圧の印加が停止された後に、前記霧状の冷却媒体を前記ローラ本体及び前記誘導発熱機構の間に導入することが望ましい。
これならば、誘導発熱機構によるローラ本体の加熱終了後に霧状の冷却媒体による冷却が行われるので、ローラ本体を効率良く冷却することができる。したがって、目標設定値への制御応答性を向上させることができる。
【0015】
前記直流電圧印加部が、前記交流電圧印加部による交流電圧の印加が停止された後に、前記直流電圧を前記誘導コイルに印加することが望ましい。
これならば、誘導発熱機構によるローラ本体の加熱終了後に生じる誘導コイルの温度低下を防ぎ、誘導コイルの周囲に結露が生じ難くすることができ、また、誘導コイルの周囲に付着した結露水を蒸発させることができる。
【0016】
前記直流電圧印加部による前記直流電圧の印加タイミングと前記冷却機構による前記霧状の冷却媒体の導入タイミングとが連動していることが望ましい。ここで、前記直流電圧の印加タイミングと前記霧状の冷却媒体の導入タイミングとが連動するとは、それらのタイミングが一致することの他、一方のタイミングと他方のタイミングとが所定時間ずれていることも含む。
これならば、霧状の冷却媒体の導入により生じる誘導コイルの温度低下を好適に防ぐことができる。
【発明の効果】
【0017】
このように構成した本発明によれば、誘導コイルに直流電圧を印加する直流電圧印加部を有しているので、誘導コイルに直流電圧を印加することで、誘導コイルに生じる結露を防止して、誘導コイルの絶縁性能の低下を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態に係る誘導発熱ローラ装置の構成を模式的に示す図。
図2】同実施形態の制御パターンの一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に本発明に係る誘導発熱ローラ装置の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0020】
本実施形態に係る誘導発熱ローラ装置100は、例えばプラスチックフィルム、紙、布、不織布、合成繊維、金属箔等のシート材又はウェブ材、線(糸)材等の連続材の連続熱処理工程等において用いられるものである。
【0021】
<1.装置構成>
具体的にこのものは、図1に示すように、回転自在に支持された中空円筒状のローラ本体2と、このローラ本体2の内部に設けられた誘導発熱機構3と、霧状の冷却媒体をローラ本体2及び誘導発熱機構3の間に導入してローラ本体3を冷却する冷却機構4とを備えている。
【0022】
ローラ本体2の両端部には中空の駆動軸21が設けられており、当該駆動軸21は、転がり軸受等の軸受8を介して機台9に回転自在に支持されている。そして、ローラ本体2は、例えばモータ等の回転駆動機構(不図示)により外部から与えられる駆動力によって回転されるように構成されている。
【0023】
誘導発熱機構3は、円筒形状をなす円筒状鉄心31と、当該円筒状鉄心31の外側周面に巻装された誘導コイル32とを備えている。
【0024】
円筒状鉄心31の両端部には支持軸33が設けられており、当該支持軸33は、それぞれ駆動軸21の内部に挿通されて、転がり軸受等の軸受10を介して駆動軸21に回転自在に支持されている。これにより、誘導発熱機構3は、回転するローラ本体2の内部において、機台9(固定側)に対して静止状態に保持される。
【0025】
また、誘導コイル32には、外部リード線L1が接続されており、この外部リード線L1には、交流電圧などを印加するための電源回路5が接続されている。なお、電源回路5については後述する。
【0026】
このような誘導発熱機構3により、誘導コイル32に交流電圧が印加されると交番磁束が発生し、その交番磁束はローラ本体2の側周壁を通過する。この通過によりローラ本体2に誘導電流が発生し、その誘導電流でローラ本体2はジュール発熱する。
【0027】
冷却機構4は、霧状の冷却媒体をローラ本体2及び誘導発熱機構3の間に形成される隙間部の軸方向一端部から導入するとともに、隙間部の軸方向他端部から冷却媒体をローラ本体2外部に排出することにより、ローラ本体2を冷却するものである。なお、軸方向とは、ローラ本体2の回転軸方向であり、図1の紙面左右方向である。
【0028】
具体的に冷却機構4は、圧縮空気及び水を混合して霧状(ミスト状)の冷却媒体を生成するミスト生成装置41と、当該ミスト生成装置41により生成された霧状の冷却媒体を隙間部の軸方向一端部から導入する冷却媒体導入路42とを備えている。前記霧状の冷却媒体は、噴射された直後に気化蒸発しない程度の粒径であって、且つ、空気とともに運搬される過程で重力で落下したり、流路の屈曲部において壁面に衝突して液化しない程度の粒径である。具体的に霧状の冷却媒体は、30〜100μmの範囲の粒径を有するものである。
【0029】
なお、ミスト生成装置41に圧縮空気を供給する圧縮空気供給回路には、ミスト生成装置41への圧縮空気の供給、停止を制御する電磁弁からなる開閉弁43が設けられている。また、ミスト生成装置41に冷却媒体である水を供給する冷却媒体供給路には、ミスト生成装置41への水の供給、停止を制御する電磁弁からなる開閉弁44が設けられている。その他、冷却媒体供給路には、冷却媒体流量を制御するための流量制御弁を設けても良い。また、図1には、示していないが、冷却機構4は、前記隙間部を通過した冷却媒体を軸方向他端部から外部に排出するための冷却媒体排出路と有している。
【0030】
しかして、本実施形態の電源回路5は、誘導コイル32に交流電圧を印加する交流電圧印加部51と、誘導コイル32に直流電圧を印加する直流電圧印加部52とを備えている。
【0031】
交流電圧印加部51は、ローラ本体2に誘導電流を発生させて、当該誘導電流によりローラ本体2をジュール発熱(誘導発熱)させるためのものである。具体的に交流電圧印加部51は、交流電源5aと、当該交流電源5aの交流電圧を調整する例えば位相制御方式のサイリスタ等の交流電圧調整器5bとを有しており、開閉スイッチ5cを介して、誘導コイル32の外部リード線L1に接続される。なお、交流電圧調整器5b及び開閉スイッチ5c等は、後述する制御機器6により制御される。
【0032】
直流電圧印加部52は、誘導コイル32に直流電流を流すことにより誘導コイル32をジュール発熱(直接通電発熱)させるためのものである。具体的に直流電圧印加部52は、前記交流電源5aと、前記交流電源の交流電圧を所定の交流電圧に調整する変圧器5dと、当該変圧器5dにより調整された交流電圧を整流して直流電圧に変換する整流器5eとを有しており、開閉スイッチ5fを介して、誘導コイル32の外部リード線L1に接続される。なお、変圧器5d及び開閉スイッチ5f等は、後述する制御機器6により制御される。
【0033】
本実施形態では、交流電圧印加部51側の開閉スイッチ5cと直流電圧印加部52側の開閉スイッチ5fとは、単一の電源切替スイッチ(例えば電磁接触器)により構成されており、当該電源切替スイッチが後述する制御機器6により制御されて、開閉スイッチ5c又は開閉スイッチ5fが択一的にON状態となる。
【0034】
そして、本実施形態の誘導発熱ローラ装置100は、制御機器6により各部を制御することによって、ローラ本体の温度(表面温度)が所定の目標設定値となるように温度制御される。
【0035】
具体的に制御機器6は、ローラ本体2の側周壁に埋設された温度センサTSからの検出信号を増幅器(不図示)を介して電流信号として検出し、電源回路5及び冷却機構4を制御する。なお、温度センサTSからの検出信号は、回転トランス7により制御機器6に出力される。
【0036】
<2.誘導発熱ローラ装置の動作>
以下、制御機器6の制御内容とともに誘導発熱ローラ装置100の動作について説明する。
【0037】
制御機器6は、誘導発熱ローラ装置100の起動開始時から、開閉スイッチ5cをON状態として、交流電圧印加部により誘導コイル32に交流電圧を印加する。
【0038】
そして、前記温度センサTSにより得られるローラ本体2の温度が目標設定値(SV)よりも十分低い状態(図2の(A)領域)では、制御機器6は、交流電圧調整器5bを制御して、交流電源が供給可能な最大電圧を誘導コイル32に印加する。これによって、ロール本体2は、電磁誘導により流れる誘導電流によって自己発熱して、ロール本体2の温度は、SVに向かって上昇する。
【0039】
その後、制御機器6は、ロール本体2の温度が、SVに対する比例帯(図2の(B)領域)まで到達したと判断した場合に、ロール本体2の温度とSVとの偏差に応じて交流電圧調整器5bを制御し、誘導コイル32に印加する交流電圧をフィードバック制御する。なお、前記比例帯とは、交流電圧調整器5bのみを制御することで、ローラ本体2の温度をSVに維持するように電圧制御できる温度範囲である。
【0040】
ここで、例えばロール本体2に対して外部(例えば熱処理対象物)からの熱入力があり、ローラ本体2の温度が比例帯を超えて高温となる場合(図2の(C)領域)がある。制御機器6は、ロール本体2の温度が、前記比例帯を超えて高温となっていると判断した場合に、交流電圧調整器5bを制御して、誘導コイル32に印加する交流電圧をゼロとする。なお、制御機器6は、交流電圧印加部51側の開閉スイッチ5cを遮断することにより、誘導コイル32に印加する交流電圧をゼロとすることもできる。
【0041】
また、制御機器6は、誘導コイルに印加する交流電圧をゼロにすると同時に、冷却機構4の開閉弁43、44を開けてミスト生成装置41により、霧状の冷却媒体を生成して、ローラ本体2及び誘導発熱機構3の間に導入する。
【0042】
さらに、制御機器6は、前記冷却機構4による霧状の冷却媒体の導入開始と同時に、電磁接触器を制御して開閉スイッチ5cをOFF、開閉スイッチ5fをONにする。そして、制御機器6は、変圧器5dを制御して交流電圧を所定の電圧値に調整する。これにより、整流器5eで直流化された一定の直流電圧が誘導コイルに印加される。このように直流電圧が印加された誘導コイル32は、誘導コイル32の巻き線抵抗値と、印加される直流電圧とによりIRのジュール発熱を生じる。
【0043】
その後、制御機器6は、ローラ本体2の温度が比例帯に到達したと判断した場合には、冷却機構4による霧状の冷却媒体の導入を停止するとともに、電磁遮断器を制御して開閉スイッチ5cをON、開閉スイッチ5fをOFFにする。そして、制御機器6は、ロール本体2の温度とSVとの偏差に応じて交流電圧調整器5bを制御して、誘導コイル32に印加する交流電圧をフィードバック制御する。このように本実施形態では、冷却機構4の作動・停止のタイミング及び直流電圧印加部52の作動・停止のタイミングは互いに連動しており、冷却機構による霧状の冷却媒体の導入期間と、直流電圧印加部52による直流電圧の印加期間とは一致している。
【0044】
<3.本実施形態の効果>
このように構成した誘導発熱ローラ装置100によれば、誘導コイル32に直流電圧を印加する直流電圧印加部52を有しているので、誘導コイル32に直流電圧を印加することで、誘導コイル32をジュール発熱させることができる。これにより、誘導コイル32自身を加熱することができ、誘導コイル32の周囲に結露が生じ難くすることができ、また、誘導コイル32の周囲に付着した結露水を蒸発させることができる。
【0045】
また、本実施形態では、冷却機構4による霧状の冷却媒体の導入開始時と、直流電圧印加部52による直流電圧の印加開始時とが一致しているので、霧状の冷却媒体の導入開始時から、誘導コイル32の周囲に結露が生じ難くすることができる。
【0046】
<4.本発明の変形実施形態>
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。
【0047】
例えば、前記実施形態では、冷却機構4による霧状の冷却媒体の導入開始時と、直流電圧印加部52による直流電圧の印加開始時とが一致しているが、それらは互いにずれていても良い。例えば、冷却機構4による霧状の冷却媒体の導入開始から所定時間経過後に、直流電圧印加部52による直流電圧の印加を開始するように校正しても良い。
【0048】
また、前記実施形態では、交流電圧印加部による交流電圧の印加期間と、冷却機構4による霧状の冷却媒体の導入期間及び直流電圧印加部52による直流電圧の印加期間とが重ならないように構成されているが、前記交流電圧の印加期間と前記冷却媒体の導入期間とが重なるように構成しても良い。この場合において、前記直流電圧の印加期間は、前記交流電圧の印加期間と重なるように構成しても良いし、前記交流電圧の印加期間と重ならないように構成しても良い。前記交流電圧の印加期間と前記直流電圧の印加期間とが重なる場合には、交流電圧印加部の交流電圧に直流電圧印加部の直流電圧を重畳して誘導コイル32に印加する構成となる。
【0049】
さらに、前記実施形態では、直流電圧印加部が、交流電圧印加部の交流電源を用いて構成されたものであったが、直流電圧印加部が、前記交流電圧印加部の交流電源とは別の交流電源又は直流電源を有する構成としても良い。
【0050】
加えて、前記実施形態の直流電圧印加部52は、誘導コイル32に印加する直流電圧を一定としていたが、誘導コイル32に印加する直流電圧を可変としても良い。
【0051】
その他、本発明は前記実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0052】
100・・・誘導発熱ローラ装置
2・・・ローラ本体
3・・・誘導発熱機構
32・・・誘導コイル
4・・・冷却機構
51・・・交流電圧印加部
52・・・直流電圧印加部
図1
図2