特許第6433183号(P6433183)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6433183放射線検出装置および放射線撮影システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6433183
(24)【登録日】2018年11月16日
(45)【発行日】2018年12月5日
(54)【発明の名称】放射線検出装置および放射線撮影システム
(51)【国際特許分類】
   G01T 7/00 20060101AFI20181126BHJP
   A61B 6/00 20060101ALI20181126BHJP
   G01T 1/20 20060101ALI20181126BHJP
【FI】
   G01T7/00 A
   A61B6/00 300S
   G01T1/20 G
   G01T1/20 E
   G01T1/20 L
【請求項の数】13
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-150201(P2014-150201)
(22)【出願日】2014年7月23日
(65)【公開番号】特開2016-24135(P2016-24135A)
(43)【公開日】2016年2月8日
【審査請求日】2017年7月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090273
【弁理士】
【氏名又は名称】國分 孝悦
(72)【発明者】
【氏名】加藤 勝志
(72)【発明者】
【氏名】権田 貴昭
【審査官】 杉田 翠
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2006/073031(WO,A1)
【文献】 米国特許第07482595(US,B1)
【文献】 特開2005−181922(JP,A)
【文献】 特開2007−222604(JP,A)
【文献】 特開2014−035250(JP,A)
【文献】 特開2006−066736(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B6/00−6/14
G01T1/00−1/16
1/167−7/12
G03B42/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から入射する放射線を検出する放射線検出器と、
前記放射線検出器を制御する電気回路基板と、
前記放射線検出器と前記電気回路基板とを冷却する冷却ユニットと、
前記放射線検出器と前記電気回路基板と前記冷却ユニットとを収容する筐体と、
を有し、
前記筐体の少なくとも外側の表面は、前記放射線が入射する側とは反対側である背面部と前記背面部に隣接する側面部とにかけて窪む凹部を有し、
前記凹部には、前記電気回路基板に接続される配線と前記冷却ユニットに冷却媒体を還流させる配管を前記筐体の外部に引き出す引き出し部が設けられ
前記凹部は、平面視において前記側面部に対して傾斜する向きが互いに異なる面を有し、
前記配線を引き出す前記引き出し部と、前記配管を引き出す前記引き出し部とは、互いに前記側面部に対して傾斜する向きが異なる面に設けられることを特徴とする放射線検出装置。
【請求項2】
外部から入射する放射線を検出する放射線検出器と、
前記放射線検出器を制御する電気回路基板と、
前記放射線検出器と前記電気回路基板とを冷却する冷却ユニットと、
前記放射線検出器と前記電気回路基板と前記冷却ユニットとを収容する筐体と、
を有し
前記筐体の少なくとも外側の表面は、前記電気回路基板に接続される配線と前記冷却ユニットに冷却媒体を還流させる配管を前記筐体の外部に引き出す引き出し部が設けられる凹部を有し、
前記凹部は、前記放射線が入射する側とは反対側である背面部と前記背面部に隣接する側面部とからなる稜線部に、前記背面部と前記側面部とにかけての前記筐体の外側の表面が窪むように、設けられており、平面視において前記側面部に対して傾斜する向きが互いに異なる面を有し、
前記配線を引き出す前記引き出し部と、前記配管を引き出す前記引き出し部とは、互いに前記側面部に対して傾斜する向きが異なる面に設けられることを特徴とする放射線検出装置。
【請求項3】
前記凹部は、平面視で三角形状の形状を有し、
前記配線を引き出す前記引き出し部は、前記三角形状の1辺に相当する面に設けられ、前記配管を引き出す前記引き出し部は、前記三角形状の前記1辺とは異なる他の辺に相当する面に設けられることを特徴とする請求項1又は2に記載の放射線検出装置。
【請求項4】
前記凹部は、平面視で台形状の形状を有し、
前記配線を引き出す前記引き出し部は、前記台形状の一方の斜辺に相当する面に設けられ、前記配管を引き出す前記引き出し部は、前記台形状の前記一方の斜辺とは異なる他の斜辺に相当する面に設けられることを特徴とする請求項1又は2に記載の放射線検出装置。
【請求項5】
前記配線が引き出される引き出し部と、前記配管が引き出される引き出し部とは、互いに前記筐体の厚さ方向の位置が異なることを特徴とする請求項から4のいずれか1項に記載の放射線検出装置。
【請求項6】
前記凹部は、平面視で前記側面部に略平行な辺を有する四辺形状の形状を有し、
前記配線を引き出す前記引き出し部と、前記配管を引き出す引き出し部とは、前記側面部に略平行な辺に相当する面に設けられることを特徴とする請求項1又は2に記載の放射線検出装置。
【請求項7】
前記配線と前記配管とは、前記電気回路基板の実装面に略平行に引き出されることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の放射線検出装置。
【請求項8】
前記電気回路基板には、前記配線を着脱可能な電気的接栓座が設けられることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の放射線検出装置。
【請求項9】
前記電気回路基板は外周の1辺に凹部を有し、前記筐体の前記凹部に対応して内側に向かって張り出す膨出部は、前記電気回路基板の前記凹部に入りこんでいることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の放射線検出装置。
【請求項10】
前記電気回路基板の前記凹部の周縁部に、前記配線を着脱可能な電気的接栓座が設けられることを特徴とする請求項9に記載の放射線検出装置。
【請求項11】
前記放射線検出器は、CMOS型の光電変換素子を有する平面型の放射線検出器であることと特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の放射線検出装置。
【請求項12】
前記放射線検出器は、両側読み出し方式の放射線検出器であり、
平面視において対向する2辺に前記電気回路基板と電気的に接続するケーブルが接続されており、
前記ケーブルが接続される2辺は、前記筐体の前記凹部を有する前記側面部ではない他の側面部に位置することを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載の放射線検出装置。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか1項に記載の放射線検出装置を有する放射線撮影装置と、
前記放射線撮影装置にて得られた画像データを処理する制御装置と、
を有することを特徴とする放射線撮影システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線検出装置および放射線撮影システムに関する。特には、被写体を透過した放射線を検出して放射線透視画像を生成する放射線検出装置と、この放射線検出装置を有する放射線撮影装置が適用された放射線撮影システムに関する。
【背景技術】
【0002】
放射線撮影装置による透視のもとで血管内治療(インターベンション)を行う治療法が一般化している。そしてインターベンションなどには、特許文献1に記載されるようなC形アーム式の放射線撮影装置が広く用いられている。このような放射線撮影装置において、被検体を透過したX線を検出するX線検出器として、画像に歪みを生じにくい利点を持ち、近年性能向上の著しいフラットパネルディテクタ(平面型X線検出器)が普及しつつある。また、腹部や胸部の治療のケースなどで、体幹部を同時に同視野に含めて透視観察可能なように、撮影可能範囲が大きいサイズのX線検出器が求められる。特許文献2には、放射線検出器が収容される放射線検出装置が開示されている。特許文献2に記載のとおり、放射線検出器を含む放射線検出装置の制御や放射線検出器から画像情報を取得するため、放射線検出装置と外部を接続する電気ケーブルが設けられる。また、特許文献3には、放射線検出器や電気回路基板の実装される電気素子などを冷却するために、放射線検出装置に冷却媒体の還流経路が設けられる構成が開示されている。このような構成においては、放射線検出装置と外部の冷却媒体供給側とを接続する管路を設けることとなる。
【0003】
ところで、放射線撮影装置を利用したインターベンションにおいて、被検者の撮影対象部分を確実に透視して散乱線による悪影響の少ない高品位の画像を得るためには、撮影装置の受像部をできるだけ撮影対象部位に接近させるのが好ましい。そのために、受像部の外形部分を被検者の身体に近付けることが好ましいため、放射線検出装置が収容される受像部の小型化が求められている。また、設置時やメンテナンス時の作業性の向上を図るため、放射線検出装置と外部を接続する電気ケーブルや冷却媒体用管路が着脱可能に構成されることがある。この場合には、電気ケーブルや冷却媒体用管路の引き出し位置についても、メンテナンス作業性を考慮した構成が求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−284375号公報
【特許文献2】特開平11−271454号公報
【特許文献3】特許第4258018号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、放射線検出装置に接続される配線配管の配策スペースの省スペース化と、設置時やメンテナンスにおける作業性の向上を図りつつ、高画質な画像が得られる放射線撮影装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明は、外部から入射する放射線を検出する放射線検出器と、前記放射線検出器を制御する電気回路基板と、前記放射線検出器と前記電気回路基板とを冷却する冷却ユニットと、前記放射線検出器と前記電気回路基板と前記冷却ユニットとを収容する筐体と、を有し、前記筐体の少なくとも外側の表面は、前記放射線が入射する側とは反対側である背面部と前記背面部に隣接する側面部とにかけて窪む凹部を有し、前記凹部には、前記電気回路基板に接続される配線と前記冷却ユニットに冷却媒体を還流させる配管を前記筐体の外部に引き出す引き出し部が設けられ、前記凹部は、平面視において前記側面部に対して傾斜する向きが互いに異なる面を有し、前記配線を引き出す前記引き出し部と、前記配管を引き出す前記引き出し部とは、互いに前記側面部に対して傾斜する向きが異なる面に設けられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、配線配管の引き出し部を、筐体の背面部と側面部とにかけて窪む凹部に設けることで、配線配管の引き回しを、平面視において放射線検出装置の外形プロファイルの内側に収めることができる。したがって、放射線検出装置に接続される配線配管の配策スペースの省スペース化を図ることができる。また、凹部は側面部の側にも設けられることから、引き出し部へのアクセスが容易となり、設置時やメンテナンスにおける作業性の向上を図ることができる。そして、配策スペースの省スペース化によって放射線検出器の小型化を図ることができるから、放射線検出器を被写体に接近させやすくなり、高画質な画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1の実施形態における放射線撮影装置の構成例を模式的に示す図である。
図2】受像部の概略断面図である。
図3】放射線撮影装置の受像部の概略断面図である。
図4】放射線検出装置の概略断面図である。
図5】放射線検出装置の概略断面図である。
図6】放射線検出装置の概略外観図である。
図7】第2の実施形態における放射線検出装置の概略外観図である。
図8】第3の実施形態における放射線検出装置の概略外観図である。
図9】放射線撮影システムの構成例を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の実施形態を、図1図9を参照して詳細に説明する。なお、以下の実施の形態では、放射線撮影装置の例として、放射線を用いて被検者を撮影する医療用のC形アーム式放射線撮影装置を示す。ただし、本発明の適用対象は、医療用のC形アーム式放射線撮影装置に限定されるものではない。本発明は、被検者以外の他の被写体を撮影する放射線撮影装置や、他の各種の放射線撮影装置にも適用できる。
【0010】
(第1の実施形態)
まず、本発明の第1の実施形態にかかる放射線撮影装置200の全体的な構成について、図1を参照して説明する。図1は、放射線撮影装置200の構成例を模式的に示す概略図である。放射線撮影装置200は、放射線発生部1と、受像部2と、C形アーム4と、支持アーム6と、ガイド部5とを含んで構成される。放射線発生部1と受像部2のそれぞれは、C形アーム4の一方の端部と他方の端部のそれぞれに設けられており、C形アーム4によって一体に支持されている。そして、放射線発生部1と受像部2との間に被写体M(被検体)を配置することで、被写体Mの透視画像(放射線画像)を得ることができる。なお、C形アーム4は、ガイド部5を介して支持アーム6によって支持される。そして、ガイド部5と支持アーム6に設けられる移動機構により、撮影方向を任意に変更できる。支持アーム6は、病室や放射線撮影室の天井Cや床や壁などに固定されている。図1においては、支持アーム6が病室や放射線撮影室の天井Cに固定される構成を示すが、この構成に限定されない。また、被写体Mの撮影には、放射線発生部1と受像部2との間に被写体Mを臥位で支持するための寝台3が用いられる。寝台3は、支持脚によって支えられているが、図1では寝台3のみを示す。このような構成の放射線撮影装置200は、放射線発生部1と受像部2の位置関係がC形アーム4によって維持されるため、相互の位置調節作業に要する労力が少なくて済む。このため、撮影方向を頻繁に変更したり微調整したりする必要のある撮影に好適であり、インターベンションなどに利用できる。
【0011】
次に、受像部2の構成例について、図2図3を参照して説明する。図2は、受像部2を放射線受像面(後述)に直角な面で切断して示した断面図である。図3は、図2におけるA−A断面図である。なお、図2においては、放射線発生部1は受像部2の下方に位置しており、受像部2に対して矢印Xの向きに放射線を入射させる。説明の便宜上、受像部2において、放射線発生部1に対向して放射線が入射する側を前面側と称し、その反対側を背面側と称する。図2においては、下側が前面側であり、上側が背面側である。ただし、撮影の状況によっては、図2の上下方向と実際の撮影における受像部2の上下方向とが一致しないこともある。
【0012】
受像部2は、放射線検出装置10a(ディテクタユニット)と、支持フレーム9と、これらを収容する外装とを有する。そして、受像部2の全体は、C形アーム4の一方の端部に設けられる支持シャフト7により支持されている。具体的には、放射線検出装置10aは支持フレーム9によって支持されており、支持フレーム9は支持シャフト7によって支持されている。なお、受像部2は、支持シャフト7によって回転可能に支持される構成であってもよい。支持シャフト7は中空軸であり、その中空部には、C形アーム4を通じて外部と受像部2の放射線検出装置10aなどとを接続する配線配管8が通されている。配線配管8は、少なくとも1系統以上の配線類や配管類をいうものとする。配線配管8は、具体的には、配線の例である電気ケーブルと、配管の例である冷却媒体用の管路とが適用される。そして、配線配管8は、放射線検出装置10aに接続されている。なお、受像部2の全体が支持シャフト7によって回転可能に支持される構成においては、配線配管8は、受像部2の回転に追従できるように、フレキシブルな材料からなる。
【0013】
受像部2に収容される放射線検出装置10aの筐体102は、略直方体の外観形状を有する。このため、受像部2の外装も、放射線検出装置10aの筐体102の形状に応じて、略直方体の形状を有する。受像部2の外装は、受像部背面部材12と、接触防止機構11と、受像部前面カバー13とを含む。受像部背面部材12は、放射線検出装置10aの背面側を覆う。接触防止機構11は、受像部背面部材12に取り付けられており、平面視において放射線検出装置10aの額縁全周を覆う。これにより、接触防止機構11は、周囲のあらゆる方向について、被写体Mが放射線検出装置10aに接触することを防止できる。受像部前面カバー13は、放射線検出装置10aの前面側を覆う部材であり、放射線透過率が高い材料により構成されている。このように、放射線検出装置10aの額縁全周が接触防止機構11により覆われる構成であると、放射線検出装置10aの筐体102の全周が、接触防止機構11の内周面に対面する。そして、放射線検出装置10aの側周面と接触防止機構11との間には、スペース的な余裕が設けられない。
【0014】
次に、放射線撮影装置200の受像部2に収容される放射線検出装置10aの構成について、図4図6を参照して説明する。図4は、放射線検出装置10aを、放射線受像面に直角な面で切断して示した断面模式図である。図5は、図4におけるB−B線断面模式図であり、放射線検出装置10aの内部を背面側から見た図である。図6(a)は、放射線検出装置10aの外観を示す背面図である。図6(b)は、放射線検出装置10aの外観を示す側面図である。
【0015】
放射線検出装置10aの外装である筐体102の内部には、放射線検出器101と、内部支持体105と、電気回路基板110と、冷却ユニット120とが収容されている。本実施形態では、放射線検出器101に、平面型で両側読み出し方式と呼ばれる形式が適用される。
【0016】
平面型の放射線検出器101は、入射した放射線を検出する放射線受像面を有し、放射線受像面に入射した放射線を電気信号に変換する。放射線検出器101の前面側の面(図4においては下側の面)が、放射線受像面となる。平面型の放射線検出器101は、例えば、二次元状に配列(タイリング)される複数のCMOS型の撮像素子と、入射した放射線を撮像素子により検出できる波長の可視光に変換するシンチレータ(蛍光体)とを有する。複数の撮像素子のそれぞれはたとえばマトリックス状に配列される複数の画素を有しており、各画素はシンチレータによって変換された可視光を光電変換し、可視光に応じた電気信号を生成する。平面型で両側読み出し方式の放射線検出器101には、画素が光電変換した出力信号を読み出す二方向の経路を有する。そして、放射線検出器101は、平面視において四辺形状の形状を有し、外周の4辺のうちの互いに対向する2辺に、フレキシブルケーブル114(後述)を接続する電気接続部が設けられる。したがって、画素の出力信号を対向する2辺から半分ずつ同時に読み出すことができる。このように、両側読み出し方式の放射線検出器101は、画素の出力信号の読み出しに要する時間を短縮できることから、高速な処理が求められる放射線撮影装置に適している。
【0017】
内部支持体105は、固定部材106を介して放射線検出器101を支持している。内部支持体105は高い剛性を有しており、不図示のステー部材を介して筐体102の内側に固定されている。
【0018】
電気回路基板110は、内部支持体105の背面側に取り付けられる。本実施形態では、内部支持体105の背面側に1枚の電気回路基板110が設けられる構成を示す。内部支持体105とこの1枚の電気回路基板110との間には、機能性部材107が設けられる。機能性部材107は、電気絶縁性、X線遮蔽性、電磁波遮蔽性、断熱性等の機能を有する。
【0019】
電気回路基板110は、放射線検出装置10aの外部のシステム制御装置などとコマンドの送受信を行うとともに、放射線検出装置10aの各部を制御する。例えば、電気回路基板110には、電気素子が実装される。電気回路基板110に実装される電気素子には、CPUと、放射線検出器制御回路と、A/D変換回路と、書き込みアクセス制御回路と、読み出しアクセス制御回路と、フレームメモリとして使用されるICと、画像出力回路とが含まれる。放射線検出器制御回路は、放射線検出器101の各撮像素子の駆動制御を行い、撮像素子が光電変換した電気信号をアナログ画像データとして出力させる。また、放射線検出器制御回路は、そして、出力させた電気信号(アナログ画像データ)を、A/D変換回路に対して出力する。A/D変換回路は、入植された電気信号をデジタル画像データに変換する。書き込みアクセス制御回路には、A/D変換回路から出力されるデジタル画像データが入力される。そして、書き込みアクセス制御回路は、フレームメモリ内でラスタイメージの配列となるように書き込みアドレスを制御し、デジタル画像データをフレームメモリに書き込む。また、書き込みアクセス制御回路は、フレームメモリにおいてデジタル画像データの書き込みを終了した上段フレームのライン数を計測し、読み出しアクセス制御回路へ通知する。読み出しアクセス制御回路は、CPUにより設定された最適な読み出し開始ライン数と書き込みアクセス制御回路から通知された書き込み済みライン数とを比較する。比較の結果、書き込み済みライン数が最適な読み出し開始ライン数と等しくなった時点で、読み出しアクセス制御回路は、フレームメモリから順次画像データ(ラスタイメージ)を読み出し、画像出力回路に転送する。画像出力回路は、放射線検出器101の外部(システム制御装置など)に対して、ラスタイメージを出力する。
【0020】
なお、上述した電気回路基板110の構成は一例であり、電気回路基板110の構成は、上述の構成に限定されるものではない。要は、電気回路基板110は、外部からのコマンドに応じて放射線検出器101を制御し、放射線画像の画像データを出力する構成であればよい。また、電気回路基板110に実装される電気素子も、上述のCPUおよび各制御回路に限定されない。また、前記各制御回路として機能する別個独立した電気素子が電気回路基板110に実装される構成であってもよく、複数の制御回路の機能を包含する電気素子が電気回路基板110に実装される構成であってもよい。
【0021】
放射線検出器101と電気回路基板110とは、フレキシブルケーブル114によって接続されている。すなわち、フレキシブルケーブル114の一端が放射線検出器101の電気的接続部に接続され、他端が電気回路基板110に接続される。そして、両側読み出しを実現するために、図5に示すように、複数のフレキシブルケーブル114が、放射線検出器101の対向する2辺の電気的接続部のそれぞれに接続される。なお、放射線検出器101に接続されるフレキシブルケーブル114の数は特に限定されない。フレキシブルケーブル114の数は、例えば、電気的な処理を行う際のブロック分けの数(例えば、複数の撮像素子がタイリングされる構成であれば、タイリングされる撮像素子の数)に応じて設定されてもよい。このため、放射線検出器101の対向する2辺のそれぞれに、1枚のフレキシブルケーブル114が接続される構成であってもよく、複数のフレキシブルケーブル114が接続される構成であってもよい。
【0022】
冷却ユニット120は、熱伝導部材112を介して、電気回路基板110に実装される発熱量の大きい電気素子111に接続されている。冷却ユニット120の内部には、冷却媒体用の内部管路130が設けられている。そして、放射線検出装置10aの外部から供給される冷却媒体を内部管路130に還流させることにより、発熱量の大きい電気素子111およびその近傍や、放射線検出器101を(すなわち発熱源)冷却する。熱伝導部材112を介して冷却ユニット120と接続される電気素子111としては、前述のCPUや、各制御回路として機能するICの一部または全部が適用される。ただし、具体的に限定されるものではなく、それぞれの電気素子111の発熱量などに応じて決定すればよい。また、CMOS型の光電変換素子が適用される放射線検出器101は、画素単位でアンプを有している。このため、アンプの発熱によって、画素を構成するフォトダイオードの暗電流量が変化する。この結果、光電変換素子の特性が変化する。本実施形態では、冷却ユニット120によって放射線検出器101を冷却することによって、温度上昇に起因して生じる光電変換素子の特性の変化を抑制し、高画質な放射線画像を得ることができる。
【0023】
冷却ユニット120の内部管路130には、冷却媒体を還流させるための外部管路121,122が接続される。なお、2つの外部管路121,122のいずれが入口であるか出口であるかは限定されない。これらの外部管路121,122は、筐体102の壁面に設けられる引き出し部150を貫通して放射線検出装置10aの外部に引き出される。この引き出し部150としては、例えば、筐体102の壁面を貫通する貫通孔(開口部)が適用される。外部管路121,122には、フレキシブルなゴム製やプラスチック製のホースが好適である。このような構成であれば、外部管路121,122の配置の自由度が得られ、放射線検出装置10aの取り扱いや外部の構成の決定が容易となる。ただし、安定性や信頼性を優先するなどの場合には、外部管路121,122に部分的に金属製や硬い樹脂製の部材が含まれていてもよい。なお、前述のように、受像部2が支持シャフト7に回転可能に支持される場合には、外部管路121,122の少なくとも一部分には、フレキシブルな材料からなる部分が含まれることが必要となる。
【0024】
本実施形態では、筐体102の内部には、前面側(図4においては下側)から順に、放射線検出器101と、内部支持体105と、機能性部材107と、電気回路基板110と、冷却ユニット120とが、積み重ねられるように設けられる。ただし、電気回路基板110と冷却ユニット120とは、放射線検出器101よりも背面側に設けられる構成であればよく、図4に示す順序に限定されない。すなわち、冷却ユニット120は、電気回路基板110の前面側(ただし、放射線検出器101の背面側)に設けられる構成であっても同様な効果が得られる。また、この場合には、冷却ユニット120と放射線検出器101の間に、熱伝導率の高い部材を挿入してもよい。これにより、放射線検出器101から冷却ユニット120への熱伝導効率を高め、放射線検出器101の温度安定化を図ることができる。そしてこのような構成によれば、外部環境温度の変化や、内部発熱の時間的・空間的変動が生じた場合でも、放射線検出器101の温度を安定させることができ、ムラの無い高品位な放射線画像を得ることができる。
【0025】
電気回路基板110には、配線の例である電気ケーブル146,147,148を着脱可能な電気的接栓座116,117,118が実装される。電気的接栓座116,117,118には、例えば、ソケットや、ジャックや、レセプタクルなどといった、電気ケーブルの接栓を着脱可能な公知の各種コネクタが適用される。そして、電気的接栓座116,117,118には、配線配管8に含まれる電気ケーブル146,147,148のケーブル接栓126,127,128が着脱可能に接続される(図6参照)。電気ケーブル146,147,148のケーブル接栓126,127,128には、プラグやジャックなどが適用される。ケーブル接栓126,127,128に接続される電気ケーブル146,147,148は、放射線検出装置10aの外部に引き出されており、放射線検出装置10aの外部のシステム制御装置に電気的に接続される。放射線検出装置10aに接続される電気ケーブル146,147,148には、例えば、電力系統や、制御系統や、画像データ系統がある。電力系統は、外部から放射線検出装置10aに電力を供給するために用いられる。制御系統は、外部と放射線検出装置10aとの間でコマンドやデータなどを通信するために用いられる。画像データ系統は、放射線検出装置10aから透視画像(放射線画像)のデータを外部のシステム制御装置へ出力するために用いられる。電気ケーブル146,147,148の物理的な構成としては、複合束線を用いて2系統あるいは3系統を統合してもよく、すべての系統を別の束線で構成してもよい。本実施形態では、3系統の電気ケーブル146,147,148の束線がそれぞれ独立しており、電気回路基板110には3個の電気的接栓座116,117,118が設けられる構成を示す。
【0026】
また、本実施形態では、電気的接栓座116,117,118には、電気回路基板110に直接実装する基板実装タイプが適用される。電気的接栓座116,117,118に基板実装タイプが適用されると、電気的接栓座116,117,118と電気回路基板110とを接続する配線を省略できる。このため、外部からのノイズに対する耐性が向上するとともに、信頼性向上や低コスト化などを図ることができる。さらに、本実施形態において、電気的接栓座116,117,118には、ライトアングルタイプが適用される。そして、ライトアングルタイプの電気的接栓座116,117,118が、電気回路基板110の基板凹部141(後述。図4参照)の周縁部に、電気ケーブル146,147,148が平面視において電気回路基板110から外側に向かってが引き出される向きで実装される。電気的接栓座116,117,118にライトアングルタイプが適用されると、接続される電気ケーブル146,147,148は、電気回路基板110の実装面(電気素子111などが実装される面をいう)に平行になる。このため、ストレートタイプ(接続される電気的配線が電気回路基板110の実装面に直角に延伸するタイプ)が適用される構成に比較して、放射線検出装置10aの厚さ方向寸法を小さくできる。ただし、ライトアングルタイプが適用されると、電気ケーブル146,147,148と実装される電気素子111などとが干渉するおそれがある。そこで、本実施形態では、電気回路基板110の周縁部に、接続される電気ケーブル146,147,148が電気回路基板110から外側に延伸するように実装される。このような構成によれば、接続される電気ケーブル146,147,148と実装される電気素子111などとの干渉を防止できる。
【0027】
本実施形態では、放射線検出器101と電気回路基板110とは、いずれも平面視(前面視および背面視)において四辺形状の形状を有する。そして、電気回路基板110は、その4辺のそれぞれが、放射線検出器101の4辺のそれぞれと略平行になるように、放射線検出器101の背面側に配置される。電気回路基板110の4辺のうち、放射線検出器101の電気的接続部が設けられる辺に対応する2辺には、フレキシブルケーブル114が接続される。そして、電気的接栓座116,117,118は、フレキシブルケーブル114が接続される2辺以外の少なくとも1辺の周縁部に実装される。ここでは、2辺のうちの1辺に電気的接栓座116,117,118が実装される構成を示すが、2辺の両方に実装される構成であってもよい。そして、電気回路基板110は、電気的接栓座116,117,118が実装される辺に、平面視において三角形状の切欠き状の基板凹部141を有する。電気的接栓座116,117,118は、この三角形状の基板凹部141の2辺のうちの1辺の周縁部に、並べて実装される。なお、電気回路基板110の基板凹部141については後述する。
【0028】
電気的接栓座116,117,118のうち、ケーブル接栓126,127,128を接続する部分は、筐体102の引き出し部151を通じて外側に露出している。電気ケーブル146,147,148を引き出すための引き出し部151としては、例えば、電気的接栓座116,117,118の先端部を挿通可能な貫通孔(開口部)が適用できる。このような構成によれば、放射線検出装置10aへの電気ケーブル146,147,148の着脱を、筐体102を構成する部品を取り外すことなく行える。このため、設置やメンテナンスの際の作業性が良い。
【0029】
ここで、放射線検出装置10aの外装である筐体102について説明する。筐体102は、図5図6に示すように、平面視および側面視において四辺形状の形状を有し、全体として直方体状の形状を有する。そして、筐体102は、背面側に位置する四辺形状の背面部131と、背面部131に直角で背面部131に隣接する4つの側面部132とを有する。そして筐体102は、その内部に、直方体形状の空間を有する。そして筐体102の内部の空間には、放射線検出器101と、内部支持体105と、機能性部材107と、電気回路基板110と、冷却ユニット120とが収容される。前述のとおり、放射線検出器101および電気回路基板110は、平面視において四辺形状の形状であり、放射線検出器101および電気回路基板110は、それらの4辺のそれぞれが、筐体102の4つの側面部のそれぞれの内周面に沿うように収容される。すなわち、本実施形態では、筐体102の4つの側面部132のそれぞれと、放射線検出器101および電気回路基板110の4辺のそれぞれとが、平面視において略平行である。
【0030】
筐体102の背面部131と4つの側面部132とからなる4つの稜線部のうちの1つの稜線部には、凹部が設けられている。具体的には、この凹部は、背面部131の一部と1つの側面部132の一部とにかけての外周面が窪むような態様を有する。筐体102の少なくとも外側の表面に設けられるこの凹部を、説明の便宜上「筐体凹部」140aと称する。本実施形態においては、この筐体凹部140aは、平面視(背面視)において三角形状の形状を有する。すなわち、筐体凹部140aの外周面のうち、筐体102の背面部131に直角な2つの壁面は、平面視において、筐体102の側面部132に対して傾斜している。また、これら2つの壁面は、筐体102の側面部132に対して傾斜する向きが互いに異なっている。説明の便宜上、これらの2つ(複数)の壁面を、「引き出し面」133,134と称する。そして、筐体102は、その内部における筐体凹部140aに対応する部分に、内側に向かって張り出す膨出部を有することになる。この筐体凹部140aに対応する膨出部は、厚さ方向の全体ではなく、背面部131から所定の一部の範囲に存在する。具体的には、側面視において、電気回路基板110とは重畳するが、放射線検出器101および内部支持体105とは重畳しない範囲に存在する。
【0031】
そして、電気回路基板110の4辺のうちの1辺の周縁部は、切欠き状の凹部を有する。この凹部により、電気回路基板110と筐体凹部140aに対応する膨出部との干渉が防止される。説明の便宜上、電気回路基板110のこの凹部を「基板凹部」141と称する。なお、この基板凹部141は、筐体凹部140aに対応する膨出部との干渉を防止できる形状であればよい。本実施形態では、筐体凹部140aに対応する膨出部が平面視において三角形状(すなわち、筐体凹部140aと略相似形)の形状を有する構成を示す。この場合には、基板凹部141も、平面視において三角形状の形状を有する。このため、基板凹部141に含まれる2辺は、筐体102の側面部132に対して傾斜している。そして、電気的接栓座116,117,118は、この基板凹部141に含まれる2辺のうちの1辺の周縁部に実装される。なお、放射線検出器101および内部支持体105は、側面視において筐体凹部140aに対応する膨出部と重畳しない位置に設けられる。このため、放射線検出器101および内部支持体105は、基板凹部141に相当する凹部を有さない。
【0032】
配線配管8の例である冷却媒体用の外部管路121,122と電気ケーブル146,147,148とは、それぞれ、筐体凹部140aの引き出し面133,134の引き出し部150,151から引き出される。このため、筐体凹部140aの窪み空間は、配線配管8の引き出しスペースを構成することになる。そして、外部管路121,122のたるみや、ケーブル接栓126,127,128や、電気ケーブル146,147,148は、筐体凹部140aの窪み空間の内側に収められる。したがって、平面視において、これら配線配管8が、放射線検出装置10aの外形プロファイルからはみ出すことがない。このように、引き出された配線配管8の占める空間が、平面視において筐体102の外形プロファイルに収まるようにできる。したがって、小型の受像部2を有する放射線撮影装置200に好適である。特に、前述のとおり、放射線検出装置10aが受像部2に収納された状態において、放射線検出装置10aの側周面の周囲スペースが限定されることがある。このような場合に、配線配管8が平面視において放射線検出装置10aの外形プロファイルに収められる。したがって、受像部2の外装の小型化を図りやすい。
【0033】
なお、図5図6においては、外部管路121,122が筐体凹部140aの引き出し面133に設けられる引き出し部150(貫通孔)を貫通して引き出される構成を示し、外部管路121,122の切り離しポイントを省略している。ただし、外部管路121,122を内部管路130から切り離すためのジョイントが、筐体102から距離をおいた位置に設けられる構成であってもよい。また、このジョイントが、筐体凹部140aの引き出し面133の引き出し部150に固定される構成であってもよい。いずれの構成であっても、前述の効果が得られる。ここで、ジョイントが筐体102に近い位置に設けられる構成であれば、ジョイントから先の外部管路121,122を切り離して放射線検出装置10aを取り扱うことができる。このため、放射線検出装置10aの運搬や設置の際の取り扱いの利便性を高められる。
【0034】
また、図5図6に示すように、外部管路121,122は、筐体凹部140aの2つのうちの一方の引き出し面133に設けられる引き出し部150から引き出される。これに対し、電気的接栓座116,117,118は、他方の引き出し面134の引き出し部151に設けられる。そして、外部管路121,122を筐体102から引き出す引き出し部150と、電気的接栓座116,117,118が設けられる引き出し部151とは、厚さ方向の位置(高さ)が互いに異ならせてある。すなわち、引き出し部150,151の厚さ方向位置は、引き出し面133,134ごとに互いに異なる。このような構成によれば、外部管路121,122と電気ケーブル146,147,148を立体的に交差させ易くなり、互いに干渉しにくくなる。したがって、配線配管8の引き回しがスムースになり、外部管路121,122と電気ケーブル146,147,148とが絡まるような事態を抑制できる。なお、図6(b)では、外部管路121,122の引き出し部150が、電気的接栓座116,117,118の引き出し部151よりも背面部131に近い側に位置する構成を示す。ただし、電気的接栓座116,117,118の引き出し部151が、外部管路121,122の引き出し部150よりも背面部131に近い側に位置する構成であっても同様の効果が得られる。また、2つの引き出し面133,134のいずれか一方に外部管路121,122の引き出し部150が設けられ、他方に電気的接栓座116,117,118の引き出し部151が設けられる構成であればよい。外部管路121,122の引き出し部150と電気的接栓座116,117,118の引き出し部151とが、図5図6に示す配置とは左右逆であっても、同じ効果が得られる。
【0035】
また、電気的接栓座116,117,118は、それぞれ役割が異なる。このため、電気的接栓座116,117,118そのもの大きさ(突出量)や、組み合わされるケーブル接栓126,127,128の大きさが異なることがある。さらに、引き出される電気ケーブル146,147,148も、太さや柔軟さの程度が異なり、小さい半径で曲げられるものもあれば、曲がりにくくて硬いものもある。本実施形態では、図5図6に示すように、筐体凹部140aは平面視において三角形状の形状を有し、筐体102の側面部132の引き出し面134に電気的接栓座116,117,118が配置される。このような構成であると、筐体102の側面部132から中央に向かうにしたがって、電気的接栓座116,117,118やケーブル接栓126,127,128の大きさや、突出量や、ケーブル類の曲がりにくさに対する許容レベルが大きくなる。このため、筐体凹部140aの奥の方から順に、電気的接栓座116,117,118やケーブル接栓126,127,128のサイズ(突出量)が小さくなるように配列する構成であることが好ましい。接続される電気ケーブル146,147,148の曲がりやすさが互いに異なる場合には、曲がりにくさが大きい電気ケーブルが筐体凹部140aの奥の方の電気的接栓座に接続される構成であることが好ましい。このように、配線配管8の特性(特に、サイズや曲がりやすさ)に応じて配列を決めれば、より効果的にスペースを活用できる。
【0036】
さらに、筐体凹部140aの引き出し面133が側面部132に対して傾斜する構成であると、筐体凹部140aから引き出される外部管路121,122の方向転換は、傾斜している引き出し面133に直角な状態からでよくなる。このため、90°を下回る方向転換でよくなる。したがって、外部管路121,122に掛る負荷の小さい配策経路に設定でき、外部管路121,122の信頼性の向上を図ることができる。
【0037】
ここで、放射線撮影装置200の設置時やメンテナンス時などにおける、放射線検出装置10aにケーブル接栓126,127,128を着脱する作業について説明する。まず、放射線検出装置10aの筐体102が支持フレーム9に取り付けられた状態で、受像部2の接触防止機構11と、受像部背面部材12と、受像部前面カバー13とを取り外した状態とする。そして、作業者は、ケーブル接栓126,127,128の着脱の作業において、ケーブル接栓126,127,128を持った手を、電気的接栓座116,117,118の近傍に近付ける必要がある。本実施形態では、ケーブル接栓126,127,128を電気的接栓座116,117,118に接続する場合には、最も奥の電気的接栓座118から手前に向けた順序で作業することで、作業する手前が開けた状況で作業できる。このように、筐体102の奥まった筐体凹部140aに作業アクセス対象が位置するため、作業性の向上を図るためには、電気的接栓座116,117,118の近傍に手を近付けられるスペースを確保できることが好ましい。本実施形態によれば、作業者は、ケーブル接栓126,127,128の右側に手を配置した状態で作業することで、手を配置するスペースが確保できる。特に、筐体凹部140aが背面部131と側面部132にかけて形成される構成であるため、作業者は、筐体凹部140aの引き出し部150,151へのアクセスが容易である。このため、設置時やメンテナンスにおける作業性がよい。なお、ケーブル接栓126,127,128を電気的接栓座116,117,118から取り外す場合は、取付けとは逆の順序で、手前側から作業を行えばよい。
【0038】
また、本実施形態によれば、作業性を損なうことなく、筐体凹部140aの平面視におけるサイズを小さくできる。例えば、最も手前のケーブル接栓126の作業時においては、放射線検出装置10aの平面視における外形プロファイルの外側に手を配置できる。このため、筐体凹部140aのサイズを小さくできるから、電気回路基板110の基板凹部141のサイズも小さくできる。したがって、電気回路基板110において電気部品等を実装できるスペースの減少を抑制できる。特に、電気回路基板110には、多数の電気部品や複雑なパターンの電気回路を搭載するため、実装面のスペースが不足しがちである。この場合、複数の電気回路基板110を設ける構成とすると、コスト増加を招くとともに、電気回路基板110どうし接続において信頼性が低下するおそれがある。このため、1枚のみの電気回路基板110を用い、電気部品等が実装できるスペースを大きくしたいという要望がある。本実施形態によれば、電気回路基板110における電気部品等を実装できるスペースの減少を抑制できるから、このような要望に応えることができる。
【0039】
そして、このような構成によれば、放射線検出装置10aが収容される受像部2の外形サイズの小型化を図ることができる。したがって、受像部2を被写体Mの撮影対象部位に接近させやすくなるから、高画質の放射線画像を得やすくなる。また、放射線検出装置10aが、受像部2の外装に収納された状態であっても、作業者は筐体凹部140aの引き出し部150,151へアクセスできる。
【0040】
以上説明したとおり、本実施形態では、筐体102は筐体凹部140aを有し、電気回路基板110は基板凹部141を有する。そして、電気的接栓座116,117,118の引き出し部151が、筐体凹部140aの引き出し面134に設けられる。このような構成によれば、電気回路基板110の配置スペースを効率的に確保できる。そして、外部管路121,122の引き出し部150が設けられる引き出し面133と、電気的接栓座116,117,118の引き出し部151が引き出し面134を、筐体102の側面部132(前面部および背面部131に対して直角な面)に対して傾斜させる。これにより、作業性を損なうことなく、さらにスペースの利用の効率を高められる。このように、本実施形態によれば、スペース効率を適正化し、無理なく電気回路基板110を構成できる。このため、高品位な画像出力と多機能な電子制御が適えられる放射線撮影装置を、低コストで、かつ高信頼性を確保しつつ実現可能になる。
【0041】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について、図7を参照して説明する。図7は、第2の実施形態に係る放射線検出装置10bの構成例を模式的に示す図であり、背面側から見た図である。なお、第1の実施形態と共通の構成には同じ符号を付し、説明を省略する。図7に示すように、第2の実施形態においては、筐体102の筐体凹部140bが、平面視において三角形状ではなく台形状の形状を有する。そして、台形状の形状の一方の脚(斜辺)に相当する引き出し面133から外部管路121,122が引き出され、台形状の形状の他方の脚(斜辺)に相当する引き出し面134に電気的接栓座116,117,118が設けられる。このような構成であっても、第1の実施形態と同様の効果が得られる。このように、第2の実施形態においても、外部管路121,122の引き出し部150が設けられる引き出し面133と、電気的接栓座116,117,118の引き出し部151が設けられる引き出し面134とが、側面部132に対して傾斜している。
【0042】
(第3の実施形態)
次いで、第3の実施形態について、図8を参照して説明する。図8は、第3の実施形態に係る放射線検出装置10cの構成を模式的に示す背面側から見た平面図である。第3の実施形態では、筐体102の筐体凹部140cが、平面視において四辺形状の形状を有する。そして、外部管路121,122の引き出し部150と電気的接栓座116,117,118の引き出し部151とは、同じ引き出し面133に設けられる。この引き出し面133は、筐体凹部140cが設けられる側面部132に平行である。このような構成であると、電気回路基板110や筐体102の外形形状に傾斜した要素が無くなるため、より一般的な製法で部品製造ができる。したがって、コスト面でメリットがある。
【0043】
(放射線撮影システム)
次に、放射線撮影システムの実施形態について、図9を参照して説明する。図9は、放射線撮影システム900の構成例を模式的に示す図である。放射線撮影システム900は、移動可能に構成される。放射線撮影システム900は、本発明の実施形態に係る放射線検出装置10a,10b,10cが適用された放射線撮影装置200と、台車902と、システム制御装置905と、表示部115とを含む。台車902は、放射線撮影装置200(C形アーム4と、放射線発生部1と、受像部2とを含む)を移動可能に支持する。なお、前述の実施形態では、C形アーム4が病室の天井Cに取り付けられる構成を示したが、ここでは、移動可能な放射線撮影システム900に適用するため、C形アーム4が移動可能な台車902に設けられる構成を示す。
【0044】
表示部115は、放射線撮影装置200が撮影した放射線画像を表示できる。システム制御装置905は、放射線検出装置10a,10b,10cを含む放射線撮影装置200と、台車902と、表示部115を制御する。システム制御装置905は、制御コンピュータ906と、制御卓907と、放射線制御装置909とを有しており、放射線撮影装置200で得られた放射線画像の画像データを画像処理して表示部115等に伝送することも可能である。また、システム制御装置905による画像処理により生成された画像データは、電話回線等の伝送手段により遠隔地へ転送することができる。それにより、遠隔地の医師が転送された画像データに基づく放射線画像を診断することが可能となる。また、伝送された画像データをフィルムに記録することや光ディスク等の保存手段に保存することも可能である。なお、受像部2がC形アーム4から取り外し可能に構成され、C形アーム4に設けられる放射線発生部1とは別の放射線発生装置を用いて撮影を行うことができる構成であってもよい。以上のように本発明の実施形態の放射線撮影装置200を放射線撮影システム900に適用することで、高品位の画像を得られる撮影が可能となる。
【0045】
以上、発明を実施するための形態について説明したが、本発明はこれらの形態に限定されないことは言うまでもなく、その要旨の範囲内での種々の変形及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0046】
1:放射線発生部、2:受像部、4:C形アーム、7:支持シャフト、8:配線配管、9:支持フレーム、10a,10b,10c:放射線検出装置(ディテクタユニット)、11:接触防止機構、12:受像部背面部材、13:受像部前面カバー、101:放射線検出器、102:筐体、105:内部支持体、110:電気回路基板、114:フレキシブルケーブル、120:冷却ユニット、116〜118:電気的接栓座、121,122:外部管路、126〜128:ケーブル接栓、133,134:引き出し面、150,151:引き出し部、200:放射線撮影装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9