特許第6433208号(P6433208)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6433208
(24)【登録日】2018年11月16日
(45)【発行日】2018年12月5日
(54)【発明の名称】固体撮像装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 27/146 20060101AFI20181126BHJP
   H04N 5/369 20110101ALI20181126BHJP
【FI】
   H01L27/146 D
   H04N5/369
【請求項の数】16
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-185699(P2014-185699)
(22)【出願日】2014年9月11日
(65)【公開番号】特開2015-173245(P2015-173245A)
(43)【公開日】2015年10月1日
【審査請求日】2017年8月1日
(31)【優先権主張番号】特願2014-30785(P2014-30785)
(32)【優先日】2014年2月20日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【弁理士】
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100130409
【弁理士】
【氏名又は名称】下山 治
(74)【代理人】
【識別番号】100134175
【弁理士】
【氏名又は名称】永川 行光
(72)【発明者】
【氏名】青木 敬
(72)【発明者】
【氏名】稲谷 直樹
(72)【発明者】
【氏名】栗原 政樹
(72)【発明者】
【氏名】下山 大輔
【審査官】 小山 満
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2009/0146236(US,A1)
【文献】 特開平02−014569(JP,A)
【文献】 特開2012−227477(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0007200(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0267743(US,A1)
【文献】 国際公開第2010/117123(WO,A2)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0170233(US,A1)
【文献】 特開平02−308567(JP,A)
【文献】 特開平06−224399(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 27/146
H04N 5/369
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に配列された複数の光電変換部と、前記複数の光電変換部に対応して設けられた複数のマイクロレンズと、前記複数のマイクロレンズと前記基板との間に設けられた複数のカラーフィルタと、を備える固体撮像装置の製造方法であって、
絶縁層を含む構造を前記基板の上に設け、前記構造の上に電極を形成する工程と、
前記電極および前記構造を覆う絶縁性の第1膜を形成する工程と、
前記第1膜のうちの前記電極の上面と前記構造の上面との段差によって形成された凸部に、前記電極の上面の一部である第1部分が露出するように開口を形成する工程と、
前記第1膜および前記第1部分を覆う第2膜を形成する工程と、
前記第2膜を加工して、第1カラーフィルタを形成すると共に、前記開口の側面と前記第1部分とを覆い且つ前記第1膜の前記凸部の上面には存在しない保護膜を前記開口の中に形成する工程と、
スピンコート法により前記第1膜および前記保護膜の上に第3膜を形成する工程と、を有する
ことを特徴とする固体撮像装置の製造方法。
【請求項2】
前記第1カラーフィルタを形成すると共に前記保護膜を形成する工程は、前記第2膜に対して露光処理および現像処理を行うことにより前記第2膜をパターニングする工程を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の固体撮像装置の製造方法。
【請求項3】
前記第1膜のうちの前記凸部の上面と、前記保護膜の上面との高低差は5000Å以下である
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の固体撮像装置の製造方法。
【請求項4】
記第3膜に対して露光処理および現像処理を行うことにより、前記第1カラーフィルタとは色が異なる第2カラーフィルタを形成する工程をさらに含む
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の固体撮像装置の製造方法。
【請求項5】
前記開口を形成する工程の後かつ前記第2膜を形成する工程の前に、前記第1膜および前記第1部分を覆う第4膜を形成し、該第4膜に対して露光処理および現像処理を行うことにより、前記第1カラーフィルタおよび前記第2カラーフィルタとは色が異なる第3カラーフィルタを形成する工程をさらに含む
ことを特徴とする請求項に記載の固体撮像装置の製造方法。
【請求項6】
前記第3膜を形成する工程の後に、前記第1部分の少なくとも一部が露出するように前記保護膜を除去する工程をさらに含む
ことを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の固体撮像装置の製造方法。
【請求項7】
記第1膜の膜厚と、記第2膜の膜厚とは互いに等しい
ことを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の固体撮像装置の製造方法。
【請求項8】
前記開口を形成する工程の後かつ前記第2膜を形成する工程の前に、前記第1膜の上に、前記第1膜と前記第2膜とを結合するための有機材料の膜を形成する工程をさらに含む
ことを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の固体撮像装置の製造方法。
【請求項9】
前記有機材料の膜の膜厚は、5Åから100Åの範囲内である
ことを特徴とする請求項に記載の固体撮像装置の製造方法。
【請求項10】
前記有機材料は、エポキシ樹脂である
ことを特徴とする請求項または請求項に記載の固体撮像装置の製造方法。
【請求項11】
基板に配列された複数の光電変換部と、前記複数の光電変換部に対応して設けられた複数のマイクロレンズと、前記複数のマイクロレンズと前記基板との間に設けられた複数のカラーフィルタと、を備える固体撮像装置の製造方法であって、
絶縁部材の中に電極が埋設された構造を前記基板の上に形成する工程と、
前記構造を覆う絶縁性の第1膜を形成する工程と、
前記第1膜の一部と前記絶縁部材の一部とを除去し、前記電極の上面の一部である第1部分が露出するように開口を形成する工程と、
前記第1膜および前記第1部分を覆う第2膜を形成する工程と、
前記第2膜を加工して、第1カラーフィルタを形成すると共に、前記開口の側面と前記第1部分とを覆い、かつ、前記第1膜の上面には存在しない保護膜を、前記開口の中に形成する工程と、
スピンコート法により前記第1膜および前記保護膜の上に第3膜を形成する工程と、を有する
ことを特徴とする固体撮像装置の製造方法。
【請求項12】
前記第3膜に対して露光処理および現像処理を行うことにより、前記第1カラーフィルタとは色が異なる第2カラーフィルタを形成する工程をさらに含む
ことを特徴とする請求項11に記載の固体撮像装置の製造方法。
【請求項13】
前記開口を形成する工程の後かつ前記第2膜を形成する工程の前に、前記第1膜および前記第1部分を覆う第4膜を形成し、該第4膜に対して露光処理および現像処理を行うことにより、前記第1カラーフィルタおよび前記第2カラーフィルタとは色が異なる第3カラーフィルタを形成する工程をさらに含む
ことを特徴とする請求項12に記載の固体撮像装置の製造方法。
【請求項14】
基板に配列された複数の光電変換部と、前記複数の光電変換部に対応して設けられた複数のマイクロレンズと、前記複数のマイクロレンズと前記基板との間に設けられた複数のカラーフィルタと、を備える固体撮像装置の製造方法であって、
絶縁層を含む構造を前記基板の上に設け、前記構造の上に電極を形成する工程と、
前記電極および前記構造を覆う絶縁性の第1膜を形成する工程と、
前記第1膜の一部と前記絶縁の一部とを除去し、前記電極の上面の一部である第1部分が露出するように開口を形成する工程と、
前記第1膜および前記第1部分を覆う第2膜を形成する工程と、
前記第2膜を露光して、第1カラーフィルタを形成すると共に、前記開口の側面と前記第1部分とを覆い、かつ、前記第1膜の上面には存在しない露光パターンを形成する工程と、
スピンコート法により前記第1膜および前記露光パターンの上に第3膜を形成する工程と、を有する
ことを特徴とする固体撮像装置の製造方法。
【請求項15】
前記第3膜に対して露光処理および現像処理を行うことにより、前記第1カラーフィルタとは色が異なる第2カラーフィルタを形成する工程をさらに含む
ことを特徴とする請求項14に記載の固体撮像装置の製造方法。
【請求項16】
前記開口を形成する工程の後かつ前記第2膜を形成する工程の前に、前記第1膜および前記第1部分を覆う第4膜を形成し、該第4膜に対して露光処理および現像処理を行うことにより、前記第1カラーフィルタおよび前記第2カラーフィルタとは色が異なる第3カラーフィルタを形成する工程をさらに含む
ことを特徴とする請求項15に記載の固体撮像装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造工程においては、ウエハ(又は基材)の上に膜を形成(成膜)する方法の一つとして、スピンコート法が用いられる。当該方法では、ウエハを回転させながら塗布液を供給することによってウエハ全体に膜が形成される。ウエハの上面に段差がある場合には、この段差によって、スピンコート法で形成される膜にスジやムラ(いわゆるストリエーション)が生じうる。
【0003】
半導体装置には、外部装置に電気的に接続するための電極が設けられ、そのため、上記ウエハの上面には段差が形成される。例えば、電極がその上面の一部を露出する開口を有する保護膜で覆われる場合にも、該保護膜の上面に段差が形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−73966号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
スピンコート法によって半導体装置の上にさらに成膜する場合には、ストリエーションが生じないように、ウエハ上面の段差量(高低差)を抑制することが必要である。
【0006】
本発明は、半導体装置の製造工程においてスピンコート法による成膜に有利な技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一つの側面は固体撮像装置の製造方法にかかり、前記固体撮像装置の製造方法は、基板に配列された複数の光電変換部と、前記複数の光電変換部に対応して設けられた複数のマイクロレンズと、前記複数のマイクロレンズと前記基板との間に設けられた複数のカラーフィルタと、を備える固体撮像装置の製造方法であって、絶縁層を含む構造を前記基板の上に設け、前記構造の上に電極を形成する工程と、前記電極および前記構造を覆う絶縁性の第1膜を形成する工程と、前記第1膜のうちの前記電極の上面と前記構造の上面との段差によって形成された凸部に、前記電極の上面の一部である第1部分が露出するように開口を形成する工程と、前記第1膜および前記第1部分を覆う第2膜を形成する工程と、前記第2膜を加工して、第1カラーフィルタを形成すると共に、前記開口の側面と前記第1部分とを覆い且つ前記第1膜の前記凸部の上面には存在しない保護膜を前記開口の中に形成する工程と、スピンコート法により前記第1膜および前記保護膜の上に第3膜を形成する工程と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、スピンコート法による成膜に有利である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】固体撮像装置の製造方法の例を説明する図。
図2】固体撮像装置の製造方法の例を説明する図。
図3】固体撮像装置の製造方法の例を説明する図。
図4】固体撮像装置の製造方法の例を説明する図。
図5】固体撮像装置の製造方法の例を説明する図。
図6】固体撮像装置の製造方法の例を説明する図。
図7】固体撮像装置の製造方法の例を説明する図。
図8】固体撮像装置の製造方法の例を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下では、半導体装置の1つの例として固体撮像装置を用いて、本発明の製造方法を述べる。しかしながら、本発明は他の半導体装置にも適用可能である。
【0011】
(第1実施形態)
図1を参照しながら、第1実施形態の固体撮像装置(「固体撮像装置I」とする)の製造方法を説明する。固体撮像装置Iは、公知の半導体製造プロセスにより製造することが可能である。
【0012】
図1は、本実施形態にかかる固体撮像装置Iの製造方法を工程ごとに模式的に示している。固体撮像装置Iは、フォトダイオード等の光電変換部が配列された画素領域R1と、光電変換部により得られた画像データを読み出すための電極が配される電極領域R2とを有する。以下では、領域R1に、3種の画素(赤、緑および青画素)がベイヤ配列にしたがって配列された画素アレイを形成する態様を例示する。
【0013】
図1の(A)の工程では、まず、領域R1に複数の光電変換部101が配列された基板100を準備する。基板100は、例えば、蒸着法、パターニング、イオン注入等を含む半導体製造プロセスによりトランジスタやフォトダイオード等の各素子を半導体基板に形成することにより得られ、又は、当該各素子が既に形成されたものを用意してもよい。
【0014】
その後、基板100の上に、構造102を形成する。構造102は、少なくとも絶縁層を含み、例えば絶縁層と配線層とが交互に設けられることによって形成される。構造102の領域R2の上には、電極103が形成される。電極103は、光電変換部101により得られた信号を読み出すための電極の他、当該信号の読み出しを行うための制御信号ないし電源を供給するための電極をも含む。さらにその後、電極103および構造102の上に、電極103および構造102を覆う保護膜104(絶縁性の第1膜)を形成する。
【0015】
図1の(B)の工程では、保護膜104のうちの、電極103と構造102との段差によって形成された凸部Pの外縁よりも内側の部分に、電極103の上面の一部(第1部分103P)が露出するように開口105を形成する。
【0016】
図1の(C)の工程では、領域R1において、光電変換部101のうち緑画素に対応するものの直上に、第1カラーフィルタ106(緑色のカラーフィルタ)を形成する。また、この工程では、カラーフィルタ106を形成すると共に、領域R2において、部分103Pを覆う保護膜107を開口105の中に形成する。
【0017】
具体的には、まず、図1の(B)の工程で得られた構造の上、即ち、保護膜104および部分103Pの上にカラーフィルタ材料の膜(第2膜)をスピンコート法によって形成し、その後、当該膜を露光処理および現像処理によりパターニングする。このようにしてカラーフィルタ材料の膜を加工することによって、カラーフィルタ106および保護膜107が共に形成される。
【0018】
保護膜107は、開口105の側面(保護膜104の開口105側の側面)と部分103Pとを覆うように形成され、その後に為される各処理から電極103(部分103P)を保護する。保護膜107は、保護膜104の上面には存在しない。図中において、開口105に保護膜107が形成された後の凸部を「凸部P」と示す。
【0019】
保護膜107は、保護膜104の側面および上面のうちの側面を覆って、凸部Pの上面が略平坦になるように開口105の中に形成されるとよい。これにより、その後のスピンコート法による成膜においてストリエーションが防止される。
【0020】
例えば、電極103の厚みを5000〜9000Å程度とし、保護膜104の膜厚を4000〜7000Å程度とする。そして、保護膜107の膜厚を、3000〜10000Å程度とする。この例では、保護膜104を5000Å、保護膜107を4500Åとしており、凸部Pの上面の高低差(保護膜104の上面と保護膜107の上面との段差)が500Å程度となる。よって、該上面は、スピンコート法による成膜時のストリエーションを防ぐのに十分に平坦であると言える。保護膜107は、保護膜104の膜厚の2倍以下の膜厚であることが望ましい。即ち、凸部Pの上面の高低差が保護膜104の膜厚よりも薄くなること、例えば1000〜3000Å程度となることが望ましい。ここで、開口105の中に形成される保護膜107の上面は、実際には、開口105のサイズ(開口幅)によって、傾斜(1000〜2000Å程度の緩やかな高低差)を有していてもよい。
【0021】
凸部Pの上面を略平坦にするため、例えば、保護膜107を構成するカラーフィルタ材料の膜と保護膜104との膜厚を互いに等しくしてもよい。また、カラーフィルタ106および保護膜107を形成するための露光処理および現像処理によるパターニングを行った後は、凸部Pの上面を略平坦にするため、所定の処理を行ってもよい。具体的には、例えば、パターニング後の保護膜107の形状を整えるため、例えば熱処理、レーザー照射、RIE、CMP処理等を行ってもよい。
【0022】
次に、図1の(D)の工程では、領域R1において、光電変換部101のうち青画素に対応するものの直上に、第2カラーフィルタ108(青色のカラーフィルタ)を形成する。同様にして、光電変換部101のうち赤画素に対応するものの直上に第3カラーフィルタ109(赤色のカラーフィルタ)を形成する。これらのカラーフィルタ108及び109は、上述のカラーフィルタ106と同様にして、スピンコート法によりカラーフィルタ材料の膜を形成した後に、当該膜を露光処理および現像処理によってパターニングすることによって形成される。
【0023】
なお、各色のカラーフィルタの形成順序は、上記態様に限られるものではない。
【0024】
図1の(E)の工程では、領域R1及びR2にわたって平坦化膜110を形成し、さらに、当該平坦化膜110の上に、各光電変換部101に対応するマイクロレンズ111を含む光学系を形成する。マイクロレンズ111は、マイクロレンズ材料を塗布した後に露光処理および現像処理を行って形成されてもよいし、パターニングおよびリフローによって形成されてもよい。
【0025】
本実施形態では、保護膜107はカラーフィルタ材料で構成されており、他の部材(第2の平坦化膜等)を用いていない。よって、光電変換部101‐マイクロレンズ111間の距離が小さくなり、固体撮像装置の光感度が向上する。
【0026】
最後に、図1の(F)の工程では、領域R2において、平坦化膜110および保護膜107をエッチングによって選択的に除去し、電極103の上面が露出するように開口112を形成する。このようにして固体撮像装置Iが得られ、その後、固体撮像装置Iを実装基板に実装すればよい。例えば、固体撮像装置Iの電極103と実装基板の電極とをワイヤーボンディングを用いて電気的に接続させることができる。
【0027】
以上の製造方法によると、図1の(C)の工程で示されるように、電極103を保護する保護膜107が、凸部Pの上面が略平坦になるように開口105の中に形成され、大きな段差が局所的に生じることを防ぐことができる。具体的には、保護膜107は、部分103Pと、保護膜104の側面および上面のうちの側面とを覆うように形成される。この方法によると、例えば、保護膜104の上面(凸部Pの上面)をも覆うように保護膜107を形成する場合に対して、上面の段差が小さくなる。このことは、その後のスピンコーティング時のストリエーションを防止する。そして、保護膜107は、露光処理および現像処理における現像液による電極103の腐食等、その後の各工程から電極103を保護する。よって、本実施形態によると、保護膜107がストリエーションの発生を防止しつつ電極103を保護し、高品質な固体撮像装置Iを製造するのに有利である。
【0028】
(第2実施形態)
図2を参照しながら第2実施形態を説明する。前述の第1実施形態では、第1カラーフィルタ106を形成する際に保護膜107を形成し、保護膜107によって第2カラーフィルタ108及び第3カラーフィルタ109の形成工程を含む各処理から電極103を保護する形態を例示した。しかしながら、本発明はこれに限られるものではない。例えば、第2カラーフィルタ108を形成する際に保護膜107を形成し、該保護膜107によって、第3カラーフィルタ109を形成するための各処理から電極103を保護してもよい。
【0029】
図2は、本実施形態にかかる固体撮像装置(「固体撮像装置I」とする)の製造方法を、第1実施形態(図1)と同様にして、工程ごとに模式的に示している。図2の(A)及び(B)の工程は、図1の(A)及び(B)の工程と同様である。
【0030】
図2の(C)の工程では、領域R1において、光電変換部101のうち緑画素に対応するものの直上に、第1カラーフィルタ106(緑色のカラーフィルタ)を形成する。カラーフィルタ106は、保護膜104および部分103Pの上にカラーフィルタ材料の膜をスピンコート法によって形成した後に、当該膜を露光処理および現像処理によりパターニングすることによって形成される。
【0031】
図2の(D)の工程では、領域R1において、光電変換部101のうち青画素に対応するものの直上に、第2カラーフィルタ108(青色のカラーフィルタ)を形成する。また、この工程では、カラーフィルタ108を形成すると共に、領域R2において、部分103Pを覆う保護膜207を開口105の中に形成する。カラーフィルタ108および保護膜207は共に、図2の(C)の工程で得られた構造の上にカラーフィルタ材料の膜をスピンコート法によって形成した後に、当該膜を露光処理および現像処理によりパターニングすることによって形成される。
【0032】
図中において、開口105に保護膜207が形成された後の凸部を「凸部P」と示す。前述の凸部P(第1実施形態)と同様にして、凸部Pの上面は略平坦であるとよく、該上面の高低差を5000Å以下に抑えることにより、その後のスピンコーティング時のストリエーションが防止される。
【0033】
図2の(E)の工程では、領域R1において、光電変換部101のうち赤画素に対応するものの直上に第3カラーフィルタ109(赤色のカラーフィルタ)を形成する。カラーフィルタ109は、上述のカラーフィルタ106と同様にして、スピンコート法によりカラーフィルタ材料の膜を形成した後に、当該膜を露光処理および現像処理によってパターニングすることによって形成される。
【0034】
図2の(F)の工程では、領域R1及びR2にわたって平坦化膜110を形成し、さらに、当該平坦化膜110の上に光学系(各光電変換部101に対応するマイクロレンズ111等)を形成する。
【0035】
図2の(G)の工程は、図1の(F)の工程と同様である。以上のようにして固体撮像装置Iが得られる。
【0036】
以上、上述の製造方法のように、保護膜207は、他のカラーフィルタ(ここでは、第2カラーフィルタ108)と共に形成されてもよい。本実施形態によっても、第1実施形態と同様の効果が得られ、即ち、その後のスピンコーティング時のストリエーションが防止され、高品質な固体撮像装置Iを製造するのに有利である。
【0037】
(第3実施形態)
図3を参照しながら第3実施形態を説明する。本実施形態は、主に、保護膜104とカラーフィルタ106との結合力を向上させるために所定の処理を行う点で、第1実施形態と異なる。例えば、カラーフィルタ106を形成する前に、保護膜104の上に結合力を有する有機材料の膜を形成してもよいし、その他、保護膜104の上面に対してHMDS(Hexamethyldisilazane)等による有機溶剤処理を行ってもよい。この方法によると、保護膜104とカラーフィルタ106との結合力が向上し、より高品質な固体撮像装置を製造することが可能である。
【0038】
図3は、本実施形態にかかる固体撮像装置(「固体撮像装置I」とする)の製造方法を、第1実施形態(図1)と同様にして、工程ごとに模式的に示している。図3の(A)及び(B)の工程は、図1の(A)及び(B)の工程と同様である。
【0039】
図3の(C)の工程では、図3の(B)の工程で得られた構造の上、即ち、保護膜104および部分103Pの上に、有機膜313(膜厚5〜100Å程度)を形成する。有機膜313は、例えばエポキシ樹脂等、接着力を有する材料で構成されればよい。
【0040】
その後の図3の(D)乃至(G)の工程は、図1の(C)乃至(F)の工程と同様である。以上のようにして固体撮像装置Iが得られる。
【0041】
本実施形態によると、第1実施形態と同様の効果が得られる他、保護膜104とカラーフィルタ106との結合力が向上し、より高品質な固体撮像装置Iを製造することができる。
【0042】
(第4実施形態)
図4を参照しながら第4実施形態を説明する。前述の第1〜第3実施形態では、絶縁層と配線層を含む構造102の上に電極103を形成し、その上に形成される保護膜104の上面が凸形状を形成する態様を例示した。しかしながら、本発明は、この態様に限られるものではない。
【0043】
図4は、本実施形態にかかる固体撮像装置(「固体撮像装置I」とする)の製造方法を工程ごとに模式的に示している。
【0044】
図4の(A)の工程では、基板100の上に、絶縁部材の中に電極403が埋設された構造402を形成する。構造402は、例えば絶縁層と配線層とが交互に設けられることによって形成され、電極403は、例えば、いくつかの配線層のうちの最上の層に配される。構造402の上面はCMP処理が為されてもよい。その後、該構造402の上に保護膜404(絶縁性の第1膜)を形成する。
【0045】
図4の(B)の工程では、保護膜404の一部と絶縁部材の一部とを除去し、電極403の外縁よりも内側に、電極403の上面の一部(「部分403P」と示す)が露出するように開口405を形成する。
【0046】
図4の(C)の工程では、領域R1において、光電変換部101のうち緑画素に対応するものの直上に、第1カラーフィルタ106(緑色のカラーフィルタ)を形成する。また、この工程では、カラーフィルタ106を形成すると共に、領域R2において、部分403Pを覆う保護膜407を開口405の中に形成する。
【0047】
カラーフィルタ106および保護膜407は、共に、保護膜404および部分403Pの上にカラーフィルタ材料の膜(第2膜)をスピンコート法によって形成した後に、当該膜を露光処理および現像処理によりパターニングすることによって形成される。保護膜407は、開口405の側面と部分403Pとを覆うように形成され、その後に為される各処理から電極403(部分403P)を保護する。
【0048】
図中において、開口405に保護膜407が形成された後の部分と、その周囲の部分とを「部分P」と示す。前述の凸部P(第1実施形態)と同様にして、部分Pの上面は略平坦であるとよく、該上面の高低差を5000Å以下に抑えることにより、その後のスピンコーティング時のストリエーションが防止される。
【0049】
その後の図4の(D)乃至(F)の工程は、図1の(D)乃至(F)の工程と同様である。以上のようにして固体撮像装置Iが得られる。
【0050】
上述の製造方法のように、電極403が構造402の内部に配され、保護膜404が平坦に形成された態様に本発明を適用することも可能であり、本実施形態によっても第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0051】
(第5実施形態)
図5を参照しながら第5実施形態を説明する。前述の第4の実施形態では、保護膜404の上面が平坦な場合の態様を例示した。本実施形態は、主に、保護膜404とカラーフィルタ106との結合力を向上させるために所定の処理を行う点で、第4実施形態と異なる。例えば、カラーフィルタ106を形成する前に、保護膜404の上に結合力を有する有機材料の膜を形成してもよいし、その他、保護膜404の上面に対してHMDS等による有機溶剤処理を行ってもよい。この方法によると、保護膜404とカラーフィルタ106との結合力が向上し、より高品質な固体撮像装置を製造することが可能である。
【0052】
図5は、本実施形態にかかる固体撮像装置(「固体撮像装置I」とする)の製造方法を、第4実施形態(図4)と同様にして、工程ごとに模式的に示している。図5の(A)及び(B)の工程は、図4の(A)及び(B)の工程と同様である。
【0053】
図5の(C)の工程では、図5の(B)の工程で得られた構造の上、即ち、保護膜404および部分403Pの上に、有機膜313(膜厚5〜100Å程度)を形成する。有機膜313は、例えばエポキシ樹脂等、接着力を有する材料で構成されればよい。
【0054】
その後の図5の(D)乃至(G)の工程は、図4の(C)乃至(F)の工程と同様である。以上のようにして固体撮像装置Iが得られる。
【0055】
本実施形態によると、第4実施形態と同様の効果が得られる他、保護膜404とカラーフィルタ106との結合力が向上し、より高品質な固体撮像装置Iを製造することができる。
【0056】
(第6実施形態)
図6を参照しながら第6実施形態を説明する。本実施形態は、主に、開口405に形成される保護膜が、保護膜405の開口405の側面からその周辺の保護膜405の上面の一部にわたって形成されるという点で、前述の第4実施形態と異なる。
【0057】
図6は、本実施形態にかかる固体撮像装置(「固体撮像装置I」とする)の製造方法を、第4実施形態(図4)と同様にして、工程ごとに模式的に示している。図6の(A)及び(B)の工程は、図4の(A)及び(B)の工程と同様である。
【0058】
図6の(C)の工程では、領域R1において、光電変換部101のうち緑画素に対応するものの直上に、第1カラーフィルタ106(緑色のカラーフィルタ)を形成する。また、この工程では、カラーフィルタ106を形成すると共に、領域R2において、部分403Pを覆う保護膜607を開口405の中に形成する。
【0059】
カラーフィルタ106および保護膜607は、共に、保護膜404および部分403Pの上にカラーフィルタ材料の膜をスピンコート法によって形成した後に、当該膜を露光処理および現像処理によりパターニングすることによって形成される。保護膜607は、保護膜405の開口405の側面と部分403Pとを覆いつつ、開口405の周辺の保護膜404の上面の一部をさらに覆うように形成されている。換言すると、形成された保護膜607は、保護膜404の上に乗り上げている。なお、該乗り上げている部分は、前述のストリエーションが十分に抑制される程度の厚さであればよい。
【0060】
図中において、開口405に保護膜607が形成された後の部分と、その周囲の部分とを「部分P」と示す。本実施形態の構造では、保護膜607の乗り上げによる段差は、領域R1においてカラーフィルタ106を形成する際に生じる段差に比べて十分に小さいため、前述のストリエーションは十分に防止される。そして、この構造によると、保護膜607は、保護膜405の開口405の側面からその周辺の保護膜405の上面の一部にわたって形成されるため、後に為される各処理から電極403(部分403P)を保護するのに更に有利である。
【0061】
ここで、図7を参照すると、領域R2において、保護膜607を形成するための露光パターン701は、保護膜404の開口部405の開口幅と一致するように設計される。保護膜607は、露光パターン701によってフォトリソグラフィ技術を用いて形成される。この工程において、例えば、該形成される保護膜607の寸法が開口部405の開口幅よりも大きくなるように露光エネルギーを調節(大きく)することにより、保護膜607が、保護膜404の上に乗り上げるように形成されうる。そのため、本実施形態によると、露光によって平面視での保護膜607の大きさを調節することができるため、例えば、位置ずれが生じたとしても電極403を保護するのに有利である。
【0062】
その後の図6の(D)乃至(F)の工程は、図4の(D)乃至(F)の工程と同様である。以上のようにして固体撮像装置Iが得られる。
【0063】
以上、本実施形態によると、ストリエーションを低減することができると共に、位置ずれが生じたとしても電極403を保護することができ、製造面において更に有利である。
【0064】
(第7実施形態)
図8を参照しながら第7実施形態を説明する。本実施形態では、主に、図8に例示されるように、開口部805の形状が、前述の第4実施形態の開口部405の形状と異なっている。本実施形態の製造方法は、前述の第4実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0065】
本実施形態では、第4実施形態の図4の(B)の工程に相当する工程で形成される開口部805が、図8に示すように断面視においてテーパー形状を有する。即ち、開口部805の側面は傾斜しており、平面視においては、開口805の上面802は開口805の底面801よりも面積が大きい。本実施形態では、このような形状の開口805に、保護膜807が形成される。
【0066】
保護膜807の上面は、開口805の上面802よりも面積が小さく且つ開口805の底面801よりも面積が大きい。図8に示されるように、任意の方向に沿った開口805の底面801の幅を幅W1とし、同方向に沿った開口805の上面802の幅を幅W2とし、同方向に沿った保護膜807の幅を幅W3とする。このとき、W2>W3>W1が成立する。或いは、W2>W3≧W1またはW2≧W3>W1が成立してもよい。
【0067】
本実施形態によっても、ストリエーションを低減することができると共に、位置ずれが生じたとしても電極403を保護することができ、製造面において更に有利である。
【0068】
(その他)
以上では、いくつかの好適な実施形態を例示したが、本発明はこれらに限られるものではなく、目的等に応じてその一部を変更してもよいし、各実施形態を組み合わせてもよい。例えば、上述の各実施形態では、保護膜107等がカラーフィルタ106等と共に形成される形態を例示したが、保護膜107等はカラーフィルタ106等以外の他の膜ないし部材と共に形成されてもよい。また、上述の各実施形態では、基板と電極との間に配線層が設けられた構成を例示したが、配線層と電極との間に基板が位置する構成であってもよい。また、上述の各実施形態では、マイクロレンズ111について、1つの光電変換部に対して1つのマイクロレンズ111が設けられる態様を述べたが、複数の光電変換部に対して1つのマイクロレンズ111が設けられてもよい。
【0069】
また、以上の実施形態では、半導体装置の製造方法の例として、カメラ等に代表される撮像システムに含まれる固体撮像装置の製造方法を示した。撮像システムの概念には、撮影を主目的とする装置のみならず、撮影機能を補助的に備える装置(例えば、パーソナルコンピュータ、携帯端末)も含まれる。撮像システムは、上記の実施形態として例示された本発明に係る固体撮像装置と、この固体撮像装置から出力される信号を処理する処理部とを含みうる。この処理部は、例えば、A/D変換器、および、このA/D変換器から出力されるデジタルデータを処理するプロセッサを含みうる。
【符号の説明】
【0070】
:固体撮像装置、100:基板、101:光電変換部、102:構造、103:電極、104:保護膜、105:開口、106:第1カラーフィルタ、107:保護膜、108:第2カラーフィルタ、109:第3カラーフィルタ、110:平坦化膜、111:マイクロレンズ、112:開口。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8