特許第6433237号(P6433237)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6433237撮像装置、その制御方法、および制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6433237
(24)【登録日】2018年11月16日
(45)【発行日】2018年12月5日
(54)【発明の名称】撮像装置、その制御方法、および制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/238 20060101AFI20181126BHJP
   H04N 5/225 20060101ALI20181126BHJP
   H04N 9/07 20060101ALI20181126BHJP
   G03B 11/00 20060101ALI20181126BHJP
   G03B 7/18 20060101ALI20181126BHJP
   G03B 7/091 20060101ALI20181126BHJP
   G03B 17/02 20060101ALI20181126BHJP
【FI】
   H04N5/238
   H04N5/225 400
   H04N9/07
   G03B11/00
   G03B7/18
   G03B7/091
   G03B17/02
【請求項の数】14
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-220205(P2014-220205)
(22)【出願日】2014年10月29日
(65)【公開番号】特開2016-86392(P2016-86392A)
(43)【公開日】2016年5月19日
【審査請求日】2017年10月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125254
【弁理士】
【氏名又は名称】別役 重尚
(72)【発明者】
【氏名】川崎 諒
【審査官】 大西 宏
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−311044(JP,A)
【文献】 特開2006−332831(JP,A)
【文献】 特開平11−239356(JP,A)
【文献】 特開2011−166523(JP,A)
【文献】 特開2010−093525(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0076927(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0122252(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/222− 5/257
H04N 9/04 − 9/11
G03B 7/00 − 7/30
G03B 11/00 −11/06
G03B 17/02
G03B 17/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影光学系を介して光学像が結像され、前記光学像に応じた画像信号を出力する撮像素子を有する撮像装置であって、
前記撮影光学系と前記撮像素子との間に挿入されて前記撮像素子に到達する前記光学像に含まれる赤外光の量を低減する赤外光低減手段と、
前記画像信号に応じて被写体の輝度を検出して第1の照度検出結果を得る第1の検出手段と、
前記撮像素子と異なる位置に配置され、前記被写体の輝度を検出して第2の照度検出結果を得る第2の検出手段と、
前記第1の照度検出結果が予め設定された第1の切り換え閾値未満であると、前記第1の照度検出結果、前記第2の照度検出結果、および前記第1の切り換え閾値に基づいて前記第1の検出手段の照度検出結果との比較に用いる第2の切り換え閾値および前記第2の検出手段の照度検出結果との比較に用いる第3の切り換え閾値を生成する処理手段と、
前記第1の検出手段の照度検出結果、前記第2の検出手段の照度検出結果、前記第2の切り換え閾値、および前記第3の切り換え閾値に基づいて前記赤外光低減手段を前記撮影光学系と前記撮像素子との間の光路に挿入する制御を行う制御手段と、を有し、
前記処理手段は、前記第1の照度検出結果と前記第2の照度検出結果とに基づいて、前記第2の切り換え閾値を前記第3の切り換え閾値以上とするか又は前記第3の切り換え閾値を前記第2の切り換え閾値以上とするかを変更することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記処理手段は、前記第1の照度検出結果と前記第2の照度検出結果との差分が予め設定された差分閾値未満であるか又は前記第1の照度検出結果が前記第2の照度検出結果よりも大きい第1の判定結果であると、前記第1の切り換え閾値に応じて前記第2の切り換え閾値を生成するとともに、前記第2の照度検出結果に応じて前記第3の切り換え閾値を生成して、前記第3の切り換え閾値を前記第2の切り換え閾値以上とする第1の処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記処理手段は、前記第1の照度検出結果と前記第2の照度検出結果との差分が予め設定された差分閾値以上であり、かつ前記第1の照度検出結果が前記第2の照度検出結果以下である第2の判定結果であると、前記第1の切り換え閾値に応じて前記第3の切り換え閾値を生成するとともに、前記第1の照度検出結果に応じて前記第2の切り換え閾値を生成して、前記第2の切り換え閾値を前記第3の切り換え閾値以上とする第2の処理を行うことを特徴とする請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記処理手段は、前記第1の照度検出結果と前記第2の照度検出結果との比率が予め設定された比率閾値未満であるか又は前記第1の照度検出結果が前記第2の照度検出結果よりも大きい第1の判定結果であると、前記第1の切り換え閾値に応じて前記第2の切り換え閾値を生成するとともに、前記第2の照度検出結果に応じて前記第3の切り換え閾値を生成して、前記第3の切り換え閾値を前記第2の切り換え閾値以上とする第1の処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記処理手段は、前記第1の照度検出結果と前記第2の照度検出結果との比率が予め設定された比率閾値以上であり、かつ前記第1の照度検出結果が前記第2の照度検出結果以下である第2の判定結果であると、前記第1の切り換え閾値に応じて前記第3の切り換え閾値を生成するとともに、前記第1の照度検出結果に応じて前記第2の切り換え閾値を生成して、前記第2の切り換え閾値を前記第3の切り換え閾値以上とする第2の処理を行うことを特徴とする請求項4に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記赤外光低減手段が前記光路に挿入されるのに合わせて撮影モードをカラー撮影モードに切り換え、前記赤外光低減手段が前記光路から抜去されるのに合わせて前記撮影モードをモノクロ撮影モードに切り換えるモード切り換え制御手段を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記モード切り換え制御手段は、前記第1の照度検出結果が前記第2の切り換え閾値を超え、かつ前記第2の照度検出結果が前記第3の切り換え閾値を超えると、前記撮影モードを前記モノクロ撮影モードから前記カラー撮影モードに切り換えることを特徴とする請求項6に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記撮影モードが前記カラー撮影モードである場合に、前記第1の照度検出結果が前記第1の切り換え閾値未満であると、前記モード切り換え制御手段は、前記撮影モードを前記モノクロ撮影モードに切り換えることを特徴とする請求項6又は7に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記被写体を赤外光で照明する照明手段を備え、
撮影モードが前記赤外光低減手段を前記光路から抜去させたモノクロ撮影モードの場合に、前記処理手段は、前記照明手段による照明が行われている場合に前記第1の判定結果又は前記第2の判定結果が得られると、前記第1の処理又は前記第2の処理を行うことを特徴とする請求項3又は5に記載の撮像装置。
【請求項10】
前記撮影モードが前記モノクロ撮影モードの場合に、前記処理手段は、前記照明手段による照明が行われていないと、前記第1の照度検出結果に応じて前記第2の切り換え閾値を生成する第3の処理を行うことを特徴とする請求項9に記載の撮像装置。
【請求項11】
前記撮影モードが前記モノクロ撮影モードの場合に、前記照明手段による照明が行われている際には、前記第1の照度検出結果が前記第2の切り換え閾値を超え、かつ前記第2の照度検出結果が前記第3の切り換え閾値を超えていると、前記撮影モードを前記モノクロ撮影モードから前記赤外光低減手段を前記光路に挿入させたカラー撮影モードに切り換えるモード切り換え制御手段を有することを特徴とする請求項9又は10に記載の撮像装置。
【請求項12】
前記撮影モードが前記モノクロ撮影モードの場合に、前記照明手段による照明が行われてない際には、前記第1の照度検出結果が前記第2の切り換え閾値を超えると、前記撮影モードを前記モノクロ撮影モードから前記赤外光低減手段を前記光路に挿入させたカラー撮影モードに切り換えるモード切り換え制御手段を有することを特徴とする請求項9又は10に記載の撮像装置。
【請求項13】
撮影光学系を介して光学像が結像され、前記光学像に応じた画像信号を出力する撮像素子と、前記撮影光学系と前記撮像素子との間に挿入されて前記撮像素子に到達する前記光学像に含まれる赤外光の量を低減する赤外光低減手段とを有する撮像装置の制御方法であって、
前記画像信号に応じて被写体の輝度を検出して第1の照度検出結果を得る第1の検出ステップと、
前記撮像素子と異なる位置に配置された照度センサによって前記被写体の輝度を検出して第2の照度検出結果を得る第2の検出ステップと、
前記第1の照度検出結果が予め設定された第1の切り換え閾値未満であると、前記第1の照度検出結果、前記第2の照度検出結果、および前記第1の切り換え閾値に基づいて前記画像信号に応じた照度検出結果との比較に用いる第2の切り換え閾値および前記照度センサによる照度検出結果との比較に用いる第3の切り換え閾値を生成する処理ステップと、
前記画像信号に応じた照度検出結果、前記照度センサによる照度検出結果、前記第2の切り換え閾値、および前記第3の切り換え閾値に基づいて前記赤外光低減手段を前記撮影光学系と前記撮像素子との間の光路に挿入する制御を行う制御ステップと、を有し、
前記処理ステップでは、前記第1の照度検出結果と前記第2の照度検出結果とに基づいて、前記第2の切り換え閾値を前記第3の切り換え閾値以上とするか又は前記第3の切り換え閾値を前記第2の切り換え閾値以上とするかを変更することを特徴とする制御方法。
【請求項14】
撮影光学系を介して光学像が結像され、前記光学像に応じた画像信号を出力する撮像素子と、前記撮影光学系と前記撮像素子との間に挿入されて前記撮像素子に到達する前記光学像に含まれる赤外光の量を低減する赤外光低減手段とを有する撮像装置で用いられる制御プログラムであって、
前記撮像装置が備えるコンピュータに、
前記画像信号に応じて被写体の輝度を検出して第1の照度検出結果を得る第1の検出ステップと、
前記撮像素子と異なる位置に配置された照度センサによって前記被写体の輝度を検出して第2の照度検出結果を得る第2の検出ステップと、
前記第1の照度検出結果が予め設定された第1の切り換え閾値未満であると、前記第1の照度検出結果、前記第2の照度検出結果、および前記第1の切り換え閾値に基づいて前記画像信号に応じた照度検出結果との比較に用いる第2の切り換え閾値および前記照度センサによる照度検出結果との比較に用いる第3の切り換え閾値を生成する処理ステップと、
前記画像信号に応じた照度検出結果、前記照度センサによる照度検出結果、前記第2の切り換え閾値、および前記第3の切り換え閾値に基づいて前記赤外光低減手段を前記撮影光学系と前記撮像素子との間の光路に挿入する制御を行う制御ステップと、を有し、
前記処理ステップでは、前記第1の照度検出結果と前記第2の照度検出結果とに基づいて、前記第2の切り換え閾値を前記第3の切り換え閾値以上とするか又は前記第3の切り換え閾値を前記第2の切り換え閾値以上とするかを変更することを特徴とする制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮影光学系の光路に挿抜可能な赤外光低減部を備える撮像装置、その制御方法、および制御プログラムに関し、特に、赤外光低減部を被写体の照度に応じて挿抜する撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、デジタルカメラなどの撮像装置において、赤外光低減部である赤外カットフィルタを被写体の照度に応じて撮影光学系の光路から選択的に挿抜するとともに撮影モードを切り換える手法(以下オートデイナイトという)が用いられている。
【0003】
オートデイナイトにおいては、被写体の照度が所定の照度よりも高いと、光路に赤外カットフィルタを挿入した近赤外光(波長=約700nm以上)をカットするカラー撮影モードとなる。一方、被写体の照度が所定の照度以下となると、光路から赤外カットフィルタを抜去したモノクロ撮影モードとなる。
【0004】
そして、被写体の照度を検出する際には、例えば、CMOSイメージセンサなどの撮像素子の出力である画像信号によって被写体の照度(つまり、輝度)を検出するか又は撮影光学系とは別に設けられた照度センサを用いて被写体の照度を検出する。照度センサを用いて被写体の照度を検出する場合、撮影光学系による撮影範囲と照度センサによる照度検出範囲とが異なると、被写体の照度が精度よく検出されず、撮影モードの切り替えを適切に行うことができなくなってしまう。
【0005】
このような問題に対処するため、例えば、撮影光学系に備えられたズームレンズの画角変化に応じて照度検出範囲を修正して、被写体の照度を精度よく検出し撮影モードの切り替えを安定させる手法がある(特許文献1又は2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−279061号公報
【特許文献2】特開2007−49442号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、上述の特許文献1および2に記載の手法では、撮影光学系による撮影範囲において赤外光反射率が一律でないと、照度検出範囲の修正に誤差が生じてしまう。このため、例えば、赤外照明によって被写体が照明されている撮影環境においては、被写体距離などの影響に起因して撮影光学系による撮影範囲において赤外光反射率が異なる結果、撮影モードの切り替えを安定して行うことができなくなってしまう。
【0008】
そこで、本発明の目的は、精度よく赤外光低減部の挿抜を行うことのできる撮像装置、その制御方法、および制御プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するため、本発明による撮像装置は、撮影光学系を介して光学像が結像され、前記光学像に応じた画像信号を出力する撮像素子を有する撮像装置であって、前記撮影光学系と前記撮像素子との間に挿入されて前記撮像素子に到達する前記光学像に含まれる赤外光の量を低減する赤外光低減手段と、前記画像信号に応じて被写体の輝度を検出して第1の照度検出結果を得る第1の検出手段と、前記撮像素子と異なる位置に配置され、前記被写体の輝度を検出して第2の照度検出結果を得る第2の検出手段と、前記第1の照度検出結果が予め設定された第1の切り換え閾値未満であると、前記第1の照度検出結果、前記第2の照度検出結果、および前記第1の切り換え閾値に基づいて前記第1の検出手段の照度検出結果との比較に用いる第2の切り換え閾値および前記第2の検出手段の照度検出結果との比較に用いる第3の切り換え閾値を生成する処理手段と、前記第1の検出手段の照度検出結果、前記第2の検出手段の照度検出結果、前記第2の切り換え閾値、および前記第3の切り換え閾値に基づいて前記赤外光低減手段を前記撮影光学系と前記撮像素子との間の光路に挿入する制御を行う制御手段と、を有し、前記処理手段は、前記第1の照度検出結果と前記第2の照度検出結果とに基づいて、前記第2の切り換え閾値を前記第3の切り換え閾値以上とするか又は前記第3の切り換え閾値を前記第2の切り換え閾値以上とするかを変更することを特徴とする。
【0010】
本発明による制御方法は、撮影光学系を介して光学像が結像され、前記光学像に応じた画像信号を出力する撮像素子と、前記撮影光学系と前記撮像素子との間に挿入されて前記撮像素子に到達する前記光学像に含まれる赤外光の量を低減する赤外光低減手段とを有する撮像装置の制御方法であって、前記画像信号に応じて被写体の輝度を検出して第1の照度検出結果を得る第1の検出ステップと、前記撮像素子と異なる位置に配置された照度センサによって前記被写体の輝度を検出して第2の照度検出結果を得る第2の検出ステップと、前記第1の照度検出結果が予め設定された第1の切り換え閾値未満であると、前記第1の照度検出結果、前記第2の照度検出結果、および前記第1の切り換え閾値に基づいて前記画像信号に応じた照度検出結果との比較に用いる第2の切り換え閾値および前記照度センサによる照度検出結果との比較に用いる第3の切り換え閾値を生成する処理ステップと、前記画像信号に応じた照度検出結果、前記照度センサによる照度検出結果、前記第2の切り換え閾値、および前記第3の切り換え閾値に基づいて前記赤外光低減手段を前記撮影光学系と前記撮像素子との間の光路に挿入する制御を行う制御ステップと、を有し、前記処理ステップでは、前記第1の照度検出結果と前記第2の照度検出結果とに基づいて、前記第2の切り換え閾値を前記第3の切り換え閾値以上とするか又は前記第3の切り換え閾値を前記第2の切り換え閾値以上とするかを変更することを特徴とする。
【0011】
本発明による制御プログラムは、撮影光学系を介して光学像が結像され、前記光学像に応じた画像信号を出力する撮像素子と、前記撮影光学系と前記撮像素子との間に挿入されて前記撮像素子に到達する前記光学像に含まれる赤外光の量を低減する赤外光低減手段とを有する撮像装置で用いられる制御プログラムであって、前記撮像装置が備えるコンピュータに、前記画像信号に応じて被写体の輝度を検出して第1の照度検出結果を得る第1の検出ステップと、前記撮像素子と異なる位置に配置された照度センサによって前記被写体の輝度を検出して第2の照度検出結果を得る第2の検出ステップと、前記第1の照度検出結果が予め設定された第1の切り換え閾値未満であると、前記第1の照度検出結果、前記第2の照度検出結果、および前記第1の切り換え閾値に基づいて前記画像信号に応じた照度検出結果との比較に用いる第2の切り換え閾値および前記照度センサによる照度検出結果との比較に用いる第3の切り換え閾値を生成する処理ステップと、前記画像信号に応じた照度検出結果、前記照度センサによる照度検出結果、前記第2の切り換え閾値、および前記第3の切り換え閾値に基づいて前記赤外光低減手段を前記撮影光学系と前記撮像素子との間の光路に挿入する制御を行う制御ステップと、を有し、前記処理ステップでは、前記第1の照度検出結果と前記第2の照度検出結果とに基づいて、前記第2の切り換え閾値を前記第3の切り換え閾値以上とするか又は前記第3の切り換え閾値を前記第2の切り換え閾値以上とするかを変更することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、精度よくしかも安定して赤外光低減部の挿抜を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1の実施形態による撮像装置の一例についてその構成を示す図である。
図2図1に示す制御回路の構成についてその一例を示すブロック図である。
図3図1に示すカメラにおける撮影範囲と照度センサの照度検出範囲との関係についてその一例を示す図である。
図4図1に示すカメラにおける撮影範囲と照度センサの照度検出範囲との関係について他の例を示す図である。
図5図1に示すカメラにおいて行われるモード切り換え動作のためのモード判定処理を説明するためのフローチャートである。
図6】本発明の第2の実施形態によるカメラの一例についてその構成を示す図である。
図7図6に示す制御回路の構成についてその一例を示すブロック図である。
図8図6に示すカメラにおいて行われるモード切り換え動作のためのモード判定処理を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明の実施の形態による撮像装置の一例について、図面を参照して説明する。
【0015】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態による撮像装置の一例についてその構成を示す図である。
【0016】
図示の撮像装置は、例えば、デジタルカメラ(以下単にカメラと呼ぶ)であり、撮影光学系である複数の撮像レンズ1を有している。撮影光学系の後段にはフィルタ切り換え機構3が配置されており、このフィルタ切り換え機構3には赤外カットフィルタ4(赤外光低減手段)および透明基板5を有するフィルタ部が備えられている。赤外カットフィルタ4は、撮像素子7に到達する赤外光の量を低減するものであれば、赤外光を完全に遮断するものでもよいし、赤外光を完全には遮断しないが遮光率が所定値以上(例えば、90%以上)で十分な低減効果が得られるものでもよい。
【0017】
フィルタ部は、撮影光学系の光軸(つまり、光路)2に直交(交差)する方向に移動可能であって、フィルタ部の移動に応じて選択的に赤外カットフィルタ4又は透明基板5が光軸2上に位置づけられる。つまり、制御回路10の制御下で赤外カットフィルタ挿抜用モータ6を駆動して赤外カットフィルタ4又は透明基板5を選択的に光軸2上に挿入又は抜去することができる(言い換えると、赤外カットフィルタ4を光路に対して挿抜することができる)。
【0018】
フィルタ切り換え機構3の後段には、CMOSイメージセンサなどの撮像素子7が配置されており、撮像素子7には撮影光学系を介して光学像(被写体像)が結像する。そして、撮像素子7は光学像に応じた画像信号を制御回路10に出力する。
【0019】
制御回路10には照度センサ8が接続されており、照度センサ8はその光軸9の方向から光を受けて撮像光学系による撮影範囲においてその照度を検出する。照度センサ8の分光感度特性は、赤外カットフィルタ4が光軸2上に位置したときの撮像素子7および赤外(IR)カットフィルタ4の分光感度特性と略同等である。
【0020】
制御回路10はカメラ全体の制御を司り、制御回路10は電源の入力を制御するとともに、画像信号に応じた映像信号を出力する。
【0021】
撮像レンズ1の少なくとも1つはズームレンズであり、制御回路10はズーム用モータ12を駆動制御して、撮像レンズ1を光軸2に沿って移動させ、撮像レンズ1の焦点距離を広角から望遠まで変化させる。
【0022】
図2は、図1に示す制御回路10の構成についてその一例を示すブロック図である。なお、図2においては、図1に示すフィルタ切り換え機構3が省略され、1つの撮像レンズ1のみが示されている。
【0023】
制御回路10は、カメラ制御回路21、撮像素子制御回路22、照度センサ制御回路23、映像信号処理回路24、赤外カットフィルタ制御回路25、測光回路26、映像信号出力回路27、およびズームモータ制御回路29を有している。
【0024】
撮影の際には、撮像レンズ1から入射した光学像はIRカットフィルタ4又は透明基板5を透過して撮像素子7に結像する。撮像素子制御回路22は撮像素子7の読み出し制御を行って撮像素子7から光学像に応じた画像信号を出力させる。そして、撮像素子制御回路22は画像信号を測光回路26および映像信号処理回路24に送る。
【0025】
映像信号処理回路24は画像信号に対して所定の信号処理を行ってカラー又は白黒の映像信号を生成する。そして、この映像信号は映像信号出力回路27よって外部に出力される。
【0026】
測光回路26は画像信号に応じて被写体の照度(つまり、輝度)を測光して、第1の照度検出結果をカメラ制御回路21に送る。照度センサ8は照度センサ制御回路23によって制御され、照度センサ制御回路23は照度センサ8で得られた照度検結果を第2の照度検結果としてカメラ制御回路21に送る。
【0027】
カメラ制御回路21は第1および第2の照度検出結果に応じてIRカットフィルタ制御回路25および赤外照明制御回路28を制御する。これによって、IRカットフィルタ制御回路25および赤外照明制御回路28はそれぞれ赤外カットフィルタ挿抜用モータ6および赤外照明部11を駆動制御する。
【0028】
なお、カメラ制御回路21はズームモータ制御回路29によってズーム用モータ12を駆動制御して、撮像レンズ1を光軸2に沿って移動させ、撮像レンズ1の焦点距離を広角から望遠まで変化させる。
【0029】
図3は、図1に示すカメラにおける撮影範囲と照度センサ8の照度検出範囲との関係についてその一例を示す図である。
【0030】
図3においては、撮像レンズ1の焦点距離が広角とされた場合の例が示されており、この場合には、撮影範囲31は照度検出範囲32よりも大きくなる。
【0031】
図4は、図1に示すカメラにおける撮影範囲と照度センサ8の照度検出範囲との関係について他の例を示す図である。
【0032】
図4においては、撮像レンズ1の焦点距離が望遠とされた場合の例が示されており、この場合には、撮影範囲41は照度検出範囲42よりも小さくなる。
【0033】
ここで、図1に示すカメラにおいて行われるデイモード(カラー撮影モード)とナイトモード(モノクロ撮影モード)のモード切り換え動作について説明する。
【0034】
図5は、図1に示すカメラにおいて行われるモード切り換え動作のためのモード判定処理を説明するためのフローチャートである。なお、図示のフローチャートに係る処理はカメラ制御回路21の制御下で行われ、例えば、カメラの電源がオン状態のときに自動的に繰り返し実行される。
【0035】
モード判定処理を開始すると、カメラ制御回路21は測光回路26から第1の照度検出結果(被写体照度Y1)を得る(ステップS501)。続いて、カメラ制御回路21は照度センサ制御回路23から第2の照度検出結果(被写体照度Y2)を得る(ステップS502)。
【0036】
次に、カメラ制御回路21は現在の撮影モードがデイモードであるか否かを判定する(ステップS503)。撮影モードがデイモードであると(ステップS503において、YES)、カメラ制御回路21は被写体照度Y1と予め設定された第1の切り換え閾値Yth1とを比較して、被写体照度Y1<第1の切り換え閾値Yth1であるか否かを判定する(ステップS504)。
【0037】
なお、第1の切り換え閾値Yth1は撮影モードをデイモードからナイトモードに切り換えるための閾値である。
【0038】
被写体照度Y1<第1の切り換え閾値Yth1(被写体照度Y1が第1の切り換え閾値未満)であると(ステップS504において、YES)、カメラ制御回路21は被写体照度Y1およびY2の差分Ydiffを求める(ステップS505)。そして、カメラ制御回路21は撮影モードをデイモードからナイトモードに切り換える(ステップS506)。このとき、デイモードからナイトモードへの切り換えに合わせて、カメラ制御回路21は、IRカットフィルタ制御回路25を制御して、赤外カットフィルタ4を光軸2上から抜去する。
【0039】
続いて、カメラ制御回路21は差分Ydiffと予め設定された差分閾値Yth4とを比較するとともに、被写体照度Y1と被写体照度Y2とを比較して、これら比較結果によって差分Ydiff<差分閾値Yth4であるか又は被写体照度Y1>被写体照度Y2であるか否かを判定する(ステップS507)。
【0040】
差分Ydiff<差分閾値Yth4であるか又は被写体照度Y1>被写体照度Y2であると(ステップS507において、YES)、カメラ制御回路21は、第1の切り換え閾値Yth1に基づいて、第2の切り換え閾値Yth2を求める(ステップS508)。
【0041】
この第2の切り換え閾値Yth2は撮影モードをナイトモードからデイモードに切り換えるための閾値であり、第2の切り換え閾値Yth2は、例えば、Yth2=Yth1+αとして算出される。
【0042】
上記の変数αは撮影モード切り換えの際のハンチングを防止するためのヒステリシスを示し、変数αを大きく設定すれば、ハンチングをよりよく防止することができる。一方、変数αを小さく設定すれば、ナイトモードからデイモードへの切り換えをより迅速に行うことができる。
【0043】
次に、カメラ制御回路21は照度センサ制御回路23から改めて照度センサ11で検出された被写体照度Y2を得る(ステップS509)。ステップS509の処理は、赤外光による照度センサ11の出力に対する影響によってステップS502の処理で得た被写体照度Y2が変化することがあるため行われる。
【0044】
続いて、カメラ制御回路21は、ステップS509の処理で得た被写体照度Y2に基づいてナイトモードからデイモードに切り換える際に用いられる第3の切り換え閾値Yth3を算出する(ステップS510)。ここでは、カメラ制御回路21は、例えば、第3の切り換え閾値Yth3を、Yth3=Y2+αによって算出する。
【0045】
続いて、カメラ制御回路21は第2の切り換え閾値Yth2と第3の切り換え閾値Yth3とを比較して、第3の切り換え閾値Yth3<第2の切り換え閾値Yth2であると否かを判定する(ステップS511)。
【0046】
第3の切り換え閾値Yth3<第2の切り換え閾値Yth2であると(ステップS511において、YES)、カメラ制御回路21は第3の切り換え閾値Yth3を第2の切り換え閾値Yth2と等しくする(ステップS512)。その後、カメラ制御回路21はモード判定処理を終了する。
【0047】
一方、第3の切り換え閾値Yth3≧第2の切り換え閾値Yth2であると(ステップS511において、NO)、カメラ制御回路21はモード判定処理を終了する。これらの処理によって、第3の切り換え閾値Yth3は常に第2の切り換え閾値Yth2以上となる。
【0048】
差分Ydiff≧差分閾値Ythであり、かつ被写体照度Y1≦被写体照度Y2(第1の照度検出結果が第2の照度検出結果以下)であると(ステップS507において、NO)、カメラ制御回路21は、第1の切り換え閾値Yth1に基づいて、第3の切り換え閾値Yth3を求める(ステップS513)。
【0049】
この第3の切り換え閾値Yth3は、前述のように撮影モードをナイトモードからデイモードに切り換えるための閾値であり、第3の切り換え閾値Yth3は、例えば、Yth3=Yth1+αとして算出される。
【0050】
次に、カメラ制御回路21は測光回路26から改めて画像信号に応じて検出された被写体照度Y1を得る(ステップS514)。ステップS514の処理は、近赤外光を含む光を受光するナイトモードに切り換えることによって、ステップS501の処理で得た被写体照度Y1が変化するために行われる処理である。
【0051】
続いて、カメラ制御回路21は、ステップS514の処理で得た被写体照度Y1に基づいて第2の切り換え閾値Yth2を算出する(ステップS515)。ここでは、カメラ制御回路21は、例えば、第2の切り換え閾値Yth2を、Yth2=Y1+αによって算出する。
【0052】
続いて、カメラ制御回路21は第2の切り換え閾値Yth2と第3の切り換え閾値Yth3とを比較して、第2の切り換え閾値Yth2<第3の切り換え閾値Yth3であると否かを判定する(ステップS516)。
【0053】
第2の切り換え閾値Yth2<第3の切り換え閾値Yth3であると(ステップS516において、YES)、カメラ制御回路21は第2の切り換え閾値Yth2を第3の切り換え閾値Yth3と等しくする(ステップS517)。その後、カメラ制御回路21はモード判定処理を終了する。
【0054】
一方、第2の切り換え閾値Yth2≧第3の切り換え閾値Yth3であると(ステップS516において、NO)、カメラ制御回路21はモード判定処理を終了する。これらの処理によって、第2の切り換え閾値Yth2は常に第3の切り換え閾値Yth3以上となる。
【0055】
このようにして、ステップS508〜S517の処理では、第2の切り換え閾値および第3の切り換え閾値の一方を第2の切り換え閾値および第3の切り換え閾値の他方以上とする処理が行われ、第1の照度検出結果と第2の照度検出結果とに基づいて、第2の切り換え閾値を第3の切り換え閾値以上とするか又は第3の切り換え閾値を第2の切り換え閾値以上とするかを変更することになる。
【0056】
なお、被写体照度Y1≧第1の切り換え閾値Yth1であると(ステップS504において、NO)、カメラ制御回路21はモード判定処理を終了する。
【0057】
撮影モードがデイモードでないと(ステップS503において、NO)、つまり、撮影モードがナイトモードであると、カメラ制御回路21は、被写体照度Y1と第2の切り換え閾値Yth2とを比較するとともに、被写体照度Y2と第3の切り換え閾値Yth3とを比較する。そして、カメラ制御回路21は、これら比較結果によって被写体照度Y1>第2の切り換え閾値Yth2であり、かつ被写体照度Y2>第3の切り換え閾値Yth3であるか否かを判定する(ステップS518)。
【0058】
被写体照度Y1>第2の切り換え閾値Yth2で、かつ被写体照度Y2>第3の切り換え閾値Yth3であると(ステップS518においてYES)、カメラ制御回路21は、撮影モードをナイトモードからデイモードに切り換える(ステップS519)。このとき、ナイトモードからデイモードへの切り換えに合わせて、カメラ制御回路21は、IRカットフィルタ制御回路25を制御して、赤外カットフィルタ4を光軸2上へ挿入する。そして、カメラ制御回路21は、モード判定処理を終了する。
【0059】
一方、被写体照度Y1≦第2の切り換え閾値Yth2であるか又は被写体照度Y2≦第3の切り換え閾値Yth3であると(ステップS518においてNO)、カメラ制御回路21はモード判定処理を終了する。
【0060】
このように、本発明の第1の実施形態では、被写体照度Y1と被写体照度Y2との差分Ydiffに基づいて、第2の切り換え閾値Yth2および第3の切り換え閾値Yth3を調整する。
【0061】
ここでは、差分Ydiffが所定の差分閾値Yth4未満(差分閾値未満)であると、被写体照度Y2の信用性は高いとして、カメラ制御回路21は第3の切り換え閾値Yth3を第2の切り換え閾値Yth2以上とし、被写体照度Y2に重点をおいてナイトモードからデイモードへの切り換えを行う。即ち、カメラ制御回路21は被写体照度Y2に重点をおいて赤外カットフィルタ4を光軸2上へ挿入する。
【0062】
一方、差分Ydiffが所定の差分閾値Yth4以上(差分閾値以上)であると、被写体照度Y2の信用性は低いとして、カメラ制御回路21は第2の切り換え閾値Yth2を第3の切り換え閾値Yth3以上とし、被写体照度Y1に重点をおいてナイトモードからデイモードへの切り換えを行う。即ち、カメラ制御回路21は被写体照度Y1に重点をおいて赤外カットフィルタ4を光軸2上へ挿入する。
【0063】
この結果、第1の実施形態においては、撮影光学系における撮影範囲と照度センサにおける照度検出範囲が異なって、撮影範囲における赤外光反射率が一律でない場合においても、撮影モードの切り換えを安定させることができる。また、精度よくしかも安定して赤外カットフィルタ4の挿抜を行うことができる。
【0064】
なお、上述の第1の実施形態においては、被写体照度Y1と被写体照度Y2とを比較する際に差分を求めるようにしたが、差分の代わりに、例えば、被写体照度Y1と被写体照度Y2との比率を用いるようにしてもよい。
【0065】
つまり、被写体照度Y1と被写体照度Y2との比率が予め設定された比率閾値未満であるか又は被写体照度Y1が被写体照度Y2よりも大きい第1の判定結果であると、第1の切り換え閾値に応じて第2の切り換え閾値を生成するとともに、被写体照度Y2に応じて第3の切り換え閾値を生成する。そして、第3の切り換え閾値を第2の切り換え閾値以上とする第1の処理が行われる。
【0066】
また、被写体照度Y1と被写体照度Y2との比率が比率閾値以上であり、かつ被写体照度Y1が被写体照度Y2以下である第1の判定結果であると、第1の切り換え閾値に応じて第3の切り換え閾値を生成するとともに、被写体照度Y1に応じて第2の切り換え閾値を生成する。そして、第2の切り換え閾値を第3の切り換え閾値以上とする第2の処理が行われる。
【0067】
[第2の実施形態]
続いて、本発明の第2の実施形態によるカメラの一例について説明する。なお、第2の実施形態によるカメラにおいても撮影範囲と照度検出範囲との関係は図3および図4に示す関係にあるものとする。
【0068】
図6は、本発明の第2の実施形態によるカメラの一例についてその構成を示す図である。なお、図6において、図1に示すカメラと同一の構成要素については同一の参照番号を付して説明を省略する。
【0069】
制御回路10には照度センサ8に加えて赤外照明部11が接続されており、赤外照明部11はLEDなどを光源にして、制御回路10の制御下で被写体に対して赤外光による照明を行う。
【0070】
図7は、図6に示す制御回路10の構成についてその一例を示すブロック図である。なお、図7においては、図2に示す構成要素と同一の構成要素について同一の参照番号を付して説明を省略する。
【0071】
制御回路10は、図2で説明した構成要素に加えて、赤外照明制御回路28を有している。カメラ制御回路21は第1および第2の照度検出結果に応じて赤外照明制御回路28を制御する。これによって、赤外照明制御回路28は赤外照明部11を駆動制御する。
【0072】
図8は、図6に示すカメラにおいて行われるモード切り換え動作のためのモード判定処理を説明するためのフローチャートである。なお、図8に示すフローチャートにおいて、図5に示すフローチャートのステップと同一のステップについては同一の参照番号を付して説明を省略する。
【0073】
ステップS506において、撮影モードをデイモードからナイトモードに切り換えた後、カメラ制御回路21は赤外照明部11による照明が行われているか否かを判定する(ステップS801)。赤外照明部11による照明が行われていると(ステップS801において、YES)、カメラ制御回路21は前述のステップS507の処理に進む。
【0074】
赤外照明部11による照明が行われていないと(ステップS801において、NO)、カメラ制御回路21は測光回路26から改めて画像信号に応じて検出された被写体照度Y1を得る(ステップS802)。ステップS802の処理は、近赤外光を含む光を受光するナイトモードに切り換えることによって、ステップS501の処理で得た被写体照度Y1が変化するために行われる処理である。
【0075】
続いて、カメラ制御回路21はステップS802の処理で得た被写体照度Y1に基づいて第2の切り換え閾値Yth2を算出する(ステップS803)。ここでは、カメラ制御回路21は、例えば、第2の切り換え閾値Yth2を、Yth2=Y1+αによって算出する。そして、カメラ制御回路21はモード判定処理を終了する。
【0076】
撮影モードがデイモードでないと(ステップS503において、NO)、つまり、撮影モードがナイトモードであると、カメラ制御回路21は赤外照明部11による照明が行われているか否かを判定する(ステップS804)。赤外照明部11による照明が行われていると(ステップS804において、YES)、カメラ制御回路21は前述のステップS518の処理に進む。
【0077】
一方、赤外照明部11による照明が行われていないと(ステップS804において、NO)、カメラ制御回路21は、被写体照度Y1>第2の切り換え閾値Yth2であるか否かを判定する(ステップS805)。被写体照度Y1>第2の切り換え閾値Yth2であると(ステップS805において、YES)、カメラ制御回路21はステップS519の処理に進む。
【0078】
被写体照度Y1≦第2の切り換え閾値Yth2であると(ステップS805において、NO)、カメラ制御回路21はモード判定処理を終了する。
【0079】
このように、本発明の第2の実施形態では、赤外照明を行っていない場合には、被写体照度Y1における誤差は少ないとして被写体照度Y1および第2の切り換え閾値Yth2に基づいてナイトモードからデイモードへの切り換え制御を行う。即ち、カメラ制御回路21は被写体照度Y1および第2の切り換え閾値Yth2に基づいて赤外カットフィルタ4を光軸2上へ挿入する。
【0080】
これによって、赤外照明を行っていない場合には、撮影光学系における撮影範囲と照度センサにおける照度検出範囲との差異に拘わらず、撮影モードの切り換えを安定して行うことができる。また、精度よくしかも安定して赤外カットフィルタ4の挿抜を行うことができる。
【0081】
なお、上述の第2の実施形態においても、被写体照度Y1と被写体照度Y2とを比較する際に差分を求めるようにしたが、第1の実施形態と同様にして、差分の代わりに、例えば、被写体照度Y1と被写体照度Y2との比率を用いて撮影モードの切り換えを行うようにしてもよい。
【0082】
上述の説明から明らかなように、図1および図2に示す例では、測光回路26が第1の検出手段として機能し、照度センサ8および照度センサ制御回路23が第2の検出手段として機能する。
【0083】
また、カメラ制御回路21が処理手段およびモード切り換え制御手段として機能し、カメラ制御回路21および赤外カットフィルタ挿抜用モータ6が挿抜制御手段として機能する。
【0084】
以上、本発明について実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、これらの実施の形態に限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。
【0085】
例えば、上記の実施の形態の機能を制御方法として、この制御方法を撮像装置に実行させるようにすればよい。また、上述の実施の形態の機能を有するプログラムを制御プログラムとして、当該制御プログラムを撮像装置が備えるコンピュータに実行させるようにしてもよい。なお、制御プログラムは、例えば、コンピュータに読み取り可能な記録媒体に記録される。
【0086】
[その他の実施形態]
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【符号の説明】
【0087】
1 撮像レンズ
3 フィルタ切り換え機構
4 赤外カットフィルタ
5 透明基板
6 赤外カットフィルタ挿抜用モータ
7 撮像素子
8 照度センサ
10 制御回路
11 赤外照明部
12 ズーム用モータ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8