特許第6433241号(P6433241)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ キヤノン株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6433241-画像形成装置および画像形成方法 図000002
  • 特許6433241-画像形成装置および画像形成方法 図000003
  • 特許6433241-画像形成装置および画像形成方法 図000004
  • 特許6433241-画像形成装置および画像形成方法 図000005
  • 特許6433241-画像形成装置および画像形成方法 図000006
  • 特許6433241-画像形成装置および画像形成方法 図000007
  • 特許6433241-画像形成装置および画像形成方法 図000008
  • 特許6433241-画像形成装置および画像形成方法 図000009
  • 特許6433241-画像形成装置および画像形成方法 図000010
  • 特許6433241-画像形成装置および画像形成方法 図000011
  • 特許6433241-画像形成装置および画像形成方法 図000012
  • 特許6433241-画像形成装置および画像形成方法 図000013
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6433241
(24)【登録日】2018年11月16日
(45)【発行日】2018年12月5日
(54)【発明の名称】画像形成装置および画像形成方法
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/00 20060101AFI20181126BHJP
【FI】
   G03G15/00 303
【請求項の数】18
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-222649(P2014-222649)
(22)【出願日】2014年10月31日
(65)【公開番号】特開2016-90702(P2016-90702A)
(43)【公開日】2016年5月23日
【審査請求日】2017年10月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平野 安彦
【審査官】 岡▲崎▼ 輝雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−272153(JP,A)
【文献】 特開平11−032214(JP,A)
【文献】 米国特許第05128698(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データにおいて、所定濃度以上の画素が副走査方向に連続した領域と副走査方向下流側において隣接する余白部の副走査方向の画素数を取得する取得手段と、
前記取得手段によって取得された余白部の画素数に基づき、前記連続した領域副走査方向下流側におけるトナーの過付着を防ぐための補正を行う補正手段とを有し、
前記補正手段は、前記取得手段によって取得された余白部の画素数が第1の画素数の場合には、前記取得手段によって取得された余白部の画素数が前記第1の画素数よりも大きい第2の画素数の場合よりも、前記連続した領域副走査方向下流側におけるトナーの過付着を防ぐための補正の度合いが小さくなるようにして補正することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記余白部は、所定濃度以下の領域であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記余白部は、前記連続した領域と、前記連続した領域の副走査方向下流側に前記所定濃度以上の画素が副走査方向に連続する領域との間の領域であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
感光体ドラム上の潜像部の回転方向の後端において生じるトナーの過付着を補正する画像形成装置であって、
前記補正を行なう対象の領域の副走査方向の規定ライン数を示す情報を取得する取得手段と、
潜像が形成される領域である第1のベタ部と、該第1のベタ部の副走査方向の後方に別の潜像が形成される領域である第2のベタ部と、の間の領域である余白部の副走査方向のライン数に応じて、前記第1のベタ部を主走査方向に分割する分割手段と、
前記分割された領域の副走査方向の後方の余白部のライン数に応じて、前記分割された領域において前記補正を行なう副走査方向のライン数を設定する設定手段と
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
前記設定手段は、前記分割された領域の副走査方向の後方の余白部のライン数が前記取得手段で取得された情報が示す規定ライン数より小さい場合、該分割された領域において前記補正を行う副走査方向のライン数として、前記取得手段で取得された情報が示す規定ライン数よりも小さいライン数を設定することを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記設定手段は、前記分割された領域において前記補正を行なう副走査方向のライン数として、前記分割された領域の副走査方向の後方の余白部のライン数を設定することを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記設定手段は、前記分割された領域に対応する余白部のライン数が前記取得手段で取得された情報が示す規定ライン数より小さくない場合、前記分割された領域において前記補正を行なう副走査方向のライン数として、前記取得手段で取得された情報が示す規定ライン数を設定することを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記分割手段は、前記第1のベタ部の副走査方向のライン数にさらに応じて前記領域を走査方向に分割し、
前記設定手段は、前記分割された領域の前記第1のベタ部の副走査方向のライン数と前記分割された領域の副走査方向の後方の余白部のライン数とに応じて、前記分割された領域に対して前記補正を行なう対象の副走査方向のライン数を設定することを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記設定手段は、前記分割された領域の副走査方向の後方の余白部のライン数が前記分割された領域の副走査方向のライン数より小さく、かつ、前記分割された領域の副走査方向の後方の余白部のライン数が前記取得手段で取得された情報が示す規定ライン数より小さい場合、該分割された領域において前記補正を行う副走査方向のライン数として、前記取得手段で取得された情報が示す規定ライン数よりも小さいライン数を設定することを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記設定手段は、前記分割された領域において前記補正を行なう副走査方向のライン数として、前記分割された領域の副走査方向の後方の余白部のライン数を設定することを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記設定手段は、前記分割された領域の副走査方向の後方の余白部のライン数が前記分割された領域の副走査方向のライン数より小さく、かつ、前記分割された領域に対応する余白部のライン数が前記取得手段で取得された情報が示す規定ライン数より小さくない場合、前記分割された領域において前記補正を行なう副走査方向のライン数として、前記取得手段で取得された情報が示す規定ライン数を設定することを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記設定手段は、前記分割された領域の副走査方向の後方の余白部のライン数が前記分割された領域の副走査方向のライン数より小さくなく、かつ、前記分割された領域の副走査方向のライン数が前記取得手段で取得された情報が示す規定ライン数より小さい場合、該分割された領域において前記補正を行う副走査方向のライン数として、前記分割された領域の副走査方向のライン数を設定することを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記設定手段は、前記分割された領域の副走査方向の後方の余白部のライン数が前記分割された領域の副走査方向のライン数より小さくなく、かつ、前記分割された領域の副走査方向のライン数が前記取得手段で取得された情報が示す規定ライン数より小さくない場合、該分割された領域において前記補正を行う副走査方向のライン数として、前記取得手段で取得された情報が示す規定ライン数を設定することを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記取得手段は、前記感光体ドラムの回転速度と前記感光体ドラムにトナーを供給する現像ローラの回転速度との差に基づく規定ライン数を取得することを特徴とする請求項から13のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項15】
前記設定手段で設定された副走査方向のライン数に応じたパラメータを用いて露光手段における露光を制御する制御手段をさらに有することを特徴とする請求項から14のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項16】
前記制御手段は、
副走査方向のライン数とライン数に対応する露光補正量とを関連付けたテーブルから、前記設定手段で設定された副走査方向のライン数に応じた露光補正量を取得し、
取得した露光補正量に基づいて前記露光手段を駆動する信号をパルス幅変調することで前記制御を行なうことを特徴とする請求項15に記載の画像形成装置。
【請求項17】
画像データにおいて、所定濃度以上の画素が副走査方向に連続した領域と副走査方向下流側において隣接する余白部の副走査方向の画素数を取得する取得ステップと、
前記取得ステップによって取得された余白部の画素数に基づき、前記連続した領域副走査方向下流側におけるトナーの過付着を防ぐための補正を行う補正ステップとを有し、
前記補正ステップは、前記取得ステップによって取得された余白部の画素数が第1の画素数の場合には、前記取得ステップによって取得された余白部の画素数が前記第1の画素数よりも大きい第2の画素数の場合よりも、前記連続した領域副走査方向下流側におけるトナーの過付着を防ぐための補正の度合いが小さくなるようにして補正することを特徴とする画像形成方法。
【請求項18】
感光体ドラム上の潜像部の回転方向の後端において生じるトナーの過付着を補正する画像形成装置であって、
潜像が形成される領域であるベタ部と副走査方向の後方に隣接する余白部の副走査方向のライン数に応じて、前記ベタ部の前記補正を行なう副走査方向のライン数を設定する設定手段と
を有することを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用する色材の消費量を低減させる画像形成装置および画像形成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置においては、露光により潜像部が形成された感光体ドラムに対して、トナーを付着させた現像ローラを接触させることで、トナーが現像ローラから潜像部に付着し感光体ドラム上にトナー像が形成される。このとき、「掃き寄せ」と呼ばれる現象が起こる。「掃き寄せ」とは、感光体ドラムと現像ローラとの回転速度差に起因して、感光体ドラム上の潜像部の、回転方向の後端に付着するトナー量が、潜像部の他の部分に付着するトナー量に比べて多くなる現象である。つまり、「掃き寄せ」現象により余分なトナーが潜像部の後端に付着してしまう。
【0003】
この「掃き寄せ」現象によるトナーの過付着を防止する技術が特許文献1に記載されている。特許文献1では、掃き寄せ対象となる領域を、その領域の副走査方向に平行移動した領域との濃度差分に基づいて、予め決められた補正テーブルに従って濃度変更することで補正を行なうことが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−272153号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の技術は、副走査方向において掃き寄せ対象領域に続く余白領域のサイズ(すなわち副走査方向の余白領域ライン数)を考慮していない。従って、余白領域ライン数によっては掃き寄せ現象を解消するための補正が過剰となり、白抜きといった画質低減が生じてしまうことがある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明にかかる画像形成装置は、画像データにおいて、所定濃度以上の画素が副走査方向に連続した領域と副走査方向下流側において隣接する余白部の副走査方向の画素数を取得する取得手段と、前記取得手段によって取得された余白部の画素数に基づき、前記連続した領域副走査方向下流側におけるトナーの過付着を防ぐための補正を行う補正手段とを有し、前記補正手段は、前記取得手段によって取得された余白部の画素数が第1の画素数の場合には、前記取得手段によって取得された余白部の画素数が前記第1の画素数よりも大きい第2の画素数の場合よりも、前記連続した領域副走査方向下流側におけるトナーの過付着を防ぐための補正の度合いが小さくなるようにして補正することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、掃き寄せ現象によるトナーの過剰供給を防止するとともに、白抜きといった画質低減を防止することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施例に係る画像形成装置の概略を示す図である。
図2】実施例に係るコントローラの構成を示すブロック図である。
図3】掃き寄せが発生した場合のトナーの濃度を説明する図である。
図4】掃き寄せのメカニズムを説明する図である。
図5】実施例に係る露光部における露光に関連する機能部を説明する図である。
図6】パルス幅変調の駆動信号の例を示す図である。
図7】余白部が小さい場合の掃き寄せのメカニズムを説明する図である。
図8】余白部が小さい場合に掃き寄せ補正を行う場合の白抜けが生じる例を説明する図である。
図9】実施例1の掃き寄せ補正の処理対象ラインを決定するフローチャートを示す図である。
図10】実施例1の掃き寄せ補正の具体的な例を説明する図である。
図11】実施例2の掃き寄せ補正の対象ラインを決定するフローチャートである。
図12】実施例2の掃き寄せ補正の具体的な例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。なお、以下ではまず画像形成装置の概要と構成とを説明し、その後に掃き寄せ現象について説明する。そして、掃き寄せ現象を解消する際に、掃き寄せ対象領域に続く余白領域を考慮する必要性を説明する。その後に、本実施例における余白領域を考慮する処理の説明を行なうことにする。
【0010】
<第一の実施例>
<<画像形成装置の概要>>
最初に、図1を参照して、画像形成装置100の概要を説明する。図1は、画像形成装置100の概要構成を示すブロック図である。画像形成装置100は、像担持体であるドラム状の電子写真感光体(以下、感光体ドラムという)110、帯電部120、現像部130、転写部140、現像ローラ150、定着部160、露光部170、及びコントローラ190を有する。露光部170は、例えばレーザビームスキャナ装置や面発光素子等から構成される。コントローラ190は、画像形成装置100の全体制御を行なう。コントローラ190は、露光部170に駆動信号171と光量調整信号173を出力する。露光部170は、レーザビーム172を感光体ドラム110に照射することで露光を行なう。現像部130は、現像剤(以下、トナーという)131を有し、また、規制ブレード132を有する。画像形成装置100は、ホストコンピュータ180と接続され、ホストコンピュータ180との間で画像データや各種の制御情報のやり取りなどを行なう。
【0011】
図1においては、感光体ドラム110上において現像ローラ150からのトナーの付着が行なわれる領域である現像領域115を示している。また、図1において転写材Pに対してトナー像が転写される位置を転写位置Tとして示している。
【0012】
帯電ローラ等の帯電部120は、感光体ドラム110の表面を一様に帯電させる。露光部170は、一様に帯電した感光体ドラム110に、画像データに基づいた露光量のレーザビーム172を照射して感光体ドラム110を露光する。このように露光はレーザビームによって行われる。露光によって感光体ドラム110の表面上に静電潜像が形成される。露光部170は、コントローラ190が出力する駆動信号171を受け取り、駆動信号171に応じてレーザビーム172を感光体ドラム110に照射して静電潜像を形成する。
【0013】
コントローラ190は、露光時の目標光量を調整するための光量調整信号173を露光部170に出力する。これにより一定量の電流が露光部170に供給され、露光強度が一定に制御される。この目標光量を基準として画素ごとに光量を調整したり、パルス幅変調により発光時間を調整したりすることで、画像の階調表現が実現される。
【0014】
図2は、コントローラ190の構成の一例を示すブロック図である。コントローラ190は、CPU210、ROM220、ホストI/F230、RAM240、画像演算部250、露光量調整部260、システムバス270を有する。また、RAM240には、画像メモリ241とLUT242とが格納される領域が含まれる。また、画像演算部250は、パラメータ設定部251、画像解析部252、及び露光制御部253を有する。
【0015】
CPU210は、コントローラ190の各部の制御を行う。ROM220には、コントローラ190の制御プログラムが格納される。ホストI/F230は、ホストコンピュータ180とのI/Fを制御する。RAM240は、コントローラ190の制御プログラムの実行領域や画像処理用のワークデータ用領域、およびデータ格納用領域である。画像メモリ241には、画像データが格納される。LUT242は、掃き寄せを低減させるための露光量の補正値などを格納するルックアップテーブルである。
【0016】
コントローラ190における処理は、ROM220に格納、もしくはRAM240に展開されたプログラムに従って、CPU210が実行する。コントローラ190は、LUT242に記憶された掃き寄せ対象領域のライン数に対応する補正幅パラメータと、掃き寄せ現象を解消するための露光補正量を示す露光補正パラメータとにしたがってトナー消費量を削減するための補正処理を実行する。
【0017】
本実施例では、「掃き寄せ」に起因したトナーの過付着を抑制することで、トナー消費量が削減されることを説明する。
【0018】
コントローラ190は、イメージスキャナやホストコンピュータ180から送信されるラスタデータ(画像データ)を受信して、トナー消費量が削減されるように補正処理を実行する。ここでいう「掃き寄せ」とは、前述のように静電潜像の搬送方向における後端部においてトナーが過剰に付着してしまう現象である。このようなトナーの過剰な付着は原稿濃度に対する画像濃度の再現性を低下させるだけでなく、トナーの過剰な消費をもたらす。よって、トナーの過剰な消費を抑制できれば、トナーを節約できる。
【0019】
画像演算部250は、例えば、画像データを構成する複数の画素のうち、トナーの掃き寄せが生じうる領域の画素を特定し、その領域を露光する際に用いる露光補正パラメータを決定する。そして、決定した露光補正パラメータを用いた露光を露光部170に行なわせる。すなわち、画像演算部250に含まれる画像解析部252は、画像データを解析する。そして、画像解析部252は、掃き寄せ補正を行う領域を複数の領域に分割し、分割した領域ごとに掃き寄せ補正を行なう処理対象のライン数を決定する。画像演算部250に含まれるパラメータ設定部251は画像解析部252で決定されたライン数に対応する露光補正パラメータを、LUT242を参照して設定する。露光制御部253は、分割した領域ごとに、設定されたライン数に応じた露光補正パラメータを用いて露光量を補正する。これにより、トナーの掃き寄せを低減するとともに、白抜きが生じることを防止する。詳細については後述する。なお、トナーの掃き寄せが生じうる領域のことを以下では、掃き寄せ対象領域と称する。画像演算部250は、例えば以下で説明するCPU210が実行するプログラムによって処理が実行される。
【0020】
露光量調整部260は、例えば、露光部170の光源について自動光量制御(APC)を実行して目標光量を設定する。
【0021】
LUT242は、掃き寄せ補正を行なう際の、掃き寄せ対象領域のライン数とそのライン数に対応する露光補正量を示す露光補正パラメータとを関連付けて記憶する。
【0022】
現像部130は、トナー131の貯蔵および保管を行うトナー容器と現像剤担持体である現像ローラ150とを備えている。ここではトナー131として非磁性一成分トナーを使用するが、二成分トナーが採用されてもよいし、磁性トナーが採用されてもよい。現像ローラ150に供給されたトナー131の層厚は、トナー層厚規制部材として機能する規制ブレード132により規制される。規制ブレード132は、トナー131に電荷を付与するように構成されていてもよい。
【0023】
そして、所定の層厚に規制され、かつ、所定量の電荷を付与されたトナー131は、現像ローラ150により現像領域115へ搬送される。現像領域115は、現像ローラ150と感光体ドラム110とが近接または接触する領域であり、かつ、感光ドラム上の静電潜像に対してトナーの付着が実行される領域である。感光体ドラム110の表面上に形成された静電潜像はトナー131により現像されてトナー像に変換される。そして、感光体ドラム110の表面上に形成されたトナー像は、転写位置Tにて転写部140により転写材P上に転写される。転写材P上に転写されたトナー像は定着部160に搬送される。定着部160はトナー像と転写材Pに熱と圧力を加えてトナー像を転写材P上に定着させる。
【0024】
<<接触現像方式>>
次に、感光体ドラム110と現像ローラ150との間の現像領域115における接触現像方式を説明する。接触現像方式とは、接触した状態にある感光体ドラム110と現像ローラ150との最接近部である現像領域115で、現像ローラ150と感光体ドラム110との間に印加された現像電圧(直流バイアス)によりトナー131を現像する方式である。
【0025】
また、感光体ドラム110と現像ローラ150の間には現像電圧として直流電圧が印加されているが、現像電圧の極性は感光体ドラム110の表面の帯電電位と同極性に設定されている。現像ローラ150上に薄層化されたトナー131が現像領域115に搬送され、感光体ドラム110の表面上に形成された静電潜像を現像する。
【0026】
<<掃き寄せの発生原理>>
次に、図3および図4を用いて、接触現像方式で発生する「掃き寄せ」について説明する。図3は、掃き寄せ現象によって生じる現象を現す図である。感光体ドラム110と現像ローラ150は、それぞれ異なる周速で同一方向に回転している。掃き寄せとは、この異なる周速に起因して、図3(a)に示すように画像の副走査方向(すなわち、感光体ドラムの回転方向)の後端部のエッジにトナー131が集中する現象を言う。この後端部とは、トナー画像の搬送方向(感光体ドラム110の回転方向)における後端部である。すなわち、紙面での副走査方向の後端部である。なお、図3の説明で述べている画像とは、転写材Pに転写される全体の画像のことを指しているのではなく、個々の画像オブジェクトのことを指している。つまり、掃き寄せ現象は、例えば横書きの黒塗り(ベタ部)の文字が副走査方向に数行並んでいるような場合には、それぞれの文字の後端部が上記の画像の後端部に対応することになる。
【0027】
掃き寄せが発生すると、図3(b)に示すように、トナー画像310のエッジ後端部330の濃度は、非エッジ部320の濃度と比較して高くなり、トナー131の消費量が増大する。
【0028】
図4は、掃き寄せ現象が生じる原理を説明するための図である。接触現像方式では、感光体ドラム110上のトナーの高さを所定の高さになるようにするために、図4の矢印の大きさに示すように現像ローラ150の周速が感光体ドラム110の周速よりも速くなっている。これにより、感光体ドラム110に安定してトナー131を供給することが可能となり、画像濃度が目標となる濃度に維持される。
【0029】
図4(a)が示すように、現像領域115では、現像ローラ150によって搬送されてきたトナー131により静電潜像が現像される。つまり、現像領域115において現像ローラ150に付着されているトナー131が感光体ドラム上の静電潜像に供給される。前述のように、感光体ドラム110に対して現像ローラ150の方が速く回転しているため、両者の表面上の位置関係は常にずれ続けている。静電潜像400の後端部が現像領域115に侵入した時点では、図4(a)が示すように、現像ローラ150上のトナー131aは、現像領域115の開始位置より回転方向において静電潜像400の後端部131bよりも後側に位置する。
【0030】
その後、図4(b)が示すように、静電潜像400の後端部131bが現像領域115を出るまでの間に、現像ローラ150上のトナー131aが静電潜像400の後端部131bを追い越す。そして、図4(c)が示すように、この現像ローラ150上のトナー131aが静電潜像400の後端部131bに供給されるため、後端部131bの現像量が多くなる。これが、掃き寄せの発生メカニズムである。
【0031】
<<露光装置の制御方法>>
次に、図5を用いて、露光部170の制御方法について説明する。露光量調整部260は、8ビットのDAコンバータ511とレギュレータ512を内蔵したIC510を有しており、露光部170を制御する信号を生成して送出する。露光部170には、電圧を電流に変換するVI変換回路571と、レーザドライバIC572と、半導体レーザLDとが搭載されている。
【0032】
IC510は、システムバス270を介して送られる、コントローラ190内のCPU210により設定された半導体レーザLDの駆動電流を示す、光量調整信号の元となる信号を基に、レギュレータ512から出力される電圧VrefHを調整する。電圧VrefHはDAコンバータ511の基準電圧となる。IC510がDAコンバータ511の入力データ513を設定することで、DAコンバータ511が光量調整信号173を出力する。VI変換回路571は、光量調整信号173を電流値Idに変換してレーザドライバIC572に出力する。
【0033】
図5では、露光量調整部260に実装されたIC510が光量調整信号173を出力している。しかし、露光部170上にDAコンバータ511が実装され、レーザドライバIC572の近傍で光量調整信号173が生成されてもよい。レーザドライバIC572は、コントローラ190内の画像演算部250が出力する駆動信号171に応じて、スイッチSWを切り替える。スイッチSWは、電流ILを半導体レーザLDに流すか、ダミー抵抗R1に流すかを切換えることで、半導体レーザLDの発光のON/OFF制御を行う。
【0034】
<<露光量補正の方法>>
次に、図6を用いて、露光量補正について説明する。露光量補正は、駆動信号171をパルス幅変調(PWM)することにより実現可能である。例えば、1画素を16個の副画素に分割し、奇数番目の副画素のみを露光するよう半導体レーザLDを駆動することで実現される。
【0035】
図6では、黒部分が露光部分を示しており、トナーが供給される部分となる。白部分が露光されない部分を示しており、トナーが供給されない部分となる。図6において、画素610は、1画素を副画素に分割しない場合を示している。すなわち、画素610は1画素の全てを露光する場合を示している。画素620及び画素640は、1画素を4分割する場合を示している。この場合、16分割された副画素のうち、4つの副画素に相当する部分(16分の4(白部分))が露光されず、この部分にはトナーが載らない。他の16分の12の部分(黒部分)が露光され、この部分にトナーが載ることになる。画素630は、1画素を8分割する場合を示しており、画素650は、1画素を2分割する場合を示している。
【0036】
本実施例では、図3におけるエッジ後端部330の副走査方向の濃度変化に対応して、画素の分割数を調整すること、すなわち、1画素に対する露光量を補正することにより、後述する掃き寄せ補正が行なわれる。
【0037】
<<余白部による掃き寄せ補正の問題>>
次に、図7および図8を用いて、エッジ後端部に続く余白部に起因する掃き寄せ補正の問題を説明する。図7は、静電潜像400の後端部の副走査方向の余白部710が小さく、次の静電潜像700の先端部が静電潜像400のすぐ後に続く場合の吐き出し現象が生じる様子を示している。
【0038】
図7(a)と図7(b)は、後続の静電潜像700が続くか否かを除いては、それぞれ、図4(a)と図4(b)と同じである。図4との違いは図7(c)であり、余白部710が小さいことに起因して、図4(c)で示すトナー131aの量に対して、図7(c)で示すトナー131a’の量が少なくなる。これは、余白部710が小さいことで、次の静電潜像601の先端部による電荷分散が起こり、静電潜像400の後端部131bに供給されるトナーが少なくなる現象である。つまり、エッジ後端部に続く余白部が小さい場合、掃き寄せ現象として過付着されるトナー量が、余白部が小さくない場合と比べて少なくなる。
【0039】
図8は、このように、エッジ後端部に続く余白部が小さい場合に掃き寄せ補正を行う際に生じる問題を説明するための図である。図8は感光体ドラム上に現れる像の一部を拡大した模式図である。画像の副走査方向における余白部のサイズ(ライン数)は、主走査方向において一様とはならないことが多い。従って、掃き寄せ対象領域において、後続の余白部との差が異なる場合がある。
【0040】
なお、掃き寄せ対象領域は、前述の感光体ドラムと現像ローラとの間の周速差に基づいて決定される。つまり、図8に示すように、掃き寄せ対象領域のライン数800は副走査方向において同じライン数の領域となる。
【0041】
図8(a)は、静電潜像400の後端部と次の静電潜像700の先端部との間のある主走査方向の位置において、小さい領域(ライン数)の余白部710があることを示している。このとき、掃き寄せ対象領域の副走査ライン数800に基づいて一様に掃き寄せ補正処理を行う場合、後続の余白部の領域のライン数が、掃き寄せ対象領域のライン数800以上の領域は適正に補正される。しかしながら、図8(b)に示すように、後続の余白部の領域のライン数が、掃き寄せ対象領域のライン数800よりも小さい領域810には、補正が過剰にかかってしまう。つまり、掃き寄せ対象領域については、感光体ドラムと現像ローラとの回転速度差に起因して過剰に付着されるトナー量を見越して掃き寄せ対象領域の露光量を少なくする補正が行なわれる。しかしながら、図7(c)で説明したように、後続の余白部のサイズが小さいと、想定した過付着するトナー量よりも少ないトナー量しか付着されなくなってしまう。すると、過付着されるであろうトナー量が想定よりも少ないことに結果的になるので、該当する領域に対して必要以上に露光量を少なくする補正が行なわれてしまう。すると、結果的に図8(c)に示すように、領域810については、パルス幅変調(PWM)によって過剰にトナー消費量が抑えられ、白抜といった画質低減が発生してしまう。
【0042】
<<余白部に応じた掃き寄せ補正処理>>
次に、図9および図10を用いて、この掃き寄せ補正の際に余白部を考慮した処理について説明する。図9で説明する動作手順は、コントローラ190において、ROM220に格納、もしくはRAM240に展開されたプログラムに従って、CPU210が実行する。図9は、掃き寄せ対象領域の後続の余白部の副走査ライン数に応じて掃き寄せ補正を行う対象領域のサイズ(副走査方向のライン数)を変更する処理である。以下のフローチャートにおいては、感光体ドラムと現像ローラとの回転速度差に基づいて定まる掃き寄せ対象領域を示す副走査方向のライン数を、「規定ライン数」と呼ぶ。また、掃き寄せ補正が行なわれる対象領域を示す副走査方向のライン数を「処理対象ライン数」と呼ぶ。余白部が小さくなければ、「処理対象ライン数」は「規定ライン数」となるが、余白部が小さい場合には、「処理対象ライン数」は、「規定ライン数」とはならない。以下では、掃き寄せ対象領域を主走査方向に複数の領域に分割して、分割した領域ごとにこの「処理対象ライン数」を決定する処理を説明する。
【0043】
ステップ901においてコントローラ190は、画像演算部250内の画像解析部252を制御する。画像解析部252は、画像メモリに格納されている画像データを参照して、主走査方向についての、静電潜像領域(以下ベタ部という)を示すベタ部情報と、余白部を示す余白部情報とを取得する。これらの情報は、例えば連続画素数、変化位置などを示す情報である。
【0044】
次に、ステップS902において画像解析部252は、副走査方向のベタ部情報と、余白部情報とを取得する。これらの情報は、例えばライン数、変化位置などを示す情報である。
【0045】
次に、ステップS903においてコントローラ190は、主走査方向および副走査方向の余白部情報を元に、主走査方向にベタ部と余白部との領域を分割し、その分割領域数を設定する。具体的には、副走査方向の余白部のライン数が変化する主走査方向の位置で領域を分割する。例えば、図8(a)の例の場合には、図10に示すように3つの領域1010、1020、1030に分割されることになる。
【0046】
次に、ステップS904においてコントローラ190は、主走査方向に分割された領域毎に、余白部の副走査方向ライン数が、掃き寄せ処理対象の規定ライン数(例えば15から30ライン)より小さいかを判定する。ステップS904においてコントローラ190は、余白部ライン数が、掃き寄せ処理対象の規定ライン数より小さいと判定した場合、ステップS905に進む。一方、余白部ライン数が、掃き寄せ処理対象の規定ライン数より小さくないと判定した場合、ステップS906に進む。
【0047】
余白部ライン数が規定ライン数より小さい場合、ステップS905においてコントローラ190は、余白部の副走査方向ライン数を掃き寄せ補正の処理対象ライン数として設定する。前述のように、余白部の副走査方向ライン数が規定ラインより小さい場合、規定ライン数に基づく掃き寄せ補正を行なってしまうと、結果としてトナー消費量が過剰に低減されてしまい白抜きが発生してしまう。そこで、余白部の副走査ライン数が規定ラインより小さい場合には、規定ライン数ではなく余白部の副走査ライン数を掃き寄せ補正の処理対象のライン数として設定する。このように設定すれば、過剰なトナー消費量の低減を防ぐことができる。なお、ここでは余白部の副走査方向ライン数を掃き寄せ補正の処理対象ライン数として設定する例を説明したが、これに限られるものではなく、過剰なトナー消費量の低減を防げればよい。従って、例えばステップS904では、コントローラ190は、掃き寄せ補正の処理対象ライン数として、規定ライン数より小さいライン数を設定してもよい。
【0048】
一方、余白部の副走査方向ライン数が、掃き寄せ処理対象の規定ライン数より小さくない場合、ステップS906においてコントローラ190は、掃き寄せ補正の処理対象ライン数として規定ライン数を設定する。
【0049】
ステップS907においてコントローラ190は、ステップS904からS906の処理を、主走査方向に分割された領域が最後になるまで行ったかを判定し、領域が最後でなければステップS904に戻り処理を繰り返す。
【0050】
図10は、掃き寄せ補正の対象ライン数を決定する例を説明するための図である。なお図10図8の図に対応する図である。図8図10も静電潜像部と余白部とは同じものを示しているが、図10では、グレーの領域は、ベタ部のうち、規定ライン数に対応する領域を示している。なお、図10では符号を用いてライン数を特定するものとする。すなわち、ライン数の後に文章中で出てくる数字は単なる符号であり、実際のライン数の数値そのものを示すものではない点に留意されたい。図9のフローチャートで説明したように、コントローラ190は、ベタ部情報および余白部情報を元に、領域を主走査方向に領域1010、1020、1030とに分割する。
【0051】
次に、コントローラ190は、領域毎に図9のステップS904からS906を繰り返す。コントローラ190は、領域1010に対して、ベタ部の副走査方向の後方の余白部の副走査ライン数1011と、規定ライン数800とを比較する。この場合、余白部ライン数1011が規定ライン数800より大きいため、ステップS906に示すように、コントローラ190は、規定ライン数800を、領域1010についての掃き寄せ補正の処理対象ライン数1012として設定する。
【0052】
次に、コントローラ190は、領域1020に対して、ベタ部の副走査方向の後方の余白部の副走査ライン数1021と、規定ライン数800とを比較する。この場合、図10に示すように、余白部ライン数1021が規定ライン数800より小さい。従って、ステップS905に示すように、コントローラ190は、規定ライン数800ではなく余白部ライン数1021を掃き寄せ補正の処理対象ライン数1022として設定する。
【0053】
次に、コントローラ190は、領域1030に対して、ベタ部の副走査方向の後方の余白部の副走査ライン数1031と、規定ライン数800とを比較する。この場合、余白部ライン数1031が規定ライン数800より大きいため、ステップS906に示すように規定ライン数800を掃き寄せ補正の処理対象ライン数1032として設定する。
【0054】
画像解析部252による解析の結果、このようにして掃き寄せ補正の処理対象ライン数が設定されると、画像解析部252は掃き寄せ対象の処理ライン数をパラメータ設定部251に通知する。パラメータ設定部251は、LUT242を参照して、処理対象ライン数に対応する露光補正パラメータを各領域に対して設定する。図10は、各領域に対して処理対象ライン数に応じた露光補正パラメータが設定されることも示している。そして、露光制御部253は、このように設定された露光補正パラメータに基づいて駆動信号を出力することでパルス幅変調が行われ、露光量が補正される。すなわち、掃き寄せ補正が行なわれる。
【0055】
以上説明したように、本実施例では、掃き寄せ補正の処理対象ライン数を、規定ライン数と余白部の副走査ライン数とを考慮して決定する。これにより、副走査方向の補正対象ライン数を適正に設定し、トナー消費量の低減処理を適切に実施することが可能である。また、トナー消費量の低減処理において、白抜きといった画質低減を防止することが可能である。
【0056】
<第二の実施例>
第一の実施例では、掃き寄せ補正の処理対象ライン数を決定する際に、余白部の副走査ライン数を考慮した処理を行なう例を説明した。第二の実施例では、掃き寄せ補正の処理対象ライン数の決定する際に、余白部の副走査ライン数に加えて、ベタ部の副走査ライン数をさらに考慮する例を説明する。すなわち、潜像が形成される領域であるベタ部と副走査方向の後方に隣接する余白部の副走査方向のライン数に応じて掃き寄せ補正の処理対象ライン数を決定する例を説明する。
【0057】
図11は、余白部の副走査ライン数とベタ部の副走査ライン数とを考慮して掃き寄せ補正の対象ライン数を決定する動作を示すフローチャートである。なお、ステップS1101及びステップS1102の処理は、図9のステップS901及びステップS902の処理と同様であるので説明を省略する。
【0058】
ステップS1103においてコントローラ190は、主走査方向および副走査方向のベタ部情報及び余白部情報を元に、主走査方向に領域を分割し、その分割領域数を設定する。例えば、副走査方向の余白部のライン数が変化する主走査方向の位置または副走査方向のベタ部のライン数が変化する主走査方向の位置で領域を分割する。例えば、図12の例の場合には、図12に示すように4つの領域に分割されることになる。本実施例では、余白部だけではなくベタ部のライン数が変化する位置においても領域分割を行なう。
【0059】
ステップS1104においてコントローラ190は、主走査方向に分割された領域毎に、余白部の副走査方向ライン数がベタ部の副走査ライン数より小さいかを判定する。余白部の副走査方向ライン数がベタ部の副走査ライン数より小さい場合、ステップS1105に進む。そうでない場合、ステップS1107に進む。
【0060】
余白部の副走査方向ライン数がベタ部の副走査ライン数より小さい場合のステップS1105からステップS1106またはステップS1109の処理は、図9のステップSS904からS906の処理と同様の処理である。すなわち、ステップS1105においてコントローラ190は、余白部の副走査方向ライン数が、掃き寄せ処理対象の規定ライン数より小さいかを判定する。余白部の副走査方向ライン数が、掃き寄せ処理対象の規定ライン数より小されば、ステップS1106においてコントローラ190は、掃き寄せ補正の処理対象ライン数として余白部の副走査方向ライン数を設定する。そうでなければ、ステップS1109においてコントローラ190は、掃き寄せ補正の処理対象ライン数として規定ライン数を設定する。このように、余白部の副走査方向ライン数がベタ部の副走査方向ライン数以下の場合には、ベタ部のライン数を考慮せずに実施例1と同様の処理を行なう。
【0061】
一方、ステップS1104の判定で余白部の副走査方向ライン数がベタ部の副走査ライン数より小さくない場合、ベタ部のライン数を考慮した処理を行う。これは、余白部がベタ部よりも大きいということはベタ部に過剰な掃き寄せ補正が行なわれる可能性があるからである。余白部の副走査方向ライン数がベタ部の副走査ライン数より小さくない場合、ステップS1107においてコントローラ190は、ベタ部ライン数が掃き寄せ処理対象の規定ライン数より小さいかを判定する。ベタ部ライン数が掃き寄せ処理対象の規定ライン数より小さい場合、ステップS1108に進み、そうでない場合、ステップS1109に進む。
【0062】
ベタ部ライン数が掃き寄せ処理対象の規定ライン数より小さい場合、ステップS1108においてントローラ190は、掃き寄せ補正の処理対象ライン数としてベタ部の副走査方向ライン数を設定する。ベタ部の副走査ライン数が規定ライン数より小さい場合、この領域について掃き寄せ補正を規定ライン数行なうと、やはり白抜けが生じる可能性がある。そこで、ここでは処理対象のライン数として、ベタ部の副走査方向ライン数を設定する。これにより、より適切にベタ部に対して掃き寄せ補正の処理を行うことが可能である。なお、LUT242には規定ライン数以下の場合の露光補正パラメータも含まれており、規定ライン数より少ないライン数を処理対象ラインに設定しても掃き寄せ補正を適切に行なうことができる。
【0063】
一方、ベタ部ライン数が掃き寄せ処理対象の規定ライン数より小さいくない場合、ステップS1109においてコントローラ190は、掃き寄せ補正の処理対象ライン数として規定ライン数を設定する。
【0064】
ステップS1110においてコントローラ190は、ステップS1104からステップS1109で説明した処理を主走査方向に分割された最後の領域まで行なったかを判定する。最後の領域まで行なっていない場合はステップS1104に戻り、処理を繰り返す。
【0065】
図12は、掃き寄せ補正の対象ライン数を決定する様子を説明するための図である。図11のフローチャートで説明したように、コントローラ190は、ベタ部情報および余白部情報を元に、領域を主走査方向に領域1210、1220、1230、1240と分割する。
【0066】
次に、コントローラ190は、領域1210に対して、余白部の副走査ライン数1211と、ベタ部の副走査ライン数1212とを比較する。図12においては、余白部ライン数1211がベタ部ライン数1212より小さく、かつ、余白部ライン数1211が規定ライン数800より大きいため、規定ライン数800を掃き寄せ補正の処理対象ライン数1213として設定する。
【0067】
次に、コントローラ190は、領域1220に対して、余白部の副走査ライン数1221と、ベタ部の副走査ライン数1222とを比較する。この場合、余白部ライン数1221がベタ部ライン数1222より小さく、かつ、余白部ライン数1221が規定ライン数800より小さいため、余白部ライン数1221を掃き寄せ補正の処理対象ライン数1223として設定する。
【0068】
次に、コントローラ190は、領域1230に対して、余白部の副走査ライン数1231と、ベタ部の副走査ライン数1232とを比較する。この場合、余白部ライン数1231がベタ部ライン数1232より小さく、かつ、余白部ライン数1231が規定ライン数800より小さいため、余白部ライン数1231を掃き寄せ補正の処理対象ライン数1233として設定する。
【0069】
次に、コントローラ190は、領域1240に対して、余白部の副走査ライン数1241と、ベタ部の副走査ライン数1242とを比較する。この場合、余白部ライン数1241がベタ部の副走査ライン数1242より大きく、かつ、ベタ部の副走査ライン数1242が規定ライン数800より小さいため、ベタ部ライン数1242を掃き寄せ補正の処理対象ライン数として設定する。
【0070】
以上説明したように、本実施例では、掃き寄せ補正の処理対象ライン数を、余白部の副走査ライン数とベタ部の副走査ライン数とを考慮して決定する。これにより、副走査方向の補正対象ライン数を適正に設定し、トナー消費量の低減処理を適切に実施することが可能である。また、トナー消費量の低減処理において、白抜きといった画質低減を防止することが可能である。
【0071】
(その他の実施例)
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12