(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
夫々が固有の識別子を有する無線親機及び複数の無線子機により形成される無線網に接続され、前記無線親機又は各無線子機からの要求に応じて前記無線網内で夫々を識別するための無線機番号発行し、発行した無線機番号と発行先の無線親機又は無線子機の識別子とを関連付けて番号発行テーブルに記憶する番号発行無線機において、
前記無線網への接続が解除された無線子機の識別子、及び該識別子に関連付けられて前記番号発行テーブルに記憶されている無線機番号を特定する特定手段と、
前記無線網に新たに接続される無線子機からの要求に応じて、前記特定手段が特定した無線機番号と同一の無線機番号を発行した場合、その旨を前記無線親機へ通知する通知手段と
を備えることを特徴とする番号発行無線機。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
無線テレメータシステムのネットワーク構成の1つとして、メッシュ型ネットワークが知られている。メッシュ型ネットワークでは、例えば自身が外部から送信されたデータを受信可能な状況にあるとき、送信すべきデータを有する無線親機及び無線子機を探索するためにビーコンを定期的に送信する。そして、送信すべきデータを有する無線親機及び無線子機がビーコンを受信した場合、そのビーコンの送信元に対してデータを送信する構成としている。
【0006】
上述したようなメッシュ型ネットワークでは、無線親機又は他の無線子機から送信されるビーコンを受信した場合、自機が送信すべきデータを有するときにビーコンの送信元に対してデータを送信する構成としている。すなわち、無線子機が他の無線子機又は無線親機にデータを送信するタイミングは、個々の機器における通信状況に依存する。このため、番号発行無線機が新たに設置された無線子機に対して無線機番号を発行したタイミングと、新規に設置された無線子機の情報がシステム全体に伝わるタイミングとの間には、必然的にタイムラグが生じる。
【0007】
ここで、ネットワーク内に設置することができる機器の数は有限数(例えば256台)に限られており、無線機番号はネットワーク内に設置できる機器の台数分しか用意されていない。このため、過去に接続されていた無線子機がネットワークから取り外された場合、この無線子機に付与されていた無線機番号を、新たに接続される他の無線子機に割り当てる場合がある。
【0008】
しかしながら、上述したように、番号発行無線機が無線機番号を発行したタイミングと、新たに設置された無線子機の情報がシステム全体に伝わるタイミングとの間にはタイムラグが生じるため、例えば、センタ側が管理している無線機番号が示す無線子機は、実際にこの無線機番号が付与されている無線子機とは異なる可能性がある。このため、センタ側が送信したデータは、送信元で意図した無線子機に送信されることなく、新規に設置された端末に送信される虞があり、通信エラー、情報漏洩等が生じ得るという問題点を有していた。
【0009】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであり、無線機番号の重複割り当てに伴う通信エラー等を回避できる無線通信システム及び番号発行無線機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願の無線通信システムは、夫々が固有の識別子を有する無線親機及び複数の無線子機、並びに、前記無線親機及び複数の無線子機により形成される無線網内で夫々を識別する
ための無線機番号を、前記無線親機又は各無線子機からの要求に応じて発行し、発行した
無線機番号と発行先の無線親機又は無線子機の識別子とを関連付けて番号発行テーブルに記憶する番号発行無線機を含み、該番号発行無線機が発行した
無線機番号により識別される無線親機及び複数の無線子機間で無線通信を行う無線通信システムにおいて、前記番号発行無線機は、前記無線網
への接続が解除された無線子機の識別子、及び該識別子に関連付けられて前記番号発行テーブルに記憶されている無線機番号を特定する特定手段と、前記無線網に新たに接続される無線子機からの要求に応じて、前記特定手段が特定した
無線機番号と同一の
無線機番号を発行した場合、その旨を前記無線親機へ通知する通知手段とを備えることを特徴とする。
【0011】
本願の無線通信システムは、前記無線親機は、前記特定手段が特定した
無線機番号と同一の
無線機番号を発行した旨の通知を前記番号発行無線機から受信した場合、該
無線機番号により識別される無線子機との通信を停止する手段を備えることを特徴とする。
【0012】
本願の無線通信システムは、前記無線網とは異なる通信網を介して前記無線親機と通信可能に接続された通信装置を更に含み、前記無線親機は、前記無線子機から前記通信装置への所定の通信のみを許可するようにしてあり、前記所定の通信が行われた場合、前記無線子機との通信停止を解除するようにしてあることを特徴とする。
【0013】
本願の番号発行無線機は、夫々が固有の識別子を有する無線親機及び複数の無線子機により形成される無線網に接続され、前記無線親機又は各無線子機からの要求に応じて前記無線網内で夫々を識別する
ための無線機番号発行し、発行した
無線機番号と発行先の無線親機又は無線子機の識別子とを関連付けて番号発行テーブルに記憶する番号発行無線機において、前記無線網
への接続が解除された無線子機の識別子、及び該識別子に関連付けられて前記番号発行テーブルに記憶されている無線機番号を特定する特定手段と、前記無線網に新たに接続される無線子機からの要求に応じて、前記特定手段が特定した
無線機番号と同一の
無線機番号を発行した場合、その旨を前記無線親機へ通知する通知手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本願によれば、無線機番号の重複割り当てに伴う通信エラー等を回避することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて具体的に説明する。
(実施の形態1)
図1は実施の形態1に係る無線テレメータシステムの全体構成を示すブロック図である。本実施の形態に係る無線テレメータシステムは、センタ側の構成として、ホストコンピュータ11及びセンタ側網制御装置12を備え、端末側の構成として、無線親機21、無線子機22,22,…,22及びメータ23,23,…,23、並びに番号発行無線機30を備える。メータ23は、例えば個人宅などの需要家毎に設置され、供給事業者から供給される水道、ガスなど供給媒体の使用量を計測し、計測結果(検針値)を出力する計測器である。本実施の形態に係る無線テレメータシステムは、メータ23の検針値を示すデータ、無線親機21及び無線子機22の動作状態を示すデータなど端末側から出力される各種データを、無線通信を利用してセンタ側へ送信すると共に、無線親機21及び無線子機22の動作を制御するためのコマンド等を含んだ各種データをセンタ側から端末側へ送信することを特徴の1つとしている。
【0017】
センタ側網制御装置12と端末側の無線親機21とは、例えばPHS網、FOMA網などの広域無線網N1に接続され、広域無線網N1を介して無線通信を行う。なお、
図1に示す例では、広域無線網N1に接続されている無線親機21の数を1つとしたが、複数の無線親機21が接続されていてもよいことは勿論のことである。
【0018】
センタ側網制御装置12は、例えば通信事業者の基地局に設けられ、広域無線網N1を介した端末側との通信を制御する機能を有する。センタ側網制御装置12は、ホストコンピュータ11から端末側へ送信すべきデータが入力された場合、広域無線網N1の通信規格に準拠した通信方式にて、端末側へデータを送信する。また、端末側から送信されたデータを広域無線網N1を介して受信した場合、受信したデータをホストコンピュータ11へ送信するように構成されている。
【0019】
無線親機21は、広域無線網N1を介してセンタ側に接続されると共に、複数の無線子機22,22,…,22との間でメッシュ型の狭域無線網N2を形成する。無線親機21は、広域無線網N1を介してセンタ側のホストコンピュータ11と無線通信を行うと共に、狭域無線網N2を介して無線子機22,22,…,22と無線通信を行うように構成されている。
【0020】
無線子機22は、自機に接続されたメータ23から検針値を取得した場合、検針値を示すデータを狭域無線網N2を介して無線親機21へ送信する。このとき、当該無線子機22は、直接的に無線親機21へデータを送信するか、又は他の1又は複数の無線子機22,22,…を介して無線親機21へデータを送信する。無線親機21は、無線子機22から送信されるデータを受信した場合、及び自機においてホストコンピュータ11へ通知すべきイベントが発生した場合等において、広域無線網N1を介してホストコンピュータ11と無線通信を行う。
【0021】
番号発行無線機30は、狭域無線網N2に接続されており、無線親機21及び無線子機22の夫々に対して、狭域無線網N2内での固有の識別子である無線機番号を発行する。無線親機21及び各無線子機22は、番号発行無線機30から発行された一意の無線機番号を記憶しており、各機器を識別して通信するように構成されている。
【0022】
なお、番号発行無線機30は、狭域無線網N2内の無線親機21及び無線子機22に対して無線機番号を発行する専用の端末であってもよく、無線子機22の1つとして機能するものであってもよい。また、
図1の例では、番号発行無線機30は1つの無線子機22に接続された状態を示しているが、無線親機21に接続される構成であってもよく、複数の無線子機22,22,…に接続される構成であってもよい。
【0023】
図2は無線親機21の内部構成を示すブロック図である。無線親機21は、制御部210、記憶部211、広域無線通信部212、狭域無線通信部213、表示部214、操作部215などを備える。無線親機21が備えるハードウェア各部は、電池219から供給される電力により動作するように構成されている。
【0024】
制御部210は、例えば、CPU、ROM、RAMなどを備え、ROMに予め格納された制御プログラムをRAMに読み出し、CPUが前記制御プログラムを実行することにより、機器全体の制御を行う。
【0025】
記憶部211は、例えば、EEPROM(Electronically Erasable Programmable Read Only Memory)などの不揮発性メモリにより構成されており、自機の動作に関する設定情報、番号発行無線機30から発行された自機の無線機番号等を記憶する。
【0026】
広域無線通信部212は、アンテナ212aを通じて電波を発信または受信することによって、広域無線網N1を介した無線通信を行う。無線親機21は、例えば、無線子機22を通じてメータ23の検針値を取得した場合、検針値を示すデータをセンタ側のホストコンピュータ11へ送信する。広域無線通信部212は、制御部210を通じて送信すべきデータを取得した場合、アンテナ212aを駆動して電波を発信させることにより、広域無線網N1の通信規格に準拠した形式にてデータを送信する処理を行う。
【0027】
また、広域無線通信部212は、アンテナ212aにて電波を受信した場合、受信した電波(受信電波)をデコードすることにより所定の形式のデータを取得する。アンテナ212aにて受信する受信電波には、例えば、ホストコンピュータ11からの起動指令などの各種制御コマンドが含まれる。広域無線通信部212は、受信電波をデコードして得られるデータを制御部210へ出力する。制御部210は、広域無線通信部212から出力されたデータを取得した場合、そのデータに基づいて各種の制御を行う。
【0028】
狭域無線通信部213は、アンテナ213aを通じて電波を発信または受信することによって、複数の無線子機22,22,…,22と所定の無線通信方式にて通信を行う。無線通信方式としては、例えば特定小電力無線方式が採用される。無線親機21の狭域無線通信部213は、送信すべきデータを有する無線子機22を探索するための探索信号として、ビーコンを間欠的に送信する。また、狭域無線通信部213は、無線子機22から送信されるビーコンを受信した場合であって、自装置が送信すべきデータを有するとき、当該データをビーコンの送信元へ送信する。
【0029】
表示部214は、LEDランプ、液晶表示パネル等により構成されており、制御部210から出力される制御信号に基づいて、例えば設置作業を行う作業員等に通知すべき情報を表示する。
【0030】
操作部215は、ディップスイッチ等の各種スイッチ、ボタンにより構成されており、作業員等による各種の設定操作を受付ける。制御部210は、操作部215から入力される設定内容を基に各種制御を行い、必要に応じて設定内容を記憶部211に記憶させる。
【0031】
本実施の形態では、無線親機21がNCUの機能を有するものとして説明を行ったが、NCUの機能を有する網制御装置を個別の装置として用意し、無線親機21を網制御装置に接続する構成であってもよい。この場合、無線親機21は、網制御装置を接続する接続インタフェースを備え、接続インタフェースに接続された網制御装置を介してセンタ側と通信を行う構成とすればよい。
【0032】
図3は無線子機22の内部構成を示すブロック図である。無線子機22は、制御部220、記憶部221、狭域無線通信部222、接続ポート223、表示部224、操作部225などを備える。無線子機22が備えるハードウェア各部は、電池229から供給される電力により動作するように構成されている。
【0033】
制御部220は、例えば、CPU、ROM、RAMなどを備え、ROMに予め格納された制御プログラムをRAMに読み出し、CPUが前記制御プログラムを実行することにより、機器全体を本発明に係る無線通信装置として機能させる。
【0034】
記憶部221は、例えば、EEPROMなどの不揮発性メモリにより構成されており、自機の動作に関する設定情報、番号発行無線機30から発行された自機の無線機番号等を記憶する。
【0035】
狭域無線通信部222は、アンテナ222aを通じて電波を発信または受信することによって、無線親機21及び他の無線子機22と所定の無線通信方式にて通信を行う。無線通信方式としては、例えば特定小電力無線方式が採用される。無線子機22の狭域無線通信部222は、送信すべきデータを有する無線親機21又は他の無線子機22を探索するための探索信号として、ビーコンを間欠的に送信する。また、狭域無線通信部222は、無線親機21又は他の無線子機22から送信されるビーコンを受信した場合であって、自装置が送信すべきデータを有するとき、当該データをビーコンの送信元へ送信する。
【0036】
接続ポート223は、ガス、水道などの使用量を計測するメータ23等を接続するためのインタフェースを備える。接続ポート223は、接続されたメータ23から検針値を取得した場合、検針値を示すデータを制御部220へ送出する。
【0037】
表示部224は、LEDランプ、液晶表示パネル等により構成されており、制御部220から出力される制御信号に基づいて、例えば設置作業を行う作業員等に通知すべき情報を表示する。
【0038】
操作部225は、ディップスイッチ等の各種スイッチ、ボタンにより構成されており、作業員等による各種の設定操作を受付ける。制御部220は、操作部225から入力される設定内容を基に各種制御を行い、必要に応じて設定内容を記憶部221に記憶させる。
【0039】
図4は番号発行無線機30の内部構成を示すブロック図である。番号発行無線機30は、制御部300、記憶部301、狭域無線通信部302、接続ポート303、表示部304、操作部305などを備える。番号発行無線機30が備えるハードウェア各部は、電池309から供給される電力により動作するように構成されている。
【0040】
制御部300は、例えば、CPU、ROM、RAMなどを備える。CPUは、ROMに予め格納された制御プログラムをRAMに読み出して実行することにより、機器全体を本発明に係る識別子発行装置として機能させる。
【0041】
記憶部301は、例えば、EEPROMなどの不揮発性メモリにより構成されており、発行した無線機番号と発行先を示す情報とを関連付けて記憶する番号発行テーブル等を有する。
【0042】
狭域無線通信部302は、アンテナ302aを通じて電波を発信または受信することによって、無線子機22と所定の無線通信方式にて通信を行う。無線通信方式としては、例えば特定小電力無線方式が採用される。
【0043】
接続ポート303は、メータ23等を接続するためのインタフェースを備える。番号発行無線機30を無線子機22の1つとして機能させる場合、メータ23が接続ポート303に接続される。メータ23が接続されている場合、接続ポート303は、当該メータ23から出力される検針値を取得し、取得した検針値を示すデータを制御部300へ送出する。
【0044】
表示部304は、LEDランプ、液晶表示パネル等により構成されており、制御部300から出力される制御信号に基づいて、例えば設置作業を行う作業員等に通知すべき情報を表示する。操作部305は、ディップスイッチ等の各種スイッチ、ボタンにより構成されており、作業員等による各種の設定操作を受付ける。
【0045】
図5は番号発行無線機30が備える番号発行テーブルの一例を示す概念図である。無線機番号は、狭域無線網N2内に設置された各機器に対して付与した狭域無線網N2内で固有の番号であり、例えば1〜N(Nは狭域無線網N2に接続可能な機器の最大数)の整数値により表される。また、発行先を示す情報は、無線親機21又は無線子機22の製造番号、シリアル番号等の各機器固有の情報(以下、無線機IDという)であり、例えば英数字からなる文字列により表される。
【0046】
番号発行無線機30は、狭域無線網N2に新たに接続される無線子機22(以下、新規設置端末という)からの要求を受付けた場合、新規設置端末に対して発行すべき無線機番号を決定し、決定した無線機番号を含む発行応答を返信する。例えば、番号発行無線機30は、発行予定の無線機番号(例えば、1〜Nの番号)のうち、番号発行テーブルに既に登録されている無線機番号を除く最も小さな無線機番号を、新規設置端末に付与すべき無線機番号として決定することができる。
【0047】
番号発行無線機30は、新規設置端末に対して無線機番号を発行した場合、発行した無線機番号と、発行先の無線機IDとを関連付けて番号発行テーブルに記憶させる。また、番号発行無線機30は、無線機番号が割り当てられた無線子機22が取り外され、狭域無線網N2への接続が解除されたことを検知した場合、当該無線子機22の無線機IDを特定し、特定した無線子機22の無線機ID及び該無線機IDに関連付けて記憶されている無線機番号を番号発行テーブルから削除する。
【0048】
このように、番号発行無線機30は、狭域無線網N2内に新たに無線子機22が接続された場合、及び狭域無線網N2から無線子機22が取り外された場合において、番号発行テーブルを適宜更新するようにしている。
【0049】
以下、番号発行無線機30による番号発行手順について説明する。
図6は実施の形態1における番号発行処理の手順を示すフローチャートである。新規設置端末の制御部220は、番号発行モードに移行させるために所定の操作を受付けたか否かを判断する(ステップS101)。所定の操作を受付けていない場合(S101:NO)、制御部220は、所定の操作を受付けるまで待機する。
【0050】
所定の操作を受付けたと判断した場合(S101:YES)、新規設置端末は、自機宛の無線機番号の発行を要求するために、直接的に、又は既存の1又は複数の無線子機22を介して、番号発行要求を番号発行無線機30へ送信する(ステップS102)。
【0051】
番号発行無線機30の制御部300は、狭域無線通信部302を通じて番号発行要求を受信したか否かを判断する(ステップS103)。番号発行要求を受信していないと判断した場合(S103:NO)、制御部300は、番号発行要求を受信するまで待機する。
【0052】
番号発行要求を受信したと判断した場合(S103:YES)、制御部300は、記憶部301内の番号発行テーブルを参照し、要求元の新規設置端末に対して付与すべき無線機番号を決定する(ステップS104)。例えば、制御部300は、発行予定の無線機番号のうち、番号発行テーブルに記憶された無線機番号を除く最も小さい無線機番号を、要求元の新規設置端末に付与すべき無線機番号として決定する。
【0053】
次いで、制御部300は、ステップS104で決定した無線機番号を含む発行応答を生成し、直接的に、又は既存の1又は複数の無線子機22を介して、生成した発行応答を要求元の新規設置端末へ送信する(ステップS105)。
【0054】
次いで、制御部300は、発行した無線機番号が過去に他の無線子機22に発行したことのある無線機番号であるか否かを判断する(ステップS106)。例えば、既存の無線子機22が狭域無線網N2内から取り外され、当該無線子機22の無線機ID及び無線機番号が番号発行テーブルから削除された場合、制御部300は、削除された無線機番号を、過去に発行したことのある無線機番号として記憶部301に記憶させる。制御部300は、この無線機番号と同一の無線機番号を新規設置端末に付与したか否かを判断することにより、過去に他の無線子機22に発行したことのある無線機番号であるか否かを判断することができる。
【0055】
発行した無線機番号が過去に他の無線子機22に発行したことのある無線機番号でないと判断した場合(S106:NO)、制御部300は、本フローチャートによる処理を終了する。
【0056】
発行した無線機番号が過去に他の無線子機22に発行したことのある無線機番号であると判断した場合(S106:YES)、制御部300は、その旨を無線親機21へ通知する(ステップS107)。このとき、番号発行無線機30は、新規設置端末に対して発行した無線機番号、新規設置端末の無線機ID等の情報を無線親機21に通知する構成としてもよい。
【0057】
一方、新規設置端末の制御部220は、ステップS102で番号発行要求を送信した後、番号発行無線機30から送信される発行応答を受信したか否か判断する(ステップS108)。発行応答を受信していないと判断した場合(S108:NO)、制御部220は、番号発行無線機30から発行応答を受信するまで待機する。
【0058】
発行応答を受信したと判断した場合(S108:YES)、制御部220は、受信した発行応答に含まれる自機宛の無線機番号を抽出し、抽出した無線機番号を記憶部221内に記憶させる(ステップS109)。
【0059】
以上のように、実施の形態1では、狭域無線網N2内に新たな無線子機22を接続した際に、過去に他の無線子機22に付与したことのある無線機番号と同一の無線機番号を発行した場合には、その旨の情報を無線親機21へ通知することができるので、無線機番号を使い回したことに伴う通信エラー、情報漏洩等を防止することができる。
【0060】
(実施の形態2)
実施の形態2では、重複した無線機番号が割り当てられた無線子機22との通信を停止する構成について説明を行う。
なお、無線テレメータシステムの全体構成、及び各機器の構成等は実施の形態1と同様であるため、その説明を省略することとする。
【0061】
図7は実施の形態2に係る無線親機21が実行する処理の手順を説明するフローチャートである。無線親機21の制御部210は、狭域無線通信部213を通じて、過去に他の無線子機22に発行したことのある無線機番号と同一の無線機番号を新規設置端末に発行した旨の通知を番号発行無線機30から受信したか否かを判断する(ステップS201)。通知を受信していない場合(S201:NO)、制御部210は、本フローチャートによる処理を終了する。
【0062】
通知を受信したと判断した場合(S201:YES)、制御部210は、新規設置端末との通信を停止する(ステップS202)。無線親機21は、狭域無線網N2の外部から新規設置端末宛のデータを受信した場合、又は新規設置端末を送信元として狭域無線網N2の外部へ送信するデータを受信した場合において、通信を停止させることにより、通信エラー、情報漏洩を防止することができる。
【0063】
(実施の形態3)
実施の形態3では、新たに接続された無線子機22に対する通信停止を行った場合において、当該無線子機22の機器IDがホスト側へ通知されるタイミングで、通信停止を解除する構成について説明を行う。
なお、無線テレメータシステムの全体構成、及び各機器の構成等は実施の形態1と同様であるため、その説明を省略することとする。
【0064】
新規設置端末がセンタ側へ発呼するタイミングで新規設置端末の無線機ID及び無線機番号が通知され、狭域無線網N2で正規の通信機器としての運用が開始される。このため、無線親機21は、新規設置端末からセンタ側への発呼を受信した場合、新規設置端末に対する通信停止を解除する構成としてもよい。
【0065】
図8は実施の形態3に係る無線親機21が実行する処理の手順を説明するフローチャートである。無線親機21の制御部210は、狭域無線通信部213を通じて、新規設置端末からセンタ側への発呼を受信したか否かを判断する(ステップS301)。発呼を受信していない場合(S301:NO)、制御部210は、新規設置端末からセンタ側への発呼を受信するまで待機する。
【0066】
発呼を受信した場合(S301:YES)、制御部210は、受信した発呼を広域無線通信部212を通じてセンタ側へ送信する(ステップS302)。
【0067】
次いで、制御部210は、発呼の送信元に対する通信停止を実施しているか否かを判断(ステップS303)、通信停止を実施している場合(S303:YES)、制御部210は、通信停止を解除する(ステップS304)。通信停止を実施していない場合(S303:NO)、制御部210は、本フローチャートによる処理を終了する。
【0068】
以上のように、実施の形態3では、狭域無線網N2内の正規の端末であると判断できる場合に、通信停止を解除することができる。
【0069】
(実施の形態4)
実施の形態4では、ゲートウェイ無線機を介して他の狭域無線網に接続された各機器と通信を行う構成について説明を行う。
【0070】
図9は実施の形態4に係る無線テレメータシステムの全体構成を示すブロック図である。本実施の形態に係る無線テレメータシステムは、上述した無線親機21、無線子機22、メータ23、及び番号発行無線機30の他、BB−GW無線機(バックボーン・ゲートウェイ無線機)40、複数のBB無線機(バックボーン無線機)41,41,…、GW無線機(ゲートウェイ無線機)42により狭域無線網NAを形成する。なお、無線親機21は、広域無線網N1を介してセンタ側の装置(ホストコンピュータ11及びセンタ側網制御装置12)に接続される。
【0071】
BB−GW無線機40は、無線親機21とBB無線機41との通信を中継する機能を有する。また、GW無線機42は、無線子機22とBB無線機41との通信を中継する機能を有する。
【0072】
狭域無線網NA内のBB無線機41は、狭域無線網NAと同様のネットワーク構成を有する他の狭域無線網NB内のBB無線機(不図示)と通信可能に設置されている。狭域無線網NA内のBB無線機41は、狭域無線網NB内の機器から送信されるデータを受信した場合、BB−GW無線機40又はGW無線機42を介して無線親機21又は無線子機22へ転送する。このとき、BB−GW無線機40及びGW無線機42は、外部から受信したデータを無線親機21又は無線子機22が解釈可能なデータに変換して、無線親機21又は無線子機22にデータを転送するようにしてもよい。
【0073】
また、狭域無線網NA内のBB無線機41は、狭域無線網NB内の機器へ送信すべきデータを受信した場合、狭域無線網NB内のBB無線機を通じてデータを転送することができる。このため、実施の形態1と同様の手順にて、狭域無線網NA内で新たな無線子機22を接続した際に、過去に他の無線子機22に付与したことのある無線機番号と同一の無線機番号を発行した場合には、その旨の情報を狭域無線網NB内の機器(例えば、無線親機21)へ通知することができる。
【0074】
今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0075】
以上の実施の形態に関し、更に以下の付記を開示する。
【0076】
本願の無線通信システムは、夫々が固有の識別子を有する無線親機(21)及び複数の無線子機(22)、並びに、前記無線親機(21)及び複数の無線子機(22)により形成される無線網内で夫々を識別する識別番号を、前記無線親機(21)又は各無線子機(22)からの要求に応じて発行し、発行した識別番号と発行先の無線親機(21)又は無線子機(22)の識別子とを関連付けて番号発行テーブルに記憶する番号発行無線機(30)を含み、該番号発行無線機(30)が発行した識別番号により識別される無線親機(21)及び複数の無線子機(22)間で無線通信を行う無線通信システムにおいて、前記番号発行無線機(30)は、前記無線網(N2)から取り外された無線子機(22)の識別子、及び該識別子に関連付けられて前記番号発行テーブルに記憶されている無線機番号を特定する特定手段(300)と、前記無線網(N2)に新たに接続される無線子機(22)からの要求に応じて、前記特定手段(300)が特定した識別番号と同一の識別番号を発行した場合、その旨を前記無線親機(21)へ通知する通知手段(302)とを備えることを特徴とする。
【0077】
本願では、無線網内に新たな無線子機を接続した際に、過去に他の無線子機に付与したことのある無線機番号と同一の無線機番号を発行した場合には、その旨の情報を無線親機へ通知することができるので、無線機番号を使い回したことに伴う通信エラー、情報漏洩等を防止することができる。
【0078】
本願の無線通信システムは、前記無線親機(21)は、前記特定手段(300)が特定した識別番号と同一の識別番号を発行した旨の通知を前記番号発行無線機(30)から受信した場合、該識別番号により識別される無線子機(22)との通信を停止する手段(210)を備えることを特徴とする。
【0079】
本願では、無線親機は、無線網の外部から新規設置端末宛のデータを受信した場合、又は新規設置端末を送信元として外部へ送信するデータを受信した場合において、通信を停止させることにより、通信エラー、情報漏洩を防止することができる。
【0080】
本願の無線通信システムは、前記無線網(N2)とは異なる通信網(N1)を介して前記無線親機(21)と通信可能に接続された通信装置(11)を更に含み、前記無線親機(21)は、前記無線子機(22)から前記通信装置(11)への所定の通信のみを許可するようにしてあり、前記所定の通信が行われた場合、前記無線子機(22)との通信停止を解除するようにしてあることを特徴とする。
【0081】
本願では、無線網内の正規の端末であると判断できる場合には、通信を再開させることができる。
【0082】
本願の番号発行無線機は、夫々が固有の識別子を有する無線親機(21)及び複数の無線子機(22)により形成される無線網(N2)に接続され、前記無線親機(21)又は各無線子機(22)からの要求に応じて前記無線網(N2)内で夫々を識別する識別番号発行し、発行した識別番号と発行先の無線親機(21)又は無線子機(22)の識別子とを関連付けて番号発行テーブルに記憶する番号発行無線機(30)において、前記無線網(N2)から取り外された無線子機(22)の識別子、及び該識別子に関連付けられて前記番号発行テーブルに記憶されている無線機番号を特定する特定手段(300)と、前記無線網(N2)に新たに接続される無線子機(22)からの要求に応じて、前記特定手段(300)が特定した識別番号と同一の識別番号を発行した場合、その旨を前記無線親機(21)へ通知する通知手段(302)とを備えることを特徴とする。
【0083】
本願では、無線網内に新たな無線子機を接続した際に、過去に他の無線子機に付与したことのある無線機番号と同一の無線機番号を発行した場合には、その旨の情報を無線親機へ通知することができるので、無線機番号を使い回したことに伴う通信エラー、情報漏洩等を防止することができる。