【文献】
Sungkyung Kim,Sungcheol Chang,Chulsik Yoon,Group Handover on Mobile RS,IEEE C802.16j-06/227r1,米国,IEEE 802.16's Relay Task Group,2006年11月12日,Page 7,Lines 32-35,URL,http://www.ieee802.org/16/relay/contrib/C80216j-06_227r1.pdf
【文献】
Mary Chion, Hongyun Qu, Huanxi Tan,Drops During MS and MRS Handover,IEEE C802.16j-07/506,米国,IEEE 802.16's Relay Task Group,2007年 9月10日,Page 2, Lines 21-23,URL,http://www.ieee802.org/16/relay/contrib/C80216j-07_506.pdf
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、マクロセル基地局は、中継装置からのメジャーレポートに基づき、通信品質や通信量等を判断する。中継装置との通信品質が悪化したり通信量が多くなったりすると、当該中継装置に対し隣接した他のマクロセル基地局へ接続切替(ハンドオーバー)すべき旨の指示を出すようになっている。
【0005】
中継装置が接続先を切り替える場合、新たなマクロセル基地局と中継装置とが接続を再確立する必要がある。特に、接続切替の前後で、それぞれのマクロセル基地局における通信品質が同程度の場合、それぞれのマクロセル基地局が接続切替指示を繰り返すため、頻繁にハンドオーバーが生じる。例えば、第1のマクロセル基地局から第2のマクロセル基地局へ接続を切り替えた直後に、再び第2のマクロセル基地局から第1のマクロセル基地局へ接続が再度切り替えられるような場合である。ハンドオーバーが繰り返されると、新たな通信確立のための時間が必要となり、コンテンツ伝送以外の通信確立のために通信データが費やされることになるため、通信品質が悪化する。さらに悪くすると、一旦確立したセキュリティ確保のためのIPパケットが解消されてしまった場合には、その再確立するまでの数十秒間、中継装置と端末装置とのアクセス無線通信が遮断されてしまう。
【0006】
本発明は、上記の事情に鑑みて創案されたものであり、マクロセル基地局間において生じるハンドオーバーの頻度を抑制することができる中継装置、および当該中継装置を備える移動体通信システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係る中継装置は、端末装置とマクロセル基地局との間の通信を中継し、かつ、接続中のマクロセル基地局から異なるマクロセル基地局へ接続を切り替え可能な中継装置であって、接続先とするマクロセル基地局を識別する接続先識別情報に基づき特定のマクロセル基地局への接続を確立し、当該マクロセル基地局から他のマクロセル基地局への接続を切り替えるべき旨の接続切替要求を受信した場合には当該接続切替要求に基づく他のマクロセル基地局への接続切替
が可能であるか否かに関わらず当該接続切替を禁止する。
【0008】
ただし、中継装置は、受信した前記接続切替要求に特定の優先情報が含まれている場合には、当該接続切替要求に対応する他のマクロセル基地局への接続切替を許可するようにすることは好ましい。
【0009】
さらに中継装置は、最初に接続すべきマクロセル基地局情報が変更可能に設定されていることは好ましい。
【0010】
また、本発明に係る移動体通信システムは、端末装置とマクロセル基地局との間に介在し、接続中のマクロセル基地局から異なるマクロセル基地局へ接続を切り替え可能な中継装置を備え、前記中継装置は、接続先とするマクロセル基地局を識別する接続先識別情報に基づき特定のマクロセル基地局への接続を確立し、当該マクロセル基地局から他のマクロセル基地局への接続を切り替えるべき旨の接続切替要求を受信した場合には当該接続切替要求に基づく他のマクロセル基地局への接続切替
が可能であるか否かに関わらず当該接続切替を禁止する。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る中継装置および移動体通信システムによれば、マクロセル基地局間において生じるハンドオーバーの頻度を抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。まず複数の実施形態で共通するシステム構成について説明し、次いで当該システムの第1から第3の動作について説明する。
【0014】
なお、以下に説明する実施形態は、あくまでも例示であり、以下に明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。すなわち、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変形(各実施例を組み合わせる等)して実施することができる。また、以下の図面の記載において、同一または類似の部分には同一または類似の符号を付して表している。図面は模式的なものであり、必ずしも実際の寸法や比率等とは一致しない。図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることがある。
【0015】
〔システム構成〕
図1は、本実施形態に係る移動通信システムの構成を示す模式図である。
図1に示すように、本実施形態に係る移動体通信システム100は、無線ネットワークに係る構成とコアネットワークに係る構成とを備える。以下説明する。
【0016】
(無線ネットワーク)
図1に示すように、移動体通信システム100の無線ネットワークとしては、端末装置10、中継装置20、およびマクロセル基地局30-1、30−2、・・・(特段基地局を区別しない場合には「マクロセル基地局30」と称する)を備える。
【0017】
端末装置10は、スマートフォン、携帯電話等の移動体通信端末であり、UE(
User
Equipment)とも呼ばれる。
図1では、中継装置20の通信可能範囲に在圏するとともに、マクロセル基地局30−2の通信可能範囲にも在圏しているものとする。
【0018】
中継装置20は、本発明に係り、マクロセル基地局30と端末装置10とを中継するノードという意味でReNB(
Regenerative repeater type
eNode
B)とも呼ばれている。中継装置20は、リレーノード(Relay Node)22およびアクセスノード(Access Node)24を備える。リレーノード22とアクセスノード24とは、独立した別個の装置として構成されていても、双方の機能を集約した一体型の装置として構成されていてもよい。
【0019】
リレーノード22は、無線ネットワークにおける一つのノードを構成し、マクロセル基地局30との間でバックホール無線通信を確立するノードである。リレーノード22は、顧客構内機器CPE(
Customer
Premises
Equipment)とも呼ばれる。リレーノード22は、通信規格で選択可能に定められている複数の周波数帯域のなかからいずれかの周波数帯域を選択して、マクロセル基地局30と通信を確立することが可能になっている。リレーノード22は、定期的に周辺の周波数帯域における通信品質や通信量を測定し、その測定結果をメジャーメントレポート(measurement report)として、バックホール無線で接続されているマクロセル基地局30に送信するようになっている。
【0020】
アクセスノード24は、無線ネットワークにおける一つのノードを構成し、端末装置10との間でアクセス無線通信を確立するノードである。アクセスノード24は、通信端末10に対しパケット通信サービス(例えば音声パケット通信サービス、マルチメディアサービス等)を提供する。アクセスノード24が形成するセルサイズは、マクロセル基地局30よりも小規模であり、半径数メートルから数十メートルの通信エリアを構築する。アクセスノード24は、LTE規格ではHeNB(
Home
eNode
B)やフェムトセル(FMC:
Femto
Cell)基地局とも呼ばれている。
【0021】
マクロセル(MCC:
Ma
cro
Cell)基地局30は、リレーノード22との間で無線通信を確立する他、端末装置10との間でも直接アクセス無線通信を確立するように構成されている。マクロセル基地局30は、半径数百メートルから十数キロメートルの通信エリアを構築する。マクロセル基地局30は、ドナー基地局(Donor eNB)とも呼ばれ、特にLTE規格では、eNB(
eNode
B)とも呼ばれている。マクロセル基地局30は、中継装置20のリレーノード22からメジャーメントレポートが送信されてきた場合には、バックホール無線通信の通信品質および通信量を所定の閾値との比較に基づいて判定し、通信品質が一定程度悪化したり通信量が所定量以上多くなったりしたと判断される場合には、リレーノード22に接続切替要求を送信し、他のマクロセル基地局へ通信を切り替えるように、すなわちハンドオーバーするように指示するようになっている。
【0022】
(コアネットワーク)
図1に示すように、移動体通信システム100は、さらにコアネットワークに係る構成として、第1コアネットワークEPC(
Evolved
Packet
Core)40、フェムト・コアネットワーク(Femto CNW:Core Network)50、第2コアネットワークEPC60、およびIPマルチメディアサブシステムIMS(
IP
Multimedia
Subsystem)70を備えている。なお、本実施形態では、第1コアネットワーク40、フェムト・コアネットワーク50、および第2コアネットワーク60とを備えるものとして説明するが、コアネットワークの構成はこれに限られない。
【0023】
第1コアネットワークEPC40は、主として、パケットデータ回線網交換やセキュリティー機能、端末装置10の移動管理、無線通信の品質管理(QoS:Quality of Service)等を実施するネットワークである。第1コアネットワーク40は、これら機能を実現するための各種装置として、図示しないが、信号交換機SGW(
Signaling
Gate
way)、パケットデータ回線網交換機PGW(
Packet Data Network
Gate
way)、セキュリティ交換機SeGW(
Security
Gate
way)、移動管理装置MME(
Mobility
Management
Entity)、および品質管理サーバQCS(
Quality
Control
Server)等を備える。
【0024】
フェムト・コアネットワーク50は、中継装置20に関する各種の管理を行うネットワークである。フェムト・コアネットワーク50は、フェムトOAM(
Operation
Administration and
Maintenance)52に接続され、中継装置20に関する故障管理、品質管理、起動/停止化制御管理を実行するように構成されている。
【0025】
第2コアネットワークEPC60は、発呼・着呼の接続制御、外部ネットワークとの情報交換、パケット交換、課金管理等を実施するネットワークである。第2コアネットワーク60は、これら機能を実現するための各種装置として、図示しないが、移動通信交換局MSC(
Mobile
Services
Switching
Center)、関門交換ノードGMSC(
Gateway
Mobile−services
Switching
Center)、信号交換機SGW、パケットデータ回線網交換機PGW、移動管理装置MME、および通信ポリシー課金規約管理装置等を備える。
【0026】
IPマルチメディアサブシステムIMS70は、インターネットプロトコルによる通信制御を実行するシステムで、VoIP(
Voice
over
Internet
Protocol)による音声通話やマルチメディアサービスを取り扱う基盤システムである。IMS70はインターネットに接続されている。
【0027】
〔システムの動作〕
(第1の動作)
次に、
図4を参照して、本実施の形態に係る移動通信システム100の第1の動作について説明する。
図4は本第1の動作を説明するシーケンス図である。
【0028】
本第1の動作では、例えば、中継装置20が接続先識別情報に基づき、マクロセル基地局30−1への接続を確立した後、他のマクロセル基地局30−2に接続切替(ハンドオーバー)要求が出された場合の動作に関する。
【0029】
まず、中継装置20のアクセスノード24に端末装置10が接続されている場合には、端末装置10とアクセスノード24との間では、アクセス無線通信(AC)が実行されている。また中継装置20のリレーノード22は、最初に接続先とすべきマクロセル基地局を識別する接続先識別情報に基づき、マクロセル基地局30−1への接続が確立され、リレーノード22とマクロセル基地局30−1との間にはバックホール無線通信(BH)が確立されている(ステップST10)。
【0030】
この状態で、リレーノード22は、定期的に周辺の周波数帯域における通信品質や通信量を測定し、その測定結果をメジャーメントレポートとして定期的にバックホール無線通信が確立されているマクロセル基地局30−1に送信する(ステップST11)。
【0031】
ここで、マクロセル基地局30−1は、リレーノード22から送付されてきたメジャーメントレポートを参照して、所定の閾値との比較に基づいてバックホール無線通信(BH)の通信品質や通信量を判定する。そして、通信品質が一定程度悪化したり通信量が所定量以上多くなったりしたと判断される場合には、マクロセル基地局30−2へ通信を切り替える旨のハンドオーバーすべき旨の接続切替要求をリレーノード22に送信するようになっている(ステップST12)。
【0032】
しかしながら、本第1の動作では、当該マクロセル基地局30−1から他のマクロセル基地局30−2への接続を切り替えるべき旨の接続切替要求を受信した場合でも、中継装置20のリレーノード22は当該接続切替要求に基づく他のマクロセル基地局30−2への接続切替を禁止する(ST13)。すなわち、本第1の動作では、一旦リレーノード22が所定のマクロセル基地局30−1に接続したら、その後に接続切替要求を受信しても無視し、当該マクロセル基地局30−1との接続を継続させるように動作するのである。
【0033】
したがって、第1の動作によれば、通常の接続切替要求を中継装置20(リレーノード22)が無視するので、マクロセル基地局間において生じるハンドオーバーの頻度を抑制することができる。
【0034】
(第2の動作)
次に、
図5を参照して、本実施の形態に係る移動通信システム100の第2の動作について説明する。
図5は本第2の動作を説明するシーケンス図である。
【0035】
本第2の動作では、例えば、中継装置20が接続先識別情報に基づき、マクロセル基地局30−1への接続を確立し、上記第1の動作のように、マクロセル基地局30−1から通常の接続切替要求が送信されてきてもそれを無視するようにしている場合であっても、接続切替の優先情報として特定のマクロセル基地局30−3が含まれている場合の動作である。
【0036】
まず中継装置20のアクセスノード22に端末装置10が接続されている場合には、端末装置10と中継装置20のアクセスノード22との間では、アクセス無線通信(AC)が実行されている。また中継装置20のリレーノード22は、最初に接続先とすべきマクロセル基地局を識別する接続先識別情報に基づき、マクロセル基地局30−1への接続が確立され、リレーノード22とマクロセル基地局30−1との間にはバックホール無線通信(BH)が確立されている(ステップST20)。
【0037】
ここで、上記第1の動作で説明したように、リレーノード22は定期的にメジャーメントレポートをマクロセル基地局30−1に送信する(ステップST21)。そして、マクロセル基地局30−1は、通信品質が一定程度悪化したり通信量が所定量以上多くなったりしたと判断した場合には他のマクロセル基地局30−2へハンドオーバーすべき旨の接続切替要求をリレーノード22に送信する(ステップST22)。上記第1の動作に従えば、本実施形態において、リレーノード22はこの接続切替要求を無視する(ステップST23)。
【0038】
しかしながら、何らかの事情で、現在通信が確立しているマクロセル基地局以外の基地局にハンドオーバーさせる必要が生じる場合がある。そのような場合、特定のマクロセル基地局に優先的に接続切替すべき旨の優先情報を含ませる。中継装置は、このような優先情報を伴ってハンドオーバーすべき旨の接続切替要求が送信されてきた場合には、この要求に従うように構成されている。
【0039】
例えば、中継装置20に優先的に特定のマクロセル基地局(マクロセル基地局30−3とする)へ接続切替させたい特別な事情が存在する場合には、マクロセル基地局30−1(またはコアネットワーク側の所定のサーバ)は、接続切替要求に、マクロセル基地局30−3に優先的に接続切替すべき旨の特定の優先情報(すなわち、マクロセル基地局30−3が優先切替先である旨の情報)を含める(ステップST25)。
【0040】
中継装置20は、受信した接続切替要求にこの特定の優先情報が含まれている場合には、当該特定の優先情報に対応するマクロセル基地局30−3への接続切替を許可し、リレーノード22とマクロセル基地局30−3との間で接続が確立され、バックホール無線通信(BH)が実行される(ST26)。
【0041】
したがって、第2の動作によれば、マクロセル基地局間において頻繁に生じるハンドオーバーの回数を抑制しながらも、特別の優先情報が含まれている場合には優先情報で指定されたマクロセル基地局への接続切替を実行させることができ、強制的なハンドオーバーを可能とすることができる。
【0042】
(第3の動作)
次に、
図6を参照して、本実施の形態に係る移動通信システム100の第3の動作について説明する。
図6は本第3の動作を説明するフローチャートである。
【0043】
本第3の動作では、例えば、撤廃されるマクロセル基地局が30−1であり、近傍に新たに設置されるマクロセル基地局が30−2である場合の動作である。
【0044】
本第3の動作では、本実施の形態に係る移動通信システム100は、初回に接続するマクロセル基地局30−1が撤廃されたり、近傍に新たなマクロセル基地局30−2が設置されたりする場合に備え、最初に接続すべきマクロセル基地局情報を変更可能に設定されている。
【0045】
すなわち、
図6に示すように、定期的に、既存のマクロセル基地局30−1が撤廃されたか否かが判断される(ステップST30)。既存のマクロセル基地局30−1が撤廃された場合には(ST30/YES)、マクロセル基地局情報が書き替えられる(ステップST33)。
【0046】
他方、既存のマクロセル基地局30−1に変更がない場合には(ステップST30/NO)、さらに新規なマクロセル基地局30−2が開局したか否かが判断される(ステップST31)。そして、マクロセル基地局30−2が新設された場合には(ステップST31/YES)、マクロセル基地局情報が書き替えられる(ステップST33)。
【0047】
他方、マクロセル基地局30−2の新設がない場合には(ステップST31/NO)、既存のマクロセル基地局情報が維持される(ステップST32)。
【0048】
以上、本第3の動作に係る移動通信システム100では、最初に接続すべきマクロセル基地局情報が変更可能に設定されている。すなわち、マクロセル基地局30−1が撤廃されたり、近傍に新たなマクロセル基地局30−2が設置されたりする場合にのみ、接続すべきマクロセル基地局の情報が書き換えられる。したがって、本第3の動作によれば、マクロセル基地局間において生じるハンドオーバーの頻度を抑制しながらも、必要に応じて起こりうるマクロセル基地局の撤廃や新設にも備えることができる。
【0049】
〔その他の実施の形態〕
上記のように本発明を実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす記述及び図面はこの発明を限定するものであると理解するべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかになるはずである。
【0050】
例えば、上記の実施形態における中継装置は、リレーノードとアクセスノードとを統合した一体型基地局を例示して説明したが、
図3に示すように、中継装置20はリレーノード24とアクセスノード22とを分離した分離型基地局であっても構わない。分離型基地局の場合、1基のリレーノードに対して、アクセスノードが複数の設けられることもある。