特許第6433517号(P6433517)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三菱電機株式会社の特許一覧 ▶ 国立大学法人九州大学の特許一覧

<>
  • 特許6433517-放射線測定装置および放射線測定方法 図000005
  • 特許6433517-放射線測定装置および放射線測定方法 図000006
  • 特許6433517-放射線測定装置および放射線測定方法 図000007
  • 特許6433517-放射線測定装置および放射線測定方法 図000008
  • 特許6433517-放射線測定装置および放射線測定方法 図000009
  • 特許6433517-放射線測定装置および放射線測定方法 図000010
  • 特許6433517-放射線測定装置および放射線測定方法 図000011
  • 特許6433517-放射線測定装置および放射線測定方法 図000012
  • 特許6433517-放射線測定装置および放射線測定方法 図000013
  • 特許6433517-放射線測定装置および放射線測定方法 図000014
  • 特許6433517-放射線測定装置および放射線測定方法 図000015
  • 特許6433517-放射線測定装置および放射線測定方法 図000016
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6433517
(24)【登録日】2018年11月16日
(45)【発行日】2018年12月5日
(54)【発明の名称】放射線測定装置および放射線測定方法
(51)【国際特許分類】
   G01T 1/36 20060101AFI20181126BHJP
   G01T 1/17 20060101ALI20181126BHJP
   G01T 1/20 20060101ALI20181126BHJP
   G01T 1/24 20060101ALI20181126BHJP
【FI】
   G01T1/36 D
   G01T1/17 H
   G01T1/17 F
   G01T1/20 F
   G01T1/24
【請求項の数】9
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-574747(P2016-574747)
(86)(22)【出願日】2016年2月2日
(86)【国際出願番号】JP2016053039
(87)【国際公開番号】WO2016129455
(87)【国際公開日】20160818
【審査請求日】2017年5月2日
(31)【優先権主張番号】特願2015-26455(P2015-26455)
(32)【優先日】2015年2月13日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】504145342
【氏名又は名称】国立大学法人九州大学
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 一宏
(74)【代理人】
【識別番号】100147566
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100161171
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 潤一郎
(72)【発明者】
【氏名】東 哲史
(72)【発明者】
【氏名】西沢 博志
(72)【発明者】
【氏名】林 真照
(72)【発明者】
【氏名】仲嶋 一
(72)【発明者】
【氏名】関 真規人
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 幸信
(72)【発明者】
【氏名】金 政浩
【審査官】 藤本 加代子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−066518(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/041836(WO,A1)
【文献】 特開2013−037008(JP,A)
【文献】 特開2002−055171(JP,A)
【文献】 特開2005−257524(JP,A)
【文献】 米国特許第07498964(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01T 1/00−7/12
JSTPlus(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線検出器により放射線を検出し検出結果をパルス信号として出力する検出部と、
前記検出部からのパルス信号を増幅する増幅部と、
増幅されたパルス信号のパルス波高をもとにパルス波高分布を演算する波高演算部と、
前記パルス波高分布に前記放射線検出器固有の物理特性に従ったフィルタの関数を掛けてスペクトルを整形し、統計的なばらつきによる正規分布を表現した整形パルス波高分布を求めるスペクトル整形部と、
前記整形パルス波高分布に対して前記放射線検出器の応答関数を用いた逆問題演算を行い検出した放射線のエネルギースペクトルを求める逆問題演算部と、
前記エネルギースペクトルから前記放射線検出器固有の統計的なばらつきを排除したエネルギースペクトルを求めて入射した放射線本来のエネルギーを推定するピーク推定部と、
ピーク推定された前記エネルギースペクトルを表示する表示部と、
を備えた放射線測定装置。
【請求項2】
前記放射線検出器がシンチレーション式の放射線検出器であり、
前記スペクトル整形部のフィルタが、
放射線によるシンチレーション式の前記放射線検出器へのエネルギー付与については放射線挙動解析を用い、シンチレーション光が電子に変換されるまでの光学特性については光線挙動解析を用い、前記放射線挙動解析および前記光線挙動解析を組み合わせた解析によってシンチレーション式の前記放射線検出器の物理特性を基に設計されたものである請求項1に記載の放射線測定装置。
【請求項3】
前記放射線検出器が半導体式の放射線検出器であり、
前記スペクトル整形部のフィルタが、
放射線による半導体式の前記放射線検出器へのエネルギー付与については放射線挙動解析を用い、電子正孔対の生成からパルス信号の出力に至るまでの過程については半導体デバイス特性挙動解析を用い、これらの解析を組み合わせた解析によって半導体式の前記放射線検出器の物理特性を基に設計されたものである請求項1に記載の放射線測定装置。
【請求項4】
前記スペクトル整形部の前記フィルタが、実験に基づく前記放射線検出器のエネルギー分解能を基に正規分布で近似したフィルタである請求項1に記載の放射線測定装置。
【請求項5】
前記スペクトル整形部の前記フィルタが、放射線のエネルギーの関数として得られる前記放射線検出器のエネルギー分解能を標準偏差とする正規分布形状フィルタである、請求項4に記載の放射線測定装置。
【請求項6】
前記スペクトル整形部の前記フィルタが、放射線のエネルギーの関数として得られる前記放射線検出器のエネルギー分解能を標準偏差とするローレンツ分布の前記標準偏差を変更するフィルタである請求項4に記載の放射線測定装置。
【請求項7】
前記スペクトル整形部の前記フィルタが、放射線のエネルギーの関数として得られる前記放射線検出器のエネルギー分解能を標準偏差とするフォークト分布の前記標準偏差を変更するフィルタである請求項4に記載の放射線測定装置。
【請求項8】
前記スペクトル整形部の前記フィルタが、放射線のエネルギーの関数として得られる前記放射線検出器のエネルギー分解能を標準偏差とし、前記標準偏差に応じて、移動平均法の平滑化幅を変更するフィルタである請求項4に記載の放射線測定装置。
【請求項9】
放射線検出器により放射線を検出し検出結果をパルス信号として出力し、
増幅された前記パルス信号のパルス波高をもとにパルス波高分布を演算し、
前記パルス波高分布に前記放射線検出器固有の物理特性に従ったフィルタの関数を掛けてスペクトルを整形し、統計的なばらつきによる正規分布を表現した整形パルス波高分布を求め、
前記整形パルス波高分布に対して前記放射線検出器の応答関数を用いた逆問題演算を行い検出した放射線のエネルギースペクトルを求め、
前記エネルギースペクトルから前記放射線検出器固有の統計的なばらつきを排除したエネルギースペクトルを求めて入射した放射線本来のエネルギーを推定し、
ピーク推定された前記エネルギースペクトルを表示部に表示する、
工程を備えた放射線測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、放射線を短時間に測定する機能を備えた放射線測定装置および放射線測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば下記特許文献1には、検出器の応答関数を用いた逆問題演算を利用する放射能分析装置であって、放射線検出器の劣化状態に合わせて逆問題演算に用いる最適な応答関数を選択することで、逆問題演算の最適化を図り、測定の精度および信頼性を確保する機能を有するものが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第WO2014/041836号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
放射線計測では、測定時間に起因する統計的なばらつきに伴う統計誤差が存在する。そのため、逆問題演算を用いた放射線計測では、測定時間が短く統計誤差が大きい場合、演算によって得られる解の精度が低下する課題があった。
【0005】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、逆問題の演算による解が安定した演算結果となる放射線測定装置および放射線測定方法を得ることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、放射線検出器により放射線を検出し検出結果をパルス信号として出力する検出部と、前記検出部からのパルス信号を増幅する増幅部と、増幅されたパルス信号のパルス波高をもとにパルス波高分布を演算する波高演算部と、前記パルス波高分布に前記放射線検出器固有の物理特性に従ったフィルタの関数を掛けてスペクトルを整形し、統計的なばらつきによる正規分布を表現した整形パルス波高分布を求めるスペクトル整形部と、前記整形パルス波高分布に対して前記放射線検出器の応答関数を用いた逆問題演算を行い検出した放射線のエネルギースペクトルを求める逆問題演算部と、前記エネルギースペクトルから前記放射線検出器固有の統計的なばらつきを排除したエネルギースペクトルを求めて入射した放射線本来のエネルギーを推定するピーク推定部と、ピーク推定された前記エネルギースペクトルを表示する表示部と、を備えた放射線測定装置等にある。
【発明の効果】
【0007】
この発明では、逆問題の演算による解が安定した演算結果となる放射線測定装置等を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】この発明の各実施の形態による放射線測定装置の概略構成図である。
図2】この発明の各実施の形態による放射線測定装置の検出部での放射線検出器に入射した放射線によるパルス信号の出力を説明するための概念図である。
図3】この発明の各実施の形態による放射線測定装置の波高演算部での動作を説明するための概念図である。
図4】この発明に係る放射線検出器での発生電子数が少ない場合と多い場合のそれぞれのパルス波高分布を示す概念図である。
図5】この発明に係る放射線のエネルギーに対するエネルギー分解幅を説明するための模式図である。
図6】この発明に係る放射線のエネルギーに対するエネルギースペクトル(計数頻度)を説明するための概念図を示す。
図7】この発明に係るパルス波高分布に統計的なばらつきが少ない場合の概念図である。
図8】この発明に係るパルス波高分布に統計的なばらつきが大きい場合の概念図である。
図9】この発明の各実施の形態による放射線測定装置の検出部で使用されるシンチレーション式の放射線検出器の動作原理を説明するための概念図である。
図10】この発明の各実施の形態による放射線測定装置の検出部で使用される半導体式の放射線検出器の動作原理を説明するための概念図である。
図11】この発明の各実施の形態による放射線測定装置のハードウェア構成の一例を示す概略図である。
図12】この発明の実施の形態1による放射線測定装置におけるスペクトル整形部の動作を説明するための概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
この発明によれば、逆問題演算を行う放射線計測にスペクトル整形部とピーク推定部を組み合わせることで、波高演算部が出力するパルス波高分布の測定時間に起因する統計誤差が大きい場合でも、放射線検出器が放射線を検出した際に発生する電子数の平方根によって決定される統計的なばらつきを考慮することで、逆問題の演算を正確に解くことができ、測定の信頼性を確保することができる。
【0010】
以下、この発明による放射線測定装置を各実施の形態に従って図面を用いて説明する。なお、各実施の形態において、同一もしくは相当部分は同一符号で示し、重複する説明は省略する。
【0011】
実施の形態1.
図1はこの発明の各実施の形態による放射線測定装置の概略構成図である。この発明による放射線測定装置は、放射線を検出する検出部1、増幅部2、波高演算部3、スペクトル整形部4、逆問題演算部5、ピーク推定部6、表示部7から構成される。
【0012】
検出部1は、放射線9を検出するとパルス信号11を出力する。
増幅部2は、検出部1からの出力されたパルス信号11を増幅してパルス信号11aを出力する。
波高演算部3は、増幅部2が出力するパルス信号11aを入力して、検出部1が検出した放射線によるパルス波高分布12を作成する。
スペクトル整形部4は、検出部1の物理特性を基に作成したフィルタを波高演算部3が作成したパルス波高分布12に重畳させて模擬的な整形パルス波高分布12aを出力する。
逆問題演算部5は、スペクトル整形部4の出力する整形パルス波高分布12aに対して検出部1に基づく応答関数で逆問題演算を行い放射線のエネルギースペクトル5aを出力する。
ピーク推定部6は、逆問題演算部5が出力する放射線のエネルギースペクトル5aから、検出部1が検出した放射線9がもつ本来のエネルギーを推定したエネルギースペクトル6aを出力する。
表示部7は、ピーク推定部6で得られた検出部1が検出した放射線のエネルギースペクトルを表示する。
【0013】
次に動作について説明する。
図2はこの発明における検出部での放射線検出器に入射した放射線によるパルス信号の出力を説明するための概念図である。検出部1は、図2に示すように、放射線9の中でも主にγ線を検出することが可能な放射線検出器1aを含む。検出部1は、放射線検出器1aの放射線9に対して感度のある有感部8に入射する放射線9の付与するエネルギーによって生成される電子10が作り出すパルス信号11を増幅部2へ出力する。
【0014】
図9にこの発明における検出部で使用されるシンチレーション式の放射線検出器の動作原理を説明するための概念図、また図10に半導体式の放射線検出器の動作原理を説明するための概念図を示す。
【0015】
検出部1の放射線検出器1aがシンチレーション式の放射線検出器の場合、図9に示すように、放射線源22からの放射線9を検出する領域となる放射線の有感部8が、シンチレーション材料で構成される。シンチレーション材料で構成されるシンチレータ23は、放射線9により付与されたエネルギーにより材料の分子が励起され、基底状態に戻る際に蛍光を発生する材料が使用されている。シンチレータ23に放射線が入射すると、シンチレーション材料に固有の波長をもつシンチレーション光24が発生する。シンチレーション式の放射線検出器は、発生したシンチレーション光24を、シンチレーション光24を結合させる光電子増倍管の光電陰極25に集光させる。光電陰極25でシンチレーション光24を電子10に変換し、増幅してパルス信号11として出力する。
【0016】
また、検出部1の放射線検出器1aが半導体式の放射線検出器の場合、図10に示すように、放射線源22からの放射線9を検出する領域となる放射線の有感部8が、ゲルマニウムまたはシリコン、臭化タリウム、カドミウムテルライドなどの半導体材料で構成される。この放射線検出器1aは有感部8を挟んでP型半導体26とN型半導体28を接合したもので構成されている。逆バイアス回路30により、P型半導体26、N型半導体28のそれぞれに設けられた電極からなる両極間に逆方向電圧を印加することで、半導体内に存在していた自由電子が両電極へ引き寄せられる。これにより、自由電子が存在していた領域の自由電子が無くなった空乏層27と呼ばれる領域が生じる。空乏層27に放射線9が入射するとその飛跡に沿って多数の電子10と正孔29が生じ、これが反対符号の電極に向かって移動し流れることで、パルス信号11が出力される。
【0017】
増幅部2は、検出部1の出力となるパルス信号11を予め設定された増幅率に従って増幅したパルス信号11aを波高演算部3へ出力する。
【0018】
図3はこの発明における波高演算部3での動作を説明するための概念図である。波高演算部3は、図3に示すように増幅部2から入力されるパルス信号11aの波高値を横軸に、波高値計数の頻度を縦軸とする放射線のパルス波高分布12を作成し、スペクトル整形部4へ出力する。ここで、パルス信号11aの波高値は、放射線検出器1aに入射した放射線の純粋なエネルギー情報だけでなく、放射線検出器1aや周辺に存在する物質との相互作用による影響が含まれる。
【0019】
また、放射線検出器1aに付与されたエネルギーがパルス信号11を生成する電子10に変換される過程で、放射線検出器固有の統計的なばらつきが生じる。図4はこの発明に係る放射線検出器での発生電子数が少ない場合と多い場合のそれぞれのパルス波高分布を示す概念図である。このパルス波高分布は波高演算部3の出力に相当する。(a)が発生電子数が少ない場合、(b)が発生電子数が多い場合を示す。図4の(a)(b)に示すように、同一のエネルギーをもつ放射線9を測定した場合でも、放射線検出器1aの種類が異なれば統計的なばらつきは異なり、パルス波高分布13、14の形状は異なる。これは、放射線検出器1aによって発生する電子10の数が異なるためであって、パルス信号11ひいてはパルス信号11aの波高値のばらつきとなり、パルス波高分布12は平均値を中心とする統計的なばらつきをもつこととなる。
【0020】
図5にはこの発明に係る放射線のエネルギーに対するエネルギー分解能を説明するための模式図、図6にはこの発明に係る放射線のエネルギーに対するエネルギースペクトルを説明するための概念図を示す。
さらに図7にはこの発明に係るパルス波高分布に統計的なばらつきが少ない場合の概念図、図8にはこの発明に係るパルス波高分布に統計的なばらつきが大きい場合の概念図を示す。
【0021】
図7に示すように放射線9の測定時間を十分にした場合、上述の統計的なばらつきは、付与されたエネルギー値を中心とする正規分布を形成するため、パルス波高分布12は測定時間に対する測定値20と検出部1の放射線検出器1aの理想的なエネルギー分解能すなわち理想値21とが一致する。しかしながら図8に示すように放射線9の測定時間が不十分な場合、パルス波高分布12に上述の統計的なばらつきが生ずるため、測定時間に対する測定値20と検出部1の放射線検出器1aの理想的なエネルギー分解能すなわち理想値21に差異が生ずることとなる。
【0022】
スペクトル整形部4は、波高演算部3が作成したパルス波高分布12に対して、波高値、つまり付与エネルギー軸方向に放射線検出器1aの物理特性を基に設計したフィルタを用いてパルス波高分布12を整形する。なお、放射線検出器の物理特性に基づくフィルタは、予め求めたものをメモリ等に格納して準備しておく。
【0023】
ここで、放射線検出器の物理特性に基づくフィルタによるパルス波高分布12への整形方法について説明する。
放射線検出器1aの物理特性を基に設計されるフィルタとは、放射線検出器1aに入射した放射線9に対応して発生する電子10が作り出すパルス信号11の統計的なばらつきを放射線検出器1aに入射する放射線9のエネルギーで関数化したものである。
【0024】
図4の(a)(b)に示すように、上述の統計的なばらつきは検出部1の放射線検出器1aが出力するパルス信号11を作る電子10の生成数に由来する。パルス波高分布12の全吸収ピーク部分の広がりは正規分布をとり、発生電子数が少ない場合のパルス波高分布13と発生電子数が多い場合のパルス波高分布14のように同一のエネルギーをもつ放射線9を測定した場合でも、パルス波高分布12の形状は異なる。
【0025】
なお、放射線検出器1aがシンチレーション式の場合、放射線9によって発生したシンチレーション光24が光電子増倍管の光電陰極25で電子10へ変換され、パルス信号11を発生させる。
また、放射線検出器1aが半導体式の場合、放射線9によって発生した電子10と正孔29により、パルス信号11を発生させる。これらの発生した電子10の数により、放射線検出器1が出力するパルス信号11の波高値の統計的なばらつきは正規分布に従うことが一般的に知られている。
【0026】
ここで、上述の統計的なばらつきを正規分布の標準偏差σとすると、電子数Nの平方根で表すことができ、また、図5図6に示すように放射線検出器1aに入射する放射線9のエネルギーによっても発生する電子数は異なるため、式(1)に示すように放射線のエネルギーEの関数として表すことができる。
【0027】
σ(E)=√(N(E)) (1)
σ:標準偏差
N:電子数
E:放射線のエネルギー
【0028】
波高演算部3で作成するパルス波高分布12は、図7に示すように理論的には正規分布のピーク形状となるはずであるが、図8に示すように個々の波高値に対して上記の理由により、統計的なばらつきをもっており、放射線の検出数が少ない場合つまり測定時間が短い場合、パルス波高分布12に統計的なばらつきが大きいために、パルス波高分布12に理想的な正規分布とのズレが生ずる。
【0029】
この問題を解決するために、ズレが生じたパルス波高分布12を理想的な正規分布に近づけるため平滑化手段として、スペクトル整形部4では、放射線検出器1aの物理特性を基に設計したフィルタが用いられる。パルス波高の統計的なばらつきは、式(1)に示される標準偏差を持つ。そのため、パルス波高分布12に存在する統計的なばらつきを理想的な正規分布に近づけることを目的に、パルス波高分布12の統計的なばらつきを平滑化するためのフィルタとして、式(2)に示されるガウスフィルタを用いることができる。ここで、式(2)は検出器1aに入射する放射線のエネルギーがEiの場合を示しており、正規分布の標準偏差σ(Ei)は、式(1)より、放射線のエネルギーEiの関数として与えられる。
【0030】
なお、フィルタはパルス波高分布12の付与エネルギー分割数に応じて、検出部1へ入射する放射線のエネルギーEi毎に離散的に定義されることが望ましい。しかし、パルス波高分布12の付与エネルギー分割数に比べ、フィルタが定義される離散的な放射線のエネルギーEiの数が少ない場合、フィルタは、パルス波高分布12の付与エネルギーに対応するように、用意されたフィルタ自体から、内挿法などで近似的に求めたものであっても良い。
【0031】
【数1】
【0032】
Ei:検出部へ入射する放射線のエネルギー
【0033】
図12は、スペクトル整形部4の動作を説明するための概念図である。図12において、符号121が付された左の図は、スペクトル整形部4の入力となる実パルス波高分布であるパルス波高分布12の一例を示している。また、図12において、符号122が付された右の図は、スペクトル整形部4の出力となる整形パルス波高分布(F)12aの一例を示している。また、図12において、符号123が付された中央の下の図は、スペクトル整形部4で用いられるフィルタGの一例を示している。さらに、図12において、符号124が付された中央の上の図は、スペクトル整形部4で用いられるフィルタGの一例と、実パルス波高分布であるパルス波高分布12の一例とを重ねて示したものである。
【0034】
スペクトル整形部4は、発生する電子10の数により決まる統計的なばらつきに対処するために、図12に示すような、放射線検出器固有の式(1)にて定義される物理特性を基に設計したフィルタの関数をパルス波高分布12へ重畳させ、パルス波高分布12に統計的なばらつきによる正規分布を表現させた整形パルス波高分布(F)12aを作成する。より具体的には、スペクトル整形部4は、パルス波高分布12を平滑化させるために、式(3)に示すように、フィルタの関数とパルス波高分布12との内積を計算する。
【0035】
なお、式(3)のフィルタの関数Gは、式(2)の検出部1へ入射する放射線のエネルギーEiによって表現されるGi(E)をパルス波高分布12の付与エネルギーとその分割数に対応するように行列表現したものである。例えば、パルス波高分布12の付与エネルギーが0MeVから3MeVのエネルギー範囲であり、かつ、エネルギーの幅が0.01MeVで定義される場合、付与エネルギーの分割数は300個となる。その際、300個に分割された付与エネルギー全てに対応するように、Gi(E)を用意することで、フィルタの関数Gは、式(2)のGi(E)を行列化したものとなる。この場合、iは1から300の整数となる。また、式(3)は式(4)のように表すこともできる。
【0036】
F=G・M (3)
【0037】
【数2】
【0038】
F:整形パルス波高分布(フィルタを掛けたパルス波高分布)
G:フィルタの関数
M:実パルス波高分布
m:パルス波高分布の付与エネルギーの分割数
【0039】
逆問題演算部5は、スペクトル整形部4により整形された整形パルス波高分布に対して、検出部1の放射線検出器1aの応答関数を用いた逆問題演算を行うことで、入射した放射線のエネルギースペクトル5aを求める。
【0040】
ここで、放射線検出器の応答関数を用いた逆問題演算について説明する。
波高演算部3で作成したパルス波高分布12は、下記式(5)で示すように、実パルス波高分布M、検出器の応答関数R、放射線のエネルギースペクトルSとして表すことができ、検出部1の放射線検出器1aに入射する放射線が付与するエネルギーによって決定されるが、図6の17,18,19で示すように、入射する放射線のもつエネルギーが異なる場合は、放射線検出器1aの有感部8に付与されるエネルギーも異なるために、複数の異なるエネルギーをもつ放射線を検出した場合、それぞれのパルス波高分布12が重畳したものとなる。
【0041】
逆問題演算では、上述の放射線が付与したエネルギーのパルス波高分布12から、予め用意しておいた放射線のエネルギー毎の応答関数を用いて下記式(6)に示す応答関数の逆行列演算を行うことで、入射した放射線それぞれのエネルギーとして分離することができ、放射線検出器に入射した放射線の本来のエネルギー情報を個々に知ることができる。
ここで、放射線検出器の応答関数Rは、入射する放射線のエネルギー毎に検出部1の放射線検出器1aへ付与するパルス波高分布12をそれぞれ格納したものとなる。
【0042】
この発明では、スペクトル整形部4によるパルス波高分布12に統計的なばらつきによる正規分布を重畳させた整形パルス波高分布(F)を用いていることから、上記式(3)に下記式(5)を代入することで、下記式(7)が得られ、下記式(6)と同様に応答関数の逆行列演算を行うことで、下記式(8)が得られる。なお、式(8)により、逆問題演算部5の出力は放射線のエネルギーに統計的なばらつきによる正規分布が重畳されたものであることがわかる。
【0043】
M=R・S (5)
S=R-1・M (6)
F=G・R・S (7)
G・S=R-1・F (8)
M:実パルス波高分布
R:放射線検出器の応答関数
S:放射線のエネルギースペクトル
F:整形パルス波高分布(フィルタを掛けたパルス波高分布)
G:フィルタの関数
【0044】
なお、放射線検出器1aの応答関数は、EGS5(Electron Gamma Shower ver.5)などの放射線挙動解析用のモンテカルロ輸送計算コードを用いて、測定体系を模擬することで、求めることができるが、電子10の発生数に伴う統計的なばらつきは含まれない。
【0045】
ここで、放射線検出器固有の統計的なばらつきを逆問題演算部5の応答関数およびスペクトル整形部4で用いる放射線検出器の物理特性を基に設計したフィルタを作成する方法について説明する。
【0046】
放射線検出器1aがシンチレーション式の放射線検出器の場合、放射線検出器固有のエネルギー分解能は、発生したシンチレーション光24を光電陰極25で電子10に変換した生成数の大きさによって決定され、生成数が多いほど統計的なゆらぎが少なくなり、観測するエネルギーの分解幅を小さくでき、図5の16に示すようにエネルギー分解幅は小さくなる。なお、エネルギー分解幅が小さいほど、エネルギー分解能は高くなる。
【0047】
なお、シンチレーション式の放射線検出器においては、シンチレーション光24には、発光した位置から最終的に電子10へ変換される光電陰極25へ到達するまでに、光の減衰や散乱、反射、吸収などの光学現象が発生する。そこでこれらの光学現象に関わる光線シミュレータによる光学挙動解析とEGS5などの放射線挙動解析を組み合わせることで、検出する放射線によるシンチレーション光24から電子10への変換過程を考慮することができ、シンチレーション式の放射線検出器固有のエネルギー分解能を決定する統計的なばらつきを上述のシミュレーションなどによって求めることができる。
【0048】
すなわち、放射線検出器がシンチレーション式の放射線検出器1aである場合、スペクトル整形部4のフィルタは、放射線によるシンチレーション式の放射線検出器1aへのエネルギー付与については放射線挙動解析を用い、シンチレーション光が電子10に変換されるまでの光学特性については光線挙動解析(例えば光線シミュレータによる)を用い、これらの解析を組み合わせた解析によってシンチレーション式の放射線検出器1aの物理特性を基に設計されたものである。
【0049】
また、半導体式の放射線検出器においては、空乏層27に入射した放射線により生じる電子10と正孔29のそれぞれ電極への移動過程を、半導体デバイスシミュレータによる電子正孔挙動解析と放射線挙動解析を組み合わせることで考慮することができ、半導体式の放射線検出器固有のエネルギー分解能を決定する統計的なばらつきを上述のシミュレーションなどによって求めることができる。
【0050】
すなわち、放射線検出器が半導体式の放射線検出器1aである場合、スペクトル整形部4のフィルタは、放射線による半導体式の放射線検出器1aへのエネルギー付与については放射線挙動解析を用い、電子正孔対(29,10)の生成からパルス信号11の出力に至るまでの過程については半導体デバイス特性挙動解析である、例えば半導体デバイスシミュレータによる電子正孔挙動解析を用い、これらの解析を組み合わせた解析によって半導体式の放射線検出器1aの物理特性を基に設計されたものである。
【0051】
なお、スペクトル整形部4に放射線挙動解析と光線挙動解析または半導体デバイス特性挙動解析である電子正孔挙動解析を組み合わせた解析を行う解析部4aを図1で示すように設け、スペクトル整形部4で直接、フィルタを形成して求めるようにしてもよい。
【0052】
また、スペクトル整形部4のフィルタは、実験により求めた放射線検出器1aのエネルギー分解能を基に正規分布で近似したフィルタであってもよい。
【0053】
ピーク推定部6は、逆問題演算部5が出力する統計的なばらつきが重畳された放射線のエネルギースペクトルに対して、下記式(9)に示す放射線検出器の物理特性を基に設計したフィルタの逆行列演算を解くことで、放射線検出器固有の統計的なばらつきによる正規分布形状が重畳された上述のエネルギースペクトルから、放射線検出器固有の統計的なばらつきを排除したエネルギースペクトルを求め、入射した放射線のエネルギーを推定する。
【0054】
S=G-1・R-1・F (=G-1・R-1・G・M) (9)
【0055】
表示部7は、ピーク推定部6から出力された放射線のエネルギースペクトルを表示する。
【0056】
したがって、この発明のスペクトル整形部4により、波高演算部3が作成するパルス波高分布12に含まれるエネルギー毎に存在する統計的なばらつきを検出部1の放射線検出器1aの物理特性を基に設計したフィルタを用いて整形することで、逆問題演算部5による検出部の応答関数を用いた逆問題演算を正確に解くことができ、統計的なばらつきを含んだエネルギースペクトルを得ることができ、ピーク推定部6により放射線検出器1aの物理特性を基に設計したフィルタの逆行列演算を解くことで、パルス波高分布12に重畳する統計的なばらつきを低減する効果があり、検出部1の放射線検出器1aへ入射する放射線のエネルギースペクトルを正確に求めることができる。
【0057】
なお、スペクトル整形部4のフィルタとして、実験により求めた放射線検出器のエネルギー分解能を基に正規分布で近似したフィルタを使用してもよい。
【0058】
以上のようにこの実施の形態1のスペクトル整形部4ではフィルタを、放射線のエネルギーの関数として得られる放射線検出器1aのエネルギー分解能を標準偏差とする正規分布形状フィルタとする。
【0059】
また、この発明の各実施の形態による放射線測定装置のハードウェア構成としては例えば図11に示すように、検出部1が放射線検出器1a、増幅部2が増幅器2a、波高演算部3とスペクトル整形部4と逆問題演算部5とピーク推定部6がプロセッサ100、表示部7がディスプレイ7aでそれぞれ構成される。プロセッサ100は例えば、CPU100a、CPU100aで実行する波高演算部3とスペクトル整形部4と逆問題演算部5とピーク推定部6の処理のためのプログラム、データ等を格納したメモリ100b、および外部とのI/F(インターフェース)100c,100d等から構成される。また波高演算部3とスペクトル整形部4と逆問題演算部5とピーク推定部6の部分をプロセッサ100の代わりにASIC(application specific integrated circuit)等のデジタル回路で構成してもよい。
【0060】
そして演算処理に必要な、スペクトル整形部4での放射線検出器の物理特性、この物理特性を基に設計したフィルタ、光線シミュレータ、半導体デバイスシミュレータ等、や、逆問題演算部5での放射線のエネルギー毎の応答関数、予め設定された各種設定値等の、放射線測定に必要な予め準備しておくデータ、テーブル、プログラム等はメモリ100bに予め格納しておく。
【0061】
実施の形態2.
実施の形態2は、スペクトル整形部4が有するフィルタの定義が上述の実施の形態1と異なっている。その他の部分については基本的に上述の実施の形態1と同じである。
ここで、式(3)に用いるフィルタの関数は、式(10)に示す標準偏差がエネルギー分解能に基づくものからなるローレンツ分布で定義される。
【0062】
【数3】
【0063】
放射線源のエネルギー分布が共鳴や摂動等により、光の線スペクトルのようなローレンツ分布を示す場合、逆問題演算の解の精度を向上させるためには、放射線源自体の分布を考慮する必要がある。上述のフィルタとして式(10)の分布を用いることで、放射線源自身のエネルギー分布に従った統計的なばらつきを考慮することができ、放射線源由来のばらつきを抑制する効果が得られる。
【0064】
ここで、放射線源自体のエネルギー分布に加え、検出器のエネルギー分解能によるばらつきを考慮すると、更に、逆問題演算の解の精度を向上させることが可能である。例えば、上述のフィルタとして、一般に式(10)を式(2)でコンボリューションすなわち畳み込みを行った関数として定義されるフォークト分布を用いる。一般に、放射線のエネルギースペクトル分布曲線は、上述のローレンツ分布、または上述の正規分布のみで表現されることは少ない。実際は、上述のローレンツ分布と上述の正規分布の両者が混合したフォークト分布となることが多く発生する。そのため、上述のフィルタにフォークト分布を用いることで、式(2)で表される検出部が放射線を測定した際に生じる統計的なばらつきと式(10)の放射線源自身に基づく上述の放射線のエネルギー分布のばらつきを考慮することができる。したがって、上述のパルス波高分布に含まれる検出部1と放射線源に基づく2種類のばらつきを抑制する効果が得られる。
【0065】
なお、フィルタはパルス波高分布12の付与エネルギー分割数に応じて、検出部1へ入射する放射線のエネルギーEi毎に離散的に定義されることが望ましい。しかし、パルス波高分布12の付与エネルギー分割数に比べ、フィルタが定義される離散的な放射線のエネルギーEiの数が少ない場合、フィルタは、パルス波高分布12の付与エネルギーに対応するように、用意されたフィルタ自体から、内挿法などで近似的に求めたものであっても良い。
【0066】
以上のようにこの実施の形態2のスペクトル整形部4ではフィルタを、放射線のエネルギーの関数として得られる放射線検出器1aのエネルギー分解能を標準偏差とするローレンツ分布またはフォークト分布の標準偏差を変更するフィルタとする。
【0067】
実施の形態3.
実施の形態3は、スペクトル整形部4が有するフィルタの定義が上述の実施の形態1と異なっている。その他の部分については基本的に上述の実施の形態1と同じである。
ここで、例えば、式(3)に用いるフィルタの関数は、上述のエネルギー分解能に基づいて、上述のパルス波高分布を平滑化する単純移動平均法の関数で定義される。ここで、例えば、移動平均法の平滑化幅は、検出部1へ入射する放射線のエネルギーEiを中心に、式(1)によって求まる上述の検出器1aのエネルギー分解能から決まる上限と下限の範囲内の上述のパルス波高分布における測定値を平均化する。
【0068】
なお、フィルタの関数の移動平均法は、単純移動平均法だけでなく、上述のパルス波高分布に対して平滑化をおこなうことができる加重移動平均法、指数移動平均法、三角移動平均法等を採用してもよい。いずれの手法も上述のパルス波高分布において移動平均を計算する幅は、検出部1aのエネルギー分解能に基づき変更する。ここで、移動平均法は、式(2)、式(10)または式(10)を式(2)でコンボリューションした関数の上述のフォークト分布で定義されるフィルタの関数のように超関数を持たない。そのため、移動平均法では、四則演算のみによって式(3)を算出することができる。したがって、実施の形態1と2に比べ、本実施の形態3のように移動平均法で定義されるフィルタを使用する場合、フィルタの関数を作成する計算時間を短縮できる効果が期待できる。
【0069】
なお、フィルタはパルス波高分布12の付与エネルギー分割数に応じて、検出部1へ入射する放射線のエネルギーEi毎に離散的に定義されることが望ましい。しかし、パルス波高分布12の付与エネルギー分割数に比べ、フィルタが定義される離散的な放射線のエネルギーEiの数が少ない場合、フィルタは、パルス波高分布12の付与エネルギーに対応するように、用意されたフィルタ自体から、内挿法などで近似的に求めたものであっても良い。
【0070】
以上のようにこの実施の形態3のスペクトル整形部4ではフィルタを、放射線のエネルギーの関数として得られる放射線検出器1aのエネルギー分解能を標準偏差とし、標準偏差に応じて、移動平均法の平滑化幅を変更するフィルタとする。
【産業上の利用の可能性】
【0071】
この発明は、種々の分野で使用される放射線測定装置および放射線測定方法に適用可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12