特許第6433547号(P6433547)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6433547防護コーティングの改善された視覚的検出のためのシステムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6433547
(24)【登録日】2018年11月16日
(45)【発行日】2018年12月5日
(54)【発明の名称】防護コーティングの改善された視覚的検出のためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   C09D 201/00 20060101AFI20181126BHJP
   C09D 7/61 20180101ALI20181126BHJP
   C09D 7/63 20180101ALI20181126BHJP
   C09D 5/08 20060101ALI20181126BHJP
   B05D 3/00 20060101ALI20181126BHJP
   B05D 5/00 20060101ALI20181126BHJP
   B05D 7/14 20060101ALI20181126BHJP
   G01N 21/88 20060101ALI20181126BHJP
【FI】
   C09D201/00
   C09D7/61
   C09D7/63
   C09D5/08
   B05D3/00 D
   B05D5/00 Z
   B05D7/14 M
   G01N21/88 Z
【請求項の数】11
【外国語出願】
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-134299(P2017-134299)
(22)【出願日】2017年7月10日
(62)【分割の表示】特願2013-131682(P2013-131682)の分割
【原出願日】2013年6月24日
(65)【公開番号】特開2017-215329(P2017-215329A)
(43)【公開日】2017年12月7日
【審査請求日】2017年8月7日
(31)【優先権主張番号】13/532,480
(32)【優先日】2012年6月25日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ポノマリョフ, セルゲイ ジー.
【審査官】 田澤 俊樹
(56)【参考文献】
【文献】 特表2011−527370(JP,A)
【文献】 特開2004−026864(JP,A)
【文献】 特表2010−540748(JP,A)
【文献】 特表2004−510966(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 1/00−201/10
B05D 1/00−7/26
G01N 21/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板用防護コーティングであって、
略透明なコーティング化合物と、
前記略透明なコーティング化合物内に埋め込まれ、略透明なコーティングを形成する複数の反射粒子と、
を備え、
前記反射粒子が、前記ーティング化合物内で略均一な分布を有するよう配置されており
前記コーティング化合物内の前記複数の反射粒子が、基板に塗布されるときに、前記略透明なコーティングの厚さに正比例する反射光コントラストを形成し、
前記コーティング化合物内の前記複数の反射粒子の濃度が、前記コーティング化合物の厚さの範囲が前記反射光コントラストに基づいて計算されるように選択され、厚さが10〜50ミクロンの前記コーティング化合物は、6.5平方センチメートル当たり(一平方インチ当たり)前記複数の反射粒子を10〜30含む、
護コーティング。
【請求項2】
前記防護コーティングが、腐食防止化合物を含む、請求項1に記載の護コーティング。
【請求項3】
前記防護コーティングが、有機化合物を含む、請求項1に記載の護コーティング。
【請求項4】
前記反射粒子が、マイカ、金属フレーク、ガラス、大理石からなるグループから選択される1つ以上から形成されている、請求項1に記載の護コーティング。
【請求項5】
前記反射粒子が、メタル効果顔料、真珠光沢顔料、干渉顔料、ホログラフィー効果顔料、真珠箔顔料、真珠光顔料、発光顔料、蛍光顔料、および燐光顔料からなるグループから選択される1つ以上を含む、請求項1に記載の護コーティング。
【請求項6】
前記防護コーティングが、薄膜防護コーティングである、請求項1に記載の護コーティング。
【請求項7】
前記防護コーティングが基板に適用される、請求項1に記載の護コーティング。
【請求項8】
前記基板が、金属表面を含む、請求項7に記載の護コーティング。
【請求項9】
前記基板が、複合材表面を含む、請求項7に記載の護コーティング。
【請求項10】
前記基板が、航空機コンポーネントの表面を含む、請求項7に記載の護コーティング。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載の護コーティングを含む、コーティングされた基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して基板に防護コーティングを適用するためのシステムおよび方法に関する。具体的には本発明は防護コーティングの添加物に関し、並びに前記添加物を含む防護コーティングでコーティングされたコンポーネントに対し検査を実施するための関連方法に関し、これにより適切な被覆を確保する。本発明は腐食防止化合物(CIC:Corrosion Inhibiting Compound)をコーティングの形態で航空機コンポーネントへ適用することに関し、特に有用である。
【背景技術】
【0002】
各種の商品や一般的な製品には、腐食防止、磨耗低減、汚染低減またはこれら3つすべてといった特定の目的で、ある種のコーティングが商品および製品の表面に使用される。コーティング内の不連続な箇所はしばしば非常に小さく、簡単には目に見えない。コーティングの品質およびコストは、コーティング重量と均一性で決まるため、これらの特性を監視する手段を採用することが望ましい。
【0003】
特に航空機表面は、航空機コンポーネントおよび構造体を保護するため、腐食防護化合物とも呼ばれることがある、腐食防止化合物(CIC)で頻繁にコーティングされる。典型的なCICは略透明であり、厚みのあるコーティングが適用された際に肉眼で見えるのみであり、この場合基板に茶色の色合いがついたように見える。目的の表面に適切な被膜を実現することが重要である一方、過度な重量を低減するため薄いコーティングを使用することが望ましいことがある。
【0004】
適切な被膜を確保するため、コーティングされた表面の検査を可能にする多くの技術が開発されている。一部のコーティングは、UV光源を使用して、コーティングされた表面の検査を可能にするため、蛍光剤を採用するものがある。しかしながら、蛍光は通常かなり効果が弱いため、特定の条件下においては、信頼性のある不整合の検出のためには、高強度のUV光源が必要である。さらに、防護コーティングが必要な多くの領域は簡単に接近できず、このような領域に紫外線を提供することは困難または禁止される可能性がある。さらに、検査が必要なコーティングされた領域の多くはでこぼこした表面を有しており、適切なコーティングに関する確認を行う前に、そのような表面には事前に様々な角度から紫外線が照らされる必要がある。また、特殊照明のコストがこの解決策におけるデメリットである。
【0005】
現行の解決策の中にはコーティングされた表面のイメージをキャプチャするためカメラを採用するものがあるが、通常これらのシステムは上記と同様のいくつかの限界に悩まされている。カメラによる解決策は場所によっては使用が難しく、通常遠隔の表面では使用できず、費用が高く、多大な時間がかかる。よって、防護コーティングの適用および検査のための改善されたシステムおよび方法に対するニーズが依然ある。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、防護コーティングがフレークまたは粒子を含む添加物を用いて作成され、フレークまたは粒子が防護コーティングの一部として基板に適用されると、ユーザーは表面を視覚的に検査でき、かつ、表面に適切な防護コーティングがなされているかどうか実験的に確認できるようになる、システムおよび方法をもたらす。本発明に係るフレークまたは粒子は、ユーザーがコーティングが十分か否かを肉眼で、最小限の光のみ得られるような条件下でも観察できるような形で、光を反射する。
【0007】
本発明に係るシステムは、特定の光源に制限されない。任意の入手可能な可視光源及び/又は紫外線光源を使用し、粒子を照射して反射光および放射光を発生させ、それを肉眼で検出できる。結果的に、このような特徴によってコーティング検査が大きく簡素化される。
【0008】
本発明の第一の態様によれば、コーティング内に埋め込まれた複数の特殊顔料粒子を有する、基板に適用される防護コーティングがもたらされる。前記防護コーティングは、防護コーティング内に埋め込まれた複数の特殊顔料粒子を含む自己表示防護コーティングであってよく、前記特殊顔料粒子は前記防護コーティング内で略均一な分布を有するよう配置される。
【0009】
前記特殊顔料粒子は、前記防護コーティング内で懸濁され略均一な分布を有する。たとえば、前記特殊顔料粒子はマイカ、金属フレーク、ガラス、大理石、またはこれらの任意の組み合わせを含んでよく、前記特殊顔料粒子はメタル効果顔料、真珠光沢顔料、干渉顔料、ホログラフィー効果顔料、真珠箔顔料、真珠光顔料、発光顔料、蛍光顔料、燐光顔料、またはこれらの任意の組み合わせと呼ばれてよい。
【0010】
自己表示防護コーティングであると有利であり、この防護コーティングが基板に適用される。
【0011】
基板は金属表面を含むことが好ましい。
【0012】
基板は複合材表面を含むことが好ましい。
【0013】
基板は航空機コンポーネントの表面を含むことが好ましい。
【0014】
防護コーティングは腐食防止化合物を含むことが有利である。
【0015】
防護コーティングは有機化合物を含むことが有利である。
【0016】
特殊顔料粒子はマイカ、金属フレーク、ガラス、大理石、またはこれらの任意の組み合わせを含むことが有利である。
【0017】
特殊顔料粒子はメタル効果顔料、真珠光沢顔料、干渉顔料、ホログラフィー効果顔料、真珠箔顔料、真珠光顔料、発光顔料、蛍光顔料、燐光顔料、またはこれらの任意の組み合わせを含むことが有利である。
【0018】
防護コーティングは薄膜防護コーティングであると有利である。
【0019】
本発明の別の態様によれば、基板の防護コーティングを検査する方法がもたらされる。前記方法は基板に適用される混合物を提供するステップであって、混合物は所定量の防護コーティングフォーミュレーションと所定量の特殊顔料を含み、防護コーティングフォーミュレーションは液体で提供され、かつ、特殊顔料は粒子の形態で提供されるステップと、防護コーティング内の特殊顔料粒子の外観を観察するステップと、防護コーティング内の何らかの不具合の存在を確認するステップとを含む。
【0020】
基板は金属表面であることが有利である。
【0021】
基板は複合材表面であることが有利である。
【0022】
基板は航空機コンポーネントの表面であることが有利である。
【0023】
防護コーティングは腐食防止化合物を含むことが有利である。
【0024】
防護コーティングは有機化合物を含むことが有利である。
【0025】
特殊顔料粒子は1つ以上のマイカ、金属フレーク、ガラス、大理石、またはこれらの任意の組み合わせを含むことが好ましい。
【0026】
特殊顔料粒子はメタル効果顔料、真珠光沢顔料、干渉顔料、ホログラフィー効果顔料、真珠箔顔料、真珠光顔料、発光顔料、蛍光顔料、燐光顔料、またはこれらの任意の組み合わせを含むことが好ましい。
【0027】
混合物は散布装置を使用し、基板に適用されることが有利である。
【0028】
観察するステップはデジタルカメラデバイスを使用し行うことが有利である。
【0029】
観察するステップはさらに光源からの光で基板を照射することを含むことが有利である。
【0030】
光源には1つ以上の自然光源、閃光源、および紫外線光源を含むことが有利である。
【0031】
前記防護コーティング内の何らかの不具合の存在を確認するステップは、前記防護コーティング内の特殊顔料粒子の外観を比較標準と比較することを含むことが有利である。
【0032】
本発明のさらなる別の態様によれば、所定量の防護コーティングフォーミュレーションを所定量の特殊顔料と混合して混合物を作成することで、防護コーティングを基板に適用する方法がもたらされる。防護コーティングフォーミュレーションは液体で提供され、特殊顔料は粒子の形態で提供される。その後、混合物は基板に適用され、硬化されてよく、それにより防護コーティングを形成する。その後ユーザーは、特殊顔料粒子の密度または防護コーティング内の任意のパターン等、防護コーティング内に埋め込まれた特殊顔料粒子の外観を観察し、コーティング内のあらゆる不整合の存在を確認できる。ユーザーは観察するステップを肉眼でまたはデジタルカメラデバイスを使用して行うことができる。観察するステップはまた、基板を照射することを含んでよい。何らかの不整合が存在するかどうかの確認は、観察された特殊顔料粒子の外観を比較標準と比較することを含んでよい。当業者が以下の添付図面と詳細な説明を検討すると、本発明のその他のシステム、方法、機能、および利点が現時点で自明であるか、またはこれから自明になる。前述の特徴、機能及び利点は、本発明の様々な実施形態で独立に実現可能であるか、さらなる別の実施形態で組み合わせることが可能であり、さらなる別の実施形態の詳細は、以下の説明及び図面を参照すると理解できる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
以下の図面を参照すると、本発明の多くの態様がより良く理解できる。図面内のコンポーネントは必ずしも正確でなく、むしろ本発明の原理を明確に説明するにあたり強調されている。さらに、これら図面内では、複数のビューを通して同様の参照番号が対応する部分を示している。
図1図1は、本発明による防護コーティングの視覚検査のためのシステムを示す概略図である。
図2図2は、本発明の一実施例によるビークルに適用される防護コーティングを示す。
図3図3は、本発明による防護コーティングの視覚検査のための方法を示すフローチャートである。
図4図4は、本発明による防護コーティングの一実施例を示しており、防護コーティングが様々な厚さで基板に適用されている。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下の詳細な説明では、添付図面を参照する。添付図面は本願の一部を構成し、本発明の各種実施形態が例示されている。その他の実施形態を採用でき、本発明の範囲を逸脱することなく、変更を加え得ることを理解すべきである。たとえば、本発明は基板に適用された防護コーティングの検査を実行するためのシステムおよび方法をもたらす。以下に詳細に説明される特に関心のある一実施例は、腐食防止化合物(CIC)をコーティングの形で各種航空機コンポーネントの表面に適用することである。しかしながら、関連研究分野の当業者にとって自明であるように、本発明の範囲は航空機またはCICに限定されない。
【0035】
図1は、本発明による視覚検査システム5の一例を示す。この例示においては、システム5は光源10および基板30に適用された防護コーティング20を検査するよう構成された視覚インスペクター15を含む。視覚インスペクター15は肉眼35及び/又はカメラ40を含み、一部の実施形態においてはカメラ40はオプションのコンピュータ45に結合されている。防護コーティング20は特殊顔料粒子25の略均一な懸濁液を含む。
【0036】
一部の実施形態においては、防護コーティング20は特定の用途に対し所望の特徴を提供する、任意の数の化合物または溶媒のいずれかから選択された液体のフォーミュレーションを含む。たとえば、防護コーティング20は1つ以上のモノマー組成もしくはポリマー組成、石油系化合物、アミン、ヒドラジン、または他の有用な有機化合物または無機化合物を含んでよい。一部の実施形態においては、防護コーティング20は石油系CICを含む。防護コーティング20は噴霧器を使用し、所望の厚みをもたらすような方法で、防護コーティング20を簡易に適用できるようにする、所望の粘度および熱可塑性の特性を有するフォーミュレーションから得ることができる。
【0037】
基板30は、コーティングが望まれる任意の適切な材料または表面を含んでよい。たとえば、一部のケースでは、基板30は図2に示す航空機のようなビークル50の表面を含む。航空機が例示されているが、当業者には防護コーティング20はたとえば、自動車、船、列車等の各種の他のビークル50、または他の所望の表面に適用できることは自明である。図2に示す特定の実施例においては、防護コーティング20は機体55の下部及び着陸装置60等の腐食が生じやすいビークル50の表面に適用されるCICを含む。用途によって、CICは数年おき等、定期的に再適用してよい。一部の実施形態においては、CICは乾いたとき約10〜50ミクロンの範囲内の厚さを有するレイヤとして適用される。
【0038】
図1を再度参照すると、特殊顔料粒子25は防護コーティング20の可視性を改善する任意の適切な粒子を含んでよい。たとえば、一部の実施形態においては、特殊顔料粒子25は反射顔料粒子、発光顔料粒子、黒色顔料粒子等から選択できる。反射顔料は効果顔料、メタル効果顔料、真珠光沢顔料、および干渉顔料として分類できる。反射顔料の例にはグリッタータイプの顔料が含まれ、金属顔料、ホログラフィー顔料、干渉顔料、真珠箔顔料、真珠光顔料、ガラス、大理石、およびマイカ粒子等の幅広い材料から選択できる。一部の実施形態においては、特殊顔料粒子25は干渉マイカ、酸化鉄フレーク、アルミニウムフレーク等を含むことができ、場合によってこれらは防護コーティング20への導入前に特殊な顔料でコーティングされてよい。
【0039】
特殊顔料粒子25は、防護コーティング20と基板30によって反射される光にハイコントラストを付与するため、反射性、回折、または吸収性といった特性の何らかの組み合わせを示すことが好ましい。一部の実施形態においては、たとえば、黒色グリッター顔料等の光吸収効果顔料を用いて、際立った光のコントラストを実現できる。特殊顔料粒子25はまた紫外線等の特定の種類の光にさらされたとき、発光性を示すことができる。発光(Light Emitting)顔料はたとえば、発光(luminescent)顔料、蛍光顔料、および燐光顔料であってよい。
【0040】
光源10は、日光もしくは直射日光、白色光、蛍光灯、LEDライト、または他の種類の光等、任意の適切な可視光源及び/又は紫外線光源を含んでよい。稼動中、光源10は防護コーティング20を照射し、防護コーティング20は図1に示された肉眼35及び/又はカメラ40とオプションのコンピュータ45といった、適切な視覚インスペクター15による観察のために光を反射する。
【0041】
一部の実施形態においては、カメラ40とオプションのコンピュータ45は、検査中の防護コーティング20の1つ以上のデジタル画像をキャプチャする単一筐体内に結合された内蔵ポータブル装置を含む。前記装置は防護コーティング20の不連続な箇所を検出し、かつ、反射光の観察されたパターンに基づき、防護コーティングの均一性と厚さを、比較標準として保存された複数の格納済みイメージと比較して確認できる。他の例においては、カメラ40とオプションのコンピュータ45は、物理的コネクタもしくは無線通信回線等の任意のリンクを介して互いに通信し合う個別のデバイスを含む。
【0042】
図3は、本発明による防護コーティング20の視覚検査のための方法100に係る一例を示すフローチャートである。当該例示の実施形態において、方法100は第1ステップ101を含み、第1ステップ101では防護コーティング20に追加される特殊顔料粒子25の単位面積当たりの量と種類が、混合物の作成前に決定される。たとえば、これは所望の顔料の割合を選択し、防護コーティング20の前駆体へ特殊顔料粒子25の該当量を追加し、混合物内の特殊顔料粒子25の分布が略均一になるまで、得られた混合物を混ぜ合わせることで達成できる。一部の実施形態においては、特殊顔料粒子25は検査中、肉眼35で認識できる十分な大きさであるが、用途に必要な大きさを超えないものが選択される。たとえば、場合によっては、特殊顔料粒子25は防護コーティング20の所望の厚さより少なくとも小さい。
【0043】
一部の実施形態においては、防護コーティング20の視覚的検出に関し所望の結果を得るため、特殊顔料粒子25は所定量および選択された組み合わせで混合される。この特殊顔料粒子25の組み合わせは、コーティングの均一性、適切な厚さ、不十分な厚さ、過度のコーティング(過剰な厚さ)、および防護コーティング20のピンホール、空洞、塗り落ち、欠如等の不連続な箇所に関する視覚的検出を改善するように施す。
【0044】
たとえば、混合物の一定体積内における特殊顔料粒子25の割合を選択することで、防護コーティング20を基板30に特定の厚さで適用する際、所望の分布をもたらすことができる。たとえば一部の実施形態においては、防護コーティング20が基板30に10〜50ミクロン等の所望の厚さで適用される場合、一平方インチ当たり約10〜30の特殊顔料粒子25という所望の分布をもたらすのに十分な特殊顔料粒子25が追加される。適切に混合および適用された場合、特定の箇所においてこの分布からの偏差があれば、当該箇所における潜在的な不整合を示している可能性がある。他の範囲および方法も実施可能である。たとえば、用途および入手可能な検査によっては、一平方インチ当たり約5〜10の特殊顔料粒子といったより低い範囲、一平方インチ当たり約10〜20の特殊顔料粒子といったより狭い範囲、または一平方インチ当たり約30超の特殊顔料粒子といったより高い範囲を使用できる。
【0045】
均一な混合物を作成する方法は当該技術分野における周知技術である。混合物の体積の一部が混合物の体積全体と単位体積当たりの特殊顔料粒子25の割合が同様であれば、その混合物は略均一である。たとえば、1ガロン当たり約16オンスの特殊顔料の割合で混合物が作成されており、特殊顔料が1オンス当たり約1000個の特殊顔料粒子25を含有することがわかっている場合、ユーザーは次の式を使用し、一定の体積(大さじ1等)における顔料のおよその個数を推測できる。P(顔料粒子)=R(単位体積当たりの顔料粒子の予期される割合)×V(体積)。上述の例では、大さじ1には約62.5の顔料粒子25が含まれると推測できる。許容範囲(顔料粒子25の予期される個数の10%以内等)は、用途の臨界によって決定されてよい。
【0046】
一部の実施形態においては、特殊顔料粒子25が混合物内での分布が略均一である状態で混合物内に懸濁される結果、防護コーティング20が基板30に適用されて乾くと、防護コーティング20内に埋め込まれた特殊顔料粒子25の目に見える分布は、防護コーティング20の厚さに対応する。
【0047】
図4は、本発明による基板30に適用された様々な厚さを有する防護コーティング20の一例を示す。図4に示されるとおり、防護コーティングの厚さがX軸に沿って(左から右へ)増加するにつれ、防護コーティング20の観察されたコントラストは、防護コーティング20の厚さと正比例する。よって、防護コーティング20がより厚みを増すと、観察された特殊顔料粒子25の密度が対応して増加する。さらに、防護コーティング20および特殊顔料粒子25による反射光間のコントラストは、防護コーティング20が所望の厚さに適用されている箇所においては、さらにずっと狭い範囲に入る。たとえば図4に示す例においては、防護コーティング20の厚さがt1〜t2の範囲に含まれるよう意図され、観察された光のコントラストはc1〜c2の範囲内に含まれる。しかしながら、過度のコーティング(防護コーティング20の厚さがt2〜t3の範囲に含まれる等)が発生する場合、防護コーティング20はますます不透明になり、かつ、観察された光のコントラストはc2〜c3の範囲内に含まれる。一部の実施形態においては、t1は約10ミクロンの厚さ、t2は約50ミクロンの厚さ、t3は約300ミクロンの厚さである。これらの実施形態においては、c1は約10%の光のコントラストで、c2は約50%の光のコントラストで、c3は約70%の光のコントラストである。他の実施形態においては、必要とされるさまざまな用途に合わせて、t1〜t3およびc1〜c3は異なる値を有してよい。
【0048】
図3を再度参照すると、テスト表面が適切な厚さの防護コーティング20を有しており、特殊顔料粒子25によって肉眼による表面の検査が可能である場合、ユーザーは最初に選択された割合が適切であると判断し、かつ、このテスト表面を後の検査における比較標準として使用できる。一部の例においては反復プロセスを含んでよい。所望の割合がわかったら、方法100は次のステップ102に進む。ステップ102では特殊顔料粒子25を有する防護コーティング20の比較標準が制御条件下で作成され、顔料粒子による反射光および放射光の複数のパターンを確立する。
【0049】
防護コーティング20の単位体積当たりの特殊顔料粒子25の所望の割合を決定し、かつ、比較サンプルを作成した後(必要な場合)、次のステップ103で、特殊顔料粒子25と防護コーティング20の混合物が所望の用途に合う量で作成される。次のステップ104で、防護コーティング20が基板30に適用され、かつ、硬化される。防護コーティング20は自動または手動プロセスで適用されてよく、かつ、噴霧器、ブラシ等を使用して行われてよい。
【0050】
次のステップ105で、硬化された防護コーティング20の検査領域が適切な光源10で照射される。一部の実施形態においては、光源10は紫外線を放射してよく、紫外線は防護コーティング20をさらに検査しやすくする。特殊顔料粒子25による反射光間のコントラストは、視覚インスペクター15により認識できるパターンを形成する。
【0051】
次のステップ106で、防護コーティング20の照射領域を視覚インスペクター15を用いて見ることにより、特殊顔料粒子25による反射光および放射光のパターンを確認する。ステップ107で、特殊顔料粒子25の反射光および放射光の観察されたパターンを、制御条件下で個別に作成した(ステップ102を参照)比較標準のパターンと比較する。
【0052】
最後のステップ108で、検査中の防護コーティング20のイメージが比較標準と比較され、かつ、検査領域の均一性、厚さ、不連続な箇所が確認される。たとえば、比較標準は、防護コーティング20は各平方インチ等、特定の領域内で一定数の特殊顔料粒子25を含むべきであると指定できる。検査中、防護コーティング20上の問題のある箇所を肉眼35で見ることができる。また、カメラ40とオプションのコンピュータ45は特殊顔料粒子25の予期数より多いまたは少ない数の特殊顔料粒子25を含む場所を識別できる。ユーザーが検査中の防護コーティング20がある一連の基準を満たすかどうか判断できるようにする他の変形例が採用できる。
【0053】
上記に記載された本デバイスおよび本プロセスの実施形態は可能な実装例にすぎず、かつ、本発明の原理を明確に理解できることのみを目的として記載されている。本発明の精神および範囲から逸脱することなく、本明細書に記載された発明に対し、多くの様々な実施形態を設計及び/又は構築することが可能である。これらすべておよびこのような他の修正例と変形例は、本発明の範囲内に包含される意図であり、以下の特許請求の範囲によって保護される。よって、添付の特許請求の範囲で規定される場合を除き、本発明の範囲は制限的なものであると意図されていない。
【符号の説明】
【0054】
5 視覚検査システム
10 光源
15 視覚インスペクター
20 防護コーティング
25 特殊顔料粒子
30 基板
35 肉眼
40 カメラ
45 コンピュータ
50 ビークル
55 機体
60 着陸装置
図1
図2
図3
図4