(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1の導体及び第2の導体を有する差動線路と、サージ対策用の部品である第1の部品と、一端が前記第1の導体と接続され、他端が前記第1の部品と接続されている第1の接続導体と、サージ対策用の部品である第2の部品と、一端が前記第2の導体と接続され、他端が前記第2の部品と接続されている第2の接続導体とが形成されている線路形成層と、
グラウンド層と、
前記線路形成層と前記グラウンド層との間に実装されている誘電体とを備え、
前記第1の接続導体及び前記第1の部品と、前記グラウンド層との間には第1の静電容量が存在し、前記第2の接続導体及び前記第2の部品と、前記グラウンド層との間に前記第1の静電容量と容量値が異なる第2の静電容量が存在しており、前記第1の静電容量と前記第2の静電容量との容量値の差分に応じて、前記第1の導体の長さ及び前記第2の導体の長さが、前記第1の導体の長さを前記第2の導体の長さより短くもしくは長く調整されていることを特徴とするプリント回路基板。
前記第1の静電容量と前記第2の静電容量との差分に応じて、前記線路形成層における前記第1の接続導体の実装面積及び前記第2の接続導体の実装面積がそれぞれ調整されていることを特徴とする請求項1記載のプリント回路基板。
第1の導体及び第2の導体を有する差動線路と、サージ対策用の部品である第1の部品と、一端が前記第1の導体と接続され、他端が前記第1の部品と接続されている第1の接続導体と、サージ対策用の部品である第2の部品と、一端が前記第2の導体と接続され、他端が前記第2の部品と接続されている第2の接続導体とが形成されている線路形成層と、
グラウンド層と、
前記線路形成層と前記グラウンド層との間に実装されている誘電体と、
前記グラウンド層と電気的に接続されるように、前記誘電体の内部に配置されている第1の金属パターンと、
前記グラウンド層と電気的に接続されるように、前記誘電体の内部に配置されている第2の金属パターンとを備え、
前記線路形成層から前記グラウンド層の方向を見たときに、前記第1の金属パターンが、前記第1の接続導体の全体及び前記第1の部品の全体を含む位置に配置され、かつ、前記第2の金属パターンが、前記第2の接続導体の全体及び前記第2の部品の全体を含む位置に配置されており、
前記第1の接続導体及び前記第1の部品と、前記第1の金属パターンとの間に第1の静電容量が存在し、前記第2の接続導体及び前記第2の部品と、前記第2の金属パターンとの間に前記第1の静電容量と容量値が異なる第2の静電容量が存在しており、前記第1の静電容量と前記第2の静電容量との差分に応じて、前記第1の導体の長さ及び前記第2の導体の長さが、前記第1の導体の長さを前記第2の導体の長さより短くもしくは長く調整されていることを特徴とするプリント回路基板。
第1の導体及び第2の導体を有する差動線路と、サージ対策用の部品である第1の部品と、一端が前記第1の導体と接続され、他端が前記第1の部品と接続されている第1の接続導体と、サージ対策用の部品である第2の部品と、一端が前記第2の導体と接続され、他端が前記第2の部品と接続されている第2の接続導体とが形成されている線路形成層と、
グラウンド層と、
前記線路形成層と前記グラウンド層との間に実装されている誘電体と、
前記グラウンド層と電気的に接続されるように、前記誘電体の内部に配置されている第1の金属パターンと、
前記グラウンド層と電気的に接続されるように、前記誘電体の内部に配置されている第2の金属パターンとを備え、
前記線路形成層から前記グラウンド層の方向を見たときに、前記第1の金属パターンが、前記第1の接続導体及び前記第1の部品の中で、一部分を含む位置に配置され、かつ、前記第2の金属パターンが、前記第2の接続導体及び前記第2の部品の中で、一部分を含む位置に配置されており、
前記第1の接続導体及び前記第1の部品において、前記第1の金属パターンに含まれていない部分と前記グラウンド層との間と、前記第1の金属パターンに含まれている部分と前記第1の金属パターンとの間に第1の静電容量が存在し、
前記第2の接続導体及び前記第2の部品において、前記第2の金属パターンに含まれていない部分と前記グラウンド層との間と、前記第2の金属パターンに含まれている部分と前記第2の金属パターンとの間に前記第1の静電容量と容量値が異なる第2の静電容量が存在しており、
前記第1の静電容量と前記第2の静電容量との差分に応じて、前記第1の導体の長さ及び前記第2の導体の長さが、前記第1の導体の長さを前記第2の導体の長さより短くもしくは長く調整されていることを特徴とするプリント回路基板。
第1の導体及び第2の導体を有する差動線路と、サージ対策用の部品である第1の部品と、一端が前記第1の導体と接続され、他端が前記第1の部品と接続されている第1の接続導体と、サージ対策用の部品である第2の部品と、一端が前記第2の導体と接続され、他端が前記第2の部品と接続されている第2の接続導体とが形成されている線路形成層と、
グラウンド層と、
前記線路形成層と前記グラウンド層との間に実装されている誘電体と、
前記グラウンド層と電気的に接続されるように、前記誘電体の内部に配置されている第1の金属パターンと、
前記差動線路における第2の導体と電気的に接続されるように、前記誘電体の内部に配置されている第2の金属パターンとを備え、
前記線路形成層から前記グラウンド層の方向を見たときに、前記第1の金属パターンが、前記第1の接続導体の全体及び前記第1の部品の全体を含む位置に配置され、かつ、前記第2の金属パターンが、前記第2の接続導体の全体及び前記第2の部品の全体を含む位置に配置されており、
前記第1の接続導体及び前記第1の部品と、前記第1の金属パターンとの間に第1の静電容量が存在し、前記第2の金属パターンと前記グラウンド層との間に前記第1の静電容量と容量値が異なる第2の静電容量が存在しており、前記第1の静電容量と前記第2の静電容量との差分に応じて、前記第1の導体の長さ及び前記第2の導体の長さが、前記第1の導体の長さを前記第2の導体の長さより短くもしくは長く調整されていることを特徴とするプリント回路基板。
第1の導体及び第2の導体を有する差動線路と、サージ対策用の部品である第1の部品と、一端が前記第1の導体と接続され、他端が前記第1の部品と接続されている第1の接続導体と、サージ対策用の部品である第2の部品と、一端が前記第2の導体と接続され、他端が前記第2の部品と接続されている第2の接続導体とが形成されている線路形成層と、
グラウンド層と、
前記線路形成層と前記グラウンド層との間に実装されている第1の誘電体と、
前記グラウンド層における2つの表面のうち、前記第1の誘電体が実装されていない側の表面と接するように実装されている第2の誘電体と、
前記グラウンド層と電気的に接続されるように、前記第1の誘電体の内部に配置されている第1の金属パターンと、
前記第2の導体と電気的に接続されるように、前記第2の誘電体における2つの表面のうち、前記グラウンド層が配置されていない側の表面に配置されている第2の金属パターンとを備え、
前記線路形成層から前記グラウンド層の方向を見たときに、前記第1の金属パターンが、前記第1の接続導体の全体及び前記第1の部品の全体を含む位置に配置されており、
前記第1の接続導体及び前記第1の部品と、前記第1の金属パターンとの間に第1の静電容量が存在し、前記第2の接続導体及び前記第2の部品と前記グラウンド層との間に前記第1の静電容量と容量値が異なる第2の静電容量が存在しており、前記第1の静電容量と前記第2の静電容量との差分に応じて、前記第1の導体の長さ及び前記第2の導体の長さが、前記第1の導体の長さを前記第2の導体の長さより短くもしくは長く調整されていることを特徴とするプリント回路基板。
第1の導体及び第2の導体を有する差動線路と、サージ対策用の部品である第1の部品と、一端が前記第1の導体と接続され、他端が前記第1の部品と接続されている第1の接続導体と、サージ対策用の部品である第2の部品と、一端が前記第2の導体と接続され、他端が前記第2の部品と接続されている第2の接続導体とが形成されている線路形成層と、
グラウンド層と、
前記線路形成層と前記グラウンド層との間に実装されている誘電体と、
前記グラウンド層と電気的に接続されるように、前記誘電体の内部に配置されている第1の金属パターンと、
前記第2の導体と電気的に接続されるように、前記誘電体の内部に配置されている第2の金属パターンとを備え、
前記線路形成層から前記グラウンド層の方向を見たときに、前記第1の金属パターンが、前記第1の接続導体及び前記第1の部品の中で、一部分を含む位置に配置され、かつ、前記第2の金属パターンが、前記第2の接続導体及び前記第2の部品の中で、一部分を含む位置に配置されており、
前記第1の接続導体及び前記第1の部品において、前記第1の金属パターンに含まれていない部分と前記グラウンド層との間と、前記第1の金属パターンに含まれている部分と前記第1の金属パターンとの間に第1の静電容量が存在し、前記第2の接続導体及び前記第2の部品において、前記第2の金属パターンに含まれていない部分と前記グラウンド層との間と、前記第2の金属パターンと前記グラウンド層との間に前記第1の静電容量と容量値が異なる第2の静電容量が存在しており、前記第1の静電容量と前記第2の静電容量との差分に応じて、前記第1の導体の長さ及び前記第2の導体の長さが、前記第1の導体の長さを前記第2の導体の長さより短くもしくは長く調整されていることを特徴とするプリント回路基板。
前記差動線路における第1の導体と前記グラウンド層との間に実装されている誘電体の誘電率と、前記差動線路における第2の導体と前記グラウンド層との間に実装されている誘電体の誘電率とが異なっていることを特徴とする請求項1記載のプリント回路基板。
前記線路形成層には、前記差動線路における第1の導体又は第2の導体のいずれかと電気的に接続されている第3の導体が形成されていることを特徴とする請求項1記載のプリント回路基板。
前記第1の静電容量と前記第2の静電容量との差分に応じて、前記接続導体形成層における前記第1の接続導体の実装面積及び前記第2の接続導体の実装面積がそれぞれ調整されていることを特徴とする請求項13記載のプリント回路基板。
前記差動線路における第1の導体と電気的に接続され、かつ、前記第1の接続導体又は前記第1の部品のいずれかと電気的に接続されるように、前記第2の誘電体の内部に配置されている第1の金属パターンと、
前記差動線路における第2の導体と電気的に接続され、かつ、前記第2の接続導体又は前記第2の部品のいずれかと電気的に接続されるように、前記第2の誘電体の内部に配置されている第2の金属パターンとを備え、
前記線路形成層から前記グラウンド層の方向を見たときに、前記第1の金属パターンが、前記第1の接続導体の全体及び前記第1の部品の全体を含む位置に配置され、かつ、前記第2の金属パターンが、前記第2の接続導体の全体及び前記第2の部品の全体を含む位置に配置されており、
前記第1の静電容量は、前記第1の金属パターンと前記グラウンド層との間に存在している静電容量であり、
前記第2の静電容量は、前記第2の金属パターンと前記グラウンド層との間に存在している静電容量であることを特徴とする請求項13記載のプリント回路基板。
前記差動線路における第1の導体と電気的に接続され、かつ、前記第1の接続導体又は前記第1の部品のいずれかと電気的に接続されるように、前記第2の誘電体の内部に配置されている第1の金属パターンと、
前記差動線路における第2の導体と電気的に接続され、かつ、前記第2の接続導体又は前記第2の部品のいずれかと電気的に接続されるように、前記第2の誘電体の内部に配置されている第2の金属パターンとを備え、
前記線路形成層から前記グラウンド層の方向を見たときに、前記第1の金属パターンが、前記第1の接続導体及び前記第1の部品の中で、一部分を含む位置に配置され、かつ、前記第2の金属パターンが、前記第2の接続導体及び前記第2の部品の中で、一部分を含む位置に配置されており、
前記第1の静電容量は、前記第1の接続導体及び前記第1の部品において、前記第1の金属パターンに含まれていない部分と前記グラウンド層との間に存在している静電容量と、前記第1の金属パターンと前記グラウンド層との間に存在している静電容量との合成容量であり、
前記第2の静電容量は、前記第2の接続導体及び前記第2の部品において、前記第2の金属パターンに含まれていない部分と前記グラウンド層との間に存在している静電容量と、前記第2の金属パターンと前記グラウンド層との間に存在している静電容量との合成容量であることを特徴とする請求項13記載のプリント回路基板。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、この発明をより詳細に説明するために、この発明を実施するための形態について、添付の図面に従って説明する。
【0012】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1によるプリント回路基板を示す構成図である。
図1Aは、この発明の実施の形態1によるプリント回路基板を示す模式的な平面図であり、
図1Bは、
図1Aの平面図のA−A’切断線における模式的な断面図である。
図1において、プリント回路基板1は、線路形成層2及びグラウンド層3を備えており、線路形成層2とグラウンド層3との間には、誘電体4が実装されている。
【0013】
線路形成層2には、第1の導体11及び第2の導体12を有する差動線路10が形成されている。
また、線路形成層2には、一端が差動線路10における第1の導体11と接続されている第1の接続導体21と、第1の接続導体21の他端と接続されている第1の部品31とが形成されている。
また、線路形成層2には、一端が差動線路10における第2の導体12と接続されている第2の接続導体22と、第2の接続導体22の他端と接続されている第2の部品32とが形成されている。
ここで、第1の部品31及び第2の部品32のそれぞれは、サージ対策用の部品であり、例えば、サージ又は静電気を抑制する部品である。サージ対策用の部品としては、アレスタ、バリスタ又はダイオードなどが考えられる。
図1の例では、第1の部品31及び第2の部品32が、差動線路10を挟むように、差動線路10と近接している位置に対称的に配置されているが、第1の部品31と第2の部品32が非対称に配置されていてもよい。
【0014】
図1の例では、第1の接続導体21及び第1の部品31と、グラウンド層3との間には第1の静電容量C
1が存在し、第2の接続導体22及び第2の部品32と、グラウンド層3との間には第2の静電容量C
2が存在している。
第1の静電容量C
1と第2の静電容量C
2との差分ΔCは、差動線路10の平衡度が劣化する要因となる。
このため、第1の静電容量C
1と第2の静電容量C
2との差分ΔCは、設計目標の範囲内であることが望ましい。
【0015】
差分ΔCの設計目標は、例えば、以下のように設定される。
まず、プリント回路基板1を搭載する装置において、法規制、自主規格、装置の要求仕様などから許容される放射ノイズである許容放射ノイズが決定される。
次に、プリント回路基板1からのノイズ放射効率、あるいは、プリント回路基板1が収められる筐体の構造などの種々の条件を考慮して、プリント回路基板から放射されるノイズが、先に決定された許容放射ノイズ以内に抑制されるような、差分ΔCの設計目標が設定される。
【0016】
第1の静電容量C
1及び第2の静電容量C
2のそれぞれは、平行平板容量の計算式によって求めることができる。
このため、第1の静電容量C
1は、線路形成層2における第1の接続導体21の実装面積及び第1の部品31の実装面積に比例するとともに、誘電体4の誘電率に比例し、第1の接続導体21及び第1の部品31からグラウンド層3までの距離L
1に反比例する。
同様に、第2の静電容量C
2は、線路形成層2における第2の接続導体22の実装面積及び第2の部品32の実装面積に比例するとともに、誘電体4の誘電率に比例し、第2の接続導体22及び第2の部品32からグラウンド層3までの距離L
2に反比例する。
【0017】
図1のプリント回路基板1の場合、第1の接続導体21及び第1の部品31からグラウンド層3までの距離L
1と、第2の接続導体22及び第2の部品32からグラウンド層3までの距離L
2とが等しい。また、第1の接続導体21及び第1の部品31とグラウンド層3との間の誘電体4の誘電率と、第2の接続導体22及び第2の部品32とグラウンド層3との間の誘電体4の誘電率とが等しい。
このため、第1の静電容量C
1と第2の静電容量C
2との比較においては、第1の静電容量C
1は、線路形成層2における第1の接続導体21の実装面積と第1の部品31の実装面積との合計の面積に比例する。また、第2の静電容量C
2は、線路形成層2における第2の接続導体22の実装面積と第2の部品32の実装面積との合計の面積に比例する。
よって、第1の接続導体21の実装面積と第1の部品31の実装面積との合計の面積と、第2の接続導体22の実装面積と第2の部品32の実装面積との合計の面積の差分を所定値以内に収めることができれば、第1の静電容量C
1と第2の静電容量C
2との差分ΔCを設計目標の範囲内に収めることができる。
【0018】
しかし、近年の基板高密度実装の要求により、種々の制約を受けるため、第1の接続導体21の実装面積と第1の部品31の実装面積との合計の面積と、第2の接続導体22の実装面積と第2の部品32の実装面積との合計の面積の差分を所定値以内に収めることができない場合もある。
このような場合、第1の静電容量C
1と第2の静電容量C
2との差分ΔCを設計目標の範囲内に収めることができないため、差動線路10の平衡度が劣化してしまうことがある。
【0019】
この実施の形態1では、第1の静電容量C
1と第2の静電容量C
2との差分ΔCを設計目標の範囲内に収めることができない場合、差分ΔCに応じて、差動線路10における第1の導体11の長さ及び第2の導体12の長さをそれぞれ調整する。
例えば、
図1に示すように、線路形成層2における第1の接続導体21の実装面積と第1の部品31の実装面積との合計の面積が、第2の接続導体22の実装面積と第2の部品32の実装面積との合計の面積よりも大きい場合、第2の導体12の長さが、第1の導体11の長さよりも長くなるように調整する。
線路形成層2における第1の接続導体21の実装面積と第1の部品31の実装面積との合計の面積が、第2の接続導体22の実装面積と第2の部品32の実装面積との合計の面積よりも小さい場合、第1の導体11の長さが、第2の導体12の長さよりも長くなるように調整する。
【0020】
ここでは、第1の静電容量C
1と第2の静電容量C
2との差分ΔCが設計目標の範囲内に収まらない場合に、差動線路10における第1の導体11の長さ及び第2の導体12の長さをそれぞれ調整し、平衡度の劣化を抑制する例を示している。
線路形成層2における第1の接続導体21の実装面積を調整することで、第1の静電容量C
1を変えることができ、線路形成層2における第2の接続導体22の実装面積を調整することで、第2の静電容量C
2を変えることができる。
例えば、第1の接続導体21の実装面積を大きくすれば、第1の静電容量C
1が大きくなり、第1の接続導体21の実装面積を小さくすれば、第1の静電容量C
1が小さくなる。
また、第2の接続導体22の実装面積を大きくすれば、第2の静電容量C
2が大きくなり、第2の接続導体22の実装面積を小さくすれば、第2の静電容量C
2が小さくなる。
そのため、第1の導体11の長さ及び第2の導体12の長さの調整に併せて、第1の接続導体21の実装面積及び第2の接続導体22の実装面積をそれぞれ調整するようにしてもよい。
【0021】
図1では、差動線路10における第1の導体11の元々の長さと第2の導体12の元々の長さとが等長であるが、第1の静電容量C
1と第2の静電容量C
2との差分ΔCに応じて、長さが調整されたことで、第1の導体11の長さと第2の導体12の長さとが非等長になっている例を示している。
しかし、これは一例に過ぎず、第1の導体11の元々の長さと第2の導体12の元々の長さとが非等長であってもよい。
【0022】
図2Aは、第1の導体11の元々の長さと第2の導体12の元々の長さとが非等長である例を示す説明図である。
図2Aの例では、第1の導体11がコネクタ41と接続され、第2の導体12がコネクタ42と接続されており、コネクタ41とコネクタ42の位置が異なるために、第1の導体11の長さが、第2の導体12の長さよりも長くなっている。
第1の導体11の長さと第2の導体12の長さとが非等長になっている場合でも、第1の静電容量C
1と第2の静電容量C
2との差分ΔCに応じて、第1の導体11の長さ及び第2の導体12の長さをそれぞれ調整することで、差動線路10の平衡度の劣化を抑えることができる。
また、第1の接続導体21の実装面積及び第2の接続導体22の実装面積をそれぞれ調整することでも、差動線路10の平衡度の劣化を抑えることができる。
【0023】
図2Bは、基板上の電源、GND、もしくは他の信号ビアを避けるために、第1の導体11の長さと第2の導体12の長さが非等長になっている例を示す説明図である。
第1の導体11の長さと第2の導体12の長さとが非等長になっている場合でも、第1の静電容量C
1と第2の静電容量C
2との差分ΔCに応じて、第1の導体11の長さ及び第2の導体12の長さをそれぞれ調整することで、差動線路10の平衡度の劣化を抑えることができる。
また、第1の接続導体21の実装面積及び第2の接続導体22の実装面積をそれぞれ調整することでも、差動線路10の平衡度の劣化を抑えることができる。
【0024】
以上で明らかなように、この実施の形態1によれば、第1の接続導体21及び第1の部品31と、グラウンド層3との間には第1の静電容量C
1が存在し、第2の接続導体22及び第2の部品32と、グラウンド層3との間には第2の静電容量C
2が存在しており、第1の静電容量C
1と第2の静電容量C
2との差分ΔCに応じて、第1の導体11の長さ及び第2の導体12の長さがそれぞれ調整されているように構成したので、第1の静電容量C
1と第2の静電容量C
2との差分ΔCを設計目標の範囲内に収めることが可能な金属パターンを設けることができない場合でも、差動線路10の平衡度の劣化を抑えることができる効果を奏する。
これにより、差動線路10上のコモンモードノイズを抑制して、差動線路10からの放射ノイズを抑制することができるとともに、差動線路10の耐ノイズ性を向上させることができる。
【0025】
この実施の形態1では、プリント回路基板1が線路形成層2とグラウンド層3を有している例を示しているが、線路形成層2及びグラウンド層3以外の層を含む多層構造のプリント回路基板1であってもよい。
この実施の形態1では、第1の部品31及び第2の部品32が線路形成層2に形成されている例を示しているが、第1の部品31及び第2の部品32以外の部品が線路形成層2に形成されているプリント回路基板1であってもよい。また、第1の導体11に接続されている部品の数及び種類と、第2の導体12に接続されている部品の数及び種類とが異なっていてもよい。
【0026】
実施の形態2.
この実施の形態2では、第1の金属パターン51及び第2の金属パターン53のそれぞれが誘電体4の内部に配置されている例を説明する。
ただし、第1の金属パターン51と第2の金属パターン53とが配置される場合でも、金属パターンだけで、差動線路10の平衡度の劣化を抑えるものではない。このため、この実施の形態2でも、第1の静電容量C
1と第2の静電容量C
2との差分ΔCを設計目標の範囲内に収めることが可能な金属パターンを配置することは必須でない。
【0027】
図3は、この発明の実施の形態2によるプリント回路基板を示す構成図である。
図3Aは、この発明の実施の形態2によるプリント回路基板を示す模式的な平面図であり、
図3Bは、
図3Aの平面図のA−A’切断線における模式的な断面図である。
図3において、
図1と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
第1の金属パターン51は、差動線路10における第1の導体11と電気的に接続されるように、誘電体4の内部に配置されている。
第1のビア52は、差動線路10における第1の導体11と第1の金属パターン51とを電気的に接続する接続部材である。
第1の金属パターン51は、線路形成層2からグラウンド層3の方向を見たときに、第1の接続導体21の全体及び第1の部品31の全体を含む位置に配置されている。
【0028】
第2の金属パターン53は、差動線路10における第2の導体12と電気的に接続されるように、誘電体4の内部に配置されている。
第2のビア54は、差動線路10における第2の導体12と第2の金属パターン53とを電気的に接続する接続部材である。
第2の金属パターン53は、線路形成層2からグラウンド層3の方向を見たときに、第2の接続導体22の全体及び第2の部品32の全体を含む位置に配置されている。
金属パターン配置層5は、第1の金属パターン51及び第2の金属パターン53が配置されている層であり、誘電体4の内部に設けられている。
【0029】
第1の金属パターン51が誘電体4の内部に配置されており、かつ、第1の金属パターン51が第1の接続導体21の全体及び第1の部品31の全体を含む位置に配置されている場合、第1の静電容量C
1は、第1の金属パターン51とグラウンド層3との間に存在している静電容量である。
また、第2の金属パターン53が誘電体4の内部に配置されており、かつ、第2の金属パターン53が第2の接続導体22の全体及び第2の部品32の全体を含む位置に配置されている場合、第2の静電容量C
2は、第2の金属パターン53とグラウンド層3との間に存在している静電容量である。
【0030】
第1の静電容量C
1及び第2の静電容量C
2のそれぞれは、上記実施の形態1と同様に、平行平板容量の計算式によって求めることができる。
このため、第1の静電容量C
1は、金属パターン配置層5における第1の金属パターン51の実装面積に比例するとともに、誘電体4の誘電率に比例し、第1の金属パターン51からグラウンド層3までの距離L
3に反比例する。
同様に、第2の静電容量C
2は、金属パターン配置層5における第2の金属パターン53の実装面積に比例するとともに、誘電体4の誘電率に比例し、第2の金属パターン53からグラウンド層3までの距離L
4に反比例する。
【0031】
図3のプリント回路基板1の場合、第1の金属パターン51からグラウンド層3までの距離L
3と、第2の金属パターン53からグラウンド層3までの距離L
4とが等しい。また、第1の金属パターン51とグラウンド層3との間の誘電体4の誘電率と、第2の金属パターン53とグラウンド層3との間の誘電体4の誘電率とが等しい。
このため、第1の静電容量C
1と第2の静電容量C
2との比較においては、第1の静電容量C
1は、金属パターン配置層5における第1の金属パターン51の実装面積に比例する。また、第2の静電容量C
2は、金属パターン配置層5における第2の金属パターン53の実装面積に比例する。
よって、金属パターン配置層5における第1の金属パターン51の実装面積と、金属パターン配置層5における第2の金属パターン53の実装面積との差分を所定値以内に収めることができれば、第1の静電容量C
1と第2の静電容量C
2との差分ΔCを設計目標の範囲内に収めることができる。
【0032】
しかし、近年の基板高密度実装の要求により、種々の制約を受けるため、金属パターン配置層5における第1の金属パターン51の実装面積と、金属パターン配置層5における第2の金属パターン53の実装面積の差分を所定値以内に収めることができない場合もある。
このような場合、第1の静電容量C
1と第2の静電容量C
2との差分ΔCを設計目標の範囲内に収めることができないため、差動線路10の平衡度が劣化してしまうことがある。
【0033】
この実施の形態2では、第1の静電容量C
1と第2の静電容量C
2との差分ΔCを設計目標の範囲内に収めることができない場合、差分ΔCに応じて、差動線路10における第1の導体11の長さ及び第2の導体12の長さをそれぞれ調整する。
例えば、
図3に示すように、金属パターン配置層5における第1の金属パターン51の実装面積が、金属パターン配置層5における第2の金属パターン53の実装面積よりも大きい場合、第2の導体12の長さが、第1の導体11の長さよりも長くなるように調整する。
金属パターン配置層5における第1の金属パターン51の実装面積が、金属パターン配置層5における第2の金属パターン53の実装面積よりも小さい場合、第1の導体11の長さが、第2の導体12の長さよりも長くなるように調整する。
【0034】
ここでは、第1の静電容量C
1と第2の静電容量C
2との差分ΔCが設計目標の範囲内に収まるように、差動線路10における第1の導体11の長さ及び第2の導体12の長さをそれぞれ調整する例を示している。
金属パターン配置層5における第1の金属パターン51の実装面積を調整することで、第1の静電容量C
1を変えることができ、金属パターン配置層5における第2の金属パターン53の実装面積を調整することで、第2の静電容量C
2を変えることができる。
例えば、第1の金属パターン51の実装面積を大きくすれば、第1の静電容量C
1が大きくなり、第1の金属パターン51の実装面積を小さくすれば、第1の静電容量C
1が小さくなる。
また、第2の金属パターン53の実装面積を大きくすれば、第2の静電容量C
2が大きくなり、第2の金属パターン53の実装面積を小さくすれば、第2の静電容量C
2が小さくなる。
そのため、第1の導体11の長さ及び第2の導体12の長さの調整に併せて、第1の金属パターン51の実装面積及び第2の金属パターン53の実装面積をそれぞれ調整するようにしてもよい。
【0035】
図3では、線路形成層2からグラウンド層3の方向を見たときに、第1の金属パターン51が、第1の接続導体21の全体及び第1の部品31の全体を含む位置に配置されており、第2の金属パターン53が、第2の接続導体22の全体及び第2の部品32の全体を含む位置に配置されている例を示している。
しかし、これは一例に過ぎず、線路形成層2からグラウンド層3の方向を見たときに、第1の金属パターン51が、第1の接続導体21及び第1の部品31の中で、一部分を含む位置に配置されているようにしてもよい。
また、第2の金属パターン53が、第2の接続導体22及び第2の部品32の中で、一部分を含む位置に配置されているようにしてもよい。
【0036】
第1の金属パターン51が、第1の接続導体21及び第1の部品31の中で、一部分を含む位置に配置されている場合、第1の静電容量C
1は、第1の接続導体21及び第1の部品31において、第1の金属パターン51に含まれていない部分とグラウンド層3との間に存在している静電容量と、第1の金属パターン51とグラウンド層3との間に存在している静電容量との合成容量である。
また、第2の金属パターン53が、第2の接続導体22及び第2の部品32の中で、一部分を含む位置に配置されている場合、第2の静電容量C
2は、第2の接続導体22及び第2の部品32において、第2の金属パターン53に含まれていない部分とグラウンド層3との間に存在している静電容量と、第2の金属パターン53とグラウンド層3との間に存在している静電容量との合成容量である。
【0037】
第1の静電容量C
1及び第2の静電容量C
2のそれぞれは、上記実施の形態1と同様に、平行平板容量の計算式によって求めることができる。
このため、第1の静電容量C
1は、第1の接続導体21及び第1の部品31において、第1の金属パターン51に含まれていない部分の実装面積と、誘電体4の誘電率とに比例し、第1の接続導体21及び第1の部品31からグラウンド層3までの距離L
1に反比例する静電容量と、金属パターン配置層5における第1の金属パターン51の実装面積と、誘電体4の誘電率とに比例し、第1の金属パターン51からグラウンド層3までの距離L
3に反比例する静電容量との合成容量である。
同様に、第2の静電容量C
2は、第2の接続導体22及び第2の部品32において、第2の金属パターン53に含まれていない部分の実装面積と、誘電体4の誘電率とに比例し、第2の接続導体22及び第2の部品32からグラウンド層3までの距離L
2に反比例する静電容量と、金属パターン配置層5における第2の金属パターン53の実装面積と、誘電体4の誘電率とに比例し、第2の金属パターン53からグラウンド層3までの距離L
4に反比例する静電容量との合成容量である。
【0038】
図3のプリント回路基板1の場合、第1の接続導体21及び第1の部品31からグラウンド層3までの距離L
1と、第2の接続導体22及び第2の部品32からグラウンド層3までの距離L
2とが等しい。
また、第1の金属パターン51からグラウンド層3までの距離L
3と、第2の金属パターン53からグラウンド層3までの距離L
4とが等しい。
第1の接続導体21及び第1の部品31とグラウンド層3との間の誘電体4の誘電率と、第2の接続導体22及び第2の部品32とグラウンド層3との間の誘電体4の誘電率とが等しい。
このため、第1の静電容量C
1は、第1の接続導体21及び第1の部品31において、第1の金属パターン51に含まれていない部分の実装面積に比例する項と、金属パターン配置層5における第1の金属パターン51の実装面積に比例する項との和である。
また、第2の静電容量C
2は、第2の接続導体22及び第2の部品32において、第2の金属パターン53に含まれていない部分の実装面積に比例する項と、金属パターン配置層5における第2の金属パターン53の実装面積に比例する項との和である。
【0039】
よって、以下の条件Aと条件Bを満たすことができれば、第1の静電容量C
1と第2の静電容量C
2との差分ΔCを設計目標の範囲内に収めることができる。
(条件A)
第1の接続導体21及び第1の部品31において、第1の金属パターン51に含まれていない部分の実装面積と、第2の接続導体22及び第2の部品32において、第2の金属パターン53に含まれていない部分の実装面積との差分を所定値以内に収める。
(条件B)
金属パターン配置層5における第1の金属パターン51の実装面積と、金属パターン配置層5における第2の金属パターン53の実装面積との差分を所定値以内に収める。
【0040】
しかし、近年の基板高密度実装の要求により、種々の制約を受けるため、条件A又は条件Bを満たすことができない場合もある。
このような場合、第1の静電容量C
1と第2の静電容量C
2との差分ΔCを設計目標の範囲内に収めることができないため、差動線路10の平衡度が劣化してしまうことがある。
【0041】
この実施の形態2では、第1の静電容量C
1と第2の静電容量C
2との差分ΔCを設計目標の範囲内に収めることができない場合、差分ΔCに応じて、差動線路10における第1の導体11の長さ及び第2の導体12の長さをそれぞれ調整する。
また、第1の導体11の長さ及び第2の導体12の長さの調整に併せて、第1の接続導体21及び第1の部品31において、第1の金属パターン51に含まれていない部分の実装面積と、第2の接続導体22及び第2の部品32において、第2の金属パターン53に含まれていない部分の実装面積とを調整するようにしてもよい。
あるいは、第1の導体11の長さ及び第2の導体12の長さの調整に併せて、金属パターン配置層5における第1の金属パターン51の実装面積及び金属パターン配置層5における第2の金属パターン53の実装面積をそれぞれ調整するようにしてもよい。
【0042】
以上で明らかなように、この実施の形態2によれば、第1の金属パターン51及び第2の金属パターン53が誘電体4の内部に配置されている場合でも、上記実施の形態1と同様に、差動線路10の平衡度の劣化を抑えることができる効果を奏する。
【0043】
この実施の形態2では、第1の金属パターン51と第2の金属パターン53が、同じ金属パターン配置層5に配置されている例を示しているが、
図4及び
図5に示すように、第1の金属パターン51と第2の金属パターン53が、異なる金属パターン配置層に配置されていてもよい。
図4は、この発明の実施の形態2による他のプリント回路基板を示す構成図である。
図4Aは、この発明の実施の形態2による他のプリント回路基板を示す模式的な平面図であり、
図4Bは、
図4Aの平面図のA−A’切断線における模式的な断面図である。
図4の例では、第1の金属パターン51が第1の金属パターン配置層5aに配置され、第2の金属パターン53が第2の金属パターン配置層5bに配置されている。
【0044】
図5は、この発明の実施の形態2による他のプリント回路基板を示す構成図である。
図5Aは、この発明の実施の形態2による他のプリント回路基板を示す模式的な平面図であり、
図5Bは、
図5Aの平面図のA−A’切断線における模式的な断面図である。
図5の例では、第1の金属パターン51が第1の金属パターン配置層5aに配置され、第2の金属パターン53が第2の金属パターン配置層5bに配置されている。
また、
図5の例では、グラウンド層3が誘電体4の内部に配置されており、第2の金属パターン配置層5bが、誘電体4における2つの表面のうち、線路形成層2が形成されていない側の表面に配置されている。即ち、第2の金属パターン配置層5bが、グラウンド層3よりも、図中下側に設けられている。
図5に示すプリント回路基板の場合、第2の静電容量C
2は、第2の接続導体22及び第2の部品32とグラウンド層3との間に存在している静電容量と、第2の金属パターン53とグラウンド層3との間に存在している静電容量との合成容量である。
【0045】
実施の形態3.
この実施の形態3では、
図6に示すように、誘電体4の内部に配置されている第1の金属パターン51及び第2の金属パターン53のそれぞれがグラウンド層3と接続されている例を説明する。
この実施の形態3においても、上記実施の形態2と同様に、金属パターンだけで、差動線路10の平衡度の劣化を抑えるものではない。このため、この実施の形態3でも、第1の静電容量C
1と第2の静電容量C
2との差分ΔCを設計目標の範囲内に収めることが可能な金属パターンを配置することは必須でない。
【0046】
図6は、この発明の実施の形態3によるプリント回路基板を示す構成図である。
図6Aは、この発明の実施の形態3によるプリント回路基板を示す模式的な平面図であり、
図6Bは、
図6Aの平面図のA−A’切断線における模式的な断面図である。
図6において、
図1,3〜5と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
第1の金属パターン51は、線路形成層2からグラウンド層3の方向を見たときに、第1の接続導体21の全体及び第1の部品31の全体を含む位置に配置されている。
第1のビア55は、グラウンド層3と第1の金属パターン51とを電気的に接続する接続部材である。
第2の金属パターン53は、線路形成層2からグラウンド層3の方向を見たときに、第2の接続導体22の全体及び第2の部品32の全体を含む位置に配置されている。
第2のビア56は、グラウンド層3と第2の金属パターン53とを電気的に接続する接続部材である。
【0047】
第1の金属パターン51が誘電体4の内部に配置されており、かつ、第1の金属パターン51が第1の接続導体21の全体及び第1の部品31の全体を含む位置に配置されている場合、第1の静電容量C
1は、第1の接続導体21及び第1の部品31と、第1の金属パターン51との間に存在している静電容量である。
また、第2の金属パターン53が誘電体4の内部に配置されており、かつ、第2の金属パターン53が第2の接続導体22の全体及び第2の部品32の全体を含む位置に配置されている場合、第2の静電容量C
2は、第2の接続導体22及び第2の部品32と、第2の金属パターン53との間に存在している静電容量である。
【0048】
第1の静電容量C
1及び第2の静電容量C
2のそれぞれは、上記実施の形態1と同様に、平行平板容量の計算式によって求めることができる。
このため、第1の静電容量C
1は、線路形成層2における第1の接続導体21の実装面積及び第1の部品31の実装面積に比例するとともに、誘電体4の誘電率に比例し、第1の接続導体21及び第1の部品31から第1の金属パターン51までの距離L
5に反比例する。
同様に、第2の静電容量C
2は、線路形成層2における第2の接続導体22の実装面積及び第2の部品32の実装面積に比例するとともに、誘電体4の誘電率に比例し、第2の接続導体22及び第2の部品32から第2の金属パターン53までの距離L
6に反比例する。
【0049】
図6のプリント回路基板1の場合、第1の接続導体21及び第1の部品31と第1の金属パターン51との間の誘電体4の誘電率と、第2の接続導体22及び第2の部品32と第2の金属パターン53との間の誘電体4の誘電率が等しい。
このため、第1の静電容量C
1と第2の静電容量C
2との比較においては、第1の静電容量C
1は、線路形成層2における第1の接続導体21の実装面積と第1の部品31の実装面積との合計の面積に比例し、第1の接続導体21及び第1の部品31から第1の金属パターン51までの距離L
5に反比例する。
第2の静電容量C
2は、線路形成層2における第2の接続導体22の実装面積と第2の部品32の実装面積との合計の面積に比例し、第2の接続導体22及び第2の部品32から第2の金属パターン53までの距離L
6に反比例する。
よって、第1の接続導体21の実装面積と第1の部品31の実装面積との合計の面積と距離L
5の比と、第2の接続導体22の実装面積と第2の部品32の実装面積との合計の面積と距離L
6の比を所定値内に納めることが出来れば、第1の静電容量C
1と第2の静電容量C
2との差分ΔCを設計目標の範囲内に収めることができる。
【0050】
しかし、近年の基板高密度実装の要求により、種々の制約を受けるため、第1の接続導体21の実装面積と第1の部品31の実装面積との合計の面積と、第2の接続導体22の実装面積と第2の部品32の実装面積との合計の面積の差分を所定値以内に収めることができない場合がある。
また、距離L
5と距離L
6の差分を所定値以内に収めることができない場合がある。
このような場合、第1の静電容量C
1と第2の静電容量C
2との差分ΔCを設計目標の範囲内に収めることができないため、差動線路10の平衡度が劣化してしまうことがある。
【0051】
この実施の形態3では、第1の静電容量C
1と第2の静電容量C
2との差分ΔCを設計目標の範囲内に収めることができない場合、上記実施の形態1,2と同様に、差分ΔCに応じて、差動線路10における第1の導体11の長さ及び第2の導体12の長さをそれぞれ調整する。
【0052】
ここでは、第1の静電容量C
1と第2の静電容量C
2との差分ΔCが設計目標の範囲内に収まらない場合に、差動線路10における第1の導体11の長さ及び第2の導体12の長さをそれぞれ調整し、平衡度の劣化を抑制する例を示している
第2の金属パターン配置層5bにおける第1の金属パターン51の実装面積を調整することで、第1の静電容量C
1を変えることができ、第1の金属パターン配置層5aにおける第2の金属パターン53の実装面積を調整することで、第2の静電容量C
2を変えることができる。
そのため、第1の導体11の長さ及び第2の導体12の長さの調整に併せて、第1の金属パターン51の実装面積及び第2の金属パターン53の実装面積をそれぞれ調整するようにしてもよい。
また、第1の導体11の長さ及び第2の導体12の長さの調整に併せて、第1の接続導体21及び第1の部品31から第1の金属パターン51までの距離L
5及び第2の接続導体22及び第2の部品32から第2の金属パターン53までの距離L
6をそれぞれ調整するようにしてもよい。
【0053】
図6では、線路形成層2からグラウンド層3の方向を見たときに、第1の金属パターン51が、第1の接続導体21の全体及び第1の部品31の全体を含む位置に配置されており、第2の金属パターン53が、第2の接続導体22の全体及び第2の部品32の全体を含む位置に配置されている例を示している。
しかし、これは一例に過ぎず、線路形成層2からグラウンド層3の方向を見たときに、第1の金属パターン51が、第1の接続導体21及び第1の部品31の中で、一部分を含む位置に配置されているようにしてもよい。
また、第2の金属パターン53が、第2の接続導体22及び第2の部品32の中で、一部分を含む位置に配置されているようにしてもよい。
【0054】
第1の金属パターン51が、第1の接続導体21及び第1の部品31の中で、一部分を含む位置に配置されている場合、第1の静電容量C
1は、第1の接続導体21及び第1の部品31において、第1の金属パターン51に含まれていない部分とグラウンド層3との間に存在している静電容量と、第1の金属パターン51に含まれている部分と第1の金属パターン51との間に存在している静電容量との合成容量である。
また、第2の金属パターン53が、第2の接続導体22及び第2の部品32の中で、一部分を含む位置に配置されている場合、第2の静電容量C
2は、第2の接続導体22及び第2の部品32において、第2の金属パターン53に含まれていない部分とグラウンド層3との間に存在している静電容量と、第2の金属パターン53に含まれている部分と第2の金属パターン53との間に存在している静電容量との合成容量である。
【0055】
第1の静電容量C
1及び第2の静電容量C
2のそれぞれは、上記実施の形態1と同様に、平行平板容量の計算式によって求めることができる。
このため、第1の静電容量C
1は、第1の接続導体21及び第1の部品31において、第1の金属パターン51に含まれていない部分の実装面積と、誘電体4の誘電率とに比例し、第1の接続導体21及び第1の部品31からグラウンド層3までの距離L
1に反比例する静電容量と、第1の接続導体21及び第1の部品31において、第1の金属パターン51に含まれている部分の実装面積と、誘電体4の誘電率とに比例し、第1の接続導体21及び第1の部品31から第1の金属パターン51までの距離L
5に反比例する静電容量との合成容量である。
同様に、第2の静電容量C
2は、第2の接続導体22及び第2の部品32において、第2の金属パターン53に含まれていない部分の実装面積と、誘電体4の誘電率とに比例し、第2の接続導体22及び第2の部品32からグラウンド層3までの距離L
2に反比例する静電容量と、第2の接続導体22及び第2の部品32において、第2の金属パターン52に含まれている部分の実装面積と、誘電体4の誘電率とに比例し、第2の接続導体22及び第2の部品32から第2の金属パターン53までの距離L
6に反比例する静電容量との合成容量である。
【0056】
第1の静電容量C
1と第2の静電容量C
2との差分ΔCが設計目標の範囲内に収まっていなければ、上記実施の形態1と同様に、差分ΔCに応じて、差動線路10における第1の導体11の長さ及び第2の導体12の長さをそれぞれ調整する。
また、第1の導体11の長さ及び第2の導体12の長さの調整に併せて、第1の接続導体21及び第1の部品31において、第1の金属パターン51に含まれていない部分の実装面積と、第2の接続導体22及び第2の部品32において、第2の金属パターン53に含まれていない部分の実装面積とを調整するようにしてもよい。
あるいは、第1の導体11の長さ及び第2の導体12の長さの調整に併せて、第1の金属パターン51の実装面積及び第2の金属パターン53の実装面積をそれぞれ調整するようにしてもよい。
あるいは、第1の導体11の長さ及び第2の導体12の長さの調整に併せて、第1の接続導体21及び第1の部品31から第1の金属パターン51までの距離L
5及び第2の接続導体22及び第2の部品32から第2の金属パターン53までの距離L
6をそれぞれ調整するようにしてもよい。
【0057】
以上で明らかなように、この実施の形態3によれば、第1の金属パターン51及び第2の金属パターン53が誘電体4の内部に配置されている場合でも、上記実施の形態1と同様に、差動線路10の平衡度の劣化を抑えることができる効果を奏する。
【0058】
実施の形態4.
この実施の形態4では、第1の金属パターン51がグラウンド層3と電気的に接続され、第2の金属パターン53が差動線路10における第2の導体12と電気的に接続されている例を説明する。
【0059】
図7は、この発明の実施の形態4によるプリント回路基板を示す構成図である。
図7Aは、この発明の実施の形態4によるプリント回路基板を示す模式的な平面図であり、
図7Bは、
図7Aの平面図のA−A’切断線における模式的な断面図である。
図7において、
図1,3〜6と同一符号は同一または相当部分を示している。
【0060】
第1の金属パターン51が誘電体4の内部に配置されており、かつ、第1の金属パターン51が第1の接続導体21の全体及び第1の部品31の全体を含む位置に配置されている場合、第1の静電容量C
1は、第1の接続導体21及び第1の部品31と、第1の金属パターン51との間に存在している。
また、第2の金属パターン53が誘電体4の内部に配置されており、かつ、第2の金属パターン53が第2の接続導体22の全体及び第2の部品32の全体を含む位置に配置されている場合、第2の静電容量C
2は、第2の金属パターン53とグラウンド層3との間に存在している。
【0061】
第1の静電容量C
1及び第2の静電容量C
2のそれぞれは、上記実施の形態1と同様に、平行平板容量の計算式によって求めることができる。
このため、第1の静電容量C
1は、線路形成層2における第1の接続導体21の実装面積及び第1の部品31の実装面積に比例するとともに、誘電体4の誘電率に比例し、第1の接続導体21及び第1の部品31から第1の金属パターン51までの距離L
5に反比例する。
第2の静電容量C
2は、第2の金属パターン配置層5bにおける第2の金属パターン53の実装面積に比例するとともに、誘電体4の誘電率に比例し、第2の金属パターン53からグラウンド層3までの距離L
4に反比例する。
【0062】
第1の静電容量C
1と第2の静電容量C
2との差分ΔCが設計目標の範囲内に収まっていなければ、上記実施の形態1と同様に、差分ΔCに応じて、差動線路10における第1の導体11の長さ及び第2の導体12の長さをそれぞれ調整する。
また、第1の導体11の長さ及び第2の導体12の長さの調整に併せて、線路形成層2における第1の接続導体21の実装面積及び第1の部品31の実装面積と、第2の金属パターン配置層5bにおける第2の金属パターン53の実装面積とを調整するようにしてもよい。
あるいは、第1の導体11の長さ及び第2の導体12の長さの調整に併せて、第1の接続導体21及び第1の部品31から第1の金属パターン51までの距離L
5と、第2の金属パターン53からグラウンド層3までの距離L
4とを調整するようにしてもよい。
【0063】
図7では、線路形成層2からグラウンド層3の方向を見たときに、第1の金属パターン51が、第1の接続導体21の全体及び第1の部品31の全体を含む位置に配置されており、第2の金属パターン53が、第2の接続導体22の全体及び第2の部品32の全体を含む位置に配置されている例を示している。
しかし、これは一例に過ぎず、線路形成層2からグラウンド層3の方向を見たときに、第1の金属パターン51が、第1の接続導体21及び第1の部品31の中で、一部分を含む位置に配置されているようにしてもよい。
また、第2の金属パターン53が、第2の接続導体22及び第2の部品32の中で、一部分を含む位置に配置されているようにしてもよい。
【0064】
第1の金属パターン51が、第1の接続導体21及び第1の部品31の中で、一部分を含む位置に配置されている場合、第1の静電容量C
1は、第1の接続導体21及び第1の部品31において、第1の金属パターン51に含まれていない部分とグラウンド層3との間に存在している静電容量と、第1の金属パターン51に含まれている部分と第1の金属パターン51との間に存在している静電容量との合成容量である。
また、第2の金属パターン53が、第2の接続導体22及び第2の部品32の中で、一部分を含む位置に配置されている場合、第2の静電容量C
2は、第2の接続導体22及び第2の部品32において、第2の金属パターン53に含まれていない部分とグラウンド層3との間に存在している静電容量と、第2の金属パターン53とグラウンド層3との間に存在している静電容量との合成容量である。
【0065】
第1の静電容量C
1と第2の静電容量C
2との差分ΔCが設計目標の範囲内に収まっていなければ、上記実施の形態1と同様に、差分ΔCに応じて、差動線路10における第1の導体11の長さ及び第2の導体12の長さをそれぞれ調整する。
また、第1の導体11の長さ及び第2の導体12の長さの調整に併せて、第1の接続導体21及び第1の部品31において、第1の金属パターン51に含まれていない部分の実装面積と、第2の接続導体22及び第2の部品32において、第2の金属パターン53に含まれていない部分の実装面積とを調整するようにしてもよい。
あるいは、第1の導体11の長さ及び第2の導体12の長さの調整に併せて、第2の金属パターン配置層5bにおける第1の金属パターン51の実装面積と、第2の金属パターン配置層5bにおける第2の金属パターン53の実装面積とを調整するようにしてもよい。
あるいは、第1の導体11の長さ及び第2の導体12の長さの調整に併せて、第1の接続導体21及び第1の部品31から第1の金属パターン51までの距離L
5と、第2の金属パターン53からグラウンド層3までの距離L
4とを調整するようにしてもよい。
【0066】
以上で明らかなように、この実施の形態4によれば、第1の金属パターン51がグラウンド層3と電気的に接続され、第2の金属パターン53が差動線路10における第2の導体12と電気的に接続されている場合でも、上記実施の形態1と同様に、差動線路10の平衡度の劣化を抑えることができる効果を奏する。
【0067】
この実施の形態4では、第1の金属パターン51と第2の金属パターン53が、第2の金属パターン配置層5bに配置されている例を示しているが、
図8に示すように、第1の金属パターン51と第2の金属パターン53が、異なる金属パターン配置層に配置されていてもよい。
図8は、この発明の実施の形態4による他のプリント回路基板を示す構成図である。
図8Aは、この発明の実施の形態4による他のプリント回路基板を示す模式的な平面図であり、
図8Bは、
図8Aの平面図のA−A’切断線における模式的な断面図である。
図8の例では、第1の金属パターン51が第1の金属パターン配置層5aに配置され、第2の金属パターン53が第2の金属パターン配置層5bに配置されている。
また、
図8の例では、グラウンド層3が誘電体4の内部に配置されており、第2の金属パターン配置層5bが、誘電体4における2つの表面のうち、線路形成層2が形成されていない側の表面に配置されている。即ち、第2の金属パターン配置層5bが、グラウンド層3よりも、図中下側に設けられている。
図8に示すプリント回路基板の場合、第2の静電容量C
2は、第2の接続導体22及び第2の部品32とグラウンド層3との間に存在している静電容量と、第2の金属パターン53とグラウンド層3との間に存在している静電容量との合成容量である。
【0068】
実施の形態5.
この実施の形態5では、部品及び接続導体が形成されている接続導体形成層6が、差動線路10が形成されている線路形成層2と別個に設けられている例を説明する。
【0069】
図9は、この発明の実施の形態5によるプリント回路基板を示す構成図である。
図9Aは、この発明の実施の形態5によるプリント回路基板を示す模式的な平面図であり、
図9Bは、
図9Aの平面図のA−A’切断線における模式的な断面図である。
図9において、
図1,3〜8と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
接続導体形成層6には、サージ対策用の部品である第1の部品31と、第1の部品31と電気的に接続されている第1の接続導体21と、サージ対策用の部品である第2の部品32と、第2の部品32と電気的に接続されている第2の接続導体22とが形成されている。
【0070】
第1の誘電体4aは、線路形成層2とグラウンド層3との間に実装されている。
第2の誘電体4bは、グラウンド層3と接続導体形成層6との間に実装されている。
第1のビア57は、差動線路10における第1の導体11と、第1の金属パターン51と、第1の接続導体21とを電気的に接続する接続部材である。
第2のビア58は、差動線路10における第2の導体12と、第2の金属パターン53と、第2の接続導体22とを電気的に接続する接続部材である。
【0071】
第1の金属パターン51が第2の誘電体4bの内部に配置されており、かつ、第1の金属パターン51が第1の接続導体21の全体及び第1の部品31の全体を含む位置に配置されている場合、第1の静電容量C
1は、第1の金属パターン51とグラウンド層3との間に存在している静電容量である。
また、第2の金属パターン53が第2の誘電体4bの内部に配置されており、かつ、第2の金属パターン53が第2の接続導体22の全体及び第2の部品32の全体を含む位置に配置されている場合、第2の静電容量C
2は、第2の金属パターン53とグラウンド層3との間に存在している静電容量である。
【0072】
第1の静電容量C
1及び第2の静電容量C
2のそれぞれは、上記実施の形態1と同様に、平行平板容量の計算式によって求めることができる。
このため、第1の静電容量C
1は、金属パターン配置層5における第1の金属パターン51の実装面積に比例するとともに、第2の誘電体4bの誘電率に比例し、第1の金属パターン51からグラウンド層3までの距離L
7に反比例する。
同様に、第2の静電容量C
2は、金属パターン配置層5における第2の金属パターン53の実装面積に比例するとともに、第2の誘電体4bの誘電率に比例し、第2の金属パターン53からグラウンド層3までの距離L
8(=L
7)に反比例する。
【0073】
第1の静電容量C
1と第2の静電容量C
2との差分ΔCが設計目標の範囲内に収まっていなければ、上記実施の形態1と同様に、差分ΔCに応じて、差動線路10における第1の導体11の長さ及び第2の導体12の長さをそれぞれ調整する。
また、第1の導体11の長さ及び第2の導体12の長さの調整に併せて、金属パターン配置層5における第1の金属パターン51の実装面積及び第2の金属パターン53の実装面積をそれぞれ調整する。
【0074】
図9では、線路形成層2からグラウンド層3の方向を見たときに、第1の金属パターン51が、第1の接続導体21の全体及び第1の部品31の全体を含む位置に配置されており、第2の金属パターン53が、第2の接続導体22の全体及び第2の部品32の全体を含む位置に配置されている例を示している。
しかし、これは一例に過ぎず、線路形成層2からグラウンド層3の方向を見たときに、第1の金属パターン51が、第1の接続導体21及び第1の部品31の中で、一部分を含む位置に配置されているようにしてもよい。
また、第2の金属パターン53が、第2の接続導体22及び第2の部品32の中で、一部分を含む位置に配置されているようにしてもよい。
【0075】
第1の金属パターン51が、第1の接続導体21及び第1の部品31の中で、一部分を含む位置に配置されている場合、第1の静電容量C
1は、第1の接続導体21及び第1の部品31において、第1の金属パターン51に含まれていない部分とグラウンド層3との間に存在している静電容量と、第1の金属パターン51とグラウンド層3との間に存在している静電容量との合成容量である。
また、第2の金属パターン53が、第2の接続導体22及び第2の部品32の中で、一部分を含む位置に配置されている場合、第2の静電容量C
2は、第2の接続導体22及び第2の部品32において、第2の金属パターン53に含まれていない部分とグラウンド層3との間に存在している静電容量と、第2の金属パターン53とグラウンド層3との間に存在している静電容量との合成容量である。
【0076】
第1の静電容量C
1と第2の静電容量C
2との差分ΔCが設計目標の範囲内に収まっていなければ、上記実施の形態1と同様に、差分ΔCに応じて、差動線路10における第1の導体11の長さ及び第2の導体12の長さをそれぞれ調整する。
また、第1の導体11の長さ及び第2の導体12の長さの調整に併せて、第1の接続導体21及び第1の部品31において、第1の金属パターン51に含まれていない部分の実装面積と、第2の接続導体22及び第2の部品32において、第2の金属パターン53に含まれていない部分の実装面積とを調整するようにしてもよい。
あるいは、第1の導体11の長さ及び第2の導体12の長さの調整に併せて、金属パターン配置層5における第1の金属パターン51の実装面積と、第2の金属パターン53の実装面積とを調整するようにしてもよい。
【0077】
以上で明らかなように、この実施の形態5によれば、部品及び接続導体が形成されている接続導体形成層6が、差動線路10が形成されている線路形成層2と別個に設けられている場合でも、上記実施の形態1と同様に、差動線路10の平衡度の劣化を抑えることができる効果を奏する。
【0078】
実施の形態6.
この実施の形態6では、線路形成層2とグラウンド層3との間に実装されている誘電体の誘電率εが部分的に異なっている例を説明する。
【0079】
図10は、この発明の実施の形態6によるプリント回路基板を示す構成図である。
図10Aは、この発明の実施の形態6によるプリント回路基板を示す模式的な平面図であり、
図10Bは、
図10Aの平面図のA−A’切断線における模式的な断面図である。
図10において、
図1と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
誘電体7aは、第1の接続導体21及び第1の部品31と、グラウンド層3との間に実装されており、誘電率がε
1の誘電体である。
誘電体7bは、第2の接続導体22及び第2の部品32と、グラウンド層3との間に実装されており、誘電率がε
2の誘電体である。
【0080】
第1の静電容量C
1は、線路形成層2における第1の接続導体21の実装面積及び第1の部品31の実装面積に比例するとともに、誘電体7aの誘電率ε
1に比例し、第1の接続導体21及び第1の部品31からグラウンド層3までの距離L
1に反比例する。
同様に、第2の静電容量C
2は、線路形成層2における第2の接続導体22の実装面積及び第2の部品32の実装面積に比例するとともに、誘電体7bの誘電率ε
2に比例し、第2の接続導体22及び第2の部品32からグラウンド層3までの距離L
2(=L
1)に反比例する。
【0081】
第1の静電容量C
1と第2の静電容量C
2との差分ΔCが設計目標の範囲内に収まっていなければ、上記実施の形態1と同様に、差分ΔCに応じて、差動線路10における第1の導体11の長さ及び第2の導体12の長さをそれぞれ調整する。
また、第1の導体11の長さ及び第2の導体12の長さの調整に併せて、線路形成層2における第1の接続導体21の実装面積及び第2の接続導体22の実装面積をそれぞれ調整するようにしてもよい。
あるいは、第1の導体11の長さ及び第2の導体12の長さの調整に併せて、誘電体7aの誘電率ε
1及び誘電体7bの誘電率ε
2をそれぞれ調整するようにしてもよい。
【0082】
以上で明らかなように、この実施の形態6によれば、第1の接続導体21及び第1の部品31と、グラウンド層3との間に実装されている誘電体7aの誘電率ε
1と、第2の接続導体22及び第2の部品32と、グラウンド層3との間に実装されている誘電体7bの誘電率ε
2とが異なっているように構成したので、上記実施の形態1と同様に、差動線路10の平衡度の劣化を抑えることができる効果を奏する。
【0083】
実施の形態7.
この実施の形態7では、差動線路10における第1の導体11又は第2の導体12のいずれかと電気的に接続されている第3の導体60が線路形成層2に形成されている例を説明する。
【0084】
図11は、この発明の実施の形態7によるプリント回路基板を示す構成図である。
図11Aは、この発明の実施の形態7によるプリント回路基板を示す模式的な平面図であり、
図11Bは、
図11Aの平面図のA−A’切断線における模式的な断面図である。
図11において、
図1と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
第3の導体60は、一端が差動線路10における第2の導体12と電気的に接続されている導体であり、第3の導体60は、線路形成層2に形成されている。
図11では、第3の導体60の一端が第2の導体12と電気的に接続されている例を示しているが、第3の導体60の一端が第1の導体11と電気的に接続されているものであってもよい。
【0085】
第1の静電容量C
1は、線路形成層2における第1の接続導体21の実装面積及び第1の部品31の実装面積に比例するとともに、誘電体4の誘電率に比例し、第1の接続導体21及び第1の部品31からグラウンド層3までの距離L
1に反比例する。
第2の静電容量C
2は、線路形成層2における第2の接続導体22の実装面積及び第2の部品32の実装面積及び第3の導体60に比例するとともに、誘電体4の誘電率に比例し、第2の接続導体22及び第2の部品32からグラウンド層3までの距離L
2(=L
1)に反比例する。
【0086】
第1の静電容量C
1と第2の静電容量C
2との差分ΔCが設計目標の範囲内に収まっていなければ、上記実施の形態1と同様に、差分ΔCに応じて、差動線路10における第1の導体11の長さ及び第2の導体12の長さをそれぞれ調整する。
また、第1の導体11の長さ及び第2の導体12の長さの調整に併せて、線路形成層2における第1の接続導体21の実装面積及び第2の接続導体22の実装面積をそれぞれ調整するようにしてもよい。
あるいは、線路形成層2における第3の導体60の実装面積を調整するようにしてもよい。
以上で明らかなように、この実施の形態7によれば、上記実施の形態1と同様に、差動線路10の平衡度の劣化を抑えることができる効果を奏する。
【0087】
実施の形態8.
上記実施の形態1では、第1の部品31及び第2の部品32が、第1の接続導体21及び第2の接続導体22と同一平面上に配置されている例を示しているが、第1の部品31が、第1の接続導体21の上に重ねられ、第2の部品32が、第2の接続導体22の上に重ねられているものであってもよい。
【0088】
図12は、この発明の実施の形態8によるプリント回路基板を示す構成図である。
図12Aは、この発明の実施の形態8によるプリント回路基板を示す模式的な平面図であり、
図12Bは、
図12Aの平面図のA−A’切断線における模式的な断面図である。
図12において、
図1と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
第1の絶縁体71は、第1の部品31の端子間のショートを防ぐために、第1の接続導体21の上に配置されている。
第1の部品31は、第1の絶縁体71の上に配置されており、第1の部品31の片側の端子は、第1の接続導体21と電気的に接続されている。
第2の絶縁体72は第2の部品32の端子間のショートを防ぐために、第2の接続導体22の上に配置されている。
第2の部品32は、第2の絶縁体72の上に配置されており、第2の部品32の片側の端子は、第2の接続導体22と電気的に接続されている。
【0089】
第1の静電容量C
1は、線路形成層2における第1の接続導体21の実装面積に比例するとともに、誘電体4の誘電率に比例し、第1の接続導体21からグラウンド層3までの距離L
1に反比例する。
第2の静電容量C
2は、線路形成層2における第2の接続導体22の実装面積に比例するとともに、誘電体4の誘電率に比例し、第2の接続導体22からグラウンド層3までの距離L
2(=L
1)に反比例する。
【0090】
第1の静電容量C
1と第2の静電容量C
2との差分ΔCが設計目標の範囲内に収まっていなければ、上記実施の形態1と同様に、差分ΔCに応じて、差動線路10における第1の導体11の長さ及び第2の導体12の長さをそれぞれ調整する。
また、第1の導体11の長さ及び第2の導体12の長さの調整に併せて、線路形成層2における第1の接続導体21の実装面積及び第2の接続導体22の実装面積をそれぞれ調整するようにしてもよい。
以上で明らかなように、この実施の形態8によれば、上記実施の形態1と同様に、差動線路10の平衡度の劣化を抑えることができる効果を奏する。
【0091】
なお、本願発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。