(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6433631
(24)【登録日】2018年11月16日
(45)【発行日】2018年12月5日
(54)【発明の名称】電力変換装置
(51)【国際特許分類】
H02M 7/48 20070101AFI20181126BHJP
H02M 3/155 20060101ALI20181126BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20181126BHJP
【FI】
H02M7/48 Z
H02M3/155 Y
H05K7/20 H
【請求項の数】8
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-530263(P2018-530263)
(86)(22)【出願日】2016年7月27日
(86)【国際出願番号】JP2016072039
(87)【国際公開番号】WO2018020615
(87)【国際公開日】20180201
【審査請求日】2018年9月12日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100131152
【弁理士】
【氏名又は名称】八島 耕司
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】北中 英俊
(72)【発明者】
【氏名】角田 英俊
(72)【発明者】
【氏名】平山 祐
【審査官】
宮本 秀一
(56)【参考文献】
【文献】
特開2001−258263(JP,A)
【文献】
特開2007−097366(JP,A)
【文献】
特開2009−106116(JP,A)
【文献】
特開2011−188671(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M1/00−3/44、
7/42−7/98
H05K7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力電力を変換して出力する電力変換部、前記電力変換部の入力側に接続されるリアクトル、および前記電力変換部に含まれる電子部品を制御する制御部を備える電力変換装置であって、
筐体の内部が隔壁によって、外気が流入しない密閉部と外気が流入する開放部に分けられ、前記密閉部に前記電子部品を収容し、前記電子部品から伝達された熱を放熱する前記開放部に露出したヒートシンクを有する第1のユニットと、
前記第1のユニットに隣接し、筐体の内部が開口を有する隔壁によって第1の空間と第2の空間に分けられ、前記第2の空間から前記第1の空間に向かって送風し、少なくとも一部が前記開口から前記第2の空間に露出する羽根車を有する送風機を前記第1の空間に収容する第2のユニットと、
前記第2のユニットに隣接し、前記リアクトルを収容する第3のユニットと、
を備え、
前記開放部を形成する前記第1のユニットの筐体と、前記第2の空間を形成する前記第2のユニットの筐体とが接する部分に第1の通風口が形成され、前記開放部を形成する前記第1のユニットの筐体に外気が流入する流入口が形成され、前記第1の空間を形成する前記第2のユニットの筐体と前記第3のユニットの筐体とが接する部分に第2の通風口が形成され、前記第3のユニットの筐体に前記第2の通風口から流入した空気を排出する流出口が形成される、
電力変換装置。
【請求項2】
前記送風機は、ケーシングを有していない、
請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項3】
前記第2のユニットの前記隔壁は、前記第2のユニットの前記筐体の内面に接している、
請求項1または2に記載の電力変換装置。
【請求項4】
前記第2のユニットの前記隔壁は、前記羽根車の回転軸に直交する、
請求項1から3のいずれか1項に記載の電力変換装置。
【請求項5】
前記制御部を収容し、外気が内部に流入しない第4のユニットをさらに備える、
請求項1から4のいずれか1項に記載の電力変換装置。
【請求項6】
前記電力変換部の入力側に接続され、前記第4のユニットに収容されるスイッチと、
前記電力変換部の出力側に接続され、前記第4のユニットに収容される平滑回路と、
をさらに備え、
前記送風機は前記平滑回路によって平滑化された前記電力変換部の出力によって駆動される、
請求項5に記載の電力変換装置。
【請求項7】
前記第1のユニットの前記隔壁および前記第2のユニットの前記隔壁は水平であり、
前記第1のユニットの鉛直方向の上部が前記密閉部であって、前記第1のユニットの鉛直方向の下部が前記開放部であり、
前記第2のユニットの鉛直方向の上部の空間が前記第1の空間であって、前記第2のユニットの鉛直方向の下部が前記第2の空間であり、
前記電力変換装置は、車両の屋根上に設置される、
請求項1または2に記載の電力変換装置。
【請求項8】
前記制御部を収容し、外気が内部に流入しない第4のユニットをさらに備え、
前記第1のユニットおよび前記第2のユニットの隣接方向と、前記第2のユニットおよび前記第3のユニットの隣接方向とは直交し、
前記第4のユニットは前記第1のユニットおよび前記第3のユニットに隣接する、
請求項7に記載の電力変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電気鉄道車両の屋根上または床下には、架線から取得した電力を変換して電動機または車載機器に供給する電力変換装置が搭載される。電力変換装置は、半導体素子のスイッチング動作によって入力電力を変換して所望の交流電力を出力する電力変換部を有する。半導体素子はスイッチング動作を行う際に発熱するため、半導体素子から伝達された熱を放熱するフィンまたは剣山状のヒートシンクが形成される。冷却効率を高めるため、ヒートシンクは、外気に触れる位置に設けられる。一方、電力変換部を構成する半導体素子および電力変換部に制御信号を出力する出力制御部を構成する電子部品は、粉塵および水分による故障を防止するため、外気に触れない筐体の内部に設けられる。このように、電力変換装置を構成する各部品の設置場所は、冷却の必要性ならびに防塵および防水の必要性に応じて決定される。
【0003】
特許文献1において、従来技術として記載されている強制空冷型車両用機器収納装置の収納箱は、外気が流入しない半導体室、送風機室、および風洞を有する。送風機室の側壁に空気入口が形成され、送風機室に設けられた横流ファンが外気を吸い込み、風洞に向かって空気を排出する。風洞には、半導体素子が装着された冷却フィンが設けられており、横流ファンからの空気で冷却フィンが冷却されることで、半導体素子の温度上昇が抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭60−076461号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記強制空冷型車両用機器収納装置では、半導体室、送風機室、および風洞がそれぞれ設けられ、またファンはケーシングに収納されているため、装置の大型化、構成部材数の増加、および組み立て作業の複雑化という課題がある。
【0006】
本発明は上述の事情に鑑みてなされたものであり、冷却性能を維持しながら、電力変換装置の構造を簡易化することが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の電力変換装置は、入力電力を変換して出力する電力変換部、電力変換部の入力側に接続されるリアクトル、および電力変換部に含まれる電子部品を制御する制御部を備える電力変換装置であって、第1のユニット、第2のユニット、および第3のユニットを備える。第1のユニットは、筐体の内部が隔壁によって、外気が流入しない密閉部と外気が流入する開放部に分けられる。第1のユニットは、密閉部に電子部品を収容し、電子部品から伝達された熱を放熱する、開放部に露出したヒートシンクを有する。第2のユニットは第1のユニットに隣接し、筐体の内部が開口を有する隔壁によって第1の空間と第2の空間に分けられる。第2のユニットは、第2の空間から第1の空間に向かって送風し、少なくとも一部が開口から第2の空間に露出する羽根車を有する送風機を第1の空間に収容する。第3のユニットは、第2のユニットに隣接し、リアクトルを収容する。開放部を形成する第1のユニットの筐体と、第2の空間を形成する第2のユニットの筐体とが接する部分に第1の通風口が形成される。開放部を形成する第1のユニットの筐体に外気が流入する流入口が形成される。第1の空間を形成する第2のユニットの筐体と第3のユニットの筐体とが接する部分に第2の通風口が形成される。第3のユニットの筐体に第2の通風口から流入した空気を排出する流出口が形成される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、電力変換部に含まれる電子部品が収容される密閉部と開放部とを有する第1のユニット、送風機が収容される第2のユニット、およびリアクトルが収容される第3のユニットを設け、第1のユニットの流入口から、第2のユニットを通って、第3のユニットの流出口に至る空気の流路を設けることで、冷却性能を維持しながら、電力変換装置の構造を簡易化することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施の形態に係る電力変換装置の筐体の斜視図
【
図2】実施の形態に係る第1のユニットの筐体の斜視図
【
図3】実施の形態に係る第1のユニットの筐体の斜視図
【
図4】実施の形態に係る第2のユニットの筐体の斜視図
【
図5】実施の形態に係る第3のユニットの筐体の斜視図
【
図6】実施の形態に係る電力変換装置の電気鉄道車両への搭載例を示す図
【
図7】実施の形態に係る電力変換部に含まれる電子部品の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお図中、同一または同等の部分には同一の符号を付す。
【0011】
図1は、本発明の実施の形態に係る電力変換装置の筐体の斜視図である。
図1においては、電力変換装置1の上面の記載を省略した。電力変換装置1は、後述する各ユニットを組み合わせて構成される。ユニット間を通る空気の流路を確保することで、電力変換装置1の各部を冷却することが可能である。
図1の例では、電力変換装置1は、同じ大きさの、第1のユニット10、第2のユニット20、第3のユニット30および第4のユニット40で構成され、第1のユニット10および第4のユニット40はそれぞれ、第2のユニット20および第3のユニット30と隣接する。すなわち、
図1の例では、第1のユニット10および第2のユニット20の隣接方向と、第2のユニット20および第3のユニット30の隣接方向とは直交し、第4のユニット40は第1のユニット10および第3のユニット30に隣接する。
図1において図示されていない電力変換装置1の上面には、電力変換装置1を構成する電子部品の取り付けおよび取り外しを可能にする開口部および開口部を塞ぐ蓋が設けられる。
【0012】
第1のユニット10は、筐体の内部が隔壁11によって、外気が流入しない密閉部10aと外気が流入する開放部10bに分けられる。密閉部10aには、後述する、電力変換部に含まれる電子部品が収容され、第1のユニット10は、該電子部品から伝達された熱を放熱する開放部10bに露出したヒートシンクを有する。隔壁11に形成される開口12は、後述する、該電子部品が設けられた基板によって塞がれるため、該電子部品が収容される空間である密閉部10aには、外気が流入しない。
図1の例では、隔壁11に2つの開口12が形成されているが、開口12の数は任意である。開放部10bを形成する第1のユニット10の筐体と、後述する第2の空間を形成する第2のユニット20の筐体とが接する部分に第1の通風口14が形成される。開放部10bを形成する第1のユニット10の筐体に外気が流入する流入口13が形成される。
【0013】
第2のユニット20は、筐体の内部が隔壁21によって第1の空間20aと第2の空間20bに分けられ、隔壁21には開口22が形成される。上述のように、開放部10bを形成する第1のユニット10の筐体と、第2の空間20bを形成する第2のユニット20の筐体とが接する部分に第1の通風口14が形成される。第1の空間20aを形成する第2のユニット20の筐体と第3のユニット30の筐体とが接する部分に第2の通風口23が形成される。第2のユニット20には、後述する、第2の空間20bから第1の空間20aに向かって送風する送風機が収容される。
【0014】
第3のユニット30の筐体に第2の通風口23と第2の通風口23から流入した空気を排出する流出口31が形成される。第3のユニット30には、後述するリアクトルが、収容される。第2のユニット20に収容される送風機の動作によって、流入口13から開放部10bに流入した外気は、第1の通風口14を通って第2の空間20bに流入する。第2の空間20bに流入した空気は開口22を通って第1の空間20aに流入し、第2の通風口23を通って第3のユニット30に流入し、流出口31から電力変換装置1の外部に排出される。
【0015】
第4のユニット40の内部には、外気が流入しない。第4のユニット40には、防水性および防塵性が求められる電子部品が収容される。
【0016】
図2および
図3は、実施の形態に係る第1のユニットの筐体の斜視図である。
図4は、実施の形態に係る第2のユニットの筐体の斜視図である。
図5は、実施の形態に係る第3のユニットの筐体の斜視図である。
図2から
図5の例では、開放部10bを形成し、第2のユニット20に接する第1のユニット10の筐体の一部に流出口14aが形成される。第1のユニット10の筐体に流出口14aと対向する流入口13が形成される。第2の空間20bを形成し、第1のユニット10に接する第2のユニット20の筐体の一部に流出口14aと対向する流入口14bが形成される。第1のユニット10の流出口14aおよび第2のユニット20の流入口14bとで、第1の通風口14が構成される。第1の空間20aを形成し、第3のユニット30に接する第2のユニット20の筐体の一部に流出口23aが形成される。第2のユニット20に接する第3のユニット30の筐体の一部に流出口23aと対向する流入口23bが形成される。第2のユニット20の流出口23aと第3のユニット30の流入口23bとで、第2の通風口23が形成される。第3のユニット30の筐体に流入口23bと対向する流出口31が形成される。上述の例では、流入口13と第1の通風口14とが対向し、第2の通風口23と流出口31とが対向するが、流入口13、第1の通風口14、第2の通風口23および流出口31を設ける位置は、上述の例に限られない。外気が第1のユニット10から流入し、第2のユニット20を通って、第3のユニット30から排出されるように、任意の位置に流入口13、第1の通風口14、第2の通風口23および流出口31を設けることができる。
【0017】
図6は、実施の形態に係る電力変換装置の電気鉄道車両への搭載例を示す図である。電力変換装置1は、集電装置102を介して架線101から取得した電力を変換して、出力側に接続される、電気鉄道車両を駆動する電動機103および、空調装置または照明装置である負荷装置104に電力を供給する。架線101から取得された電力は、スイッチ2および入力リアクトル3を介して電力変換部70,80に入力される。電力変換部70は、コンデンサ71およびスイッチング素子72,73,74,75,76,77を有するインバータ回路である。電力変換部80は、コンデンサ81およびスイッチング素子82,83,84,85,86,87を有するインバータ回路である。
図6の各スイッチング素子は、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor:絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)であるが、任意の半導体素子を用いることができる。電力変換部70および電力変換部80の構成は、
図6の例に限られない。負荷装置104に直流電力を供給する場合には、電力変換部80はDC−DC変換器(Direct-Current-to-Direct-Current Converter)であってもよい。
【0018】
リアクトル3は、銅またはアルミの導体をコイル状に巻き回して製造される。リアクトル3の動作中は、導体の抵抗により大きな損失が発生するため、強制的に冷却する必要がある。制御部4は、スイッチ2のオンオフの切り替え、およびスイッチング素子72,73,74,75,76,77,82,83,84,85,86,87の切り替えを制御する。平滑回路5は、電力変換部80が出力するパルス波形を平滑化する。平滑回路5によって、正弦波交流が得られる。送風機6は、平滑回路5によって平滑化された電力変換部80の出力によって駆動される。負荷装置104には、平滑回路5によって平滑化された電力変換部80の出力が供給される。スイッチ2、制御部4、および平滑回路5は、リアクトル3および電力変換部70,80に含まれる電子部品と比べると、発熱量が小さい。スイッチ2,制御部4、および平滑回路5については、粉塵および水分による故障を防止する必要がある。
【0019】
電力変換部70,80に含まれる電子部品は発熱するため、外気によって強制的に冷却する必要がある。
図7は、実施の形態に係る電力変換部に含まれる電子部品の斜視図である。電力変換部70,80に含まれる電子部品は基板88に設けられ、基板88の面の内、該電子部品が設けられる面と反対側の面にヒートシンクが形成される。
図7では、電力変換部80に含まれるスイッチング素子82,83,84を示した。
図7の例では、スイッチング素子82,83,84が基板88に設けられ、基板88の面の内、スイッチング素子82,83,84が設けられる面と反対側の面にヒートシンクとして、フィン89が形成される。
【0020】
図8は、実施の形態に係る送風機の斜視図である。送風機6は、開口が形成されているベース61、ベース61に固定された支持部62、支持部62によって支持される送風機用電動機63、および送風機用電動機63によって回転させられる羽根車64で構成される。羽根車64はケーシングに格納されておらず、露出している。
図8の例では、送風機6は遠心送風機であるが、任意の送風機を用いることができる。
【0021】
電力変換装置1の各部の、
図1に示す電力変換装置1の筐体内への設置について説明する。強制的に冷却する必要がある電力変換部70,80に含まれる電子部品は第1のユニット10に収容され、送風機6は第2のユニット20に収容され、強制的に冷却する必要があるリアクトル3は第3のユニット30に収容され、スイッチ2、制御部4、および平滑回路5は第4のユニット40に収容される。異なるユニットに収容される電力変換装置1の各部を接続する接続導体はユニットの外部に引き通されてもよいし、ユニット間の隔壁に接続導体を挿通する孔を設けてもよい。
【0022】
図9、
図10、および
図11は、実施の形態に係る電力変換装置の断面図である。
図9は、
図1におけるA−A線での断面図であり、
図10は、
図1におけるB−B線での断面図であり、
図11は、
図1におけるC−C線での断面図である。
図7に示す基板88は、密閉部10aに設けられ、基板88によって開口12が塞がれ、フィン89は開口12から開放部10bに露出する。開口12は、基板88に塞がれているため、密閉部10aには外気が流入しない。一方、開放部10bには、流入口13から外気が流入する。
【0023】
図8に示す送風機6は、第1の空間20aに収容される。送風機6は、第2の空間20bから第1の空間20aに向かって送風し、羽根車64の少なくとも一部は、開口22から第2の空間20bに露出する。
図8に示す遠心送風機の場合は、羽根車64の回転中心軸は隔壁21に直交する。リアクトル3を収容する方向は任意であるが、第2の通風口23と流出口31とが対向する場合に、リアクトル3の中心軸を第2の通風口23から流出口31へ向かう方向に一致させるように、リアクトル3を第3のユニット30に収容することで、より効率よくリアクトル3を冷却することが可能である。リアクトル3は、図示しないフレームにボルトで取り付けられ、該フレームが第3のユニット30の筐体の内部に固定される。
【0024】
図9および
図11において、空気の流れを白抜きの矢印で示す。流入口13から開放部10bに流入した外気はフィン89の間を通り、第1の通風口14を通って第2の空間20bに流入する。送風機用電動機63の動作によって羽根車64が回転すると、羽根車64の中心が負圧になるため、第2の空間20bの空気は、開口22を通って羽根車64に吸い込まれ、第1の空間20aに排出される。第1の空間20aに排出された空気は、第2の通風口23を通って、第3のユニット30に流入する。第3のユニット30に流入した空気は、リアクトル3を通って、流出口31から電力変換装置1の外部に排出される。電力変換装置1は、流入口13から、第1の通風口14、開口22、および第2の通風口23を通って、流出口31に至る空気の流路を有するため、電力変換部70,80に含まれる電子部品およびリアクトル3を冷却することが可能である。電力変換装置1は、排気用ダクトおよび送風機6のケーシングを有さないため、構造が簡易である。
【0025】
第1のユニット10、第2のユニット20、第3のユニット30、および第4のユニット40を組み合わせて電力変換装置1を構成することで、電力変換装置1の構造を簡易化することが可能であり、電力変換装置1に含まれる電子部品を、冷却の必要性ならびに防塵および防水の必要性に応じて適切な位置に設けることが可能である。
【0026】
また
図1の例のように、隔壁11,21を水平に配置した場合には、電力変換装置1の上面から各ユニットに電子部品を取り付けることができるため、組み立てが容易である。
【0027】
以上説明したとおり、実施の形態に係る電力変換装置1によれば、電子部品が収容される密閉部10aと開放部10bを有する第1のユニット10、送風機6が収容される第2のユニット20、およびリアクトル3が収容される第3のユニット30を設け、流入口13から、第1の通風口14、開口22、および第2の通風口23を通って、流出口31に至る空気の流路を設けることで、冷却性能を維持しながら、電力変換装置1の構造を簡易化することが可能である。
【0028】
本発明は、上述の実施の形態に限られない。
図1の例では、電力変換装置1は、各ユニットを1つずつ備えているが、電力変換装置1は少なくとも1つの第1のユニット10、少なくとも1つの第2のユニット20、および少なくとも1つの第3のユニット30を備えていればよく、ユニットの組み合わせ方は任意である。
図1の例では各ユニットの大きさは同じであるが、各ユニットの大きさは収容される電子部品に応じて異なる大きさとしてもよい。電力変換部の数が多い場合には、電力変換装置1は、第1のユニット10を複数備えてもよいし、第1のユニット10の大きさを他のユニットに比べて大きくしてもよい。
図1の例では、電力変換装置1は、電気鉄道車両の屋根上に設置されるが、鉛直方向の向きを逆にして、電気鉄道車両の床下に設置することも可能である。
【0029】
本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施の形態は、この発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。すなわち、本発明の範囲は、実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、この発明の範囲内とみなされる。
【符号の説明】
【0030】
1 電力変換装置、2 スイッチ、3 リアクトル、4 制御部、5 平滑回路、6 送風機、10 第1のユニット、10a 密閉部、10b 開放部、11,21 隔壁、12,22 開口、13 流入口、14 第1の通風口、14a,23a 流出口、14b,23b 流入口、20 第2のユニット、20a 第1の空間、20b 第2の空間、23 第2の通風口、30 第3のユニット、31 流出口、40 第4のユニット、61 ベース、62 支持部、63 送風機用電動機、64 羽根車、70,80 電力変換部、71,81 コンデンサ、72,73,74,75,76,77,82,83,84,85,86,87 スイッチング素子、88 基板、89 フィン、101 架線、102 集電装置、103 電動機、104 負荷装置。