特許第6433709号(P6433709)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6433709ターボ冷凍機及びその制御装置並びにその制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6433709
(24)【登録日】2018年11月16日
(45)【発行日】2018年12月5日
(54)【発明の名称】ターボ冷凍機及びその制御装置並びにその制御方法
(51)【国際特許分類】
   F25B 1/00 20060101AFI20181126BHJP
   F25B 1/053 20060101ALI20181126BHJP
【FI】
   F25B1/00 304H
   F25B1/053 A
   F25B1/053 B
   F25B1/00 331E
   F25B1/00 101E
   F25B1/00 311A
   F25B1/00 304Z
【請求項の数】5
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-154938(P2014-154938)
(22)【出願日】2014年7月30日
(65)【公開番号】特開2016-31211(P2016-31211A)
(43)【公開日】2016年3月7日
【審査請求日】2017年6月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】516299338
【氏名又は名称】三菱重工サーマルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100140914
【弁理士】
【氏名又は名称】三苫 貴織
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】松倉 紀行
(72)【発明者】
【氏名】松尾 実
(72)【発明者】
【氏名】立石 浩毅
【審査官】 石黒 雄一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−054094(JP,A)
【文献】 特開2012−077971(JP,A)
【文献】 特開2012−032055(JP,A)
【文献】 特開2015−094560(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 1/00− 7/00
F25B 13/00
F25B 19/00−30/06
F25B 31/00−31/02
F25B 39/00−41/06
F24D 1/00− 3/18
F24H 1/48− 1/52
F24D 5/00−12/02
F24D 13/00−15/04
F24D 17/00−19/10
F24F 1/06− 1/68
F24F 5/00
F24H 1/00
F24H 1/18− 1/20
F24H 4/00− 4/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機と、凝縮器と、膨張弁と、蒸発器とが順次接続され、冷媒が循環する冷凍サイクルの主回路と、前記凝縮器に流入する熱媒の入口温度を計測する第1温度計測手段と、前記凝縮器から流出する熱媒の出口温度を計測する第2温度計測手段と、凝縮圧力を計測する圧力計測手段とを具備するターボ冷凍機に適用される制御装置であって、
前記第1温度計測手段及び前記第2温度計測手段によって計測された熱媒入口温度及び熱媒出口温度を補正する温度補正手段と、
前記温度補正手段によって補正された熱媒入口温度及び熱媒出口温度を用いて、前記膨張弁の開度制御を行う膨張弁制御手段と
を備え、
前記温度補正手段は、
前記圧力計測手段によって取得された凝縮圧力から凝縮温度を取得する凝縮温度取得手段と、
現在の前記凝縮温度から一定期間前の凝縮温度を減算して温度差を演算する温度差演算手段と、
前記温度差の絶対値が予め設定されている閾値以上であるか否かを判定する判定手段と、
前記温度差の絶対値が前記閾値以上である場合に、前記第1温度計測手段及び前記第2温度計測手段によって計測されたそれぞれの温度に前記温度差を加算する補正手段と
を具備するターボ冷凍機の制御装置。
【請求項2】
前記一定期間は、冷媒が前記主回路を一巡する期間に設定されている請求項1に記載のターボ冷凍機の制御装置。
【請求項3】
前記ターボ冷凍機は、前記凝縮器と前記膨張弁との間に設けられ、前記主回路を流れる液冷媒と前記主回路から分流されて副膨張弁により減圧された冷媒とを熱交換させ、前記主回路を流れる液冷媒を過冷却する熱交換器と、前記熱交換器において前記主回路を流れる液冷媒と熱交換を終えた冷媒を前記圧縮機に戻すガス回路とを備え、
前記膨張弁制御手段は、前記温度補正手段によって補正された熱媒入口温度及び熱媒出口温度を用いて前記副膨張弁の開度制御を行う請求項1または請求項2に記載のターボ冷凍機の制御装置。
【請求項4】
請求項1から請求項のいずれかに記載の制御装置を備えたターボ冷凍機。
【請求項5】
圧縮機と、凝縮器と、膨張弁と、蒸発器とが順次接続され、冷媒が循環する冷凍サイクルの主回路と、前記凝縮器に流入する熱媒の入口温度を計測する第1温度計測手段と、前記凝縮器から流出する熱媒の出口温度を計測する第2温度計測手段と、凝縮圧力を計測する圧力計測手段とを具備するターボ冷凍機に適用される制御方法であって、
前記第1温度計測手段及び前記第2温度計測手段によって計測された温度を補正する温度補正工程と、
前記温度補正工程において補正された熱媒入口温度及び熱媒出口温度を用いて、前記膨張弁の開度制御を行う膨張弁制御工程と
を含み、
前記温度補正工程は、
前記圧力計測手段によって取得された凝縮圧力から凝縮温度を取得する凝縮温度取得工程と、
現在の前記凝縮温度から一定期間前の凝縮温度を減算して温度差を演算する温度差演算工程と、
前記温度差の絶対値が予め設定されている閾値以上であるか否かを判定する判定工程と、
前記温度差の絶対値が前記閾値以上である場合に、前記第1温度計測手段及び前記第2温度計測手段によって計測されたそれぞれの温度に前記温度差を加算する温度補正工程と
を含むターボ冷凍機の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ターボ冷凍機及びその制御装置並びにその制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、図9に示すようなターボ冷凍機100が知られている。ターボ冷凍機100は、2段ターボ圧縮機102と、凝縮器103と、エコノマイザ104と、主膨張弁105と、蒸発器107とを順次接続する冷凍サイクルの主回路を備えている。ターボ圧縮機102において圧縮され、高温高圧とされたガス冷媒は凝縮器103に送出される。凝縮器103は、プレート式熱交換器であり、温水回路111を循環する温水とガス冷媒とを熱交換させることにより、温水を所定温度まで昇温させる。
【0003】
凝縮器103において凝縮液化された冷媒は、エコノマイザ104に供給される。エコノマイザ104は、凝縮器103からの液冷媒(主回路中を流れる液化冷媒)と、主回路から分流されて副膨張弁113により減圧された冷媒とを熱交換させ、冷媒の蒸発潜熱により主回路中を流れる液冷媒を過冷却するプレート式の冷媒/冷媒熱交換器である。また、エコノマイザ104は、液冷媒を過冷却することにより蒸発されたガス冷媒を2段ターボ圧縮機102の中間吸入口102Cから中間圧の圧縮冷媒中に注入するためのガス回路を備えている。主膨張弁105は、エコノマイザ104を経て過冷却された冷媒を膨張させて蒸発器107に供給する。蒸発器107は、プレート式熱交換器であり、主膨張弁105から導かれた冷媒と熱源水回路115を循環される熱源水とを熱交換させることにより、冷媒を蒸発させ、その蒸発潜熱により熱源水を冷却する。
【0004】
また、冷媒、温水および熱源水の温度や圧力を測定する測定手段として、2段ターボ圧縮機102の吸入口102A、吐出口102B、中間吸入口102Cには、圧力計141、142、143および温度計131、132、133が設けられ、温水回路111の入口および出口、熱源水回路15の入口および出口には、各々温度計135、136、137、138が設けられ、主膨張弁105の入口には、温度計134が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012−77971号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したようなターボ冷凍機100に限らず、ターボ冷凍機等に一般的に用いられる温度計は、応答性が悪く、数分程度の遅れが生じることが知られている。これは、安全面やメンテナンスのしやすさなどから、温度計測部を直接的に管に差し込むことができないからである。例えば、図10に温度計の一構成例を示す。図10(a)は、保護管付測温抵抗体(2重構造とされた温度計)を管に挿入した例、図10(b)は、管の外壁に温度計を溶接することにより温度を間接的に計測する例を示している。
そして、上記のように温度計の応答が悪いことにより、以下のような問題が生ずる。
例えば、図9に示したターボ冷凍機100を例に挙げると、温水回路111を循環する温水に急激な温度変化が生じた場合(例えば、ユーザによって温水に多量の水が加えられることにより、凝縮器103の入口側温水温度が急激に低下する場合など)には、この温度変化を速やかに捉え主膨張弁105及び副膨張弁113の開度を絞る必要がある。しかしながら、温度計の計測遅れにより、主膨張弁105、副膨張弁113の制御が遅れるため、膨張弁の開度が実際の温度に比べて過大となり、蒸発器107やエコノマイザ104から蒸発しきれない液冷媒が2段ターボ圧縮機102に吸い込まれ、2段ターボ圧縮機102が損傷するおそれがあった。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、温度計の計測遅れに起因する膨張弁の制御遅れを緩和することのできるターボ冷凍機及びその制御装置並びに制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1態様は、圧縮機と、凝縮器と、膨張弁と、蒸発器とが順次接続され、冷媒が循環する冷凍サイクルの主回路と、前記凝縮器に流入する熱媒の入口温度を計測する第1温度計測手段と、前記凝縮器から流出する熱媒の出口温度を計測する第2温度計測手段と、凝縮圧力を計測する圧力計測手段とを具備するターボ冷凍機に適用される制御装置であって、前記第1温度計測手段及び前記第2温度計測手段によって計測された温度を補正する温度補正手段と、前記温度補正手段によって補正された熱媒入口温度及び熱媒出口温度を用いて、前記膨張弁の開度制御を行う膨張弁制御手段とを備え、前記温度補正手段は、前記圧力計測手段によって取得された凝縮圧力から凝縮温度を取得する凝縮温度取得手段と、現在の前記凝縮温度から一定期間前の凝縮温度を減算して温度差を演算する温度差演算手段と、前記温度差の絶対値が予め設定されている閾値以上であるか否かを判定する判定手段と、前記温度差の絶対値が前記閾値以上である場合に、前記第1温度計測手段及び前記第2温度計測手段によって計測されたそれぞれの温度に前記温度差を加算する補正手段とを具備するターボ冷凍機の制御装置である。
【0009】
上記態様によれば、凝縮温度取得手段によって凝縮圧力に基づく凝縮温度が取得され、温度差演算手段によって、現在の凝縮温度と一定期間前の凝縮温度との温度差が演算される。そして、判定手段によって、この温度差の絶対値が所定の閾値以上であるかが判定され、温度差の絶対値が閾値以上である場合に、補正手段によって第1温度計測手段及び第2温度計測手段によって計測されたそれぞれの温度に温度差が加算されることにより、温度が補正される。これにより、温度変化を早期に捉えることが可能となり、温度計測手段の計測遅れを緩和させることが可能となる。そして、補正後の温度を用いた膨張弁の制御が膨張弁制御手段によって行われることにより、第1温度計測手段及び第2温度計測手段による計測遅れに起因する膨張弁の制御遅れを緩和することが可能となる。
【0010】
上記ターボ冷凍機の制御装置において、前記一定期間は、冷媒が前記主回路を一巡する期間に設定されていてもよい。
【0011】
このような一定期間に設定されることにより、熱媒の入口温度の変動を的確にとらえることが可能となる。
【0012】
前記ターボ冷凍機は、前記凝縮器と前記膨張弁との間に設けられ、前記主回路を流れる液冷媒と前記主回路から分流されて副膨張弁により減圧された冷媒とを熱交換させ、前記主回路を流れる液冷媒を過冷却する熱交換器と、前記熱交換器において前記主回路を流れる液冷媒と熱交換を終えた冷媒を前記圧縮機に戻すガス回路とを備えていてもよく、前記制御装置において、前記膨張弁制御手段は、前記温度補正手段によって補正された熱媒入口温度及び熱媒出口温度を用いて前記副膨張弁の開度制御を行うこととしてもよい。
【0013】
このように、補正後の温度を用いて副膨張弁の制御が行われることにより、第1温度計測手段及び第2温度計測手段による計測遅れに起因する副膨張弁の制御遅れを緩和することが可能となる。
【0014】
本発明の参考例としての一態様は、圧縮機と、凝縮器と、膨張弁と、蒸発器とが順次接続され、冷媒が循環する冷凍サイクルの主回路と、前記蒸発器に流入する熱源水の入口温度を計測する熱源水入口温度計測手段と、前記蒸発器から流出する熱源水の出口温度を計測する熱源水出口温度計測手段とを具備するターボ冷凍機に適用される制御装置であって、前記熱源水出口温度から前記熱源水入口温度を引いた値に対する、前記熱源水入口温度から蒸発温度を引いた値の比率が、安定時における目標比率に一致するような前記蒸発温度を算出する蒸発温度補正手段と、前記蒸発温度補正手段によって補正された蒸発温度から得られた蒸発圧力を用いて、前記膨張弁の開度制御を行う膨張弁制御手段とを備えるターボ冷凍機の制御装置である。
【0015】
本態様によれば、蒸発温度補正手段によって、熱源水出口温度から熱源水入口温度を引いた値に対する、熱源水入口温度から蒸発温度を引いた値の比率が、安定時における目標比率に一致するような蒸発温度が算出される。そして、蒸発温度補正手段によって算出された蒸発温度を膨張弁の弁開度制御に反映させることで、膨張弁の弁開度が過大になることを回避することが可能となる。
【0016】
本発明の第態様は、上記の制御装置を備えたターボ冷凍機である。
【0017】
本発明の第態様は、圧縮機と、凝縮器と、膨張弁と、蒸発器とが順次接続され、冷媒が循環する冷凍サイクルの主回路と、前記凝縮器に流入する熱媒の入口温度を計測する第1温度計測手段と、前記凝縮器から流出する熱媒の出口温度を計測する第2温度計測手段と、凝縮圧力を計測する圧力計測手段とを具備するターボ冷凍機に適用される制御方法であって、前記第1温度計測手段及び前記第2温度計測手段によって計測された温度を補正する温度補正工程と、前記温度補正工程において補正された熱媒入口温度及び熱媒出口温度を用いて、前記膨張弁の開度制御を行う膨張弁制御工程とを含み、前記温度補正工程は、前記圧力計測手段によって取得された凝縮圧力から凝縮温度を取得する凝縮温度取得工程と、現在の前記凝縮温度から一定期間前の凝縮温度を減算して温度差を演算する温度差演算工程と、前記温度差の絶対値が予め設定されている閾値以上であるか否かを判定する判定工程と、前記温度差の絶対値が前記閾値以上である場合に、前記第1温度計測手段及び前記第2温度計測手段によって計測されたそれぞれの温度に前記温度差を加算する温度補正工程とを含むターボ冷凍機の制御方法である。
【0018】
本発明の参考例としての一態様は、圧縮機と、凝縮器と、膨張弁と、蒸発器とが順次接続され、冷媒が循環する冷凍サイクルの主回路と、前記蒸発器に流入する熱源水の入口温度を計測する熱源水入口温度計測手段と、前記蒸発器から流出する熱源水の出口温度を計測する熱源水出口温度計測手段とを具備するターボ冷凍機に適用される制御方法であって、前記熱源水出口温度から前記熱源水入口温度を引いた値に対する、前記熱源水入口温度から蒸発温度を引いた値の比率が、安定時における目標比率に一致するような前記蒸発温度を算出する蒸発温度補正工程と、前記蒸発温度補正工程において補正された蒸発温度から得られた蒸発圧力を用いて、前記膨張弁の開度制御を行う膨張弁制御工程とを備えるターボ冷凍機の制御方法である。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、温度計の計測遅れに起因する膨張弁の制御遅れを緩和することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の第1実施形態に係るターボ冷凍機の概略構成を示した図である。
図2】本発明の第1実施形態に係る制御装置の機能ブロック図である。
図3】現在流量演算部によって実行される処理のフローチャートを示した図である。
図4】主膨張弁開度演算部により実行される処理を示したフローチャートである。
図5】副膨張弁開度演算部により実行される処理を示したフローチャートである。
図6】本発明の第1実施形態に係る制御装置の制御について説明するための図である。
図7】温度センサによって計測された熱源水入口温度Tswi、温度センサによって計測された熱源水出口温度Tswo、蒸発圧力Psから換算した蒸発温度ET、及び圧縮機吐出温度の時間的推移の一例を示した図である。
図8】本発明の第2実施形態に係る制御装置の機能ブロック図である。
図9】従来のターボ冷凍機の一構成例を示した図である。
図10】温度計の一構成例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
〔第1実施形態〕
以下に、本発明の第1実施形態に係るターボ冷凍機及びその制御装置並びに制御方法について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係るターボ冷凍機の概略構成を示した図である。図1に示すように、ターボ冷凍機1は、圧縮機2と、凝縮器3と、エコノマイザ4と、主膨張弁5と、蒸発器7とが順次接続された閉回路の冷媒主回路8を備えている。
【0022】
圧縮機2は、インバータモータ6により駆動される多段遠心圧縮機であり、吸入口2Aおよび吐出口2Bの他に、第1羽根車と第2羽根車との間に設けられる中間吸入口2Cを備え、吸入口2Aから吸い込んだ低圧ガス冷媒を第1羽根車および第2羽根車の回転により順次遠心圧縮し、圧縮した高圧ガス冷媒を吐出口2Bから吐き出すように構成されている。
【0023】
圧縮機2の吐出口2Bから吐き出された高圧ガス冷媒は、凝縮器3へと導かれる。凝縮器3は、例えば、プレート式熱交換器であり、圧縮機2から供給される高圧ガス冷媒と温水回路を循環する温水(熱媒)とを熱交換させることにより、温水を所定の温度まで昇温させる。凝縮器3において凝縮液化された冷媒は、エコノマイザ4に供給される。
【0024】
エコノマイザ4は、冷媒主回路8中を流れる液冷媒と、冷媒主回路8から分流されて副膨張弁9により減圧された冷媒とを熱交換させ、減圧後の冷媒の蒸発潜熱により冷媒主回路8中を流れる液冷媒を過冷却するプレート式の冷媒/冷媒熱交換器である。また、エコノマイザ4は、液冷媒を過冷却することにより蒸発されたガス冷媒(中間圧冷媒)を圧縮機2の中間吸入口2Cから中間圧の圧縮冷媒中に注入するためのガス回路10を備え、これによって、中間冷却器方式のエコノマイザサイクルを構成している。
【0025】
エコノマイザ4を経て過冷却された冷媒は、主膨張弁5を通過することにより膨張して蒸発器7に供給される。蒸発器7は、熱交換器(例えば、プレート式熱交換器)であり、主膨張弁5から導かれた冷媒と熱源水回路15を循環する熱源水とを熱交換させることにより、冷媒を蒸発させ、その蒸発潜熱により熱源水を冷却するものである。
【0026】
ターボ冷凍機1には、凝縮器3に流入する温水の温度である温水入口温度Thwiを計測する温度センサ12、凝縮器3から流出する温水の温度である温水出口温度Thwoを計測する温度センサ13、凝縮器3の冷媒出口側に設けられ、凝縮器出口温度Tcを計測する温度センサ14、冷媒主回路8においてエコマイザ4と主膨張弁5との間に設けられ、主膨張弁入口温度Tecohを計測する温度センサ19、ガス回路10を流れる中間圧冷媒の温度である中間圧冷媒温度Tmを計測する温度センサ16、蒸発器7に流入する熱源水の温度である熱源水入口温度Tswiを計測する温度センサ17、蒸発器7から流出する熱源水の温度である熱源水出口温度Tswoを計測する温度センサ18が設けられている。更に、ターボ冷凍機1には、凝縮圧力(圧縮機吐出圧力)Pdを計測する圧力センサ20、ガス回路10を流れる中間圧冷媒の圧力である中間圧冷媒圧力Pmを計測する圧力センサ21、蒸発圧力(圧縮機吸込圧力)Psを計測する圧力センサ22を備えている。
【0027】
上記各種センサの計測値は、制御装置30に送信され、圧縮機の回転数制御や主膨張弁5及び副膨張弁9の開度制御等に用いられる。
制御装置30は、例えば、コンピュータであり、CPU(中央演算処理装置)、RAM(Random Access Memory)等の主記憶装置、補助記憶装置、外部の機器と通信を行うことにより情報の授受を行う通信装置などを備えている。
補助記憶装置は、コンピュータ読取可能な記録媒体であり、例えば、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等である。この補助記憶装置には、各種プログラムが格納されており、CPUが補助記憶装置から主記憶装置にプログラムを読み出し、実行することにより種々の処理を実現させる。
【0028】
図2は、制御装置30の機能ブロック図である。図2に示すように、制御装置30は、温度補正部31及び膨張弁制御部32を備えている。
温度補正部31は、温水入口温度Thwi及び温水出口温度Thwoを補正する。すなわち、上述したように、温度センサ12、13等には計測遅れが発生する。温度補正部31は、温度センサ12、13による計測遅れを補正するための構成である。
具体的には、温度制御部31は、凝縮温度取得部41、温度差演算部42、判定部43、及び補正部44を備えている。
【0029】
凝縮温度取得部41は、圧力センサ20によって計測された凝縮圧力Pdから凝縮温度CTを取得する。具体的には、凝縮温度取得部41は、凝縮圧力Pdと凝縮温度CTとが一意的に対応付けられた対応情報(関数やテーブル)を有しており、この対応情報を用いて凝縮圧力Pdから凝縮温度CTを得る。
温度差演算部42は、凝縮温度取得部41によって得られた現在の凝縮温度から一定期間前に得られた凝縮温度を減算することにより、温度差ΔCTを演算する。ここで、一定期間とは、例えば、冷媒が冷媒主回路8を一巡する期間に相当し、冷媒充填量[kg]を冷媒循環量[kg/min]で除算することによって得られる。なお、この値に所定の余裕度(マージン)を考慮した期間を一定期間としてもよい。
【0030】
判定部43は、温度差ΔCTの絶対値|ΔCT|が予め設定されている閾値以上であるか否かを判定する。閾値は、例えば、主膨張弁5の仕様で決められている変化レートから導き出される値である。例えば、主膨張弁5の変化レートが最大10[%]/60[sec]、温水入口温度Thwiが約70[℃]、温水出口温度Thwoが80[℃]、上記一定期間が30[sec]と決められていた場合、閾値は以下の(1)式によって設定される。
【0031】
閾値=(10[%]×10[℃]×30[sec]/60[sec])+α=0.5+α[℃] (1)
【0032】
ここで、αは、余裕度(マージン)であり、固定値であってもよいし、上記(1)式におけるカッコ内の値に応じて決定される値であってもよい。
【0033】
補正部44は、温度差の絶対値|ΔCT|が閾値以上である場合に、温水入口温度Thwi及び温水出口温度Thwoに温度差ΔCTを加算することにより、温水入口温度Thwiと温水出口温度Thwoを補正する。
【0034】
膨張弁制御部32は、温度補正部31によって温度の補正が行われている期間においては補正後の温水入口温度Thwi及び補正後の温水出口温度Thwoを用いて膨張弁開度の演算を行い、温度補正部31によって温度の補正が行われていない期間においては、温度センサ12、13によって計測された温水入口温度Thwi及び温水出口温度Thwoを用いて膨張弁開度の演算を行う。以下、膨張弁制御部32について説明する。
【0035】
膨張弁制御部32は、例えば、現在流量演算部51、設定流量演算部52、主膨張弁開度演算部53、及び副膨張弁開度演算部54を備えている。なお、膨張弁制御については、以下に示す方法に限定されず、公知の様々な制御方法を採用することができる。そして、その場合において、温水入口温度Thwi及び温水出口温度Thwoをパラメータとして用いる場合には、上記温度補正部31によって温度補正が行われていた場合には、補正後の温水入口温度Thwi及び温水出口温度Thwoを用いるものとする。
【0036】
現在流量演算部51は、温水入口温度Thwi及び温水出口温度Thwoをパラメータとして用いて流量演算を行う。図3に、現在流量演算部51によって実行される処理のフローチャートを示す。図3に示すように、現在流量演算部51は、温水入口温度Thwi及び温水出口温度Thwoを用いて現在の加熱能力Qcon[kW]を演算する(ステップSA1)。続いて、以下の(2)式を用いて凝縮器流量Gcon[kg/s]を演算する(ステップSA2)。
【0037】
Gcon=Qcon/(Hd−Hc) (2)
【0038】
(2)式において、Hdは吐出エンタルピ[kJ/kg]、Hcは凝縮器出口エンタルピ[kJ/kg]である。
続いて、以下の(3)式を用いて主膨張弁5の現在流量Gevaを算出する(ステップSA3)。
【0039】
Geva=(Gcon−Gmo−Goc)/(1+x) (3)
ここで、x=(Hc−Hecoh)/(Hecom−Hc) (4)
【0040】
(3)式において、Gconは凝縮器流量[kg/s]、Gmoはモータ冷却流量[kg/s]、Gocは油冷却冷媒流量[kg/s]である。また、(4)式において、Hcは凝縮器出口エンタルピ[kJ/kg]、Hecohは主膨張弁入口エンタルピ[kJ/kg]、Hecomは中間吸い込みガスエンタルピ[kJ/kg]である。
【0041】
次に、現在流量演算部51は、凝縮器流量Gconを用いて副膨張弁9の現在流量Gecoを算出する(ステップSA4)。具体的には、以下の(5)式を用いて演算する。
【0042】
Geco=x×Geva (5)
【0043】
(5)式において、xは上記(4)式で述べたとおりである。Gevaは、上記(3)式において算出された主膨張弁の現在流量Gevaである。
このようにして算出された主膨張弁の現在流量Geva及び副膨張弁の現在流量Gecoは、主膨張弁開度演算部53及び副膨張弁開度演算部54に出力される。
【0044】
設定流量演算部52は、主膨張弁5の設定流量Geva及び副膨張弁9の設定流量Gecoを演算する。ここで、設定流量演算部52による演算は、上述した現在流量演算部51で用いた演算式において、温水出口温度Thwoの代わりに、予め設定されている温水出口設定温度Thwoを用いる点のみ異なり、他は同様である。したがって、詳細な説明は省略する。
主膨張弁5の設定流量Geva及び副膨張弁9の設定流量Gecoは、主膨張弁開度演算部53及び副膨張弁開度演算部54に出力される。
【0045】
主膨張弁開度演算部53は、現在流量演算部51によって算出された主膨張弁5の現在流量Geva及び副膨張弁9の現在流量Geco並びに設定流量演算部52によって設定された主膨張弁5の設定流量Geva及び副膨張弁9の設定流量Gecoを用いてフィードフォワード制御を行うことによりフィードフォワード開度指令を演算し、蒸発器終端温度を用いてフィードバック制御を行うことによりフィードバック開度指令を演算し、これらを足し合わせることにより、開度指令を生成する。
図4は、主膨張弁開度演算部53により実行される処理を示したフローチャートである。
まず、フィードフォワード制御では、主膨張弁の現在流量Geva及び凝縮圧力と蒸発圧力との差圧ΔP2(=Pd−Ps)等をパラメータとして用いて、主膨張弁5の現在開度Cvevaを演算する(ステップSB1)。次に、主膨張弁5の設定流量Geva及び上記差圧ΔP2等をパラメータとして用いて、主膨張弁の設定開度Cvevaを演算する(ステップSB2)。
そして、主膨張弁5の現在開度Cvevaと設定開度Cvevaとを按分することにより、フィードフォワード制御における開度指令OP_FFを演算する(ステップSB3)。
【0046】
また、フィードバック制御では、蒸発器7における熱源水出口温度Tswoと蒸発圧力Psから換算される蒸発温度ETとの温度差ΔTswoが、目標値ΔTswoに一致するような開度指令OP_FBを演算する(ステップSB4)。例えば、温度差ΔTswoと目標値ΔTswoとの差分に対してPID制御を行うことにより、フィードバック制御における開度指令OP_FBを演算する。
【0047】
このようにして、フィードフォワード制御による開度指令OP_FFとフィードバック制御による開度指令OP_FBを演算すると、これらを加算することにより最終的な開度指令OP=OP_FF+OP_FBを演算する(ステップSB5)。
そして、この開度指令OPに基づいて、主膨張弁5の開度が制御される。
【0048】
副膨張弁開度演算部54は、現在流量演算部51によって算出された主膨張弁5の現在流量Geva及び副膨張弁9の現在流量Geco並びに設定流量演算部52によって設定された主膨張弁5の設定流量Geva及び副膨張弁9の設定流量Gecoを用いてフィードフォワード制御を行うことによりフィードフォワード開度指令を演算し、主膨張弁入口温度Tecohを用いてフィードバック制御を行うことによりフィードバック開度指令を演算し、これらを足し合わせることにより、副膨張弁の開度指令OPecoを生成する。
図5は、副膨張弁開度演算部54により実行される処理を示したフローチャートである。
まず、フィードフォワード制御では、副膨張弁9の現在流量Geco及び凝縮圧力Pdと中間圧力Pmとの差圧ΔP1(=Pd−Pm)等をパラメータとして用いて、副膨張弁9の現在開度Cvecoを演算する(ステップSC1)。次に、副膨張弁9の設定流量Geco及び上記差圧ΔP1等をパラメータとして用いて、副膨張弁9の設定開度Cvecoを演算する(ステップSC2)。
そして、副膨張弁9の現在開度Cvecoと設定開度Cvecoとを按分することにより、フィードフォワード制御における指令値OPeco_FFを演算する(ステップSC3)。
【0049】
また、フィードバック制御では、副膨張弁入口温度MTに予め設定されているエコノマイザ出口温度差ΔT2を加算することで、主膨張弁入口温度目標値Tecohset(=ΔT2+MT)を設定する(ステップSC4)。次に、現在の主膨張弁入口温度Tecohを主膨張弁入口温度目標値Tecohに一致させるような開度指令OPeco_FBを演算する(ステップSC5)。例えば、現在の主膨張弁入口温度Tecohと主膨張弁入口温度目標値Tecohの差分に対してPID制御を行うことにより、フィードバック制御における開度指令OPeco_FBを演算する。
【0050】
このようにして、フィードフォワード制御による指令値OPeco_FFとフィードバック制御による指令値OPeco_FBを演算すると、これらを加算することにより最終的な開度指令OPeco=OPeco_FF+OPeco_FBを演算する(ステップSC6)。そして、この開度指令OPecoに基づいて副膨張弁9の弁開度が制御される。
【0051】
次に、上記制御装置30の動作につい図6を参照して説明する。
図6は、本実施形態に係る制御装置30の制御について説明するための図である。
図6において、時刻t1で温水入口温度Thwiに変動が生ずる前においては、温水入口温度Thwiは安定した数値を示しているため、温度補正部31の温度差演算部42によって演算される温度差の絶対値|ΔCT|はゼロに近い値となる。このため、判定部43においては、温度差の絶対値|ΔCT|が閾値未満であると判定され、補正部44による温度補正は行われない。
【0052】
これに対し、時刻t1において温水入口温度Thwiが急激に低下すると、凝縮圧力Pdがこれに伴い速やかに低下し、凝縮温度取得部41によって取得される凝縮温度は低下する。この結果、温度差演算部42において演算される温度差の絶対値|ΔCT|は比較的大きな値となる。この結果、判定部43において温度差の絶対値|ΔCT|が閾値以上であると判断され、補正部44による温度補正が行われる。これにより、温度センサ12によって計測された温水入口温度Thwi及び温度センサ13によって計測された温水出口温度ThwoにそれぞれΔCT(負の値)が加算されることとなり、下降修正された温水入口温度Thwi及び温水出口温度Thwoを用いた流量演算や開度演算が膨張弁制御部32において行われる。これにより、例えば、副膨張弁9については、弁開度が小さくなる方向に制御される(図6の時刻t1〜t2の期間)。従来の副膨張弁の開度制御では、温度センサ12、13によって計測された温度、すなわち、計測遅れのある温度を用いて弁開度を演算していたため、実際は温水入口温度Thwiが下がっているにも関わらず、副膨張弁9を開く方向に制御しており、これが圧縮機2の液吸い込みの原因となっていた。
【0053】
以上説明したように、本実施形態に係るターボ冷凍機及びその制御装置並びに制御方法によれば、凝縮圧力に基づいて凝縮温度を取得し、現在の凝縮温度と一定期間前の凝縮温度との温度差の絶対値|ΔCT|が所定の閾値以上である場合には、温度センサ12、13によって計測された温水入口温度Thwi及び温水出口温度Thwoにそれぞれ温度差ΔCTを加算して温度を補正するので、温度センサ12、13による計測遅れに起因する膨張弁の制御遅れを緩和することができる。これにより、圧縮機2の液冷媒吸込みを回避することが可能となる。
【0054】
なお、本実施形態では、温水入口温度Thwi及び温水出口温度Thwoを補正することにより、膨張弁が開きすぎることを抑制していたが、例えば、副膨張弁9の開度の変化レートを仕様で決められている定格以下に抑えるという手法を採用することにより、圧縮機の液冷媒の吸い込みを回避することも可能である。
【0055】
〔第2実施形態〕
以下に、本発明の第2実施形態に係るターボ冷凍機及びその制御装置並びに制御方法について、図面を参照して説明する。
上述した第1実施形態においては、温水入口温度Thwi及び温水出口温度Thwoを補正したが、本実施形態においては、これに加えて、あるいは、これに代えて、蒸発器7における蒸発温度ET、換言すると、蒸発圧力Psを補正する。これにより、膨張弁制御の更なる精度向上を図ることとしている。
【0056】
第1実施形態では、温水入口温度Thwiが変化すると、その影響が凝縮圧力Pdに比較的早期に現れるため、凝縮圧力Pdから換算した凝縮温度CTを用いて温度補正を行っていた。しかしながら、蒸発器7に関しては、熱源水入口温度Tswiが低下した場合、その影響が蒸発圧力Psに早期に現れないことが実験によって明らかとなった。図7に、温度センサ17によって計測された熱源水入口温度Tswi、温度センサ18によって計測された熱源水出口温度Tswo、蒸発圧力Psから換算した蒸発温度ET、及び圧縮機吐出温度の時間的推移の一例を示す。
【0057】
図7に示すように、蒸発圧力Psから換算した蒸発温度ETの変化は、熱源水入口温度Tswiや熱源水出口温度Tswoの変化よりも遅いことがわかる。このため、蒸発器7においては、蒸発圧力Psを用いて熱源水入口温度Tsi及び熱源水出口温度Tswoを補正するといった上記蒸発器と同様の手法を採用することができない。
ここで、図7を分析してみると安定時においては、熱源水入口温度Tswiと蒸発温度ET(蒸発圧力Psの換算値)との差ΔTeと、熱源水入口温度Tswiと熱源水出口温度Tswoとの差ΔTsとの比率Kが等しいことがわかった。すなわち、以下の式が成立することがわかった。
【0058】
K=ΔTe/ΔTs=(Tswi−ET)/(Tswi−Tswo)=一定 (6)
【0059】
そこで、本実施形態においては、安定時における比率Kの値を目標比率Kとして設定しておき、常に、比率Kが目標比率Kとなるように蒸発温度ETを補正することにより、速やかに熱源水入口温度Tswiの変化を膨張弁制御に反映させることとした。
【0060】
図8は、本実施形態に係る制御装置35の機能ブロック図である。図8に示すように、制御装置35は、図2に示した制御装置30の構成に加えて、蒸発温度補正部33を更に備えている。
蒸発温度補正部33は、安定時における比率Kの値を目標比率Kとして保有しており、比率Kが目標比率Kとなるように、蒸発温度を補正する。つまり、上記(6)式から導出した以下の(7)式に熱源水入口温度Tswi、熱源水出口温度Tswo、及び予め保有している目標比率Kを代入することで、蒸発温度ETを演算する。
【0061】
ET=Tswi−(Tswi−Tswo)K (7)
【0062】
そして、蒸発温度ETを蒸発圧力Psに換算し、この蒸発圧力Psを膨張弁制御に用いる。すなわち、主膨張弁開度演算部53及び副膨張弁開度演算部54は、蒸発温度補正部33によって算出された蒸発温度ETに基づく蒸発圧力Psを用いて、主膨張弁開度指令OP及び副膨張弁開度指令OPecoを演算する。
ここで、例えば、熱源水入口温度Tswiが低下することにより、蒸発温度ETが低下した場合、蒸発圧力Psも小さくなる。主膨張弁5の開度指令のフィードフォワード制御(図4のステップSB1〜SB3)において、蒸発圧力Psが小さくなると、主膨張弁前後差圧ΔP2=Pd−Psは大きな値となる。この結果、主膨張弁の現在流量Cveva及び設定流量Cevaは小さくなり、主膨張弁のフィードフォワード制御の開度指令OP_FFは小さくなる。
また、フィードバック制御(図4のステップSB4)では、蒸発器7における熱源水出口温度Tswoと蒸発温度ETとの温度差ΔTswoを目標値ΔTswoに一致させるような開度指令OP_FBが演算される。ここで、温度差ΔTswoについては、熱源水入口温度Tswiが変動しても略一定といえるので(図7参照)、主膨張弁5が開く方向には作用しない。以上から、蒸発温度補正部33による蒸発温度ETを主膨張弁5の弁開度制御に反映させることで、主膨張弁5が開きすぎることを回避することができ、圧縮機2の液冷媒の吸い込みを回避させることが可能となる。
【0063】
なお、上述した実施形態においては、図1に示した構成を備えるターボ冷凍機1に適用される制御装置30、35について説明したが、本発明の制御装置が適用されるターボ冷凍機1は図1に示した構成のものに限られない。例えば、エコノマイザ4に関連する構成を備えていないターボ冷凍機、具体的には、図1において、エコノマイザ4、副膨張弁9、ガス回路10、温度センサ16、及び圧力センサ21を省略した構成のターボ冷凍機にも適応可能である。この場合、主膨張弁5の開度制御においては、副膨張弁9に流れる流量をゼロとして上記演算を行えばよい。
本発明は、上述の実施形態のみに限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々変形実施が可能である。
【符号の説明】
【0064】
1 ターボ冷凍機
2 圧縮機
3 凝縮器
5 主膨張弁
7 蒸発器
8 冷媒主回路
9 副膨張弁
12〜14、16〜18 温度センサ
20〜22 圧力センサ
30 制御装置
31 温度補正部
32 膨張弁制御部
33 蒸発温度補正部
41 凝縮温度取得部
42 温度差演算部
43 判定部
44 補正部
51 現在流量演算部
52 設定流量演算部
53 主膨張弁開度演算部
54 副膨張弁開度演算部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10