(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記液晶材料の層に近接して誘電体材料の第1の層を更に備え、電位が、前記電極材料の第1の層及び前記電極材料の第2の層にわたって印加される場合、前記誘電体材料の第1の層が、前記光学ゾーン内の領域にわたって厚さを変更し、前記液晶材料の層にわたって電界を変更することをもたらす、請求項3に記載のエネルギー印加された眼科用レンズデバイス。
電位が前記電極材料の第1の層及び前記電極材料の第2の層にわたって印加される場合、前記液晶材料の層が、前記液晶材料の層を横断する光線に影響を与えるその屈折率を変更する、請求項3に記載のエネルギー印加された眼科用レンズデバイス。
前記液晶材料の第1の層に近接して誘電体材料の第1の層を更に備え、電位が、前記電極材料の第1の層及び前記電極材料の第2の層にわたって印加される場合、前記誘電体材料の第1の層が、前記光学ゾーン内の領域にわたって厚さを変更し、前記液晶材料の第1の層にわたって電界を変更することをもたらす、請求項10に記載のエネルギー印加された眼科用レンズデバイス。
電位が、前記電極材料の第1の層及び前記電極材料の第2の層にわたって印加される場合、前記液晶材料の第1の層が、前記液晶材料の第1の層を横断する光線に影響を与えるその屈折率を変更する、請求項10に記載のエネルギー印加された眼科用レンズデバイス。
電気回路を更に備え、前記電気回路が、前記エネルギー源から前記電極材料の第1及び第2の層に至る電気エネルギーの流れを制御する、請求項10に記載のエネルギー印加された眼科用レンズデバイス。
前記液晶材料の第1の層が、第1の整列層と第2の整列層との間にあり、かつこれらに近接し、前記第1及び第2の整列層が、総じて、前記電極材料の第1の層と前記電極材料の第2の層との間にあり、前記電極材料の第1の層及び前記電極材料の第2の層が、前記電気回路と電気的導通する、請求項16に記載のエネルギー印加された眼科用レンズデバイス。
前記第1の整列層及び前記第2の整列層が、前記液晶材料の第1の層を、主として第1の線状軸に沿って整列させ、前記第3の整列層及び前記第4の整列層が、前記液晶材料の第2の層を主として第2の線状軸に沿って整列させる、請求項18に記載のエネルギー印加された眼科用レンズデバイス。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、可変視覚部分が液晶から構成される可変視覚インサートを有する眼科用レンズを製造する方法及び装置を含む。加えて、本発明は、眼科用レンズに組み込まれた液晶から構成される可変視覚インサートを有する眼科用レンズを含む。
【0013】
本発明に従って、眼科用レンズは、埋め込まれたインサート及びエネルギー源(例えば、エネルギーの蓄積手段として電気化学セル又は電池)と共に形成される。いくつかの例示の実施形態では、エネルギー源を備える材料は封入されて、眼用レンズが内部に配置される環境からは隔離され得る。
【0014】
着用者によって制御される調整装置が、視覚部分を変化させるために使用されてもよい。調整装置としては、例えば、電圧出力を増加又は低減させるための、電子装置、又は受動装置が挙げられる。いくつかの例示の実施形態はまた、測定されたパラメータ又は着用者の入力による自動化装置を介して可変視覚部分を変更するための自動化調整装置を含んでもよい。着用者入力としては、例えば、ワイヤレス装置によって制御されるスイッチが挙げられる。ワイヤレスとしては、例えば、高周波制御、磁気スイッチ、及びインダクタンススイッチが挙げられる。他の例示の実施形態において、起動は、生物学的機能に応答して、又は眼科用レンズ内部の検出素子の測定値に応答して行うことができる。他の例示の実施形態は、非限定的な例として、周辺照明条件における変化によって惹起される起動により行うことができる。
【0015】
いくつかの例示の実施形態において、インサートはまた、液晶層から構成される可変視覚部分も含む。電極のエネルギー印加によって発生した電界が、液晶層内の再整列を引き起こし、これによって分子を静止配向からエネルギー印加された配向にシフトさせる場合、視力の変化が生じ得る。他の代替の例示的な実施形態において、電極のエネルギー印加による液晶層の変更によって生じた異なる効果、例えば、偏光角の回転を利用することができる。
【0016】
液晶層を有するいくつかの例示の実施形態において、エネルギー印加され得る、一方他の例示の実施形態ではエネルギー印加を必要としない場合もある、眼科用レンズの非光学ゾーン内に素子が存在し得る。エネルギー印加を必要としない実施形態では、液晶は、いくつかの外部因子、例えば周囲温度、又は周囲光に基づいて受動的に可変であり得る。
【0017】
液晶レンズは、電気的に可変の屈折率をその本体上で変更された光入射に与えることができる。第2のレンズで偏光の軸が第1のレンズに対して回転される2つのレンズの組み合わせは、屈折率を周囲の無偏光の光に対して変化させ得るレンズ素子を可能にする。
【0018】
電気的に活性な液晶層を電極と組み合わせることで、電極にわたって電界を印加することにより制御され得る物理的実体を達成することができる。液晶層の周辺部に存在する誘電体層があるならば、今度は、誘電体層にわたる電界及び液晶層にわたる電界が、電極にわたる電界に統合することができる。三次元形状においては、層にわたる電界の組み合わせの性質は、電気力学的原理並びに誘電体層及び液晶層の幾何学的形状に基づいて推定され得る。誘電体層の有効電気的厚さが非均一様式で作成されるならば、今度は電極にわたる電界の効果は、誘電体の有効形状によって「成形される」ことが可能であり、液晶層内の屈折率における寸法的な形状変化を生み出す。いくつかの例示の実施形態において、かかる成形は、可変焦点特性を採用するための能力を有するレンズを結果としてもたらすことができる。
【0019】
液晶層を封じ込める物理的レンズ素子が、異なる焦点特性を有するようにそれら自体で成形される場合、代替の例示的な実施形態が派生することがある。液晶層の電気的に可変な屈折率は、次いで、電極の使用を通して、液晶層にわたる電界の印加に基づいて、レンズの焦点特性に変化を導入するために使用することができる。前方収容面が液晶層と作る形状及び後方収容面が液晶層と作る形状は、システムの焦点特性を先ず初めに順序付けるよう決定することが可能である。
【0020】
以下の項において、本発明の例示的な実施形態がより詳細に説明される。好ましい実施形態及び代替的実施形態の説明はいずれも、あくまで代表的な実施形態に過ぎないものであって、当業者にとって、変形、改変、及び変更が明らかとなり得ることは理解される。したがって、例示的な実施形態は、基礎となる発明の範囲を限定するものではないと理解されるべきである。
【0021】
用語集
本発明を対象としたこの説明及び特許請求の範囲においては、以下の定義が適用されるさまざまな用語が用いられ得る。
整列層:本明細書で使用するとき、液晶層内の分子の配向に影響を及ぼし、分子の配向を整列させる液晶層に隣接する層を指す。得られた分子の整列及び配向は、液晶層を通過する光に影響を与えることができる。例えば、整列及び配向は、屈折率で入射光に作用する。更に、この効果は、光の偏光の変更を含むことができる。
【0022】
電気的導通:本明細書で使用するとき、電界によって影響を受けることを指す。導電材料の場合、この影響は電流の流れから生じ、又はそれを生じることがある。他の材料において、電気的導通は、例として電界線に沿う配向持続性及び誘導分子双極子への傾向などの影響を与える電位場であり得る。
【0023】
エネルギー印加された:本明細書で使用するとき、電流を供給することができる、又は内部に蓄積された電気的エネルギーを有することができる状態であることを指す。
【0024】
エネルギー印加された配向:本明細書で使用するとき、エネルギー源により電力供給された電位場の効果によって影響を受ける場合の液晶の分子の配向を指す。例えば、液晶を封入するデバイスは、エネルギー源がオン又はオフのいずれかで動作する場合、1つのエネルギー印加された配向を有することができる。他の実施形態において、エネルギー印加された配向は、印加されるエネルギーの量により影響を受けるスケールに沿って変化することができる。
【0025】
エネルギー:本明細書で使用するとき、ある物理系が仕事をする能力のことを指す。本発明で使用される場合の多くは、動作する際に電気的作用を行うことが可能である前記能力に関連し得る。
【0026】
エネルギー源:本明細書で使用するとき、エネルギーを供給するか、又は生物医学的装置を励起状態とすることが可能な装置のことを指す。
【0027】
エネルギーハーベスター:本明細書で使用するとき、環境からエネルギーを抽出し、これを電気エネルギーに変換することができる装置を指す。
【0028】
眼内レンズ:本明細書で使用するとき、眼内に埋め込まれる眼科用レンズを指す。
【0029】
レンズ形成用混合物、又は反応性混合物若しくは反応性モノマー混合物(RMM):本明細書で使用するとき、硬化及び架橋することができるか、又は架橋して眼用レンズを形成することができるモノマー材料又はプレポリマー材料を指す。さまざまな実施形態は、UV遮断剤、染料、光開始剤、又は触媒、及びコンタクト若しくは眼内レンズ等の眼科用レンズに望まれ得る他の添加剤等の1つ又は2つ以上の添加剤を有するレンズ形成混合物を含んでよい。
【0030】
レンズ形成表面:本明細書で使用するとき、レンズの成型に使用される表面を指す。いくつかの実施形態において、任意のこのような表面は、光学品質表面仕上げを有することができ、光学品質表面仕上げとは、表面が十分に滑らかで、成型表面と接触したレンズ形成材料の重合によって作られるレンズ表面が光学的に許容可能であるように形成されていることを示す。更に、いくつかの実施形態では、レンズ形成表面は、幾何学的形状として、レンズ表面に所望の光学特性(例えば、球面、非球面、及び円柱屈折力、波面収差補正、並びに角膜トポグラフィ補正)を与えるのに必要な形状を有していてもよい。
【0031】
液晶:本明細書で使用するとき、従来の液体と固体結晶との間の特性を有する物質の状態を指す。液晶は、固体とはみなされ得ないが、その分子はある程度の整列を呈する。本明細書で使用するとき、液晶は、特定の相又は構造に限定されることはないが、液晶は特定の静止配向を有することができる。液晶の配向及び相は、液晶の部類に応じて、例えば、温度、磁気、又は電気の外部力によって操作され得る。
【0032】
リチウムイオンセル:本明細書で使用するとき、リチウムイオンがセルを通じて移動することにより電気的エネルギーを発生する電気化学セルのことを指す。典型的には電池とよばれるこの電気化学セルは、その通常の状態に再付勢又は再充電され得る。
【0033】
媒体インサート又はインサート:本細書で使用するとき、眼科用レンズ内のエネルギー源を支持できる成形可能、又は剛性の基材を指す。いくつかの例示的な実施形態において、媒体インサートはまた、1つ又は2つ以上可変視覚部分を含む。
【0034】
成形型:本明細書で使用するとき、レンズを未硬化配合物から形成するために用いてもよい、剛性又は半剛性の物体を指す。特定の好ましい成形型は、前方湾曲成型部分及び後方湾曲成型部分を形成する2つの成形型部分を含む。
【0035】
眼科用レンズ又はレンズ:本細書で使用するとき、眼内又は眼上に存在する、いずれかの眼科用装置を指す。これらの装置は、光学補正をもたらすことができるか、又は美容用であってもよい。例えば、レンズという用語は、コンタクトレンズ、眼内レンズ、オーバーレイレンズ、眼用インサート、光学インサート、又は他の同様の、視力が補正若しくは変更される装置か、又は視力を妨げることなく目の生理機能が美容的に拡張される(例えば、虹彩色)装置を指すことができる。いくつかの例示の実施形態では、本発明の好ましいレンズは、例えばシリコーンヒドロゲル類、及びフルオロヒドロゲル類を含む、シリコーンエラストマー類又はヒドロゲル類から製造されるソフトコンタクトレンズである。
【0036】
光学ゾーン:本明細書で使用するとき、眼科用レンズの装用者がそこを通して見ることになる、眼科用レンズの領域を指す。
【0037】
電力:本明細書で使用するとき、単位時間当たりに行われる仕事又は移送されるエネルギーのことを指す。
【0038】
再充電可能又は再付勢可能:本明細書で使用するとき、仕事を行うためのより高い能力を有する状態へと回復するための能力を指す。本発明内の多くの用途は、電流をある程度の率で、ある程度の再設定された時間枠の間、流すことができる状態に復元できる能力と関連付けられる場合がある。
【0039】
エネルギー再印加、又は再充電:本明細書で使用するとき、仕事をするためのより高い能力を有する状態までエネルギー源を回復することを指す。本発明においては多くの場合、特定の率で、特定の再度回復された時間の間、電流を流すことができるように、装置を復元することに関連して使用され得る。
【0040】
成形型から取り外した:本明細書で使用するとき、レンズが、成形型から完全に分離した状態、又は穏やかな揺動によって取り外すか、若しくは綿棒を用いて押し外すことができるように、ほんの軽く付着した状態のいずれかであることを指す。
【0041】
静止配向:本明細書で使用するとき、その静止した、非エネルギー印加状態にある液晶デバイスの分子の配向を指す。
【0042】
可変視覚:本明細書で使用するとき、例えば、レンズの光学的屈折力又は偏光角などの光学品質を変更する能力を指す。
【0043】
眼科用レンズ
図1に進むと、封止されかつ封入されたインサートを含む眼科用レンズを形成するための装置100が示されている。この装置は、例示の前方湾曲成形型102及び適合する後方湾曲成形型101を含む。眼科用デバイスの可変視覚インサート104及び本体103は、前方湾曲成形型102及び後方湾曲成形型101の内部に配置され得る。いくつかの例示の実施形態において、ヒドロゲル本体103の材料は、ヒドロゲル材料であり得、可変視覚インサート104は、この材料により全ての表面で包囲され得る。
【0044】
可変視覚インサート104は、複数の液晶層109及び110を備えてもよい。他の例示の実施形態は、単一の液晶層を含有してもよく、このいくつかは、後のセクションで説明される。装置100の使用は、多くの封止された領域を備えるコンポーネントの組合せからなる新規の眼科用装置を作り出すことができる。
【0045】
いくつかの例示の実施形態において、可変視覚インサート104を備えるレンズは、剛性の中心軟性のスカートデザインを含有することができ、液晶層109及び110を含む中心の剛性光学素子は、それぞれの前面と後面で大気及び角膜表面と直接接触する。レンズ材料の軟性のスカート(典型的には、ヒドロゲル材料)は、剛性光学素子の周辺部に取り付けられるが、この剛性光学素子は、結果として生じる眼科用レンズにエネルギー及び機能性も提供する。
【0046】
図2A及び
図Bを参照すると、
図2Aでは200で可変視覚インサートの例示の実施形態トップダウンが、
図2Bでは250でその断面描写が図示される。この描写では、エネルギー源210は、可変視覚インサート200の周辺部分211内に図示されている。エネルギー源210としては、例えば、薄膜、リチウムイン二次電池又はアルカリ電池系バッテリを挙げることができる。エネルギー源210は、相互連結特徴214と接続されて、相互接続を可能にし得る。例えば、225及び230における追加的な相互連結部は、エネルギー源210を項目205などの回路に接続させることができる。他の例示の実施形態において、インサートは、その表面上に堆積された相互連結特徴を有することができる。
【0047】
いくつかの例示的な実施形態では、可変視覚インサート200は、可撓性基材を含み得る。この可撓性基材は、前述と同様の方法で、又はその他の手段で、典型的なレンズの形状に類似する形状へと形成され得る。しかしながら、追加的な可撓性を追加するために、可変視覚インサート200は、半径方向の切断部などの追加的な形状特徴をその長さに沿って含んでもよい。例えば、集積回路、ディスクリート構成要素、受動構成要素及びこれらに含まれるデバイスなどの205で指示されるものなどの複数の電子構成要素があってもよい。
【0048】
可変視覚部分220がまた例示される。可変視覚部分は、可変視覚インサートを通じた電流の印加による命令によって変化し得る。いくつかの例示の実施形態において、可変視覚部分220は、透明な基材の2つの層の間の液晶の薄層から構成される。可変視覚構成要素を電気的に活性化し制御する多数の方法があり得るが、典型的には電子回路205の作用を通して行われる。電子回路は多様な方法で信号を受信することができ、項目215などのインサートの内部にもあり得る検出素子に接続することもできる。いくつかの実施形態において、可変視覚インサートは、レンズスカート255内に封入されてもよく、このレンズスカートは、ヒドロゲル材料又は眼科用レンズを形成するために好適な他の材料から構成され得る。これらの例示の実施形態において、眼科用レンズは眼科用スカート255と、それ自体が液晶材料の層又は領域を含むことができるか、又は液晶材料を含有し得る封入された眼科用レンズインサート200から構成され得る。
【0049】
液晶素子を含有する可変視覚インサート
図3、項目300を参照すると、2つの異なる形状のレンズ部品のレンズ効果の図を見ることができる。前述のごとく、本明細書の発明技術の可変視覚インサートは、2つの異なる形状のレンズ部品内に電極及び液晶層システムを封入することにより形成することができる。電極及び液晶層システムは、350で図示したレンズ部品の間の空間を占有することができる。320では、前方湾曲部品を見ることができ、310では後方湾曲部品を見ることができる。
【0050】
非限定的な例において、前方湾曲部品320は、空間350と相互作用する凹形状表面を有してもよい。この形状は、いくつかの実施形態では、330として示した曲率半径及び焦点335を有するものとして更に特性化され得る。種々のパラメトリック特性を備えた他のより複雑な形状も本発明技術の範囲内で形成されてもよいが、例示のために、簡単な球形状が描写され得る。
【0051】
類似の様式及び更に非限定的な様式において、後方湾曲部品310は、空間350と相互作用する凸形状表面を有することができる。この形状は、いくつかの実施形態では、340で図示した曲率半径及び焦点345を有するものとして更に特性化することが可能である。種々のパラメトリック特性を備えた他のより複雑な形状も本発明技術の範囲内で形成されてもよいが、例示のために、簡単な球形状が描写され得る。
【0052】
300で示したタイプのレンズがどのように動作し得るかを例示するために、項目310及び320を備える材料は、空間350内で予定値の自然の屈折率を有することができ、液晶層は、非限定的な例において、この予定値を屈折率に整合するよう選択され得る。したがって、光線がレンズ部品310及び320並びに空間350を横断する場合、光線は、焦点特性を調整する方法でさまざまな境界面に反応することはない。この機能では、図示されていないレンズの部分は、さまざまな構成要素のエネルギー印加を作動させることができ、これが、入射光線に対して異なる屈折率を呈する空間350内の液晶層を結果としてもたらし得る。非限定的な例において、結果として得られる屈折率は、低下され得る。ここで、それぞれの材料境界面において、表面の焦点特性及び屈折率の変化に基づいて変更されるために光路をモデル化することが可能である。
【0053】
このモデルは、Snellの法則:sin(θ
1)/sin(θ
2)=n
2/n
1に基づくことができる。例えば、この境界面は、部品320及び空間350により形成され得る。θ
1は、入射光線が境界面にて面法線と作る角度であり得る。θ
2は、光線が境界面を離れると同時に、光線が面法線と作るモデル化された角度であり得る。n
2は、空間350の屈折率を表すことができ、n
1は部品320の屈折率を表すことができる。n
1がn
2と等しくない場合、このとき角度θ
1及びθ
2も同様に異なるであろう。したがって、空間350内の液晶層の電気的に可変の屈折率は変更され、光線が境界面でとる経路もまた同様に変更するであろう。
【0054】
図4を参照すると、眼科用レンズ400を埋め込まれた可変視覚インサート410と共に図示している。眼科用レンズ400は、前方湾曲表面401と後方湾曲表面402とを有することができる。インサート410は、液晶層404を備える可変視覚部分403を有することができる。いくつかの例示の実施形態において、インサート410は、複数の液晶層404及び405を有することができる。インサート410の部分は、眼科用レンズ400の光学ゾーンと重複してもよい。
【0055】
図5を参照すると、眼科用レンズ内に挿入され得る可変視覚部分500が液晶層530と共に図示されている。可変視覚部分500は、本明細書の他のセクションで説明された材料の類似する多様性及び構造関連性を有することができる。いくつかの例示の実施形態において、透明電極545は、第1の透明な基材550上に定置され得る。第1のレンズ表面540は、誘電体膜から構成されてもよく、いくつかの例示の実施形態では、第1の透明電極545上に定置され得る整列層から構成されてもよい。かかる例示の実施形態において、第1のレンズ表面540の誘電体層の形状は、示すような誘電体厚内に領域的に異なる形状を形成することができる。かかる領域的に異なる形状は、
図3を参照して説明された幾何学的形状効果を超えるレンズ素子の追加的な集束力を導入する可能性がある。いくつかの実施形態において、例えば、この成形層は、第1の透明電極545と基材550の組み合わせの上の射出成形により形成することが可能である。
【0056】
いくつかの例示の実施形態において、第1の透明電極545及び第2の透明電極520は、さまざまな方法で成形され得る。いくつかの例では、この成形は、別個に加えられるエネルギー印加を有し得る分離する明確な領域が形成されることをもたらす。他の例では、電極は、液晶層530にわたる可変電界を印加し得るレンズの中心から周辺部までの立体らせんなどのパターンに形成することができる。いずれの場合においても、かかる電極成形は、電極の上の誘電体層の成形に加えて実施され得るか、又はかかる成形に代えて実施され得る。これら方法における電極の成形はまた、動作中のレンズ素子の追加的な集束力も導入することができる。
【0057】
液晶層530は、第1の透明電極545と第2の透明電極525との間に配置され得る。第2の透明電極525は、上部基材層510に取り付けることが可能であり、上部基材層510から底部基材層550まで形成されたデバイスは、眼科用レンズの可変視覚部分500を備えることができる。2つの整列層もまた、誘電体層の上に540及び525で配置され得、液晶層525を包囲することができる。540及び525における整列層は、眼科用レンズの静止配向を画定するよう機能し得る。いくつかの例示の実施形態において、電極層525及び545は、液晶層530と電気的導通することが可能で、静止配向から少なくとも1つのエネルギー印加された配向へのシフトを引き起こすことができる。
【0058】
図6を参照すると、眼科用レンズ内に挿入され得る可変視覚インサート600の代替物が、2つの液晶層620及び640と共に図示されている。液晶領域周辺のさまざまの層の各態様は、
図5中の可変視覚インサート500と関連付けて説明したような類似の多様性を有することができる。いくつかの例示の実施形態において、整列層は偏光感度を単一の液晶素子の機能に導入することが可能である。第1の基材610により形成された第1の液晶系素子(620及び第2の基材630の周りの空間内のその介在する層は、第1の偏光選好性を有し得る)と、第2の基材630上の第2の表面により形成された第2の液晶系素子(640及び第3の基材650の周りの空間内のその介在する層が、第2の偏光選好性を有し得る)を組み合わせることにより、レンズに対する入射光の偏光特徴に対して敏感でないレンズの電気的に可変の焦点特性を可能にし得る組み合わせが形成され得る。
【0059】
例示の素子600において、500における例と関連するさまざまのタイプ及び多様性を有する2つの電気的に活性な液晶層の組み合わせが、3つの基材層を利用して形成されてもよい。他の例では、4つの異なる基材の組み合わせによりデバイスが形成されてもよい。このような例において、中間の基材630は2つの層に分割されてもよい。基材が後から組み合わされる場合、項目600に類似して機能するデバイスをもたらすことができる。4つの層の組み合わせは、類似のデバイスが620及び640の液晶層の双方の周囲に構築されることが可能であり、処理差が液晶素子の整列特徴を画定する工程の部分に関連し得る素子を製造するための好都合な例を提示することが可能である。更に他の例では、500で示したものなどの単一の液晶層の周りのレンズ素子が球対称又は90度の回転で対称である場合、組立前に2つの部品を互いに対して90度回転することにより、2つの部品を600で示したタイプの構造に組み立てることが可能である。
【0060】
材料
マイクロ射出成形による実施形態は、例えば、直径が約6mm〜10mm、前面半径が約6mm〜10mm、後面半径が約6mm〜10mm、中心厚さが約0.050mm〜1.0mmのレンズを形成するために使用されるポリ(4−メチルペント−1−エン)コポリマー樹脂を含み得る。いくつかの例示的な実施形態は、約8.9mmの直径、約7.9mmの前面半径、約7.8mmの後面半径、及び約0.200mmの中心厚さ、及び約0.050半径の縁部プロファイルのインサートを含む。
【0061】
可変視覚インサート104は、眼科用レンズを形成するために利用される成形型部分101及び102内に定置され得る。成形型部分101及び102の材料には、例えばポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリメチルメタクリレート、及び変性ポリオレフィン、のうちの1つ又は2つ以上のポリオレフィンを挙げることができる。他の成形型は、セラミック又は金属材料を含むことも可能である。
【0062】
好ましい脂環式コポリマーは、2つの異なる脂環式ポリマーを含む。さまざまな等級の脂環式コポリマーは、105℃〜160℃の範囲のガラス転移温度を有することが可能である。
【0063】
いくつかの例示の実施形態においては、本発明の成形型は、ポリマー、例えばポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、主鎖に脂環式部分を含む変性ポリオレフィン、及び環状ポリオレフィンを含む場合もある。このブレンドを、成形型半片の一方又は両方の上に用いいてもよく、このブレンドを後方湾曲部の上に用いて前方湾曲部は脂環式コポリマーからなることが好ましい。
【0064】
本発明により成形型100を作る好ましい方法では、既知の技術に従って射出成型を用いる場合もあるが、例示的な実施形態には、例えば旋盤加工、ダイヤモンド切削、又はレーザー切断をはじめとする他の技術によって作られる成形型を挙げることもできる。
【0065】
典型的には、レンズは、両方の成形型部分101及び102の少なくとも1つの表面上に形成される。しかしながら、いくつかの例示的な実施形態においては、レンズの片方の表面は、成形部分101又は102から形成され得、レンズの他方の表面は、旋盤法、又は他の方法を用いて形成することができる。
【0066】
いくつかの例示的な実施形態では、好ましいレンズ材料は、シリコーン含有構成要素を含む。「シリコーン含有成分」は、モノマー、マクロマー又はプレポリマー中に少なくとも1個の[−Si−O]単位を含有する成分である。好ましくは、合計Si及び結合Oは、シリコーン含有成分中に、当該シリコーン含有成分の総分子量の約20重量%より大きい、更に好ましくは30重量%より大きい量で存在する。有用なシリコーン含有成分には、好ましくは、アクリレート、メタクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、ビニル、N−ビニルラクタム、N−ビニルアミド及びスチリル官能基などの重合性官能基が含まれる。
【0067】
いくつかの例示的な実施形態では、インサートを包囲するインサート封入層とも呼ばれる、眼科用レンズのスカートは、標準的なヒドロゲルの眼科用レンズ配合物から構成され得る。多くのインサート材料と許容可能な調和を呈し得る特性を備える代表的な材料には、ナラフィルコン系(ナラフィルコンA及びナラフィルコンB)、及びエタフィルコン系(エタフィルコンAを含む)が挙げられるがこれらに限定されない。本明細書の技術と一致する材料の性質に関して、より技術的に包括的な説明は以下に続く。当業者は、説明された以外の他の材料もまた、封止され、封入されたインサートの許容可能なエンクロージャ又は部分的なエンクロージャを形成することができ、本請求項と一致しており、これに含まれると見なされるべきであるということを理解するであろう。
【0068】
好適なシリコーン含有成分は、式Iの化合物を含む。
【化1】
式中、
R
1は、独立して、一価反応性基、一価アルキル基、又は一価アリール基から選択され、前述のいずれかは、ヒドロキシ、アミノ、オキサ、カルボキシ、アルキルカルボキシ、アルコキシ、アミド、カルバメート、カーボネート、ハロゲン、又はこれらの組み合わせから選択される官能基を更に含み得、1−100 Si−Oの反復単位を含む一価シロキサン鎖は、アルキル、ヒドロキシ、アミノ、オキサ、カルボキシ、アルキルカルボキシ、アルコキシ、アミド、カルバメート、ハロゲン、又はこれらの組み合わせから選択される官能基を更に含むこともあり、
式中、b=0〜500であり、bが0以外のときに、bは、表示値と同等のモードを有する分配であると理解され、
少なくとも1つのR
1は、一価反応性基を含み、一部の実施形態では、1〜3個のR
1が一価反応性基を含む。
【0069】
本明細書に使用されるとき、「一価反応性基」は、フリーラジカル及び/又はカチオン重合を受けることができる基である。フリーラジカル反応性基の非限定的な例としては、(メタ)アクリレート、スチリル、ビニル、ビニルエーテル、C
1〜6アルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、C
1〜6アルキル(メタ)アクリルアミド、N−ビニルラクタム、N−ビニルアミド、C
2〜12アルケニル、C
2〜12アルケニルフェニル、C
2〜12アルケニルナフチル、C
2〜6アルケニルフェニルC
1〜6アルキル、O−ビニルカルバメート及びO−ビニルカルボネートが挙げられる。カチオン反応性基の非限定例としては、ビニルエーテル又はエポキシド基及びこれらの混合物が挙げられる。一実施形態では、フリーラジカル反応基には、(メタ)アクリレート、アクリルオキシ、(メタ)アクリルアミド、及びこれらの混合物が含まれる。
【0070】
好適な一価アルキル基及びアリール基には、置換及び非置換のメチル、エチル、プロピル、ブチル、2−ヒドロキシプロピル、プロポキシプロピル、ポリエチレンオキシプロピル、これらの組み合わせなどの非置換の一価C
1〜C
16アルキル基、C
1〜C
14アリール基が挙げられる。
【0071】
一実施形態において、bはゼロであり、1つのR
1は一価反応基であり、少なくとも3つのR
1は、1〜16個の炭素原子を有する一価アルキル基から選択され、別の実施形態では、1〜6個の炭素原子を有する一価アルキル基から選択される。本実施形態のシリコーン成分の非限定的な例には、2−メチル−、2−ヒドロキシ−3−[3−[1,3,3,3−テトラメチル−1−[(トリメチルシリル)オキシ]ジシロキザニル]プロポキシ]プロピルエステル(「SiGMA」)、
2−ヒドロキシ−3−メタクリルオキシプロピルオキシプロピル−トリ(トリメチルシロキシ)シラン、
3−メタクリルオキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン(「TRIS」)、
3−メタクリルオキシプロピルビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン、及び
3−メタクリルオキシプロピルペンタメチルジシロキサンが含まれる。
【0072】
別の実施形態では、bは、2〜20、3〜15、又は一部の実施形態では、3〜10であり、少なくとも1つの末端R
1は、一価反応性基を含み、残りのR
1は、1〜16個の炭素原子を有する一価アルキル基から選択され、別の実施形態では、1〜6個の炭素原子を有する一価アルキル基から選択される。更に他の一実施形態では、bが3〜15であり、1つの末端R
1が一価の反応性基を含み、その他の末端R
1が1〜6の炭素原子を有する一価のアルキル基を含み、残りのR
1が1〜3の炭素原子を有する一価のアルキル基を含む。本実施形態のシリコーン成分の非限定的な例には、(モノ−(2−ヒドロキシ−3−メタクリルオキシプロピル)−プロピルエーテル末端のポリジメチルシロキサン(400〜1000MW))(「OH−mPDMS])、モノメタクリルオキシプロピル末端のモノ−n−ブチル末端のポリジメチルシロキサン(800〜1000MW)、(「mPDMS」)が含まれる。
【0073】
別の実施形態では、bは、5〜400、又は10〜300であり、両方の末端R
1は、一価反応基を含み、残りのR
1は、独立して、炭素原子間のエーテル結合を有することもあり、ハロゲンを更に含むこともある、1〜18個の炭素原子を有する一価アルキル基から選択される。
【0074】
一実施形態では、シリコーンヒドロゲルレンズが望ましい場合、本発明のレンズは、ポリマーが作製される反応性モノマー成分の総重量に基づき、少なくとも約20重量%、好ましくは、約20〜70重量%のシリコーン含有成分を含む、反応性混合物から作製される。
【0075】
別の実施形態では、1〜4のR
1はビニルカーボネート又は次の式のカルバメートを含む。
【化2】
式中、YはO−、S−又はNH−を意味し、
Rは、水素又はメチルを意味し、dは1、2、3又は4であり、そしてqは0又は1である。
【0076】
シリコーン含有ビニルカーボネート又はビニルカルバメートモノマーは、具体的には、1,3−ビス[4−(ビニルオキシカルボニルオキシ)ブト−1−イル]テトラメチル−ジシロキサン、3−(ビニルオキシカルボニルチオ)プロピル−[トリス(トリメチルシロキシ)シラン]、3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルアリルカルバメート、3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルビニルカルバメート、トリメチルシリルエチルビニルカーボネート、トリメチルシリルメチルビニルカーボネート、及び次の化学式の化合物を含む。
【化3】
【0077】
約200以下の弾性率を有するバイオ医療用デバイスが所望される場合、1個のR
1のみが一価の反応性基を含むものとし、残りのR
1基うちの2個以下は、一価シロキサン基を含む。
【0078】
別のクラスのシリコーン含有成分としては、次の式のポリウレタンマクロマーが挙げられる。
式IV〜VI
(
*D
*A
*D
*G)
a *D
*D
*E
1;
E(
*D
*G
*D
*A)
a *D
*G
*D
*E
1又は
E(
*D
*A
*D
*G)
a *D
*A
*D
*E
1
式中、
Dは、炭素原子6〜30個を有するアルキルジラジカル、アルキルシクロアルキルジラジカル、シクロアルキルジラジカル、アリールジラジカル又はアルキルアリールジラジカルを示し、
Gは、炭素原子1〜40個を有するアルキルジラジカル、シクロアルキルジラジカル、アルキルシクロアルキルジラジカル、アリールジラジカル又はアルキルアリールジラジカルを示し、これは、主鎖中にエーテル、チオ又はアミン結合を含有でき、
*はウレタン又はウレイド結合を示し、
aは、少なくとも1であり、
Aは次の式の二価重合ラジカルを示し、
【化4】
R
11は、1〜10個の炭素原子を有するアルキル又はフルオロ置換アルキル基を独立して示し、これは炭素原子間にエーテル結合を含んでよく、yは少なくとも1であり、pは400〜10,000の部分重量を提供し、E及びE
1のそれぞれは独立して次の式に示される重合性不飽和有機ラジカルを示し、
【化5】
式中、R
12は水素又はメチルであり、R
13は水素、1〜6個の炭素原子を有するアルキルラジカル、又はa−CO−Y−R
15ラジカルであり、Yは−O−、Y−S−、又は−NH−であり、R
14は1〜12個の炭素原子を有する二価ラジカルであり、Xは−CO−又は−OCO−を示し、Zは−O−又は−NH−を示し、Arは6〜30個の炭素原子を有する芳香族ラジカルを示し、wは0〜6であり、xは0又は1であり、yは0又は1であり、zは0又は1である。
【0079】
1つの好ましいシリコーン含有成分は、次の式で示されるポリウレタンマクロマーである。
【化6】
式中、R
16は、イソフォロンジイソシアネートのジラジカルなどのイソシアネート基除去後のジイソシアネートのジラジカルである。別の好適なシリコーン含有マクロマーは、フルオロエーテル、ヒドロキシ末端ポリジメチルシロキサン、イソホロンジイソシアネート及びイソシアネートエチルメタクリレートの反応によって形成される式X(式中、x+yは10〜30の範囲の数である)の化合物である。
【化7】
【0080】
本発明の使用に好適な他のシリコーン含有成分には、ポリシロキサン、ポリアルキレンエーテル、ジイソシアネート、ポリフッ素化炭化水素、ポリフッ素化エーテル、及び多糖類基を含有するマクロマー、末端のジフルオロで置換された炭素原子に結合する水素原子を有する、極性のフッ素化グラフト又は側基を有するポリシロキサン、エーテルを含有する親水性シロキサニルメタクリレート、並びにポリエーテル及びポリシロキサニル基を含有するシロキサニル結合及び架橋性モノマーが含まれる。また、前述のポリシロキサンのいずれも、シリコーン含有成分として本発明に使用することもできる。
【0081】
液晶材料
本明細書に説明されている液晶層型と一致する特性を有し得る多数の材料が存在する。好都合な毒性を備える液晶材料が好ましい場合があり、天然由来のコレステリル系液晶材料が有用である場合もあることが予想され得る。他の例では、封入技術及び眼科用インサートの材料は、材料の広範な選択を可能にすることができ、この材料は、ネマティック又はコレステリックN
*若しくはスメクチックC
*液晶又は液晶混合物に関連する典型的には広範なカテゴリーであり得るLCDディスプレイ関連材料を含むことができる。TN、VA、PSVA、IPS及びFFS用のMerk Specialty chemicals、Licristal混合物などの市販の混合物並びに他の市販の混合物が、液晶層を形成するための材料選択の一員となる。
【0082】
非限定的な意味で、配合物の混合は、以下の液晶材料を含有することができる:1(トランス−4−ヘキシルシクロヘキシル)−4−イソチオシアネートベンゼン液晶、(4−オクチル安息香酸及び4−ヘキシル安息香酸)を含める安息香酸化合物、(4’ペンチル−4−ビフェニルカルボニトリル、4’−オクチル−4−ビフェニルカルボニトリル、4’−(オクチルオキシ)−4−ビフェニルカルボニトリル、4’−(ヘキシルオキシ)−4−ビフェニルカルボニトリル、4−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)ベンゾニトリル、4’−(ペンチルオキシ)−4−ビフェニルカルボニトリル、4’−ヘキシル−4−ビフェニルカルボニトリル)を含めるカルボニトリル化合物、及び4,4’−アゾキシアニソール。
【0083】
非限定的な意味で、W1825と呼ばれ得る配合物は、液晶形成材料として使用することが可能である。W1825は、BEAM Engineering for Advanced Measurements Co.(BEAMCO)から入手可能であり得る。
【0084】
本発明の概念に有用であり得る液晶材料のその他の部類が存在し得る。例えば、強誘電体液晶は、電界により配向された液晶の実施形態に機能をもたらすことが可能であるが、磁場相互作用などのその他の効果を導入してもよい。電磁放射線と材料との相互作用もまた異なる場合がある。
【0085】
整列層材料
記載されてきた多くの例示の実施形態において、眼科用レンズ内の液晶層は、インサート境界部分において、さまざまな方法で整列させる必要があり得る。例えば、整列は、インサートの境界部分に対して平行又は垂直であり得、この整列は、さまざまな表面の適切な処理により得ることが可能である。この処理は、液晶(LC)を封じ込めるインサートの基材を整列層によりコーティングすることを伴う。これら整列層は、本明細書に記載されている。
【0086】
多様なタイプの液晶系デバイスで通常実施される技術は、ラビング技術であり得る。このような技術は、液晶を封入するために使用されるインサート部品のものなどの湾曲表面を考慮して適用され得る。一例では、表面は、ポリビニルアルコール(PVA)層でコーティングされてもよい。例えば、PVA層は、1重量%の水溶液を使用して、スピンコーティングされてもよい。溶液は、例えば約1000rpmで例えば、約60秒間の時間でスピンコーティングにより塗布され、その後乾燥され得る。続いて、乾燥された層を、柔らかい布でこすってもよい。非限定的な例では、柔らかい布はベルベットでもよい。
【0087】
フォトアライメントは、液晶封入体上に整列層を生成するための別の技術であり得る。いくつかの例示の実施形態において、フォトアライメントは、その非接触性質及び大規模な作製の能力のために、望ましい場合がある。非限定的な例では、液晶可変視覚部分で使用されるフォトアライメント層は、典型的にはUV波長の線状偏光の偏光に対して主として垂直な方向で整列することができる二色性のアゾベンゼン染料(アゾ染料)から構成され得る。このような整列は、反復性トランス−シス−トランス光異性化プロセスの結果であり得る。
【0088】
例として、PAADシリーズアゾベンゼン染料は、DMF中1重量%の溶液から3000rpmで30秒間にわたってスピンコーティングすることができる。引き続いて、得られた層をUV波長(例えば、325nm、351nm、365nmなど)又は更に可視波長(400〜500nm)の線状偏光ビームに曝すことができる。光の供給源は、さまざまな形態を取ってもよい。いくつかの例示の実施形態において、光は、例えばレーザー源からのものであり得る。LED、ハロゲン及び白熱源などの他の光源は、その他の非限定的な例であり得る。光のさまざまな形態が適切な方法でさまざまなパターンに偏光される前又は後のいずれかに、光は、光学レンズ化デバイスの使用を通してなどのさまざまな方法でコリメートされることが可能である。レーザー源からの光は、例えば、コリメーションの程度(視準度)を本質的に有することができる。
【0089】
現在、アゾベンゼンポリマー、ポリエステル、メソゲン性4−(4−メトキシシンナモイルオキシ)ビフェニル側鎖を有する光架橋性重合体液晶等に基づいた、多種多様な光非等方性材料が既知である。かかる材料の例としては、スルホン酸アゾ染料SD1及びその他のアゾベンゼン染料、特に、BEAM Engineering fot Advanced Measurements Co.(BEAMCO)から入手可能なPAAD−シリーズ材料、ポリ(ビニルシンナメート)等が挙げられる。
【0090】
いくつかの例示の実施形態において、PAADシリーズアゾ染料の水溶液又はアルコール溶液を使用することが望ましい場合がある。一部のアゾベンゼン染料、例えばメチルレッドは、液晶層を直接的にドーピングすることによりフォトアライメントに使用することができる。偏光へのアゾベンゼン染料の曝露は、液晶層のバルクへ、その内部へ、更に境界層への拡散及び付着を引き起こし、望ましい整列状態を生成することができる。
【0091】
メチルレッドなどのアゾベンゼン染料はまた、例えば、PVAなどのポリマーと組み合わせて使用することもできる。液晶の隣接する層の整列を強化することができるその他の光非等方性材料も許容可能であり、現在知られている。これら例として、クマリン、ポリエステル、メソゲン性4−(4−メトキシシンナモイルオキシ)−ビフェニル側鎖を有する光架橋性重合体液晶、ポリ(ビニルシンナメート)等を挙げることができる。フォトアライメント技術は、液晶のパターン化配向を含む実施形態に有利であり得る。
【0092】
整列層を生成する別の例示的な実施形態において、整列層は、インサート部品基材上の酸化ケイ素の真空蒸着により得ることが可能である。例えば、SiO
2は、〜0.001Pa(〜10
−6mbar)などの低圧で蒸着され得る。射出成型されるナノスケールのサイズの整列特徴を前方及び後方インサート部品の作製に提供することも可能であり得る。これら成形された特徴は、記載された材料又は物理的な整列特徴に直接相互作用し、整列パターニングを液晶分子の整列配向に伝えることができる他の材料で、多様な方法でコーティングされてもよい。
【0093】
更に他の例示的な実施形態は、インサート部品が形成された後の、インサート部品に対する物理的整列特徴の作成に関連し得る。他の液晶系技術で一般的なラビング技術は、物理的な溝を作成するために成形表面上で実施することができる。表面はまた、それらの上に小さな溝付き特徴を作成するために、鋳造後エンボス加工処理を受けてもよい。更に他の例示の実施形態は、多様な種類の光学パターニング処理を伴う場合があるエッチング技術の使用に由来してもよい。
【0094】
誘電体材料
誘電体膜及び誘電体が本明細書で記載されている。非限定的な例としては、液晶可変視覚部分で使用される誘電体膜又は誘電体は、本明細書に記載される本発明に適切な特性を有する。誘電体は、誘電体として単独で又は一緒に機能する1つ又は2つ以上の材料層を備えることができる。単独の誘電体のものよりも優れた誘電体性能を達成するために、複数の層を使用することが可能である。
【0095】
誘電体は、例えば1μmと10μmの間の、個別に可変視覚部分に望ましい厚さで、無欠陥絶縁層を可能にすることができる。当業者に既知であるように、欠陥は、ピンホールとも呼ばれることがあり、誘電体を通して電気的及び/又は化学的接触を可能にする誘電体内の正孔を指す。誘電体は、所定の厚さで、例えば、誘電体が100ボルト以上の電圧に耐えなけれならない、破壊電圧に対する要求を満たすことができる。
【0096】
誘電体は、湾曲した、円錐形の、球形の、及び複雑な三次元表面(例えば、湾曲表面又は非平面表面)への作製を可能にすることができる。ディップ及びスピンコーティングの典型的な方法を使用してもよく、又は他の方法を採用してもよい。
【0097】
誘電体は、例えば、液晶若しくは液晶混合物、溶剤、酸類、及び塩基類、又は液晶領域の化成で存在する他の材料などの可変視覚部分内の化学物質からのダメージに抵抗することができる。誘電体は、赤外線、紫外線、及び可視光線からのダメージに抵抗することができる。望ましくないダメージとして、本明細書に記載されているパラメータ、例えば破壊電圧及び光伝送に対する劣化を挙げることができる。誘電体は、イオンの透過に抵抗し得る。誘電体は、例えば、粘着力促進層を使用して、下にある電極及び/又は基材に付着することが可能である。誘電体は、低汚染、低表面欠損、絶縁保護コーティング、及び低い表面粗さを可能にするプロセスを使用して作製することが可能である。
【0098】
誘電体は、システムの電気的動作と両立する比誘電率又は誘電定数、例えば、所定の電極領域についての電気容量を低減するための低い比誘電率を有することができる。誘電体は、高い固有抵抗を有することができ、これによって高い印加電力でも非常に小さい電流が流れることを可能にする。誘電体は、視覚デバイスに望ましい品質、例えば、高伝送、低散乱、及び一定の範囲内の屈折率を有することができる。
【0099】
例示の、非限定的な誘電体材料として、パリレン−C、パリレン−HT、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、及びテフロンAFの1つ又は2つ以上が挙げられる。
【0100】
電極材料
電極は、液晶領域にわたる電界を達成する目的で、電位を印加するために本明細書で記載されている。電極は、一般的に、電極として単独で又は一緒に機能する1つ又は2つ以上の材料層を備える。
【0101】
電極は、恐らくは接着力促進物質(例えば、メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン)を使用することで、下にある基材、誘電体コーティング、又はシステム内の他の物体に接着することができる。電極は、有益な自然酸化物を形成することが可能であるか、又は有益な酸化物層を作製するよう処理され得る。電極は、高い光伝送を有しかつ反射がほとんどない状態で、透明、実質的に透明、又は不透明であり得る。電極は、既知の処理方法で、パターン化又はエッチングすることが可能である。例えば、電極は、フォトリソグラフィーパターニング及び/又はリフトオフプロセスを使用して、蒸着、スパッタリング、又は電気メッキされ得る。
【0102】
電極は、本明細書に記載されている電気システムにおける使用に好適な固有抵抗を有するように、例えば、所定の幾何学的構造物内の抵抗の要求を満たすよう設計することが可能である。
【0103】
電極は、酸化インジウムスズ(ITO)、ステンレススチール、クロム、グラフェン、グラフェンドープ層及びアルミニウムの1つ又は2つ以上を含む任意の好適な材料から製造され得る。これは網羅的なリストではないことを理解されたい。
【0104】
プロセス
以下の方法ステップは、本発明のいくつかの態様により実施しても良いプロセスの例として与えられる。本方法のステップが示される順番は限定を意図するものではなく、他の順番を用いて本発明を実施しても良いことを理解されるべきである。加えて、本発明を実施するためにすべての工程を必要とするわけではなく、また本発明の種々の例示の実施形態は付加的な工程を含んでもよい。更なる例示の実施形態が実用的であり得、かかる方法は、当該請求項の十分に範囲内であるということは、当業者には明白であり得る。
【0105】
ここで
図7を参照すると、フローチャートによって、本発明を実施するために用い得る代表的なステップを示している。701では、第1の基材層を形成し(第1の基材層は、後方湾曲表面を備え、その他の基材層の表面の形状とは異なり得る第1のタイプの形状を備える上部面を有することができる)、702では、前方湾曲表面、若しくはより複雑なデバイスのために、中間表面又は中間表面の一部を備え得る第2の基材層を形成する。703では、電極層が、第1の基材層の上に堆積され得る。堆積は、例えば、蒸着又は電気メッキにより行うことが可能である。いくつかの例示の実施形態において、第1の基材層は、光学ゾーン内に領域及び非光学ゾーン内の領域の双方を有するインサートの部品であってもよい。電極堆積プロセスは、いくつかの例示の実施形態では、相互連結特徴を同時に画定することができる。
【0106】
704では、第1の基材層が、前に堆積された電極層の上に整列層を付加するよう更に処理され得る。整列層は、基材上の上層に堆積され得、次いで標準整列層の特性である溝付き特徴を作成するためにラビング技術などの標準的な方法で処理され得、若しくはエネルギー粒子又は光で処理され得る。反応性メソゲンの薄層が、露光量で処理され、種々の特性を有する整列層を形成することが可能である。
【0107】
705では、第2の基材層が更に処理され得る。電極層が、工程703と類似の様式で第2の基材層の上に堆積され得る。次いで、いくつかの例示の実施形態において、706で、誘電体層を、電極層の上の第2の基材層上に加えることができる。誘電体層は、その表面にわたって可変の厚さを有するよう形成され得る。例として、誘電体層は、第1の基材層の上に成形されてもよい。あるいは、前に形成された誘電体層を、第2の基材部品の電極表面の上に接着してもよい。
【0108】
707では、整列層が、704の処理工程と類似の様式で第2の基材層の上に形成され得る。工程707の後には、眼科用レンズインサートの少なくとも一部を形成し得る2つの別個の基材層は、結合される準備状態にあり得る。いくつかの例示の実施形態において、708で、2つの部品を、互いにごく近接させて、次いで、液晶材料が、2つの部品の間に充填され得る。709において、2つの部品を互いに近接させ、次いで封止して、液晶を有する可変視覚素子を形成することができる。
【0109】
いくつかの例示の実施形態において、709で形成されたタイプの2つの部品は、工程701〜709の方法を繰り返すことで作製することが可能であり、ここでは、整列層は、互いにオフセットされ、偏光されていない光の集光力を調整し得るレンズを可能にする。このような例示の実施形態において、2つの可変視覚層を組み合わせて、単一の可変視覚インサートを形成することができる。710では、可変視覚部分がエネルギー源及び中間物に接続され得るか、又は付属の構成要素がその上に配置され得る。
【0110】
711では、工程710で得られた可変視覚インサートが、成形型部品内に定置され得る。可変視覚インサートはまた、1つ又は2つ以上の構成要素を含んでも、含まなくてもよい。いくつかの好ましい実施形態では、可変視覚インサートは、機械的定置を介して成形型部分内に定置される。機械的定置には、例えば、表面実装構成要素を配置するのに業界で知られているもののような、ロボット又はその他のオートメーションが含まれ得る。可変視覚インサートの人的定置もまた、本発明の範囲内である。したがって、任意の機械的定置、又はオートメーションが利用されてもよく、これは成形型部分に収容される反応性混合物の重合が、生じる眼科用レンズの可変視覚部分を含むように鋳造成形型部分内にエネルギー源を有する可変視覚インサートを定置するために有用である。
【0111】
いくつかの例示の実施形態では、可変視覚インサートは成形型部分内に定置されて、基材に取り付けられる。エネルギー源、及び1つ又は2つ以上の構成要素がまた基材に取り付けられ、可変視覚インサートと電気的に導通する。構成要素は、例えば、可変視覚インサートに適用される出力を制御する回路を含み得る。したがって、いくつかの例示の実施形態では、構成要素は、1つ又は2つ以上の光学特性を変更するために(例えば、第1の屈折力と第2の屈折力との間の状態変化)、可変視覚インサートを作動させるための制御機構を含む。
【0112】
いくつかの例示の実施形態によっては、プロセッサ装置、MEMS、NEMS又はその他の構成要素をもまた、可変視覚インサート内に、エネルギー源と電気的に接続して配置することもある。712では、反応性モノマー混合物が成形型部分内に堆積され得る。713では、可変視覚インサートが、反応性混合物と接触するよう定置され得る。いくつかの例示の実施形態において、可変視覚部分の定置及びモノマー混合物の堆積の順序は、逆になってもよい。714では、第1の成形型部品を第2の成形型部品に隣接させて定置し、反応性モノマー混合物の少なくとも一部及び可変視覚インサートをその内部に備えたレンズ形成空洞を形成する。上述のように、好ましい実施形態は、やはり空洞内にあり、可変視覚インサートと電気的に導通するエネルギー源、及び1つ又は2つ以上の構成要素を含む。
【0113】
715では、空洞内の反応性モノマー混合物が重合される。重合は、例えば、化学線及び熱のいずれか又は両方への曝露によって達成されてよい。716では、眼科用レンズを構成するインサートを封入する重合した材料に接着した、又はこれに封入された可変視覚インサートと共に、眼科用レンズが成形型部品から取り除かれる。
【0114】
本明細書の本発明を使用して、任意の既知のレンズ材料、又はかかるレンズの製造に好適な材料から製造されるハード又はソフトコンタクトレンズを提供し得るが、好ましくは、本発明のレンズは、約0〜約90パーセントの含水量を有する、ソフトコンタクトレンズである。更に好ましくは、レンズは、モノマー含有ヒドロキシ基、カルボキシル基、又はこれらの両方から製造される、若しくは、シロキサン、ヒドロゲル、シリコーンヒドロゲル、及びこれらの組み合わせ等のシリコーン含有ポリマーから製造される。本発明のレンズを形成するのに有用な材料は、重合開始剤等の添加剤に加えて、マクロマー、モノマー、及びこれらの組み合わせの混合物を反応させることによって、製造し得る。好適な材料は、シリコーンマクロマー及び親水性モノマーから製造されるシリコーンヒドロゲルを含むが、これらに限定されない。
【0115】
装置
ここで
図8を参照すると、自動化装置810を1つ又は2つ以上の移送境界部811と共に図示する。それぞれ関連づけられている可変視覚インサート814を備えた多数の成形型部品が、パレット813に収容され、移送境界部811に送られる。実施形態は、例えば、可変視覚インサート814を個別に定置する単一の境界部、又は可変視覚インサート814を多数の成形型部品に同時に(いくつかの実施形態では各成形型部分に)定置する多数の境界部(図示されない)を含み得る。定置は、移送境界部811の垂直運動815を介して生じ得る。
【0116】
本発明のいくつかの実施形態の別の態様は、眼科用レンズの本体がこれらの構成要素の周囲に成形される間に可変視覚インサート814を支持する装置を含む。いくつかの実施形態では、可変視覚インサート814、及びエネルギー源は、レンズ成形型の保持点(図示されない)に取り付けられてもよい。保持点は、レンズ本体を形成するものと同種の重合材料によって固定してよい。他の例示の実施形態は、可変視覚インサート814、及びエネルギー源がその上に取り付けられ得る成形型部品内のプレポリマー層を含む。
【0117】
インサート装置内に含まれるプロセッサ
ここで
図9を参照すると、本発明のいくつかの例示の実施形態で使用され得るコントローラ900が図示されている。コントローラ900はプロセッサ910を含むが、このプロセッサは、通信装置920に結合した1つ又は2つ以上のプロセッサ構成要素を含み得る。いくつかの実施形態では、コントローラ900を使用して、眼科用レンズ内に定置されるエネルギー源にエネルギーを伝送することができる。
【0118】
コントローラ900は、通信チャネルを介してエネルギーを通信するように構成された通信装置に結合した1つ又は2つ以上のプロセッサを含むことができる。通信装置は、可変視覚インサートの眼科用レンズ内への定置、及び可変視覚装置を操作するための命令の伝送の1つ又は2つ以上を電気的に制御するために使用され得る。
【0119】
通信装置920を使用することによってまた、例えば、1つ又は2つ以上のコントローラ装置又は製造機器構成要素と通信してもよい。
【0120】
プロセッサ910は、記憶装置930とも通信する。記憶装置930は、磁気記憶デバイス(例えば、磁気テープ及びハードディスクドライブ)、光記憶装置、並びに/又はランダムアクセスメモリ(RAM)デバイス及びリードオンリーメモリ(ROM)デバイス等の半導体記憶デバイスを含む、任意の適切な情報記憶装置を備え得る。
【0121】
記憶装置930は、プロセッサ910を制御するためのプログラム940を記憶することができる。プロセッサ910は、プログラム940の指示を実行し、それによって、本発明に従って作動する。例えば、プロセッサ910は、可変視覚インサートの定置、処理装置の定置などのようなものを記述する情報を受信し得る。記憶装置930はまた、1つ又は2つ以上のデータベース950、960内の眼科関連データを記憶することもできる。データベース950及び960は、可変視覚レンズへの、又は可変視覚レンズからのエネルギーを制御するための特定の制御論理を含み得る。
【0122】
液晶素子及び成形誘電体層を備える可変視覚インサート
液晶材料の種々の実施形態は、
図3に示した成形インサート層を使用してインサート内に展開され得る。しかしながら、例示の実施形態の代替セットは、電極及び成形誘電体部品を備えるインサート部品を使用して形成されてもよい。
図10を参照すると、眼科用レンズ内に挿入され得る可変視覚部分1000が、液晶層1025と共に図示されている。可変視覚部分1000は、本明細書の他のセクションで説明したように、類似する材料の多様性及び構造関連性を有することができる。いくつかの例示の実施形態では、透明電極1050が、第1の透明基材1055上に定置され得る。第1のレンズ素子1040は、誘電体膜から構成され得、第1のレンズ素子は、第1の透明電極1050の上に定置され得る。かかる実施形態において、第1のレンズ素子1040の誘電体層の形状は、示すように、誘電体厚さ内で領域によって異なる形状を形成する場合がある。いくつかの実施形態では、成形層は、第1の透明電極1050の上の射出成形により形成され得る。
【0123】
種々のタイプの液晶層1025が、第1の透明電極1050と第2の透明電極1015の間に配置され得る。第2の透明電極1015は、上部基材層1010に取り付けられてもよく、ここでは、上部基材層1010から底部基材層1055まで形成されたデバイスは、眼科用レンズの可変視覚部分1000を収容し得る。2つの整列層1030及び1020は、液晶層1025を包囲し得る。整列層1030及び1020は、眼科用レンズの静止配向を画定するよう機能することができる。いくつかの例示の実施形態において、電極層1015及び1050は、液晶層1025と電気的に導通し、静止配向から少なくとも1つのエネルギー印加された配向への配向におけるシフトを引き起こすことが可能である。
【0124】
いくつかの例示の実施形態において、眼科用レンズの可変視覚部分1000は、整列層1020及び1030を有さないが、この代わりに透明電極1015及び1050は、液晶層1025に直接導通することが可能である。かかる例示の実施形態では、液晶層1025のエネルギー印加は、液晶内部の相変化を引き起こし、これによって、眼科用レンズの可変視覚部分1000の視覚品質を変更し得る。
【0125】
図11を参照すると、眼科用レンズ内に挿入され得る可変視覚部分1000の代替物が、液晶層1125と共に図示されている。
図10の可変視覚部分1000と同様に、第1のレンズ素子1145上及び第2のレンズ素子1140上の双方への基材1135及び1155並びに誘電体材料の層化は、液晶層1125の視覚特性に影響を与え得る三次元形状を結果としてもたらすことが可能である。第1の透明電極1150は、眼科用レンズの可変視覚部分1100の第1の基材層1155上に配置され得る。
【0126】
可変視覚部分1100内に含まれる各層1135、1155、1145、及び1140が三次元特性を有するために、上部基材層1110及び底部基材層1155の性質は、平坦レンズ実施形態又はより典型的な液晶系実施形態よりも複雑であり得る。いくつかの例示の実施形態において、上部基材層1110の形状は、底部基材層1155とは異なってもよい。いくつかの例示の実施形態は、双方共に誘電体材料から構成される第1のレンズ素子1145及び第2のレンズ素子1140を含む。第2のレンズ素子1140は、低周波数で第1のレンズ素子1145とは異なる誘電特性を有し得るが、光スペクトルにおいて第1のレンズ素子1145に対して整合した特徴を有し得る。第2のレンズ素子1140の材料として、例えば第1のレンズ素子1145の光学特性に整合した水性液体を挙げることができる。
【0127】
可変視覚部分1100は、液晶層1125がその上に堆積され得る表面層を形成することができる中央基材層1135を含み得る。いくつかの例示の実施形態において、中央基材層1135はまた、第2のレンズ素子1140が液体形態である場合、該第2のレンズ素子1140を収容するよう作用することができる。いくつかの例示実施形態は、第1の整列層1130と第2の整列層1120の間に配置される液晶層1125を含むことができ、ここでは第2の整列層1120は、第2の透明電極1115の上に定置されている。上部基材層1110は、可変視覚部分1100を形成する層の組み合わせを備えてもよく、その組み合わせは、その電極1150及び1115にわたって印加された電界に応答し得る。整列層1120及び1130は、種々の手段で可変視覚部分1100の光学特性に影響を与えることができる。
【0128】
ナノサイズのポリマーを分散した液晶層を備える液晶デバイス
図12A及び12Bを参照すると、眼科用レンズ内に挿入され得る
図12Aの可変視覚部分が、ポリマー層1235並びに、多数の位置で、例えば1230で図示したナノサイズのポリマーを分散した液晶液滴と共に図示されている。重合領域は、膜構造定義及び形状を供与し得るが、一方液晶材料に富む1230などの液滴は、層を通しての光伝送に及ぼす顕著な光学効果を有し得る。
【0129】
ナノサイズの液滴は、エネルギー印加された状態及びエネルギー印加されていない状態の両方で液滴と隣接する層との間で変更された屈折率が、散乱プロセスに関してそれほど重要ではあり得ない寸法で、これらが十分に小さいという点で有用である。
【0130】
ナノサイズの液滴への液晶の閉じ込めは、分子が液滴内で回転することをより困難にし得る。この効果は、液晶分子をエネルギー印加状態に整列させるために使用されるより大きな電界を結果としてもたらし得る。更に、液晶分子の化学構造の工業技術は、整列された状態を確立するために必要とされるより低い電界を可能にする条件を画定するよう役立つこともできる。
【0131】
1200で図示したタイプのポリマーが分散した液晶層を形成するために、多数の方法があり得る。第1の例では、モノマーと液晶分子の混合物が、加熱されて均質な混合物を形成する組み合わせで形成され得る。次に、この混合物が前方湾曲インサート部品1210に加えられ、次いで、後方湾曲又は中間インサート部品1245の付加により、レンズインサート内に封入され得る。次いで、液晶混合物を含んでいるインサートが、制御された所定の速度で冷却され得る。混合物が冷却するにつれて、比較的純粋な液晶モノマーの領域が、液滴又は層内の液滴として析出することができる。次いで、モノマーの重合を触媒するための後続の処理工程が実施され得る。いくつかの例では、混合物に化学線が向けられ、重合を開始する場合もある。
【0132】
別の例では、液晶と液晶モノマーの混合物でも実行され得る。この例では、混合物が前方湾曲部品1210若しくは後方又は中間湾曲部品1245に加えられ、次いで追加的な部品が適用され得る。適用された混合物は、重合反応を惹起させるための構成要素を既に備え得る。あるいは、重合を開始するために、化学線が混合物に向けられてもよい。モノマー及び開始剤に特定の材料を選択することで、重合反応は、液滴に似る液晶モノマー材料の高濃度領域又は材料の重合網内部の液滴が形成され得るような速度及び方法で続けてゆくことが可能である。これら液滴は、ある量の液晶分子も含む重合材料により包囲され得る。これら液晶分子は、ポリマーマトリックスが完全に重合される前に、ポリマーマトリックス内部を自由に移動することができ、液晶混合物が適用されたインサート部品の表面上の他の液晶分子又は整列特徴であり得るこれら液晶分子の隣接する領域において方向性効果に触れることも可能であり得る。整列領域は、ポリマーマトリックス内部の液晶分子の静止状態を決定することができ、ある程度の重合が生じた後に、重合領域内の液晶分子の固定された配向を決定することができる。更に、ポリマー内の整列した液晶分子はまた、液滴内部の液晶分子又は液晶分子の液滴に方向性効果を及ぼすことも可能である。したがって、組み合わされた重合領域の層及び付属の液滴領域は、インサートが液晶中間層を使用して形成される前に、インサート部品上の整列特徴の封入により予め決定された自然の整列状態で存在することができる。
【0133】
液晶分子を重合領域又はゲル化領域に組み込むための多くの方法があり得る。以前の説明において、いくつかの方法はすでに記載されている。それでもやはり、ポリマーが分散された液晶層を作製する任意の方法は、本発明の範囲内の技術を含み得、眼科用デバイスを作製するために使用され得る。前の例では、液晶分子の液滴を包囲する重合層を作製するためにモノマーの使用を記述した。重合モノマーの状態は、重合材料の結晶質形態であり得、他の実施形態では、これは重合モノマーのゲル化形態としても存在し得る。
【0134】
図12A中の可変視覚部分は、本明細書の他のセクションで説明された類似する材料の多様性及び構造関連性により画定され得るその他の態様を有してもよい。いくつかの例示の実施形態において、透明電極1220は、第1の透明基材1210上に定置され得る。第1のレンズ表面は、誘電体膜から構成され得、いくつかの例示的実施形態では、第1の透明電極1220の上に定置され得る整列層から構成され得る。かかる例示の実施形態において、誘電体層の形状は、誘電体厚さ内で領域によって異なる形状を形成する場合がある。かかる領域によって異なる形状は、レンズ素子の追加的な集束力を、
図3を参照して説明した幾何学的効果を超えて導入することができる。例えば、いくつかの例示の実施形態において、成形層は、第1の透明電極1220及び基材1210の組み合わせの上に、射出成形により形成され得る。
【0135】
いくつかの例示の実施形態において、第1の透明電極1220及び第2の透明電極1240は、種々の方法で成形され得る。いくつかの例では、成形は、別個に加えられるエネルギー印加を有し得る、分離した明確な領域が形成されることを結果としてもたらし得る。他の例では、電極は、レンズの中心から液晶層1230及び1235にわたって可変電界を印加し得る周辺部までの立体らせんなどのパターンに形成され得る。いずれの場合でも、かかる電極成形は、電極上の誘電体層の成形に加えて、又はこのような成形の代わりに実行され得る。これら方法における電極の成形はまた、作動中にレンズ素子の追加的な集束力を導入することも可能である。
【0136】
ポリマーが分散された液晶層1230及び1235は、第1の透明電極1220と第2の透明電極1240との間に配置され得る。第2の透明電極1240は、底部基材層1245に取り付けることが可能であり、ここでは、上部基材層1210から底部基材層1245まで形成されたデバイスは、眼科用レンズの可変視覚部分を備えることができる。2つの整列層もまた、誘電体層の上に配置され得、これら整列層は液晶層1230及び1235を包囲することが可能である。整列層は眼科用レンズの静止配向を画定するよう機能し得る。いくつかの実施形態において、電極層1220及び1240は、液晶層1230、1235と電気的に導通することが可能であり、静止配向から少なくとも1つのエネルギー印加された配向へのシフトを引き起こすことができる。
【0137】
図12Bでは、電極層のエネルギー印加の効果が示されている。エネルギー印加は、1290で図示するように、デバイスにわたる電界が確立されることを生じ得る。電界は、液晶分子がそれ自体で形成された電界と再整列することを誘起し得る。液晶含有液滴中の1260で示すように、ここでは垂直線で描写するように、分子は再整列することができる。
【0138】
図13A〜Cを参照すると、眼科用レンズに挿入され得る可変視覚インサート1300の代替物が、重合領域1320と液晶富化液滴1330とを含む液晶層と共に図示されている。液晶領域の周囲で画定され得る種々の素子のそれぞれの態様は、
図12A〜B中の可変視覚インサートに関連付けて記載された類似の多様性を有し得る。したがって、前方視覚素子1310及び後方視覚素子1340が存在する可能性があり、いくつかの例示の実施形態では、これら視覚素子は、例えば、これらの上に電極、誘電体層及び整列層の1つ又は2つ以上を有し得る。
図13Aを参照すると、液滴の場所での全体的なパターンは、点線1305により図示され得るものとして観察され得る。1320の周辺の重合領域は、液滴を欠く又は液滴を相対的に欠くような方法で形成され得るが、一方1330などの液滴は、他の場所で形成されてもよい。1305で境界線で図示したような液滴の成形形状は、可変視覚インサートの液晶層を使用してデバイスを形成するための追加的な手段を画定し得る。液晶層を横断する光学的放射は、光学的放射が相互作用する液滴領域の蓄積された効果を有するであろう。したがって、光線に対してより多数の液滴を提示する層の一部は、光線に対してより高い屈折率を効果的に有するであろう。別の解釈では、液晶層の厚さは、液滴がより少ない場所で画定される境界部分1305で変化することが事実上考えられ得る。
図13Bを参照すると、液滴はナノスケールであり得、いくつかの例示の実施形態では、液滴は外部の配向面がない層で形成され得る。1350で示すように、液滴は、その内部の液晶分子に対して非整列かつランダムな状態を有し得る。
図13Cに進むと、液晶相の両側にある電極への電位の印加による電界1370の適用は、項目1360の例で図示したように、液滴内の液晶分子の整列を結果としてもたらすことができる。この整列は、液滴付近の光線が認識する実効屈折率の変更をもたらすであろう。これが、液晶層内の密度又は液滴領域の存在における変化と結び付き、液晶分子と共に液滴を含有する適切に成形された領域における実効屈折率の変更により、電気的に可変の集束効果を形成することが可能である。液滴の成形領域を有する例示の実施形態が液晶層を含むナノサイズの液滴で図示されているが、液滴がより大きなサイズである場合をもたらす追加的な実施形態もあり得、更に他の例示の実施形態は、より大きな液滴領域の存在下での整列層の使用から派生し得る。
【0139】
液晶ポリマーが分散した液晶層を含む液晶デバイス
図14Aを参照すると、眼科用レンズに挿入され得る可変視覚部分が、液晶ポリマー層1430及びポリマーが分散した液晶層1440と共に図示されている。液晶ポリマーが分散した液晶層は、他の重合領域1430内部の液晶分子1440に富む隔離された液滴から構成され得る。重合領域は、膜構造定義及び形状を供与し得るが、一方液晶材料に富む液滴は、この層を通して伝送する光に及ぼす顕著な光学効果を有し得る。
【0140】
液晶層の屈折率効果が、可変視覚構成要素を作製する上で有用である用途において、組み込まれた液晶分子の相当量がゲル化領域又は重合領域に封入されるよう重合領域を処理することは有用であり得る。この組み込みは、インサートデバイスの表面に組み込まれた整列層からの方向性効果をポリマーが分散した液滴内部の液晶構成要素に伝送することを可能にし、
図14Aの図では、整列された液晶分子の重合領域及び液滴の双方への組み込みが、これら領域にわたる平行線により描写されている。加えて、重合材料又はゲル化材料内に組み込まれた液晶分子は、静止状態並びに電界内にある場合の両方で、重合領域の屈折率を液滴領域と相対的に整合させることを可能にすることができる。液晶層の2つの構成要素間の屈折率の相対的整合は、この領域間の境界面において光の散乱を最小に抑えることが可能である。
【0141】
図14Aで図示したタイプの液晶ポリマーが分散した液晶層を形成するために多数の方法が存在し得る。第1の例では、モノマーと液晶分子の混合物が、加熱されて均質の混合物を形成される組み合わせで形成され得る。次に、この混合物が前方湾曲インサート部品1410に加えられ、次いで後方湾曲又は中間インサート部品1460の付加により、レンズインサート内に封入され得る。次いで、液晶混合物を含んでいるインサートが、制御された所定の速度で冷却され得る。混合物が冷却するにつれて、比較的純粋な液晶モノマーの領域は、液滴又は層内部の液滴として析出することができる。次いで、モノマーの重合を開始するための後続の処理工程が実施され得る。いくつかの例では、化学線が、混合物に向けられ、重合を開始してもよい。
【0142】
別の例では、液晶と液晶モノマーの混合物が形成されてもよい。この例では、混合物が前方湾曲部品1410若しくは後方又は中間湾曲部品1460に加えられ、次いで追加的な湾曲部品が付加されてもよい。加えられた混合物は、重合反応を触媒するための構成成分を既に含んでもよい。あるいは、化学線が、混合物に向けられ、重合を開始してもよい。モノマー及び触媒開始剤に対して特定の材料を選択することで、液滴に類似する液晶モノマーの高濃度領域又は材料の重合網の内部の液滴が形成され得る速度及び方法で重合反応を続けてゆくことが可能である。これら液滴は、ある量の液晶分子も含む重合材料により包囲され得る。これら液晶分子は、ポリマーマトリックスが重合の特定の状態まで到達するまでポリマーマトリックス内で自由に移動することが可能である。液晶分子はまた、液晶混合物が適用されたインサート部品の表面上の他の液晶分子又は整列特徴であり得る隣接する領域において方向性効果に触れることも可能であり得る。整列領域は、ポリマーマトリックス内の液晶分子に対して静止状態を決定することができる。更に、ポリマー内の整列した液晶分子はまた、液滴内部の液晶分子又は液晶分子の液滴に方向性効果を及ぼすこともできる。したがって、組み合わされた重合領域及び封入された液滴領域の層は、インサートが液晶中間層で形成される前に、インサート部品の上に整列特徴を封入することにより予め決められた自然な整列状態で存在し得る。
【0143】
液晶分子を重合領域又はゲル化領域内に組み込むための多数の方法が存在し得る。前の説明において、いくつかの方法は記載されている。それでも、ポリマーが分散された液晶層を作製する任意の方法は、本発明の範囲内の技術を含み得、眼科用デバイスを作製するために使用され得る。前の例は、液晶分子の液滴を包囲する重合層を作製するためにモノマーの使用を記述した。重合モノマーの状態は、重合材料の結晶質形態であってもよく、又は他の実施形態では、これは重合モノマーのゲル化形態としても存在してもよい。
【0144】
図14Aにおける可変視覚部分は、本明細書の他のセクションで説明したような材料の類似した多様性及び構造関連性により画定され得る他の態様を有してもよい。いくつかの例示の実施形態において、透明電極1450は、第1の透明基材1460の上に定置され得る。第1のレンズ表面1445は、誘電体膜から構成されてもよく、いくつかの例示の実施形態では、第1の透明電極1450の上に定置され得る整列層から構成されてもよい。かかる実施形態において、第1のレンズ表面1445の誘電体層の形状は、示すように誘電体厚さ内で領域によって異なる形状を形成してもよい。かかる領域によって異なる形状は、
図3を参照して説明された幾何学的効果を超えてレンズ素子の追加的な集束力を導入し得る。例えば、いくつかの例示の実施形態において、成形層は、第1の透明電極1445と基材1450の組み合わせの上に、射出成形により形成され得る。
【0145】
いくつかの例示の実施形態において、第1の透明電極1445及び第2の透明電極1425は、種々の方法で成形され得る。いくつかの例では、成形は、別個に適用されたエネルギー印加を有し得る分離する明確な領域が形成される結果をもたらすことができる。他の例では、電極は、レンズの中心から周辺部に至る立体らせんなどのパターンに形成され得、これは液晶層1430及び1440にわたって可変電界を印加することができる。いずれの場合でも、かかる電極成形は、電極の上の誘電体層の成形に加えて、又はこのような成形の代わりに実施されてもよい。これら方法における電極の成形はまた、動作中のレンズ素子の追加的な集束力も導入し得る。
【0146】
ポリマーが分散された液晶層1430及び1440は、第1の透明電極1450と第2の透明電極1420との間に配置され得る。第2の透明電極1420は、上部基材層1410に取り付けられてもよく、ここでは、上部基材層1410から底部基材層1450まで形成されたデバイスは、眼科用レンズの可変視覚部分1400を備えることができる。2つの整列層もまた、誘電体層の上に1445及び1425で配置され得、これらは、液晶層1430及び1440を包囲することができる。1445及び1425における整列層は、眼科用レンズの静止配向を画定するよう機能することができる。いくつかの実施形態において、電極層1420及び1450は、液晶層1430、1440と電気的に導通することが可能で、これらは静止配向から少なくとも1つのエネルギー印加された配向へ、配向におけるシフトを引き起こすことができる。
【0147】
図14Bでは、電極層のエネルギー印加の効果が描写されている。エネルギー印加は、1490で図示するように、電界がデバイスにわたって確立される状態を生じることができる。電界は、液晶分子がそれ自体で形成された電界で再整列することを誘起し得る。1470で示された層の重合部分内の分子及び1480で示された液晶を含有する液滴内の分子については、ここでは垂直線で描写されるように、これら分子は再整列することができる。
【0148】
図15を参照すると、眼科用レンズ内に挿入され得る可変視覚インサート1500の代替物が、液晶層1520及び1550と共に図示されていて、この2つの液晶層のそれぞれは、
図14A及び14Bを参照して説明されたように、液晶及びポリマーが分散された液晶層であり得る。液晶領域周辺の種々の層のそれぞれの態様は、
図14A及び
図14Bで可変視覚インサートに関連付けて記載したような類似の多様性を有し得る。いくつかの例示の実施形態において、整列層は、偏光感度を単一の液晶素子の機能に導入することができる。第1の基材1510により形成された第1の液晶系素子(1520及び第2の基材1530の周りの空間内の介在する層は第1の偏光選好性を有する)を、第2の基材1540上の第2の表面により形成された第2の液晶系素子(1550及び第3の基材1560の周りの空間内の介在する層は第2の偏光選好性を有する)と組み合わせることにより、レンズへの入射光の偏光特徴に敏感ではないレンズの電気的に可変な焦点特性を可能にし得る組み合わせが形成され得る。領域1550の実例における短点特徴が、整列した液晶分子を描写することができ、この液晶分子の整列は、1520で層内の整列した分子の整列に対して垂直である。1590で印加された電界は、2つの液晶層のいずれかにわたる電界が、液滴領域内の液晶分子の再整列を誘起し得ることを示している。いくつかの例示の実施形態において、
図15で示すように、電界を液晶領域1520及び1550のいずれかにわたって印加するための分離する能力が存在し得る。他の例示の実施形態において、眼科用デバイスの電極への電位の印加は、双方の層を同時にエネルギー印加することが可能である。
【0149】
例示の素子1500では、
図14A及び14Bの例と関連する種々のタイプ及び多様性を有する、2つの電気的に活性な液晶層の組み合わせは、4つの基材1510、1530、1540及び1560を利用して形成することが可能である。他の例では、デバイスは、3つの異なる基材の組み合わせにより形成され得、ここでは中間基材は、示された1530及び1540の部品の組み合わせで生じることができる。4つの基材部品の使用は、素子の製造に好都合な例を提示することができ、ここでは類似のデバイスが1520及び1550の液晶層の両者の周囲で構築され得、処理差が、液晶素子に整列特徴を画定する工程の一部に関連し得る。更に他の例では、
図14A中1400で示すものなどの単一液晶層の周りのレンズ素子が球対称又は90度の回転時に対称である場合、このとき、2つの部品は、組立前に、それぞれが2つの基材から作られた2つの個々のインサート部品を互いに対して90度回転することにより、1500で表されるタイプの4つの基材部品を有する構造に作製することが可能である。
【0150】
さまざまなアンカリング(束縛)強度を有する液晶層を含む眼科用デバイス
図16Aを参照すると、さまざまなアンカリング強度を備える液晶層を含む眼科用デバイスの例示の描写を見ることができる。眼科用インサートは、前方湾曲電極層1610及び後方湾曲電極層1615がその上に定置された前方湾曲部品1620と後方湾曲部品1625から構成され得る。いくつかの例示の実施形態において、材料のアンカリング層が電極層の表面上に付加されてもよく、場合によっては、電極層の上にある誘電体層に付加されてもよい。アンカリング層の表面は、引き続いて付加される液晶層1605との表面相互作用が、処理表面にわたって空間的に変化し得るように、種々の化学的又は物理的方法で変性され得る。スケール及び物理的現象が実際のスケールで示されていない例示的な様式では、アンカリング強度は、1630、1640及び1650で示され得る。3つのアンカリング結合により表された、1630におけるアンカリング位置の結合強さが増強される場合、このとき、表面領域に及ぼす液晶分子のアンカリングの効果は、層全体で隣接する液晶分子に伝達され得る。2つのアンカリング結合により例示された、表面領域1640の結合強さは、領域1630と比較する場合、強さが低下し得るが、1650の表面領域よりもなお強い可能性があり、このアンカリング強度は、単一のアンカリング結合により例示される。静的モード及びエネルギーが印加されていないモードにおいて、液晶層1605の液晶は、概ね平行様式で表面トポロジーに対して置かれている液晶分子の棒状の図により描写された好ましい様式で整列することができる。
【0151】
1690で描写された電界の存在下では、液晶分子は、電界と相互作用することができ、確立された電界に沿って配向するために、それらに及ぼす力を有し得る。前述したように、アンカリング相互作用の強度は、液晶層を通して伝えられることができ、表面アンカリング部位に近接する異なる場所の液晶分子に対して配向で異なるシフトをもたらし得る。例えば、強く相互作用している領域は、電界1690により、1635でほとんど摂動を受けずに置かれる液晶分子を有し得る。一方では、最も弱く束縛されている領域は、電界1690と1655で完全に整列することが可能である。加えて、1645で描写するように、中間のアンカリング強度1640の領域では、配向は電界1690との整列の中間状態をとることができる。
【0152】
したがって、
図16A中の分子などの分子の空間的に均一な配向は、
図16Bで描写するように、電界の存在下で領域により変化可能な配向をとることができる。液晶分子は、入射光に対するその整列に基づいて、入射光に対して異なる屈折率を提示し得るために、アンカリング層の処理に基づいて領域によって変化可能な配向を制御する能力は、電極1615及び1625がエネルギー印加され電界1690を発生する場合、プログラムされた光学効果が達成されることを可能にし得る。更に、空間的な意味での屈折率の変化の細部もまた、印加される電界の強さに基づいてスムーズに変化され得る。これは、今度は電極層にわたって印加される電界の電位又は電圧のレベルにより制御され得る。したがって、領域的に画定されたアンカリング層に付加された液晶層を備え、液晶層とのアンカリング相互作用の強さを変化させる光学デバイスは、エネルギー印加されていない状態に対比してエネルギー印加された状態において空間的に変更される屈折率特性の双安定特性を有するデバイスを結果としてもたらすことが可能であり、あるいは、電極のエネルギー印加をさまざまな電極電位又は電圧にすることから得られる光学特性の連続体が存在し得る。
【0153】
さまざまなアンカリング方向(プレチルト角)を有する液晶層を含む眼科用デバイス
図17A〜Bを参照すると、電極領域間の液晶層の整列で空間的変化を設計するための、類似するが代替的な例示の実施形態を見ることができる。
図17Aでは、さまざまな整列配向を備える液晶層を含む眼科用デバイスの例示の描写を見ることができる。眼科用インサートは、前方湾曲部品1705及び後方湾曲部品1710(これらの上に前方湾曲電極層1715及び後方湾曲電極層1720が配置されている)から構成され得る。いくつかの例示の実施形態において、液晶層内でその近辺で分子を整列することができる材料の層が、電極層の表面上に付加されてもよく、又は場合によっては、電極層の上にある誘電体層上に付加されてもよい。整列層1725は、この層がその表面にわたって可変的であるがプログラムされた方法で配向されたその分子を有して形成するように、種々の化学的又は物理的処理によるような方法で化成後に形成又は処理され得る。これら配向のいくつかは、1730の整列層付近において1735で描写されたような第1の配向から、1740の整列層付近の分子について1745で描写され得る、第1の整列配向1735に対して完全に垂直であり得る配向まで、液晶分子が整列することを誘起することができる。
【0154】
説明は、第1の表面における整列層内の分子の配向に焦点が当てられてきたが、実際は、前方湾曲及び後方湾曲を備える眼科用インサートでは、整列層の処理は、それぞれの表面で行われ得る。いくつかの例示の処理において、前方湾曲部品上で空間的に変化するパターンを処理することは、後方湾曲部品上で等しく定義された空間的パターンを有する可能性がある。これらの場合には、液晶層内の分子の配向は、この層にわたって均一であるよう図示され得るが、一方
図17Aで示すように、配向は表面部品に沿って空間内で変化する場合がある。他の例示の実施形態において、眼科用デバイスの後方湾曲部品上の整列層の上に形成された空間的パターンと比較するとき、異なる空間的パターンが、前方湾曲部品上の整列層で形成されてもよい。かかる実施形態は、眼科用インサートデバイスの表面にわたって液晶分子の整列を変更することにより制御されること、並びに液晶層にわたって前方視覚部品から後方視覚部品までの配向の表面の所定の空間的位置における制御された様式での整列の追加的な変化を結果としてもたらすことができる。
【0155】
図17Bを参照すると、液晶層内の分子の配向に及ぼす印加された電界の効果の描写が表示されている。1701では、2つの電極1760及び1765(それぞれが前方湾曲部品1710及び後方湾曲部品1705上に配置されている)への電位の印加により電界が確立される。1770及び1780により図示された整列層の分子の配向は、例示の描写では、電界1701の印加により変更され得ないことを観察することができる。それにもかかわらず、電界の液晶分子との相互作用は、これが整列層との相互作用を優先し得ると考えられ、したがって、液晶層内の分子は、項目1775及び1785により描写されるように、電界と整列することができる。この領域では整列層に非常に接近しているために、この図は、実際の状況の簡略化を表す可能性があり、例示され得るものと同じように整列されない配向が存在することもあり、更に全体としての液晶分子の回収の効果は、空間的位置にわたって並びに電界に対して分子の比較的均一な配列を有するとして描写されたものと同様に推定することが可能であることが注目され得る。
【0156】
1725で例示の様式で描写される整列層を形成するための多くの方法、又は本明細書の種々の実施形態で言及された整列層のいずれかに関するものを形成するためにする多くの方法がある。一例では、アゾベンゼンの化学的骨格鎖に基づく分子を含む染料材料が、電極層上に、又は電極層上の誘電体層上にコーティングされ、それ自体が層を形成することが可能である。アゾベンゼン系化学部分は、トランス配置及びシス配置で存在し得る。多くの例では、トランス配置は、2つの配置のうちのより熱力学的に安定な状態であり得、したがって、例えば摂氏30度周辺の温度で、アゾベンゼン層の分子の大部分は、トランス状態で配向され得る。異なる分子配置の電子的構造に起因して、2つの配置は異なる波長の光を吸収することが可能である。したがって、例示の意味で、300〜400ナノメートル領域の波長の光で照射することにより、アゾベンゼン分子のトランス型は、シス型に異性化され得る。シス型は、比較的迅速にトランス配置に戻り得るが、2つの型変換は、型変換が発生すると同時に、分子の物理的移動をもたらし得る。偏光の存在下では、光の吸収は、偏光ベクトル及び分子を照射するために使用された光の入射角に対するトランス−アゾベンゼン分子の配向に多少なりとも依存する可能性がある。特定の偏光及び入射角を用いて得られる放射の効果とは、入射偏光軸及び入射面を参照してアゾベンゼン分子を配向させることである。したがって、アゾベンゼン分子の整列層を適切な波長まで、並びに所定の空間的に変化する偏光及び入射角で照射することにより、アゾベンゼン分子の整列の空間的な変化を有する層が形成され得る。静的な意味では、アゾベンゼン分子はまた、液晶分子ともこれらの環境で相互作用し、これによって、
図17Aで描写される液晶分子の異なる整列を形成する。
【0157】
アゾベンゼン材料はまた、
図17C〜Eで概略的に示したようなトランス及びシス状態で平面内及び平面外配向を得るチャンスに起因して、アンカリング方向を調節するための他のチャンスも可能にすることができる。これら材料は、コマンド層とも呼ばれる場合もある。かかる材料についての液晶配向変調はまた、化学光強度を空間的に変調することにより得ることが可能である。
図17Cを参照すると、1742のアゾベンゼン分子は、表面に束縛されると同時に、トランス配置で配向され得る。この配置では、液晶分子は、1741で示すように配向し得る。別のシス配置において、アゾベンゼン分子1743は、1740で示すように配向するよう液晶分子に影響を与えることが可能である。
図17Eを参照すると、液晶配向の組み合わせは、本明細書の本発明の概念と一致し得るように図示されている。
【0158】
他の整列層が、局所的に偏光した入射光によって誘起された重合の好ましい配向に基づいて、重合層の空間的整列を制御するために偏光した入射光を使用するなどの異なる方法で形成されてもよい。
【0159】
図17Fを参照すると、代表的な勾配屈折率光学素子が図示されている。
図16A及びBを参照して表示されたアンカリングの原理並びに
図17A、B及びCを参照して表示された整列層に関連する例示の実施形態は、放射距離を用いる屈折率の略放射線状変化を作り出すために使用することが可能であり、放射距離rに対比する屈折率の略放射状変化n(r)などを数学的に表現している関係を1796で見ることができる。平坦なレンズ物体についての現象の図的表現は、1790で見ることができ、ここでは、1791での屈折率は、図中の黒色の濃度により表現され得る比較的高い屈折率であり得る。例えば1792で示されるように、屈折率が放射状に変化するとき、この屈折率は、より低い屈折率であり得、並びに低下した黒色の濃度として描写され得る。光学素子は、放射距離を用いる屈折率の略放射状変化で形成されることが可能であり、光に及ぼす効果は、1793で示したような光の収束をもたらすための入射光の位相におけるシフトであり得る。勾配屈折率光学素子などの焦点特性の数学的見積もりが、1795で図示され得る。
【0160】
サイクロイド波長板レンズを備える眼科用デバイス
特殊で多様な偏光ホログラム、即ちサイクロイド回折波長板(CDW)は、実質的に100パーセントの回折効率をもたらし、スペクトル的に広帯域であり得る。
図18に概略的に図示したサイクロイド回折波長板の構造は、異方性材料膜1810を含み、ここでは光軸配向は、膜1810内のパターン1820で図示したように、膜の平面内で連続的に回転している。かかる波長板から得る典型的な光学的な結果は、1830及び1840を参照して見ることができる。可視波長については、ほぼ100パーセントの効率が、典型的には約1マイクロメートル(0.001mm)の厚さの液晶ポリマー(LCP)膜に適合する半波位相リターデーション条件の実現で達成される。
図18Aを参照すると、サイクロイド波長板デザインで実施することができる配向プログラミングのクローズアップされた図を、1890で見ることができる。例えば1885の所定の軸方向において、パターンは、軸方向に平行な配向1860から、軸方向に垂直な配向1870を経て、1880の軸方向に平行な配向まで再び戻って変化することができる。
【0161】
薄い回折格子が高効率を呈する光学素子内のこのような特殊な状態は、波長λの直線偏光光線が、x、y平面内の複屈折性膜上のz軸に沿って通常に入射することを考慮することによって理解することができる。膜の厚さL及びその光学的異方性Δnが、LΔn=λ/2のように選択され、その光軸が、45度(入力光線の偏光方向に対する角度α)で配向されていれば、出力光線の偏光は、90度(角度β)まで回転される。これが、半波波長板が機能する方法である。かかる波長板(β=2α)の出力時の偏光回転角は、光軸の配向d=(dx,dy)=(cosα,sinα)に依存する。低分子量並びにポリマー性の双方の液晶材料は、高い空間周波数(α=qx)において波長板の平面内でdの連続する回転を可能にし、ここでは、空間変調周期Λ=2Π/qは、可視光の波長に匹敵し得る。かかる波長板の出力時の偏光は、空間内で結果的に変調され(β=2qx)、この波長板の出力時の回転する偏光パターン内の電界は、<E>=0に平均化され、入射光線の方向で移送される光は存在しない。このように得られた偏光パターンは、角度±λ/Λで伝搬する2つの円偏光光線の重複に相当する。光線が右手側又は左手側であるかどうかに応じて、円偏光入力光線の場合に回折次数の1つのみ、+1次回折又は−1次回折が存在する。
【0162】
特殊な多様なサイクロイド回折波長板が、
図19Aで図示される。かかる例示の実施形態において、
図18中に示すサイクロイド回折波長板は、眼科用レンズインサートデバイスの波形率で更に精錬され得る。図において、形状は平坦な様式で描画されたが、類似の配向プログラミング形状が、なおレンズインサートなどの三次元表面にわたって生じ得る。1910では、サイクロイド回折波長板パターンは、平坦な表面上又は球面の傾斜部分などの折り畳まれた表面上に配置され得る放射状パターンまでらせん状に回転されてもよく、液晶又は液晶ポリマー分子の回転角は、波長板の中心から略放物線関数で調節されてもよい。かかる構造物は、レンズの異なる又はより高い強度(焦点距離として又は曲光度として測定された)が同一の厚さ内又はより薄い膜内で得ることができることを含み得る、他の液晶レンズと比較される利点を有するレンズのように作用する。いくつかの例示の実施形態において、膜の厚さは、1〜5μmにすぎない場合がある。このレンズの別の利点は、デバイスに入る入射光の偏光を切り換えることによる、集光力調整についての正の値と負の値の間の交換の機会であり得る。いくつかの例示の実施形態において、液晶相リターデーションプレートの使用は、偏光交換を容易にするために使用することが可能である。レンズ化作用と交換作用との間の減結合は、非限定的な例として、電気容量及び電力消費などのシステムの電気特性における汎用性を可能にし得る。例えば、たとえレンズそれ自体が薄いものとして選択され得ても、液晶相位相リターダーの厚さは、電力消費を最小限に抑えるよう選択され得る。
【0163】
前方インサート部品と後方インサート部品との間の空間内に形成されるサイクロイド回折レンズパターンは、電気的に活性な埋め込まれた可変視覚インサートを形成することが可能である。
図19Bで示すように、電位を前方及び後方インサート部品内の電極に印加することにより、電界1990がサイクロイドに配向した液晶層にわたって確立され得る。1920で描写するように、液晶部分が電界と整列する場合、得られた整列は、液晶層を回折波長板レンズの特殊な性質がなく、空間的に均一な膜にさせることが可能である。したがって、非限定的な例として、光出力を有する1910のパターンは、1920で描写されたような電界の印加で集束効果を発生し得ない。
【0164】
サイクロイド波長板型の実施形態についての液晶分子の整列のクローズアップした図が、
図20の項目2000を参照して見ることができる。パターンの四分の一が図示され、レンズ2010の中心から半径方向外方から(例えば2020に向かう)並びに外側に向かう分子の整列の配向シフトを観察することができる。この配向は、例えば、
図18に関連して図示されたプログラミングパターンの放射状回転に類似し得ることを観察することができる。
【0165】
液晶及び液晶ポリマー回折波長板の作製は、多段階のプロセスであり得る。サイクロイド回折波長板をマスター波長板から印刷するための技術は、高品質及び大きな領域を伴う大規模な作製に適応させることが可能である。これは、複雑性、コスト及び安定性の問題を増大させ得るホログラフィック装置を伴う他の実施形態に比較され得る。印刷技術は、直線偏光又は円偏光入力光線からのマスターサイクロイド回折波長板の出力で得られる回転する偏光パターンを使用することができる。印刷された波長板の周期は、直線偏光入力光線を使用する場合、二倍にすることができる。光異方性材料における直接記録と比較するとき、フォトアライメントに基づく液晶ポリマー技術は、例えば、Merckから市販の液晶ポリマーに準じる利点を有し得る。RMS−001Cなどの供給元(Merk)の命名法で言及され得る反応性メソゲンの典型的な液晶ポリマーは、フォトアライメント層上にスピンコーティングされ(典型的には3,000rpmで60秒間)、約10分間、UV重合され得る。複数の層が、広帯域の回折のために、又はピーク回折波長を調整するためにコーティングされてもよい。
【0166】
ポリマーが分散した液晶層を有する成形した誘電体層を備える眼科用デバイス
図21を参照すると、成形誘電体層を備える眼科用デバイスの例示の実施形態を見ることができる。この例示の実施形態は、
図10に関する例示の実施形態に関連付けて説明された多くの態様を共有する。2140では、1040の類似の特徴に相当する成形誘電体層を見ることができる。
図21に関する例示の実施形態において、誘電体層2140は、ポリマーが分散した液晶層を形成するために使用されるモノマー部分の制御された重合を通して形成することが可能である。いくつかの例示の実施形態において、層2140は、重合プロセス中に捕捉された液晶分子の量を備えることができる。層2140がその上に形成される表面が、2170などの整列層を有する場合、液晶分子は、整列層のパターンに整列され得、いくつかの例示の実施形態では、重合層2140が形成される間に整列され得る。
【0167】
液晶分子を含むモノマーの処理は、例えば2130のポリマーが分散した空隙が、液晶分子を含んだ状態で形成され得る条件下で、引き続いて重合され得る。引き続いて重合され得る層のその他の領域、2120では、液体分子を含むポリマー層が形成され得る。いくつかの例示の実施形態において、重合プロセス中に液晶分子を配向することもできる整列層が2165で存在し得る。
【0168】
図21の図は、電極層2160及び2175の間に並びに整列層2170及び2165の間に前方2110及び後方2150基材が配置され得る例示の実施形態を描写している。整列層は、前に記載された方法で形成かつパターン化され得るか、又は例えば工業基準規格のラビングプロセスにより実施され得る。
図21の描写は、種々の層のフラットな配向を図示している。この描写は例示の目的に過ぎず、コンタクトレンズなどの例えば眼科用デバイス内に配置され得る湾曲視覚部品は、示された形状でなくとも構造的順序を共有し得る。空隙特徴2130がナノスケールであるものなどのいくつかの例示の実施形態において、この構造物内に整列層が必要がない場合もある。これらの特徴において、空隙層内では分子のランダム配向が望ましい場合がある。
【0169】
加えて、眼科用インサートデバイス内部に形成されたポリマーが分散された液晶層を参照して前に記載したように、電極層にわたる電極電位の印加による液晶層を通じての電界の発生は、空隙内に存在する液晶層を電界と整列させ、眼科用デバイスを横断する光に対して提示される屈折率をシフトさせることが可能である。成形誘電体2140は、液晶層のあらゆる部分を通して局所電界を発生させ、成形誘電体特性によって変化させ得る。いくつかの例示の実施形態において、成形誘電体層は、ポリマーが分散した液晶層と比べると類似の光学誘電特性を有する材料であるが、異なる電気誘電特性を有する材料から形成され得る。
【0170】
図21A及び21Bを参照すると、可能であり得る種々の配向態様を示すために、液晶の個々の液滴2131が図示されている。いくつかの例示の実施形態において、特に液滴がナノスケールのサイズである場合、
図21Aのエネルギー印加されていない配向は、液晶分子が示すようなランダム配向パターンを呈する液滴を有し得る。他の実施形態において、整列層の使用は、
図21Bの2132に示したものなど、例えば、分子が表面に対して平行に整列され得るエネルギー印加されていない配向配置を作成することができる。これらの場合のいずれも、2190で電界が印加される場合、液晶分子は、
図21Cの2133で示すように、電界と整列し得る。
【0171】
ポリマー層内の液晶液滴のさまざまな密度を有するポリマーが分散した液晶層を含む眼科用デバイス
図22を参照すると、液晶層を備える眼科用デバイスの別の例示の実施形態を見ることができる。
図13Aに関する例示の実施形態に対する類似性を共有する例示の実施形態において、液晶層は、ポリマー層内の液晶液滴の密度が、横断の意味で放射状の層にわたって変更されている光学効果のために形成され得る。
図22で示すように、項目2210及び項目2260は、それぞれ前方インサート及び後方インサート部品を表し得る。これら部品の上に、2250及び2220で表される層又は層の組み合わせがあり得る。層2250及び2220は、それらの上に誘電体層及び/又は整列層も備え得る電極層を表すことができる。これら層の間に、液晶部分を含む層2240があり得る。層2240は、重合材料の領域が2230などの主として液晶分子を含有する液滴により介在され得る方法で処理され得る。
図22の描写は、種々の層のフラット配向を図示している。この描写は、例示の目的に過ぎず、例えば、コンタクトレンズなどの眼科用デバイス内に配置され得る湾曲視覚部品が、示された形状ではなくとも構造的順序を共有することが可能である。液滴特徴2230がナノスケールであるものなどのいくつかの例示の実施形態において、この構造内に整列層が存在する必要がない場合もある。これらの特徴において、空隙内では分子のランダム配向が望ましい場合もある。
【0172】
重合プロセスを制御することで、層2240を含む液晶の特定の場所において、別の場所のものとは異なる前方湾曲インサートから後方湾曲領域までの液晶材料の密度又は量が存在し得るような方法で、空間的制御を行うことが可能である。レンズ表面にわたる液晶材料の量におけるこれら変化は、眼科用デバイスを横断する光が特定の場所で認識する総計の屈折率をプログラムするために有用であり得る。球状集束及び高次光学効果などの光学効果を発生させることが可能である。前の実施形態の場合のように、層2240にわたる電界の確立は、電気的に活性な方法で眼科用デバイスの変更された光学効果の確立をもたらし得る液晶部分の整列における変更を結果としてもたらすことが可能である。
【0173】
図22A及び22Bを参照すると、可能であり得る種々の配向態様を示すために、液晶の個々の液滴2231が図示されている。いくつかの例示の実施形態では、特に液滴がナノスケールのサイズである場合、
図22Aでのエネルギー印加されていない配向は、液晶分子が示すようなランダム配向を呈する液滴を有することが可能である。他の例示の実施形態では、整列層の使用は、例えば、
図22Bの2232で示すように、分子が表面に対して平行に整列され得るエネルギーが印加されていない配向配置を作成することができる。これらに場合のいずれにおいても、電界2290が印加される場合、
図22Cの2233で示すように、液晶分子は、電界と整列することが可能である。
【0174】
能動的及び受動的態様を有する単一の高偏光感度の液晶を備える二焦点眼科用デバイス
図23を参照すると、記載された種々の例示の実施形態のいくつかを利用するデバイスの部類を、単一の高偏光感度の液晶層を含む二焦点眼科用デバイスについて見ることができる。
図4に記載されるタイプの眼科用レンズは、液晶層を含むインサート2330によって与えることができる。説明されてきた種々のタイプの層は、整列層により整列され、したがって特定の偏光状態に対する感度を有し得る。このデバイスが焦点調整機能を有し、かつ単一の整列した液晶層を有する場合、若しくは、一方の液晶層が直交する方向で他方の液晶層に整列され、液晶層の一方が他方のものとは異なるレベルまで電気的にエネルギー印加される二重層デバイスである場合、このとき眼科用レンズ400に入射する光2310は、偏光方向のそれぞれに対して2つの異なる焦点特性に分解され得る。示すように、偏光成分2351の1つは、焦点2352に向かうパス2350上で集束され得、一方他の偏光成分2341は、焦点2342に向かうパス2340上で集束され得る。
【0175】
眼科用デバイスの現況技術においては、使用者の目に複数の合焦画像を同時に提示する二焦点デバイスが存在する。ヒトの脳は、2つの画像を仕分けし、異なる画像として認識する能力を有する。2300の装置は、かかる二焦点能力を供給する改善された能力を有し得る。2300で示したタイプの液晶層は、全体的な画像を切り取り、それらを別々に集束させるというよりはむしろ、光2320を可視ウインドウ全体にわたる2つの偏光成分2351及び2341に分割することが可能である。周辺光2320が偏光選好性を有さない限り、画像は、いずれかの焦点特性のみを有する場合と同様に現れねばならない。他の例示の実施形態において、かかる眼科用デバイスは、情報を拡大された画像に持っていくように選択された偏光で情報を表示するなどの異なる効果のために、定義済みの偏光を用いて投影される光源と対をなすことが可能である。液晶ディスプレイは、光がこのようなディプレイから定義済みの偏光特性を伴い出現するために、かかる周囲条件を本質的にもたらすことが可能である。多焦点特性を有するデバイスを活用するための能力から生じる多くの例示の実施形態があり得る。
【0176】
他の例示の実施形態において、デバイスの焦点を積極的に制御するための能力は、さまざまな二焦点状態を有するデバイスを可能にし得る。静止状態又はエネルギーが印加されていない状態は、一方の偏光が集束されず、他方の偏光が中間距離で集束される状態の二焦点を備え得る。起動時に、中間距離成分は、レンズが双安定性の場合、撮像近辺で更に集束され得、他の実施形態ではさまざまな焦点距離で集束され得る。二焦点特性は、使用者が彼らの距離環境を合焦画像(これがどれほど近いかに関係なく)と同時に知覚することを可能にし、このことは、多種多様な利点を有し得る。液晶層が偏光次元に従って配向され得る液晶実施形態のいずれも、この実施形態のタイプの二焦点デザインを形成するのに有用であり得る実施形態を備えることができる。
【0177】
本明細書の説明では、図に示した要素が参照されてきた。理解を目的として本発明の技術の例示の実施形態を表すために、要素の多くは参照として図示される。実際の特徴の相対的スケールは、表示されたものとは著しく異なる場合があり、表示された相対的スケールからの変動は、本明細書の技術の趣旨の範囲内で想定されるべきである。例えば、液晶分子は、インサート部品のスケールに対して描写するために、極端に小さいスケールである場合がある。したがって、分子の整列などの諸因子の表現を可能にするために、液晶分子をインサート部品に対して同程度のスケールで表す特徴の描写は、実際の実施形態では非常に異なる相対的スケールを想定し得る描写スケールの例である。
【0178】
図示及び説明されたものは、最も実用的かつ好ましい実施形態であると考えられるが、本明細書に説明及び図示した特定の設計及び方法からの変更はそれ自体当業者にとって自明であり、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく使用できることは明らかであろう。本発明は、説明及び図示される特定の構造に限定されるものではないが、添付の特許請求の範囲に含まれ得るすべての改変例と一貫性を有するものとして解釈されなければならない。
【0179】
〔実施の態様〕
(1) エネルギー印加された眼科用レンズデバイスであって、
光学ゾーン内の少なくとも一部分を備え、インサート前方湾曲部品及びインサート後方湾曲部品を備える可変視覚インサートであり、前記前方湾曲部品の後方面と前記後方湾曲部品の前方面が、少なくとも前記光学ゾーン内の前記一部分で異なる表面トポロジーを有し、前記可変視覚インサートが、非光学ゾーンを更に備える、可変視覚インサートと、
少なくとも前記非光学ゾーンを備える領域内で、前記可変視覚インサートの内部に埋め込まれたエネルギー源と、
前記可変視覚インサートと動作可能に関連する液晶材料の層と、を含む、エネルギー印加された眼科用レンズデバイス。
(2) 前記眼科用レンズデバイスが、コンタクトレンズを含む、実施態様1に記載のエネルギー印加された眼科用レンズデバイス。
(3) 前記前方湾曲部品の前記後方面に近接する電極材料の第1の層と、
前記後方湾曲部品の前記前方面に近接する電極材料の第2の層とを更に備える、実施態様2に記載のエネルギー印加された眼科用レンズデバイス。
(4) 前記液晶材料の層に近接して誘電体材料の第1の層を更に備え、電位が、前記電極材料の第1の層及び前記電極材料の第2の層にわたって印加される場合、前記誘電体材料の第1の層が、前記光学ゾーン内の領域にわたって厚さを変更し、前記液晶材料の層にわたって電界を変更することをもたらす、実施態様3に記載のエネルギー印加された眼科用レンズデバイス。
(5) 電位が前記電極材料の第1の層及び前記電極材料の第2の層にわたって印加される場合、前記液晶材料の層が、前記液晶材料の層を横断する光線に影響を与えるその屈折率を変更する、実施態様3に記載のエネルギー印加された眼科用レンズデバイス。
【0180】
(6) 前記可変視覚インサートが、前記レンズの焦点特性を変更する、実施態様5に記載のエネルギー印加された眼科用レンズデバイス。
(7) プロセッサを更に備える、実施態様6に記載のエネルギー印加された眼科用レンズデバイス。
(8) エネルギー印加された眼科用レンズデバイスであって、
光学ゾーン内の少なくとも一部分を備え、インサート前方湾曲部品、中間湾曲部品及びインサート後方湾曲部品を備える可変視覚インサートであり、前記前方湾曲部品の後方面と前記中間湾曲部品の前方面が、少なくとも前記光学ゾーン内の前記一部分で異なる表面トポロジーを有し、前記可変視覚インサートが非光学ゾーンを更に備える、可変視覚インサートと、
少なくとも前記非光学ゾーンを備える領域内で、前記可変視覚インサートの内部に埋め込まれたエネルギー源と、
前記可変視覚インサートと動作可能に関連する液晶材料の少なくとも第1及び第2の層と、を含む、エネルギー印加された眼科用レンズデバイス。
(9) 前記眼科用レンズデバイスが、コンタクトレンズを含む、実施態様8に記載のエネルギー印加された眼科用レンズデバイス。
(10) 前記前方湾曲部品の前記後方面に近接する電極材料の第1の層と、
前記中間湾曲部品の前記前方面に近接する電極材料の第2の層とを更に備え、
前記液晶材料の第1の層が、前記電極材料の第1の層と前記電極材料の第2の層との間にある、実施態様9に記載のエネルギー印加された眼科用レンズデバイス。
【0181】
(11) 前記液晶材料の第1の層に近接して誘電体材料の第1の層を更に備え、電位が、前記電極材料の第1の層及び前記電極材料の第2の層にわたって印加される場合、前記誘電体材料の第1の層が、前記光学ゾーン内の領域にわたって厚さを変更し、前記液晶材料の層にわたって電界を変更することをもたらす、実施態様10に記載のエネルギー印加された眼科用レンズデバイス。
(12) 電位が、前記電極材料の第1の層及び前記電極材料の第2の層にわたって印加される場合、前記液晶材料の第1の層が、前記液晶材料の第1の層を横断する光線に影響を与えるその屈折率を変更する、実施態様10に記載のエネルギー印加された眼科用レンズデバイス。
(13) 前記可変視覚インサートが、前記レンズの焦点特性を変更する、実施態様10に記載のエネルギー印加された眼科用レンズデバイス。
(14) 前記中間湾曲部品が、一緒に結合された2つの湾曲した部品の組み合わせである、実施態様8に記載のエネルギー印加された眼科用レンズデバイス。
(15) 電気回路を更に備え、前記電気回路が、前記エネルギー源から前記第1及び第2の電極層に至る電気エネルギーの流れを制御する、実施態様10に記載のエネルギー印加された眼科用レンズデバイス。
【0182】
(16) 前記電気回路が、プロセッサを備える、実施態様15に記載のエネルギー印加された眼科用レンズデバイス。
(17) 前記第1の液晶層が、第1の整列層と第2の整列層との間にあり、かつこれらに近接し、前記第1及び第2の整列層が、総じて、前記電極材料の第1の層と前記電極材料の第2の層との間にあり、前記電極材料の第1の層及び前記電極材料の第2の層が、前記電気回路と電気的導通する、実施態様16に記載のエネルギー印加された眼科用レンズデバイス。
(18) 第3の整列層及び第4の整列層を更に備え、
前記第2の液晶層が、前記第3の整列層と前記第4の整列層との間にあり、かつこれらに近接し、
電極材料の第3の層及び電極材料の第4の層を更に備え、
前記第2の液晶層、前記第3の整列層及び前記第4の整列層が、総じて前記電極材料の第3の層の間にあり、
前記電極材料の第3の層及び前記電極材料の第4の層が、前記電気回路と電気的に導通する、実施態様17に記載のエネルギー印加された眼科用レンズデバイス。
(19) 前記第1の整列層及び前記第2の整列層が、前記第1の液晶層を、主として第1の線状軸に沿って整列させ、前記第3の整列層及び前記第4の整列層が、前記第2の液晶層を主として第2の線状軸に沿って整列させる、実施態様18に記載のエネルギー印加された眼科用レンズデバイス。
(20) 前記第1の線状軸が、前記第2の線状軸に対してほぼ垂直である、実施態様19に記載のエネルギー印加された眼科用レンズデバイス。
【0183】
(21) エネルギー印加された眼科用レンズデバイスであって、
光学ゾーン内の少なくとも一部分を備え、インサート前方湾曲部品及びインサート後方湾曲部品を備える可変視覚インサートであり、前記前方湾曲部品の後方面と前記後方湾曲部品の前方面が少なくとも前記光学ゾーン内の前記一部分で異なる表面トポロジーを有し、前記可変視覚インサートが非光学ゾーンを更に備える、可変視覚インサートと、
少なくとも前記非光学ゾーンを備える領域内で、前記可変視覚インサートの内部に埋め込まれたエネルギー源と、
前記可変視覚インサートと動作可能に関連する液晶材料の層であり、前記液晶材料が、ナノサイズのポリマーが分散した液晶領域を備える、液晶材料の層と、を備える、エネルギー印加された眼科用レンズデバイス。
(22) エネルギー印加された眼科用レンズデバイスであって、
光学ゾーン内の少なくとも一部分を備え、インサート前方湾曲部品及びインサート後方湾曲部品を備える可変視覚インサートであり、前記前方湾曲部品の後方面と前記後方湾曲部品の前方面が少なくとも前記光学ゾーン内の前記一部分で異なる表面トポロジーを有し、前記可変視覚インサートが非光学ゾーンを更に備える、可変視覚インサートと、
少なくとも前記非光学ゾーンを備える領域内で、前記可変視覚インサートの内部に埋め込まれたエネルギー源と、
前記可変視覚インサートと動作可能に関連する液晶材料の層であり、前記液晶材料が、ポリマーが分散した液晶領域を備える、液晶材料の層と、を備える、エネルギー印加された眼科用レンズデバイス。
(23) エネルギー印加された眼科用レンズデバイスであって、
光学ゾーン内の少なくとも一部分を備え、インサート前方湾曲部品及びインサート後方湾曲部品を備える可変視覚インサートであり、前記前方湾曲部品の後方面と前記後方湾曲部品の前方面が少なくとも前記光学ゾーン内の前記一部分で異なる表面トポロジーを有し、前記可変視覚インサートが非光学ゾーンを更に備える、可変視覚インサートと、
少なくとも前記非光学ゾーンを備える領域内で、前記可変視覚インサートの内部に埋め込まれたエネルギー源と、
前記可変視覚インサートと動作可能に関連する液晶材料の層であり、前記液晶材料が、さまざまなアンカリング強度を有する層を備える、液晶材料の層と、を備える、エネルギー印加された眼科用レンズデバイス。
(24) エネルギー印加された眼科用レンズデバイスであって、
光学ゾーン内の少なくとも一部分を備え、インサート前方湾曲部品及びインサート後方湾曲部品を備える可変視覚インサートであり、前記前方湾曲部品の後方面と前記後方湾曲部品の前方面が少なくとも前記光学ゾーン内の前記一部分で異なる表面トポロジーを有し、前記可変視覚インサートが非光学ゾーンを更に備える、可変視覚インサートと、
少なくとも前記非光学ゾーンを備える領域内で、前記可変視覚インサートの内部に埋め込まれたエネルギー源と、
前記可変視覚インサートと動作可能に関連する液晶材料の層を備える前記可変視覚インサートであり、前記液晶材料が、組織化された整列層により配向され、画定されたパターンの偏光が、前記整列層の前記組織を制御する、前記可変視覚インサートと、を備える、エネルギー印加された眼科用レンズデバイス。
(25) エネルギー印加された眼科用レンズデバイスであって、
光学ゾーン内の少なくとも一部分を備え、インサート前方湾曲部品及びインサート後方湾曲部品を備える可変視覚インサートであり、前記前方湾曲部品の後方面と前記後方湾曲部品の前方面が少なくとも前記光学ゾーン内の前記一部分で異なる表面トポロジーを有し、前記可変視覚インサートが非光学ゾーンを更に備える、可変視覚インサートと、
少なくとも前記非光学ゾーンを備える領域内で、前記可変視覚インサートの内部に埋め込まれたエネルギー源と、
前記可変視覚インサートと動作可能に関連する液晶材料の層であり、前記液晶材料が、組織化された整列層により配向され、入射光と相互作用する勾配屈折率配向(gradient indexed orienations)に前記液晶材料を整列させ、放物線状の位相遅れ対半径の関係(parabolic phase delay to radius relationship)をもたらす、液晶材料の層と、を備える、エネルギー印加された眼科用レンズデバイス。
【0184】
(26) エネルギー印加された眼科用レンズデバイスであって、
光学ゾーン内の少なくとも一部分を備え、インサート前方湾曲部品及びインサート後方湾曲部品を備える可変視覚インサートであり、前記前方湾曲部品の後方面と前記後方湾曲部品の前方面が少なくとも前記光学ゾーン内の前記一部分で異なる表面トポロジーを有し、前記可変視覚インサートが非光学ゾーンを更に備える、可変視覚インサートと、
少なくとも前記非光学ゾーンを備える領域内で、前記可変視覚インサートの内部に埋め込まれたエネルギー源と、
前記可変視覚インサートと動作可能に関連する液晶材料の層であり、前記液晶材料がサイクロイド波長板パターン化液晶層を備える、液晶材料の層と、を備える、エネルギー印加された眼科用レンズデバイス。
(27) エネルギー印加された眼科用レンズデバイスであって、
光学ゾーン内の少なくとも一部分を備え、インサート前方湾曲部品及びインサート後方湾曲部品を備える可変視覚インサートであり、前記前方湾曲部品の後方面と前記後方湾曲部品の前方面が少なくとも前記光学ゾーン内の前記一部分で異なる表面トポロジーを有し、前記可変視覚インサートが非光学ゾーンを更に備える、可変視覚インサートと、
少なくとも前記非光学ゾーンを備える領域内で、前記可変視覚インサートの内部に埋め込まれたエネルギー源と、
前記可変視覚インサートと動作可能に関連する液晶材料の層であり、前記液晶材料が、ポリマーが分散した液晶層を有する成形誘電体層を備える、液晶材料の層と、を備える、エネルギー印加された眼科用レンズデバイス。
(28) エネルギー印加された眼科用レンズデバイスであって、
光学ゾーン内の少なくとも一部分を備え、インサート前方湾曲部品及びインサート後方湾曲部品を備える可変視覚インサートであり、前記前方湾曲部品の後方面と前記後方湾曲部品の前方面が少なくとも前記光学ゾーン内の前記一部分で異なる表面トポロジーを有し、前記可変視覚インサートが非光学ゾーンを更に備える、可変視覚インサートと、
少なくとも前記非光学ゾーンを備える領域内で、前記可変視覚インサートの内部に埋め込まれたエネルギー源と、
前記可変視覚インサートと動作可能に関連する液晶材料の層であり、前記層が、ポリマーが分散した液晶層を備え、前記ポリマーが分散した液晶層が、前記ポリマー層内の液晶含有空隙のさまざまな密度を有する、液晶材料の層と、を備える、エネルギー印加された眼科用レンズデバイス。
(29) エネルギー印加された眼科用レンズデバイスであって、
光学ゾーン内の少なくとも一部分を備え、インサート前方湾曲部品及びインサート後方湾曲部品を備える可変視覚インサートであり、前記前方湾曲部品の後方面と前記後方湾曲部品の前方面が少なくとも前記光学ゾーン内の前記一部分で異なる表面トポロジーを有し、前記可変視覚インサートが非光学ゾーンを更に備える、可変視覚インサートと、
少なくとも前記非光学ゾーンを備える領域内で、前記可変視覚インサートの内部に埋め込まれたエネルギー源と、
前記可変視覚インサートと動作可能に関連する液晶材料の層であり、前記層が、ポリマーが分散した液晶層を備え、前記ポリマーが分散した液晶層が、前記ポリマー層内の液晶含有空隙のさまざまな密度を有する、液晶材料の層と、を備える、エネルギー印加された眼科用レンズデバイス。
(30) エネルギー印加された眼科用レンズデバイスであって、
光学ゾーン内の少なくとも一部分を備え、インサート前方湾曲部品及びインサート後方湾曲部品を備える可変視覚インサートであり、前記前方湾曲部品の後方面と前記後方湾曲部品の前方面が少なくとも前記光学ゾーン内の前記一部分で異なる表面トポロジーを有し、前記可変視覚インサートが非光学ゾーンを更に備える、可変視覚インサートと、
少なくとも前記非光学ゾーンを備える領域内で、前記可変視覚インサートの内部に埋め込まれたエネルギー源と、
前記可変視覚インサートと動作可能に関連する整列された液晶材料の単一層であり、前記整列された液晶材料の単一層が、入射光の第1の偏光配向と強く相互作用し、入射光の第2の偏光配向とは強く相互作用せず、前記入射光の第1の偏光配向が、前記入射光の第2の偏光配向に直交し、前記入射光の第1の偏光配向との前記単一層の前記示差的相互作用が、前記単一層と前記入射光の第2の偏光配向との相互作用により決定される第2の焦点特性とは異なる第1の焦点特性を形成する、液晶材料の単一層と、を備える、エネルギー印加された眼科用レンズデバイス。
【0185】
(31) 眼科用デバイスの形成方法であって、
非平面形状をとる、眼科用インサート部品を形成することと、
前記眼科用インサート部品の表面領域を、整列材料(alignment material)でコーティングすることと、
前記整列材料の分子を、電磁放射線でそれらを照射することにより、配向させることと、を含む、方法。
(32) 前記整列材料が、アゾベンゼン化合物の1つ又は2つ以上を含む、実施態様31に記載の方法。
(33) 前記配向させることが、前記照射光線の偏光を制御することにより実施される、実施態様31に記載の方法。
(34) 前記アゾベンゼン化合物の1つ又は2つ以上が、シス又はトランス配置のいずれかに配向される、実施態様32に記載の方法。