(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記通電板に対して前記第1変形板とは反対側に配置されているとともに、前記通電板の中央部に向かって突出している突起が設けられている第2変形板をさらに備えており、
前記第2変形板は、前記電極組立体と前記電極端子とが導通している状態では前記突起が第1位置に位置して前記通電板と前記第1変形板とが当接している第1状態であり、前記電極組立体と前記電極端子とが非導通の状態では前記突起が前記第1位置から前記通電板側の第2位置に移動して前記通電板と前記第1変形板とを離間させる第2状態となる、請求項2〜5のいずれか一項に記載の電流遮断装置。
前記第1変形板と前記第2変形板とが積層する方向における位置関係は、前記ボルトの頭部の位置は、前記第1状態において、前記第2変形板の前記通電板から最も離れた位置よりも前記通電板から離れている、請求項6に記載の電流遮断装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に説明する実施例の主要な特徴を列記しておく。なお、以下に記載する技術要素は、それぞれ独立した技術要素であって、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。
【0010】
(特徴1) 本明細書に開示する電流遮断装置では、ボルトの頭部は、通電板のホルダとは反対側の面に当接しており、ナットは、ホルダの通電板とは反対側の面に当接していてもよい。
【0011】
(特徴2) 本明細書に開示する電流遮断装置では、ホルダの通電板とは反対側の面の第2貫通孔の周囲には、ナットの形状に倣った形状の凹部が形成されており、ナットが、凹部に収容されていてもよい。このような構成によると、ナットが凹部によって保持されるため、ボルトをナットに螺合させることが容易となる。
【0012】
(特徴3) 本明細書に開示する電流遮断装置では、通電板には、ホルダ側の一方の面からホルダとは反対側の他方の面まで貫通する第1貫通孔が形成されており、ホルダの通電板側の面には、第1貫通孔に対応する位置に挿入穴が形成されていてもよい。挿入孔の内周面にはめねじ溝が形成されており、ボルトの外周面には、めねじ溝に対応したおねじ溝が形成されていてもよい。そして、ボルトが通電板の第1貫通孔内に、めねじ溝に螺合された状態で配置され、かつ、通電板のホルダとは反対側にボルトの頭部が配置されることで、通電板とホルダとが固定されていてもよい。
【0013】
(特徴4) 本明細書に開示する電流遮断装置は、ボルトの頭部の少なくとも一部は、通電板の外周端よりも外周側へ突出していてもよい。このような構成によると、ボルトの頭部(詳細には、通電板の外周端よりも外周側へ突出した部分)によって、通電板が他の部材に接触することによる変形や損傷を抑制することができる。
【0014】
(特徴5) 本明細書に開示する電流遮断装置は、通電板に対して第1変形板とは反対側に配置されているとともに、通電板の中央部に向かって突出している突起が設けられている第2変形板をさらに備えていてもよい。第2変形板は、電極組立体と電極端子とが導通している状態では突起が第1位置に位置して通電板と第1変形板とが当接している第1状態と、電極組立体と端子とが非導通の状態では突起が第1位置から通電板側の第2位置に移動して通電板と第1変形板とを離間させる第2状態とに切り替えられてもよい。
【0015】
(特徴6) 第1変形板と第2変形板とが積層する方向における位置関係は、ボルトの頭部の位置は、第1状態において、第2変形板の通電板から最も離れた位置よりも通電板から離れていてもよい。このような構成によると、積層方向において、ボルトの頭部が第2変形板よりも突出するため、第2変形板が他の部材に接触することによる変形や損傷を抑制することができる。
【実施例1】
【0016】
以下、実施例1の蓄電装置100について説明する。
図1に示すように、蓄電装置100は、ケース1と、ケース1に収容された電極組立体3と、ケース1に固定された電極端子としての端子5、7とを備えている。電極組立体3と端子5、7とは電気的に接続されている。また、蓄電装置100は、電極組立体3と端子7との間に配置された電流遮断装置10を備えている。ケース1の内部には、電解液が注入されており、電極組立体3は、電解液に浸漬している。
【0017】
ケース1は、金属製であり、略直方体形状の箱型部材である。ケース1は、本体111と、本体111に固定された蓋部112とを備えている。蓋部112は、本体111の上部を覆っている。ケース1の蓋部112には、開口部81、82が形成されている。端子5は、開口部81を介してケース1の内外に通じており、端子7は、開口部82を介してケース1の内外に通じている。
【0018】
電極組立体3は、正極シートと、負極シートと、正極シートと負極シートとの間に配置されたセパレータとを備えている。電極組立体3は、複数の正極シート、複数の負極シート及び複数のセパレータが積層されて構成されている。正極シート及び負極シートは、集電部材と、集電部材上に形成されている活物質層とを備えている。集電部材としては、正極シートに用いられるものは例えばアルミ箔であり、負極シートに用いられるものは例えば銅箔である。また、電極組立体3は、正極集電タブ41及び負極集電タブ42を備えている。正極集電タブ41は、正極シートの上端部に形成されている。負極集電タブ42は、負極シートの上端部に形成されている。正極集電タブ41及び負極集電タブ42は、電極組立体3の上方に突出している。正極集電タブ41は正極リード43に固定されている。負極集電タブ42は負極リード44に固定されている。
【0019】
正極リード43は、正極集電タブ41と端子5とに接続されている。正極リード43を介して、正極集電タブ41と端子5とが電気的に接続されている。正極リード43とケース1との間には、絶縁部材72が配置されている。絶縁部材72は、正極リード43とケース1の蓋部112とを絶縁している。
【0020】
負極リード44は、負極集電タブ42と接続端子46とに接続されている。接続端子46は、電流遮断装置10を介して端子7に電気的に接続されている。よって、負極リード44、接続端子46及び電流遮断装置10を介して、負極集電タブ42と端子7とが電気的に接続されている。これにより、電極組立体3と端子7とを接続する通電経路が形成されている。電流遮断装置10は、この通電経路を遮断可能である。電流遮断装置10の構成については後述する。負極リード44とケース1との間には、絶縁部材73が配置されている。絶縁部材73は、負極リード44とケース1とを絶縁している。
【0021】
蓋部112の上面には、樹脂製のガスケット62、63が配置されている。ガスケット62の上面には、外部端子60が配置されている。外部端子60には、貫通孔60aが形成されている。貫通孔60aは、外部端子60の上面側に比べ、下面側のサイズが大きくなっている。ガスケット62は、蓋部112と外部端子60とを絶縁している。ボルト64は、貫通孔60aを通過している。具体的には、ボルト64の頭部は、貫通孔60a内に収容されている。また、ボルト64の軸部は、貫通孔60aを通って外部端子60の上方に突出している。端子5、外部端子60及びボルト64は、互いに電気的に接続されており、正極端子を構成している。ガスケット63、外部端子61及びボルト65の構成は、上述したガスケット62、外部端子60及びボルト64の構成と同様である。端子7、外部端子61及びボルト65は、互いに電気的に接続されており、負極端子を構成している。
【0022】
ここで、
図2を参照して端子7について説明する。
図2に示すように、端子7は、ケース1にカシメ固定されている。端子7は、円筒部94、基底部95及び固定部96を備えている。円筒部94は開口部82に挿入されている。円筒部94には貫通孔97が形成されている。基底部95は環状に形成されている。基底部95は円筒部94の下端部に固定されている。基底部95はケース1の内部に配置されている。基底部95には、凹所98が形成されている。凹所98は貫通孔97と連通しており、凹所98内は大気圧に保たれる。固定部96は環状に形成されており、円筒部94の上端部に配置されている。固定部96はケース1の外部に配置されている。端子7は、固定部96によりケース1の蓋部112に固定されている。
【0023】
次に、
図2を参照して、端子7とケース1の蓋部112との間に配置されている部材について説明する。端子7と蓋部112との間には、環状の絶縁性のシール部材86が配置されている。シール部材86は、円筒部94の周囲を一巡している。シール部材86には、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)等のフッ素系樹脂が用いられる。シール部材86は、
図2に太線で示すシール部分S1において、蓋部112と、基底部95及び円筒部94に当接している。これにより、シール部材86は、蓋部112と基底部95との間、及び蓋部112と円筒部94との間をシールしている。シール部材86の蓋部112の下面と基底部95の上面との間に位置している端部には、上下方向の厚みが薄い肉薄部86aが形成されている。肉薄部86aは、その上面が蓋部112と当接しており、その下面が後述するホルダ80と当接している。シール部材86は絶縁材料によって形成されているため、端子7と蓋部112との絶縁性が維持される。なお、シール部材86の材料は上記に限られず、シール性、絶縁性及び耐電解液性を有する材料であればよい。
【0024】
次に、電流遮断装置10について説明する。
図2に示すように、電流遮断装置10は、通電板20と、第1変形板30と、ホルダ80と、締結部材84とを備えている。第1変形板30は、円形の導電性のダイアフラムであり、下方に凸となっている。第1変形板30は、中央部32及び外周部31を有している。第1変形板30の中央部32は通電板20と接続されている。第1変形板30の外周部31は、基底部95の下面の外周部と接続されている。第1変形板30が基底部95の下面に接続されると、第1変形板30の外周面がホルダ80の内壁面に当接する。これによって、第1変形板30の基底部95(すなわち、端子7)に対する接続位置を安定化することができる。基底部95の凹所98の下端は、第1変形板30により覆われている。凹所98内は大気圧に保たれているため、第1変形板30の上面には大気圧が作用する。通電板20は金属製の部材であり、導電性を有している。通電板20は、平面視において円形状に形成されており、第1変形板30の下方に配置されている。通電板20には接続端子46が接続されている。通電板20は、中央部22及び外周部21を有している。通電板20の下面には溝部20aが形成されている。溝部20aは中央部22の周囲に形成されており、溝部20aの内側で通電板20と第1変形板30の中央部32とが接続されている。溝部20aが形成された位置における通電板20の機械的強度は、溝部20a以外の位置における通電板20の機械的強度よりも低い。
【0025】
ホルダ80は、環状に形成されており、その内部に端子7の基底部95と、第1変形板30と、シール部材75を収容し、これらを保持する。ホルダ80の下端には通電板20が固定され、ホルダ80によって通電板20が支持されている。ホルダ80は、弾性を有する絶縁材料により形成されている。ホルダ80には、例えば、ポリフェニルスルファイド(PPS)が用いられる。なお、ホルダ80の材料は上記のPPSに限られず、絶縁性及び耐電解液性を有し、シール部材86よりも高い圧縮強度を有する材料(例えば、ポリプロピレン(PP)等)であればよい。
【0026】
ホルダ80は、上端部79と中央部78とを有している。上端部79は、ケース1の蓋部112の下面と、端子7の基底部95の上面との間に配置されている。上端部79の端部には、上下方向の厚みが薄い肉薄部79aが形成されている。肉薄部79aと上述したシール部材86の肉薄部86aとは、平面視において径方向に所定の長さだけ重なっている。上端部79の肉薄部79aより外周側には、上下方向の厚みが厚い肉厚部79bが形成されている。肉厚部79bは、その上面が蓋部112の下面と当接しており、その下面が基底部95の上面と当接している。
【0027】
中央部78は、上端部79の外周縁から下方に伸びている。中央部78は、その内部に基底部95と第1変形板30とを収容する。中央部78の下面(通電板20側の面)には、凹部77が環状に形成されている。凹部77の縦断面の形状は矩形状に形成されている。凹部77の下端は、通電板20によって閉じられている。すなわち、ホルダ80は、凹部77の内側と外側の両側において通電板20と接触している。ただし、ホルダ80と通電板20とが接触するだけで、両者が接触部においてシールされているわけではない。
【0028】
通電板20の上面と、凹部77の下面との間には、シール部材75が配設されている。シール部材75は、通電板20とホルダ80との間をシールしている。すなわち、シール部材75は、上下方向に圧縮された状態で凹部77に収容され、通電板20の上面とホルダ80の下面(凹部77の底面)との間をシールしている。シール部材75は、凹部77内に配置され、第1変形板30の周囲を一巡している。シール部材75は、例えば、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)等のエチレン−プロピレン系ゴム(EPM)を材料とするOリングである。なお、シール部材75は上記に限られず、シール性、絶縁性、耐電解液性及び弾性を有する材料が用いられてもよい。
【0029】
通電板20の外周部21には、複数の第1貫通孔21aが形成されている。第1貫通孔21aは、通電板20の上面から下面まで伸び、通電板20を貫通している。第1貫通孔21aは、平面視するとシール部材75より外周側の位置に形成されている。複数の第1貫通孔21aは、通電板20の外周部21に沿って、周方向に間隔を空けて等間隔(例えば、90°間隔で4箇所)で配置されている。第1貫通孔21aの横断面の形状は円形状になっており、その横断面の径は一定となっている。また、ホルダ80(中央部78)には、第1貫通孔21aに対応する位置に、通電板側の一方の面から通電板20とは反対側の他方の面まで貫通する第2貫通孔80aが形成されている。第2貫通孔80aの横断面の形状は第1貫通孔21aと同様であり、その横断面の径は、第1貫通孔21aと等しくされている。
【0030】
締結部材84は、絶縁性のボルト90と絶縁性のナット91とを備えている。通電板20とホルダ80とは、ボルト90とナット91により締結されている。すなわち、第1貫通孔21a及び第2貫通孔80aのそれぞれには、通電板20の下面側(第1貫通孔21a側)からボルト90が差込まれている。ボルト90は、頭部90aと軸部90bとを有している。軸部90bは、第1貫通孔21a及び第2貫通孔80aに対応した形状に形成されている。軸部90bの軸方向の長さは、第1貫通孔21aと第2貫通孔80aの軸方向の長さを合わせた長さより長く、軸部90bの径は、第1貫通孔21a及び第2貫通孔80aの径よりわずかに小さな径となっている。軸部90bの外周面には、おねじ溝が形成されている。軸部90bは、ホルダ80の上面側(第2貫通孔80a側)まで挿通しており、ホルダ80の中央部78の上面において、軸部90bに絶縁性のナット91が螺合している。ボルト90にナット91が螺合することで、通電板20がホルダ80に固定されている。ホルダ80の通電板20とは反対側の面の第2貫通孔80aの周囲には、ナット91の形状に倣った形状の凹部80bが形成されている。凹部80bの径は、ナット91の径よりわずかに大きくされており、凹部80bの深さ(第2貫通孔80aの軸方向における凹部80bの長さ)は、ナット91の高さよりもわずかに大きくされている。このため、ナット91はボルト90と螺合した状態において凹部80bに収容されている。ボルト90の頭部90aの径及びナット91の径は、いずれも第1貫通孔21a及び第2貫通孔80aの径より大きな径とされている。このため、ボルト90の頭部90aが通電板20の下面に当接し、ナット91がホルダ80の通電板20とは反対側の面に当接することによって、通電板20とホルダ80とが挟持されている。上述した説明から明らかなように、本実施例では、ボルト90の頭部90aからナット91までの距離が一定となる。具体的には、ボルト90の頭部90aからナット91までの距離は、通電板20の厚みとホルダ80の厚みとを足した長さとなる。このため、ホルダ80の下面が通電板20の上面に当接すると共に、ボルト90の頭部90aが通電板20の下面に当接し、かつ、ナット91がホルダ80の通電板20とは反対側の面に当接するように、ボルト90にナット91を締結すると、シール部材75の圧縮代(潰し代)は一定となる。これによって、通電板20とホルダ80とを固定する締結力が一定となり、締結力の管理を容易に行うことができる。
【0031】
上述した説明から明らかなように、電流遮断装置10は、接続端子46と、通電板20と、第1変形板30と、端子7とを直列につなぐ通電経路を有している。このため、電極組立体3と端子7は、電流遮断装置10の通電経路を介して電気的に接続されている。
【0032】
ここで、電流遮断装置10の遮断動作について説明する。上述した蓄電装置100においては、端子5と端子7との間が外部機器(例えば、発電機やモータ等)を介して通電可能な導通状態で用いられる。蓄電装置100の過充電等によってケース1内の圧力が上昇すると、通電板20の下面に作用する圧力が上昇する。一方、第1変形板30の上面には大気圧が作用する。このため、ケース1の内圧が上昇して所定値に達すると、第1変形板30の中央部32に接続されていた通電板20が、機械的に脆弱な溝部20aを起点に破断する。そして、第1変形板30が反転して、上方に凸の状態に変化する。これによって、通電板20と第1変形板30とを接続する通電経路が遮断され、電極組立体3と端子7とが非導通状態となる。このとき、第1変形板30は接続端子46から絶縁されると共に、通電板20は端子7から絶縁される。
【0033】
実施例1の蓄電装置100の作用効果について説明する。上記の蓄電装置100では、通電板20とホルダ80とを、絶縁性のボルト90及びナット91により固定している。したがって、従来技術のように、通電板とホルダとを熱カシメ処理によって固定する場合と比較して、締結力の管理が容易となる。すなわち、ボルト90の頭部90aを通電板20に当接させると共にナット91をホルダ80に当接させることで、シール部材75の圧縮代(潰し代)を管理することができ、通電板20とホルダ80との締結力の管理が容易となる。また、シール部材75の圧縮代(潰し代)が一定となるため、通電板20とホルダ80との間を好適にシールすることができる。また、通電板20とホルダ80とをボルト90及びナット91によって固定するため、仮に両者の締結に緩みが生じても、ボルト90を増し締めすることによって、通電板20とホルダ80とを再締結することができる。
【0034】
また、従来の蓄電装置のように、通電板20とホルダ80との組付けの際に熱を必要としないため、電流遮断装置10の特性変化(例えば、作動精度の低下)やシール部材75の劣化、損傷を防止することができる。
【実施例2】
【0035】
次に、
図3を参照して、実施例2の蓄電装置について説明する。以下では、実施例1と相違する点についてのみ説明し、実施例1と同一の構成についてはその詳細な説明を省略する。その他の実施例についても同様である。
【0036】
図3に示すように、ホルダ88の下面(通電板20側の面)には、通電板20の第1貫通孔21aに対応する位置に挿入穴88aが形成されている。挿入穴88aの軸方向の長さと通電板の板厚とを合わせた長さは、後述するボルト92の軸部92bの長さよりわずかに長くされている。挿入穴88aには、その内周面にめねじ溝が形成されている。挿入穴88aの横断面の径(めねじ溝の谷の径)は、第1貫通孔21aと等しくされている。
【0037】
ホルダ88の挿入穴88aのそれぞれには、ホルダ88とは反対側の面から第1貫通孔21aを介して絶縁性のボルト92が差込まれている。ボルト92は頭部92aと軸部92bとを有している。ボルト92の軸部92bの外周面には、挿入穴88aのめねじ溝に対応するおねじ溝が形成されている。ボルト92の頭部92aの径は、第1貫通孔21aの径より大きくされており、挿入穴88aのめねじ溝とボルト92の軸部92bのおねじ溝とを螺合させながら、ボルト92の頭部92aを通電板20の下面に当接させることで、通電板20とホルダ88とが固定されている。
【0038】
実施例2の蓄電装置では、ホルダ88に形成されためねじ溝を有する挿入穴88aと、ボルト92の軸部92bに形成されたおねじ溝とが螺合することによって通電板20とホルダ88とが固定されている。このため、通電板20とホルダ88との組付けに際して、ボルト92を固定するための部材が不要となり、その構成を簡易にすることができる。また、実施例2の蓄電装置においても、絶縁性のボルト92によって通電板20とホルダ88とを固定するため、実施例1の蓄電装置100と同様の作用効果を奏することができる。すなわち、実施例2の蓄電装置においても、ホルダ88の下面が通電板20の上面に当接すると共に、ボルト92の頭部92aが通電板20の下面に当接するまで、ボルト92をホルダ88の挿入穴88aにねじ込むことで、シール部材75の圧縮代(潰し代)が一定となる。これによって、通電板20とホルダ88とを固定する締結力が一定となり、締結力の管理を容易に行うことができる。また、シール部材75の圧縮代(潰し代)が一定となるため、通電板20とホルダ88との間を好適にシールすることができる。さらに、通電板20とホルダ88との間に緩み(隙間)が生じても、ボルト92を増し締めして緩み(隙間)を無くすことができる。
【実施例3】
【0039】
次に、
図4を参照して、実施例3の蓄電装置について説明する。本実施例の蓄電装置では、電流遮断装置の構成が実施例1のそれと異なっており、それ以外の構成は実施例1と同様である。
【0040】
図4に示すように、電流遮断装置10aは、通電板20と、第1変形板30と、金属製の第2変形板40とを備えている。
【0041】
第2変形板40は、中央部47と外周部48とを有している。第2変形板40は、通電板20の下方に配置されており、その中央部47が下方に突出している。第2変形板40の外周部48の上面と、通電板20の外周部21の下面は、溶接により固定されている。また、第2変形板40の上面中央には、上方に突出する突出部40aが設けられている。突出部40aの上方には通電板20の中央部22が位置している。第2変形板40の下面には、ケース1内の圧力が作用する。
【0042】
通電板20は、第2変形板40と第1変形板30との間に配置されており、通電板20には、通気孔20bが形成されている。第2変形板40と通電板20との間の空間120は、通気孔20bを介して第1変形板30と通電板20との間の空間122と連通している。第1変形板30は、通電板20の上方に配置されている。第1変形板30の上面には、空間124が形成されており、空間124は大気圧に保たれている。
【0043】
電流遮断装置10aは、接続端子46と、通電板20と、第1変形板30と、端子7とを直列に繋ぐ通電経路を有している。このため、電極組立体3と端子7は、電流遮断装置10aの通電経路を介して電気的に接続されている。
【0044】
ここで、電流遮断装置10aの遮断動作について説明する。上述した蓄電装置では、ケース1の内圧が上昇すると、第2変形板40の下面に作用する圧力が上昇する。一方、第2変形板40の上面には、ケース1内の空間からシールされた空間120の圧力が作用する。このため、ケース1内の圧力が所定値を超えると、第2変形板40が反転して、下方に凸の状態から、上方に凸の状態に変化する。このとき、空間120内の空気は通気孔20bを通って空間122に移動し、空間122内の圧力が上昇する。また、第2変形板40が下方に凸の状態から上方に凸の状態に変化すると、第2変形板40の突出部40aが第1位置から第2位置に移動して通電板20の中央部22に衝突し、通電板20が溝部20aで破断する。これにより、第1変形板30が反転し、第1変形板30及び通電板20の中央部22が上方に変位する。このため、通電板20と第1変形板30を接続する通電経路が遮断され、電極組立体3と端子7との間の導通が遮断される非導通状態となる。このとき、第1変形板30は接続端子46から絶縁されるとともに、通電板20は端子7から絶縁される。実施例3の蓄電装置においても、通電板20とホルダ80とがボルト90及びナット91により固定されるため、実施例1の蓄電装置100と同様の作用効果を奏することができる。なお、上記の電流遮断装置10aは、実施例2の蓄電装置に取付けられてもよい。
【0045】
(変形例1)次に、
図5を参照して、変形例1について説明する。以下では、実施例3と相違する点についてのみ説明し、実施例3と同様の構成についてはその詳細な説明を省略する。
【0046】
変形例1の蓄電装置では、第2変形板40の突出部40aが第1位置に位置する第1状態(
図5に示す状態)において、第1変形板30と第2変形板40の積層方向(ボルト90の軸部90bの軸方向)における、ボルト90の頭部90aの下端の位置は、第2変形板40の下端(第2変形板40の通電板20から最も離れた位置(中央部47の位置))よりも、通電板20から離れた位置に位置している。
【0047】
変形例1の蓄電装置では、ボルト90の頭部90aが、第2変形板40の下端よりも下方に位置している。このため、第2変形板40は、ボルト90の頭部90aによって保護され、外的要因(他の部材との接触等)による変形や損傷を抑制することができる。
【0048】
以上、本明細書が開示する技術の実施例について詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
【0049】
例えば、
図6に示すように、実施例1の蓄電装置100において、ボルト90の頭部90aの少なくとも一部は、通電板20の外周端よりも外周側へ突出していてもよい。このように構成することで、通電板20は、ボルト90の頭部90a(詳細には、通電板20の外周端よりも外周側へ突出した部分)によって保護され、外的要因(他の部材との接触等)による変形や損傷を抑制することができる。なお、他の実施例、変形例においても同様の構成を備えていてもよい。
【0050】
また、実施例1において、ボルト90とナット91の位置が入れ替わった構成であってもよい。すなわち、ボルト90の頭部90aがホルダ80の通電板20とは反対側の面に当接し、ナット91が通電板側の面に当接することによって、通電板20とホルダ80とを挟持してもよい。
【0051】
また、電流遮断装置10は、端子5側に設けられてもよいし、端子5と端子7の双方に設けられてもよい。端子5側に電流遮断装置10が設けられる場合は、端子5と蓋部112との間に、上記の実施例の構成と同様に絶縁部材を配置することができる。また、上記の実施例では、第1変形板30が反転することで通電板20との導通が遮断される。しかしながら、第1変形板30の変形の態様は反転に限られない。例えば、第1変形板30の中央部32が上方に撓むことで通電板20が溝部20aを起点に破断し、第1変形板30と通電板20との導通が遮断される構成であってもよい。第1変形板30は、第1変形板30と通電板20との導通が遮断されるのであればどのように変形してもよい。第2変形板40についても同様である。
【0052】
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。