(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1面は、前記設置面または前記底面に沿って配置され、前記液体供給部は、前記液体回収部よりも高い位置に配置され、前記第1面は、重力の方向に対して傾斜する請求項15記載の集塵システム。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、本発明の各実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
なお、本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0008】
(第1の実施形態)
図1(a)及び
図1(b)は、第1の実施形態に係る集塵装置を例示する模式図である。
図1(a)は、集塵装置を例示する模式的断面図である。
図1(b)は、集塵装置を例示する模式的平面図である。
【0009】
図1(a)及び
図1(b)に表すように、実施形態に係る集塵装置110は、液体供給部10と、液体回収部20と、第1部材30と、排出ポンプ40と、液体源50と、濾過循環部60と、温度調整部70と、配管80と、を含む。
【0010】
実施形態においては、第1部材30を縦置きした場合の例について示す。すなわち、液体供給部10は、液体回収部20の上方に位置する。上方とは、重力の方向と反対の方向である。
【0011】
液体供給部10は、液体源50から流入する液体Wを第1部材30に供給する。液体Wには、例えば、純水が用いられる。水の純度の指標としては、例えば、比抵抗(比電気抵抗)または導電率で表すことができる。純水の比抵抗は、例えば、0.1メガオーム・センチメートル(MΩ・cm)以上、15MΩ・cm以下である。純水の理論上の比抵抗は、25℃で約18.2メガオーム・センチメートル(MΩ・cm)である。これに限りなく近づけた水を超純水と呼ぶ。液体Wには、超純水を用いてもよい。
【0012】
液体源50は、液体Wと、洗浄液と、を切り替えることができる。つまり、集塵装置110の使用時には、液体Wに切り替え、集塵装置110のメンテメンス時には、洗浄液に切り替え、第1部材30などを洗浄することができる。
【0013】
第1部材30は、一端が液体供給部10に接続され、他端が液体回収部20に接続される。第1部材30は、複数の溝30bを有する第1面30aを含む。液体供給部10から供給された液体Wが、第1面30aに沿って流れる。第1面30aは、第1領域r1と、第2領域r2と、を含む。第1領域r1に、液体供給部10から液体Wが供給される。第2領域r2に、液体Wが液体回収部20に回収される。
【0014】
第1領域r1(液体供給部10)から第2領域r2(液体回収部20)に向かう方向を第1方向D1とする。第1方向D1と交差する1つの方向を第2方向D2とする。この例においては、第1方向D1は、Z方向(上下方向)に沿っている。第2方向D2は、X方向またはY方向(左右方向)に沿っている。本例においては、平板状の第1部材30を例示して説明する。第1部材30の形状は、平板状に限らない。第1部材30の形状は、例えば、角柱状、角錐状、円柱状、円錐状などでもよい。
【0015】
複数の溝30bは、第1方向D1に延び、第2方向D2に並ぶ。溝30bの幅は、例えば、1ミリメートル(mm)以上、6mm以下である。第1面30aには、液体Wが均一に流れており、液体Wによる薄い液膜が形成されている。例えば、密閉空間内において集塵装置110の周囲に浮遊するパーティクルが液体Wに接触する。液体Wに接触したパーティクルは、液体Wと共に流れ、密閉空間の外に排出される。これにより、密閉空間内のパーティクルを効率的に除去することができる。
【0016】
第1部材30は、導電性である。第1部材30の材料には、例えば、比較的錆に強い金属が用いられる。例えば、アルミニウムやステンレスなどを用いるとよい。第1部材30は、耐薬品性にも優れることが望ましい。このため、ニッケルを主成分とし、モリブデン、クロムなどを含むニッケル合金を用いてもよい。このニッケル合金としては、例えば、ハステロイC−22(登録商標)を挙げることができる、主要な元素の組成比(Wt%)は、例えば、Ni:56、Cr:22、Mo:13、Fe:3、W:3、である。仮に第1部材30の材料にアクリルなどの非導電性の樹脂を用いた場合、第1部材30が帯電してしまう可能性がある。このため、望ましくない。
【0017】
第1面30aの上の液体Wは、液体供給部10から液体回収部20の方向に流れる。液体Wの流れは、均一な層流であることが望ましい。ここで、層流とは、規則正しく整然とした流れのことをいう。これに対して、乱流とは、不規則な流れのことをいう。仮に第1面30aに液体Wの乱流が発生すると、第1面30aにおいて局所的に液体Wが流れず乾いた部分などが露出してしまう可能性がある。液体Wの流れを層流にすることで、第1面30aの全域に渡り均一に液体Wを流すことができる。
【0018】
なお、層流と乱流の区別には、例えば、無次元のレイノルズ数Reを用いることができる。層流が乱流に遷移するときの限界レイノルズ数は、円管内の流れでは、2000〜4000程度、平板表面では、500000程度であることが実験的に分かっている。
【0019】
第1面30aには、親水性を有する膜31が設けられる。例えば、第1面30aに親水性材料の膜31をコーティングする。親水性とは、例えば、対水接触角が40度以下と定義される。これにより、液体Wが薄く均一に広がり、より安定した層流状態を得ることができる。膜31の材料には、例えば、酸化チタンを用いることが望ましい。酸化チタンは、光触媒材料の一つである。酸化チタンは、紫外光を吸収したときに親水性となる。酸化チタンは、表面の汚れを浮き上がらせて、汚れを除去する作用も有する。このため、第1面30aに汚れが付き難くなり、メンテナンスが容易になる。
【0020】
濾過循環部60は、液体回収部20と液体供給部10との間に接続される。液体回収部20は、第1面30aを流れた液体Wを回収する。液体回収部20と排出ポンプ40とは配管80を介して接続されている。排出ポンプ40を駆動させて、液体回収部20で回収した液体Wを汲み上げる。汲み上げられた液体Wは、液体源50を介して濾過循環部60に送られる。濾過循環部60においては、液体Wを濾過し、濾過した液体Wを液体供給部10に戻す。濾過には、例えば、液体用のフィルタが用いられる。このフィルタとしては、10ナノメートル(nm)以下のパーティクルを除去できることが望ましい。これにより、液体Wを濾過し、循環させることができる。これにより、液体Wの消費量を抑制し、ランニングコストを削減することができる。
【0021】
温度調整部70は、第1面30aの温度を調整する。温度調整部70は、例えば、第1面30aに埋め込まれたヒーターを含む。温度調整部70は、第1面30aの温度を、例えば、−10℃以上、30℃以下の範囲に収まるように調整する。これにより、液体Wの温度調整が可能となる。このような温度調整により、集塵装置110が設置された空間内の湿度調整が可能となる。
【0022】
ここで、半導体製造などにおけるパターンの微細化に伴い、パターンの欠陥を低減することが求められている。パターン欠陥を引き起こす主たる原因の一つとして、処理室内の雰囲気中に存在するパーティクルが挙げられる。パーティクルが処理基板上に付着し、いくつかの工程を経ることでパターン欠陥となる。
【0023】
処理基板は、処理される前段階で処理室内の雰囲気に晒される。処理室内は、HEPAフィルタ(High Efficiency Particulate Air Filter)、ULPAフィルタ(Ultra Low Penetration Air Filter)などによりフィルタ処理され、さらに、加湿、温度調整などが施されている。しかしながら、HEPAフィルタ及びULPAフィルタで取りきれない極微小なナノサイズ(例えば、10nm以下)の浮遊パーティクルや、処理室内で内部発塵があった場合などには対応できない。
【0024】
特に、ナノサイズのパーティクルについては、重力の影響をほとんど受けないことが多く、処理室内を舞い続けるリスクもある。処理室内に浮遊しているナノサイズのパーティクルを効率的に低減させる技術として、電気的な集塵機や局所排気、気流の最適化など様々な工夫が行われている。しかし、集塵機においては、集塵効率が十分ではなく、機械的な多くの部品を含み、ある程度の設置スペースが必要となる。局所排気や気流制御では、処理室内にある各種構造物の影響で気流を完全に制御出来ない。このため、パーティクルを完全に排気することができず、処理室内に残ったパーティクルが浮遊し続ける。いずれの方法においても、処理室内に浮遊するナノサイズのパーティクルを除去するのは困難である。
【0025】
これに対して、本実施形態によれば、液体供給部10と液体回収部20との間に第1部材30が設けられる。第1部材30は、液体Wが流れる第1面30aと、第1面30aに設けられた複数の溝30bと、を含む。複数の溝30bの上に液体Wが流れることにより、液体Wの流れを制御することができる。この結果、液体Wの流れの乱れを少なくすることができる。これにより、液体Wが流れる付近に安定した流れの気流が生じる。安定した流れの気流が生じることにより、ナノサイズのパーティクルは処理室内で舞い上がることなく液体Wに吸着される。
【0026】
第1面30aの上に薄い液膜が形成される。この液膜には局所的に乾いた無駄な部分、つまり、パーティクルを吸着できない部分が存在しない。このため、パーティクルを効率的に除去することができる。さらに、集塵装置110は、処理室の内壁(側面、底面など)などに簡単に取り付けることができる。集塵装置110は、既存の設備にも後付けすることが可能である。集塵装置110は、構造がコンパクトであるため、設置スペースをとらない。
【0027】
図2(a)及び
図2(b)は、第1面30aに設けられた複数の溝30bによる溝パターンを例示する模式図である。
図2(a)は、溝パターンを例示する模式的平面図である。
図2(b)は、
図2(a)の溝パターンのA1-A2断面を示す図である。
【0028】
図2(a)に表すように、第1面30aには、複数の溝30bを同じ間隔及び同じ幅で設けるようにしてもよい。複数の溝30bは、第1方向D1に延び、第2方向D2に並ぶ。溝30bの幅は、例えば、1mm以上、6mm以下である。この例においては、
図2(b)に表すように、第1面30aの上に、複数の凸部32が設けられている。複数の凸部32は、第1方向D1に延び、第2方向D2に並ぶ。複数の凸部32の間に溝30bが設けられている。第1面30aの第1方向D1に沿う両端部には、複数の凸部32を挟むようにして、枠部33が設けられている。枠部33は、液体Wのはみ出みを防止する土手(堤防)として機能する。凸部32の高さd1は、例えば、2mm以上、3mm以下である。液体Wの厚さは、例えば、2mm以上、5mm以下である。このため、枠部33の高さd2は、例えば、5mm以上、10mm以下とすることが望ましい。
【0029】
図3(a)及び
図3(b)は、第1面30aに設けられた複数の溝30bによる別の溝パターンを例示する模式図である。
図3(a)は、別の溝パターンを例示する模式的平面図である。
図3(b)は、
図3(a)の溝パターンのB1-B2断面を示す図である。
【0030】
図3(a)及び
図3(b)に表すように、第1面30aの下に、複数の凹部34を設けるようにしてもよい。複数の凹部34は、例えば、同じ間隔及び同じ幅で設けることができる。複数の凹部34の間には凸部35が設けられる。複数の凹部34は、第1方向D1に延び、第2方向D2に並ぶ。複数の凹部34が複数の溝30bとなる。
図2(a)及び
図2(b)の例と同様に、第1面30aの第1方向D1に沿う両端部には、枠部33が設けられている。枠部33は、液体Wのはみ出みを防止する土手(堤防)として機能する。凹部34の高さd3は、例えば、2mm以上、3mm以下である。液体Wは、凹部34を流れる。液体Wの厚さは、例えば、2mm以上、5mm以下である。この場合、凹部34から最大で3mmはみ出す可能性がある。このため、枠部33の高さd4は、例えば、3mm以上とすることが望ましい。
【0031】
図4(a)〜
図4(c)は、第1面30aに設けられた複数の溝30bによる別の溝パターンを例示する模式的平面図である。
【0032】
図4(a)に表すように、複数の溝30bは、不規則な間隔及び不規則な幅で設けられてもよい。複数の溝30bは、第1方向D1に延び、第2方向D2に並ぶ。溝30bの幅は、例えば、50nm以上、1mm以下の範囲で不規則に設定される。この例においては、第1面30aの上に、複数の凸部32が不規則な間隔及び幅で設けられている。複数の凸部32は、第1方向D1に延び、第2方向D2に並ぶ。複数の凸部32の間に溝30bが設けられている。
【0033】
図2(a)、
図3(a)及び
図4(a)に示す例のように、液体Wの流れに沿って複数の溝30bを設けることで、液体Wを少ない乱れで流すことができる。また、複数の溝30bの間隔や幅を変えることで、液体Wの流れの速さを調整することが可能となる。
【0034】
図4(b)に表すように、複数の溝30bは、複数の第1溝部分30b1と、複数の第2溝部分30b2と、を含むようにしてもよい。複数の第1溝部分30b1は、第1方向D1に延び、第2方向D2に並ぶ。複数の第2溝部分30b2は、第2方向D2に延び、第1方向D1に並び、複数の第1溝部分30b1のそれぞれと交差する。
【0035】
図4(c)に表すように、複数の溝30bは、複数の第3溝部分30b3と、複数の第4溝部分30b4と、を含むようにしてもよい。複数の第3溝部分30b3は、第1方向D1と交差する第3方向D3に延び、第3方向D3と交差する第4方向D4に並ぶ。複数の第4溝部分30b4は、第4方向D4に延び、第3方向D3に並び、複数の第3溝部分30b3のそれぞれと交差する。
【0036】
図4(b)及び
図4(c)に示す例のように、2つの交差する方向に沿って複数の溝30bを設けることで、液体Wの流れの速さや向きを変えることが可能となる。これにより、必要以上に速く液体Wが流れることを抑制することができる。特定の領域に過剰に液体Wが流れることを抑制することができる。これにより、液体Wを少ない乱れで第1部材30の上を流すことができる。
【0037】
図5(a)〜
図5(c)は、第1の実施形態に係る液体供給部10を例示する模式図である。
図5(a)は、集塵装置110を例示する模式的断面図である。
図5(b)は、
図5(a)のX部を拡大した模式的断面図である。
図5(c)は、
図5(a)のX部を拡大した模式的平面図である。
【0038】
図5(a)〜
図5(c)に表すように、液体供給部10は、第1管部11と、中間部12と、第2管部13と、を含む。第1管部11は、流入口を含む。第2管部13は、流出口を含む。中間部12は、第1管部11と第2管部13との間に接続されている。第1管部11は、液体Wが流入する。中間部12は、第1管部11から流入した液体Wを溜める空間12aを有する。空間12aには、整流板12bが配置されている。第2管部13は、空間12aに溜めた液体Wを、第1面30aに均一に流出させる。
【0039】
図5(b)に表すように、第1管部11は、第1幅w1を有する。中間部12(空間12a)は、第2幅w2を有する。第2管部13は、第3幅w3を有する。第2幅w2は、第1幅w1よりも広い。第3幅w3は、第1幅w1よりも狭い。第1幅w1、第2幅w2及び第3幅w3は、例えば、第1管部11を液体Wが流れる流入方向に対して直交する方向(第5方向D5)に沿う。第1管部11は、1個に限らず、複数個設けられていてもよい。
【0040】
中間部12の空間12aには、平板状の整流板12bが設けられている。整流板12bの第2方向D2に沿う長さは、整流板12bの第5方向D5に沿う長さよりも長い。整流板12bには、親水性の材料を用いることが望ましい。例えば、ガラスを用いることができる。液体Wは、整流板12bを介して、空間12a内において均一に広がり、第2管部13に送られる。
【0041】
第2管部13は、第1スリット部13aと、第2スリット部13bと、を含む。第1スリット部13a及び第2スリット部13bのそれぞれの表面は、親水性であることが望ましい。第1スリット部13a及び第2スリット部13bを通過した液体Wは、薄く均一な液膜となり、第1面30aに送られる。
【0042】
本例においては、第1スリット部13aは、第1方向D1と直交する平面に投影したときに、第2方向D2に細長い矩形状となる。第1スリット部13aは、第1方向D1に沿って延び、第2スリット部13bと接続される。第2スリット部13bは、第1スリット部13aと連続して設けられている。第2スリット部13bは、第1面30aに対して傾斜している。つまり、第2管部13は、第1面30aに対して傾斜して配置されている。第2管部13から液体Wを流出させる方向は、第1面30aと交差する。このように、液体Wを第1面30aと交差する方向から流出させることで、液体Wの飛散を抑制することができる。
【0043】
第1スリット部13a及び第2スリット部13bのそれぞれのスリットの幅は、同じでなくてもよい。第1スリット部13a及び第2スリット部13bのそれぞれのスリットの幅に、分布を持たせてもよい。また、スリットの代わりに、液体Wを通過させる複数の孔を設けるようにしてもよい。
【0044】
図6(a)〜
図6(c)は、第1の実施形態に係る液体回収部20を例示する模式図である。
図6(a)は、集塵装置110を例示する模式的断面図である。
図6(b)は、
図6(a)のY部を拡大した模式的断面図である。
図6(c)は、
図6(a)のY部を拡大した模式的平面図である。
【0045】
図6(a)〜
図6(c)に表すように、液体回収部20は、空間21と、上蓋部22と、を含む。第1部材30には、空間21と接続された開口36が設けられている。空間21は、第1面30aを流れた液体Wを溜めることが可能である。空間21は、周りに設けられた側壁によって囲まれている。空間21の周りに設けられた側壁の一部は、例えば、第1部材30の下端部で構成される。第1部材30の下端部には、空間21と接続された開口36が設けられている。開口36は、空間21に溜めた液体Wを排出する。開口36は、配管80を介して排出ポンプ40と接続されている。
【0046】
上蓋部22は、空間21の上に位置する。上蓋部22は、液体回収部20の底部に対して斜め上に傾斜して設けられている。上蓋部23を設けることで、空間21に流れ込む液体Wが飛び散らないように防止することができる。
【0047】
図6(a)及び
図6(b)に表すように、集塵装置110は、センサ90と、制御部91と、をさらに含む。センサ90は、空間21に溜めた液体Wの表面の位置(液面)を検出する。センサ90としては、例えば、超音波式や光学式などの各種センサが用いられる。制御部91は、センサ90の検出結果に基づいて、液体Wの供給量を制御する。制御部91は、CPU(Central Processing Unit)及びメモリなどを含む。センサ90の検出結果は、制御部91に出力される。制御部91は、センサ90で検出した液体Wの液面(検出液面)の値と、予め定めた基準液面の値と、を比較し、検出液面の値が基準液面の値よりも小さい場合、液体供給部10を制御し、液体Wの供給量を増加させる。制御部91は、検出液面の値と、基準液面の値と、を比較し、検出液面の値が基準液面の値よりも大きい場合、液体供給部10を制御し、液体Wの供給量を減少させる。
【0048】
液体供給部10は、液体Wを流出させる第2管部13を含む。例えば、第2管部13のスリット幅を調整可能にする。このように、制御部91の指示に基づいて、第2管部13のスリット幅を調整することで、液体Wの供給量を制御してもよい。
【0049】
これによれば、液体Wの供給量を一定に制御することができる。このため、液体Wの流れの状態をより安定化させることが可能となる。
【0050】
上記においては、液体Wとして、純水または超純水を用いる場合を例に説明した。液体Wは、帯電した気泡を含んでもよい。このような気泡としては、例えば、負に帯電したマイクロバブル、ウルトラファインバブルなどを挙げることができる。マイクロバブルの場合、気泡の直径は、例えば、10マイクロメートル(μm)以上、50μm以下である。ウルトラファインバブルの場合、気泡の直径は、例えば、1μm以下である。液体Wに、これらマイクロバブル及びウルトラファインバブルの少なくともいずれかを混入させる。マイクロバブル及びウルトラファインバブルの帯電効果により、パーティクルの除去効果をさらに向上させることが可能となる。
【0051】
(第2の実施形態)
図7(a)及び
図7(b)は、第2の実施形態に係る集塵装置の一部を例示する模式図である。
図7(a)は、集塵装置を例示する模式的断面図である。
図7(b)は、集塵装置を例示する模式的平面図である。
【0052】
実施形態に係る集塵装置111においては、第1部材30が横置きで配置されている。集塵装置111は、第1の実施形態における集塵装置110と同様に、液体供給部10と、液体回収部20と、第1部材30と、を含む。その他の構成要素については図示しない。第1方向D1は、第1領域r1から第2領域r2に向かう方向である。第2方向D2は、第1方向D1と交差する方向である。この例においては、第1方向D1は、X方向である。第2方向D2は、Y方向である。集塵装置111を90度回転させて、第1方向D1をY方向とし、第2方向D2をX方向としてもよい。
【0053】
液体供給部10は、液体回収部20の側方において、液体回収部20よりも高い位置に配置される。第1部材30の第1面30aは、重力の方向に傾斜している。この傾斜により、液体Wは、液体供給部10から液体回収部20に向けて、第1面30aの上をスムーズに流れる。
【0054】
その他の構成は、第1の実施形態で説明した縦置き型の集塵装置110と同じである。すなわち、第1部材30は、液体Wが流れる第1面30aと、第1面30aに設けられた複数の溝30bと、を含む。
【0055】
複数の溝30bは、第1方向D1に延び、第2方向D2に並ぶ。溝30bの幅は、例えば、1mm以上、6mm以下である。第1面30aには、液体Wが均一に流れており、液体Wによる液膜が形成されている。例えば、密閉空間内において集塵装置110の周囲に浮遊するパーティクルが液体Wに接触する。液体Wに接触したパーティクルは、液体Wと共に流れ、密閉空間の外に排出される。これにより、密閉空間内のパーティクルを効率的に除去することができる。
【0056】
このように、横置き型の集塵装置111によれば、処理室の底面などにも簡単に取り付けることができる。そして、横置き型にした場合においても、縦置き型と同様に、液体Wの液膜に接触するパーティクルを効率的に除去することができる。
【0057】
(第3の実施形態)
図8(a)及び
図8(b)は、第3の実施形態に係る集塵装置の一部を例示する模式図である。
【0058】
図8(a)及び
図8(b)に表すように、実施形態に係る集塵装置112は、円柱状の第1部材30を含む。第1部材30は、安定して自立可能な形状であればよい。第1部材30は、例えば、円錐状、角柱状、角錐状などでもよい。
【0059】
図8(a)の例の場合、円柱状の第1部材30の上面30uに液体供給部10が設けられている。液体供給部10は、上面30uの周囲に沿って設けられ、第1部材30の第1面30aに液体Wを供給する。第1部材30の下部30lに液体回収部20が設けられている。液体回収部20は、下部30lの周囲に沿って設けられ、第1面30aを流れ落ちる液体Wを回収する。液体Wは、第1方向D1に沿って流れる。この例においては、第1方向D1は、Z方向である。
【0060】
図8(b)の例の場合、円柱状の第1部材30の第1面30aに液体供給部10が設けられる。液体供給部10は、第1面30aの上端に沿って設けられ、第1部材30の第1面30aに液体Wを供給する。第1部材30の下部30lには液体回収部20が設けられている。液体回収部20は、下部30lの周囲に沿って設けられ、第1面30aを流れ落ちる液体Wを回収する。液体Wは、第1方向D1に沿って流れる。この例においては、第1方向D1は、Z方向である。
【0061】
図8(a)及び
図8(b)のいずれの例においても、液体供給部10には、液体Wを供給するための複数の孔が設けられている。液体供給部10には、複数の孔の代わりに、スリットが設けられていてもよい。
【0062】
このように、集塵装置112の形状は、安定して自立可能な形状とされる。これにより、処理室の内壁のみでなく、処理室の床面などに自在に載置することが可能となる。
【0063】
(第4の実施形態)
図9は、第4の実施形態に係る集塵システムを例示する模式図である。
実施形態に係る集塵システム210は、集塵装置110、111、112と、処理室150と、を含む。処理室150は、集塵装置110、111、112を収容する。この例においては、処理室150として、フォトマスク製造における現像処理室を例示する。
【0064】
処理室150は、処理対象物Sbを支持する支持台120と、支持台120の周りに設けられた側面121と、支持台120を設置する設置面122と、設置面122の下側に設けられた底面123と、設置面122の上側に設けられた上面124と、を含む。側面121は、底面123から支持台120に向かう方向を軸として支持台120の周りに設けられている。この例において、処理対象物Sbは、例えば、フォトマスク基板である。
【0065】
処理室150は、さらに、現像液を処理対象物Sbの表面に供給する処理ノズル131と、現像液やリンス液の外部への飛散を防止する処理カップ132と、配線計器類133と、通気口134と、局所排気口135と、気体供給部136と、第1フィルタ137と、第2フィルタ138と、を含む。
【0066】
これらの支持台120、処理ノズル131、処理カップ132及び配線計器類133は、設置面122の上に設けられる。局所排気口135は、設置面122と底面123との間に設けられる。第1フィルタ137及び第2フィルタ138は、上面124に設けられる。第1フィルタ137には、例えば、HEPAフィルタ及びULPAフィルタの少なくともいずれかが用いられる。第2フィルタ138には、例えば、ケミカルフィルタ類が用いられる。処理室150内にはダウンフローが形成されて底面123に抜けるようになっている。
【0067】
集塵装置110〜112のそれぞれは、液体供給部10と、液体回収部20と、第1部材30と、を含む。集塵装置110は、側面121に着脱可能に設けられている。集塵装置111は、設置面122及び底面123のそれぞれに着脱可能に設けられている。集塵装置110と各面との固定方法は、着脱可能であれば、特に限定されない。例えば、ボルト、ナット、ネジなどの所定の固定部材を用いることができる。
【0068】
集塵装置110は、側面121と別体としたが、側面121と一体で構成されていてもよい。この場合、第1部材30の第1面30aが側面121の一部となる。同様に、集塵装置111は、設置面122及び底面123のそれぞれと別体としたが、設置面122及び底面123のそれぞれと一体で構成されてもよい。この場合、第1面30aが設置面122の一部となる。第1面30aが底面123の一部となる。
【0069】
第1部材30は、液体Wの流れる第1面30aを含む。第1面30aを側面121に沿って配置する集塵装置110の場合、液体供給部10は、液体回収部20の上方に位置する。
【0070】
第1面30aを設置面122または底面123に沿って配置する集塵装置111の場合、液体供給部10は、液体回収部20の側方において、液体回収部20よりも高い位置に配置される。第1面30aは、重力の方向に向けて傾斜する。なお、この例において、設置面122に沿って配置されている集塵装置111は、奥行き方向(Y方向)に傾斜面が形成されている。
【0071】
集塵装置112は、設置面122の上に載置されている。集塵装置112は、例えば、
図8(a)及び
図8(b)で説明したような円筒状の構造を有する。転倒防止の観点から、集塵装置112と設置面122とを着脱可能に固定しておくことが望ましい。
【0072】
このように、集塵システム210においては、処理室150内に集塵装置110〜112が収容される。集塵装置110〜112のそれぞれは、液体供給部10と液体回収部20との間に第1部材30が設けられる。第1部材30は、液体Wが流れる第1面30aと、第1面30aに設けられた複数の溝30b(
図1(b)等参照)と、を含む。複数の溝30bにより液体Wは均一に流れ、第1面30aに液膜が形成される。
【0073】
このため、第1面30a上の液膜には局所的に乾いた無駄な部分、つまり、パーティクルpを吸着できない部分が存在しない。このため、パーティクルpを効率的に除去することができる。
【0074】
集塵装置110、111は、平板状であるため、処理室150の側面121や設置面122、底面123などに簡単に取り付けることができる。集塵装置112は、円筒状であるため、処理室150内の設置面122などに容易に載置することができる。集塵装置110〜112は、既存の設備にも後付けすることが可能である。集塵装置110〜112は、構造がコンパクトであるため、設置スペースをとらない。
【0075】
図10(a)及び
図10(b)は、
図9の気体供給部136を例示する模式図である。
気体供給部136は、第1部材30の第1面30aに向けて気体Gを吹き付ける。すなわち、第1面30aに向けて気体Gによる気流を生成する。この気流は、層流または乱流のいずれでもよい。
【0076】
図10(a)に表すように、処理室150は、気体供給部136が取り付けられた第1側面121aと、集塵装置110が取り付けられた第2側面121bと、を含む。集塵装置110は、第1部材30の第1面30aを内側にして取り付けられている。第1側面121aと第2側面121bとは対向する。
図10(a)及び
図10(b)に示す集塵装置110は、第1部材30のみ図示し、液体供給部10及び液体回収部20は図示しない。
【0077】
気体供給部136の吹き出し口136aは、第1部材30に向いている。吹き出し口136aから第1部材30の第1面30aに向かって気体Gが吹き出す。吹き出し口136aは、上下に角度を有していてもよい。
【0078】
これにより、処理室150内のパーティクルpは、気体Gにより飛ばされ、第1面30aに接触する。
【0079】
図10(b)に表すように、処理室150は、第1側面121a〜第4側面121dを含む。第1側面121aと第2側面121bとは対向する。第3側面121cと第4側面121dとは対向する。処理室150の略中央に配置された処理カップ132の外周に沿って放射状に気体供給部136が設けられている。第1側面121a〜第4側面121dのそれぞれには、集塵装置110が設けられている。各集塵装置110は、第1部材30の第1面30aを内側にして取り付けられている。
【0080】
気体供給部136の吹き出し口136aは、第1側面121a〜第4側面121dのそれぞれの第1部材30に向いている。吹き出し口136aは、4つに限定されない。吹き出し口136aから第1部材30の第1面30aに向かって気体Gが放射状に吹き出す。吹き出し口136aは、上下に角度を有していてもよい。
【0081】
これにより、
図10(a)と同様に、処理室150内のパーティクルpは、気体Gにより飛ばされ、第1面30aに接触する。
【0082】
このように、実施形態によれば、処理室150内のパーティクルpが第1面30aに向けて飛ばされ、第1面30aとより接触し易くなる。これにより、より効率的にパーティクルpを除去することが可能となる。
【0083】
実施形態によれば、パーティクルを効率的に除去できる集塵装置及び集塵システムが提供できる。
【0084】
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、液体供給部、液体回収部及び第1部材などの各要素の具体的な構成に関しては、当業者が公知の範囲から適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができる限り、本発明の範囲に包含される。
【0085】
また、各具体例のいずれか2つ以上の要素を技術的に可能な範囲で組み合わせたものも、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に含まれる。
【0086】
その他、本発明の実施の形態として上述した集塵装置を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての集塵装置も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
【0087】
その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
【0088】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。