特許第6433963号(P6433963)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6433963
(24)【登録日】2018年11月16日
(45)【発行日】2018年12月5日
(54)【発明の名称】ミラー装置
(51)【国際特許分類】
   H05B 33/02 20060101AFI20181126BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20181126BHJP
   H05B 33/12 20060101ALI20181126BHJP
   H05B 33/22 20060101ALI20181126BHJP
   H05B 33/28 20060101ALI20181126BHJP
   H05B 33/26 20060101ALI20181126BHJP
   A47G 1/00 20060101ALI20181126BHJP
【FI】
   H05B33/02
   H05B33/14 A
   H05B33/12 B
   H05B33/22 Z
   H05B33/28
   H05B33/26 Z
   A47G1/00 D
【請求項の数】3
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-224209(P2016-224209)
(22)【出願日】2016年11月17日
(62)【分割の表示】特願2014-545504(P2014-545504)の分割
【原出願日】2012年11月8日
(65)【公開番号】特開2017-84791(P2017-84791A)
(43)【公開日】2017年5月18日
【審査請求日】2016年11月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001025
【氏名又は名称】特許業務法人レクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 綾子
(72)【発明者】
【氏名】黒田 和男
【審査官】 辻本 寛司
(56)【参考文献】
【文献】 韓国公開特許第10−2010−0082211(KR,A)
【文献】 特開2008−192314(JP,A)
【文献】 特表2011−509360(JP,A)
【文献】 特開2007−322780(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第102437172(CN,A)
【文献】 特表2010−524169(JP,A)
【文献】 特開2008−233113(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0305006(US,A1)
【文献】 特開2009−251325(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 33/02
A47G 1/00
H01L 51/50
H05B 33/12
H05B 33/22
H05B 33/26
H05B 33/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミラー装置であって、
鏡面と、
前記鏡面の垂直方向において前記鏡面に部分的に重なる発光部と、を有し、
前記発光部は異なる発光色を発光する複数の有機EL素子を有し、
前記鏡面は、前記鏡面の垂直方向から見たとき、前記複数の有機EL素子の各々の幅より小さい複数の鏡を有し、
前記複数の有機EL素子の各々は互いに区画するバンクを有し、前記鏡面の垂直方向から見たとき、前記バンクが前記複数の鏡の一つと重なっており、
前記バンクと重なる鏡の各々は、前記バンクをカバーする幅を有することを特徴とするミラー装置。
【請求項2】
前記鏡面の垂直方向から見たとき、前記複数の有機EL素子は前記複数の鏡の幾つかと重なることを特徴とする請求項1に記載のミラー装置。
【請求項3】
前記有機EL素子と重なる鏡の幅は、前記バンクと重なる鏡の幅と同じであることを特徴とする請求項2に記載のミラー装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機エレクトロルミネッセンス素子を含む発光機能を有するミラー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有機エレクトロルミネッセンス素子は、例えば、透明ガラス基板上に陽極、発光層を含む有機層及び陰極を順次積層して構成され、陽極及び陰極を介して有機層への電流注入することにより、エレクトロルミネッセンス(以下、ELと称する)を発現する発光素子である。有機EL素子は、自己発光型の面発光デバイスであり、表示装置や照明装置に利用されている。
【0003】
ミラー装置としては、鏡の周囲に枠状に有機EL素子を配置して、使用者の顔等の対象物を鏡に映し出すことが可能なEL照明内蔵鏡がある(特許文献1参照)。
【0004】
また、照明付きバックミラーを備えた自動車用サンバイザー組立体も提案されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−217868号公報
【特許文献2】特許2625177号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載のEL照明内蔵鏡では、有機EL素子などの光源が鏡の周囲の枠に配置されている故に、鏡の面積が減少して、使用者が見たい顔の一部に的確に照明を与えるものではないという欠点があった。
【0007】
さらに、特許文献2に記載のサンバイザー組立体においてもランプによる照明部が鏡面両側の前に直接設けられている故に、均一な発光が困難であるという問題がある。
【0008】
上記のミラー装置においては、単に鏡の前後に発光部を付加して配置している故に鏡装置全体の厚みが厚くなるという欠点があった。
【0009】
そこで、本発明では、光反射機能を有すると共に装置厚みが厚くなることを抑えて前面へ光を放射できるミラー装置を提供することが課題の一例として挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のミラー装置は、鏡面と、前記鏡面の垂直方向において前記鏡面に部分的に重なる発光部と、を有し、前記発光部は異なる発光色を発光する複数の有機EL素子を有することを特徴とする。
更なる本発明のミラー装置は、基板上に保持され且つ前記基板の表面から発光する少なくとも1つの有機EL素子を有し、前記少なくとも1つの有機EL素子は、第1の電極及び第2の電極の間の発光層と、前記基板の前記表面上に配置された金属鏡面部と、を有することを特徴とする。
更なる本発明の装置は、光を反射し且つ放射する装置あって、互いに離れている複数の反射素子を有し、前記複数の反射素子は、各々が透光性層、有機層及び反射電極を有する複数の有機EL素子と部分的に重なっており、前記複数の反射素子は、前記複数の有機EL素子によって発光された光の通過を許容するように構成されていることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は本発明の実施例1である有機ELパネルのミラー装置の一部を切り欠いた正面図及び部分拡大正面図である。
図2図2図1中のC−C線に沿った断面図である。
図3図3は実施例1の有機ELパネルのミラー装置の一部の拡大断面図である。
図4図4図1に示す有機ELパネルのミラー装置の動作を示す有機ELパネルの一部の概略断面図である。
図5図5は実施例1の変形例の有機ELパネルのミラー装置の一部の概略断面図である。
図6図6は実施例1の他の変形例の有機ELパネルのミラー装置の一部を切り欠いた正面図及び部分拡大正面図である。
図7図7は実施例1の他の変形例の有機ELパネルのミラー装置の一部の部分拡大正面図である。
図8図8は実施例1の他の変形例の有機ELパネルのミラー装置の一部の部分拡大正面図である。
図9図9は実施例1の他の変形例の有機ELパネルのミラー装置の一部の部分拡大正面図である。
図10図10は実施例1の他の変形例の有機ELパネルのミラー装置の一部の部分拡大正面図である。
図11図11は本発明の実施例2の有機ELパネルのミラー装置の一部の概略断面図である。
図12図12は本発明の実施例3の有機ELパネルのミラー装置の一部の概略断面図である。
図13図13は本発明の実施例4の有機ELパネルのミラー装置の一部の概略断面図である。
図14図14は本発明の実施例5の有機ELパネルのミラー装置の一部の概略断面図である。
図15図15は本発明の実施例6の有機ELパネルのミラー装置の一部の概略断面図である。
図16図16は本発明の実施例7の有機ELパネルのミラー装置の一部の概略断面図及び部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に本発明の実施例を図面を参照しつつ説明する。
【実施例1】
【0013】
図1は、本発明の実施例1の有機ELパネルOELDであるミラー装置の構成を示す。
【0014】
有機ELパネルOELDは、ガラスや樹脂などの光透過性平板の基板1上にバンクBKによって区画された複数の有機EL素子OELを含んでいる。バンクBKは例えば光学ガラスや光学樹脂などの誘電体材料から形成される。有機EL素子OELは、それぞれが基板1のxy主面のy方向に伸長するストリップ形状の発光部を有する。有機EL素子OELは透光性基板1の前面1aから、赤色発光R、緑色発光G及び青色発光Bの互いに異なる発光色の光を放射する有機EL素子R、G、Bの群である。有機EL素子R、G、Bは基板1上平行に並置されている。赤、緑、青の発光色をそれぞれ発するRGB発光色の有機EL素子OELを一組としてx方向に組毎に並べられている。
【0015】
有機ELパネルOELDは、上記のバンク及び有機EL素子、並びに、基板1の前面1a上に分散配置された複数の金属鏡面部MIRを有する。複数の金属鏡面部MIRは、図1に示すように、y方向に伸長するストリップ形状の光反射部である金属鏡面部MIRと間隙SPとが交互にx方向に配置されてストライプ状に構成される。図1で白ヌキ矢印にて示すマトリクス状に並置された金属鏡面部MIRの拡大された部分では金属鏡面部がハッチングで示されている。
【0016】
図1に示すように、本実施例において、金属鏡面部MIRの各々は上から見た場合、バンクBKをカバーする幅を有し、発光部上は同じ幅の金属鏡面部MIRが均等に配置されている。複数の金属鏡面部MIRの各々は有機EL素子OELの発光部の各々の面積より小となる面積を有する。よって、素子の駆動時には図1に示す金属鏡面部MIRの間の間隙SPとから有機EL素子OELの光が取り出せることとなる。
【0017】
このように、各金属鏡面部MIRは同一形状且つ同一面積を有し、複数の金属鏡面部MIRが均一な分布で配置されている。また、各金属鏡面部MIRの形状及び面積は、発光部の面積より小となる面積を有していれば、同一に限定されず、異なっていてもよい。ここでは金属鏡面部MIRと間隙SPとの各々が均等な間隔になるように構成されている。よって、金属鏡面部MIRの一辺幅をそれぞれ肉眼で識別できない例えば0.05mm以下で金属鏡面部MIRと有機EL素子OELの間隔を例えば0.05mm以下の短い間隔とすれば、駆動時には、間隙SPから光が漏れ、あたかも全面発光する鏡として利用することができる。また、素子の非駆動時には一枚の鏡として機能できる。さらに、有機EL素子の輝度をそれぞれ又は色の群ごとに調節することにより、光取り出し面となる基板1の前面からは、赤、緑、青の光が任意の割合で混色されて単一の発光色として認識される光が放出される。なお、図示していないが、有機EL素子OELの全ては素子駆動部へ接続されている。
【0018】
図2に示すように、有機EL素子OELの各々は、バンクBK間の基板1の背面1b上に、透光性電極2、発光層を含む有機層3、反射電極4が積層されて構成される。ストリップ形状の透光性電極2は有機EL素子OELごとに基板1上バンクBK間においてy方向に平行に伸長して並置されている。なお、図示していないが、有機EL素子OELの透光性電極2は素子駆動部へ接続されている。例えば、前面と背面で所定位置に金属鏡面部MIRと透光性電極2がそれぞれパターン形成されている基板1を用意し、フォトリソグラフィ法などで隣接の透光性電極2の側面間にy方向に沿って透光性誘電体材料からなる順テーパー構造バンクBKを設ける。それから、バンクBK間の透光性電極2上に所定の有機層3をインクジェット法などで成膜する。それから、反射電極材料をバンクBK間の有機層3とバンクBKの頂面上に蒸着法などにより成膜する。
【0019】
バンクBKがバンク側面を透光性電極1側に広くした所謂、順テーパー構造を有する故に、反射電極4は複数の有機EL素子OELに亘る同電位の共通電極となる。本実施例のミラー装置は、透光性電極2と反射電極4との間に電圧を印加することにより、有機層3において生成される光を基板1の前面1aから取り出す所謂ボトムエミッション型の有機ELパネルとして機能する。
【0020】
図3に示すように、有機EL素子OELの各々の有機層3は、典型的には、透光性電極2が陽極で、反射電極4が陰極とした場合、陽極から陰極まで、順に、正孔注入層3a、正孔輸送層3b、発光層3c、電子輸送層3d、及び電子注入層3eが積層されて構成される。なお、有機層3の積層構成において、基板以外の構成要素を逆の順に積層することも可能である。有機層3は、これら積層構成に限定されることなく、例えば発光層3cと電子輸送層3dの間に正孔阻止層(図示せず)を追加するなど、少なくとも発光層を含み、或いは兼用できる電荷輸送層を含む積層構成としてもよい。有機層3は、上記積層構造から正孔輸送層3bを省いて構成しても、正孔注入層3aを省いて構成しても、正孔注入層3aと電子輸送層3dを省いて構成してもよい。
【0021】
[透光性電極]
陽極の透光性電極2は、ITO(Indium-tin-oxide)やZnO、ZnO−Al(所謂、AZO)、In−ZnO(所謂、IZO)、SnO−Sb(所謂、ATO)、RuOなどにより構成され得る。さらに、透光性電極2は、発光層から得られる発光波長において少なくとも10%以上の透過率を持つ材料を選択することが好ましい。透光性電極2は通常は単層構造であるが、金属薄膜との積層構造とすることも可能である。金属薄膜の材料としては、例えば、スズ、マグネシウム、インジウム、カルシウム、アルミニウム、銀などの適当な金属又はそれらの合金が用いられる。具体例としては、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、アルミニウム−リチウム合金などが挙げられる。金属薄膜の膜厚20nmの銀薄膜は透過率50%を有する。金属薄膜としての膜厚10nmのAl膜は透過率50%を有する。同金属薄膜としての膜厚20nmのMgAg合金膜は透過率50%を有する。なお、金属薄膜を構成する場合、材料や製膜方法、条件にも依存するが、その膜厚の下限値は5nmあれば導電性を確保することができる。
【0022】
[正孔注入層]
正孔注入層3aは、電子受容性化合物(所謂、正孔輸送性化合物)を含有する層とすることが好ましい。
【0023】
正孔輸送性化合物としては、陽極から正孔注入層への電荷注入障壁の観点から4.5eV〜6.0eVのイオン化ポテンシャルを有する化合物が好ましい。正孔輸送性化合物の例としては、芳香族アミン誘導体、フタロシアニン銅(所謂、CuPc)に代表されるフタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体、オリゴチオフェン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ベンジルフェニル誘導体、フルオレン基で3級アミンを連結した化合物、ヒドラゾン誘導体、シラザン誘導体、シラナミン誘導体、ホスファミン誘導体、キナクリドン誘導体、ポリアニリン誘導体、ポリピロール誘導体、ポリフェニレンビニレン誘導体、ポリチエニレンビニレン誘導体、ポリキノリン誘導体、ポリキノキサリン誘導体、カーボンなどが挙げられる。ここで誘導体とは、例えば、芳香族アミン誘導体を例にするならば、芳香族アミンそのもの及び芳香族アミンを主骨格とする化合物を含むものであり、重合体であっても、単量体であってもよい。
【0024】
また、正孔輸送性化合物としては、ポリチオフェンの誘導体である3,4−エチレンジオキシチオフェンを高分子量ポリスチレンスルホン酸中で重合してなる導電性ポリマー(所謂、PEDOT/PSS)もまた好ましい。さらに、PEDOT/PSSのポリマーの末端をメタクリレートなどでキャップしたものであってもよい。
【0025】
[正孔輸送層]
正孔輸送層3bの材料としては、従来、正孔輸送層の構成材料として用いられている材料であればよく、例えば、前述の正孔注入層に使用される正孔輸送性化合物として例示したものが挙げられる。また、アリールアミン誘導体、フルオレン誘導体、スピロ誘導体、カルバゾール誘導体、ピリジン誘導体、ピラジン誘導体、ピリミジン誘導体、トリアジン誘導体、キノリン誘導体、フェナントロリン誘導体、フタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体、シロール誘導体、オリゴチオフェン誘導体、縮合多環芳香族誘導体、金属錯体などが挙げられる。また、例えば、ポリビニルカルバゾール誘導体、ポリアリールアミン誘導体、ポリビニルトリフェニルアミン誘導体、ポリフルオレン誘導体、ポリアリーレン誘導体、テトラフェニルベンジジンを含有するポリアリーレンエーテルサルホン誘導体、ポリアリーレンビニレン誘導体、ポリシロキサン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)誘導体などが挙げられる。これらは、交互共重合体、ランダム重合体、ブロック重合体又はグラフト共重合体のいずれであってもよい。また、主鎖に枝分かれがあり末端部が3つ以上ある高分子や、所謂デンドリマーであってもよい。
【0026】
[発光層]
発光層3cは赤、緑及び青発光の独立した発光層であってもそれらの混合発光層であってもよい、また、正孔輸送の性質を有する化合物(正孔輸送性化合物)、或いは、電子輸送の性質を有する化合物(電子輸送性化合物)を含有させることもできる。有機EL材料をドーパント材料として使用し、正孔輸送性化合物や電子輸送性化合物などをホスト材料として適宜使用してもよい。有機EL材料については特に限定はなく、所望の発光波長で発光し、発光効率が良好である物質を用いればよい。
【0027】
有機EL材料としては、任意の公知の材料を適用可能である。例えば、蛍光材料であってもよく、燐光材料であってもよいが、内部量子効率の観点から燐光材料を用いることが好ましい。発光層は単層構造としても、或いは所望により複数の材料からなる多層構造とすることもできる。例えば、青色発光層は蛍光材料を用い、緑色や赤色の発光層は燐光材料を用いるなど、様々な組み合わせで用いてもよい。また、発光層の間に拡散防止層を設けることもできる。
【0028】
青色発光を与える蛍光材料(青色蛍光色素)としては、例えば、ナフタレン、ペリレン、ピレン、クリセン、アントラセン、クマリン、p−ビス(2−フェニルエテニル)ベンゼン及びそれらの誘導体などが挙げられる。
【0029】
緑色発光を与える蛍光材料(緑色蛍光色素)としては、例えば、キナクリドン誘導体、クマリン誘導体、Alq3(tris (8-hydroxy-quinoline) aluminum)などのアルミニウム錯体などが挙げられる。
【0030】
黄色発光を与える蛍光材料(黄色蛍光色素)としては、例えば、ルブレン、ペリミドン誘導体などが挙げられる。
【0031】
赤色発光を与える蛍光材料(赤色蛍光色素)としては、例えば、DCM(4-(dicyanomethylene)-2-methyl-6-(p-dimethylaminostyryl)-4H-pyran)系化合物、ベンゾピラン誘導体、ローダミン誘導体、ベンゾチオキサンテン誘導体、アザベンゾチオキサンテンなどが挙げられる。
【0032】
燐光材料としては、例えば、長周期型周期表(以下、特に断り書きの無い限り「周期表」という場合には、長周期型周期表を指すものとする。)第7〜11族から選ばれる金属を含む有機金属錯体が挙げられる。周期表第7〜11族から選ばれる金属として、好ましくは、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金、金などが挙げられる。錯体の配位子としては、(ヘテロ)アリールピリジン配位子、(ヘテロ)アリールピラゾール配位子などの(ヘテロ)アリール基とピリジン、ピラゾール、フェナントロリンなどが連結した配位子が好ましく、特にフェニルピリジン配位子、フェニルピラゾール配位子が好ましい。ここで、(ヘテロ)アリールとは、アリール基又はヘテロアリール基を表す。
【0033】
燐光材料として、具体的には、トリス(2−フェニルピリジン)イリジウム(所謂、Ir(ppy)3)、トリス(2−フェニルピリジン)ルテニウム、トリス(2−フェニルピリジン)パラジウム、ビス(2−フェニルピリジン)白金、トリス(2−フェニルピリジン)オスミウム、トリス(2−フェニルピリジン)レニウム、オクタエチル白金ポルフィリン、オクタフェニル白金ポルフィリン、オクタエチルパラジウムポルフィリン、オクタフェニルパラジウムポルフィリンなどが挙げられる。
【0034】
発光層には、その構成材料として、正孔輸送性化合物を含有させてもよい。ここで、正孔輸送性化合物のうち、低分子量の正孔輸送性化合物の例としては、前述の正孔注入層3aにおける正孔輸送性化合物として例示した各種の化合物のほか、例えば、ジフェニルナフチルジアミン(所謂、α−NPD)に代表される、2個以上の3級アミンを含み2個以上の縮合芳香族環が窒素原子に置換した芳香族ジアミン類や、4,4’,4”−トリス(1−ナフチルフェニルアミノ)トリフェニルアミンなどのスターバースト構造を有する芳香族アミン化合物や、トリフェニルアミンの四量体から成る芳香族アミン化合物や、2,2’,7,7’−テトラキス−(ジフェニルアミノ)−9,9’−スピロビフルオレンなどのスピロ化合物などが挙げられる。
【0035】
発光層には、その構成材料として、電子輸送性化合物を含有させてもよい。ここで、電子輸送性化合物のうち、低分子量の電子輸送性化合物の例としては、2,5−ビス(1−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール(所謂、BND)や、2,5−ビス(6’−(2’,2”−ビピリジル))−1,1−ジメチル−3,4−ジフェニルシロール(所謂、PyPySPyPy)や、バソフェナントロリン(所謂、BPhen)や、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(所謂、BCP、バソクプロイン)、2−(4−ビフェニリル)−5−(p−ターシャルブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(所謂、tBu−PBD)や、4,4’−ビス(9H−カルバゾール−9−イル)ビフェニル(所謂、CBP)などが挙げられる。
【0036】
[電子輸送層]
電子輸送層3dは、有機EL素子の発光効率を更に向上させることを目的として設けられるもので、電界を与えられた電極間において陰極から注入された電子を効率よく発光層の方向に輸送することができる電子輸送性化合物より形成される。
【0037】
電子輸送層に用いられる電子輸送性化合物としては、通常、陰極や電子注入層3eからの電子注入効率が高く、且つ、高い電子移動度を有し注入された電子を効率よく輸送することができる化合物を用いる。このような条件を満たす化合物としては、例えば、Alq3や10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリンの金属錯体、オキサジアゾール誘導体、ジスチリルビフェニル誘導体、シロール誘導体、3−ヒドロキシフラボン金属錯体、5−ヒドロキシフラボン金属錯体、ベンズオキサゾール金属錯体、ベンゾチアゾール金属錯体、トリスベンズイミダゾリルベンゼン、キノキサリン化合物、フェナントロリン誘導体、2−t−ブチル−9,10−N,N’−ジシアノアントラキノンジイミン、n型水素化非晶質炭化シリコン、n型硫化亜鉛、n型セレン化亜鉛などが挙げられる。
【0038】
[電子注入層]
電子注入層3eは、陰極から注入された電子を効率良く電子輸送層や発光層へ注入する役割を果たす。例えば、電子注入層3eには、バソフェナントロリンなどの含窒素複素環化合物や8−ヒドロキシキノリンのアルミニウム錯体などの金属錯体に代表される有機電子輸送化合物が挙げられる。また、有機電子輸送化合物の電子注入層3eに電子供与性材料をドープすることにより、電子注入効率を高めることができる。電子供与性材料には、例としては、ナトリウムやセシウムなどのアルカリ金属、バリウムやカルシウムなどのアルカリ土類金属、それらの化合物(CsF、CsCO、LiO、LiF)や、ナトリウム、カリウム、セシウム、リチウム、ルビジウムなどのアルカリ金属などが用いられる。
【0039】
以上の有機層3の各々を成膜する手法として、スパッタリング法や真空蒸着法などの乾式塗布法や、スクリーン印刷、スプレー法、インクジェット法、スピンコート法、グラビア印刷、ロールコータ法などの湿式塗布法が知られている。例えば、正孔注入層、正孔輸送層、発光層を湿式塗布法で膜厚を均一に成膜して、電子輸送層及び電子注入層を、それぞれ乾式塗布法で膜厚を均一に順次成膜してもよい。また、すべての機能層を湿式塗布法で膜厚を均一に順次成膜してもよい。
【0040】
[反射電極]
陰極の反射電極4の材料としては、効率良く電子注入を行う為に仕事関数の低い金属が含まれることが好ましく、例えば、スズ、マグネシウム、インジウム、カルシウム、アルミニウム、銀などの適当な金属又はそれらの合金が用いられる。具体例としては、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、アルミニウム−リチウム合金などの低仕事関数合金電極が挙げられる。反射電極4はスパッタ法や真空蒸着法などにより有機層3上に、単層膜、又は多層膜として形成され得る。なお、反射電極4の反射作用を維持する厚さであれば膜厚は限定されない。
【0041】
次に、図4を用いて、上記ミラー装置の有機ELパネルの動作を説明する。透光性電極2と反射電極4とを介して有機層内の発光層3cに駆動電圧が印加される時、発光層3cにおいて生成された光は透光性電極2を通過して、さらに反射電極4で反射された後に透光性電極2を通過して、数十%程度が透光性基板1の前面から取り出される。すなわち、発光層3cから発光した光は、そのうちの各界面の臨界角未満の光L1が金属鏡面部MIRのない部分にて透光性電極2を通りガラス基板1へ進み、他の反射電極4へ向かう光L2はそこで反射され発光層3cを通り透光性電極2を通り基板1へ進み、金属鏡面部MIRのない部分にてそれらの光は基板1の前面空間へ放射される。残りの臨界角を超える光L3は全反射され、バンクBKへ向かう。なお、発光層3cの端面から発光した光や横方向へ向かう光L4もバンクBK内に入り反射を繰り返し、減衰したり、透光性電極2を通り基板1へ進み、一部は基板1の前面空間へ放射される。一方、基板1の前面側空間から進入する外光L5は一部が金属鏡面部MIRにより反射され、他の部分が金属鏡面部MIRのない部分を通れば反射電極4で反射されて外部へ放射される。
【0042】
以下、実施例1の変形例について図5図10により実施例1と異なる部分について主に説明する。実施例1と同一の参照符号で示す要素は同様であるのでそれらの説明を省略する。
【0043】
図5は、金属のバスラインMBLをバンクBK中に設けた以外、図2に示す実施例と同一のミラー装置の変形例を示す。この場合、バンクBKに埋設された透光性電極2の各々の端側上には、透光性電極2に電気的に接続された金属のバスラインMBLがy方向に沿って伸長して形成されている。これにより、透光性電極2に電源電流を効率よく供給することができる。
【0044】
図6は、複数の金属鏡面部MIRの各々を矩形として金属鏡面部MIRと間隙SPとが交互にxy主面のx方向とy方向に配置された細かい市松模様状、所謂マトリクス状に構成された以外、図1に示す実施例と同一のミラー装置の変形例を示す。この場合、ストライプ金属鏡面部に比べ均一な反射と発光が達成できる。バンクBKが透光誘電体材料例えば透明または散乱材料により形成されている故に、バンクBKからも基板1を介して光を取り出すことができる。
【0045】
図7は、バンクBKの幅のストリップ金属鏡面部SMIRでバンクBKに対向する部分を覆うように構成された以外、図1に示す実施例と同一のミラー装置の変形例を示す。この場合、ストライプ金属鏡面部に応じて反射光量の向上が達成できる。
【0046】
図8は、複数の金属鏡面部MIRの各々を分離して独立させて、所謂ドット状に配置した以外、図6に示す実施例と同一のミラー装置の変形例を示す。この場合、金属鏡面部MIRの面積に比べ間隙SPの面積を大きく設定できる故に、発光光の取り出し効率が向上する。
【0047】
図9は、複数の金属鏡面部MIRの各々を分離して独立させて配置し金属鏡面部MIRの形状を円形とした以外、図8に示す実施例と同一のミラー装置の変形例を示す。金属鏡面部MIRの形状には、矩形や多角形や円形や楕円の形状にとらわれず、様々な形状を採用できる。この場合、金属鏡面部MIRの面積に比べ間隙SPの面積を変化させて設定できる故に、外光光の反射量や発光光の取り出し効率の割合の設計の自由度が向上する。
【0048】
上記した金属鏡面部MIRをドット状に配置する例において、各ドットの一部を連結した形状の集合とすることもできる。
【0049】
図10は、複数の金属鏡面部MIRの各々をxy方向に拡張するメッシュ形状とした以外、図9に示す変形例と同一のミラー装置の変形例を示す。この場合は、金属鏡面部MIRの面積に比べ間隙SPの面積を変化させて設定できる。
【0050】
以上の構成のミラー装置によれば、手鏡やバニティミラーなど照明付鏡として利用でき、さらに、広告用ボードや、店舗内の空間を広く見せるために柱、天井などに取り付ける鏡兼照明として利用できる。
【実施例2】
【0051】
以下、実施例2について図11によって実施例1と異なる部分について主に説明する。実施例1と同一の参照符号で示す要素は同様であるのでそれらの説明を省略する。
【0052】
図11に示すように、実施例2は、基板1の前面1aに、有機EL素子OELの発光部を覆うように、これを超える面積で光取り出し構造SBPが金属鏡面部MIRを除き分散配置されている以外、実施例1と同様な構成を有する。この場合、光取り出し構造SBPにより出力光の取り出し効率を上げることができる。光取り出し構造SBPは、例えばウォーターブラスト法や微細なサンドブラスト法などで基板1の前面1aの所定部位に粗面構造として形成でき、又は、インプリントなどにより基板1の前面1aの所定部位に形成してもよい。
【0053】
外からの外光は金属鏡面部MIRにあたり反射される。発光層から出た光は有機層と透光性電極2を経てガラス透光性基板1へ向かい、透光性電極2と透光性基板1の界面で臨界角以上の光は全反射され、残りはガラス透光性基板1へ入る。透光性基板1内に入った光は、金属鏡面部MIRがない部位で光取り出し構造SBPに入り、粗面構造のランダム性により、一部は全反射され、残りは空気層へ取り出される。金属鏡面部MIRがある部位で反射された光は透光性電極2と基板1界面で反射された光と同様に、反射電極4で反射され、一部は粗面構造から空気層へ光が取り出され、残りは反射される。
【実施例3】
【0054】
以下、実施例3について図12によって実施例1と異なる部分について主に説明する。実施例1と同一の参照符号で示す要素は同様であるのでそれらの説明を省略する。
【0055】
図12に示すように、実施例3は、金属鏡面部MIR上に保護膜PFLを成膜した以外、実施例2と同様な構成を有する。この場合、保護膜PFLは金属鏡面部MIR表面を保護する。外からの光は保護膜PFLを通して金属鏡面部MIRにあたり反射される以外、本実施例の動作は実施例2と同様である。
【実施例4】
【0056】
以下、実施例4について図13によって実施例1と異なる部分について主に説明する。実施例1と同一の参照符号で示す要素は同様であるのでそれらの説明を省略する。
【0057】
図13に示すように、実施例4は、有機EL素子OELの発光部を覆うように、これを超える面積で光取り出し構造として光取り出しフィルムLEFを用いて、これを金属鏡面部MIRを含め基板1の前面1aに貼り付け、金属鏡面部MIR上のみに平坦化層FTLを設けた以外、実施例1と同様な構成を有する。この場合、光取り出しフィルムLEFにより出力光の取り出し効率を上げることができる。光取り出し構造SBPは、一方の表面に数十nm〜μmオーダーの凹凸がある光取り出しフィルムLEFであり、他方の裏面を貼りつけることによって光取り出し構造が形成される。かかる凹凸の形状は、光を散乱する形状であればよく、例えば、断面形状が半球状、台形状、三角形などである。光取り出しフィルムLEFは、アクリル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン、ポリアクリルニトリル、ポリビニルアセタール、ポリアミド、ポリイミド、ジアクリルフタレート樹脂、セルロース系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニルなどの透明樹脂からなる。
【0058】
金属鏡面部MIR上にも光取り出しフィルムLEFを貼り、光取り出しフィルムLEFと同じ屈折率の透明平坦化材料で金属鏡面部MIR上のみの凹凸形状間を充填する。これにより、ランダムな形状の光取り出しフィルムLEF部分が同じ屈折率の透明材料で埋めたれた結果、平坦な保護フィルムとして平坦化層FTLが得られる。外からの光は平坦化層FTLと光取り出しフィルムLEFを通して金属鏡面部MIRにあたり反射される以外、本実施例の動作は実施例2と同様である。
【実施例5】
【0059】
以下、実施例5について図14によって実施例1と異なる部分について主に説明する。実施例1と同一の参照符号で示す要素は同様であるのでそれらの説明を省略する。
【0060】
図14に示すように、実施例5は、粗面構造または光取り出しフィルムなどの光取り出し構造SBPを基板全面に設置した上に所定の位置に平坦化層FTLを先に作り、平坦化層FTL上のみに金属鏡面部MIRと保護膜PFLを積層した以外、すなわち、金属鏡面部MIRのみの部分を光取り出し構造SBPと平坦化層FTLと金属鏡面部MIRと保護膜PFLの積層に置換した以外、実施例2と同様な構成を有する。
【0061】
外からの外光は保護膜PFLを通して金属鏡面部MIRにあたり反射される。発光層から出た光は有機層と透光性電極2を経てガラス透光性基板1へ向かい、透光性電極2と透光性基板1の界面で臨界角以上の光は全反射され、残りはガラス透光性基板1へ入る。透光性基板1内に入った光は、金属鏡面部MIRがない部位で光取り出し構造SBPに入り、粗面構造のランダム性により、一部は全反射され、残りは空気層へ取り出される。光取り出し構造SBPと平坦化層FTLと金属鏡面部MIRと保護膜PFLの積層がある部位で反射された光は透光性電極2と基板1界面で反射された光と同様に、反射電極4で反射され、一部は粗面構造から空気層へ光が取り出され、残りは反射される。ここで、最初の光取り出し構造SBPをからの出射角と、金属鏡面部MIRで反射後の光取り出し構造SBPへの入射角が異なるので、角度がランダムに変わり、次に金属鏡面部MIRがない部分へ行く光は所定の割合で空気層へ向かうことができる。
【実施例6】
【0062】
以下、実施例6について図15によって実施例1と異なる部分について主に説明する。実施例1と同一の参照符号で示す要素は同様であるのでそれらの説明を省略する。
【0063】
図15に示すように、実施例6は、図13に示す実施例4の平坦化層FTLがない以外、実施例4と同様な構成を有する。この場合、光取り出しフィルムLEFが金属鏡面部MIRの保護膜の役割を果たす。
【0064】
外からの金属鏡面部MIRへの外光は直接反射せず光取り出しフィルムLEFを通過する故に、鏡の上が曇りガラスであるような装飾用や、自転車などの反射板に用いられる。特に表面に透過型の色文字が書かれたパネルを配置した看板などに使用すると夜ライトが当たっていない場合でも発光しているので判別可能であり、ライトが当たった場合は金属鏡面部MIR及び光取り出しフィルムLEFが反射及び乱反射するので、視認性が向上する。
【実施例7】
【0065】
以下、実施例7について図16によって実施例1と異なる部分について主に説明する。実施例1と同一の参照符号で示す要素は同様であるのでそれらの説明を省略する。
【0066】
図16に示すように、実施例7は、金属鏡面部MIR上のみに局在表面プラズモン増強構造LSPRを設けた以外、実施例2と同様な構成を有する。局在表面プラズモン構造LSPRは、金属鏡面部MIR表面に波長サイズの凹凸形状を形成したものである。発光層からの光が金属薄膜に入射すると表面プラズモンが発生する。表面プラズモンの共鳴条件と入射光の位相速度が一致したときに、表面プラズモンを外部に放射することができる(特開2006−313667号公報、参照)。
【0067】
さらに、図示しないが、上記の何れの形態のミラー装置においても、基板1の背面1bに形成された複数の有機EL素子の発光部を覆い且つこれらを封止する封止部材が設けられている。封止部材には、ガラス製の皿状の透明封止キャップが用いられ得る。透明封止キャップは発光部を覆うようにその周囲に接着剤を介して固定され発光部を密閉保護する。透明封止キャップの内部は不活性気体又は不活性液体を充填することにより封止されてもよい。また、封止部材として、ポリパラキシリレンなどの透明樹脂や、シリコン酸化膜などの無機膜と有機膜の多層からなるガスバリア性封止膜が用いられ得る。このように、封止部材により有機EL素子の発光部は大気中の水分及び酸素と接しないように構成されていることが好ましい。
【0068】
なお、上記した実施例においては、透光性基板1として、石英やガラスの板、金属板や金属箔、曲げられる樹脂基板、プラスチックフィルムやシートなどを用いることができる。特にガラス板や、ポリエステル、ポリメタクリレート、ポリカーボネート、ポリスルホンなどの合成樹脂の透明板が好ましい。合成樹脂基板を使用する場合にはガスバリア性に留意する必要がある。
【0069】
また、上記の実施例では有機層を発光積層体としているが、無機材料膜の積層によっても発光積層体を構成できる。
【0070】
また、上記実施例では複数の有機EL素子R、G、Bを並置した例で示したが、これには限定されず、各々が複数の発光層からなるタンデム構造など発光層の積層構造や混合発光層を利用した複数の白色発光有機EL素子を並置した場合でも同様の効果が得られる。
【0071】
さらにまた、上記実施例では金属鏡面部MIRが均等に配置されていることとしているが、図示しないが、有機EL素子からなる発光面積に比べそれぞれの金属鏡面部の面積が十分小さい場合は複数の金属鏡面部が一様に配置されているように目視されるならば金属鏡面部はランダムに配置されてもよい。
【符号の説明】
【0072】
1 基板
2 透光性電極
3 有機層
3a 正孔注入層
3b 正孔輸送層
3c 発光層
3d 電子輸送層
3e 電子注入層
4 反射電極
BK バンク
MBL バスライン
MIR 金属鏡面部
OEL 有機EL素子
SBP 光取り出し構造
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16