特許第6434046号(P6434046)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6434046ペットフード用食味エンハンサー、その調製方法及びその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6434046
(24)【登録日】2018年11月16日
(45)【発行日】2018年12月5日
(54)【発明の名称】ペットフード用食味エンハンサー、その調製方法及びその使用
(51)【国際特許分類】
   A23K 50/40 20160101AFI20181126BHJP
   A23K 20/174 20160101ALI20181126BHJP
   A23K 20/20 20160101ALI20181126BHJP
【FI】
   A23K50/40
   A23K20/174
   A23K20/20
【請求項の数】10
【全頁数】30
(21)【出願番号】特願2016-559516(P2016-559516)
(86)(22)【出願日】2014年1月27日
(65)【公表番号】特表2017-500891(P2017-500891A)
(43)【公表日】2017年1月12日
(86)【国際出願番号】EP2014051514
(87)【国際公開番号】WO2015090624
(87)【国際公開日】20150625
【審査請求日】2016年12月8日
(31)【優先権主張番号】13306761.1
(32)【優先日】2013年12月18日
(33)【優先権主張国】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】516181527
【氏名又は名称】スペシャリテ・ペット・フード
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】デルフィーヌ・オーブリル
(72)【発明者】
【氏名】ローランス・カレジョン
【審査官】 坂田 誠
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−333700(JP,A)
【文献】 特開2010−099001(JP,A)
【文献】 特表2008−525528(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23K 10/00 − 50/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドッグフード食味エンハンサー組成物であって、
・組成物の全質量に基づいて少なくとも0.01質量%の、アスコルビン酸、その異性体、その誘導体、その塩、並びにこれらの組合せから成る群より選択される少なくとも一つの化合物;及び、
・水、炭水化物、微生物タンパク質、野菜または植物のタンパク質、動物性タンパク質、脂肪、並びに無機又は有機化合物から選択される、前記化合物のための少なくとも1つの適切な食品担体;及び/または
・一つ以上の食味エンハンサー組成物の成分及び/または一つ以上の食味エンハンサー
を含み、
前記食味エンハンサー組成物の成分及び/または一つ以上の食味エンハンサーが、動物消化物、タンパク質、ペプチド、アミノ酸、炭水化物、脂肪又は脂質、栄養素、抗酸化剤、防腐剤、界面活性剤、構造化剤、及びメイラード反応生成物から選択される、
ドッグフード食味エンハンサー組成物。
【請求項2】
ドッグフードの食味を向上させる方法であって、
a)請求項1に規定される食味エンハンサー組成物を提供する工程;
c)前記の任意に熱処理した食味エンハンサー組成物をドッグフード調製物に添加する工程;及び
d)特に前記食味エンハンサー組成物を含まない前記ドッグフードと比較して、向上した食味を有するペットフードを得る工程;
を含む方法。
【請求項3】
前記工程a)と工程c)との間に、b)前記食味エンハンサー組成物を熱処理する工程をさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
ドッグフード食味エンハンサーの食味向上効果を強化する方法であって、
a)アスコルビン酸、その異性体、その誘導体、その塩、並びにこれらの組合せから成る群より選択される少なくとも一つの化合物を、組成物総質量に基づいて、質量にして少なくとも0.01%含む、少なくとも一つの第一食味エンハンサー組成物に、前記食味エンハンサーを混合する工程;及び
b)特に前記の少なくとも一つの第一食味エンハンサー組成物に混合されていない前記食味エンハンサーと比較して、前記食味エンハンサーの食味向上効果が強化された、第二食味エンハンサー組成物を得る工程;
を含む、ドッグフード食味エンハンサーの食味向上効果を強化する方法。
【請求項5】
単一パッケージ内の一つ以上の容器中に、
請求項1に規定されるドッグフード食味エンハンサー組成物の成分を含む、ドッグフードの食味を向上させるキット。
【請求項6】
組成物の全質量に基づいて少なくとも0.01質量%の、アスコルビン酸、その異性体、その誘導体、その塩、並びにこれらの組合せから成る群より選択される少なくとも一つの化合物の、ドッグフード食味エンハンサー組成物の要素としての使用。
【請求項7】
前記化合物がアスコルビン酸である、請求項1に記載のドッグフード食味エンハンサー組成物。
【請求項8】
前記化合物がアスコルビン酸である、請求項2または4に記載の方法。
【請求項9】
前記化合物がアスコルビン酸である、請求項5に記載のキット。
【請求項10】
前記食味エンハンサー組成物が、封入又はコーティングによってドッグフード調製物に添加される、請求項2、4、及び8のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペットフードの分野に関する。
とりわけ、本発明は、アスコルビン酸、その異性体、その誘導体、その塩、並びにこれらの組合せから成る群より選択される少なくとも一つの化合物を含む、食味エンハンサー組成物、ペットフードにおけるその使用、並びにその調製方法及びその使用を提供する。
【背景技術】
【0002】
ペット、とりわけ犬は、適切に選択された食品を与える飼い主によって十分に世話をされる。これらの食品には、通常の栄養的バランスのとれたペットの規定食のみならず、栄養補助食品及びトリートが含まれる。ペットは、人間同様、良好な食味を有すると感じられる食品に魅力を覚え、こうした食品をより定期的に且つ容易に食する。したがって、食味エンハンサーは、飼料にとって非常に重要である。動物用食品、例えばペットフードは、典型的には、その食味を向上させ、これらをペットにとって魅力的にするために食味エンハンサーを含む。多数の食味エンハンサーがこれまでに記載されている。
【0003】
しかしながら、食品の良好な食味は、食品のタイプ毎に異なるのみならず、動物の種によっても異なる。
【0004】
例えば、ドライペットフードにおいて有効な食味エンハンサーは、セミモイストもしくはウェットのペットフードにおいては、通常は有効でない。
【0005】
さらにまた、猫にとって有効な食味エンハンサーは、通常は犬に有効ではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、しっかりした味を提供し、且つ犬などのペットを含む愛玩動物のために、ドライ、中間、及びウェットな食品と様々なタイプの食品に簡便且つ有効に使用可能な、新たな食味エンハンサーが依然として必要とされている。
【0007】
本発明の課題は、ペットフード食味エンハンサー組成物を提供することである。
【0008】
本発明の別の課題は、ペットフードの食味を向上させる方法を提供することである。
【0009】
本発明のさらに別の課題は、ペットフード食味エンハンサーの食味向上効果を強化する方法を提供することである。
【0010】
本発明の別の課題は、ペットフードの食味を向上させるキットを提供することである。
これら全ての課題は、ペットとして犬に焦点を合わせている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(定義)
特記のない限り、本明細書中に記載された百分率は、かかる生成物の質量によって表される。本明細書中では、範囲は、その範囲内のありとあらゆる値を長々と列挙する必要性を避けるために簡潔に記載される。その範囲内のあらゆる適切な値を、上限、下限、または範囲の末端値として適当である限り選択することができる。例えば、0.1〜1.0の範囲は、0.1及び1.0の末端値並びに0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、及び0.9の中間値、並びに0.1〜1.0の範囲内に包含される全ての中間範囲、例えば、0.2〜0.5、0.2〜0.8、0.7〜1.0等を表す。
【0012】
全体を通して使用されるように、文脈により特定のない限り、単数形の語は複数形を包含し、逆もまた然りである。したがって、単数形の記載は一般的に対応する複数形の語を包含する。例えば、「方法」または「食品」との言及は、複数の「方法」または「食品」を含む。同様に、「含む」及び「含んでいる」なる語は包括的に解釈される。同様に、「含む」、「包含する」、「もしくは」は、いずれも包括的であると解釈される。しかしながら、これら全ての語は、例えば「から成る」などの単語を使用して記載されうる排他的な実施形態を包含するものと見なされねばならない。
【0013】
本明細書中に例示される方法及び組成物及び他の態様は、当業者が理解するように、変化してよいことから、本明細書に記載される特定の方法論、プロトコール、及び試薬に限定されない。
【0014】
特記のない限り、本明細書中で使用される全ての科学技術用語、技術分野の専門用語、及び頭字語は、本発明の分野またはその用語が使用される分野において当業者が通常理解する意味を有する。本明細書に記載のものと類似または同等の、あらゆる組成物、方法、製造品、あるいは別の手段または物質が、本発明の実施において使用可能であるが、好ましい組成物、方法、製造品、あるいは別の手段または物質が本明細書中に記載される。
【0015】
測定可能な値、例えば、量、持続時間などに言及する場合に本明細書中で使用される「約」なる語は、特定された値から±20%、より好ましくは±10%の、更により好ましくは±5%の変動が包含されることを意味する。こうした変動は、開示された方法及び製品を再現するために適切であるためである。
【0016】
「ペット」及び「愛玩動物」なる語は、同義であり、以下に限定されるものではないが、猫、犬、ウサギ、モルモット、フェレット、ハムスター、マウス、スナネズミ、鳥類、馬、牛、山羊、羊、ロバ、豚などを含むあらゆる家畜を意味する。
本発明の文脈においては、ペット、例えば、犬及び猫が好ましい。
犬がさらにいっそう好ましい。
【0017】
アスコルビン酸は、弱酸性の、C6H8O6の分子式を有する有機化合物である。
「アスコルビン酸異性体」とは、アスコルビン酸と同数の同じタイプの原子を有するが分子配列が異なる任意の化合物、例えば、以下に限定されるものではないが、L-アスコルビン酸、D-アスコルビン酸、L-イソアスコルビン酸、D-イソ-アスコルビンなどを意味する。
【0018】
「アスコルビン酸誘導体」とは、任意のアスコルビン酸代謝物及び/または任意のアスコルビン酸分解生成物(例えば、以下に限定されるものではないが、デヒドロアスコルビン酸)、任意のアスコルビン酸エステル(例えば、以下に限定されるものではないが、アスコルビルパルミテート、アスコルビルステアレート)、並びにアスコルビン酸と構造的に結合した任意の分子(例えば、リポソームカプセル化されたビタミンC)を意味する。
【0019】
「アスコルビン酸塩」とは、塩(例えば、以下に限定されるものではないが、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸カルシウム、アスコルビン酸カリウム、アスコルビン酸マグネシウム、アスコルビン酸亜鉛、アスコルビン酸モリブデン、アスコルビン酸クロム、アスコルビン酸マンガン、アスコルビルリン酸Naなど)となる、アスコルビン酸と鉱物との任意の組み合わせを意味する。
【0020】
「アスコルビン酸の食用源」とは、少なくとも約0.001%、好ましくは少なくとも約0.005%、より好ましくは少なくとも約0.01%、さらにより好ましくは少なくとも約0.05%(質量)のアスコルビン酸(またはその異性体またはその誘導体またはその塩)を含有する任意の天然食品成分を意味する。アスコルビン酸のこうした食用源の非限定的例には、植物源、例えば、カカドゥプラム、カムカム、アセロラ、シーバックソーン、マイカムロ(Mica Muro)、インディアングーズベリー、ローズヒップ、バオバブ、チリペッパー(緑)、グアバ(common、raw)、ブラックカラント、レッドペッパー、チリペッパー(赤)、パセリ、キーウィフルーツ、ブロッコリ、ローガンベリー、レッドカラント、芽キャベツ、クコ(Goji)、ライチ、柿(在来、生)、クラウドベリー、エルダーベリー、パパイヤ、苺、オレンジ、ケール、レモン、メロン、カンタループ、カリフラワー、大蒜、グレープフルーツ、ラズベリー、タンジェリン、蜜柑、パッションフルーツ、ほうれん草、キャベツ生緑(Cabbage raw green)、ライム、マンゴー、ブラックべリー、ジャガイモ、メロン、ハネデュー、トマトレッド、クランベリー、トマト、ブルーベリー、パイナップル、ポーポー、葡萄、杏、プラム、西瓜、バナナ、人参、アボカド、クラブアップル、柿(日本、生)、玉葱、桜桃、桃、林檎、アスパラガス、ツノニガウリ、ビートの根、チョークチェリー、梨、レタス、胡瓜、茄子、レーズン、ビルベリー、セイヨウカリン、アロエベラ等が含まれる。アスコルビン酸の食用源のさらなる非限定的例には、動物源、例えば、子牛の肝臓、牛の肝臓、牡蠣、鱈子、豚の肝臓、子羊の脳、鶏の肝臓、子羊の肝臓、子牛の副腎、子羊の心臓、子羊の舌、山羊乳、ラクダ乳、牛乳等が含まれる。
【0021】
「硫黄含有抗酸化剤」なる語は、硫黄を含み、いくらかの抗酸化特性、例えばフリーラジカル捕捉活性を有する化合物を意味する。こうした化合物の例は、システイン、アセチルシステイン、塩酸システイン、グルタチオン、アルカリ金属亜硫酸塩(例えば、亜硫酸ナトリウムまたは亜硫酸カリウム)、アルカリ金属亜硫酸水素塩(例えば、亜硫酸水素ナトリウムまたは亜硫酸水素カリウム)、アルカリ金属ピロ亜硫酸塩(例えば、ピロ亜硫酸ナトリウムまたはピロ亜硫酸カリウム)、亜硫酸アンモニウム、ピロ亜硫酸アンモニウム等である。
【0022】
「少なくとも1つの化合物のための適切な食品担体」(「適切な担体」、「適切な食品担体」、「食品担体」、「担体」とも呼称)なる語は、本明細書中では、活性化合物または活性化合物混合物と組み合わせて使用される、通常は不活性な物質(すなわち、不活性な分子または不活性な分子の混合物)を意味する。本発明の文脈においては、前記活性化合物または活性化合物混合物には、アスコルビン酸、以上に定義されるその誘導体、その異性体、及びその塩、並びにこれらの組合せが含まれる。典型的には、担体は、前記活性化合物または活性化合物混合物の適用を助ける。適切な食品担体は、固体または液体であってよい。適切な食品担体の例には、とりわけ、水、炭水化物(例えば、マルトデキストリン、シクロデキストリン)、微生物タンパク質(例えば、酵母)、植物性/植物性タンパク質(例えば、大豆粉、大豆タンパク質濃縮物、大豆タンパク質単離物)、動物性タンパク質、脂肪、並びに無機又は有機化合物等が含まれる。
【0023】
「良好な食味」なる語は、他の食品に比べてある食品に向けられる、動物の相対的な好みを意味する。良好な食味は、所定の食品を食べることへの動物の全体的な意欲を呼び起こす。有利には、必ずしも必要ではないが、良好な食味とは、食べられる食品の動物を満足させるための能力をも意味する。例えば、動物が、二つ以上の食品のうち一つに好みを示す場合、好まれた食品は、より「良好な食味を有する」のであり、「向上した食味」を有する。一つ以上の他の食品と比較したある食品の相対的な食味は、例えば、共存させた(side-by-side)自由選択比較において、例えば、食品の相対消費、あるいは食味を示す選択の別の適切な測定によって、決定することができる。有利には、動物が、いずれの食品にも同等のアクセスを有する標準的な試験プロトコールによって、例えば、「2ボウル試験」または「対試験」(下記参照)と呼称される試験によって決定することができる。あるいはまた、食品のボウルが1つしか動物に与えられない、「1ボウル試験」または「単項試験」であっても良い。この方法では、食味に関連するいくつかの基準、例えば、食品の摂取、食品を完全に消費した動物のパーセンテージ、食品を拒絶した(食品を全く食べていない)動物のパーセンテージ、消費の速度などが記録される。こうした選択は、動物のあらゆる感覚から生じうるが、一般的には、とりわけ、味、後味、匂い、食感及び/または質感(texture)に関連する。
【0024】
「向上した食味」を有すると本明細書に記載されるペットフード製品は、ペットがコントロール食品よりも好ましいとペットが示すものである。有利には、ペットフード製品には、2つの主要な利点がある。これは、ペットにとっての食味を高めたものであると共に、ペット所有者にとって魅力的である。
【0025】
「食味エンハンサー」(PE)、「食味剤」、「食味向上剤」、「食欲増進因子」、「食欲増進剤」、「食味エンハンサー組成物(PEC)」、及び他の類似の語は、動物向け食品の食味を向上させるあらゆる物質を意味する。 PEは、単一の物質または物質混合物であってよく、天然の、加工または未加工の、合成の、あるいは一部天然及び一部合成の、物質であって良い。典型的に、動物用食品向けのPEは、対象動物にとって好ましい味、後味、匂い、食感、質感、及び/または官能感覚を提供する、液状またはドライの食用組成物である。ペットにとって、PEは、その臭いによって魅力(「食品の最初のアピール」とも呼称)に、及び/またはその匂いのみならず、その味及び/またはその後味、及び/またはその食感、及び/またはその質感によって継続的消費に、貢献しうる。「魅力」とは、最初に食品を味わうかまたは試してみるように動物を誘導する食味の一態様であり、これは、「最初の選択」または「最初に消費された食品」なる基準により測定することができる。「継続消費」とは、最初に味わったもしくは試したのみであった食品を、継続して消費するように動物を誘導する食味の一態様である。
【0026】
「食味エンハンサー(PE)」及び「食味エンハンサー組成物(PEC)」は、原則としては同等であるが、本明細書中では、下記の2タイプの製品を区別するために、便宜的に使用される。
本明細書中では、「PEC」は、
- アスコルビン酸、その異性体、その誘導体、その塩、並びにこれらの組合せからなる群より選択される少なくとも1つの化合物、または
- 前記少なくとも1つの化合物を含む混合物、例えば、前記少なくとも1つの化合物と(i)一つ以上の食品担体及び/または(ii)一つ以上の食味エンハンサー成分及び/または(iii)一つ以上のPEとの混合物であって、前記少なくとも1つの化合物が、食味の向上のための適切な量で存在するもの(例えば、本明細書における食味向上のための適切な量とは、PECの0.01質量%以上である)、
を示し、その一方では、本明細書中における「PE」は、食味を高めるための適切な量では、アスコルビン酸、その異性体、その誘導体、その塩、並びにこれらの組合せからなる群より選択されるこうした化合物を含まない。これは、しかしながら、少なくとも1つの化合物が、食味向上効果とは別の効果を達成するために適当な量で存在しうることを意味する。例えば、食味向上効果ではなく抗酸化効果を達成するための適当な量は、本明細書中では、PEの0.01質量%未満である。
【0027】
本明細書中で使用される「食物」または「食品」なる語は、動物による摂取を企図された製品又は組成物を意味し、動物に少なくとも一つの栄養素を提供する。「食品」なる語には、任意の食品、規定食、スナック、食品サプリメント、トリート、食事の代用品、または調理済み食品(meal replacement)が含まれる。「食品」は、あらゆる形態、固形物、液体、ゲルであるこうした製品、またはこれらの混合物または組み合わせを包含する。しかるに、あらゆるタイプの飲料も、明らかに「食品」なる語に包含される。
【0028】
「ペットフード」又は「ペットフード製品」なる語は、ペットによる消費が意図された組成物を意味する。例えば、「ドッグフード」または「ドッグフード製品」は、犬による消費が意図された組成物を意味する。別の例としては、「キャットフード」または「キャットフード製品」は、猫による消費が意図された組成物を意味する。
【0029】
ペットフード製品には、低または中または高のいずれかであるその水分含有量に応じて3つの主な区分または分類がある。
- ドライまたは低水分含有製品(約14%未満の水分を有する):通常、これらは、ペットが噛んだ際に噛み砕く音を出す。これらは一般的に非常に栄養価が高く、安価に(例えば、袋または箱に)包装してよく、また貯蔵及び使用が非常に簡便である。
- 缶詰またはウェットまたは高水分含有製品(約50%の水分以上を有する):通常、これらは製造及び包装に費用がかかる(主に缶に)。
- 半生またはセミドライまたはソフトドライまたはソフトモイストまたは中間または中程度水分含有製品(約14%から約50%の水分を有する):通常、これらは適切な袋または箱に包装される。
【0030】
栄養的にバランスの取れたペットフードは、広く知られており、当該技術分野で使用されている。
「完全栄養」、「栄養バランスのとれた」、または「完全かつ栄養的にバランスのとれた食品」とは、食品の企図された受容対象もしくは消費対象のために必要とされる全ての既知の栄養素を、例えば、愛玩動物の栄養の分野における認知され信憑性のある権威の推奨に基づいて適切な量で含むものである。従って、こうした食品は、生命を維持するために、補足的な栄養源を添加することなく、飼料摂取の唯一の供給源として機能することができる。したがって、こうした食品は、以下に定義されるように栄養補助食品及びトリートを含まない。
【0031】
栄養完全食品は、以下に定義されるように、例えば、キブル、チャンク・イン・”X”製品、及びローフの形態であって良い。
【0032】
本明細書で使用される「キブル」なる語は、ペレット化または押出成形のいずれかによって形成された特定の塊(チャンク)または小片を意味する。典型的には、キブルは、ドライ及び半生のペットフードとして製造される。小片は、方法または装置によって大きさ及び形状が様々であってよい。例えば、キブルは、球形、円筒形、楕円形、または同様の形状を有してよい。これらは、例えば、約2cm未満の最大寸法を有してよい。
【0033】
本明細書において、「チャンク・イン・”X”」製品は、調製物(前記調製物は「X調製物」である)中にチャンクを含む全ての食用品を意味する。その標準的な例は、チャンク・イン・ゼリー製品、チャンク・イン・グレービー製品などである。このカテゴリの「チャンク・イン・”X”製品には、ゼリー、グレービー等のX調製物中に含まれうる、チャンク以外の食用形態がさらに包含される。例えば、チャンク以外の他の形態は、スライス製品、すりおろした製品等であってよい。
【0034】
本明細書中で使用される「ローフ」なる語は、モイスト製品として得られた食用品を意味し、テリーヌ、パテ、ムースなどを含む。
【0035】
「食品サプリメント」または「栄養補助食品」または「サプリメント」なる語は、通常の動物の規定食に加えて摂取されることを意図された製品を意味する。栄養補助食品は、任意の形態で、例えば、固体、液体、ゲル、錠剤、カプセル、粉末等であってよい。好ましくは、これらは、簡便な投与形態で提供される。いくつかの実施形態では、それらは、大量消費者用包装、例えば、大量の粉末、液体、ゲル、又は油などとして提供される。別の実施態様では、サプリメントは、別の食品、例えば、スナック、トリート、サプリメントバー、飲料などに含まれるように大量で提供される。食味エンハンサーは、栄養補助食品の食味を向上させるために、栄養的にバランスのとれた食品の食味を向上させるために使用されるのと同様に使用することができる。
【0036】
「トリート」なる語は、ペットに、好ましくは食事時間外に、ペットとその飼い主との間の絆を補足、促進、または維持するために与えられるように設計されたあらゆる食品を意味する。トリートの例は、骨、生皮、スティック、枕、ビスケットなどである。トリートは、栄養的であってもなくても、完全に消費されるまたは部分的に消費されるもの(例えば、消費される玩具)であって良い。トリートには、多くの場合、栄養的にバランスのとれた食品に相当する方式で、食味エンハンサーが含まれる。
【0037】
本明細書中における「動物消化物」なる語は、清浄且つ未分解の動物組織の化学的及び/または酵素的な加水分解から生じる物質を意味する。幾つかの実施態様においては、本明細書において使用される動物消化物は、アメリカ飼料検査官協会(AAFCO)によって公布された定義と完全に合致している。動物消化物は、好ましくは、毛、角、歯、ひづめ、及び羽を除く、冷血な海洋動物を含む動物の組織から誘導される。当業者であれば、こうした組織が好まれない一方で、優れた製造基準の下でさえも微量が不可避的に発見され得ることを理解するであろう。同様に含まれないのは、微量の汚染物質は時に存在するが、内臓内容物もしくは異物もしくは糞便である。動物消化物は、乾燥させてあってもなくても良い。動物消化物の例は:
- 家禽(または豚肉、牛肉、羊、子羊、魚など)の消化物:清浄且つ未分解の組織の化学的及び/または酵素的な加水分解から生じる家禽(豚肉、牛肉など)由来の材料、
- 豚肉(または牛肉、羊、子羊、魚など)の消化物:家畜(豚、羊、子羊など)の、肉以外の部分、例えば、内容物を除去した肺、脾臓、腎臓、脳、肝臓、血液、骨、部分的に脱脂した低温脂肪組織、及び胃及び腸などの、レンダリングされていない清浄な部分の、清浄且つ未分解の組織の化学的及び/または酵素的な加水分解から生じる、豚肉(牛肉など)由来の材料、
- 家禽副産物の消化物:家禽の、肉以外の部分、肝臓、心臓、頭、足、内臓などの、レンダリングされていない清浄な部分の、清浄且つ未分解の組織の化学的及び/または酵素的な加水分解から生じる材料(本明細書中では、「家禽」は、任意の種または種類の鳥、好ましくは、鶏、七面鳥、アヒル等を包含する。)、及び、
- 魚副産物の消化物:魚の、レンダリングされていない清浄な部分の、清浄且つ未分解の組織の化学的及び/または酵素的な加水分解から生じる材料(本明細書中では、「魚」は、任意の種または種類の魚又は甲殻類、好ましくは、マグロ、サケ、タラ、コクチマス、エビ、イワシ等を包含する。)
である。
【0038】
動物消化物はまた、「動物性生成物」または「動物副産物」とも呼称され、これら全ての語が、本明細書中では同義に使用される。
【0039】
「乳製品及び副産物」なる語には、以下に限定されるものではないが、チーズ、ミルク、乳清などから誘導される製品及び副産物が含まれる。
【0040】
「酵母」なる語は、本明細書中では、任意の酵母、好ましくは不活性なものを意味し、また、飼料のための組成物に混合可能な酵母副産物を意味する。酵母は、タンパク質が豊富なものとして当該技術分野でよく知られている。酵母には、以下に限定されるものではないが、ビール酵母、パン酵母、トルラ酵母、糖蜜酵母等が含まれる。酵母副産物に、以下に限定されるものではないが、酵母抽出物、酵母加水分解物、クリーム酵母等が含まれる。
【0041】
本明細書で使用される場合、「ペットフード成分」とは、ペットの消費に適した任意の化合物、組成物、又は材料である。ペットフードの成分の非限定的な例は、食味エンハンサー、動物消化物、タンパク質、ペプチド、アミノ酸、穀類、炭水化物、脂肪又は脂質、栄養素、抗酸化剤、防腐剤、界面活性剤、構造化剤(texturing agent)、着色剤、調味料などである。一つ以上のペットフード成分は、さらに処理され最終的なペットフードをもたらす、「ペットフード調製物」を形成する(例えば、すぐ食べられるまたはすぐ使用できるペットフード)。
【0042】
本明細書で使用される場合、「食味エンハンサー組成物の成分」または「食味エンハンサー成分」は、ペットの消費に適した任意の化合物、組成物又は材料である。食味エンハンサー組成物の成分の非限定的な例は、動物消化物、タンパク質、ペプチド、アミノ酸、炭水化物、脂肪又は脂質、栄養素、抗酸化剤、防腐剤、界面活性剤、構造化剤等である。成分は、それ自体で食味エンハンサー組成物中に含まれてよいが、あるいはこれらは、同様に「食味エンハンサー組成物の成分」なる語に包含される変換された材料を製造するために、組成物と接触させてその場で反応させることができる。組成物中で共に反応する成分の例は、以下に限定されるものではないが、脂肪、ペプチド、アミノ酸、及び炭水化物であり、例えばメイラード反応生成物などの変換された材料が得られる。
【0043】
「タンパク質」には、飼料に適合する全ての通常のタンパク質源、特に植物または野菜のタンパク質、動物性タンパク質(例えば、カゼインまたはアルブミンまたは動物消化物など)、及び微生物タンパク質(例えば、酵母)が含まれる。
【0044】
植物性タンパク質の例は、コーングルテン、大豆タンパク質、大豆粉、加水分解植物タンパク質(HVP)等である。
【0045】
穀類の例は、トウモロコシ、ミロ、アルファルファ、小麦、大麦、米、大豆などである。
【0046】
炭水化物の例には、ブドウ糖、果糖、ショ糖、多糖、繊維、デンプンなどが含まれる。
【0047】
脂肪の例には、獣脂、あらゆる起源の油、例えば、動物、植物(野菜を含む)、または海産動物油が含まれる。大量に入手可能である植物油は、典型的には、キャノーラ油、大豆油、コーン油、オリーブ油、ヒマワリ油、アマニ油、パーム油、ベニバナ油など、並びにこれらの副産物である。典型的な動物性脂肪は獣脂、ラード、家禽脂肪など、並びにこれらの副産物です。海産動物油は、典型的には、マグロ油、イワシ油、サケ油、アンチョビ油、魚油など、並びにこれらの副産物である。また、本明細書においては、動物、植物、海洋動物源から誘導される脂肪、または動物及び植物から製造される脂肪が包含される。
【0048】
栄養素の例には、以下に限定されるものではないが、ミネラル及び電解質、例えば、カルシウム、カリウム、ナトリウム、亜鉛、鉄、マンガン、銅、ヨウ素等が含まれる。
【0049】
抗酸化剤及び防腐剤は、例えば、トコフェロール、ローズマリー抽出物、リン酸などである。
【0050】
「界面活性剤」は、表面活性である分子である。これらは、典型的には、親水性部分(例えば、一つ以上の頭部)及び疎水性(もしくは親油性)部分(例えば、一つ以上の尾部)を有する。界面活性剤は、当該技術分野において周知である。例えば、ツイーン界面活性剤を挙げることができる。界面活性剤には、以下に限定されるものではないが、乳化剤及び湿潤剤が含まれる。いくつかの例において、「界面活性剤」及び「乳化剤」なる語は、互換的に使用できる。
【0051】
「熱反応」は、高温にて少なくとも一つの還元糖と少なくとも一つの窒素化合物(例えば、アミノ酸)を組み合わせることにより得られる反応である。こうした反応は、実際には、様々な同時に起こる且つ/または連続的な、例えば、メイラード反応を含む反応を含み得る。したがって、本明細書において「メイラード成分」または「メイラード前駆体」なる語は、1つ以上の還元糖及び/または1つ以上の窒素化合物を意味する。実際、メイラード成分とは、以上に定義される1つ以上の熱反応を達成するために使用される成分である。
【0052】
本明細書で使用される「コーティング」とは、例えば、噴霧、散布などによる、基礎的な食品組成物の表面への食味エンハンサーの局所付着を意味する。
【0053】
本明細書で使用される「混入」とは、最終的なペットフード製品を得るための(熱処理及び/または押出成形及び/またはレトルト処理を含む)さらなる処理工程の前に、食味エンハンサーを別のペットフード成分と混合することによる、ペットフード調製物への食味エンハンサーの添加を意味する。
【0054】
「容器」には、以下に限定されるものではないが、任意のタイプまたはデザインまたは材料の袋、箱、カートン、ボトル、パッケージ、オーバーラップ、シュリンクラップ、ホチキス止めまたは他の方法で取り付けられた構成要素、またはそれらの組み合わせを含む。
【0055】
「単一パッケージ」なる語は、キットの構成要素が、1つ以上の容器と物理的に関連しており、製造、流通、販売、又は使用のための単位とみなされることを意味する。単一のパッケージは、製造、流通、販売、または使用のための単位とみなされるように個々の構成要素が物理的に関連した容器であってよい。
【0056】
本明細書で使用される「情報または指示を伝達するための手段」とは、情報、指示、勧告、及び/または認可などを提供するのに適した任意の形態のキット構成要素である。こうした手段は、文書、デジタル記憶媒体、光学記憶媒体、音声プレゼンテーション、情報を含む視覚ディスプレイを含んで良い。伝達の手段は、ウェブサイト表示、パンフレット、製品ラベル、パッケージ挿入物、広告、視覚ディスプレイなどであって良い。
【発明を実施するための形態】
【0057】
本発明においては、原料(本明細書中では、アスコルビン酸、その異性体、その誘導体、その塩、その食用源、並びにこれらの組合せからなる群より選択される少なくとも1つの化合物)が、キャットフードに使用された場合(以下の比較例8を参照のこと)とは異なり、ドッグフードの食味向上のために非常に興味深いものであることが実証された(以下の実施例2から7を参照のこと)。
しかるに、本発明は、ペットとして犬に関する。
【0058】
第1の態様において、本発明は、アスコルビン酸、その異性体、その誘導体、その塩、並びにこれらの組合せからなる群より選択される少なくとも1つの化合物を含む、ドッグフード食味エンハンサー組成物(PEC)に関する。
【0059】
好ましくは、前記PECは、前記化合物及び/または少なくとも一つの食味エンハンサー組成物成分(例えば、脂肪及び/または1つ以上のメイラード成分)及び/または少なくとも一つの食味エンハンサー(PE:例えば、1つ以上の動物消化物)のための、少なくとも一つの適切な食品担体をさらに含む。明確性の目的のために、前記化合物及び/または前記少なくとも一つの食味エンハンサー組成物成分及び/または前記少なくとも一つのPEのための少なくとも1つの適切な食品担体は、「成分」と呼称される。
【0060】
特に、前記PEC中では、前記食味エンハンサー組成物成分及び/または前記PEが、アスコルビン酸、その異性体、その誘導体、その塩、並びにこれらの組合せからなる群より選択される前記化合物と、及び任意に前記食品担体と、組み合わせられる。
【0061】
前記PECが前記少なくとも一つの化合物のみならず少なくとも一つの成分、例えば、少なくとも一つの適切な食品担体及び/または少なくとも一つの食味エンハンサー組成物成分及び/または前記少なくとも一つのPEを含む場合には、前記少なくとも一つの成分は、前記少なくとも一つの化合物と混合するように、好ましくは液体である。然るに、本発明は、好ましくは、
・アスコルビン酸、その異性体、その誘導体、その塩、並びにこれらの組合せからなる群より選択される少なくとも1つの化合物と
・別の少なくとも一つの液体成分(例えば、少なくとも一つの適切な食品担体及び/または少なくとも一つの食味エンハンサー組成物成分及び/または前記少なくとも一つのPE)
とを混合することによって得られるミックスを含むドッグフードPECに関する。
【0062】
好ましくは、アスコルビン酸、その異性体、その誘導体、その塩、並びにこれらの組合せからなる群より選択される少なくとも1つの化合物は、最終的にドッグフード中に使用された際に懸案の期待される食味向上効果を達成するために適切な量で存在する。
【0063】
好ましくは、前記PECは、前記PECの総質量に基づいて、質量にして少なくとも0.01%、特に少なくとも0.05%、より特に少なくとも0.1%、少なくとも0.15%、少なくとも0.20%、少なくとも0.25%、少なくとも0.3%、少なくとも0.5%、少なくとも1%、少なくとも1.5%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも7.5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、少なくとも99.95%、少なくとも99.99%、さらにはとりわけ100%の、アスコルビン酸、その異性体、その誘導体、その塩、並びにこれらの組合せからなる群より選択される前記化合物を含む。
【0064】
とりわけ、前記PECは、前記PECの総質量に基づいて、0.01から100%、特に0.05から99.99%、さらにとりわけ0.10から99.95質量%の前記化合物を含む。
【0065】
本発明の別の態様は、ドッグフードの食味を向上させる方法であって、
a)アスコルビン酸、その異性体、その誘導体、その塩、その食用源、並びにこれらの組合せからなる群より選択される少なくとも1つの化合物を含む、上述のPECを提供する工程;
b)任意に、前記PECを熱処理する工程;
c)前記の任意に熱処理したPECをドッグフード調製物に添加する工程;及び
d)特に前記PECを含まない前記ドッグフードと比較して、向上した食味を有するペットフードを得る工程;
を含む方法に関する。
【0066】
好ましくは、前記工程a)は、少なくとも以下のサブ工程を含む。
a1)アスコルビン酸、その異性体、その誘導体、その塩、その食用源、並びにこれらの組合せからなる群より選択される少なくとも1つの化合物を提供する工程;
a2)少なくとも一つの成分(例えば、少なくとも一つの適切な食品担体及び/または少なくとも一つの食味エンハンサー組成物成分及び/または少なくとも一つのPE)を提供する工程;
a3)工程a1)の前記少なくとも一つの化合物と、工程a2)の少なくとも一つの成分とを組み合わせる工程。
【0067】
好ましくは、サブステップa2)の前記少なくとも一つの成分は液体である。
好ましくは、前記ドッグフードは、前記ドッグフードの総質量に基づいて、質量にして少なくとも0.001%、少なくとも0.0025%、少なくとも0.005%、少なくとも0.0075%、少なくとも0.01%、少なくとも0.025%、少なくとも0.05%、少なくとも0.075%、少なくとも0.1%、少なくとも0.25%、少なくとも0.5%、少なくとも0.75%、少なくとも1%、少なくとも1.25%、少なくとも1.5%、少なくとも1.75%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%の前記PECを含む。
【0068】
とりわけ、前記ドッグフードは、前記の食味の良好なドッグフードの総質量に基づいて、質量にして0.001から5%、特に0.0025から2%、さらにとりわけ0.005から1.5%、さらにとりわけ0.0075から1.25%の前記PECを含む。
【0069】
好ましくは、組合せ工程a3)は、一段階の混合または多段階の混合であってよい。例えば、一段階の混合では、前記少なくとも一つのPE及び/または少なくとも一つの食味エンハンサー組成物成分及び/または少なくとも一つの適切な食品担体は、同時に前記少なくとも一つの化合物と混合される。あるいは、二段階の混合では、前記少なくとも一つのPE及び/または前記少なくとも一つの食味エンハンサー組成物成分は、前記少なくとも一つの化合物及び前記少なくとも一つの適切な食品担体を含む既存の混合物と混合してよい。さらにまた、組合せ工程a3)は、前記少なくとも一つのPE及び/または少なくとも一つの食味エンハンサー組成物成分及び/または少なくとも一つの適切な食品担体、及び少なくとも一つの化合物が順次混合されるならば、三段階の混合工程であってよい。
【0070】
熱処理の任意の工程b)は、例えば、熱反応及び/または乾燥を達成するために行われる。本明細書において「工程b」と示される場合、これは一つ以上の工程b)を意味する。したがって、有利には複数の工程b)が実施され、例えば、一つ以上の工程b)が熱反応を達成するために、また一つ以上の工程b)が得られる組成物を乾燥させるために実施される。これらの工程b)の回数及び順序は、当業者により、その専門知識及び本発明の分野における通常の知識に照らして、容易に決定され得る。
【0071】
乾燥は、当業者にとってはルーチンである。典型的には、乾燥は、あらゆる余分な水分を除去するために実施される。とりわけ、得られる含水量は、かくして得られたドライ製品の質量にして約15%、好ましくは約10%、さらに好ましくは約1から約8%である。
【0072】
本発明の別の態様は、ドッグフードPEの食味向上効果を強化する方法であって、
a)アスコルビン酸、その異性体、その誘導体、その塩、その食用源、並びにこれらの組合せからなる群より選択される少なくとも1つの化合物を含む、少なくとも一つの第一PEC(以下、「PECa」と呼称)と、前記PEとを混合する工程;及び
b)特に前記の少なくとも一つのPECaと混合されていない前記PEと比較して、前記PEの食味向上効果が強化された、第二PEC(以下、「PECb」と呼称)を得る工程;
を含む方法に関する。
好ましくは、工程a)においては、前記PEは液体である。
【0073】
好ましくは、工程a)における前記PECaは、少なくとも一つの以下のサブステップ:
i)アスコルビン酸、その異性体、その誘導体、その塩、その食用源、並びにこれらの組合せからなる群より選択される少なくとも1つの化合物を提供する工程;
ii)少なくとも一つの成分(例えば、少なくとも一つの適切な食品担体及び/または少なくとも一つの食味エンハンサー組成物成分及び/または上記工程a)におけるPEとは異なる少なくとも一つのPE)を提供する工程;
iii)工程i)の少なくとも一つの化合物と工程ii)の少なくとも一つの成分とを組み合わせることにより、前記PECaを得る工程;
を含む方法によって得られる。
【0074】
好ましくは、アスコルビン酸、その異性体、その誘導体、その塩、その食用源、並びにこれらの組合せからなる群より選択される前記少なくとも1つの化合物は、最終的にドッグフード中に使用された際に懸案の期待される食味向上効果を達成するために適切な量で存在する。
【0075】
好ましくは、工程a)で得られる前記PECaは、前記PECaの総質量に基づいて、質量にして少なくとも0.01%、特に少なくとも0.05%、より特に少なくとも0.1%、少なくとも0.15%、少なくとも0.20%、少なくとも0.25%、少なくとも0.3%、少なくとも0.5%、少なくとも1%、少なくとも1.5%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも7.5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99.9%、少なくとも99.95%、少なくとも99.99%、さらにはとりわけ100%の、アスコルビン酸、その異性体、その誘導体、その塩、並びにこれらの組合せからなる群より選択される前記化合物を含む。
【0076】
とりわけ、工程a)で得られる前記PECaは、前記PECaの総質量に基づいて、0.01から100%、特に0.05から99.99%、さらにとりわけ0.10から99.95質量%の、アスコルビン酸、その異性体、その誘導体、その塩、並びにこれらの組合せからなる群より選択される前記化合物を含む。
【0077】
好ましくは、工程b)で得られる前記PECbは、前記PECbの総質量に基づいて、質量にして少なくとも0.01%、特に少なくとも0.05%、より特に少なくとも0.1%、少なくとも0.15%、少なくとも0.20%、少なくとも0.25%、少なくとも0.3%、少なくとも0.5%、少なくとも1%、少なくとも1.5%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも7.5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99.9%、少なくとも99.95%、さらにはとりわけ少なくとも99.99%の前記PECaを含む。
【0078】
とりわけ、工程b)で得られる前記PECbは、前記PECbの総質量に基づいて、0.01から99.99%、特に0.05から99.95%、さらにとりわけ0.10から99.90質量%の前記PECaを含む。
【0079】
一実施形態では、前記PEとアスコルビン酸、その異性体、その誘導体、その塩、並びにこれらの組合せからなる群より選択される前記化合物を含む前記PECaとを組み合わせた前記PECbは、その後ドッグフード調製物に添加される。別の実施態様では、前記PEと前記PECaが、同時にまたは順次にドッグフード調製物に添加され、その場で混合される(工程a))。
【0080】
本発明のさらに別の態様は、食味の優れたドッグフードの調製方法に関し、この方法は、
a)アスコルビン酸、その異性体、その誘導体、その塩、その食用源、並びにこれらの組合せからなる群より選択される少なくとも1つの化合物を含む第一PEC(以下、「PECa」と呼称)を提供する工程;
b)任意に、前記PECaを少なくとも一つの成分(例えば、少なくとも一つのPE及び/または少なくとも一つの食味エンハンサー組成物成分)と組み合わせて第二PEC(以下、「PECb」と呼称)を調製する工程;
c)任意に、得られたPEC(工程a)で得たPECaまたは工程b)で得たPECb)を熱処理する工程;
d)かくして得られ(任意に熱処理し)たPECを、ドッグフード調製物に添加する工程;及び、
e)食味の優れたドッグフードを得る工程;
を含む。
前記PECa及びPECbは、液体またはドライ形態であってよく、好ましくは液体形態である。
【0081】
工程b)における前記少なくとも一つの成分(例えば、少なくとも1つのPE及び/または少なくとも一つの食味エンハンサー組成物成分)は、液体またはドライ形態であってよい。好ましくは、前記少なくとも一つの成分は液体である。特に、前記PEは、好ましくは液体形態である。
【0082】
とりわけ、前記PECaは、前記PECaの総質量に基づいて、質量にして少なくとも0.01%、特に少なくとも0.05%、より特に少なくとも0.1%、少なくとも0.15%、少なくとも0.20%、少なくとも0.25%、少なくとも0.3%、少なくとも0.5%、少なくとも1%、少なくとも1.5%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも7.5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、少なくとも99.95%、少なくとも99.99%、さらにはとりわけ100%の、アスコルビン酸、その異性体、その誘導体、その塩、その食用源、並びにこれらの組合せからなる群より選択される前記化合物を含む。
【0083】
とりわけ、前記PECaは、前記PECaの総質量に基づいて、0.01から100%、特に0.05から99.99%、さらにとりわけ0.10から99.95質量%の前記化合物を含む。
【0084】
好ましくは、前記PECaは、最終的にドッグフード中に使用された際に懸案の期待される食味向上効果を達成するために適切な量で存在する。
【0085】
好ましくは、前記PECbは、前記PECbの総質量に基づいて、質量にして少なくとも0.01%、特に少なくとも0.05%、より特に少なくとも0.1%、少なくとも0.15%、少なくとも0.20%、少なくとも0.25%、少なくとも0.3%、少なくとも0.5%、少なくとも1%、少なくとも1.5%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも7.5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99.9%、少なくとも99.95%、さらにはとりわけ少なくとも99.99%の前記PECaを含む。
【0086】
特に、前記PECbは、PECbの総質量に基づいて、0.01から99.99%、特に0.05から99.95%、さらにとりわけ0.10から99.90質量%の前記PECaを含む。
【0087】
好ましくは、前記食味の優れたドッグフードは、前記食味の優れたペットフードの総重量に基づいて、質量にして少なくとも0.001%、少なくとも0.0025%、少なくとも0.005%、少なくとも0.0075%、少なくとも0.01%、少なくとも0.025%、少なくとも0.05%、少なくとも0.075%、少なくとも0.1%、少なくとも0.25%、少なくとも0.5%、少なくとも0.75%、少なくとも1%、少なくとも1.25%、少なくとも1.5%、少なくとも1.75%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%のPECaを含む。
【0088】
とりわけ、前記食味の優れたペットフードは、前記食味の優れたペットフードの総質量に基づいて、質量にして0.001から5%、特に0.0025から2%、特に0.005から1.5%、さらには特に0.0075から1.25%のPECaを含む。
【0089】
好ましくは、工程b)では、前記食味エンハンサー組成物成分は脂肪である。
好ましくは、工程b)では、前記食味エンハンサー組成物成分は一つ以上のメイラード成分である。
好ましくは、工程b)では、前記PEは少なくとも一つの動物消化物を含む。
【0090】
好ましくは、前記の工程a)のPECaまたは工程b)のPECbまたは工程c)のPECは、アスコルビン酸、その異性体、その誘導体、その塩、その食用源、並びにこれらの組合せからなる群より選択される前記化合物のための、少なくとも一つの適切な食品担体をさらに含む。
【0091】
とりわけ、工程b)において、前記PECaは、前記PEの製造過程の最初に前記少なくとも一つのPEと組み合わせても(例えば、前記PEの別の成分と混合する)、または最後に前記少なくとも一つのPEと組み合わせても良い。前記PEが粉末形態である場合には、前記PECaは、前記PEの製造過程の開始時に、前記少なくとも一つのPEと有利に組み合わせられる。
【0092】
ここでも、熱処理の任意の工程c)が、例えば、熱反応及び/または乾燥を達成するために実施される。本明細書における「工程c」なる記載は、一つ以上の工程c)を意味する。したがって、有利には複数の工程c)が実施され、例えば、一つ以上の工程b)が熱反応を達成するために、また一つ以上の工程c)が得られる組成物を乾燥させるために実施される。これらの工程c)の回数及び順序は、当業者により、その専門知識及び本発明の分野における通常の知識に照らして、容易に決定され得る。
【0093】
工程d)は、当業者により周知の様々な方法で実施することができる。例えば、前記の工程a)のPECaまたは工程b)のPECbまたは工程c)のPEC(液体またはドライであって良い)は、ペットフード調製物に、コーティングまたは混入によって添加することができる。特に、PECsがペットフード調製物に混入により添加される際には、これらは押出成形前(ドライまたは半生ペットフード)または滅菌前(ウェットペットフード)に前記ペットフード調製物と混合することができる。
【0094】
本発明の別の態様は、犬にドッグフードを給餌する工程を含む、犬に給餌する方法に関し、前記ドッグフードは、
- アスコルビン酸、その異性体、その誘導体、その塩、並びにこれらの組合せからなる群より選択される少なくとも1つの化合物、
- 任意の、前記化合物の少なくとも一つの適切な食品担体、及び
- 任意の、少なくとも1つのPE
を含む。
【0095】
好ましくは、前記少なくとも一つのPEは液体である。
好ましくは、前記ドッグフードは、前記ドッグフードの総質量に基づいて、質量にして少なくとも0.001%、少なくとも0.0025%、少なくとも0.005%、少なくとも0.0075%、少なくとも0.01%、少なくとも0.025%、少なくとも0.05%、少なくとも0.075%、少なくとも0.1%、少なくとも0.25%、少なくとも0.5%、少なくとも0.75%、少なくとも1%、少なくとも1.25%、少なくとも1.5%、少なくとも1.75%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%の、アスコルビン酸、その異性体、その誘導体、その塩、並びにこれらの組合せからなる群より選択される前記化合物を含む。
【0096】
とりわけ、前記ドッグフードは、前記ドッグフードの総質量に基づいて、質量にして0.001から5%、特に0.0025から2%、特に0.005から1.5%、さらには特に0.0075から1.25%の前記化合物を含む。
【0097】
本発明のさらなる態様は、
- アスコルビン酸、その異性体、その誘導体、その塩、並びにこれらの組合せからなる群より選択される少なくとも1つの化合物、
- 任意の、前記化合物の少なくとも一つの適切な食品担体、及び
- 任意の、少なくとも1つのPE
を含む食味の優れたドッグフードに関し、
前記ドッグフードは、前記ドッグフードの総質量に基づいて、質量にして少なくとも0.001%、少なくとも0.0025%、少なくとも0.005%、少なくとも0.0075%、少なくとも0.01%、少なくとも0.025%、少なくとも0.05%、少なくとも0.075%、少なくとも0.1%、少なくとも0.25%、少なくとも0.5%、少なくとも0.75%、少なくとも1%、少なくとも1.25%、少なくとも1.5%、少なくとも1.75%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%の、アスコルビン酸、その異性体、その誘導体、その塩、並びにこれらの組合せからなる群より選択される前記化合物を含む。
【0098】
本発明の別の態様は、単一のパッケージ内の一つ以上の容器中に、
- アスコルビン酸、その異性体、その誘導体、その塩、並びにこれらの組合せからなる群より選択される少なくとも1つの化合物;
- 任意の、前記化合物のための少なくとも一つの適切な食品担体;
- 任意の、少なくとも一つのPE;
- 任意の、少なくとも一つのメイラード成分;そして
- 任意の、少なくとも一つのドッグフード成分
を含むドッグフードの食味を向上させるためのキットに関する。
【0099】
本発明のさらに別の態様は、単一のパッケージ内の一つ以上の容器中に、
- 上記の一つ以上のPEC;及び
- 任意の、少なくとも一つのドッグフード成分
を含む、ドッグフードの食味を向上させるためのキットに関する。
【0100】
本発明による特定のキットは、キットの構成要素の利用を助ける情報または指示を伝達するための手段を含む。
【0101】
本発明の別の態様は、ドッグフードの食味を向上させるための、アスコルビン酸、その異性体、その誘導体、その塩、並びにこれらの組合せからなる群より選択される少なくとも1つの化合物の使用に関する。
【0102】
本発明の別の態様は、ドッグフード食味エンハンサー組成物の要素としての、アスコルビン酸、その異性体、その誘導体、その塩、並びにこれらの組合せからなる群より選択される少なくとも1つの化合物の使用に関する。
【0103】
本発明の別の態様は、ドッグフード食味エンハンサー組成物の調製方法における、アスコルビン酸、その異性体、その誘導体、その塩、並びにこれらの組合せからなる群より選択される少なくとも1つの化合物の使用に関する。
【0104】
本発明の全ての態様において、アスコルビン酸、その異性体、その誘導体、その塩、並びにこれらの組合せからなる群より選択される前記少なくとも1つの化合物は、任意の遊離形態及び(例えば、ペットフードの製造中、特に押出中に化合物を保護するために)任意の保護形態、例えばカプセル化形態を含む、任意の適切な形態であって良い。
【0105】
本発明の全ての態様において、前記少なくとも一つの化合物を、少なくとも一つの硫黄含有抗酸化剤、特に以下:
・システイン、アセチルシステイン、塩酸システイン、グルタチオン、アルカリ金属亜硫酸塩(例えば、亜硫酸ナトリウムまたは亜硫酸カリウム)、アルカリ金属亜硫酸水素塩(例えば、亜硫酸水素ナトリウムまたは亜硫酸水素カリウム)、アルカリ金属ピロ亜硫酸塩(例えば、ピロ亜硫酸ナトリウムまたはピロ亜硫酸カリウム)、亜硫酸アンモニウム、ピロ亜硫酸アンモニウム等
から成る群より選択されるものと混合し、これによって製造及び/または貯蔵の間の前記化合物により優れた貯蔵を得ることができる。
【0106】
本発明による、アスコルビン酸、その異性体、その誘導体、その塩、並びにこれらの組合せからなる群より選択される少なくとも1つの化合物を含むドッグフード食味エンハンサー組成物は、少なくとも一つの硫黄含有抗酸化剤、特に以下:
・システイン、アセチルシステイン、塩酸システイン、グルタチオン、アルカリ金属亜硫酸塩(例えば、亜硫酸ナトリウムまたは亜硫酸カリウム)、アルカリ金属亜硫酸水素塩(例えば、亜硫酸水素ナトリウムまたは亜硫酸水素カリウム)、アルカリ金属ピロ亜硫酸塩(例えば、ピロ亜硫酸ナトリウムまたはピロ亜硫酸カリウム)、亜硫酸アンモニウム、ピロ亜硫酸アンモニウム等
から成る群より選択されるものをさらに含むことができる。
【0107】
例えば、本発明の全ての態様において、アスコルビン酸を、少なくとも一つの硫黄含有抗酸化剤、特に、システイン、グルタチオン、ピロ亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、特に、システイン、グルタチオン、とりわけ、システインからなる群より選択されるものと混合することができる。
【0108】
本発明の全ての態様において、ドッグフードPEまたはPECを、混入またはコーティングによってドッグフード調製物に添加して食味の優れたドッグフードを得ることができる。混入またはコーティングによる添加は、ペットフードの技術分野における通常の知識の一部を成す定法を用い、当業者によって実施することができる。
【0109】
本発明の全ての態様において、前記ドッグフードは、好ましくは、栄養的に完全な食品であってよい。特に、前記栄養的に完全なドッグフードは、キブル、チャンク・イン・「X」製品、及びローフの形態であって良い。
【0110】
本発明の上記全ての態様は、ペットのための使用に適応させて良いが、犬が好ましい。
【実施例】
【0111】
1 - 材料と方法
1.1 - 食味評価の方法:「2ボウル」試験
2ボウル試験の原則:
この試験は、多くの食品が消費されるほど、それはいっそう食味が良好なものであるという前提に基づく。
2種類の食品の比較に基づく、欲求に対する個々の(2ボウル)試験が実施された。試験は、その目的により、36匹の犬のパネルまたは40匹の猫に対して実施される。
【0112】
試験の操作方法:
- 同量の食品A及び食品Bを秤量し、個別のボウルに入れた。それぞれの割り当ての中に存在する量は、1日当たりの所要量を満たすことができる。
- ボウルの分配:
犬の試験:ボウルは、犬が利用できる個々の餌入れ内においた。
猫の試験:ボウルは、個別のゆったりした箱の中に入れて各猫に同時に提供され、利き手による選択を避けるために食事ごとにボウルの位置を入れ替えた。
- 試験の継続時間:
*ドライフードについての猫の試験:約15分間から約20時間(2つのボウルのうち1つが試験終了前に完全に食べられていた場合、2つのボウルを除去し、試験を中止した)。
*ドライフードについての犬の試験:約15分間から約30分間(2つのボウルのうち1つが試験終了前に完全に食べられていた場合、2つのボウルを除去し、試験を中止した)。
- 実測パラメータ:
最初に消費された食品(「魅力」)と試験終了までに消費された各食品の量;
- 理論パラメータ:
個別の消費率(%)(CR)
CRA = Aの消費量(g)×100/(A+Bの消費量)(g)
CRB = Bの消費量(g)×100/(A+Bの消費量)(g)
→ 平均消費率(ACR)=個々の比率全ての平均(各動物に、その大きさとその対応する消費にかかわらず、同等の重要性を持たせる)。
【0113】
動物が既定の値(これは、例えば、動物の体重及び/または代謝の関数である)と比較して、より高いまたはより低い消費を示す場合、これらは統計処理に考慮されない。
【0114】
統計分析:
2つの比率の間に有意差があったかどうかを決定するために、統計的分析を用いた。3つの誤差閾値、すなわち、5%、1%、0.1%を設定した、スチューデントt検定を実施した。
【0115】
カイ二乗検定を使用して、最初に食べた食品が食品Aであるペットの数と最初に食べた食品が食品Bであるペットの数との間に有意な差があったかどうかを決定した。
【0116】
有意水準は、以下の通り:
NS 有意ではない(p>0.05)
* 有意(P≦0.05)
** 非常に有意(P≦0.01)
*** 非常に高度に有意(P≦0.001)
【0117】
1.2 - 規定食
コントロール及び実験用の規定食を、食品の意図される消費対象に必要とされる全ての既知の栄養素を、例えば、愛玩動物の栄養の分野における認知され信憑性のある権威の推奨に基づいて適切な量及び割合で含む、栄養完全食品を使用することにより、準備した。したがって、こうした食品は、生命を維持するために、補足的な栄養源を添加することなく、飼料摂取の唯一の供給源として機能することができる。
【0118】
試験しようとする成分が、液体及び/または乾燥成分をコーティングすることによりドライフード表面に局所適用される場合は、ペットフード組成物は、「未被覆キブル」の形態で使用された。これは、部分的に処理を終えた食品であり、その後この表面に脂肪及び食味エンハンサーをコーティングした。
【0119】
試験しようとする成分が混入によって適用される場合には、これらは押出成形前(ドライまたは半生ペットフード)または滅菌前(ウェットペットフード)に別の成分と混合した。
【0120】
試験しようとする成分が飲用向け組成物に適用される場合には、かかる成分を、水または液体組成物と混合した。
【0121】
2 - 結果
2.1 - 実施例において試験した製品
以下の実施例では、様々な食味エンハンサー(PE1、PE2、PE3、DPE10、DPE11、PE31、及びDPE41)でコーティングされた様々な食品(もしくは規定食)の食味評価を報告する。
以下の実施例で使用した各食味エンハンサーには、保存性を保証するため、その製剤中にプレミックス酸化防止剤を組み込んだ。このプレミックス抗酸化剤は、BHA、没食子酸プロピル、及びアスコルビン酸から成るものであった。
【0122】
2.2 - 実施例1:食味エンハンサーに添加された通常の酸化防止剤量のアスコルビン酸の、ドッグフードの食味に対する影響
犬による消費に適切であり、押出成形及び乾燥処理の後に得られるバランスのとれたドライフードが調製され、本明細書中では「XX」と呼称される。コントロール規定食Nは、6%の家禽の脂肪及び2%のPE2(PE2=豚肝臓消化物B + BHA、没食子酸プロピル、及びアスコルビン酸から成る前記プレミックス抗酸化剤)でコーティングされた「XX」であった。このように、PE2でコーティングする際にキブルに添加されたアスコルビン酸の量は、キブルの0.0001%の寄与を示す。
【0123】
実験規定食B1は、6%の家禽の脂肪及び2%のPE2bisでコーティングされた「XX」であり、PE2bisは、プレミックス抗酸化剤中でアスコルビン酸なしに調製された豚肝臓消化物Bであり、前記プレミックス抗酸化剤は、PE2に含まれるプレミックス抗酸化剤と同レベルのBHA及び没食子酸プロピルを維持している(PE2bis=豚肝臓消化物B + BHA及び没食子酸プロピルから成るプレミックス抗酸化剤)。
【0124】
以下の表1に示すように、食品の消費には、コントロール規定食Bと実験規定食B1との間で有意な差がなく、PE2に含まれるプレミックス抗酸化剤によりキブルに添加されたアスコルビン酸のレベルが、ドッグフードの食味を向上させるものではないことを示す。
しかるに、以下の実施例では、使用された食味エンハンサーに含まれるプレミックス抗酸化剤によってキブルにもたらされたアスコルビン酸の量は、無視すべきものとみなした。
【0125】
【表1】
【0126】
2.3 - 実施例2:アスコルビン酸を含む液体PEでドッグフードをコーティングした際の食味向上効果
2.3.1 - 実施例2A:アスコルビン酸を含む液体PEでドッグフードをコーティングした際の食味向上効果
犬による消費に適切であり、押出成形及び乾燥処理の後に得られる栄養的にバランスのとれたドライフード組成物が調製され、本明細書中では「XX」と呼称される。
この実施例では、犬にとって優れた食味を有することが知られた液体食味エンハンサーPE1(豚の肝臓消化物A−実施例1で使用したPE2とは異なる)を使用した。
コントロール規定食Aは、6%の家禽の脂肪及び2%のPE1でコーティングされた「XX」であった。
【0127】
実験規定食A1は、6%の家禽の脂肪及び2%のミックス(99.15%のPE1+0.85%のアスコルビン酸)でコーティングされた「XX」であった。このミックスは、製造工程の最後に防腐剤を添加したところで液体PE1にアスコルビン酸を混合することにより調製した。
実験規定食A2は、実験食A1と同様に調製したが、ミックスの割合が異なり、98.87%のPE1 + 1.13%のアスコルビン酸であった。
【0128】
以下の表2に示されるように、食品の消費には、コントロール規定食Aと実験規定食A1との間及びコントロール規定食Aと実験規定食A2との間で有意な差があり、アスコルビン酸を含むPEでコーティングされた実験規定食が、犬にとってより食味の良好なものであることを示した。
食味の結果は、アスコルビン酸の添加によって、PE1の食味が強度に向上し、アスコルビン酸の添加前に既に高かったその性能がさらに高められることを示した(PE1がPE2よりも優れた食味を有することを示す、以下の表3を参照のこと)。
【0129】
【表2】
【0130】
2.3.2 - 実施例2B:アスコルビン酸を含む異なる液体PEで最初の実施例のドッグフードをコーティングした際の食味向上効果
犬による消費に適切であり、押出成形及び乾燥処理の後に得られる栄養的にバランスのとれたドライフード組成物が調製され、本明細書中では「XX」と呼称される。
この規定食は、実施例2Aで使用した規定食と同一であった。
【0131】
コントロール規定食Aは、6%の家禽の脂肪及び2%の液体PE1でコーティングされた「XX」であった(PE1=豚肝臓消化物A、実施例2Aを参照のこと)。
コントロール規定食Bは、6%の家禽の脂肪及び2%の液体食味エンハンサーPE2でコーティングされた「XX」であった(PE2=豚肝臓消化物B、実施例1を参照のこと)。
二つのコントロール規定食の唯一の違いは、液体食味エンハンサーである。
PE1は、PE2よりも、犬にとって優れた食味を有することが知られていた。
【0132】
以下の表3に示されるように、食品の消費には、コントロール規定食Aとコントロール規定食Bとの間で有意な差があり、コントロール規定食Aが、犬にとってより優れた食味を有することを示した。この最初の試験により、PE1の犬にとっての食味が、予期される通りPE2よりも優れていることが実証された。
【0133】
一連の実験食味エンハンサーを、液体PE2に漸増レベルでアスコルビン酸を混合することによって調製した。この添加は、製造工程の最後に防腐剤を添加したところで、液体PE2に粉末状態のアスコルビン酸(アスコルビン酸粉末の純度≧99%)を混合することにより行った。
実験規定食は、かくして得られた様々な食味エンハンサーでコーティングされた「XX」であった。
【0134】
以下の表3に示されるように、規定食に添加されたアスコルビン酸のレベルは、規定食の0.005から0.3質量%であった。
食味の結果は、アスコルビン酸の添加によってPE2の食味が強度に向上してPE1の食味を超え、これが試験したアスコルビン酸のレベルによらないことを明白に示した。
この結果は、アスコルビン酸の食味向上効果が、様々なPE(実施例2AではPE1、本実施例ではPE2)を用いて得られることを、さらに実証した。
【0135】
【表3】
【0136】
2.3.3 - 実施例2C:アスコルビン酸を含む異なる液体PEで第二の実施例のドッグフードをコーティングした際の食味向上効果
犬による消費に適切であり、押出成形及び乾燥処理の後に得られる栄養的にバランスのとれたドライフード組成物が調製され、本明細書中では「YY」と呼称される。
この規定食は、実施例2A及び2Bで使用した規定食「XX」とは、その処方及び形状において異なるものであった。
【0137】
コントロール規定食Cは、6%の家禽の脂肪及び2%の液体PE1(実施例2A及び2Bと同一のPE1)でコーティングされた「YY」であった。
実験規定食C1は、6%の家禽の脂肪及び2%のミックス(98.75%のPE2+1.25%のアスコルビン酸)でコーティングされた「YY」であった。このミックスは、製造工程の最後に防腐剤を添加したところで液体PE2にアスコルビン酸を混合することにより調製した。
実施例2Bに示されるように、PE1は、PE2よりも、犬にとって優れた食味を有することが知られていた。
【0138】
以下の表4に示されるように、食品の消費には、コントロール規定食Cと実験規定食C1との間で有意な差があり、実験規定食C1が犬にとってより優れた食味を有することが、異なる二つの時点:規定食調製後1か月及び3か月において示された。
【0139】
食味の結果は、アスコルビン酸の添加によって、PE2の食味が強度に向上し、PE1の食味を超えることが明白に示されたが、これは、実施例2Bで使用されたものとは異なる規定食におけるものであった。しかるに、アスコルビン酸の食味向上効果は、キブルに関連するものではなかった。
【0140】
また、新たに得られた良好な食味は、貯蔵に対する維持特性を備えていた。結論として、食味エンハンサーPE2へのアスコルビン酸の添加は、その食味を有意に改善し、その性能を高めることができた。
【0141】
【表4】
【0142】
2.4 - 実施例3:アスコルビン酸の食用源を含む液体PEでドッグフードをコーティングした際の食味向上効果
犬による消費に適切であり、押出成形及び乾燥処理の後に得られる栄養的にバランスのとれたドライフード組成物が調製され、本明細書中では「XX」と呼称される。この規定食は、実施例2A及び2Bにおいて使用された規定食と同一であった。
【0143】
コントロール規定食Nは、6%の家禽の脂肪及び2%の液体PE1でコーティングされた「XX」であった。
実験規定食B8、B9、及びB10は、6%の家禽の脂肪及び液体PE2とアセロラ粉末とのミックス(アスコルビン酸の理論濃度=17%を有する)2%でコーティングされた「XX」であった。ミックス中のアセロラ粉末の量が様々に異なるものを試験した。しかるに、各ミックスを、製造工程の最後に防腐剤を添加したところで液体PE2に所与の量のアセロラ粉末を混合することにより調製した。
既述の通り、PE1は、PE2よりも、犬にとって優れた食味を有することが知られていた。
【0144】
バルバドスチェリーとしても既知のアセロラは、アスコルビン酸を豊富に含む果物である。
以下の表5に示されるように、食品の消費には、コントロール規定食Aと実験規定食との間で有意な差があり、アセロラを含む実験規定食が犬にとってより優れた食味を有することが示された。
食味の結果は、アセロラの添加によってPE2の食味が強度に向上してPE1の食味を超え、これが試験したアセロラのレベルによらないことを明白に示した。
【0145】
【表5】
【0146】
2.5 - 実施例4:アスコルビン酸を含む液体PEの乾燥から得られるドライPEでドッグフードをコーティングした際の食味向上効果
犬による消費に適切であり、押出成形及び乾燥処理の後に得られる栄養的にバランスのとれたドライフード組成物が調製され、本明細書中では「XX」と呼称される。この規定食は、実施例2A、2B、及び3において使用された規定食と同一であった。
【0147】
ドライ食味エンハンサーDPE10を、液体PE10(=豚肝臓消化物C、PE1及びPE2とは異なる)を乾燥させることにより得た。
ドライ食味エンハンサーDPE11を、液体PE10とアスコルビン酸とのミックスを乾燥させることにより得た。
コントロール規定食Pは、6%の家禽の脂肪で、次いで2%の液体PE2(=豚肝臓消化物B)で、最後に1%のDPE10でコーティングされた「XX」であった。
実験規定食P1は、6%の家禽の脂肪で、次いで2%の液体PE2で、最後に1%のDPE11でコーティングされた「XX」であった。
【0148】
以下の表6に示されるように、食品の消費には、コントロール規定食Pと実験規定食P1との間で有意な差があり、アスコルビン酸を含むドライPEでコーティングされた実験規定食が、犬にとってより食味の良好なものであることが示された。
食味の結果は、乾燥前の液体PE10へのアスコルビン酸の添加によって、得られるDPE11の食味向上効果を、液体PE10を乾燥させることにより得られるDPE10に比べて増大させることを明白に示した。
この結果は、アスコルビン酸の食味向上効果が、アスコルビン酸を混合した液体PEを乾燥させた後でさえも得られることを実証した。
【0149】
【表6】
【0150】
2.6 - 実施例5:少量のアスコルビン酸を含む液体PEでドッグフードをコーティングした際の食味向上効果
犬による消費に適切であり、押出成形及び乾燥処理の後に得られる栄養的にバランスのとれたドライフード組成物が調製され、本明細書中では「XX」と呼称される。この規定食は、実施例2A、2B、3、及び4において使用された規定食と同一であった。
【0151】
コントロール規定食Dは、6%の家禽の脂肪及び2%の液体PE3でコーティングされた「XX」であった(PE3=家禽内臓消化物)。
実験規定食D1は、6%の家禽の脂肪及び2%のミックス(99.92%のPE3+0.08%のアスコルビン酸)でコーティングされた「XX」であった。このミックスは、製造工程の最後に防腐剤を添加したところで液体PE3にアスコルビン酸を混合することにより調製された。
【0152】
以下の表7に示されるように、食味の結果は、規定食の0.0016質量%のレベルでのアスコルビン酸の添加によって、PE3の食味が強度に向上したことを明白に示した。この結果は、アスコルビン酸の食味向上効果が、アスコルビン酸が低濃度であり、PEが様々な群(例えば、肝臓ベースのPEまたは内臓ベースのPE)に属していても得られることをさらに実証した。
【0153】
【表7】
【0154】
2.7 - 実施例6:アスコルビン酸溶液でドッグフードをコーティングした際の食味向上効果
犬による消費に適切であり、押出成形及び乾燥処理の後に得られる栄養的にバランスのとれたドライフード組成物が調製され、本明細書中では「XX」と呼称される。この規定食は、実施例2A、2B、3、4、及び5において使用された規定食と同一であった。
【0155】
コントロール規定食Dは、6%の家禽の脂肪及び2%の液体PE3(PE3=家禽内臓消化物)でコーティングされた「XX」であった。
実験規定食D2は、6%の家禽の脂肪及び2%の溶液(98.5%の水+1.5%のアスコルビン酸)でコーティングされた「XX」であった。この溶液は、アスコルビン酸を水に、完全に溶解するまで混合することにより調製された。
【0156】
表8に示される通り、食品の消費には、コントロール規定食Dと実験規定食D2との間で有意な差があり、溶液中のアスコルビン酸が強い食味向上効果を有して、PE3の食味を超えたことが実証された。
【0157】
【表8】
【0158】
2.8 - 実施例7:押出成形前にドッグフード処方にアスコルビン酸を配合した際の食味向上効果
犬による消費に適切ライフード組成物が調製された。この処方は、押出成形前にその処方中に0.05%または0.5%のアスコルビン酸を配合した二つを除いて全く同一であった。これら規定食は、本明細書では、処方中にアスコルビン酸が添加されていない規定食については「PCW」、処方中にアスコルビン酸を含む規定食については「PCI」(0.5%のアスコルビン酸を含有)及び「PCJ」(0.05%のアスコルビン酸含有)と呼称される。全ての規定食に押出成形及び乾燥処理を行った。これらの規定食は、上記において「XX」及び「YY」と呼称される前述のドッグフードとは異なっていた。
【0159】
コントロール規定食PCW1は、6%の家禽の脂肪で、次いで2%の液体PE2(=豚肝臓消化物B)でコーティングされた「PCW」であった。
実験規定食PCI1は、0.5%のアスコルビン酸を含み、6%の家禽の脂肪で、次いで2%の液体PE2でコーティングされた「PCI」であった。
実験規定食PCJ1は、0.05%のアスコルビン酸を含み、6%の家禽の脂肪で、次いで2%の液体PE2でコーティングされた「PCJ」であった。
【0160】
以下の表9に示されるように、食品の消費には、コントロール規定食PCW1と実験規定食PCI1及びPCJ1との間で有意な差があり、押出成形前にその処方中にアスコルビン酸を含む実験規定食C1が犬にとってより優れた食味を有することが実証された。食味の結果は、アスコルビン酸の添加によってドッグフード規定食の食味が強度に向上したこと、並びに、アスコルビン酸の食味向上効果が、アスコルビン酸を含むPEでキブルをコーティングした(上記実施例を参照のこと)ことのみならず、キブルのコアにアスコルビン酸を配合したことにもよって得られたことを明白に示した。
【0161】
【表9】
【0162】
2.9 - 実施例8:アスコルビン酸の誘導体及び/または異性体及び/または塩を含む液体PEでドッグフードをコーティングした際の食味向上効果
犬による消費に適切であり、押出成形及び乾燥処理の後に得られる栄養的にバランスのとれたドライフード組成物が調製され、本明細書中では「XX」と呼称される。この規定食は、実施例2A、2B、3、4、及び5において使用された規定食と同一であった。
コントロール規定食Bは、6%の家禽の脂肪及び2%の液体PE2(PE2=豚肝臓消化物B、上記実施例を参照のこと)でコーティングされた「XX」であった。
【0163】
一連の実験食味エンハンサーを、液体PE2にアスコルビン酸、アスコルビン酸異性体、アスコルビン酸誘導体、及びアスコルビン酸塩から成る群より選択される化合物を混合することによって調製した。この添加は、製造工程の最後に防腐剤を添加したところで、液体PE2とアスコルビン酸またはその誘導体またはその異性体またはその塩とを混合することにより調製した。
実験規定食は、かくして得られた様々な食味エンハンサーでコーティングされた「XX」であった。
以下の表10に示されるように、食味の結果は、アスコルビン酸またはその誘導体またはその異性体またはその塩の添加によってPE2の食味が強度に向上したことを明白に示した。
【0164】
【表10】
【0165】
2.10 - 比較例9:アスコルビン酸を含む液体PEでキャットフードをコーティングした際の食味向上可能性の評価
猫で得られた結果を示すこの比較例は、犬で得られた結果を示す上記実施例と比較することができる。
猫による消費に適切であり、押出成形及び乾燥処理の後に得られる栄養的にバランスのとれたドライフード組成物が調製され、本明細書中では「CTX」と呼称される。
コントロール規定食Catは、6%の家禽の脂肪で、次いで3%の液体PE31(=猫用の液状豚肝臓消化物B)で、最後に2%のドライ食味エンハンサーDPE41(=猫用のドライ豚肝臓消化物B)でコーティングされた「CTX」であった。
【0166】
実験規定食Cat1は、6%の家禽の脂肪で、次いで3%のミックス(99.15%のPE31+0.85%のアスコルビン酸)で、最後に2%のドライDPE41でコーティングされた「CTX」であった。
実験規定食Cat2は、6%の家禽の脂肪で、次いで3%のミックス(98.3%のPE31+1.7%のアスコルビン酸)で、最後に2%のドライDPE41でコーティングされた「CTX」であった。
以下の表11に示されるように、猫による食品の消費には、コントロール規定食と実験規定食との間に有意な差はなく、アスコルビン酸と液体PE31との混合物を含む組成物が、犬について観察された結果とは異なり、猫においては、液体PE31を使用して得られたものと比較してもより優れた食味向上効果を達成できなかったことが実証された。
【0167】
【表11】