(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記光ファイバーは、ファイバー直径を有し、前記光ファイバーの拡大部分は、前記ファイバー直径よりも約1〜2%大きい直径を有する、請求項1に記載の光ファイバーアセンブリ。
前記フェルールは、前記内孔と流体連通している開口部を含み、前記光ファイバーは、リザーバー内に位置付けられる接着剤によって少なくとも部分的に前記内孔内に保持される、請求項1に記載の光ファイバーアセンブリ。
【背景技術】
【0002】
本開示は、全般的に、光ファイバーアセンブリに関し、より具体的には、レーザー割断した光ファイバーを有する光ファイバーアセンブリに関する。
【0003】
光ファイバーを相互接続するためのシステムは、一般的に、ファイバーの取り扱いおよび正確な位置付けを容易にするために、嵌合用フェルールアセンブリを利用する。光ファイバーは、フェルール本体内に固着され、各ファイバーの端面は、フェルール本体の端面と略面一に、またはそこから僅かに突出して位置付けられる。
【0004】
組み立て中に、光ファイバーは、一般的に、フェルールの中へ挿入され、次いで、所望の長さに割断または切断される。使用中に、光ファイバーのそれぞれの端面または表面は、信号のいかなる顕著な劣化または後方反射も伴うことなく信号が光透過の形態で端面を通過することを可能にするように、十分に滑らかでなければならない。加えて、一般的に、その後に別の構成要素と嵌合するために、光ファイバーの端面を共通平面の中に位置付けることが望ましい。いくつかの事例において、端面が1ミクロン以内の共通平面である場合、前記端面は、共平面であるとみなされ得る。
【0005】
いくつかの事例において、光ファイバーは、機械的に割断され得る。機械的に割断することは、比較的粗い端面をもたらし得、よって、該端面は、一般的に、それらが十分に滑らかで、共通平面の中に入るように機械的に研磨される。そのような光ファイバーの機械的研磨は、一般的に、研磨紙および/またはフィルム等の高コストの材料を必要とし、また、時間がかかる。加えて、研磨角度を光ファイバーの軸またはマルチファイバーケーブルの軸に対して直角に維持するために、過程を注意深く監視しなければならない。
【0006】
レーザー割断は、光ファイバーを割断または切断し、研磨を必要としない端面を光ファイバー上に生じさせ得る。しかしながら、レーザー割断した光ファイバーの端面は、共通平面の中に(すなわち、1μm以内の共通平面に)入らない場合がある。レーザー割断した端面は、長さが15μm以上変動し得る。マルチファイバーケーブルを使用するときには、1つのファイバーの移動が隣接するファイバーの移動を引き起こし得るので、端面を共通平面の中に位置付けるための個々の光ファイバーの移動には問題があり得る。故に、レーザー割断した端面を有する光ファイバーを有する、容易に製造される光ファイバーアセンブリが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本開示による、光ファイバーアセンブリの斜視図である。
【
図2】
図1の光ファイバーアセンブリの一部分の模式断面図である。
【
図3】
図2の1対の嵌合用光ファイバーアセンブリの模式図である。
【
図4】レンズプレートを含む光ファイバーアセンブリの代替の実施形態の模式図である。
【
図5】それぞれがレンズプレートをその上に有する、
図2の1対の嵌合用光ファイバーアセンブリの模式図である。
【
図6】フェルールおよびマルチファイバーケーブルの平面図である。
【
図7】
図6のフェルールおよびマルチファイバーケーブルの一部分の模式図である。
【
図8】
図6に類似しているが、マルチファイバーケーブルの光ファイバーをフェルールの中へ挿入した、平面図である。
【
図9】
図8のフェルールおよび光ファイバーの一部分の模式図である。
【
図10】レーザー割断過程を描写する
図8に類似する平面図である。
【
図11】
図10のフェルールおよび光ファイバーの一部分の模式図である。
【
図12】光ファイバーをフェルールに対して後方に移動させた、フェルールおよびマルチファイバーケーブルの平面図である。
【
図13】
図12のフェルールおよび光ファイバーの模式図である。
【
図14】
図11に類似するが、光ファイバーの端面を誇張して互い違いに配置した構成で描写した図である。
【
図15】
図14に類似するが、光ファイバーがフェルールに対して後方に移動し、光ファイバーのいくつかの拡大部分がフェルールの前面に係合した図である。
【
図16】光ファイバーのいくつかをフェルールに対して後方にさらに移動させるためのツールとともに、
図15に類似する図である。
【
図17】アクティブ整合治具とともに、フェルールおよびマルチファイバーケーブルの平面図である。
【
図18】
図17のフェルールおよびマルチファイバーケーブル、ならびにアクティブ整合治具の模式図である。
【
図19】アクティブ整合治具のスプリッターの概略図である。
【
図20】代替の実施形態に従って光ファイバーの端部分を構成した、光ファイバーアセンブリの一部分の模式図である。
【
図21】
図20の代替の実施形態による1対の嵌合用光ファイバーアセンブリの模式図である。
【
図22】
図21に類似するが、代替の実施形態に従ってフェルールを構成した、1対の嵌合用光ファイバーアセンブリの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示は、異なる形態の実施形態が可能であり、具体的な実施形態が図面で示され、また本明細書で詳細に説明されているが、本開示は、本開示の原理の例証であるとみなされ、本開示を例示されたものに限定することを意図しないという理解の下で行われる。
【0013】
よって、特徴あるいは態様の参照は、本開示の実施例の特徴および態様を説明することを意図するものであり、本開示の全ての実施形態が、説明される特徴または態様を有しなければならないことを意味するものではない。さらに、説明は、数多くの特徴を例示していることに留意されたい。ある特定の特徴を組み合わせて、可能性のあるシステム設計を例示しているが、それらの特徴は、明示的に開示されていない他の組み合わせでも使用され得る。したがって、描写される組み合わせは、別途注記のない限り、それらに限定することを意図しない。
【0014】
図面で例示される実施形態において、本開示の種々の要素の構造および移動を説明するために使用される、上、下、左、右、前、および後等の方向の表現は、絶対的なものではなく、相対的なものである。これらの表現は、要素が図面の中で示される位置にあるときに適切となる。しかしながら、要素の位置の説明が変化した場合、これらの表現は、それに応じて変化する。
【0015】
図1〜
図2を参照すると、マルチファイバーMT型フェルールアセンブリ10等の光ファイバーアセンブリが描写されている。フェルールアセンブリ10は、マルチファイバーケーブル50の複数の光ファイバー51をその中に有するフェルール11を含む。描写されるように、フェルールアセンブリ10は、1列に12本の光ファイバー51を含むが、フェルールアセンブリは、所望であれば、より多いまたはより少ない光ファイバーを受容するように構成され得る。例えば、このMTフェルールは、全般的に、1列あたり2〜12本の光ファイバーを有する1〜6列の光ファイバー51を含む。MT型フェルール11と併せて描写されているが、本明細書で開示される概念は、あらゆる型または構成のフェルールとの、および任意の数の光ファイバー51との使用に適用可能である。
【0016】
フェルール11は、略矩形であり、また、略平坦な前面12および略平坦な後面13を有する。
図1で描写されるように、フェルール11は、フェルール11を通って延在し、前面12と交差する、1列に12本の光ファイバー受容穴または内孔15(
図2)を含む。内孔15は、略円筒状であり得、またはある程度テーパーが付けられ得、該テーパーは、前面12に隣接する端部分16に内孔の最小部分を伴う。そのようなテーパーは、明確にするため、
図2では誇張されている。フェルール11はまた、1列のファイバー受容穴15の両側に位置付けられる、1対の整合穴または差込口17も含み得る。整合穴17は、略円筒状で、前面12と後面13との間に延在し得る。他の実施形態において、穴17は、後面13まで完全に延在しない、一様な断面を有しない、または六角形断面等の一様な非円形断面を有する、等の他の構成を有し得る。整合穴17は、1対のアセンブリを嵌合するときの整合を容易にするために、嵌合用構成要素からのポスト(図示せず)をその中で受容するように構成される。開口部またはリザーバー18は、フェルール11の1つの表面に沿って設けられ得る。リザーバー18は、接着剤をリザーバー18内に、またはその上に塗布して、光ファイバー51をそれらのそれぞれの内孔15内に固定することを可能にするように、内孔15と流体連通し得る。
【0017】
フェルール11は、ポリフェニレンスルフィドまたはポリエーテルイミド等の、射出成形することができる樹脂で形成され得、また、樹脂の強度および安定性を高めるために、二酸化ケイ素(SiO
2 )等の添加剤を含み得る。所望であれば、他の材料が使用され得る。マルチファイバーケーブル50の光ファイバー51のそれぞれの一部分は、各ファイバー受容穴15内に位置付けられ、フェルール11の前面12を超えて延在する。光ファイバー51の端部分52は、僅か0.20μmほどの短い距離、または2.00mm等のより長い距離、フェルール11の前面12を超えて延在し得る。端部分52がフェルール11の前面12を超えて延在する距離は、明確にするため、
図2では誇張されている。一実施例において、光ファイバー51は、約125μmの直径を有し得る。光ファイバー51は、エポキシ等の接着剤によって、ファイバー受容穴15内に固着または固定され得る。
【0018】
図2を参照すると、端部分52はまた、光ファイバー51の直径よりも大きい直径を有する、拡大部分53も含み得る。光ファイバー51が約125μmの直径を有する実施例において、拡大部分53は、約127μmの断面または直径を有し得る。他のサイズも想定される。別の実施例において、拡大部分53は、約125.5μmほどに小さい直径、または約130μmほどに大きい直径を有し得る。さらに別の実施例において、拡大部分53は、光ファイバー51の直径よりも約1〜2%大きい直径を有し得る。光ファイバー51に対する端部分52の拡大部分53の断面または直径の増大は、明確にするため、
図2では誇張されている。
【0019】
各内孔15の端部分16および光ファイバー51の拡大部分53は、各光ファイバーの拡大部分53が各内孔15の端部分16との締まり嵌めを生じることにより、光ファイバーが内孔15の中へさらに移動することを防止するように寸法決定される。拡大部分53は、時折直径に関して上で参照されるが、そのような特徴は、必ずしも円形である必要はなく、光ファイバー51の直径よりも大きい断面を有する構造であり、また、光ファイバーが端部分16を超えて、所望の距離よりも多く内孔15の中へ移動することを防止するように構成される。この構造は、光ファイバー51の光透過特性に悪影響を及ぼさないように構成される。
【0020】
各光ファイバー51の端部分52の端面54は、外縁部よりもさらに延在する光ファイバー51の中心を伴う、凸状の、または僅かに湾曲したもしくは円弧状の形状を有し得る。そのような構成は、光ファイバーのコアまたは「コアディップ」での任意の凹状化の可能性を低減し、また、嵌合する光ファイバー間のコア間接触を向上させる。フェルールアセンブリ10が、突き合わせ接続等を通して、嵌合用構成要素と物理的に接触するように構成される
図2の実施例において、約125ミクロンの直径を有する光ファイバー51の端面54は、約1.0μm以下の凸状部を有し得る。換言すれば、端面54の半径は、約1.0μm以下であり得る。いくつかの事例では、より大きい凸状部を有する端面54が使用され得る。他の事例において、端面54は、平坦であり得る。
【0021】
複数の光ファイバー51の端面54は、嵌合用フェルールアセンブリ110または別の嵌合用構成要素の光ファイバーと嵌合するために、共通平面の中にあるように構成され得る。1対の嵌合用フェルールアセンブリは、
図3で描写される。他の実施形態において、端面54は、非平面構成で位置付けられ得、嵌合用フェルールアセンブリまたは嵌合用構成要素の光ファイバー51は、整合した光ファイバーの端面が互いに物理的に接触するように、賞賛的なパターンで位置付けられる。
【0022】
図4で描写される代替の実施形態において、フェルールアセンブリ60は、レンズ素子35が各光ファイバー51と整合されるようにフェルール11の前面12に隣接して位置付けられる、レンズプレート30を含み得る。レンズプレート30は、略矩形であり得、また、前面32および後面33を有し得る。レンズプレート30は、光ファイバー51の屈折率に密接に一致する屈折率を有する、射出成形することができる光学等級の樹脂で形成され得る。換言すれば、光ファイバー51は、光ファイバーの屈折率を有し、レンズプレート30は、レンズプレートの屈折率を有する。光ファイバーの屈折率およびレンズプレートの屈折率をほぼ等しく設定するように、レンズプレート30の材料を選択することが望ましくなり得る。レンズプレート35を光ファイバー51に固着するために、光学的に一致する屈折率を有する接着剤が使用され得る。
【0023】
所望であれば、フェルールアセンブリ60の光ファイバー51は、フェルールアセンブリ10の構成とある程度異なって構成され得る。例えば、光ファイバーの端面54の凸状部は、約5.0μm以下等に、より大きくなり得る。光ファイバー51の端面54は、それらが各レンズ素子35の焦点と合致するように位置付けられ得る。一実施例において、レンズ焦点は、全般的に、レンズプレート30の後面33に位置付けられ得る。その際に、各光ファイバー51の端部分52は、
図2の実施形態と比較して、内孔15の端部分16のさらに内側に位置付けられ得、よって、端面54は、レンズプレート30の後面33のレンズ焦点に位置付けられる。レンズ要素35の焦点がレンズプレート30に対して別の場所に位置付けられる場合、端面54の位置は、それに応じて、レンズ焦点と合致するように調整され得る。1対の嵌合したレンズ付きフェルールアセンブリ60は、
図5で描写される。
【0024】
弾性で屈折率が一致する媒体またはインサート(図示せず)が、レンズプレート30の後面33と光ファイバー51の端面54との間に位置付けられ得る。弾性インサートは、端面54と後面33との間の共平面性および光ファイバー51の任意の熱膨張の任意の変動を補償するために、光ファイバー51の前面54とレンズプレート30の後面33との間で圧縮され得る。弾性インサート45は、レンズプレート30および光ファイバー51の屈折率にほぼ等しい屈折率を有する弾性材料で形成され得る。ほぼ等しい屈折率を有する材料を選択することによって、屈折率の違いによる透過損失が最小にされ得る。一実施例において、弾性インサート51は、シリコーンで形成することができるが、いくつかの応用例では、ウレタン等の他の材料も使用され得る。
【0025】
図6〜
図16を参照すると、光ファイバー51をフェルール11内に載置するための方法が描写されている。
図6〜
図7では、外側カバーまたはジャケット55、ならびにマルチファイバーケーブル50の光ファイバー51を取り囲む緩衝体(図示せず)および他の材料を取り外して、光ファイバーをフェルール11の内孔15と整合させている。
図8〜
図9では、ある長さの各光ファイバー51が内孔15に挿入され、フェルール11の前面12を超えて延在している。いくつかの事例では、各光ファイバー51の端面54が、フェルール11の前面12を少なくとも約5mm超えて延在し、よって、該前面が、光ファイバーのレーザー割断過程中の過剰な熱に晒されないようにすることが望ましくなり得る。
【0026】
図10〜
図11では、フェルール11を通って延在する各光ファイバー51の一部分がレーザー割断され得る。その際に、レーザー70は、光ファイバーの各列に沿って各光ファイバー51を順次的に切断または割断する、ビームを生成する。一実施例では、1.06μmの波長を有するCO
2 レーザーが使用され得る。他のレーザーも使用され得る。拡大部分53を作成するためには、光ファイバー51の溶解が微量であること望ましいと考えられる。レーザーとともに使用される過程の調整は、拡大部分53の構成を調整し得る。
【0027】
レーザー割断は、非常に滑らかなファイバー端面を生じさせ得るので、通常は機械的割断過程とともに行われる、光ファイバー51の端面54の機械的研磨がもはや必要ではない。研磨の排除は、時間のかかる作業を排除し、研磨紙またはフィルムおよび他の材料を節約し、また、研磨装置の必要性を排除する。加えて、研磨は、光ファイバー51の端面54の物理的特徴を変化させ、したがって、端面の角度位置に影響を及ぼし得る。フェルール11に終端されるマルチファイバー配列の事例において、光ファイバー51の端面54の角度位置の違いは、嵌合用構成要素の光経路との同時に起こる物理的接触を防止し得る。レーザー割断した光ファイバー51は、研磨する必要がないので、端面54の角度位置は、あまり変動を受けない。レーザー割断過程中に、該過程は、各光ファイバー51の端面54が上で説明されるような円弧形状または凸形状で形成されるように構成され得る。過程はまた、単に光ファイバーを割断するだけではなく、光ファイバー51の拡大部分53をさらに、または同時に形成するようにも構成され得る。そのような過程を通して、拡大部分53は、端部分52において光ファイバー51の一体的構成要素として統合的に形成される。レーザーの出力およびビーム角度は、端面54を作成するように調整され得、該端面は、本質的に平坦であるか、または僅かに凸状であり、また、光ファイバー51の軸に対して直角であり、また、光ファイバーよりも約0.5〜2.0μm大きい直径を有する比較的小さいファイバー先端部の拡大または拡大部分53を伴う。他のサイズの拡大部分53も想定される。そのような構成は、突き合わせ接続に望ましく、該突き合わせ接続では、ガラス−空気境界面に関してある特定の条件下で起こるファブリペロー干渉により、0.1μmを超える、嵌合した隣接するファイバー表面間の任意の空隙が、過剰な透過損失および反射損失につながり得る。
【0028】
レンズ付きの応用例で使用されるとき、光ファイバー51、レンズプレート30、および端面とレンズプレートとの間の任意の接着剤または他の材料が光学的に一致するように、端面54は、僅かに大きく凸状であり得る。その結果、レーザーの出力およびビーム角度は、最高で約5μmの凸状部を有する、より大きく凸状の端面を提供するように調整され得る。いくつかの応用例において、凸状部は、最高で10μm以上であり得る。この過程は、光ファイバーよりも約0.5〜5.0μm大きい直径を有する拡大部分53をもたらし得る。他のサイズの拡大部分53も想定される。
【0029】
光ファイバー51が割断され、拡大部分53が形成されると、
図12〜
図13で描写されるように、光ファイバーは、フェルール11の前面12に対して後方に移動される。一実施例において、光ファイバー51は、マルチファイバーケーブル50のジャケット55を引っ張る等によって、後方に引っ張られ得るか、または引き出され得る。別の実施例において、光ファイバー51は、想像線71(
図16)で描写される適切なツールで、端面54に対して押圧することによって後方に移動され得る。各光ファイバー51は、その拡大部分53が、拡大部分のより大きい直径のため、そのそれぞれの内孔15の端部分16に係合するまで、後方に移動され得る。
【0030】
拡大部分53は、内孔15内の光ファイバー51の後方への相対的な移動に対してある程度抵抗するという利点を提供する。光ファイバー51は、フェルール11が形成される材料よりもいくらか軟質である、ガラス等の材料で形成され得る。その結果、光ファイバー51に印加される力を増加させることによって、拡大部分53がいくらか変形され得、光ファイバー51は、拡大部分が存在していても、内孔15の中へ圧入され得る。その結果、光ファイバー51の拡大部分53が共平面でない場合であっても、光ファイバーは、フェルール11に対して移動して、該フェルールとの締まり嵌めまたは当接嵌めを形成し得、端面54は、共平面様式で位置付けられる。
【0031】
マルチファイバーケーブル50を引っ張るか、もしくは引き出すことによって、または光ファイバー51の端面54を押すことによって、光ファイバー51をフェルール11に対して後方に移動させることは、光ファイバーを一群としてともに移動させることにつながる。各光ファイバーの移動は、全般的に、その端部分52の拡大部分53がそのそれぞれの内孔15の端部分16に係合したときに停止する。しかしながら、複数の光ファイバー51をレーザー割断するとき、各マルチファイバーケーブル50の光ファイバーの端面54は、15μm以上も変動し得る。そのような変動は、明確にするため、
図14〜
図16では誇張されている。その結果、
図15で描写されるように、ケーブル50をフェルール11に対して後方に移動させると、拡大部分53のいくつかは、フェルール11の前面12に係合するが、他の拡大部分は、前面から離れたままである。
図16で描写されるように、ツール71によって、その拡大部分53が前面12から離れたままの光ファイバー51の端面54に力が印加され得る。ツール71と、その拡大部分53がフェルール11から離れている光ファイバー51との係合は、
図13で描写されるように、光ファイバーの拡大部分53の全てがフェルール11の前面12に係合し、端面が共平面になるまで、ケーブル50内の可撓性により、光ファイバーをフェルール11に対して後方に移動させ続ける。換言すれば、光ファイバー51は、ケーブル50の可撓性のため、ある程度独立して移動し得、よって、光ファイバーの全ての拡大部分53がフェルール11の前面12に係合するまで、光ファイバーの全てではないがいくつかが軸方向に移動し得る。その結果、長い方の光ファイバー51が、短い方の光ファイバーよりも長い距離を後方に移動して、レーザー割断過程における許容差によって生じる光ファイバー間の長さの違いを補償し得る。そのような構成によって、端面54のより大きい共平面性が達成され得る。
【0032】
所望であれば、フェルール11の前面12に対する複数の光ファイバー51の軸方向またはz軸整合は、アクティブに達成され得る。
図17〜
図18で描写されるように、アクティブ整合治具またはツール75が提供され得、該ツールは、フェルールアセンブリ10の各光ファイバー51の端面54と嵌合するように構成される、複数の光ファイバーインターフェース76を含む。光信号を、第1の区間78に沿って各光経路の中へ提供または注入し、さらに、第2の区間79に沿って任意の後方反射を測定することを可能にするために、スプリッター77(
図19)が提供され得る。ツール75は、理想的な、または「ゴールデン」ジャンパーとして構成され得、該ジャンパーでは、光インターフェース76が完全に直角で、共平面であり、よって、任意の後方反射は、フェルール11内の光ファイバー51の整合の尺度である。
【0033】
アクティブ整合過程を行うときには、各光ファイバー51を、フェルール11に対して後方に移動させる。光ファイバー51を移動させている間、または光ファイバーのいくつかまたは全てがフェルール11の内孔15の端部分16に係合した後に、ツール75の光インターフェース76が、光ファイバーの端面54に係合し得る。信号は、既知の供給源から、スプリッター78の第1の区間78に沿って提供または注入され得る。後方反射は、第2の区間79に沿って測定され、そして、入力信号と比較され得る。
【0034】
いかなる光ファイバー51の端面54もツール75のそれぞれの光インターフェースと接触していない場合は、第2の区間79において比較的大きい後方反射が測定される。次いで、ツール75は、フェルール11の前面12へ移動され得る。光インターフェース76と接触する光ファイバー51だけが、同様にツール75によって移動される。ツール75が移動し続けるにつれて、光ファイバー51の端面54から離れていた光インターフェース76のいずれかが、最終的に、光ファイバーの1つに係合する。光インターフェース76が各光ファイバー51の端面54に係合した後、各光ファイバーの後方反射は、端面が共通平面の中にあることを示す所定の値未満に低減される。換言すれば、ツール75は、光ファイバー51の少なくともいくつかをフェルール11に対して軸方向に移動させて、測定過程中に、内孔15内の光ファイバー51のいくつかの軸方向位置を調整するために使用され得る。光ファイバー51の端部分52の拡大部分53が内孔15のそれぞれの端部分16に係合すると、光ファイバーの軸方向移動量は、いくらか制限され得る。しかしながら、上で説明されるように、光ファイバー51のいくつかまたは全ての拡大部分53は、変形し得、そして、光ファイバーをさらにそれぞれの内孔15の中へ挿入することを可能にし得る。そのようなアクティブ整合過程によって、光ファイバー51の端面54は、共通平面の中に位置付けられ得る。いくつかの状況において、本明細書で開示されるアクティブ整合過程は、拡大部分53を有しない光ファイバー51とともに使用され得る。
【0035】
光ファイバー51がアクティブに整合するか、パッシブに整合するかに関係なく、端面54が所望の通りに位置付けられると、光ファイバー51をフェルール11に対して適所に固着するために、接着剤が使用され得る。いくつかの事例では、位置付け過程の完了直後に、第1の接着剤を使用して光ファイバー51を適所に固着または「粘着」し、次いで、その後の過程を使用して、永続的な様式で光ファイバーを固着することが望ましくなり得る。
【0036】
図20を参照すると、代替の実施形態では、光ファイバーの軸に対して直角な様式で光ファイバーを割断するのではなく、レーザー70および光ファイバー81が、光ファイバーの軸80に対してある角度で光ファイバーを割断するように構成され得る。そのような角度付き割断は、光ファイバーの軸に対してある角度の拡大部分83と、端面84とを有する、端部分82を作成する。単一モード光ファイバーに使用される実施例では、この角度が約8°であり得、一方で、マルチモード光ファイバーに関しては、約15°の角度が使用され得る。
図21で描写されるように、嵌合する光ファイバーの端面84は、所望の突き合わせ接触を達成するように、逆の様式で配向される。
【0037】
組み立て中に、光ファイバー81がフェルール11の前面12に対して後方に移動されるにつれて、拡大部分の前方部分または縁部86(すなわち、前面から最も遠い部分)より先に、拡大部分83の後方部分または縁部85(すなわち、前面に最も近い部分)が前面に接触する。フェルール11の前面12と、光ファイバー81の拡大部分83との一様でない、または角度のある接触は、光ファイバーの端部分82をそれらのそれぞれの光軸80から偏向させ得る。いくつかの状況において、端部分82の偏向は、光ファイバーのコアの整合を減少させ得、したがって、1対の嵌合する光ファイバーの端面84間のインターフェースの質を低下させ得る。拡大部分83が小さくなるにつれて、任意の偏向が起こり得る可能性が少なくなると考えられる。所望であれば、前面12に隣接するフェルール11の内孔15の一部分は、角度付きの拡大部分83の形状に賞賛的な形状(図示せず)で凹状にされ得、よって、拡大部分は、拡大部分の全円周面に沿ってフェルールに係合する。拡大部分の全円周面に沿ってフェルールに係合することによって、拡大部分83とフェルール11との間の一様でない力が排除または低減され得る。拡大部分83に沿って一様な力を維持することによって、光ファイバー81の端部分82が、フェルール11内に位置付ける間に偏向する可能性が少なくなる。
【0038】
図22で描写される別の実施形態において、フェルール91は、角度付き前面92、および該前面の中へ延在する複数の内孔95とともに構成され得る。前面92の角度は、拡大部分83の角度に一致し得、よって、拡大部分は、拡大部分の全円周面に沿ってフェルールに係合する。拡大部分の全円周面に沿ってフェルールに係合することによって、拡大部分83と角度付き前面92との間で一様な力が維持され得る。上で述べられるように、拡大部分83に沿って一様な力が維持されれば、光ファイバー81の端部分82が、フェルール11内での位置決め中に偏向する可能性が少なくなる。
【0039】
本開示の好ましい実施形態が示され、説明されているが、当業者は、上の説明および添付の特許請求の範囲の趣旨および範囲から逸脱することなく、種々の変形例を考案し得ることが想定される。