(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6434105
(24)【登録日】2018年11月16日
(45)【発行日】2018年12月5日
(54)【発明の名称】精製された脂肪酸を利用した機能性合成油の製造方法及びこれによって製造された機能性合成油
(51)【国際特許分類】
C10M 177/00 20060101AFI20181126BHJP
C10M 105/34 20060101ALI20181126BHJP
C07C 67/08 20060101ALI20181126BHJP
C11C 3/08 20060101ALI20181126BHJP
C11C 1/10 20060101ALI20181126BHJP
【FI】
C10M177/00
C10M105/34
C07C67/08
C11C3/08
C11C1/10
【請求項の数】6
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-184247(P2017-184247)
(22)【出願日】2017年9月26日
【審査請求日】2017年9月27日
(31)【優先権主張番号】10-2017-0116244
(32)【優先日】2017年9月12日
(33)【優先権主張国】KR
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】517337792
【氏名又は名称】カングー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】KWANGWOO CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100166372
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 博明
(74)【代理人】
【識別番号】100115451
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 武史
(74)【代理人】
【識別番号】100130029
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 道雄
(72)【発明者】
【氏名】チョオン, ビョンスウ
(72)【発明者】
【氏名】アン, ホンキュウ
(72)【発明者】
【氏名】キョウン, インヒュン
【審査官】
中野 孝一
(56)【参考文献】
【文献】
特表2015−522043(JP,A)
【文献】
特開2010−215756(JP,A)
【文献】
特表平11−509178(JP,A)
【文献】
特開平07−179390(JP,A)
【文献】
特開昭62−153253(JP,A)
【文献】
特開昭58−065794(JP,A)
【文献】
特開昭57−125296(JP,A)
【文献】
特開昭56−005436(JP,A)
【文献】
特開昭47−22407(JP,A)
【文献】
特公昭29−4281(JP,B1)
【文献】
特公昭27−002581(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C10M101/00−177/00、
C07B31/00−63/04、
C07C1/00−409/44、
C11B1/00−15/00
C11C1/00−5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
758mmhg以下の高真空システムで共沸物質を添加し、150℃〜250℃の温度でC8〜C12の含有量が0.3重量%以下となるように精製された脂肪酸を用意するステップと、
前記精製された脂肪酸とアルコールとのエステル反応を行うステップと、
未反応の反応物質を除去するステップと、
を含む、
精製された脂肪酸を利用した合成基油組成物の製造方法。
【請求項2】
前記精製された脂肪酸を用意するステップにて精製された脂肪酸は、C8〜C10の含有量が0%重量%である請求項1に記載の精製された脂肪酸を利用した合成基油組成物の製造方法。
【請求項3】
前記アルコールは、トリデシル(tridecyl)アルコール、テトラデシル(tetradecyl)アルコール、ペンタデシル(pentadecyl)アルコール、ヘキサデシルアルコール、1-ヒドロキシトリデシルアルコール、1-ヒドロキシペンタデシルアルコール、イソヘキサデシル(isohexadecyl)アルコール、イソステアリル(isostearyl)アルコール、イソトリデシルアルコール及びネオペンチルグリコールからなる群から選択される請求項1に記載の精製された脂肪酸を利用した合成基油組成物の製造方法。
【請求項4】
前記精製された脂肪酸とアルコールとのエステル反応を行うステップでは、
温度を180℃で1時間維持、200℃で1時間維持、及び230℃で1時間維持しながら最終的に250℃まで昇温して行うことである請求項1に記載の精製された脂肪酸を利用した合成基油組成物の製造方法。
【請求項5】
前記未反応の反応物質を除去するステップは、
730mmHg以下の圧力で5時間ないし10時間の間に維持するステップと、
20℃ないし50℃に冷却させるステップと
を含む請求項1に記載の精製された脂肪酸を利用した合成基油組成物の製造方法。
【請求項6】
前記精製された脂肪酸を用意するステップでは、吸着剤を利用する請求項1に記載の精
製された脂肪酸を利用した合成基油組成物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、精製された脂肪酸を利用した機能性合成油の製造方法及びこれによって製造された機能性合成油に関し、さらに詳細には、機能性合成油の原料になる脂肪酸の炭素数を調節精製し、このように精製された脂肪酸とアルコールとのエステル反応以後、未反応の反応物を除去して、高い効率で低粘度高引火点の機能性合成油の製造方法及びこれによって製造された機能性合成油に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、金属加工分野において利用される切削研削加工用油剤の基材としては、鉱油、炭化水素系合成油、エステルなどの含酸素系合成油などがある。また、エステルと炭化水素油を組み合わせた金属加工油組成物が知られている。
最近、環境問題によって工場、輸送事業者などは、いままで以上に電力燃料消費量の低減が求められており、各種産業機械自動車などに利用される切削研削加工用油剤、潤滑油にも省電力省燃費効果が求められている。
省電力省燃費効果を得るために、摩擦調整剤を添加し摩擦を減少させる方法があるが、低粘度の基油を利用することが有効な方法として研究されている。また、冬季の寒冷地などの低温下で使用される各種機械は、低温始動性が良好なことが求められ、そのためにも低粘度の基油を利用する方法が用いられている。
【0003】
一方、各種機械の高性能化、小型軽量化に伴い、潤滑油は、高温下で使用されるケースが多くなっている。このような部分に使用される潤滑油は、基油が蒸発しやすい傾向があるから、基油の蒸発特性(低蒸発性)の向上がさらに求められている。
しかしながら、一般に、基油の低蒸発性を改善しようとすれば、動粘度が高まる傾向がある。一方、省電力省燃費効果または低温始動性を基油で改善しようとすれば、基油の動粘度は低くなる傾向がある。これにより、低蒸発性でかつ底粘度である低温から高温までの広い温度範囲において長期間使用できる潤滑油に利用する基油が求められている。
【0004】
従来、金属加工分野において鉱油または炭化水素系合成油を使用する場合、粘度が同じ程度である含酸素系合成油に比べて引火点が低く、また潤滑性が落ちる傾向があるから、底粘度で、高温揮発性が低く引火点が高い油剤を得るためには、エステルなどの含酸素系合成油を使用した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記の課題を解決するために、酸素系合成油であるエステルを利用して低粘度高引火点合成基油組成物を製造するために、原料である脂肪酸を精製して、精製された混合脂肪酸とアルコールとのエステル反応により得られる組成物に同一粘度グレードに対して引火点が高く、高温揮発物質が低い低粘度高引火点合成基油組成物の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、また、本発明によって製造された高温揮発性が低く低温流動性が維持される低粘度高引火点合成基油を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の課題を解決すべく、
精製された脂肪酸を用意するステップと、
前記精製された脂肪酸とアルコールとのエステル反応を行うステップと、
未反応の反応物質を除去するステップと
を含み、
前記精製された脂肪酸を用意するステップにおける前記精製された脂肪酸は、C8ないしC12の含有量が0.3重量%以下である、
精製された脂肪酸を利用した合成基油組成物の製造方法を提供する。
【0007】
本発明による精製された脂肪酸を利用した低粘度高引火点合成基油組成物の製造方法は、エステル反応が反応原料の一つである脂肪酸を精製して使用することによって、動粘度が低いながらも引火点が高い合成基油を高い反応効率で製造できることを特徴とする。
【0008】
本発明による精製された脂肪酸を利用し
た合成基油組成物の製造方法において、前記精製された脂肪酸は、C8〜C10の含有量が0
重量%である脂肪酸と、C8〜C12の含有量が0.3
重量%以下である脂肪酸を特徴とする。
【0009】
本発明による精製された脂肪酸を利用した低粘度高引火点合成基油組成物の製造方法において、前記アルコールは、トリデシル(tridecyl)アルコール、テトラデシル(tetradecyl)アルコール、ペンタデシル(pentadecyl)アルコール、ヘキサデシルアルコール、1-ヒドロキシトリデシルアルコール、1-ヒドロキシペンタデシルアルコール、イソヘキサデシル(isohexadecyl)アルコール、イソステアリル(isostearyl)アルコール、イソトリデシルアルコール及びネオペンチルグリコールからなる群から選択されることを特徴とする。
【0010】
本発明による精製された脂肪酸を利用した低粘度高引火点合成基油組成物の製造方法において、前記精製された脂肪酸とアルコールとのエステル反応を行うステップでは、温度を180℃で1時間維持、200℃で1時間維持、及び230℃で1時間維持しながら最終的に250℃まで昇温して行うことを特徴とする。
【0011】
本発明による精製された脂肪酸を利用した低粘度高引火点合成基油組成物の製造方法において、前記未反応の反応物質を除去するステップは、730mmHg以下の圧力で5時間ないし10時間の間に維持するステップと、20℃ないし50℃に冷却させるステップとを含むことを特徴とする。本発明による精製された脂肪酸を利用した低粘度高引火点合成基油組成物の製造方法は、このような圧力及び温度調節により未反応副産物を除去することで製造される合成基油の物性を調節することを特徴とする。
【0012】
本発明は、また、本発明による精製された脂肪酸を利用した低粘度高引火点合成基油組成物の製造方法によって製造された低粘度高引火点合成基油組成物を提供する。
【0013】
本発明による低粘度高引火点合成基油組成物の引火点は、260℃以上であることを特徴とする。
【0014】
本発明による低粘度高引火点合成基油組成物の粘度は、
40℃で14ないし19
cStであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明による低粘度高引火点合成基油組成物を製造する方法は、脂肪酸を精製して炭素数を調節し、精製された脂肪酸とアルコールとのエステル反応によって経済的な方法で260℃以上の引火点を表しながらも高温揮発性物質が低く、低温流動性が維持される底粘度である合成基油組成物を製造できる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施例によってさらに詳細に説明する。しかしながら、本発明が以下の実施例によって限定されるものではない。
<実施例1>
<実施例1-1>脂肪酸の精製
C8〜C22炭素組成をなす混合脂肪酸として天然のパームまたはヤシから由来したトリグリセリド(triglycerides)を加水分解により製造された脂肪酸、すなわち、一般にヤシ脂肪酸及びパーム核油脂肪酸と呼ばれる混合脂肪酸を利用して、758mmhg以下の高真空システムにおいて共沸物質を添加し、150℃〜250℃まで温度条件を変化させながら低沸点脂肪酸C8〜C10を除去した。
【0017】
精製前後の脂肪酸含有量比は、以下の表1のとおりである。
【表1】
【0018】
<実施例1-2>エステル化反応
前記実施例1-1において精製された脂肪酸とネオペンチルグリコール(Neopentyl glycol)を使用して、エステル反応を行った。
撹拌しながら常圧で温度250℃まで段階的に昇温して反応を行い、合成率が99.8%以上行ったことを確認した後、未反応物質を除去するために、高真空下で長時間維持しながら反応を終了し冷却した。
【0019】
<実験例>
上記のように精製された脂肪酸を利用して製造された低粘度高引火点合成基油組成物の物性を測定した結果は、以下の表2のとおりである。
【0020】
<比較例1>
精製された脂肪酸でない天然のパームまたはヤシから由来したトリグリセロイドを加水分解により製造された脂肪酸、すなわち、一般にヤシ脂肪酸と呼ばれる混合脂肪酸を利用したことを除いては、前記実施例1と同様にして、高引火点合成基油組成物を製造した。
【0021】
製造された合成基油組成物の物性を測定した結果は、以下の表2のとおりである。
【表2】
前記表2中、本発明の実施例によって精製された脂肪酸を利用する場合、引火点が大きく高まりながらも動粘度が小幅高まるのを確認することができる。
【0022】
<実験例>
前記実施例において製造された合成基油に対して高温揮発性及び酸化安定性を評価した結果は、以下の表3のとおりである。50℃マッフル炉にて144時間空気中に露出して、加熱減量及び全酸価変化率を測定した。
【表3】
【0023】
<実施例2>
<実施例2-1>脂肪酸の精製
C8〜C22炭素組成をなす混合脂肪酸として天然トリグリセロイドを加水分解により製造された脂肪酸を利用して飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸を分離して製造された混合脂肪酸、具体的に慣用名である工業用オレイン酸を利用して、758mmhg以下の高真空システムで共沸物質を添加し、温度150℃〜250℃まで温度条件を変化させながら低沸点脂肪酸C8〜C12を除去した。
【0024】
精製前後の脂肪酸含有量比は、以下の表4のとおりである。
【表4】
【0025】
<実施例2-2>エステル化反応
前記実施例2-1において精製された脂肪酸とアルコールとしてイソトリデシルアルコールを使用して、エステル反応を行った。
撹拌しながら常圧で温度250℃まで段階的に昇温して反応を行い、合成率が99.8%以上行われたことを確認した後、未反応物質を除去するために、高真空下で長時間維持しながら反応を終了し冷却した。
【0026】
<実験例>
上記のように精製された脂肪酸を利用して製造された低粘度高引火点合成基油組成物の物性を測定した結果は、以下の表4の通りである。
<比較例2>
精製された脂肪酸でない一般的な工業用オレイン酸と呼ばれる混合脂肪酸を利用したことを除いては、前記実施例2と同様にして高引火点合成基油組成物を製造した。
【0027】
製造された合成基油組成物の物性を測定した結果は、以下の表5のとおりである。
【表5】
前記表5中、本発明の実施例によって精製された脂肪酸を利用する場合、引火点が大きく高まりながらも動粘度が高まるのを確認することができる。
【0028】
<実験例>
前記実施例2において製造された合成基油に対して高温揮発性及び酸化安定性を評価した結果は、以下の表6のとおりである。50℃マッフル炉で144時間空気中に露出して、加熱減量及び全酸価変化率を測定した。
【表6】
【0029】
<実施例3>脂肪酸の精製
<実施例3-1>吸着剤を利用した脂肪酸の精製
動物性牛脂から由来したオレイン酸を主な成分とする混合脂肪酸の各種脂質に対する精製のために、吸着剤Dalsorb 2500M/F50(MgO.3SIO2)を0.1%〜5.0%を使用して、温度30〜120℃で0.5時間から20時間30〜120RPMで精製を実施した。
【0030】
<実施例3-2>吸着剤を利用した脂肪酸の精製
吸着剤としてS社(新光化学工業)活性炭(Gap pal Type/SPO-10 Grade)とD社(Dallas group)Dalsorb 2500Mを使用して、50〜160℃、0.5〜3Hr吸着処理及びフィルタを使用したことを除いては、前記実施例3-1と同様に精製を実施した。
【0031】
<実施例3-3>吸着剤を利用した脂肪酸の精製
新光化学工業社の活性炭(Gap pal Type/PTK Grade)とDallas group Dalsorb F50を使用して、50〜160℃、0.5〜3Hr吸着処理及びフィルタを使用したことを除いては、前記実施例3-1と同様に精製を実施した。
【0032】
<実施例3-4>吸着剤を利用した脂肪酸の精製
新光化学工業社の活性炭(Gap pal Type/PSW Grade)とD社(Dallas group)Dalsorb F50を使用して、80〜110℃、1〜3Hr吸着処理及びフィルタを使用したことを除いては、前記実施例3-1と同様に精製を実施した。
<実施例3-5>吸着剤を利用した脂肪酸の精製
Calgon活性炭(CPG LF Type/12*40 Grade)を使用して、80〜110℃、1〜3Hr吸着処理及びフィルタを使用したことを除いては、前記実施例3-1と同様に精製を実施した。
【0033】
<実施例3-6>吸着剤を利用した脂肪酸の精製
KYOWAAD KW300S(Sanalmin,2.5MgO.Al2O3.xH2O)を使用して、80〜110℃、1〜3Hr吸着処理及びフィルタを使用したことを除いては、前記実施例3-1と同様に精製を実施した。
<実施例3-7>スチーム処理による脂肪酸の精製
混合脂肪酸の水溶性脂質を除去するためのライブスチーム処理を実施した。処理条件は、100〜220℃、3〜8Hr.8段カラムの上部層に製品を20ml/Hr流速で流し、下部では、蒸溜水スチームを吹き出した(Blowing)。
一定時間を滞留した後に下部バルブでサンプリングして脱臭及びD社(Dallas group)のDalsorb 2500Mを使用して、80〜110℃、1〜3Hr吸着処理及びフィルタを実施した。
【0034】
<実施例4>エステル化反応
<実施例4-1>
メカニカルシールタイプの反応器に縮合反応時に蒸気を凝縮できるコンデンサが装着された設備でパーム核油脂肪酸と1,6ヘキサンジオールを使用してエステル反応を行った。
常圧で徐々に昇温して250℃まで到達した後、合成率が99.8%になるまで行った後、未反応物質を除去するために、高真空下で長時間維持しながら反応を終了した。
製造された合成油の酸価0.10、粘度(40℃)14.4cSt、引火点236℃を得た。
<実施例4-2>
オレイン酸をメインとする混合脂肪酸と直鎖ラウリルアルコールを使用することを除いては、前記実施例4-1と同様にエステル反応を行った。
製造された合成油の酸価0.05、粘度(40℃)12.6cSt、引火点238℃を得た。
【0035】
<実施例4-3>
パームから由来したオレイン酸をメインとする混合脂肪酸と純粋直鎖ラウリン酸を混合してネオペンチルグリコールを使用することを除いては、前記実施例4-1と同様にエステル反応を行った
製造された合成油は、酸価0.21、粘度(40℃)16.93cSt、引火点234℃、流動点-15℃、雲り点-14℃を得た。
<実施例4-4>
パームから由来したオレイン酸をメインとする混合脂肪酸の割合を変更して純粋直鎖ラウリン酸を混合してネオペンチルグリコールを使用することを除いては、前記実施例4-1と同様にエステル反応を行った。
製造された合成油は、酸価0.20、粘度(40℃)19.22cSt、引火点254℃、流動点-7.5℃、雲り点-8℃を得た。
【0036】
<実施例4-5>
パームから由来したオレイン酸をメインとする混合脂肪酸とアルコールとしてネオペンチルグリコール、直鎖ラウリルアルコールを使用することを除いては、前記実施例4-1と同様にエステル反応を行った。
製造された合成油は、酸価0.20、粘度(40℃)16.78cSt、引火点262℃、流動点-10℃、雲り点9℃を得た。
<実施例4-6>
パーム核油から由来した混合脂肪酸とネオペンチルグリコールを使用することを除いては、前記実施例4-1と同様にエステル反応を行った
製造された合成油は、酸価0.32、粘度(40℃)17.74cSt、引火点248℃、流動点-7.5℃、雲り点7℃を得た。
【0037】
<実施例4-7>
パームから由来した動物性から由来したオレイン酸をメインとする混合脂肪酸とイソトリデシルアルコールを使用することを除いては、前記実施例4-1と同様にエステル反応を行った。
製造された合成油は、酸価0.34、粘度(40℃)16.10cSt、引火点242℃、流動点-43℃、雲り点-29℃を得た。
<実施例4-8>
パーム核油から由来した脂肪酸とオレイン酸をメインとする脂肪酸の混合物を利用してアルコールとしてネオペンチルグリコールを使用することを除いては、前記実施例4-1と同様にエステル反応を行った。
製造された合成油は、酸価0.11、粘度(40℃)21.66cSt、引火点258℃、流動点-11℃、雲り点-8℃を得た。
【0038】
<実施例4-9>
パームから由来したオレイン酸をメインとする混合脂肪酸とイソトリデシルアルコールとグリコール酸を使用することを除いては、前記実施例4-1と同様にエステル反応を行った。
製造された合成油は、酸価3.2、粘度(40℃)14.38cSt、引火点252℃、流動点-13℃、雲り点10℃を得た。
<実施例4-10>
パーム核油から由来したラウリン酸をメインとする混合脂肪酸とネオペンチルグリコールを使用することを除いては、前記実施例4-1と同様にエステル反応を行った。
製造された合成油は、酸価0.11、粘度(40℃)19.54cSt、引火点258℃、流動点-1℃、雲り点7℃を得た。
【0039】
<実施例4-11>
パーム核油から由来したラウリン酸をメインとする混合脂肪酸とイソトリデシルアルコールを使用することを除いては、前記実施例4-1と同様にエステル反応を行った。
製造された合成油は、酸価0.15、粘度(40℃)12.7cSt、引火点220℃、流動点-9℃、雲り点-8℃を得た。
【要約】
【課題】本発明は、精製された脂肪酸を利用した低粘度高引火点合成基油組成物の製造方法及びこれによって製造された低粘度高引火点合成基油を提供し、さらに詳細には、合成基油の原料になる脂肪酸を精製して炭素数を調節し、このように精製された脂肪酸とアルコールとのエステル反応以後、未反応の反応物を除去して高い効率で低温流動性を維持し、高温揮発物質が最小になった低粘度高引火点合成基油組成物を製造する方法及びこれによって製造された低粘度高引火点合成基油を提供すること。
【解決手段】 本発明の精製された脂肪酸を利用した低粘度高引火点合成基油組成物の製造方法は、精製された脂肪酸を用意するステップと、前記精製された脂肪酸とアルコールとのエステル反応を行うステップと、未反応の反応物質を除去するステップとを含む。
【選択図】なし