【実施例1】
【0014】
図1は本発明のハイブリッド式作業車両の第1の実施の形態を適用するハイブリッド式ホイールローダのシステム構成図、
図2は従来のホイールローダの代表的なシステム構成図、
図3は本発明のハイブリッド式作業車両の第1の実施の形態を構成する制御装置の構成図、
図4は本発明のハイブリッド式作業車両の第1の実施の形態を構成するハイブリッド制御装置の構成を示すブロック図である。
【0015】
図1に示すハイブリッド式ホイールローダは、動力源として、エンジン1と蓄電装置11を備え、主な駆動部として、電動化した走行部(ホイール部分)とフロントの油圧作業部(リフト/バケット部分)とを有している。ハイブリッド式ホイールローダの走行部は、エンジン1の出力軸に連結された発電電動機(モータ/ジェネレータ(M/G))6と、発電電動機6を制御するインバータ7と、4つの車輪61を有する走行体60と、走行体60のプロペラシャフト8に取り付けられ4つの車輪61を駆動する走行用電動機9と、走行用電動機9を制御するインバータ10と、蓄電装置11の出力電圧の昇圧降圧制御を行うDCDCコンバータ12と、制御装置200とを備えている。
【0016】
ハイブリッド式ホイールローダの油圧作業部は、発電電動機6の回転軸に連結された可変容量型の油圧ポンプ4と、バケット及びリフトアーム(図示せず)を有し車体前方に取り付けられた作業装置50と、コントロールバルブ55を介して油圧ポンプ4から供給される圧油によって駆動される油圧アクチュエータ(バケットシリンダ51、リフトシリンダ52及びステアリングシリンダ53)と、油圧アクチュエータ51,52,53を駆動するための操作信号を操作量に応じて出力する操作装置(操作レバー装置56及び図示しないステアリングホイール)とを備えている。
【0017】
バケットシリンダ51及びリフトシリンダ52は、キャブ内に設置された操作レバー装置56の操作量に応じて出力される操作信号(油圧信号)に基づいて駆動される。リフトシリンダ52は、車体前方に回動可能に固定されたリフトアームに取り付けられており、操作レバー装置56からの操作信号に基づいて伸縮してリフトアームを上下に回動させる。バケットシリンダ51は、リフトアームの先端に回動可能に固定されたバケットに取り付けられており、操作レバー装置56からの操作信号に基づいて伸縮してバケットを上下に回動させる。ステアリングシリンダ53は、キャブ内に設置されたステアリングホイール(図示せず)の操舵量に応じて出力される操作信号(油圧信号)に基づいて駆動される。ステアリングシリンダ53は、各車輪61に連結されており、ステアリングホイールからの操作信号に基づいて伸縮して車輪61の舵角を変更する。車輪61の近傍には、回転速度を検出する速度センサ62が配置されている。
【0018】
蓄電装置11としては、リチウム電池もしくは電気二重層キャパシタといった大容量の蓄電装置が好ましい。本実施の形態における蓄電装置11は、DCDCコンバータ12によってDCバス部のシステム電圧の昇降圧制御を行い、インバータ7,10(すなわち、発電電動機6及び走行用電動機9)との間で直流電力の授受を行う。
【0019】
上記のように構成されるハイブリッド式ホイールローダでは、土砂などの掘削作業を行うための作業装置50に可変容量型の油圧ポンプ4から適宜圧油を供給することで目的に応じた作業を実施する。また、走行体60の走行動作は、主にエンジン1の動力により発電電動機6で発電した電力を利用し、走行用電動機9を駆動することにより行う。その際、蓄電装置11では、車両制動時に走行用電動機9が発生する回生電力を吸収したり、発電電動機6又は走行用電動機9に蓄電電力を供給することでエンジン1に対する出力アシストを行ったりすることで、車両の消費エネルギー低減とエンジン1の小型化に寄与する。なお、本発明が対象とするハイブリッドシステムは、
図1の構成例に限られるものではなく、走行部パラレル型等の多様なシステム構成にも適用可能である。
【0020】
図2に示す従来のホイールローダは、主な駆動部として、走行部(ホイール部分)とフロントの油圧作業部(リフト/バケット部分)とを有しているが、トルクコンバータ(トルコン)2およびトランスミッション(T/M)3を介してエンジン1の動力を車輪61に伝えて走行を行い、さらに油圧ポンプ4によって駆動される作業装置50で土砂等を掘削・運搬する。トルコンの動力伝達効率は電気による動力伝達効率より劣るため、
図2に示したホイールローダの走行駆動部分を電動化(パラレル式ハイブリッド構成も含む)すると、エンジン1からの動力伝達効率を向上させることが可能となる。さらに、作業中のホイールローダでは頻繁に発進・停止の走行動作が繰り返されるため、上記のように走行駆動部分を電動化した場合には走行用電動機9から制動時の回生電力の回収が見込めるようになる。このようにホイールローダの駆動装置の一部を電動化してハイブリッド化すると、一般に燃料消費量を数10%程度低減可能になる。
【0021】
図3に示すように、本実施の形態のハイブリッド式ホイールローダには、制御装置200として、
図1に示したハイブリッドシステム全体のエネルギーフローやパワーフロー等の制御を行うコントローラであるハイブリッド制御装置20と、コントロールバルブ(C/V)55や油圧ポンプ4を制御する油圧制御装置21と、エンジン1の制御を行うエンジン制御装置22と、インバータ7,10を制御するインバータ制御装置23と、DCDCコンバータ12を制御するコンバータ制御装置24が搭載されている。
【0022】
各制御装置20,21,22,23,24は、処理内容や処理結果が記憶される記憶装置(RAM、ROM等)(図示せず)と、当該記憶装置に記憶された処理を実行する処理装置(CPU等)(図示せず)を備えている。また、各制御装置20,21,22,23,24は、CAN(Controller Area Network)を介して互いに接続されており、相互に各機器の指令値及び状態量を送受信している。ハイブリッド制御装置20は、
図3に示すように、油圧制御装置21、エンジン制御装置22、インバータ制御装置23及びコンバータ制御装置24の各コントローラの上位に位置し、システム全体の制御を行っており、システム全体が最高の作業性能を発揮するように他の各制御装置21〜24に具体的動作の指令を与える。
【0023】
なお、
図3に示した各制御装置20〜24は、
図1に示すハイブリッドシステムの各駆動部分を制御するために必要なコントローラのみを示している。実際車両を成立させる上では、その他にモニタや情報系のコントローラが必要となってくるが、それらは本発明と直接的な関係が無いため図示していない。また、各制御装置20〜24は、
図3に示すように他の制御装置と別体である必要はなく、ある1つの制御装置に2つ以上の制御機能を実装しても構わない。
【0024】
ハイブリッド制御装置20は、
図4に示すように、ホイールローダの現在の動作内容を判定する動作判定部30と、エンジン1の出力と蓄電装置11の出力を各駆動部に分配する動力演算部31と、車両全体の要求出力値に応じてエンジン1の回転数指令を決定するエンジン制御部32と、発電要求値に応じて発電電動機6のトルク指令を決定するM/G制御部33と、操作レバー装置56の操作量等から演算された油圧ポンプ4の動力要求値から油圧ポンプ4の傾転角指令値を演算する油圧制御部34と、アクセル/ブレーキペダル操作量及び現在の車速から演算された走行動力要求値から走行用電動機9のトルク指令を演算する走行制御部35を備えている。
【0025】
ハイブリッド制御装置20には、操作レバー装置56から出力された操作信号と、キャブ内に設置されたアクセルペダル及びブレーキペダルの踏み込み量と、車両の進行方向として前進又は後退を選択するためのF/Rスイッチから出力され当該スイッチ位置(前進又は後退)を示すスイッチ信号(F/R信号)と、速度センサ62によって検出された車輪61の回転速度から演算される車両速度(車速)と、インバータ10から出力される走行用電動機9の回転数とが入力されている。なお、アクセルペダルはエンジン1の回転数を制御するものであり、ブレーキペダルは車輪61の制動装置(図示せず)を制御するものである。また、蓄電装置11から蓄電装置11の電圧や電流などの各種状態量や電力制限値を動力演算部31に入力して、蓄電装置11の状態が過放電や過充電のような異常状態とならないように充放電制御が実施される。
【0026】
このように、本実施の形態におけるハイブリッドシステムは、車両を駆動するための動力源としてエンジン1ならびに蓄電装置11を有している。ハイブリッド制御装置20の動力演算部31は、主に作業装置50の動力要求値Pfと走行用電動機9の動力要求値Prunの和に相当する車両の要求動力に対して、エンジン1及び蓄電装置11の状態に応じて、最終的な走行部のパワーと油圧作業部のパワーとを決定する。
【0027】
図5は本発明のハイブリッド式作業車両の第1の実施の形態におけるハイブリッドシステムのパワーフローを示す模式図である。ここで、Pmg_in、Pmg_outは、それぞれ発電電動機6の入力パワー及び出力パワーを示している。また、Pe、Pcは、それぞれエンジン1の出力値及び蓄電装置11の出力値を示している。ここで、本実施の形態におけるハイブリッド制御装置20の動力演算部31は、下記式(1)及び(2)にしたがって、エンジン出力Peと蓄電装置出力Pcを作業装置50の出力Pfと走行用電動機9の出力Prunに分配する処理を行うと共に、動作判定部30が判定したホイールローダの現在の動作内容と、エンジン1及び蓄電装置11の状態に応じて、最終的な走行部のパワーと油圧作業部のパワーとを決定する。ハイブリッド制御装置20は、この最終的な走行部のパワーと油圧作業部のパワーに応じて作業装置50及び走行電動機9に指令値を与える。
Pf = Pe − Pmg_in …式(1)
Prun = Pmg_out + Pc …式(2)
【0028】
ところで、本発明で対象としているホイールローダには、いくつかの基本的動作パターンがあり、ハイブリッド制御装置20は、それらの動作に応じて車両を最適に稼動させる必要がある。例えば、最も代表的な作業パターンとしては、V字掘削積込作業がある。
【0029】
図6はホイールローダの作業パターンの一例であるV字掘削積込作業を説明する模式図である。V字掘削積込作業は実際のホイールローダの作業全体に対して、約7割以上を占める主な動作パターンである。これは、ホイールローダを砂利山などの掘削対象物に対して前進させ、バケットを掘削対象物に突っ込むような形で貫入させて、砂利等の運搬物をバケットに積み込む掘削作業と、掘削作業終了後にバケットをリフトしながら後進して元の位置に戻り、ホイールローダの進行方向を運搬車両へ向け直して、前進してバケットを運搬車両のベッセルまで上昇させる積車走行作業と、バケット内の砂利等の運搬物を放土することで、運搬車両に積み込むダンプ作業と、ダンプ作業終了後に後進して元の位置に戻り、ホイールローダの進行方向を砂利山などの掘削対象物へ向け直す空車走行作業とからなる。ホイールローダは、このようにV字軌跡を描きながら、掘削積込作業を繰り返し行なう。
【0030】
図7は本発明のハイブリッド式作業車両の第1の実施の形態における掘削作業時の走行部パワーと油圧作業部パワーとを説明する模式図である。ハイブリッド式ホイールローダで行なうV字掘削積込作業のうち、特に掘削作業については、
図7に示す走行部パワーと作業装置50の油圧作業部パワーとの動力配分を適正に行う必要がある。例えば、上述した掘削作業を行なう際に、油圧作業部パワーに対して走行部パワーを過大に配分すると、ハイブリッド式ホイールローダは、バケットを掘削対象物に突っ込みすぎることになり、過重な砂利等の運搬物をバケットに乗せる。このとき、油圧作業部パワーが走行部パワーに対して相対的に小さくなっているので、バケットをリフトアップできなくなる可能性が生じる。一方、油圧作業部パワーに対して走行部パワーを過小に配分すると、ハイブリッド式ホイールローダは、バケットを掘削対象物にあまり突っ込めなくなると共に、油圧作業部パワーが走行部パワーに対して相対的に大きくなっているため、バケットの上昇速度が大きくなる可能性が生じる。この結果、運搬物を効率よく積み込めなくなることが考えられる。
【0031】
このため、ハイブリッド式ホイールローダにおいては、上述した掘削作業時には、作業効率を上げるため、走行部のパワーと作業装置50の油圧作業部パワーを予め最適な分配となるように設定することが有効である。なお、この走行部パワーと油圧作業部パワーの最適配分率は、実車両での作業性能から決定することが最も有効と考えられるが、ある特定の分配比率に固定されるものではなく、ある程度許容される変動幅を有していてもかまわない。但し、掘削作業において、走行部、油圧作業部のいずれかに偏ったパワー配分を設定すると作業効率が低下することは明らかである。
【0032】
このようにハイブリッド式ホイールローダにおいては、作業効率の向上を図るために、その時々の作業状態に応じて、走行部と油圧作業部の最適なパワー配分が必要になる。本実施の形態におけるハイブリッド式ホイールローダは、このような動作を実現するために、ハイブリッド制御装置20内に動作判定部30と動力演算部31とを備えている。
【0033】
図8は本発明のハイブリッド式作業車両の第1の実施の形態を構成する動作判定部と動力演算部の入出力関係を示すブロック図である。動作判定部30には、車両の動作および作業に関する情報、すなわち、操作レバー装置56の操作量と、アクセルペダル及びブレーキペダル踏み込み量と、F/Rスイッチのスイッチ信号と、走行用電動機9の回転数と、車速と、バケット位置の信号とが入力されている。動作判定部30は、これらの入力情報に基づいてホイールローダの現在の動作内容を判定する。また、動作判定部30からは、判定したホイールローダの動作内容と油圧動力要求値Pfと走行動力要求値Prunとが動力演算部31へ出力される。動力演算部31には、上述した信号の他に蓄電装置11からの出力制限信号と、エンジン1からのエンジン出力信号とが入力されている。動力演算部31は、これらの入力信号に応じて、最終的な走行部のパワーと油圧作業部のパワーとを決定する。
【0034】
図9は本発明のハイブリッド式作業車両の第1の実施の形態を構成する動作判定部の構成と処理内容を示すブロック図である。
図9に示すように動作判定部30は、油圧動力要求演算部40と走行動力要求演算部41と動作演算部42とを備えている。
【0035】
油圧動力要求演算部40は、操作レバー装置56の操作量及び車速を入力し、油圧動力要求値Pfを演算する。ここでの演算方法については、例えば、操作量に応じた作業装置50の動作を規定し、その動作が実現できる油圧ポンプ4のパワーを決定する。この油圧ポンプ4のパワーの決定方法に関しては、特に限定されるものではないが、例えば、操作レバー装置56の操作量に応じて予めパワーの大きさを決めておき、制御装置の中でテーブル検索等を行って決定するものでも良く、この場合、チューニング作業等が容易に行えるというメリットがある。
【0036】
走行動力要求演算部41は、アクセルペダル及びブレーキペダル踏み込み量、F/Rスイッチのスイッチ信号、走行用電動機9の回転数、及び車速を入力し、走行動力要求値Prunを演算する。ここでの演算方法についても、油圧動力要求値Pfと同様に各ペダル踏み込み量に応じたパワーを決めておき、制御装置の中でテーブル検索等を行って決定するものでも良い。
【0037】
動作演算部42は、車速と、バケット位置の信号と、油圧動力要求演算部40で算出した油圧動力要求値Pfと、走行動力要求演算部41で算出した走行動力要求値Prunとを入力し、ホイールローダの動作内容を判定する。具体的には、各入力値と、予め設定された車速に対する油圧動力要求値Pfの閾値と、走行動力要求値Prunの閾値と、バケット位置の閾値とを、各々比較し、これらの入力値がすべて閾値を上回ったことを条件にして、掘削作業であると判定する。
【0038】
上述したようにホイールローダの掘削作業は、バケット位置を低くして車両を前進させ、作業装置50を上昇させるという走行部と作業部の複合動作である。このため、上述したように、バケット位置と車両の加速状態と、オペレータの操作により要求されている油圧動力要求値Pfと走行動力要求値Prunとを監視することで、ホイールローダの掘削作業を判定することが可能となる。
【0039】
図8に戻り、動力演算部31には、動作判定部30が出力した信号以外に、蓄電装置11からの出力制限信号と、エンジン1からのエンジン出力信号とが入力されている。動力演算部31は、例えば、動作内容が掘削作業であるという信号が入力された場合には、まず、油圧動力要求値Pfと走行動力要求値Prunとエンジン出力に対して、上述した適正配分となるようにして走行部パワーと作業部パワーを決定する。そして、例えば、蓄電装置11からの出力制限信号がある場合には、その制限値に応じた係数を乗算することにより、最終的な走行部パワーと油圧作業部パワーを決定し出力する。このことにより、ホイールローダの掘削作業時には、走行部と油圧作業部とのパワーが適切な比率で配分される。この結果、掘削作業時の作業効率が向上する。例えば、掘削時の走行部と油圧作業部の出力比を予め6:4〜4:6等に設定し、掘削対象物(地山)が固い場合には、油圧作業部の出力に比較して走行部の出力を大きくし、掘削対象物(地山)が柔らかい場合には、走行部の出力に比較して油圧作業部の出力を大きくする。
【0040】
蓄電装置11からの出力制限としては、例えば、ハイブリッドシステムを構成する蓄電装置11にリチウム電池を使用した場合、リチウム電池の温度が上昇して閾値を超えたときや、出力電流の値が閾値を超えたときなどに電池出力を制限する。このようなときに、本実施の形態においては、
図8に示す動力演算部31が、ホイールローダの動作内容(掘削作業)と走行動力要求値Prunと油圧動力要求値Pfとを入力しているため、走行部パワー指令のみを制限するのではなく、予め設定された走行部パワーと油圧作業部パワーの適切な比率を保持するように油圧作業部パワー指令も調整する。この結果、掘削作業における作業効率の低下が防止できる。
【0041】
なお、油圧作業部パワー指令が制限された場合には、例えば、
図4に示すハイブリッド制御装置20の油圧制御部34から油圧制御装置21を介して、可変容量型の油圧ポンプ4の傾転角度を下げる制御がなされる。
【0042】
次に、動作判定部30と動力演算部31による処理内容を図を用いて説明する。
図10は本発明のハイブリッド式作業車両の第1の実施の形態を構成するハイブリッド制御装置の処理手順を示すフローチャート図である。
【0043】
ハイブリッド制御装置20の動作判定部30は、現在のホイールローダの作業内容が掘削作業か否かを判定する(ステップS100)。具体的には、動作判定部30の動作演算部42において、車速とバケット位置の信号と油圧動力要求値Pfと走行動力要求値Prunとを入力し、入力信号と予め定めた各閾値とを各々比較することで、ホイールローダの現在の動作内容が掘削作業か否かを判定する。動作判定部30は、ホイールローダの現在の動作内容が掘削作業と判定した場合は、(ステップS101)へ進み、それ以外の場合は、処理終了とする。
【0044】
ハイブリッド制御装置20の動力演算部31は、蓄電装置11の出力制限が発生しているか否かを判定する(ステップS101)。具体的には、動力演算部31において、蓄電装置からの出力制限指令信号の有無で判定する。例えば、リチウム電池の温度が上昇して閾値を超えた場合や、出力電流の値が閾値を超えた場合などに、出力制限指令が出力される。動力演算部31は、蓄電装置11の出力制限が発生していると判定した場合は、(ステップS102)へ進み、それ以外の場合は、処理終了とする。
【0045】
ハイブリッド制御装置20の動力演算部31は、走行部パワーの制限を実施する(ステップS102)。具体的には、動力演算部31において、蓄電装置11からの出力制限量に応じて、走行動力要求値Prunを制限して、走行部パワー指令として出力する。
【0046】
ハイブリッド制御装置20の動力演算部31は、予め設定された走行部パワーと油圧作業部パワーの比率となるように油圧作業部パワーの制限を実施する(ステップS103)。具体的には、動力演算部31において、出力制限された走行部パワー指令と所定のパワー比率となるように油圧動力要求値Pfを制限して油圧作業部パワーを決定し、油圧作業部パワー指令として出力する。
【0047】
以上の処理を実行することにより、蓄電装置11に出力制限が発生した場合においても、走行部と油圧作業部のパワー比率を最適に制御することができる。このことにより、出力制限下における作業効率を向上させることが可能となる。
【0048】
上述した本発明のハイブリッド式作業車両の第1の実施の形態によれば、走行駆動部を電動化したハイブリッド式作業車両において、車両の要求動力に対して、蓄電装置11の出力制限等によりハイブリッドシステムの出力パワーが制限される場合においても、作業効率の高いハイブリッド式作業車両を提供することができる。
【実施例2】
【0049】
以下、本発明のハイブリッド式作業車両の第2の実施の形態を図面を用いて説明する。
図11は本発明のハイブリッド式作業車両の第2の実施の形態を構成するハイブリッド制御装置の処理手順を示すフローチャート図である。
【0050】
本実施の形態におけるハイブリッド式作業車両は、その構成及び運用方法は第1の実施の形態と大略同様である。第1の実施の形態は、大容量の蓄電装置11を備え、通常の動作において蓄電装置11のパワーを使用する前提で設計した(エンジン1を小型化した)ハイブリッドシステムを対象としているのに対し、第2の実施の形態は、ある程度大きな容量のエンジン1を備え、蓄電装置11のパワーはエンジン1のパワーが不足した時にアシストするだけに使用するハイブリッドシステムを対象とする点が異なる。
【0051】
本実施の形態における、動作判定部30と動力演算部31による処理内容を図を用いて説明する。
図11は本発明のハイブリッド式作業車両の第2の実施の形態を構成するハイブリッド制御装置の処理手順を示すフローチャート図である。
【0052】
ハイブリッド制御装置20の動作判定部30は、現在のホイールローダの作業内容が掘削作業か否かを判定する(ステップS110)。具体的には、動作判定部30の動作演算部42において、車速とバケット位置の信号と油圧動力要求値Pfと走行動力要求値Prunとを入力し、入力信号と予め定めた各閾値とを各々比較することで、ホイールローダの現在の動作内容が掘削作業か否かを判定する。動作判定部30は、ホイールローダの現在の動作内容が掘削作業と判定した場合は、(ステップS111)へ進み、それ以外の場合は、処理終了とする。
【0053】
ハイブリッド制御装置20の動力演算部31は、蓄電装置11の出力制限が発生しているか否かを判定する(ステップS111)。具体的には、動力演算部31において、蓄電装置からの出力制限指令信号の有無で判定する。例えば、リチウム電池の温度が上昇して閾値を超えた場合や、出力電流の値が閾値を超えた場合などに、出力制限指令が出力される。動力演算部31は、蓄電装置11の出力制限が発生していると判定した場合は、(ステップS112)へ進み、それ以外の場合は、処理終了とする。
【0054】
ハイブリッド制御装置20の動力演算部31は、蓄電装置11の出力制限に対しエンジン1で出力可能か否かを判定する(ステップS112)。具体的には、動力演算部31において、蓄電装置11からの出力制限量に対してその制限分をエンジン1で出力可能か否か(現在のエンジン1の出力に余裕があるか否か)を判定する。動力演算部31は、蓄電装置11の出力制限に対しエンジン1で出力可能と判定した場合は、(ステップS113)へ進み、それ以外の場合は、(ステップS115)へ進む。
【0055】
ハイブリッド制御装置20の動力演算部31は、エンジン1で出力を補償し走行部パワーを決定する(ステップS113)。具体的には、エンジン1の出力を上昇させることで、蓄電装置11の出力制限分を補償しながら走行部パワーを決定する。
【0056】
(ステップS112)において、蓄電装置11の出力制限に対しエンジン1で出力可能ではないと判定した場合、ハイブリッド制御装置20の動力演算部31は、走行部パワーの制限を実施する(ステップS115)。具体的には、動力演算部31において、蓄電装置11からの出力制限量に応じて、走行動力要求値Prunを制限して、走行部パワー指令として出力する。
【0057】
ハイブリッド制御装置20の動力演算部31は、予め設定された走行部パワーと油圧作業部パワーの比率となるように油圧作業部パワーの制限を実施する(ステップS114)。具体的には、動力演算部31において、出力制限された走行部パワー指令または出力補償された走行部パワー指令と所定のパワー比率となるように油圧動力要求値Pfを調整して油圧作業部パワーを決定し、油圧作業部パワー指令として出力する。
【0058】
上述した本発明のハイブリッド式作業車両の第2の実施の形態によれば、上述した第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0059】
また、上述した本発明のハイブリッド式作業車両の第2の実施の形態によれば、蓄電装置11に出力制限が発生した場合においても、車両自体のパワーを制限することなく作業効率の高いホイールローダを提供することができる。
【0060】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。