(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6434142
(24)【登録日】2018年11月16日
(45)【発行日】2018年12月5日
(54)【発明の名称】低温ポリシリコン半導体薄膜トランジスタに基づくGOA回路
(51)【国際特許分類】
G09G 3/36 20060101AFI20181126BHJP
G09G 3/20 20060101ALI20181126BHJP
G11C 19/28 20060101ALI20181126BHJP
H03K 17/16 20060101ALI20181126BHJP
【FI】
G09G3/36
G09G3/20 611J
G09G3/20 622E
G09G3/20 670E
G11C19/28 230
H03K17/16 J
【請求項の数】10
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-522838(P2017-522838)
(86)(22)【出願日】2015年2月6日
(65)【公表番号】特表2018-501505(P2018-501505A)
(43)【公表日】2018年1月18日
(86)【国際出願番号】CN2015072355
(87)【国際公開番号】WO2016070510
(87)【国際公開日】20160512
【審査請求日】2017年6月12日
(31)【優先権主張番号】201410609156.X
(32)【優先日】2014年11月3日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】515203228
【氏名又は名称】深▲せん▼市華星光電技術有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100143720
【弁理士】
【氏名又は名称】米田 耕一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100080252
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 征四郎
(72)【発明者】
【氏名】肖軍城
【審査官】
小野 健二
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−262296(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2014/0103983(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2014/0267214(US,A1)
【文献】
米国特許第08854292(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 3/00−3/38
G02F 1/133
G11C 19/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カスケード接続する複数のGOAユニットを具え、Nを正の整数とし、
第N段GOAユニットは、プルアップ制御部と、プルアップ部と、第1プルダウン部と、プルダウンホールディング回路部と、トランスファー部と、を含み、
該プルアップ制御部は、該第N段GOAユニットの前段第N−1段GOAユニットの駆動出力端に電気的に接続するゲート電極と、該第N段GOAユニットの前段第N−1GOAユニットの出力端に電気的に接続するソース電極と、第1ノードに電気的に接続するドレイン電極と、を含む第1トランジスタを具え、
該プルアップ部は、第1ノードに電気的に接続するゲート電極と、第1クロック駆動信号に電気的に接続するソース電極と、出力端に電気的に接続するドレイン電極と、を含む第2トランジスタを具え、
該プルダウンホールディング回路部は、第1ノードと、出力端と、直流定電圧高電位と、第1、第2、第3直流定電圧低電位と、に電気的に接続し、
該プルダウンホールディング回路部は、高低電位逆算設計を採用し、かつ第3トランジスタと、第4トランジスタと、第5トランジスタと、第6トランジスタと、第7トランジスタと、第8トランジスタと、第10トランジスタと、第12トランジスタと、第13トランジスタと、を含み、
該第3トランジスタは、ゲート電極とソース電極とがいずれも直流定電圧高電位に電気的に接続し、ドレイン電極が該第5トランジスタのソース電極に電気的に接続し、
該第4トランジスタは、ゲート電極が該第3トランジスタのドレイン電極に電気的に接続し、ソース電極が直流定電圧高電位に電気的に接続し、ドレイン電極が第2ノードに電気的に接続し、
該第5トランジスタは、ゲート電極が第1ノードに電気的に接続し、ソース電極が第3トランジスタのドレイン電極に電気的に接続し、ドレイン電極が第1直流定電圧低電位に電気的に接続し、
該第6トランジスタは、ゲート電極が第1ノードに電気的に接続し、ソース電極が第2ノードに電気的に接続し、ドレイン電極が該第8トランジスタのゲート電極に電気的に接続し、
該第7トランジスタは、ゲート電極が第1ノードに電気的に接続し、ソース電極が第2ノードに電気的に接続し、ドレイン電極が該第8トランジスタのソース電極に電気的に接続し、
該第8トランジスタは、ゲート電極が該第6トランジスタのドレイン電極に電気的に接続し、ソース電極が該第7トランジスタのドレイン電極に電気的に接続し、ドレイン電極が第3直流定電圧低電位に電気的に接続し、
該第10トランジスタは、ゲート電極が第2ノードに電気的に接続し、ソース電極が直流定電圧高電位に電気的に接続し、ドレイン電極が該第7トランジスタのドレイン電極に電気的に接続し、
該第12トランジスタは、ゲート電極が第2ノードに電気的に接続し、ソース電極が第1ノードに電気的に接続し、ドレイン電極が第2直流定電圧低電位に電気的に接続し、
該第13トランジスタは、ゲート電極が第2ノードに電気的に接続し、ソース電極は出力端に電気的に接続し、ドレイン電極が第1直流定電圧低電位に電気的に接続し、
該第3トランジスタと、該第4トランジスタと、該第5トランジスタと、該第6トランジスタと、該第7トランジスタが順方向に高電位を提供して該第12トランジスタと該第13トランジスタの開放の制御に用いられ、
該第8トランジスタが作動時間において第2ノードをプルダウンするために用いられ、
直流定電圧高電位を利用して非作動時間において第2ノードに適宜な高電位を提供して第1ノードと出力端とに低電位を維持させ、
該第1プルダウン部は該第1ノードと、第2クロック駆動信号と、第2直流定電圧低電位とに電気的に接続し、かつ該第1プルダウン部は該第2クロック駆動信号に基づいて該第1ノードの電位を該第2直流定電圧低電位に至るまでプルダウンし、
該第1プルダウン部は、第2クロック駆動信号に電気的に接続するゲート電極と、第1ノードに電気的に接続するソース電極と、第2直流定電圧低電位に電気的に接続するドレイン電極と、を含む第14トランジスタを具え、
該トランスファー部は、第1ノードに電気的に接続するゲート電極と、第1クロック駆動信号に電気的に接続するソース電極と、駆動出力端に電気的に接続するドレイン電極と、を含む第15トランジスタを具え、
該第3直流定電圧低電位と、該第2直流定電圧低電位と、該第1直流定電圧低電位との関係が該第3直流定電圧低電位<該第2直流定電圧低電位<該第1直流定電圧低電位である
ことを特徴とする低温ポリシリコン半導体薄膜トランジスタに基づくGOA回路。
【請求項2】
請求項1に記載の低温ポリシリコン半導体薄膜トランジスタに基づくGOA回路において、
前記プルダウンホールディング回路部が、第9トランジスタは、第6トランジスタのドレイン電極に電気的に接続するゲート電極と、第10トランジスタのゲート電極に電気的に接続するソース電極と、第3直流定電圧低電位に電気的に接続するドレイン電極とを含む第9トランジスタと、ゲート電極とソース電極とのいずれもが直流定電圧高電位に電気的に接続し、ドレイン電極が第10トランジスタのゲート電極に電気的に接続する第11トランジスタと、含み、かつ第10トランジスタのゲート電極と第2ノードとが切れて離れている
ことを特徴とする低温ポリシリコン半導体薄膜トランジスタに基づくGOA回路。
【請求項3】
請求項1に記載の低温ポリシリコン半導体薄膜トランジスタに基づくGOA回路において、
前記第4トランジスタと、該第7トランジスタと、該第8トランジスタとが直列で接続する
ことを特徴とする低温ポリシリコン半導体薄膜トランジスタに基づくGOA回路。
【請求項4】
請求項1に記載の低温ポリシリコン半導体薄膜トランジスタに基づくGOA回路において、
前記GOAユニットがさらにブースト部を含み、該ブースト部が該第1ノードと該出力端との間に電気的に接続して該第1ノードの電位をブーストするために用いる
ことを特徴とする低温ポリシリコン半導体薄膜トランジスタに基づくGOA回路。
【請求項5】
請求項4に記載の低温ポリシリコン半導体薄膜トランジスタに基づくGOA回路において、
前記ブースト部が、一端が該第1ノードに電気的に接続し、他端が該出力端に電気的に接続する第1コンデンサを含む
ことを特徴とする低温ポリシリコン半導体薄膜トランジスタに基づくGOA回路。
【請求項6】
請求項1に記載の低温ポリシリコン半導体薄膜トランジスタに基づくGOA回路において、
前記第1クロック駆動信号と該第2クロック駆動信号の波形のデューティー比が、いずれも50/50より小さく、該第2クロック駆動信号の高電位時において該第14トランジスタが第1ノードの電位を該第2直流定電圧低電位に至るまでプルダウンする
ことを特徴とする低温ポリシリコン半導体薄膜トランジスタに基づくGOA回路。
【請求項7】
請求項4に記載の低温ポリシリコン半導体薄膜トランジスタに基づくGOA回路において、
前記第1ノードの出力する信号の波形が、該第1クロック駆動信号と該第2クロック駆動信号の波形のデューティー比の変化に基づいて変化する
ことを特徴とする低温ポリシリコン半導体薄膜トランジスタに基づくGOA回路。
【請求項8】
請求項7に記載の低温ポリシリコン半導体薄膜トランジスタに基づくGOA回路において、
前記第1ノードの出力する信号の波形が凸字形状を呈する
ことを特徴とする低温ポリシリコン半導体薄膜トランジスタに基づくGOA回路。
【請求項9】
請求項1に記載の低温ポリシリコン半導体薄膜トランジスタに基づくGOA回路において、
前記GOAユニットの第1段の接続関係において、該第1トランジスタのゲート電極とソース電極とが、いずれも回路の起動信号端に電気的に接続する
ことを特徴とする低温ポリシリコン半導体薄膜トランジスタに基づくGOA回路。
【請求項10】
カスケード接続する複数のGOAユニットを具え、Nを正の整数とし、
第N段GOAユニットは、プルアップ制御部と、プルアップ部と、第1プルダウン部と、プルダウンホールディング回路部と、トランスファー部と、を含み、
該プルアップ制御部は、該第N段GOAユニットの前段第N−1段GOAユニットの駆動出力端に電気的に接続するゲート電極と、該第N段GOAユニットの前段第N−1GOAユニットの出力端に電気的に接続するソース電極と、第1ノードに電気的に接続するドレイン電極と、を含む第1トランジスタを具え、
該プルアップ部は、第1ノードに電気的に接続するゲート電極と、第1クロック駆動信号に電気的に接続するソース電極と、出力端に電気的に接続するドレイン電極とを含む第2トランジスタを具え、
該プルダウンホールディング回路部は、第1ノードと、出力端と、直流定電圧高電位と、第1、第2、第3直流定電圧低電位と、に電気的に接続し、
該プルダウンホールディング回路部は高低電位逆算設計を採用し、かつ第3トランジスタと、第4トランジスタと、第5トランジスタと、第6トランジスタと、第7トランジスタと、第8トランジスタと、第10トランジスタと、第12トランジスタと、第13トランジスタと、を含み、
該第3トランジスタはゲート電極とソース電極とがいずれも直流定電圧高電位に電気的に接続し、ドレイン電極が該第5トランジスタのソース電極に電気的に接続し、
該第4トランジスタはゲート電極が該第3トランジスタのドレイン電極に電気的に接続し、ソース電極が直流定電圧高電位に電気的に接続し、ドレイン電極が第2ノードに電気的に接続し、
該第5トランジスタは、ゲート電極が第1ノードに電気的に接続しソース電極が第3トランジスタのドレイン電極に電気的に接続し、ドレイン電極が第1直流定電圧低電位に電気的に接続し、
該第6トランジスタは、ゲート電極が第1ノードに電気的に接続し、ソース電極が、第2ノードに電気的に接続し、ドレイン電極が該第8トランジスタのゲート電極に電気的に接続し、
該第7トランジスタは、ゲート電極が第1ノードに電気的に接続し、ソース電極が第2ノードに電気的に接続し、ドレイン電極が該第8トランジスタのソース電極に電気的に接続し、
該第8トランジスタは、ゲート電極が該第6トランジスタのドレイン電極に電気的に接続し、ソース電極が該第7トランジスタのドレイン電極に電気的に接続し、ドレイン電極が第3直流定電圧低電位に電気的に接続し、
該第10トランジスタは、ゲート電極が第2ノードに電気的に接続し、ソース電極が直流定電圧高電位に電気的に接続し、ドレイン電極が該第7トランジスタのドレイン電極に電気的に接続し、
該第12トランジスタは、ゲート電極が第2ノードに電気的に接続し、ソース電極が第1ノードに電気的に接続し、ドレイン電極が第2直流定電圧低電位に電気的に接続し、
該第13トランジスタは、ゲート電極が第2ノードに電気的に接続し、ソース電極は出力端に電気的に接続し、ドレイン電極が第1直流定電圧低電位に電気的に接続し。
該第3トランジスタと、該第4トランジスタと、該第5トランジスタと、該第6トランジスタと、該第7トランジスタが順方向に電位を提供して該第12トランジスタと該第13トランジスタの開放の制御に用いられ、
該第8トランジスタが作動時間において第2ノードをプルダウンするために用いられ、
直流定電圧高電位を利用して非作動時間において第2ノードに適宜な高電位を提供して第1ノードと出力端とに低電位を維持させ、
該第1プルダウン部は該第1ノードと、第2クロック駆動信号と、第2直流定電圧低電位とに電気的に接続し、かつ該第1プルダウン部は該第2クロック駆動信号に基づいて該第1ノードの電位を該第2直流定電圧低電位に至るまでプルダウンし、
該第1プルダウン部は、第2クロック駆動信号に電気的に接続するゲート電極と、第1ノードに電気的に接続するソース電極と、第2直流定電圧低電位に電気的に接続するドレイン電極とを含む第14トランジスタを具え、
該トランスファー部は、第1ノードに電気的に接続するゲート電極と、第1クロック駆動信号に電気的に接続するソース電極と、駆動出力端に電気的に接続するドレイン電極とを含む第15トランジスタを具え、
第3直流定電圧低電位と、該第2直流定電圧低電位と、該第1直流定電圧低電位との関係が該第3直流定電圧低電位<該第2直流定電圧低電位<該第1直流定電圧低電位であって、
該GOAユニットがさらにブースト部を含み、該ブースト部が該第1ノードと該出力端との間に電気的に接続して該第1ノードの電位をブーストするために用いられ、
該ブースト部が、一端が該第1ノードに電気的に接続し、他端が該出力端に電気的に接続する第1コンデンサを含み、
第1クロック駆動信号と該第2クロック駆動信号の波形のデューティー比が、いずれも50/50より小さく、該第2クロック駆動信号の高電位時において該第14トランジスタが第1ノードの電位を該第2直流定電圧低電位に至るまでプルダウンし、
該第1ノードの出力する信号の波形が凸字形状を呈する
ことを特徴とする低温ポリシリコン半導体薄膜トランジスタに基づくGOA回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、表示技術に関し、特に低温ポリシリコン半導体薄膜トランジスタに基づくGOA回路に関する
。
【背景技術】
【0002】
GOA(Gate Drive Array)は、薄膜トランジスタ(Thin film tansistor、TFT)液晶ディスプレーのアレイ(Array)製造工程を利用してゲート電極ドライバーを薄膜トランジスタのアレイ基板上に作成し、プログレッシブスキャンを達成する技術である。
【0003】
GOA回路は、主にプルアップ回路(Pull−up part)と、プルアップコントロール回路(Pull−up control part)と、トランスファー回路(Transfer Part)と、プルダウン回路(Pull−down part)と、プルダウンホールディング回路(Pull−down Holding part)と、及び電位を上げるためのブースト回路(Boost part)とによって構成される。
【0004】
プルアップ回路は入力するクロック信号を(Clock)を薄膜トランジスタのゲート電極に出力して液晶ディスプレーの駆動信号とする。プルアップ制御回路はプルアップ回路の開放を制御するものであって、一般には
前段のGOA回路の転送する信号の作用によるものである。プルダウン回路は走査信号を出力した後、走査信号(即ち、薄膜トランジスタのゲート電極の電位)を急速にプルダウンして低電位とする。プルダウンホールディング回路は、走査信号とプルアップ信号とのオフ状態を保持する(即ち設定された負電位)ものであって、ブースト回路はQ点の二次ブーストを行い、プルアップ回路の正常な出力を確保する。
レイアウトする場合、プリント基板のパッケージ完成品上のそれぞれのディスクリート部品は回路図上の素子一つ一つと対応している。係るディスクリート部品は技術用語でDECALと称する。したがって、PCB基板をレイアウトする前に、予めDECALを確立して、正常に導入、使用されるようにしなければならない。
【0005】
低温ポリシリコン(Low Temperature Poly−silicon、LTPS)半導体薄膜トランジスタの発展にともない、LTPS−TFT液晶表示装置もますます注目を浴びるようになってきた。LTPS−TFT液晶表示装置は高い解像度を具え、反応速度が速く、高開口率を有するなどの長所を具える。低温ポリシリコンはアモルファスシリコン(a−Si)に比して比較的配列に順序がある。
低温ポリシリコン半導体自身は極めて高い電子移動度を有し、アモルファスシリコン半導体に比して100倍以上になる。よって、GOA技術に採用することで、ゲート電極ドライバーを薄膜トランジスタアレイ基板に形成する上で、システム整合の目標を達成することができ、スペースの節約
、駆動ICのコスト節減を得ることができる。然しながら、従来の技術の低温ポリシリコン半導体薄膜トランジスタのGOA回路に対する開発は比較的少なく、特に低温ポリシリコン半導体薄膜トランジスタ自体がもたらす多くの問題については、これらを克服する必要がある。例えば、従来のアモルファス半導体薄膜トランジスタは電気学的特性から言え
ば閾値電圧が一般に0Vより大きく、しかも
サブスレッショルド領域の電圧は電流の振幅に相対して比較的大きくなる。但し、低温ポリシリコン半導体薄膜トランジスタの閾値電圧値は比較的低い(一般には約0
V)。しかも
サブスレッショルド領域の振幅は比較的小さく、GOA回路がオフ状態にある場合、多くの素子の操作
と閾値電圧とが接近し、甚だしく
は閾値電圧より高くなる。係る状況は回路のTFTの漏電と作動電流のドリフトを招き、LTPS GOA回路の設計の難度を高くすることになり、アモルファスシリコン半導体に適用される多くのスキャンドライバーを低温シリコン半導体のスキャンドライバー回路に軽々しく応用することができなくなる。一部の機能性の問題が存在し、係る状況下ではLTPS GOAが直接作動できなくなる。よって回路の設計には低温ポリシリコン半導体薄膜トランジスタ自体の特性がGOA回路に対する影響を考慮しなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明は、低温ポリシリコン半導体薄膜トランジスタ自体の特性のGOA駆動回路への影響を解決するものであって、特に漏電問題のもたらすGOA回路の機能性の不良を改善し、目下のポリシリコン半導体薄膜トランジスタにおけるプルダウンホールディング回路
部がオフ状態時に、第2ノードの電位が比較的高い電位にならないという問題を解決する低温ポリシリコン半導体薄膜トランジスタに基づくGOA回路を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述する課題を解決するために、この発明の提供する低温ポリシリコン半導体薄膜トランジスタに基づくGOA回路は、カスケード接続する複数のGOAユニットを具え、Nを正の整数とし、第N段GOAユニットはプルアップ制御
部と、プルアップ
部と、第1プルダウン
部と、プルダウンホールディング回路
部と、トランスファー部とを含む。
【0008】
該プルアップ制御
部は該第N段GOAユニットの
前段第N−1段GOAユニットの駆動出力端に電気的に接続するゲート電極と、該第N段GOAユニットの
前段第N−1GOAユニットの出力端に電気的に接続するソース電極と、第1ノードに電気的に接続するドレイン電極とを含む第1トランジスタを具える。
【0009】
該プルアップ
部は、第1ノードに電気的に接続するゲート電極と、第1クロック駆動信号に電気的に接続するソース電極と、出力端に電気的に接続するドレイン電極とを含む第2トランジスタを具える。
【0010】
該プルダウンホールディング回路
部は、第1ノードと、出力端と、直流定電圧高電位と、第1、第2、第3直流定電圧低電位とに電気的に接続する。
【0011】
該プルダウンホールディング回路
部は高低電位逆算設計を採用し、かつ第3トランジスタと、第4トランジスタと、第5トランジスタと、第6トランジスタと、第7トランジスタと、第8トランジスタと、第10トランジスタと、第12トランジスタと、第13トランジスタとを含む。
【0012】
該第3トランジスタはゲート電極とソース電極とがいずれも直流定電圧高電位に電気的に接続し、ドレイン電極が該第5トランジスタのソース電極に電気的に接続する。
【0013】
該第4トランジスタはゲート電極が該第3トランジスタのドレイン電極に電気的に接続し、ソース電極が直流定電圧高電位に電気的に接続し、ドレイン電極が第2ノードに電気的に接続する。
【0014】
該第5トランジスタは、ゲート電極が第1ノードに電気的に接続し
、ソース電極が第3トランジスタのドレイン電極に電気的に接続し、ドレイン電極が第1直流定電圧低電位に電気的に接続する。
【0015】
該第6トランジスタは、ゲート電極が第1ノードに電気的に接続し、ソース電極
が第2ノードに電気的に接続し、ドレイン電極が該第8トランジスタのゲート電極に電気的に接続する。
【0016】
該第7トランジスタは、ゲート電極が
第1ノードに電気的に接続し、ソース電極が第2ノードに電気的に接続し、ドレイン電極が該第8トランジスタのソース電極に電気的に接続する。
【0017】
該第8トランジスタは、ゲート電極が該第6トランジスタのドレイン電極に電気的に接続し、ソース電極が該第7トランジスタのドレイン電極に電気的に接続し
、ドレイン電極が第3直流定電圧低電位に電気的に接続する。
【0018】
該第10トランジスタは、ゲート電極が第2ノードに電気的に接続し、ソース電極が直流定電圧高電位に電気的に接続し、ドレイン電極が該第7トランジスタのドレイン電極に電気的に接続する。
【0019】
該第12トランジスタは、ゲート電極が第2ノードに電気的に接続し、ソース電極が第1ノードに電気的に接続し、ドレイン電極が第2直流定電圧低電位に電気的に接続する。
【0020】
該第13トランジスタは、ゲート電極が第2ノードに電気的に接続し、ソース電極は出力端に電気的に接続し、ドレイン電極が第1直流定電圧低電位に電気的に接続する。
【0021】
該第3トランジスタと、該第4トランジスタと、該第5トランジスタと、該第6トランジスタと、該第7トランジスタが順方向に高電位を提供して該第12トランジス
タと該第13トランジスタの開放
の制御に用いられ、該第8トランジスタ
が作動時間において第2ノードをプルダウンするために用いられ、直流定電圧高電位を利用して非作動時間において第2ノードに適宜な高電位を提供して第1ノードと出力端とに低電位を維持させる。
【0022】
該第1プルダウン
部は該第1ノードと、第2クロック駆動信号と、第2直流定電圧低電位とに電気的に接続し、かつ該第1プルダウン
部は該第2クロック駆動信号に基づいて該第1ノードの電位を
該第2直流定電圧低電位に至るまでプルダウンする。
【0023】
該第1プルダウン
部は、第2クロック駆動信号に電気的に接続するゲート電極と、第1ノードに電気的に接続するソース電極と、第2直流定電圧低電位に電気的に接続するドレイン電極とを含む第14トランジスタを具える。
【0024】
該トランスファー部は、第1ノードに電気的に接続するゲート電極と、第1クロック駆動信号に電気的に接続するソース電極と、駆動出力端に電気的に接続するドレイン電極とを含む第15トランジスタを具える。
【0025】
該第3直流定電圧低電位と、該第2直流定電圧低電位と、該第1直流定電圧低電位との関係が該第3直流定電圧低電位<該第2直流定電圧低電位<該第1直流定電圧低電位である。
【0026】
該プルダウンホールディング回路
部が、第9トランジスタは、第6トランジスタのドレイン電極に電気的に接続するゲート電極と、第10トランジスタのゲート電極に電気的に接続するソース電極と、第3直流定電圧低電位に電気的に接続す
るドレイン電極とを含む第9トランジスタと、ゲート電極とソース電極とのいずれもが直流定電圧高電位に電気的に接続し、ドレイン電極が第10トランジスタのゲート電極に電気的に接続する第11トランジスタと、含み、かつ第10トランジスタのゲート電極と第2ノードとが切れて離れている。
【0027】
該第4トランジスタと、該第7トランジスタと、該第8トランジスタとが直列で接続する。
【0028】
該低温ポリシリコン半導体薄膜トランジスタに基づくGOAユニットがさらにブースト
部を含み、該ブースト
部が該第1ノードと該出力端との間に電気的に接続して該第1ノードの電位をブーストするために用いられる。
【0029】
該ブースト
部が、一端が該第1ノードに電気的に接続し、他端
が該出力端に電気的に接続する第1コンデンサを含
む。
【0030】
該第1クロック駆動信号と該第2クロック駆動信号の波形のデューティー比が、いずれも50/50より小さく、該第2クロック駆動信号の高電位時において該第14トランジスタが第1ノードの電位を該第2直流定電圧低電位に至るまでプルダウンする。
【0031】
該第1ノードの出力する信号の波形が、該第1クロック駆動信号と該第2クロック駆動信号の波形のデューティー比の変化に基づいて変化する
【0032】
該第1ノードの出力する信号の波形が凸字形状を呈する。
【0033】
該GOAユニットの第1段の接続関係において、該第1トランジスタのゲート電極とソース電極とが、いずれも回路の起動信号端に電気的に接続する。
【発明の効果】
【0034】
この発明の提供する低温ポリシリコン半導体薄膜トランジスタに基づくGOA回路はプルダウンホールディング回路
部に高低電位逆算設計を採用し、かつ順に低くなる第1、第2、第3直流定電圧低電位、及び直流定電圧高電位を設けることによって、低温ポリシリコン半導体薄膜トランジスタ自身の特性のGOA駆動回路に対する影響、特に漏電問題のもたらすGOA機能不良を解決し、同時に従来の低温ポリシリコン半導体薄膜トランジスタのGOA回路におけるプルダウンホールディング回路
部が非作動時において第2ノードの電位が比較的高い電位にならないという問題を解決し、第1ノードと出力端の低電位を効率よく維持する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】この発明による低温ポリシリコン半導体薄膜トランジスタに基づくGOA回路の第1の実施の形態の回路図である。
【
図2】この発明による低温ポリシリコン半導体薄膜トランジスタに基づくGOA回路の第1の実施の形態の第1段の接続関係を示した回路図である。
【
図3】この発明による低温ポリシリコン半導体薄膜トランジスタに基づくGOA回路の第2の実施の形態の回路図である。
【
図4】この発明による低温ポリシリコン半導体薄膜トランジスタに基づくGOA回路の第1種の波形の設置とキーポイントノードの出力波形図である。
【
図5】この発明による低温ポリシリコン半導体薄膜トランジスタに基づくGOA回路の第2の波形の設置とキーポイントノードの出力波形図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
この発明で採用する技術方式とその効果をさらに一歩進んで説明するために、優先的な実施例を挙げ図面を参照にして以下に詳述する。
【実施例1】
【0037】
図1、2に、この発明による低温ポリシリコン半導体薄膜トランジスタに基づくGOA回路の回路図を開示する。
図1に開示する低温ポリシリコン半導体薄膜トランジスタに基づくGOA回路は、カスケード接続する複数のGOAユニットを具え、Nを正の整数とし、第N段GOAユニットはプルアップ制御
部100と、プルアップ
部200と、第1プルダウン
部400と、プルダウンホールディング回路
部500と
、トランスファー部600とを含み、さらにブースト
部300を含む。
【0038】
プルアップ制御
部100は、該第N段GOAユニットの
前段第N−1段GOAユニットの駆動出力端ST(N−1)に電気的に接続するゲート電極と、該第N段GOAユニットの
前段第N−1GOAユニットの出力端G(N−1)に電気的に接続するソース電極と、第1ノードQ(N)に電気的に接続するドレイン電極とを含む第1トランジスタT1を具える。
【0039】
プルアップ
部200は、第1ノードQ(N)に電気的に接続するゲート電極と、第1クロック駆動信号CKNに電気的に接続するソース電極と、出力端G(N)に電気的に接続するドレイン電極とを含む第2トランジスタT2を具える。
【0040】
ブースト
部300は、一端が第1ノードQ(N)に電気的に接続し、他端が出力端G(N)
に電気的に接続する第1コンデンサCbを含む。
【0041】
プルダウンホールディング回路
部500は、第1ノードQ(N)と、出力端G(N)と、直流定電圧高電位Hと、第1、第2、第3直流定電圧低電位VSS1、VSS2、VSS3とに電気的に接続する。具体的に述べると、プルダウンホールディング回路
部500は、ゲート電極とソース電極とのいずれもが直流定電圧高電位Hに電気的に接続し、ドレイン電極が第5トランジスタT5のソース電極に電気的に接続する第3トランジスタT3と、第3トランジスタT3のドレイン電極に電気的に接続するゲート電極と、直流定電圧高電位Hに電気的に接続するソース電極と、第2ノードP(N)に電気的に接続するドレイン電極と、を含む第4トランジスタT4と、第1ノードQ(N)に電気的に接続するゲート電極と、第3トランジスタT3のドレイン電極に電気的に接続するソース電極と、第1直流定電圧低電位VSS1に電気的に接続するドレイン電極とを含む第5トランジスタT5と、第1ノードQ(N)に電気的に接続するゲート電極と、第2ノードP(N)に電気的に接続するソース電極と、第8トランジスタT8のゲート電極に電気的に接続するドレイン電極とを含む第6トランジスタT6と、
第1ノードQ(N)に電気的に接続するゲート電極と、第2ノードP(N)に電気的に接続するソース電極と、第8トランジスタT8のソース電極に電気的に接続するドレイン電極と、を含む第7トランジスタT7と、第6トランジスタT6のドレイン電極に電気的に接続するゲート電極と、第7トランジスタT7のドレイン電極に電気的に接続するソース電極と、第3直流定電圧低電位VSS3に電気的に接続するドレイン電極とを含む第8トランジスタT8と、第2ノードQ(N)に電気的に接続するゲート電極と、直流定電圧高電位Hに電気的に接続するソース電極と、第7トランジスタT7のドレイン電極に電気的に接続するドレイン電極とを含む第10トランジスタT10と、第2ノードP(N)に電気的に接続するゲート電極と、第1ノードQ(N)に電気的に接続するソース電極と、第2直流定電圧低電位VSS2に電気的に接続するドレイン電極とを含む第12トランジスタT12と、第2ノードP(N)に電気的に接続するゲート電極と、出力端G(N)に電気的に接続するソース電極と、第1直流定電圧低電位VSS1に電気的に接続するドレイン電極とを含む第13トランジスタT13と、を含む。
【0042】
第1プルダウン
部400は、第2クロック駆動信号XCKNに電気的に接続するゲート電極と、第1ノードQ(N)に電気的に接続するソース電極と、第2直流定電圧低電位VSS2に電気的に接続するドレイン電極とを含む第14トランジスタT14を具える。
【0043】
トランスファー部600は、第1ノードQ(N)に電気的に接続するゲート電極と、第1クロック駆動信号CKNに電気的に接続するソース電極と、駆動出力端ST(N)に電気的に接続するドレイン電極とを含む第15トランジスタT15を含む。
【0044】
図2に開示するように、GOA回路の第1カスケード接続関係において、第1トランジスタT1のゲート電極とソース電極とは、いずれも回路の起動信号端STVに電気的に接続する。
【0045】
ここで特筆すべきは、この発明の低温ポリシリコン半導体薄膜トランジスタに基づくGOA回路は、直流定電圧高電位Hと、及び3つの直流定電圧低電位VSS1、VSS2、VSS3とを設け、かつ3つの該直流定電圧低電位は順に低くなる点である。即ち、第3直流定電圧低電位VSS3<第2直流定電圧低電位VSS2<第1直流定電圧低電位VSS1となり、この3つの直流定電圧低電位VSS1、VSS2、VSS3は、異なる電位の調整の便宜を図るために、一般には分けて独立して制御する。
【0046】
プルダウンホールディング回路
部500は、高低電位逆算設計を採用する。第3トランジスタT3、第4トランジスタT4、第5トランジスタT5、第6トランジスタT6、第7トランジスタT7は順方向
に高電位を提供し、第12トランジスタT1
2と第13トランジスタT13の開放
の制御に用いる。第8トランジスタT8
は作動時間において第2ノードP(N)を第3直流電圧低電位VSS3に至るまでプルダウンするために用いる。非作動時間においては直流定電圧高電位Hを利用して第2ノードP(N)に適宜な高電位を提供して第1ノードQ(N)と出力端G(N)とに低電位を維持させることで両者のリップル(Ripple)電圧を消去する。第4トランジスタT4、第7トランジスタT7、第8トランジスタT8は直列することで漏電を防ぐことができる。
【0047】
具体的に述べると、プルダウンホールディング回路
部500の第3トランジスタT3、第4トランジスタT4は直流定電圧高電位Hによる制御を受けてオン状態になり、非作動時において、第5トランジスタT5、第6トランジスタT6、第7トランジスタT
7がオフになり、第4トランジスタT4が第2ノードP(N)に直流定電圧高電位Hを提供して第2ノードP(N)が高電位になった場合、第12トランジスタT12、第13トランジスタT13は、いずれもオンとなり、第12トランジスタT1
2を介して第1ノードQ(N)の電位を第2直流定電圧低電位VSS2に至るまでプルダウンし、第13トランジスタT1
3を介して出力端G(N)の電位を第1直流定電圧低電位VSS1に至るまでプルダウンする。作動時において、第5トランジスタT5、第6トランジスタT6、第7トランジスタT7のゲート電極は第1ノードQ(N)から伝送される高電位であって、第5トランジスタT5、第6トランジスタT6、第7トランジスタT7はいずれもオンとなり、第5トランジスタT5を介して第4トランジスタT4のゲート電極の電位を第1直流定電圧低電位VSS1に至るまでプルダウンし、第4トランジスタT
4がオフになり、第2ノードP(N)
に直流定電圧高電位H
を提供することはない。同時に、第6トランジスタT6が第2ノードP(N)から伝送される直流低電圧高電位Hを受けて、かつこの直流定電圧高電位Hを第8トランジスタT8のゲート電極に伝送する。この場合、第7トランジスタT7と第8トランジスタT8とはいずれもオンとなり、第7トランジスタT7と第8トランジスタT8とを介して第2ノードP(N)の電位をさらに低い第3直流低電圧低電位VSS3に至るまでプルダウンする。
【0048】
プルダウンホールディング回路
部500は、直流定電圧高電位Hと、3つの直流定電圧低電位VSS1、VSS2、VSS3とをマッチさせることで、低温ポリシリコン半導体薄膜トランジスタ自身の閾値が低く、
サブスレッショルド領域の振幅が比較的小さ
いといった特性がGOA駆動回路
に与える
影響、特に漏電問題がもたらすGOA回路の機能不良を解決することができる。同時に従来の低温ポリシリコン半導体薄膜トランジスタのGOA回路におけるプルダウンホールディング回路
部の非作動時に第2ノードの電位が比較的高い電位にならないという問題を解決し、第1ノードQ(N)と出力端G(N)の低電位を効率よく維持することができる。
【0049】
ブースト
部300は、作動時において第1ノードQ(N)の電位をブーストするために用いる。
【0050】
第1プルダウン
部400は、非作動時において第2クロック駆動信号XCKNに基づいて第1ノードQ(N)の電位を第2直流定電圧低電位VSS2に至るまでプルダウンするために用いる。
【0051】
GOA回路は
前後段伝送信号として駆動出力端ST(N)の駆動出力信号を採用
し、第N段GOAユニットの
前段第N−1段GOAユニットの駆動出力端ST(N−1)と第N段GOAユニットの駆動出力端ST(N)とを以て前、後段への伝送を実行することで、第1ノードQ(N)の漏電を防ぐことができる
。しかも、単独のトランスファー
部600を追加することで出力端G(N)の抵抗容量の遅延を減衰させることができ
る。
【実施例2】
【0052】
図3は、この発明による低温ポリシリコン半導体薄膜トランジスタに基づくGOA回路
の第2の実施の形態の回路図である。
図3に開示するように、第2の実施の形態は、
以下の点において第1の実施の形態と異なる。プルダウンホールディング
部500が第9トランジスタT9と第11トランジスタT11とをさらに
含み、第9トランジスタT9は、ゲート電極が第6トランジスタT6のドレイン電極に電気的に接続し、ソース電極が第10トランジスタT10のゲート電極に電気的に接続し、ドレイン電極が第3直流定電圧低電位VSS3に電気的に接続する。第11トランジスタT1は、ゲート電極とソース電極とのいずれもが直流定電圧高電位Hに電気的に接続し、ドレイン電極が第10トランジスタT10のゲート電極に電気的に接続する。第10トランジスタT10のゲート電極と第2ノードP(N)とは切れて離れている。その
他は第1の実施の形態と同様であるので、ここでは詳述しない。
【0053】
図4、5は、それぞれ2種類のこの発明による低温ポリシリコン半導体薄膜トランジスタのGOA回路の波形設置とキーポイントノードの出力波形図である。第1ノードQ(N)の信号出力波形は、第1クロック駆動信号CKNと第2クロック駆動信号XCKNの波形のデューティー比の変化によって変化する。
図4に開示する第1クロック駆動信号CKNと第2クロック駆動信号XCKNの波形のデューティー比は、
図5に開示する第1クロック駆動信号CKNと第2クロック駆動信号XCKNの波形のデューティー比と異なる。
図4、
図5におけるCK1N、CK2Nは、それぞれ第1本目、第2本目の第1クロック駆動信号CKNとして表示し、XCK1N、XCK2Nは、それぞれ第1本目、第2本目の第2クロック駆動信号XCKNとして表示する。第1クロック駆動信号CKNと第2クロック駆動信号XCKNの波形のデューティー比は、いずれも50/50より小さい。
図1を合わせ参照すると、第2クロック駆動信号XCKNの高電位時において第14トランジスタT14は第1ノードQ(N)の電位を第2直流定電圧低電位VSS2に至るまでプルダウンする。第1ノードQ(N)の信号出力波形は凸字形状を呈し、出力端G(N)は正常に出力する。
【0054】
以上をまとめると、この発明による低温ポリシリコン半導体薄膜トランジスタに基づくGOA回路は、プルダウンホールディング回路
部に高低電位逆算設計を採用し、かつ順に低くなる第1、第2、第3直流定電圧低電位、及び直流定電圧高電位を設けることによって、低温ポリシリコン半導体薄膜トランジスタ自身の特性のGOA駆動回路に対する影響、特に漏電問題のもたらすGOA機能不良を解決し、同時に従来の低温ポリシリコン半導体薄膜トランジスタのGOA回路におけるプルダウンホールディング回路
部が非作動時において第2ノードの電位が比較的高い電位にならないという問題を解決し、第1ノードと出力端の低電位を効率よく維持する。
【0055】
以上述べたことについて、当業者の技術者がこの発明の技術プランと技術思想に基づいて各種の修正、変更を加えることは可能である。但し、これら修正、変更はいずれもこの発明の特許請求の範囲に含まれるものとする。
【符号の説明】
【0056】
100 プルアップ制御
部
200 プルアップ
部
300 ブースト
部
400 第1プルダウン
部
500 プルダウンホールディング回路
部
600 トランスファー回路
Cb 第1コンデンサ
CKN 第1クロック駆動信号
G(N) 出力端
H 直流定電圧高電位
ST(N−1) 駆動出力端
T1 第1トランジスタ
T2 第2トランジスタ
T3 第3トランジスタ
T4 第4トランジスタ
T5 第5トランジスタ
T6 第6トランジスタ
T7 第7トランジスタ
T8 第8トランジスタ
T9 第9トランジスタ
T10 第10トランジスタ
T11 第11トランジスタ
T12 第12トランジスタ
T13 第13トランジスタ
P(N) 第2ノード
Q(N) 第1ノード
VSS1 第1直流定電圧低電位
VSS2 第2直流定電圧低電位
VSS3 第3直流定電圧低電位
XCKN 第2クロック駆動信号