(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】二つのパリンドロームを含むPクラスオリゴヌクレオチドと一つの3’パリンドロームを含むCクラスオリゴヌクレオチドの比較のための、オリゴヌクレオチド量に対するIFN−αの誘導を示す二つのグラフである。y軸はIFN−α量、pg/mlであり、x軸はオリゴヌクレオチド濃度、μMである。
【
図2】パリンドロームの長さの効果の分析のための、オリゴヌクレオチド量に対するIFN−αの誘導を示す二つのグラフである。y軸はIFN−α量、pg/mlであり、x軸はオリゴヌクレオチド濃度、μMである。
【
図3A】二重鎖形成領域、例えば不完全パリンドロームの分析のための、オリゴヌクレオチド量に対するIFN−αの誘導を示す二つのグラフである。y軸はIFN−α量、pg/mlであり、x軸はオリゴヌクレオチド濃度、μMである。
【
図3B】二重鎖形成領域、例えば不完全パリンドロームの分析のための、オリゴヌクレオチド量に対するIFN−αの誘導を示す二つのグラフである。y軸はIFN−α量、pg/mlであり、x軸はオリゴヌクレオチド濃度、μMである。
【
図4】従来的なCクラスODNによる処置後のマウスにおけるインビボでのTh1様サイトカインおよびケモカイン反応の刺激を示す二つのグラフである。
図4AはIL−12の誘導を示し、
図4BはIP−10の誘導を示す。y軸は誘導をpg/mlで表し、x軸はODNを表す。
【
図5】CクラスおよびPクラスのODNに対する、マウスにおけるインビボでのIFN−α誘導を示す二つのグラフである。
図5AはODNの皮下(SC)投与後のIFN−α誘導を示し、
図5BはODNの静脈内(IV)投与後のIFN−α誘導を示す。y軸はIFN−α誘導を表し、x軸は使用したODNを表す。
【
図6】A、B、C、およびPクラスのODNのインビボ刺激後の抗HB反応の比較を示すグラフである。y軸は抗HBを表し、x軸は使用したODNを表す。
【
図7】二つのパリンドローム領域を含むPクラスオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションにより形成されるコンカテマーを示すダイアグラムである。
【
図8】様々な添加物を含むリン酸溶液中での配列番号234の二量体形成を示すグラフである。y軸は%二量体形成であり、x軸は異なる添加物を示す。
【
図9】A、B、C、およびPクラスのODNに対する、マウスにおけるインビボでのIFN−α誘導を示す二つのグラフである。
図9AはODNのSC投与後のIFN−α誘導を示し、
図9BはIV投与後のIFN−α誘導を示す。y軸はIFN−αをpg/mgで表し、x軸は使用したODNを表す。
【
図10】リンカーの追加の効果の分析のための、オリゴヌクレオチド量に対するIFN−αの誘導を示す三つのグラフである。
図10AはIFN−α誘導を示し、
図10bはIL−10誘導を示し、
図10cはIL−6誘導を示す。y軸はサイトカイン濃度、pg/mlであり、x軸はオリゴヌクレオチド濃度、μMである。
【
図11】PクラスODNの糖修飾の効果の分析のための、オリゴヌクレオチド量に対するIFN−αの誘導を示すグラフである。y軸はIFN−α濃度、pg/mlであり、x軸はオリゴヌクレオチド濃度、μMである。
【0030】
高レベルのIFN−αを誘導できる新規クラスの免疫賦活オリゴヌクレオチド、本明細書中ではPクラスオリゴヌクレオチドと称する、を発見した。オリゴヌクレオチドの3’側半分またはその付近に単一のパリンドロームを含むCクラスCpGオリゴヌクレオチドは、強力なB細胞増殖およびIFN−α産生の両方を誘導することが知られている。本発明のPクラスオリゴヌクレオチドは、Cクラスオリゴヌクレオチドと同様、B細胞活性化およびIFN−α産生を誘導するが、いくつかの例においては、Cクラスオリゴヌクレオチドよりもずっと高レベルのIFN−αを産生させることができる。Cクラスオリゴヌクレオチドの3’パリンドローム配列は、Cクラスオリゴヌクレオチドで観察される特異的な免疫賦活プロフィールに必要であると考えられており、その理由は2つの遊離の5’末端による二量体形成である可能性が高い。CpG ODNの5’末端は、TLR9受容体の活性化に最も重要な領域であると考えられており、単一のODNにおける二つの遊離の5’末端は、二つのTLR9受容体の架橋を誘導し得る。TLR9受容体の架橋は、形質
細胞様樹状細胞においてI型IFNRフィードバックループを通じてより強力なIFN−α分泌の活性化を誘導し得る。
【0031】
驚くべきことに、遊離の5’末端を維持するよう最適化されていない新規クラスのオリゴヌクレオチドが高度にIFN−αを誘導できることを発見した。本発明のPクラスオリゴヌクレオチドは、二つの二重鎖形成領域を有し;一方は5’末端付近、もう一方はODNの3’側半分付近または3’側半分に位置する。このオリゴヌクレオチドデザインは、コンカテマーと呼ばれる複雑な高次構造の形成をもたらすと考えられる。コンカテマーの形成は、生理学的条件または高塩条件下の溶液中でのこのオリゴヌクレオチドのサイズ排除クロマトグラフィ(SEC)により観察することができる。本発明は特定のメカニズムに限定されるものではないが、これらの構造は、高度のTLR9架橋を引き起こすことによって機能し、それによってI型IFNRフィードバックループを通じて形質細胞様樹状細胞のIFN−α分泌を非常に強く活性化すると考えられる。これらの高次構造により、TLR9シグナル伝達複合体に対してさらなる補因子またはアダプター分子が動員される可能性もある。別の可能性は、この高次構造に起因するコンカテマーODNの異なる細胞内分布である。
【0032】
本発明の免疫賦活オリゴヌクレオチドは、Th1様の免疫賦活または免疫調節が有益な疾患を処置するのに使用することができる。適用には、自己免疫疾患、炎症障害、感染疾患、癌、喘息、およびアレルギーが含まれるがこれらに限定されない。高レベルのIFN−αならびにTh1およびTh1様サイトカインを誘導する能力があるため、特に対象となるのは、ウイルス疾患、例えばB型肝炎およびC型肝炎、サイトメガロウイルス(CMV)、パピローマウイルス、HIV、および単純ヘルペスウイルス(HSV)の処置である。本発明のオリゴヌクレオチドはまた、ワクチンアジュバントとしても有用である。本発明の化合物は、単独療法としてまたは他の治療もしくは医療機器との併用のいずれにおいても、予防および治療目的で使用することができる。
【0033】
本発明の免疫賦活オリゴヌクレオチドは、概して、5’TLR活性化ドメイン、二つの二重鎖形成領域、ならびに任意のスペーサーおよび3’テイルを含むいくつかのドメインを有する。
【0034】
本明細書中で使用される場合、用語「二重鎖形成領域」は、別の二重鎖形成領域と二重鎖を形成することのできる領域と定義される。このような領域は、パリンドローム、相補性内在領域、不完全パリンドローム、または第二のオリゴヌクレオチドの相補的領域と分子間ワトソン・クリックもしくは非ワトソン・クリック型塩基対を形成することのできる非パリンドローム領域を含み得る。
【0035】
いくつかの例において、免疫賦活オリゴヌクレオチドは、分子内二重鎖の形成により生ずる二次構造を形成することができる。本明細書中で使用される場合、「分子内二重鎖」は、一つの分子上の複数の二重鎖形成領域が互いに二重鎖を形成する場合に形成される。このような場合の多くにおいて、それらの領域はスペーサーを通じて接続されているであろう。いくつかの例において、免疫賦活オリゴヌクレオチドは、分子間二重鎖を形成することができる。本明細書中で使用される場合、「分子間二重鎖」は、二重鎖形成領域が異なる分子上にありかつ互いにそれらの分子を接続する塩基対相互作用を形成する場合に形成される。いくつかの例において、分子間二重鎖は、同じ配列を有する二つのオリゴヌクレオチド間で形成される。他の例において、分子間二重鎖は、異なるヌクレオチド配列を有する異なるオリゴヌクレオチド間で形成される。いくつかの例において、免疫賦活オリゴヌクレオチドは、分子間二重鎖および分子内二重鎖の両方を形成することができる。
【0036】
二重鎖形成領域はパリンドロームであり得る。本明細書中で使用される場合、「パリン
ドローム」およびそれと同義の「パリンドローム領域」は、自己完全反転相補鎖である核酸配列(すなわち、ABCDEE'D'C'B'A'[AおよびA’、BおよびB’、Cおよ
びC’、DおよびD’、ならびにEおよびE’が通常のワトソン・クリック塩基対、すなわちG−C、A−T、およびA−Uを形成できる塩基である]等の配列)を意味する。本明細書中で使用される場合、厳密な意味での「パリンドローム」は、通常のワトソン・クリック塩基対の形成に関与しない介在配列または介在する非ヌクレオチド構造を含まない。
【0037】
パリンドロームは3’または5’パリンドロームであり得る。二つのパリンドロームは同じ場合も別個のものである場合もある。従って、5’パリンドローム領域および3’パリンドローム領域は、相互に相補的である必要はない。事実、これらは完全に別個のものであり、同じオリゴヌクレオチドではなく他のオリゴヌクレオチド内のパリンドローム領域とのみ対を形成する場合がある。あるいは、パリンドロームは一致し、分子内塩基対相互作用を形成できる場合もある。両方のパリンドロームは、様々な塩基組成(A、T、G、またはC)を有し得るが、いくつかの実施態様においては、一つのパリンドローム(3’または5’のいずれか)においてGC含有量が高い方が好ましい。
【0038】
二つのパリンドローム領域は、異なる二重鎖安定価を有し得る。二重鎖安定価は、パリンドロームと、分子間塩基対形成の場合は第二のオリゴヌクレオチド内の相手方または分子内塩基対形成の場合はそれ自身もしくは第二のパリンドロームとの間で形成される二重鎖の強度の指標である。本明細書中で使用される場合、「二重鎖安定性」は、それ独自の相補配列と二重鎖を形成する場合のパリンドローム領域、相補性内在領域、または二重鎖形成領域の強度の尺度である。二本鎖分子の二重鎖安定性の大きさは、総鎖濃度、塩基組成、温度、pH、および緩衝塩に依存する。二重鎖安定価は、John SantaLucia,Jr.(1998)Proc.Natl.Acad.Sci.95 1460−1465により開発された熱力学モデルにより算出することができる。このフォールディングプログラムは、例えばhttp://lna−tm.com/またはhttp://www.bioinfo.rpi.edu/applications/hybrid/twostate.phpから入手可能である。
【0039】
二重鎖安定性の計算例は、総鎖濃度0.1μMオリゴヌクレオチドおよび塩濃度140mM(ほぼ生理学的な塩)に基づく。推定融解温度(Tm)は、溶液中で完全に一致するDNAヌクレオチドに対してハイブリダイズするDNAオリゴヌクレオチドである。配列番号234を用いた計算例を以下に示す。
【0040】
配列番号234 TCGTCGACGATCGGCGCGCGCCG
5’パリンドローム TCGTCGACGA Tm:41℃
3’パリンドローム CGGCGCGCGCCG Tm:68℃
ホスホロチオエート修飾の場合、予測されるTmは、一つの修飾ごとにおよそ1℃下がる。従って、完全ホスホロチオエート分子においては、この修飾について補正した二重鎖安定性は、
5’パリンドローム TCGTCGACGA Tm:32℃
3’パリンドローム CGGCGCGCGCCG Tm:57℃
となろう。
【0041】
実際のTm測定値は5〜10℃の範囲でずれる可能性がある。例えば、配列番号234についての実際のTm測定値は(PBS中0.04mg/ml ODN):
5’パリンドローム TCGTCGACGA Tm:33.9℃
3’パリンドローム CGGCGCGCGCCG Tm:65.7℃
であった。
【0042】
SantaLuciaの式はオリゴヌクレオチドの二重鎖安定性を計算するのに有用であるが、ヘアピン構造を形成するいくつかのオリゴヌクレオチドについては不自然に低くなる。ヘアピンの安定性の予測については、M.Zuker Nucleic Acids Res.31(13),3406−15,(2003)に記載される核酸のフォールディングおよびハイブリダイゼーションの予測のためのMfoldアルゴリズムが使用され、このアルゴリズムはhttp://www.bioinfo.rpi.edu/applications/mfold/old/dna/form1.cgiから入手可能である。
【0043】
配列番号237 TCGTCGACGTTCGGCGCCGTGCCG
3’パリンドローム CGGCGCCGTGCCG Tm:73℃ 4つのワトソン・クリック塩基対を含むヘアピンの場合
3’パリンドローム CGGCGCCGTGCCG Tm:73℃ 4つのワトソン・クリック塩基対bpおよびG−T塩基対を含むヘアピンの場合
対応する二量体は42℃のTm計算値を有し、従って分子内構造よりも好ましくない。
【0044】
「弱い二重鎖」は、少なくとも25〜40の二重鎖安定価を有するものとする。「強い二重鎖」は、少なくとも40〜60の二重鎖安定価を有するものとする。分子内二重鎖、例えばヘアピンは通常、分子間二重鎖と比較して、同じ二重鎖安定価を得るのに必要とする塩基対が少ない。さらに、分子内二重鎖安定性(例えばヘアピンの安定性)はODN鎖濃度に独立である。
【0045】
いくつかの実施態様において、5’パリンドローム領域は、同じ分子上の3’パリンドローム領域よりも弱い。従って、5’パリンドローム領域は、おそらくはGC含有量の低さが原因で、3’パリンドローム領域よりも、それ自身と複合体を形成する場合により小さい二重鎖安定性を有し得る。あるいは、いくつかの例においては、5’パリンドロームは3’パリンドロームよりも高い二重鎖安定性を有し得る。
【0046】
「相補性内在領域」は、本明細書中で使用される場合、完全パリンドロームまたは不完全パリンドロームを含む二重鎖形成領域を意味する。不完全パリンドロームは、通常のワトソン・クリック塩基対を形成できるヌクレオチドと通常のワトソン・クリック塩基対の形成に関与しないヌクレオチド、ヌクレオチドアナログ、または他の構造の両方を含む核酸配列(例えば、ABCDE−S−E'D'C'B'A'[AおよびA'、BおよびB'、Cお
よびC'、DおよびD'、ならびにEおよびE'は通常のワトソン・クリック塩基対を形成
できる塩基であり、Sは非パリンドローム配列または非ヌクレオチドリンカーもしくは脱塩基リンカー(dSpacer)である]等の配列)である。非ヌクレオチドリンカーの例には、1,3−プロパンジオールもしくはドデカン−1,12−ジオール、シクロヘキサンジオール等のジオール、またはコレステロール、ニトロインドール、トリエチレングリコール、およびヘキサエチレングリコール等のリンカーが含まれるがこれらに限定されない。特定の実施態様において、通常のワトソン・クリック塩基対の形成に関与しないヌクレオチド、ヌクレオチドアナログ、または他の構造は、それ以外の完全パリンドロームの妨害をする。特定の実施態様において、通常のワトソン・クリック塩基対の形成に関与しないヌクレオチドは、別のヌクレオチドと非ワトソン・クリック型塩基対、例えばG−Tを形成することができる。本明細書中で使用される場合、非ワトソン・クリック型塩基対は、フーグステン塩基対およびいわゆるゆらぎ塩基対を含むがこれらに限定されないワトソン・クリック塩基対以外の任意の塩基対である。特定の実施態様において、通常のワトソン・クリック塩基対の形成に関与しないヌクレオチドは、不一致でありかつワトソン・クリック塩基対または非ワトソン・クリック型塩基対を形成するヌクレオチド塩基またはヌクレオチド塩基アナログを有さない、例えばGとdSpacerの対向である。いく
つかの実施態様において、非ワトソン・クリック型塩基対は、G−T、G−A、G−G、またはC−Aである。二重鎖形成に対する不安定化効果が少ないという理由から、G−Tが好ましい非ワトソン・クリック型塩基対である。特定の実施態様において、塩基対形成に関与しないヌクレオチドは、別のヌクレオチドと非標準的な塩基対を形成することができる、例えばジアミノピリジンはキサントシンと塩基対を形成することができる。いくつかの例において、分子内の二本鎖部分はまた、不自然(非標準的)な塩基対(例えばジアミノピリジンとキサントシンの塩基対)を含み得る。Lutz MJ et al.(1998)Recognition of a non−standard base pair by thermostable DNA polymerases.Bioorg Med Chem Lett 8:1149−52。
【0047】
特定の実施態様において、相補性内在領域は、ミスマッチを含み得る。本明細書中で使用される場合、「ミスマッチ」は、その配列内の一つまたはそれ以上の塩基が二重鎖において対向する塩基と通常のワトソン・クリック塩基対を形成しない相補性内在領域の部分を意味する。ミスマッチは、相補性内在領域の一部が二重鎖形成に関与していない「突起」を形成し得る。いくつかの実施態様において、相補性内在領域は二つのミスマッチを含み得る。
【0048】
一つの実施態様において、不完全パリンドロームは、「ヘアピンまたはステムループ構造を形成できる逆方向反復」である。このタイプの構造は、3〜10連続塩基対の長さのGCリッチステムまたはヘアピンを形成するヌクレオチドの配列を含み得、かつ少なくとも一つの不一致またはミスマッチの塩基を含む。個々の実施態様において、GCリッチステムは、2、3、4、5、6、7、8、9、または10連続塩基対長である。いくつかの実施態様において、GCリッチステムは、少なくとも2、3、または4個のG−C塩基対を含む。別の実施態様において、ヘアピンまたはステムループ構造を形成できる逆方向反復は、2〜10連続塩基対の長さのA−Tリッチステムまたはヘアピンを形成しかつ少なくとも一つの不一致またはミスマッチの塩基を含むヌクレオチドの配列を意味する。個々の実施態様において、ATリッチステムは、3、4、5、6、7、8、9、または10連続塩基対長である。いくつかの実施態様において、ATリッチステムは、少なくとも3、4、5、または6個のA−T塩基対を含む。
【0049】
いくつかの例において、少なくとも一つの不一致またはミスマッチ塩基は、ステムまたはヘアピンの末端を架橋する。これは、ステムが塩基対に対してフレキシブルな点をその分子内で提供することによって二次構造の形成を可能にし、そしてヘアピンを形成し得る。あるいは、不一致またはミスマッチ塩基はステム内に存在し得る。好ましくは、ミスマッチ塩基がステム内に存在する場合、ステムは少なくとも3塩基対長である。不一致またはミスマッチ塩基は任意のヌクレオチドであり得る。いくつかの実施態様において、不一致またはミスマッチの塩基はTである。二本鎖の末端の不一致ヌクレオチドは、オーバーハングヌクレオチドまたはダングリング末端(dangling ends)としても知られており、これらは二重鎖形成またはヘアピン形成を大きく安定化させることができる。Freier SM et al.(1983)Effects of 3' dangling end stacking on the stability of GGCC and CCGG double helixes.Biochemistry
22:6198−206。
相補性内在領域は、典型的には、少なくとも20の二重鎖安定価を有するか、または5ミスマッチ/10塩基対領域および/もしくは1〜5パリンドローム外(突起形成/介在性)ヌクレオチド/10塩基対領域未満を含み得る。
【0050】
二重鎖形成領域は、一つまたはそれ以上の免疫賦活ドメイン、例えばToll様受容体9(TLR9)活性化ドメインを含み得る。このオリゴヌクレオチドは、その分子の5’
末端に位置する少なくとも一つのTLR9活性化ドメインを含む。いくつかの実施態様において、5’TLR9活性化ドメインは、部分的にまたは完全に、5’二重鎖形成領域内に包含されており、その二重鎖形成領域の一部または全てを形成している。あるいは、5’TLR9活性化ドメインは、5’二重鎖形成領域とは別個のものであり得る。これらの二つのドメインが別個のものである場合、それらはインターヌクレオチド結合によって相互に直接的に接続されているかまたはそれらはスペーサー、例えばヌクレオチドリンカーもしくは非ヌクレオチドリンカーによって隔てられている場合がある。
【0051】
TLR9活性化ドメインは、免疫賦活性の任意の配列モチーフを含み、TLR9受容体の活性化により観察される免疫活性化パターンと同じ免疫賦活パターンを生じる。これらのモチーフには、YpR、CpG、TCG、TTCG、TTTCG、TYpR、UCG、TCG、TTYpR、TTTYpR、UUCG、UUUCG、TTT、TTTT、メチル化CpG、およびCpIが含まれるがこれらに限定されない。このモチーフのヌクレオチドは、半柔軟性(semi−soft)または立体特異的な骨格を含み得る。
【0052】
本発明のCpGオリゴヌクレオチドの実施態様は、以下の式によって示され得る:
5’ XP
1SP
2T 3’
および
5’ XNSPT 3’
および
5’ XPSNT 3’
および
5’ XN
1SN
2T 3’
XはTLR活性化ドメインである。P、P
1、およびP
2はパリンドロームである。Sはスペーサーである。Tは3’テイルである。N、N
1、およびN
2は不完全パリンドロームを含む相補性内在領域である。この式において、5’はそのオリゴヌクレオチドの遊離の5’末端を意味し、3’はそのオリゴヌクレオチドの遊離の3’末端を意味する。
【0053】
本発明の免疫賦活オリゴヌクレオチドは、AおよびTリッチ領域またはGおよびCリッチ領域を含み得る。本明細書中で使用される場合、「AおよびTリッチ領域」は、AおよびTヌクレオチドがその配列内のGおよびCヌクレオチドを数で上回る領域である。あるいは、本明細書中で使用される場合、「GおよびCリッチ領域」は、GおよびCヌクレオチドがその配列内のAおよびTヌクレオチドを数で上回る領域である。いくつかの場合、オリゴヌクレオチドは、その分子の3’末端付近に4個またはそれ以上のGヌクレオチドを有し得る。
【0054】
いくつかの実施態様において、この分子は3’テイルを含む。3’テイルは任意の長さのものであり得るが、好ましくは100ヌクレオチド長未満である。この3’テイルは、任意の塩基含量のものであり得る。いくつかの実施態様において、3’テイルは、一つまたはそれ以上の免疫賦活ドメイン、例えばポリTまたはCpGモチーフを含む。
【0055】
スペーサーは、二つの二重鎖形成領域の間に配置され得る。スペーサーは、非ヌクレオチドリンカーであるフレキシブルリンカーまたは「介在ヌクレオチド」、すなわち二重鎖を形成しないヌクレオチドのいずれかであり得る。いくつかの実施態様において、本発明に従う「介在ヌクレオチド」は、0〜100個のヌクレオチドを含み得る。スペーサーが核酸スペーサーである場合、任意のヌクレオチドもしくはヌクレオチド群、またはヌクレオシド(群)であり得る。いくつかの実施態様において、スペーサーは、TまたはTリッチスペーサーである。本明細書中で使用される場合、「非ヌクレオチドリンカー」またはそれと同義の「非ヌクレオチドスペーサー」は、プリンまたはピリミジン核酸塩基および糖リン酸を含むヌクレオチドまたはそのポリマー(すなわちポリヌクレオチド)ではない
任意のリンカーエレメントを意味する。このような非ヌクレオチドリンカーは当該分野で公知であり、単純な炭素鎖、脱塩基ヌクレオチド(dSpacer)、すなわち核酸塩基が水素原子で置換されているヌクレオチド様糖リン酸単位、トリエチレングリコールおよびヘキサエチレングリコールを含むがこれらに限定されないポリエチレングリコールを含むがこれらに限定されない。スペーサーは、一つまたはそれ以上の免疫賦活ドメイン、例えばポリTまたはCpGモチーフを含み得る。いくつかの実施態様において、リンカーは、二重鎖形成領域間の3’−3’結合である。
【0056】
二重鎖形成領域は、直接的または間接的に接続され得る。本明細書中で使用される場合、用語「直接的に接続」は、パリンドロームのヌクレオシドがホスホジエステル、ホスホジエステル様、またはホスホロチオエート化学結合により結合されているオリゴヌクレオチドを意味する。二つの二重鎖形成領域が重複している可能性もある。いくつかの実施態様において、二重鎖形成領域はヌクレオチド一つまたは二つ分重複している。二重鎖形成領域が重複する場合、それらは直接的に接続されているとみなす。いくつかの実施態様において、二重鎖形成領域は重複していない。本明細書中で使用される場合、用語「間接的に接続」は、二重鎖形成領域のヌクレオシドが上記のようなスペーサーを通じて接続されているオリゴヌクレオチドを意味する。
【0057】
本発明のオリゴヌクレオチドは、少なくとも一つのYpRジヌクレオチドを含む。本明細書中で使用される場合、「YpRジヌクレオチド」は、ピリミジンの後にプリンが続くジヌクレオチドである。特定の実施態様において、文字Yはシトシンまたは修飾シトシンを含むヌクレオチドをさすのに使用される。本明細書中で使用される場合、修飾シトシンは、シトシンの天然または非天然ピリミジン塩基アナログであって、そのオリゴヌクレオチドの免疫賦活活性を損なうことなくこの塩基を置換することができるものである。修飾シトシンには5−置換シトシン(例えば5−メチル−シトシン、5−フルオロ−シトシン、5−クロロ−シトシン、5−ブロモ−シトシン、5−ヨード−シトシン、5−ヒドロキシ−シトシン、5−ヒドロキシメチル−シトシン、5−ジフルオロメチル−シトシン、および非置換または置換5−アルキニル−シトシン)、6−置換シトシン、N4−置換シトシン(例えばN4−エチル−シトシン)、5−アザ−シトシン、2−メルカプト−シトシン、イソシトシン、プソイド−イソシトシン、縮合環系を有するシトシンアナログ(例えばN’,N’−プロピレンシトシンまたはフェノキサジン)、ならびにウラシルおよびその誘導体(例えば5−フルオロ−ウラシル、5−ブロモ−ウラシル、5−ブロモビニル−ウラシル、4−チオ−ウラシル、5−ヒドロキシ−ウラシル、5−プロピニル−ウラシル)が含まれるがこれらに限定されない。いくつかの好ましいシトシンには、5−メチル−シトシン、5−フルオロ−シトシン、5−ヒドロキシ−シトシン、5−ヒドロキシメチル−シトシン、およびN4−エチル−シトシンが含まれるがこれらに限定されない。本発明の別の実施態様において、シトシン塩基は、ユニバーサル塩基(例えば3−ニトロピロール、P塩基)、芳香族環系(例えばフルオロベンゼンもしくはジフルオロベンゼン)、または水素原子(dSpacer)で置換される。
【0058】
文字Rは、例えばGおよびAを含むプリンをさすのに使用される。いくつかの実施態様においてRはZであり、Zはグアニンまたは修飾グアニン塩基をさすのに使用される。本明細書中で使用される場合、修飾グアニンは、グアニンの天然または非天然プリン塩基アナログであって、そのオリゴヌクレオチドの免疫賦活活性を損なうことなくこの塩基を置換することができるものである。修飾グアニンには、7−デアザグアニン、7−デアザ−7−置換グアニン(例えば7−デアザ−7−(C2〜C6)アルキニルグアニン)、7−デアザ−8−置換グアニン、ヒポキサンチン、N2−置換グアニン(例えばN2−メチル−グアニン)、5−アミノ−3−メチル−3H,6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−2,7−ジオン、2,6−ジアミノプリン、2−アミノプリン、プリン、インドール、アデニン、置換アデニン(例えばN6−メチル−アデニン、8−オキソ−アデニン)、
8−置換グアニン(例えば8−ヒドロキシグアニンおよび8−ブロモグアニン)、ならびに6−チオグアニンが含まれるがこれらに限定されない。本発明の別の実施態様において、グアニン塩基は、ユニバーサル塩基(例えば4−メチル−インドール、5−ニトロ−インドール、K塩基)、芳香族環系(例えばベンゾイミダゾールもしくはジクロロ−ベンゾイミダゾール、1−メチル−1H−[1,2,4]トリアゾール−3−カルボン酸アミド)、または水素原子(dSpacer)で置換される。
【0059】
本発明の特定の実施態様において、免疫賦活オリゴヌクレオチドは、CpGジヌクレオチドであるYpRモチーフを含む。CpGジヌクレオチドは、メチル化または非メチル化であり得る。少なくとも一つの非メチル化CpGジヌクレオチドを含む免疫賦活オリゴヌクレオチドは、非メチル化シトシン−グアニンジヌクレオチド配列を含み(すなわち、非メチル化の5’シトシンの後に3’グアノシンが続き、これらがリン酸結合により連結されている)、かつ免疫系を活性化する核酸分子であり;このような免疫賦活オリゴヌクレオチドはCpGオリゴヌクレオチドである。CpGオリゴヌクレオチドは、米国特許第6,194,388号;同第6,207,646号;同第6,214,806号;同第6,218,371号;同第6,239,116号;および同第6,339,068号を含む多くの発行された特許、公開された特許出願、およびその他の刊行物に記載されている。少なくとも一つのメチル化CpGジヌクレオチドを含む免疫賦活オリゴヌクレオチドは、メチル化シトシン−グアニンジヌクレオチド配列を含み(すなわち、メチル化の5’シトシンの後に3’グアノシンが続き、これらがリン酸結合により連結されている)、かつ免疫系を活性化するオリゴヌクレオチドである。
【0060】
いくつかの実施態様において、オリゴヌクレオチドは表1に示される構造のうちの一つを有する。
【表1】
【0061】
【表2】
【0062】
【表3】
【0063】
【表4】
【0064】
【表5】
【0065】
【表6】
【0066】
【表7】
【0067】
【表8】
【0068】
【表9】
【0069】
上記のように、二本鎖分子の二重鎖安定性の大きさは、総鎖濃度、塩基組成、温度、pH、および緩衝塩に依存する。生理学的条件下では、二重鎖の形成は、対を形成していない塩基ストレッチよりも好まれる。一超のパリンドローム配列、相補性内在配列、または二重鎖形成配列が一つの分子内に存在する場合、生理学的条件下で数個の分子の潜在的凝集性は好ましいであろう。この凝集により高次のオリゴヌクレオチド構造の複合体が形成され、これは分析が困難でありかつ最終的な薬品投与用溶液のロット間の均一性に関する問題も生じる。このような凝集を防ぐために、温度、pHの上昇、または緩衝塩を下げる試みがなされ得る。しかし、その分子がその意図する動物またはヒトの処置用に処方されている場合、生理学的条件(周囲温度、生理学的浸透圧値、または中性pH)を維持する必要があるため、温度、pHの上昇、または緩衝塩の減少は利用することができない。本発明はまた、これらの問題を扱う組成物を包含する。
【0070】
従って、いくつかの局面において、本発明は、インビボで自己会合してコンカテマーを形成するのを妨げることなくインビトロでの凝集を減少させる様式で処方された二重鎖形成オリゴヌクレオチドの組成物に関する。二重鎖形成オリゴヌクレオチドを実質的に均質な状態または非凝集状態で維持するのに低塩緩衝液および溶質を使用することができることを発見した。これらの薬学的処方物において、化合物はより治療的開発に有用かつ実用的であり、かつその構造が分析し易くかつ簡単により均一な投与用ロットを製造できることから規制当局の認可を受け易い。このような処方物は、薬物分析を困難にしロット間の均一性を低下させる複雑なコンカテマーを回避することから、薬学的投与用溶液としてより有用である。
【0071】
いくつかの実施態様において、有意に異なる融解温度を有する二つまたはそれ以上のパリンドローム領域または二重鎖形成領域を含む分子が使用される。特定条件下で、弱い方の二重鎖(すなわち二重鎖安定性が低い方)の形成が妨げられつつ、強い方の二重鎖の形
成が維持され、それによってこの化合物はインビトロでコンカテマーではなく二重鎖を形成するが、インビボでの活性は維持され得る。
【0072】
従って、本発明の免疫賦活オリゴヌクレオチドは、被検体への投与に適した組成物において使用することができる。二重鎖形成オリゴヌクレオチドは、このオリゴヌクレオチドを低浸透圧緩衝液、例えば低塩緩衝液中に溶解し、溶質を添加することを含むオリゴヌクレオチドの投与用溶液の製造において使用することができる。本明細書中で使用される場合、「溶質」は、適当な濃度で溶液に添加された場合に、オリゴヌクレオチドが実質的に均質な形態で存在するほぼ等張処方物を生成する成分である。いくつかの実施態様において、溶質は、等張形成成分である。適当な溶質の例には、アルコール、例えばアミノ酸および糖類が含まれるがこれらに限定されない。溶質として有用なアミノ酸は、疎水性側鎖を有するもの、例えばイソロイシン、または荷電側鎖を有するもの、例えばリジンであり得る。いくつかの実施態様において、アミノ酸はグリシンである。糖類には、デキストロース、フルクトース、ラクトース、スクロース、リボース、アラビノース、または二糖類が含まれるがこれらに限定されない。
【0073】
本明細書中で使用される場合、用語「実質的に均質」は、その分子の大部分が高分子量コンカテマーとして存在しない溶液を意味する。従って、溶液中の分子の少なくとも50%は高分子量コンカテマーの一部ではない。他の実施態様において、溶液中の分子の少なくとも40%、30%、20%、10%、5%、2%、または1%が高分子量コンカテマーの一部ではない。コンカテマーの一部ではないオリゴヌクレオチドは、単量体または二量体の形態で存在し得る。
【0074】
いくつかの実施態様において、この組成物は、全て同じ配列を有するオリゴヌクレオチドを含む。従って、同じオリゴヌクレオチド配列の複数のコピーが組成物中に存在する。あるいは、この組成物は、その混合物中の他のオリゴヌクレオチドと共通の少なくとも一つの二重鎖形成配列を有する異なる配列のオリゴヌクレオチドの混合物を含み得る。典型的には、異なるオリゴヌクレオチド配列を含む組成物は、その異なるオリゴヌクレオチド内の二重鎖形成配列が互いに相補的でありかつ塩基対を形成することができるよう、相補的な二重鎖形成配列を有する少なくとも二つの異なるオリゴヌクレオチドを含む。塩基対の形成は、完全な塩基対形成の場合も不完全、例えば突起またはミスマッチを含む場合もある。
【0075】
当然、コンカテマーの形成に関与しない追加のオリゴヌクレオチドが、その組成物が同じ配列のオリゴヌクレオチド内の二重鎖形成配列と塩基対を形成することができる二重鎖形成配列を有する単一のオリゴヌクレオチドを含むかまたは複数のオリゴヌクレオチド配列を含むかによらず、組成物中に含まれる場合がある。
【0076】
本発明の組成物は、オリゴヌクレオチドの処方に広く適用可能である。これらは免疫賦活オリゴヌクレオチドの処方に限定されない。例えば、本発明の組成物は、治療用のDNA、例えばアンチセンスオリゴヌクレオチド、またはRNA、例えばsiRNAオリゴヌクレオチドを処方するのに使用され得る。いくつかの実施態様において、この組成物は、免疫賦活オリゴヌクレオチドを処方するのに有用である。
【0077】
免疫賦活オリゴヌクレオチドは、概ね、6〜100ヌクレオチドの範囲の長さを有する。いくつかの実施態様において、その長さは6〜40、13〜100、13〜40、13〜30、15〜50、もしくは15〜30ヌクレオチド、またはその間の任意の整数の範囲である。
【0078】
用語「核酸」および「オリゴヌクレオチド」は、互換的に使用され、複数のヌクレオチ
ド(すなわち、リン酸基および交換可能な有機塩基に連結された糖(例えばリボースまたはデオキシリボース)を含む分子であり、置換ピリミジン(例えばシトシン(C)、チミン(T)、もしくはウラシル(U))または置換プリン(例えばアデニン(A)もしくはグアニン(G))のいずれかである)を意味する。本明細書中で使用される場合、用語「核酸」および「オリゴヌクレオチド」は、オリゴリボヌクレオチドおよびオリゴデオキシリボヌクレオチドを意味する。用語「核酸」および「オリゴヌクレオチド」はまた、ポリヌクレオシド(すなわちポリヌクレオチドからリン酸基を除いたもの)および任意の他の有機塩基を含有するポリマーを含む。核酸分子は、既存の核酸供給源(例えばゲノムまたはcDNA)から獲得することができるが、好ましくは合成物である(例えば核酸合成によって製造される)。
【0079】
本明細書中で使用される場合、用語「核酸」および「オリゴヌクレオチド」は、本発明の核酸分子およびオリゴヌクレオチド、ならびに本発明のオリゴヌクレオチドアナログを包含する。本明細書中で使用される場合、用語「オリゴデオキシヌクレオチド」およびそれと同義の「ODN」は、本発明の非修飾オリゴデオキシヌクレオチドおよび本発明のオリゴデオキシヌクレオチドアナログを包含する。
【0080】
用語「核酸」および「オリゴヌクレオチド」はまた、例えば塩基および/または糖における置換または修飾を有する核酸またはオリゴヌクレオチドを包含する。例えば、これらは、2’位においてヒドロキシル基以外の、および5’位においてリン酸基またはヒドロキシ基以外の低分子量有機基に共有結合により結合された糖骨格を有する核酸を包含する。従って修飾核酸は、2’−O−アルキル化リボース基を含み得る。さらに、修飾核酸は、リボースの代わりにアラビノースまたは2’−フルオロアラビノース等の糖を含み得る。従って、核酸は、その骨格組成において異種性であり、ひとつながりのポリマー単位の任意の可能性のある組み合わせを含む、例えばペプチド−核酸(これは核酸塩基を有するペプチド様骨格を有する)であり得る。いくつかの実施態様において、オリゴヌクレオチドは一つまたはそれ以上の修飾を有し得、各々の修飾は、天然DNAで構成される同じ配列のオリゴヌクレオチドとの比較で、特定のホスホジエステルインターヌクレオシド架橋に、および/または特定のβ−D−リボース単位に、および/または特定の天然ヌクレオシド塩基位置に配置される。他の例は、以下により詳細に記載されている。
【0081】
本発明の免疫賦活オリゴヌクレオチドは、ホスホジエステルインターヌクレオシド架橋、β−D−リボース単位、および/または天然ヌクレオシド塩基(例えばアデニン、グアニン、シトシン、チミン、もしくはウラシル)を含む天然RNAおよびDNAと比較して様々な化学修飾および置換を含み得る。化学修飾の例は当業者に公知であり、例えばUhlmann E et al.(1990)Chem Rev 90:543;“Protocols for Oligonucleotides and Analogs”
Synthesis and Properties & Synthesis and Analytical Techniques,S.Agrawal,Ed,Humana Press,Totowa,USA 1993;Crooke ST et al.(1996)Annu Rev Pharmacol Toxicol 36:107−29;およびHunziker J et al.(1995)Mod Synth
Methods 7:331−417に記載されている。本発明に従うオリゴヌクレオチドは一つまたはそれ以上の修飾を有し得、各々の修飾は、天然DNAまたはRNAで構成される同じ配列のオリゴヌクレオチドとの比較で、特定のホスホジエステルインターヌクレオシド架橋に、および/または特定のβ−D−リボース単位に、および/または特定の天然ヌクレオシド塩基位置に配置される。
【0082】
例えば、オリゴヌクレオチドは一つまたはそれ以上の修飾を含み得、各々の修飾は独立して以下から選択される:
a)ヌクレオシドの3’末端および/または5’末端に位置するホスホジエステルインターヌクレオシド架橋の、修飾インターヌクレオシド架橋による置換、
b)ヌクレオシドの3’末端および/または5’末端に位置するホスホジエステル架橋の、脱リン酸架橋による置換、
c)糖リン酸骨格の糖リン酸単位の別単位による置換、
d)β−D−リボース単位の修飾糖単位による置換、および
e)天然ヌクレオシド塩基の修飾ヌクレオシド塩基による置換。
【0083】
オリゴヌクレオチドの化学修飾のより詳細な例は以下の通りである。
【0084】
オリゴヌクレオチドは、修飾インターヌクレオチド結合、例えば上記のaまたはbに記載される結合を含み得る。これらの修飾結合は、分解に対して部分的に耐性であり得る(例えば安定化され得る)。安定化オリゴヌクレオチド分子は、そのような修飾に起因して、(例えばエキソまたはエンドヌクレアーゼを通じた)インビボでの分解に対して比較的耐性のオリゴヌクレオチドを意味する。
【0085】
ホスホロチオエート結合を有するオリゴヌクレオチドは、いくつかの実施態様において、最大の活性を提供しかつ細胞内エキソヌクレアーゼおよびエンドヌクレアーゼによる分解からオリゴヌクレオチドを保護し得る。ヌクレオシドの3’および/または5’末端に位置するホスホジエステルインターヌクレオシド架橋は、修飾インターヌクレオシド架橋により置き換えることができ、修飾インターヌクレオシド架橋は、例えば、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、NR
1R
2−ホスホラミデート、ボラノホスフェート、α−ヒドロキシベンジルホスホネート、ホスフェート−(C
1〜C
21)−O−アルキルエステル、ホスフェート−[(C
6〜C
12)アリール−(C
1〜C
21)−O−アルキル]エステル、(C
1〜C
8)アルキルホスホネートおよび/または(C
6〜C
12)アリールホスホネ
ート架橋、(C
7〜C
12)−α−ヒドロキシメチル−アリール(例えばWO95/013
63に開示されている)[式中、(C
6〜C
12)アリール、(C
6〜C
20)アリール、および(C
6〜C
14)アリールは場合によりハロゲン、アルキル、アルコキシ、ニトロ、シア
ノで置換され、R
1およびR
2は、互いに独立して、水素、(C
1〜C
18)−アルキル、(
C
6〜C
20)−アリール、(C
6〜C
14)−アリール−(C
1〜C
8)−アルキル、好ましくは水素、(C
1〜C
8)−アルキル、好ましくは(C
1〜C
4)−アルキル、および/またはメトキシエチルであるか、またはR
1およびR
2は、それらを保持する窒素原子と共に、5〜6員の複素環式環を形成し、この環はさらにO、S、およびNの群から選択されるさらなるヘテロ原子を含み得る]から選択される。
【0086】
ヌクレオシドの3’および/または5’末端に位置するホスホジエステル架橋の脱リン酸架橋(脱リン酸架橋は、例えばUhlmann E and Peyman A in
“Methods in Molecular Biology”,Vol.20,“Protocols for Oligonucleotides and Analogs”,S.Agrawal,Ed.,Humana Press,Totowa 1993,Chapter 16,pp.355 ffに記載されている)による置換において、脱リン酸架橋は、例えば、ホルムアセタール、3’−チオホルムアセタール、メチルヒドロキシルアミン、オキシム、メチレンジメチル−ヒドラゾ、ジメチレンスルホン、および/またはシリル基の脱リン酸架橋から選択される。
【0087】
糖リン酸骨格(すなわち、糖リン酸骨格は糖リン酸単位で構成される)の糖リン酸単位(すなわち、共に糖リン酸単位を形成するβ−D−リボースおよびホスホジエステルインターヌクレオシド架橋)は、別の単位で置換することができ、他の単位は、例えば、「モルホリノ誘導体」オリゴマー(例えばStirchak EP et al.(1989)Nucleic Acids Res 17:6129−41に記載される)を構築す
るのに適したもの、例えば、モルホリノ誘導体単位による置換;またはポリアミド核酸(「PNA」、例えばNielsen PE et al.(1994)Bioconjug Chem 5:3−7に記載される)を構築するのに適したもの、例えばPNA骨格単位、例えば2−アミノエチルグリシンによる置換、である。オリゴヌクレオチドは、他の炭水化物骨格の修飾および置換、例えばリン酸基を有するペプチド核酸(PHONA)、ロック核酸(locked nucleic acids)(LNA)、およびアルキルリンカーまたはアミノリンカーを含む骨格部分を有するオリゴヌクレオチドを有し得る。アルキルリンカーは、分枝型または非分枝型、置換または非置換、およびキラル純粋またはラセミ混合物であり得る。
【0088】
β−リボース単位またはβ−D−2’デオキシリボース単位は修飾糖単位で置換することができ、修飾糖単位は、例えば、β−D−リボース、α−D−2’−デオキシリボース、L−2’−デオキシリボース、2’−F−2’−デオキシリボース、2’−F−アラビノース、2’−O−(C
1〜C
6)アルキル−リボース、好ましくは2’−O−(C
1〜C
6)アルキル−リボースは2’−O−メチルリボースである、2’−O−(C
2〜C
6)アルケニル−リボース、2’−[O−(C
1〜C
6)アルキル−O−(C
1〜C
6)アルキル]−リボース、2’−NH
2−2’−デオキシリボース、β−D−キシロ−フラノース、α−
アラビノフラノース、2,4−ジデオキシ−β−D−エリスロ−ヘキソ−ピラノース、ならびに炭素環式(例えばFroehler(1992)J Am Chem Soc 114:8320に記載される)および/または閉鎖糖アナログ(例えばVandendriessche et al.(1993)Tetrahedron 49:7223に記載される)および/またはビシクロ糖アナログ(例えばTarkov M et al.(1993)HeIv Chim Acta 76:481に記載される)から選択される。
【0089】
いくつかの実施態様において、糖は2’−O−メチルリボースであり、特に一方または両方のヌクレオチドがホスホジエステルまたはホスホジエステル様インターヌクレオシド結合により連結されたものである。
【0090】
本発明の免疫賦活核酸分子は、キメラ骨格を含み得る。本発明の目的上、キメラ骨格は、部分的に安定化された骨格であって、少なくとも一つのインターヌクレオチド結合がホスホジエステルまたはホスホジエステル様であり、かつ少なくとも一つの他のインターヌクレオチド結合が安定化インターヌクレオチド結合であり、少なくとも一つのホスホジエステルまたはホスホジエステル様結合および少なくとも一つの安定化結合が異なるものを意味する。ボラノホスホネート結合は、その骨格のキメラ性にとって、ホスホジエステル結合よりも安定であることが報告されているので、ボラノホスホネート結合は、状況に応じてホスホジエステル様または安定化のいずれかとして分類することができる。例えば、本発明に従うキメラ骨格は、一つの実施態様において、少なくとも一つのホスホジエステル(ホスホジエステルまたはホスホジエステル様)結合および少なくとも一つのボラノホスホネート(安定化)結合を含み得る。別の実施態様において、本発明に従うキメラ骨格は、ボラノホスホネート(ホスホジエステルまたはホスホジエステル様)およびホスホロチオエート(安定化)結合を含み得る。「安定化インターヌクレオチド結合」は、ホスホジエステルインターヌクレオチド結合と比較して、相対的にインビボでの分解(例えばエキソまたはエンドヌクレアーゼを通じた分解)に対して耐性であるインターヌクレオチド結合を意味する。好ましい安定化インターヌクレオチド結合には、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、メチルホスホネート、およびメチルホスホロチオエートが含まれるがこれらに限定されない。他の安定化インターヌクレオチド結合には、ペプチド、アルキル、デホスホ、および上記のような他の結合が含まれるがこれらに限定されない。
【0091】
特に、ホスホジエステルまたはホスホジエステル様インターヌクレオチド結合は、「内
部ジヌクレオチド」を含む。内部ジヌクレオチドは、一般的に、インターヌクレオチド結合によって接続された任意の隣接するヌクレオチド対であって、そのヌクレオチド対のいずれのヌクレオチドも末端ヌクレオチドでない、すなわちヌクレオチド対のいずれのヌクレオチドもそのオリゴヌクレオチドの5’または3’末端を規定するヌクレオチドでないものを意味する。従って、nヌクレオチド長の直鎖オリゴヌクレオチドは、合計してn−1個のジヌクレオチドおよびn−3個のみの内部ジヌクレオチドを有する。内部ジヌクレオチドにおける各インターヌクレオチド結合は、内部インターヌクレオチド結合である。従って、nヌクレオチド長の直鎖オリゴヌクレオチドは、合計してn−1個のインターヌクレオチド結合およびn−3個のみの内部インターヌクレオチド結合を有する。従って、戦略的に配置されたホスホジエステルまたはホスホジエステル様インターヌクレオチド結合は、核酸配列内の任意のヌクレオチド対の間に配置されたホスホジエステルまたはホスホジエステル様インターヌクレオチド結合を意味する。いくつかの実施態様において、ホスホジエステルまたはホスホジエステル様インターヌクレオチド結合は、その5’または3’末端最近接のいずれかのヌクレオチド対の間に配置されることはない。
【0092】
ホスホジエステルインターヌクレオチド結合は、自然界で見出される核酸に特徴的な結合のタイプである。ホスホジエステルインターヌクレオチド結合は、二つの橋架け酸素原子に隣接し、かつ一方は荷電しもう一方は非荷電の二つのさらなる酸素原子に結合したリン原子を含む。ホスホジエステルインターヌクレオチド結合は、そのオリゴヌクレオチドの組織半減期を減少させるのが重要となる場合に特に好ましい。
【0093】
ホスホジエステル様インターヌクレオチド結合は、化学的および/またはジアステレオマー的にホスホジエステルと類似するリン含有架橋基である。ホスホジエステルとの類似性の尺度には、ヌクレアーゼ消化に対する感受性およびRNase Hの活性化能が含まれる。従って、例えば、ホスホジエステルであるがホスホロチオエートではないオリゴヌクレオチドはヌクレアーゼ消化に対して感受性であり、ホスホジエステルでありホスホロチオエートでもあるオリゴヌクレオチドはRNase Hを活性化する。好ましい実施態様において、ホスホジエステル様インターヌクレオチド結合は、ボラノホスフェート(またはそれと同義のボラノホスホネート)結合である。米国特許第5,177,198号;米国特許第5,859,231号;米国特許第6,160,109号;米国特許第6,207,819号;Sergueev et al.,(1998)J Am Chem Soc 120:9417−27。別の好ましい実施態様において、ホスホジエステル様インターヌクレオチド結合は、ジアステレオマー的に純粋なRpホスホロチオエートである。ジアステレオマー的に純粋なRpホスホロチオエートは、混合またはジアステレオマー的に純粋なSpホスホロチオエートよりも、ヌクレアーゼ消化に対する感受性が高くかつRNase Hを活性化する能力が高いと考えられている。CpGオリゴヌクレオチドの立体異性体は、同時係属中の1999年7月27出願の米国特許出願09/361,575およ
び公開されたPCT出願PCT/US99/17100(WO00/06588)の主題である。本発明の目的上、用語「ホスホジエステル様インターヌクレオチド結合」は、特に、ホスホロジチオエートおよびメチルホスホネートインターヌクレオチド結合を除外することに留意されたい。
【0094】
修飾骨格、例えばホスホロチオエートは、ホスホラミデートまたはH−ホスホネート化学のいずれかを用いる自動化技術を用いて合成され得る。アリール−およびアルキル−ホスホネートは、例えば米国特許第4,469,863号に記載されるようにして製造することができ;アルキルホスホトリエステル(米国特許第5,023,243号および欧州特許第092,574号に記載されるように荷電酸素部分がアルキル化されたもの)は、市販
の試薬を用いる自動化固相合成により作製することができる。他のDNA骨格の修飾および置換の作製方法は記載されている。Uhlmann E et al.(1990)Chem Rev 90:544;Goodchild J(1990)Bioconju
gate Chem 1:165。キメラオリゴヌクレオチドの作製方法も公知である。例えばUhlmannらに対して発行された特許がそのような技術を記載している。
【0095】
混合骨格修飾オリゴヌクレオチド(Mixed backbone modified
oligonucleotides)は、市販のDNA合成器および標準的なホスホラミダイト化学を用いて合成され得る(F.E.Eckstein,“Oligonucleotides and Analogues − A Practical Approach”
IRL Press.Oxford,UK,1991,およびM.D.Matteucci and M.H.Caruthers,
Tetrahedron Lett.21,719(1980))。カップリングの後、Beaucage試薬(R.P.Iyer,W.Egan,J.B.Regan and S.L.Beaucage.
J.Am.Chem.Soc.112,1253(1990))(アセトニトリル中0.075M)またはフェニルアセチルジスルフィド(PADS)を用いる硫化およびそれに続く無水酢酸、2,6−ルチジン、テトラヒドロフラン中(1:1:8;v:v:v)およびN−メチルイミダゾール(テトラヒドロフラン中16%)によるキャッピングによりPS結合が導入される。このキャッピング工程は、ホスホロチオエート結合が存在すべき位置における望ましくないホスホジエステル(PO)結合の形成を最小限に抑えるために硫化反応の後に行われる。ホスホジエステル結合を、例えばCpGジヌクレオチドに導入する場合は、水/ピリジン中ヨウ素溶液処理により中間体のリン−IIIを酸化させる。固体支持体からの切断および濃アンモニア処理による最後の脱保護(50℃で15時間)の後、NaCl勾配(例えば緩衝液A:アセトニトリル/水=1:4/v:v中10m
M
NaH
2PO
4、pH6.8;緩衝液B:アセトニトリル/水=1:4/v:v中10m
M NaH
2PO
4、1.5M NaCl;30分間に1ml/分で5〜60%B)を用いるGenPak(商標)Faxカラム(Millipore−Waters)におけるHPLCまたはキャピラリーゲル電気泳動によってODNを分析する。ODNは、Source High Performanceカラム(Amersham Pharmacia)におけるHPLCによってまたはFPLCによって精製することができる。HPLCの同質フラクションをひとまとめにし、C18カラムを通じてまたは限外ろ過によって脱塩処理する。ODNは、MALDI−TOF質量分析によって分析し、算出された質量を確認した。
【0096】
本発明の核酸は他の修飾も含み得る。これらには、非イオン性DNAアナログ、例えばアルキル−およびアリール−ホスフェート(荷電ホスホネート酸素がアルキルまたはアリール基で置換されたもの)、ホスホジエステル、およびアルキルホスホトリエステル(荷電酸素部分がアルキル化されたもの)が含まれる。いずれかまたは両方の末端にジオール、例えばテトラエチレングリコールまたはヘキサエチレングリコールを含む核酸もまた、実質的にヌクレアーゼ分解に対して耐性であることが示されている。
【0097】
核酸はまた、置換プリンおよびピリミジン、例えばC−5プロピンピリミジンおよび7−デアザ−7−置換プリン修飾された塩基を含む。Wagner RW et al.(1996)Nat Biotechnol 14:840−4。プリンおよびピリミジンには、アデニン、シトシン、グアニン、チミン、およびウラシル、ならびにその他の天然および非天然核酸塩基、置換および非置換芳香族部分が含まれるがこれらに限定されない。
【0098】
修飾塩基は、典型的にはDNAおよびRNAにおいて見られる天然の塩基、例えばT、C、G、A、およびUと化学的に異なるが、これらの天然の塩基と基本的な化学構造を共有している任意の塩基である。修飾ヌクレオシド塩基は、例えば、ヒポキサンチン、ウラシル、ジヒドロウラシル、プソイドウラシル、2−チオウラシル、4−チオウラシル、5−アミノウラシル、5−(C
1〜C
6)−アルキルウラシル、5−(C
2〜C
6)−アルケニ
ルウラシル、5−(C
2〜C
6)−アルキニルウラシル、5−(ヒドロキシメチル)ウラシル、5−クロロウラシル、5−フルオロウラシル、5−ブロモウラシル、5−ヒドロキシシトシン、5−(C
1〜C
6)アルキルシトシン、5−(C
2〜C
6)−アルケニルシトシン、5−(C
2〜C
6)−アルキニルシトシン、5−クロロシトシン、5−フルオロシトシン、5−ブロモシトシン、N
2−ジメチルグアニン、2,4−ジアミノ−プリン、8−アザプリン、置換7−デアザプリン、好ましくは7−デアザ−7−置換および/または7−デアザ−8−置換プリン、5−ヒドロキシメチルシトシン、N4−アルキルシトシン、例えばN4−エチルシトシン、5−ヒドロキシデオキシシチジン、5−ヒドロキシメチルデオキシシチジン、N4−アルキルデオキシシチジン、例えばN4−エチルデオキシシチジン、6−チオデオキシグアノシン、ならびにニトロピロールのデオキシリボヌクレオシド、C5−プロピニルピリミジン、ならびにジアミノプリン、例えば2,6−ジアミノプリン、イノシン、5−メチルシトシン、2−アミノプリン、2−アミノ−6−クロロプリン、ヒポキサンチン、またはその他の天然ヌクレオシド塩基の修飾から選択され得る。このリストは例示を意味するものであって、限定と解釈されるべきでない。
【0099】
本明細書中に記載される特定の式には、修飾塩基が組み込まれ得る。例えば、シトシンは、修飾シトシンで置換され得る。本明細書中で使用される場合、修飾シトシンは、シトシンの天然または非天然のピリミジン塩基アナログであって、そのオリゴヌクレオチドの免疫賦活活性を損なうことなくこの塩基を置換することができるものである。修飾シトシンには5−置換シトシン(例えば5−メチル−シトシン、5−フルオロ−シトシン、5−クロロ−シトシン、5−ブロモ−シトシン、5−ヨード−シトシン、5−ヒドロキシ−シトシン、5−ヒドロキシメチル−シトシン、5−ジフルオロメチル−シトシン、および非置換または置換5−アルキニル−シトシン)、6−置換シトシン(例えば6−ヒドロキシ−シトシン)、N4−置換シトシン(例えばN4−エチル−シトシン)、5−アザ−シトシン、2−メルカプト−シトシン、イソシトシン、プソイド−イソシトシン、縮合環系を有するシトシンアナログ(例えばN’,N’−プロピレンシトシンまたはフェノキサジン)、ならびにウラシルおよびその誘導体(例えば5−フルオロ−ウラシル、5−ブロモ−ウラシル、5−ブロモビニル−ウラシル、4−チオ−ウラシル、5−ヒドロキシ−ウラシル、5−プロピニル−ウラシル)が含まれるがこれらに限定されない。いくつかの好ましいシトシンには、5−メチル−シトシン、5−フルオロ−シトシン、5−ヒドロキシ−シトシン、5−ヒドロキシメチル−シトシン、およびN4−エチル−シトシンが含まれる。本発明の別の実施態様において、シトシン塩基は、ユニバーサル塩基(例えば3−ニトロピロール、P塩基)、芳香族環系(例えばフルオロベンゼンもしくはジフルオロベンゼン)、または水素原子(dSpacer)で置換される。
【0100】
グアニンは、修飾グアニン塩基で置換され得る。本明細書中で使用される場合、修飾グアニンは、グアニンの天然または非天然プリン塩基アナログであって、そのオリゴヌクレオチドの免疫賦活活性を損なうことなくこの塩基を置換することができるものである。修飾グアニンには、7−デアザグアニン、7−デアザ−7−置換グアニン(例えば7−デアザ−7−(C2〜C6)アルキニルグアニン)、7−デアザ−8−置換グアニン、ヒポキサンチン、N2−置換グアニン(例えばN2−メチル−グアニン)、5−アミノ−3−メチル−3H,6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−2,7−ジオン、2,6−ジアミノプリン、2−アミノプリン、プリン、インドール、アデニン、置換アデニン(例えばN6−メチル−アデニン、8−オキソ−アデニン)、8−置換グアニン(例えば8−ヒドロキシグアニンおよび8−ブロモグアニン)、ならびに6−チオグアニンが含まれるがこれらに限定されない。本発明の別の実施態様において、グアニン塩基は、ユニバーサル塩基(例えば4−メチル−インドール、5−ニトロ−インドール、およびK塩基)、芳香族環系(例えばベンゾイミダゾールもしくはジクロロ−ベンゾイミダゾール、1−メチル−1H−[1,2,4]トリアゾール−3−カルボン酸アミド)、または水素原子(dSpacer)で置換される。
【0101】
免疫賦活オリゴヌクレオチドはまた、ヌクレオチドまたはヌクレオチドアナログ部分の間に一つまたはそれ以上の通常ではない結合を含み得る。通常のインターヌクレオシド結合は、3’5’−結合である。他の全ての結合は、例えば2’5’−、5’5’−、3’3’−、2’2’−、および2’3’−結合のような通常ではないインターヌクレオシド結合とみなされる。2’〜5’の命名法はリボースの炭素原子に従い選択される。しかし、非天然の糖部分、例えば環拡張(ring−expanded)糖アナログ(例えばヘキサノース、シクロヘキセン(cylohexene)もしくはピラノース)または二環式もしくは三環式糖アナログが利用される場合、この命名法はその単量体の命名法に従い変化する。3’−デオキシ−β−D−リボピラノースアナログ(p−DNAとも呼ばれる)においては、モノヌクレオチドは、例えば4’2’結合を通じて接続される。
【0102】
原理的に、オリゴヌクレオチドの異なる部分間または異なるオリゴヌクレオチド間の結合は、それぞれ、その受容体による認識に悪い意味で干渉しない限り、その分子の全ての部分を通じて行われ得る。この核酸の性質に従い、糖部分(Su)、複素環式核酸塩基(Ba)、またはリン酸骨格(Ph)が結合に関与し得る。従って、Su−Su型、Su−Ph型、Su−Ba型、Ba−Ba型、Ba−Su型、Ba−Ph型、Ph−Ph型、Ph−Su型、およびPh−Ba型の結合が起こり得る。オリゴヌクレオチドが特定の非ヌクレオチド置換によりさらに修飾される場合、結合は、そのオリゴヌクレオチドの修飾部分を通じても起こり得る。これらの修飾には、修飾核酸、例えばPNA、LNA、またはモルホリノオリゴヌクレオチドアナログも含まれる。
【0103】
結合は、好ましくは3〜300個の原子を含み、C、H、N、O、S、B、P、およびハロゲンで構成される。3原子の例は、例えば第一のヌクレオチドの3’ヒドロキシ基と第二のオリゴヌクレオチドの3’ヒドロキシ基を接続するアセタール結合(ODN1−3'−O−CH
2−O−3'−ODN2;FroehlerおよびMatteucci)である。約300個の原子の例は、PEG−40(テトラコンタポリエチレングリコール)である。好ましい結合は、ホスホジエステル、ホスホロチオエート、メチルホスホネート、ホスホラミデート、ボラノホスホネート、アミド、エーテル、チオエーテル、アセタール、チオアセタール、ウレア、チオウレア、スルホンアミド、シッフ塩基、およびジスルフィド結合である。別の可能性は、Solulink BioConjugation System(TriLink BioTechnologies,San Diego,CA)の使用である。
【0104】
本発明の免疫賦活オリゴヌクレオチドはまた、親油基に結合させることができる。本明細書中で使用される場合、「親油基」は、脂質または非極性分子に対する化学的親和性を有する化学官能基である。いくつかの実施態様において、親油基はコレステロールである。
【0105】
本発明の免疫賦活オリゴヌクレオチドは、Th1様免疫反応を誘導するのに有用である。これらは、任意の目的で免疫賦活オリゴヌクレオチドを長期間または反復的に投与することが必要とされる任意の状況において特に有用であると考えられる。従って、本発明の免疫賦活オリゴヌクレオチドは、ワクチン接種のためのアジュバントとして有用であり、かつこれらは癌、感染疾患、アレルギー、および喘息を含む疾患を処置するのに有用である。
【0106】
癌は、非制御的な細胞成長(すなわち分裂)を伴う疾患である。癌細胞の非制御的増殖に寄与するいくつかの公知のメカニズムには、成長因子非依存化、ゲノム変異の検出不良、および不適当な細胞シグナルが含まれる。癌細胞が正常な成長の制御を無視する能力は、増殖速度の増加をもたらし得る。癌の原因はしっかりとは確立されていないが、いくつ
かの要因が、癌に寄与するまたは少なくとも被検体を癌に傾斜させることが知られている。このような要因には、特定の遺伝的変異(例えば乳癌におけるBRCA遺伝子の変異、結腸癌におけるAPC)、癌を誘発する疑いのある因子または発癌物質に対する被曝(例えばアスベスト、UV照射)、および特定の癌、例えば乳癌については家族的素因が含まれる。
【0107】
癌は、悪性癌または非悪性癌であり得る。癌または腫瘍には、胆道癌;脳癌;乳癌;子宮頸癌;絨毛癌;結腸癌;子宮体癌;食道癌;胃癌;上皮内新生物;リンパ腫;肝癌;肺癌(例えば小細胞および非小細胞);黒色腫;神経芽細胞腫;口腔癌;卵巣癌;膵癌;前立腺癌;直腸癌;肉腫;皮膚癌;精巣癌;甲状腺癌;および腎癌、ならびに他の癌腫および肉腫が含まれるがこれらに限定されない。一つの実施態様において、癌は、ヘアリーセル白血病、慢性骨髄性白血病、皮膚T細胞白血病、多発性骨髄腫、濾胞性リンパ腫、悪性黒色腫、扁平上皮癌、腎細胞癌、前立腺癌、膀胱細胞癌、または結腸癌である。
【0108】
癌を有する被検体は、検出可能な癌細胞を有する被検体である。癌処置を「必要とする被検体」は、検出可能な癌細胞を有する被検体または癌を発症する危険のある被検体である。
【0109】
癌を発症する危険のある被検体は、通常よりも高い癌発症可能性を有する被検体である。これらの被検体には、例えば、癌を発症する可能性の増加に関連することが実証されている遺伝的異常を有する被検体、癌に対する家族的素因を有する被検体、癌誘発因子(すなわち発癌物質)、例えばタバコ、アスベスト、またはその他の化学毒に被曝した被検体、ならびに以前に癌の処置を受けかつ見かけ上寛解した被検体が含まれる。
【0110】
CpG免疫賦活オリゴヌクレオチドはまた、従来的な抗癌処置と併用して投与され得る。本明細書中で使用される場合、「従来的な抗癌処置」は、癌医薬、放射線照射、および外科的手技を意味する。本明細書中で使用される場合、「癌医薬」は、癌を処置する目的で被検体に対して投与される薬剤を意味する。本明細書中で使用される場合、「癌を処置する」には、癌の発症の予防、癌の症状の軽減、および/または発症した癌の成長の阻害が含まれる。他の局面において、癌医薬は、癌を発症する危険を軽減する目的で、癌を発症する危険のある被検体に対して投与される。様々なタイプの癌処置用医薬が本明細書中に記載されている。本明細書の目的上、癌医薬は、化学療法剤、免疫療法剤、癌ワクチン、ホルモン療法、および生物学的応答調節物質に分類される。いくつかの実施態様において、抗癌医薬は、免疫賦活オリゴヌクレオチドに連結させることができる。
【0111】
さらに、本発明の方法は、CpG免疫賦活オリゴヌクレオチドと一超の癌医薬の併用を包含することを意図している。例として、適当な場合、CpG免疫賦活オリゴヌクレオチドは、化学療法剤および免疫療法剤の両方または抗血管新生剤と共に投与され得る。PクラスCpG ODNと抗血管新生剤の組み合わせは、一つまたはそれ以上の他の抗癌療法との多重的組み合わせを含み得る。あるいは、癌医薬は、全て癌を有する被検体または癌を発症する危険のある被検体を処置する目的で一人の被検体に対して投与される、免疫療法剤および癌ワクチン、または化学療法剤および癌ワクチン、または化学療法剤、免疫療法剤、および癌ワクチンを含む。いくつかの実施態様において、この処置はさらに抗体を含む。
【0112】
化学療法剤は、メトトレキサート、ビンクリスチン、アドリアマイシン、シスプラチン、非糖質含有クロロエチルニトロソ尿素、5−フルオロウラシル、マイトマイシンC、ブレオマイシン、ドキソルビシン、ダカルバジン、タキソール、フラジリン(fragyline)、メグラミン(Meglamine)GLA、バルルビシン、カルムスタイン(carmustaine)およびポリフェルポサン(poliferposan)、MM
I270、BAY 12−9566、RASファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤、ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤、MMP、MTA/LY231514、LY264618/ロメテキソール(Lometexol)、グラモレク(Glamolec)、CI−994、TNP−470、ハイカムチン/トポテカン、PKC412、バルスポダール/PSC833、ノバントロン/ミトキサントロン(Mitroxantron)、メタレット(Metaret)/スラミン、バチマスタット、E7070、BCH−4556、CS−682、9−AC、AG3340、AG3433、インセル(Incel)/VX−710、VX−853、ZD0101、ISI641、ODN 698、TA 2516/マルミスタット(Marmistat)、BB2516/マルミスタット、CDP 845、D2163、PD183805、DX8951f、レモナールDP 2202、FK 317、ピシバニール/OK−432、AD 32/バルルビシン、メタストロン/ストロンチウム誘導体、テモダール/テモゾロミド、エヴァセット(Evacet)/リポソーム性ドキソルビシン、ユータキサン(Yewtaxan)/パクリタキセル、タキソール/パクリタキセル、エクセロード(Xeload)/カペシタビン、フルツロン/ドキシフルリジン、シクロパックス(Cyclopax)/経口パクリタキセル、経口タキソイド、SPU−077/シスプラチン、HMR 1275/フラボピリドール(Flavopiridol)、CP−358(774)/EGFR、CP−609(754)/RASオンコジーン阻害剤、BMS−182751/経口白金、UFT(テガフル/ウラシル)、エルガミソール(Ergamisol)/レバミソール、エニルウラシル/776C85/5FUエンハンサー、カンプト/レバミソール、カンプトサール(Camptosar)/イリノテカン、ツモデックス(Tumodex)/ラルチトレキセド、ロイスタチン/クラドリビン、パゼックス(Paxex)/パクリタキセル、ドキシル(Doxil)/リポソーム性ドキソルビシン、カーリクス(Caelyx)/リポソーム性ドキソルビシン、フルダラ(Fludara)/フルダラビン、ファーマルビシン(Pharmarubicin)/エピルビシン、デポサイト(DepoCyt)、ZD1839、LU 79553/ビス−ナフタルイミド、LU 103793/ドラスタイン(Dolastain)、カーティクス(Caetyx)/リポソーム性ドキソルビシン、ジェムザール/ゲムシタビン、ZD 0473/アノルメド(Anormed)、YM 116、ロジンシード(lodine seeds)、CDK4およびCDK2阻害剤、PARP阻害剤、D4809/デクスイホサミド(Dexifosamide)、アイフェス(Ifes)/メスネクス(Mesnex)/イホサミド(Ifosamide)、ブモン(Vumon)/テニポシド、パラプラチン/カルボプラチン、プランチノール(Plantinol)/シスプラチン、ベプシド(Vepeside)/エトポシド、ZD 9331、タキソテール/ドセタキセル、グアニンアラビノシドのプロドラッグ、タキサンアナログ、ニトロソ尿素、アルキル化剤、例えばメルフェランおよびシクロホスファミド、アミノグルテチミド、アスパラギナーゼ、ブスルファン、カルボプラチン、クロラムブシル、シスプラチン、シタラビンHCI、ダクチノマイシン、ダウノルビシンHCl、リン酸エストラムスチンナトリウム、エトポシド(VP16−213)、フロクスウリジン、フルオロウラシル(5−FU)、フルタミド、ヒドロキシ尿素(ヒドロキシカルバミド)、イホスファミド、インターフェロンアルファ−2a、アルファ−2b、酢酸ロイプロリド(LHRH放出因子アナログ)、ロムスチン(CCNU)、メクロレタミンHCl(ナイトロジェンマスタード)、メルカプトプリン、メスナ、ミトタン(o.p’−DDD)、ミトキサントロンHCl、オクトレオチド、プリカマイシン、プロカルバジンHCl、ストレプトゾシン、クエン酸タモキシフェン、チオグアニン、チオテパ、硫酸ビンブラスチン、アムサクリン(m−AMSA)、アザシチジン、エリスロポエチン(Erthropoietin)、ヘキサメチルメラミン(HMM)、インターロイキン2、ミトグアゾン(メチル−GAG;メチルグリオキサールビス−グアニルヒドラゾン;MGBG)、ペントスタチン(2’デオキシコホルマイシン)、セムスチン(メチル−CCNU)、テニポシド(VM−26)、ならびに硫酸ビンデシンからなる群より選択され得るがこれらに限定されない。
【0113】
免疫療法剤または抗血管新生剤は、リツキサン(Rituxan)、リブタキシン(Ributaxin)、ハーセプチン、クアドラメット、パノレックス(Panorex)、アイデック(IDEC)−Y2B8、BEC2、C225、オンコリム(Oncolym)、スマート(SMART)M195、アトラゲン(ATRAGEN)、オバレックス、ベキサール(Bexxar)、LDP−03、ior t6、MDX−210、MDX−11、MDX−22、OV103、3622W94、抗VEGF、抗CTLA−4、アバスチン、抗EGFR、イレッサ、ゼナパックス(Zenapax)、MDX−220、MDX−447、メルイミューン2(MELIMMUNE−2)、メルイミューン1(MELIMMUNE−1)、シーサイド(CEACIDE)、プレターゲット(Pretarget)、NovoMAb−G2、TNT、グリオマブH(Gliomab−H)、GNI−250、EMD−72000、リンホシド(LymphoCide)、CMA 676、モノファームC(Monopharm−C)、4B5、ior egf.r3、ior c5、BABS、抗FLK−2、MDX−260、ANA Ab、スマート1D10 Ab、スマートABL 364 Ab、およびイミュレイト(ImmuRAIT)−CEAからなる群より選択され得るがこれらに限定されない。
【0114】
癌ワクチンは、EGF、抗イディオタイプ癌ワクチン、Gp75抗原、GMK黒色腫ワクチン、MGVガングリオシド結合ワクチン、Her2/neu、オバレックス、M−Vax、O−Vax、L−Vax、STn−KHLセラトープ(theratope)、BLP25(MUC−1)、リポソーム性イディオタイプワクチン、メラシン(Melacine)、ペプチドまたは組換えタンパク質抗原ワクチン、毒素/抗原ワクチン、MVA系ワクチン、PACIS、BCGワクチン、TA−HPV、TA−CIN、DISC−ウイルス、一つまたはそれ以上の腫瘍関連抗原と他の免疫賦活タンパク質または分子の複合体、およびイミュシスト(ImmuCyst)/セラシス(TheraCys)からなる群より選択され得るがこれらに限定されない。
【0115】
CpG免疫賦活オリゴヌクレオチドと免疫療法剤、例えばモノクローナル抗体の併用は、(上記のような)ADCCの有意な増強、NK細胞の活性化、およびIFN−αレベルの上昇を含む多くのメカニズムを通じて長期間生存性を高めることができる。この核酸は、モノクローナル抗体と併用される場合、生物学的効果を達成するのに必要とされる抗体の用量を減らす働きをする。
【0116】
CpGオリゴヌクレオチドが抗原と共に投与される例においては、被検体は抗原に被曝され得る。本明細書中で使用される場合、用語「被曝」は、被検体を抗原と接触させる能動的な工程またはインビボでの被検体の抗原への受動的な被曝のいずれかを意味する。被検体を抗原に能動的に被曝させる方法は当該分野で周知である。一般的に、抗原は、任意の手段、例えば静脈内、筋内、経口、経皮、粘膜、鼻腔内、気管内、または皮下投与により被検体に対して直接的に投与される。抗原は、全身投与または局所投与することができる。抗原およびCpG免疫賦活オリゴヌクレオチドを投与する方法は、以下により詳細に記載されている。被検体は、抗原が体内の免疫細胞への暴露に利用できる場合、抗原に対して受動的に被曝される。被検体は、例えば、体内への外来病原体の侵入またはその表面に外来抗原を発現する腫瘍細胞の発生により、抗原に対して受動的に被曝され得る。
【0117】
被検体を抗原に対して受動的に被曝させる方法は特に、CpG免疫賦活オリゴヌクレオチドの投与のタイミングに依存し得る。例えば、癌または感染疾患またはアレルギーもしくは喘息反応を発症する危険のある被検体の場合、被検体は、その危険が最も高い時期、例えばアレルギーの季節の間または癌誘発因子への被曝後に、定期的にCpG免疫賦活オリゴヌクレオチドを投与され得る。さらに、CpG免疫賦活オリゴヌクレオチドは、感染因子への被曝のリスクがある外国の土地を旅行する前に旅行者に対して投与され得る。同
様に、CpG免疫賦活オリゴヌクレオチドは、被検体が被曝したときおよびもし被曝した場合に抗原に対する全身性または粘膜性の免疫反応を誘導する生物戦争(biowafare)への遭遇の危険のある兵士または市民に対して投与され得る。
【0118】
本明細書中で使用される場合、抗原は、免疫反応を惹起することができる分子である。抗原には、細胞、細胞抽出物、タンパク質、ポリペプチド、ペプチド、多糖類、多糖類複合体、多糖類および他の分子のペプチドおよび非ペプチド模倣物、低分子、脂質、糖脂質、炭水化物、ウイルスおよびウイルス抽出物、ならびに多細胞生物、例えば寄生虫、ならびにアレルゲンが含まれるがこれらに限定されない。抗原という用語は、広義には、宿主の免疫系により異物であると認識される任意のタイプの分子が含まれる。抗原には、癌抗原、微生物抗原、およびアレルゲンが含まれるがこれらに限定されない。
【0119】
本明細書中で使用される場合、癌抗原は、腫瘍または癌細胞の表面に存在しかつMHC分子との関係で抗原提示細胞の表面上に発現された場合に免疫反応を惹起することができるペプチドまたはタンパク質等の化合物である。癌抗原は、例えばCohen PA et al.(1994)Cancer Res 54:1055−8に記載されるような癌細胞の粗抽出物を調製することによって、抗原を部分精製することによって、組換え技術によって、または既知の抗原のデノボ合成によってのいずれかによって癌細胞から得ることができる。癌抗原には、組換え発現された抗原、その免疫原性部分、または総腫瘍細胞もしくは総癌細胞が含まれるがこれらに限定されない。このような抗原は、組換えまたは任意の他の当該分野で公知の手段によって単離および製造することができる。
【0120】
本明細書中で使用される場合、用語「癌抗原」および「腫瘍抗原」は互換的に使用され、癌細胞により特異的に発現され、それゆえ癌細胞を標的化するのに利用できる抗原を意味する。癌抗原は、潜在的に、見かけ上腫瘍特異的な免疫反応を刺激することができる抗原である。これらの抗原のいくつかは、正常細胞にコードされているが必ずしも発現するわけでない。これらの抗原は、通常は正常細胞において静的である(すなわち発現されない)抗原、特定の分化段階でのみ発現される抗原、および一時的に発現される抗原、例えば胚抗原および胎児抗原、と特徴付けることができる。他の癌抗原は、変異型細胞遺伝子、例えばオンコジーン(例えば活性化rasオンコジーン)、サプレッサー遺伝子(例えば変異型p53)、または内部欠失もしくは染色体転座により生じる融合タンパク質によりコードされる。さらに他の癌抗原は、ウイルス遺伝子によりコードされ得る(例えばRNAおよびDNA腫瘍ウイルス上に保持される癌抗原)。
【0121】
喘息の症状には、喘鳴、息切れ、および胸苦しさの反復的な発症、ならびに咳が含まれ、これらは気道の閉塞に起因する。喘息に関連する気道炎症は、多くの生理学的変化、例えば気道上皮の裸出、基底膜下へのコラーゲン沈着、浮腫、マスト細胞の活性化、好中球、好酸球、およびリンパ球を含む炎症細胞の浸潤の観察を通じて検出できる。気道炎症の結果、喘息患者は多くの場合、気道の反応性亢進、気道の制限、呼吸器系の症状、および疾患の慢性化を経験する。気流の制限には、しばしば気管支閉塞をもたらす特徴である、急性気管支収縮、気道浮腫、粘液栓の形成、および気道リモデリングが含まれる。一部の喘息の症例において、肺機能の永続的な異常を引き起こす基底膜下線維症が起こり得る。
【0122】
過去数年の研究は、喘息が、炎症細胞、メディエーター、ならびに気道に常在する他の細胞および組織の間の複雑な相互作用から起きる可能性があることを明らかにした。マスト細胞、好酸球、上皮細胞、マクロファージ、および活性化T細胞は全て、喘息に関連する炎症プロセスにおいて重要な役割を果たす(Djukanovic et al.,Am.Rev.Respir.Dis;142:434−457;1990)。これらの細胞は、局部組織に対して直接的または間接的に作用し得る、既に形成されているまたは新たに合成されるメディエーターの分泌を通じて気道の機能に影響し得ると考えられる。T
リンパ球(Th2)の亜集団が、選択的なサイトカインを放出することによって気道におけるアレルギー性炎症を調節し、疾患を慢性化する上で重要な役割を果たしていることも認識されている(Robinson,et al.N.Engl.J.Med.;326:298−304;1992)。
【0123】
喘息は、発生の異なる段階で起こる複雑な障害であり、症状の程度に基づき急性、亜急性、または慢性に分類することができる。急性炎症反応は、気道への細胞の初期動員を伴う。亜急性炎症反応は、細胞の動員および常在細胞の活性化を伴い、より持続的な炎症パターンを引き起こす。慢性炎症反応は、細胞の損傷および進行中の修復プロセスが持続的レベルであることにより特徴付けられ、気道において恒久的な異常を引き起こし得る。
【0124】
「喘息を有する被検体」は、炎症、気道の狭窄、および吸入因子に対する気道の反応過多により特徴付けられる呼吸器系の障害を有する被検体である。喘息は多くの場合、しかし絶対的ではないが、アトピー性またはアレルギー性の症状を伴う。イニシエーターは、喘息を誘発する組成物または環境条件である。イニシエーターには、アレルゲン、低温、運動、ウイルス感染、SO
2が含まれるがこれらに限定されない。
【0125】
このオリゴヌクレオチドは、Th2免疫反応からTh1免疫反応への免疫反応の方向転換にも有用である。これにより、比較的Th1/Th2のバランスのとれた環境が形成される。Th2免疫反応からTh1免疫反応への免疫反応の方向転換は、この核酸に反応して生成されるサイトカインのレベルを測定することによって(例えば、単球および他の細胞がIFN−αを含むTh1サイトカインを産生するよう誘導することによって)評価することができる。Th2反応からTh1反応への免疫反応の方向転換またはバランス調整は、喘息の処置に特に有用である。例えば、喘息を処置するのに有効な量は、喘息に関連するTh2型の免疫反応をTh1型の反応に方向転換させるかまたはTh1/Th2のバランスのとれた環境に変えるのに有用な量であり得る。Th2サイトカイン、特にIL−4およびIL−5は、喘息被検体の気道において増加している。本明細書中に記載されるCpG免疫賦活オリゴヌクレオチドは、免疫系をバランス調整し、Th2免疫反応優位に伴う有害な作用を予防または軽減するのを助けるTh1サイトカインを増加させる。
【0126】
Th2免疫反応からTh1免疫反応への免疫反応の方向転換はまた、特定の免疫グロブリンアイソタイプのレベルを測定することによって評価することができる。例えば、マウスにおいては、IgG2aがTh1免疫反応に関連し、IgG1およびIgEがTh2免疫反応に関連する。
【0127】
本明細書中で使用される場合、「ウイルス感染により悪化した喘息」は、ウイルス感染時またはその後の喘息症状および/または症状の重症度の上昇を意味する。ウイルスの呼吸器感染は、特に若年者において、T
H2サイトカインの存在量を増加させることによっ
て喘息の症状および/または進行を悪化させ得る。ライノウイルス、コロナウイルス、インフルエンザ、パラインフルエンザ、および呼吸器合胞体ウイルス(RSV)により引き起こされる呼吸器ウイルス感染は、喘息発作の共通の誘発因子であり、喘息患者において喘鳴および症状を増加させる。
【0128】
本発明の免疫賦活オリゴヌクレオチドは、喘息またはアレルギー患者における気道リモデリングを処置するのに使用することができる。肺における構造的および機能的な組織のリモデリングは、慢性喘息患者にとって大きな死亡要因である。本明細書中で使用される場合、「気道リモデリング」は、慢性喘息患者の肺に存在する慢性炎症により起きる肺組織における変化を意味する。これらの変化には、コラーゲン沈着の増加および気道平滑筋過多、マスト細胞および杯細胞の過形成、ならびに上皮細胞の肥厚が含まれ得る。このような変化の結果として、気道壁の構造が変化し得、これによりいくつかの症例においては
処置によって完全に逆転させることができない閉塞が起きる。喘息の代わりにまたは喘息に加えて、気道リモデリングの処置が必要な被検体は、慢性閉塞性肺疾患を有し得るかまたは喫煙者である。いくつかの実施態様において、被検体は喘息の症状を示さない。
【0129】
本発明の免疫賦活オリゴヌクレオチドは、アレルギーを処置するために使用することができる。「アレルギー」は、ある物質(アレルゲン)に対する後天的過敏症を意味する。アレルギー状態には、湿疹、「アレルギー性鼻炎」または鼻感冒、枯草熱、結膜炎、眼アレルギー、気管支ぜん息、じんま疹(urticaria)(じんま疹(hives))および食物アレルギー、ならびに他のアトピー性の状態、アトピー性皮膚炎;アナフィラキシー;薬物アレルギー;血管性水腫;およびアレルギー性結膜炎が含まれるがこれらに限定されない。イヌにおけるアレルギー性疾患には、季節性皮膚炎;通年性皮膚炎;鼻炎;結膜炎;アレルギー性喘息;および薬物反応が含まれるがこれらに限定されない。ネコにおけるアレルギー性疾患には、皮膚炎および呼吸器障害;ならびに食物アレルギーが含まれるがこれらに限定されない。ウマにおけるアレルギー性疾患には、呼吸器障害、例えば「息労(heaves)」および皮膚炎が含まれるがこれらに限定されない。非ヒト霊長類におけるアレルギー性疾患には、アレルギー性喘息、眼アレルギー、およびアレルギー性皮膚炎が含まれるがこれらに限定されない。
【0130】
アレルギーは、アレルゲンに対する特定クラスの免疫グロブリン、IgEの抗体の産生に関連する疾患である。一般的な空気アレルゲンに対するIgE媒介性の反応の発生もまた、喘息を発症する素因を示す要因である。アレルゲンが、好塩基球(血中を循環)またはマスト細胞(固形組織全体に分散)表面上のFc IgE受容体に結合した特異的なIgEに遭遇した場合、細胞は活性化され、メディエーター、例えばヒスタミン、セロトニン、および脂質メディエーターを産生および放出する。アレルギー疾患には、鼻炎(枯草熱)、喘息、じんま疹、およびアトピー性皮膚炎が含まれるがこれらに限定されない。
【0131】
アレルギーを有する被検体は、アレルゲンに対するアレルギー反応を現在経験しているまたは過去に経験した被検体である。
【0132】
アレルギーまたは喘息を発症する危険のある被検体は、過去にアレルギーまたは喘息を有すると診断されたが、現在は活動期の疾患を経験していない被検体および遺伝的または環境的要因から喘息またはアレルギーを発症する危険があるとみなされる被検体である。アレルギーまたは喘息を発症する危険のある被検体には、アレルゲンに被曝する何らかの危険または喘息を発症する危険を有する被検体、すなわち、過去に喘息発作を起こしたまたは喘息発作の素因を有する被検体も含まれる。例えば、危険のある被検体は、特定のタイプのアレルゲンまたは喘息イニシエーターが見つかっている地域を旅行することを計画している被検体であり得るし、またはアレルゲンが確認されている地域で生活している任意の被検体でさえあり得る。被検体が特定の抗原に対するアレルギー反応を起こしかつ被検体がその抗原に被爆され得る場合、すなわち花粉症の季節の間、その被検体は抗原に被曝する危険がある。
【0133】
現在、アレルギー疾患は、一般的に、低用量の抗原を注射した後、漸増用量の抗原を注射することによって処置される。この手法は、そのアレルゲンに対する免疫寛容を誘導し、さらなるアレルギー反応を防止する。しかし、これらの方法は、効果を発揮するのに数年かかり、かつアナフィラキシーショック等の副作用の危険を伴うものである。本発明の方法は、従来的なアレルギー処置と組み合わせることでその効果を高め、かつその効果が患者において見られるまでの時間を大きく短縮させることができる。
【0134】
アレルギー反応の症状は、IgEが抗原と反応する体の内部の部位によって異なる。反応が気道上皮上で起こる場合、その症状は、くしゃみ、咳、および喘息反応である。食物
アレルギーの例で消化管において相互作用が起こる場合、腹痛および下痢が多い。全身反応、例えば蜂に刺された後の反応は重篤であり得、しばしば命を脅かすものとなり得る。
【0135】
IV型アレルギー反応としても公知の遅延型過敏症は、アレルギー性の被検体に抗原が侵入してからその炎症反応または免疫反応が見られるまでの少なくとも12時間の遅延期間により特徴付けられるアレルギー反応である。アレルギー状態の個人のTリンパ球(感作されたTリンパ球)はその抗原と反応し、Tリンパ球に、炎症メディエーターとして機能するリンホカイン(マクロファージ遊走阻止因子(MIF)、マクロファージ活性化因子(MAF)、分裂促進因子(MF)、皮膚反応性因子(SRF)、走化因子、新血管新生促進因子等)を放出するよう促し、これらのリンホカインの生物学的活性は、局所的に見られるリンパ球および他の炎症性免疫細胞の直接的および間接的効果と共に、IV型アレルギー反応を生ずる。遅延型アレルギー反応には、ツベルクリン型反応、同種移植片拒絶反応、細胞依存型防御反応、接触皮膚炎、過敏性反応等が含まれ、これらはステロイド剤によって最も強く抑制されることが知られている。その結果、ステロイド剤は、遅延型アレルギー反応に起因する疾患に対して有効である。しかし、現在利用されている濃度でステロイド剤を長期間使用すると、ステロイド依存症として公知の重篤な副作用が生じる。本発明の方法は、より低くかつより少ない投与用量を提供することによってこれらの問題を解決する。
【0136】
即時型過敏症(またはアナフィラキシー反応)は、非常に迅速に、すなわち患者が原因アレルゲンに被曝してから数秒または数分以内に生ずるアレルギー反応形態であり、この反応はBリンパ球によって産生されたIgE抗体により媒介される。非アレルギー患者においては、臨床的に関連するIgE抗体が存在しないが;アレルギー疾患に罹患した人間においては、IgE抗体は、皮膚、リンパ器官、眼、鼻、および口の膜、ならびに気道および腸に豊富なマスト細胞を感作することによって即時型過敏症を媒介する。
【0137】
マスト細胞はIgEに対する表面受容体を有し、アレルギー患者のIgE抗体はこれらに結合する。前で軽く触れられているように、結合したIgEはその後に適当なアレルゲンに接触し、それによってマスト細胞が脱顆粒し、生理活性メディエーターと呼ばれる様々な物質、例えばヒスタミンを周囲の組織に放出する。これらの物質の生物学的活性は、即時型過敏症に典型的な臨床的症状;すなわち気道または腸における平滑筋の収縮、小血管の拡張ならびにそれらの水および血漿タンパク質に対する透過性の上昇、高粘性の粘液の分泌、ならびに皮膚においては発赤、腫脹、およびかゆみまたは痛みをもたらす神経終末の刺激を担う。
【0138】
アレルゲンのリストは膨大であり、花粉、昆虫毒、動物のふけ、ほこり、真菌胞子、および薬物(例えばペニシリン)が含まれ得る。自然アレルゲン、動物アレルゲン、および植物アレルゲンの例には、以下の属に特異的なタンパク質が含まれるがこれらに限定されない:イヌ属(カニス・ファミリアリス(Canis familiaris));ヒョウヒダニ属(例えばダーマトファゴイデス・ファリネ(Dermatophagoides farinae));ネコ属(フェリス・ドメスチカス(Felis domesticus));ブタクサ属(アンブロシア・アルテミイスフォリア(Ambrosia artemiisfolia);ドクムギ属(例えばロリウム・ペレネ(Lolium perenne)またはロリウム・マルチフロラム(Lolium multiflorum));スギ属(クリプトメリア・ジャポニカ(Cryptomeria japonica));アルテルナリア属(アルテルナリア・アルテルナタ(Alternaria
alternata));ハンノキ属(Alder);ハンノキ属(Alnus)(アルナス・グルチノアサ(Alnus gultinoasa));カバノキ属(ベツラ・ベルコサ(Betula verrucosa));カシ属(クエルカス・アルバ(Quercus alba));オリーブ属(オレア・ユーロパ(Olea europa)
);ヨモギ属(アルテミシア・ブルガリス(Artemisia vulgaris));オオバコ属(例えばプランタゴ・ランセロオラタ(Plantago lanceolata));ヒカゲミズ属(例えばパリエタリア・オフィシナリス(Parietaria officinalis)またはパリエタリア・ジュダイカ(Parietaria
judaica));チャバネゴキブリ属(例えばブラテラ・ゲルマニカ(Blattella germanica));ミツバチ属(例えばアピス・マルチフロラム(Apis multiflorum));イトスギ属(例えばクプレサス・セムペルビレンス(Cupressus sempervirens)、クプレサス・アリゾニカ(Cupressus arizonica)、およびクプレサス・マクロカルパ(Cupressus macrocarpa));ビャクシン属(例えばジュニペラス・サビノイデス(Juniperus sabinoides)、ジュニペラス・バージニアナ(Juniperus virginiana)、ジュニペラス・コミュニス(Juniperus communis)、およびジュニペラス・アスヘイ(Juniperus ashei));クロベ属(例えばチュヤ・オリエンタリス(Thuya orientalis));ヒノキ属(例えばチャマエシパリス・オブツサ(Chamaecyparis obtusa));ワモンゴキブリ属(例えばペリプラネタ・アメリカナ(Periplaneta americana));カモジグサ属(例えばアグロピロン・レペンス(Agropyron repens));ライムギ属(例えばセカレ・セレアレ(Secale cereale));コムギ属(例えばトリチカム・エスチバム(Triticum aestivum));カモガヤ属(例えばダクチリス・グロメラタ(Dactylis glomerata));ウシノケグサ属(例えばフェツカ・エラチオール(Festuca elatior));イチゴツナギ属(例えばポア・プラテンシス(Poa pratensis)またはポア・コンプレッサ(Poa compressa));カラスムギ属(例えばアベナ・サチバ(Avena sativa));シラゲガヤ属(例えばホルカス・ラナタス(Holcus lanatus));ハルガヤ属(例えばアントキサンタム・オドラタム(Anthoxanthum odoratum));オオカニツリ属(例えばアレナテラム・エラチウス(Arrhenatherum elatius));コヌカグサ属(例えばアグロスティス・アルバ(Agrostis alba));アワガエリ属(例えばフレウム・プラテンス(Phleum pratense));クサヨシ属(例えばファラリス・アルンジナセア(Phalaris arundinacea));スズメノヒエ属(例えばパスパラム・ノタツム(Paspalum
notatum));モロコシ属(例えばソルグム・ハレペンシス(Sorghum halepensis));ならびにスズメノチャヒキ属(例えばブロマス・イネルミス(Bromus inermis))。
【0139】
アレルゲンは、実質的に精製され得る。本明細書中で使用される場合、実質的に精製という用語は、自然界では共存している他のタンパク質、脂質、炭水化物、またはその他の物質を実質的に含まない抗原、すなわちポリペプチドを意味する。当業者は、タンパク質精製の標準的技術を用いてポリペプチド抗原を精製することができる。実質的に純粋なポリペプチドは、多くの場合、非還元型ポリアクリルアミドゲルにおいて単一の主要バンドを示すであろう。部分的にグリコシル化されたポリペプチドまたはいくつかの開始コドンを有するポリペプチドの場合、非還元型ポリアクリルアミドにおいては数個のバンドが見られ得るが、これらはそのポリペプチドの異なるパターンをなすものであろう。ポリペプチド抗原の純度はまた、アミノ末端アミノ酸配列分析によって決定され得る。他のタイプの抗原、例えば多糖類、低分子、模倣物等も本発明に包含され、これらは場合により実質的に純粋であり得る。
【0140】
CpG免疫賦活オリゴヌクレオチドは、免疫反応を調節するためにさらなる免疫調節物質、例えばアジュバントと組み合わされ得る。CpG免疫賦活オリゴヌクレオチドおよび他の治療剤は、同時にまたは逐次的に投与され得る。他の治療剤が同時に投与される場合
、それらは同じ処方物としてまたは別個の処方物として投与され得るが、同時に投与される。他の治療剤が互いに、またCpG免疫賦活オリゴヌクレオチドと共に逐次的に投与される場合、他の治療剤およびCpG免疫賦活オリゴヌクレオチドの投与時期は、時間的に隔てられたものである。より具体的には、CpG免疫賦活オリゴヌクレオチドは、少なくとも一つの他の治療剤の投与(または暴露)の前または後に投与され得る。これらの化合物の投与の間の時間的間隔は分単位であり得るしそれよりも長い場合もある。他の治療剤には、アジュバント、サイトカイン、抗体、抗原等が含まれるがこれらに限定されない。
【0141】
本発明の組成物はまた、非核酸アジュバントと共に投与され得る。非核酸アジュバントは、体液性および/または細胞性免疫反応を刺激することのできる任意の分子または化合物であって本明細書中に記載のCpG免疫賦活オリゴヌクレオチドを除くものである。非核酸アジュバントには、例えば、蓄積効果を生ずるアジュバント、免疫刺激性アジュバント、および蓄積効果を生じかつ免疫系を刺激するアジュバントが含まれる。
【0142】
CpG免疫賦活オリゴヌクレオチドはまた、粘膜アジュバントとしても有用である。これまでに、全身免疫および粘膜免疫の両方ともがCpG核酸の粘膜送達によって誘導されることが発見されている。従って、本オリゴヌクレオチドは、他の粘膜アジュバントと併用して投与され得る。
【0143】
免疫反応は、サイトカイン(Bueler & Mulligan,1996;Chow et al.,1997;Geissler et al.,1997;Iwasaki et al.,1997;Kim et al.,1997)または共刺激分子、例えばB7(Iwasaki et al.,1997;Tsuji et al.,1997)とCpG免疫賦活オリゴヌクレオチドとの共投与または同系統発現(co−linear expression)によっても誘導または増強することができる。サイトカインという用語は、ナノ〜ピコモル濃度で体液性の調節因子として作用し、正常条件または病的条件のいずれかの下で個々の細胞および組織の機能的活性を調節する多様な可溶型タンパク質およびペプチドのグループの総称として使用される。これらのタンパク質はまた、細胞間の相互作用を直接的に媒介し、かつ細胞外環境で起こるプロセスを調節する。サイトカインの例には、インターロイキン−1(IL−1)、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−10、IL−12、IL−15、IL−18、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、IFN−γ、IFN−α、IFN−β、腫瘍壊死因子(TNF)、TGF−β、Flt−3リガンド、およびCD40リガンドが含まれるがこれらに限定されない。CpGオリゴヌクレオチドは、サイトカインだけでなく、特定のサイトカインに対する抗体、例えば抗IL−10および抗TGF−β、ならびにシクロオキシゲナーゼ阻害剤、すなわちCOX−1およびCOX−2阻害剤とも併用され得る。
【0144】
CpG免疫賦活オリゴヌクレオチドはまた、炎症障害を処置および予防するのに有用である。本明細書中で使用される場合、用語「炎症障害」は、感染、毒素被曝、または細胞傷害の部位における白血球および血漿タンパク質の蓄積および活性化を伴う自然免疫系の抗原非特異的反応に関連する状態を意味する。炎症に特徴的なサイトカインには、腫瘍壊死因子(TNF−α)、インターロイキン1(IL−1)、IL−6、IL−12、インターフェロンアルファ(IFN−α)、インターフェロンベータ(IFN−β)、およびケモカインが含まれる。炎症障害には、例えば、喘息、アレルギー、アレルギー性鼻炎、心血管疾患、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、気管支拡張症、慢性胆嚢炎、結核、橋本甲状腺炎、敗血症、アルコイドーシス(arcoidosis)、珪肺症、および他の塵肺症、ならびに創傷における移植外来物質が含まれるがこれらに限定されない。
【0145】
CpG免疫賦活オリゴヌクレオチドはまた、自己免疫疾患を処置および予防するのに有
用である。自己免疫疾患は、被検体自身の抗体が宿主組織と反応するまたは免疫エフェクターT細胞が内因性の自己ペプチドに対して自己反応性でありかつ組織の破壊を引き起こす疾患クラスである。従って免疫反応が、被検体自身の抗原、これを自己抗原と称する、に対して惹起される。自己免疫疾患には、関節リウマチ、乾癬、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、クローン病、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス(SLE)、自己免疫性脳脊髄炎、重症筋無力症(MG)、橋本甲状腺炎、グッドパスチャー症候群、天疱瘡(例えば尋常性天疱瘡)、グレーヴズ病、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性血小板減少性紫斑病、抗コラーゲン抗体による強皮症、混合結合組織病、多発性筋炎、悪性貧血、特発性アジソン病、自己免疫関連性の不妊症、糸球体腎炎(例えば半月体形成性糸球体腎炎、増殖性糸球体腎炎)、水疱性類天疱瘡、シェーグレン症候群、インスリン抵抗性、および自己免疫性糖尿病が含まれるがこれらに限定されない。
【0146】
本明細書中で使用される場合、「自己抗原」は、正常な宿主組織の抗原を意味する。正常な宿主組織は、癌細胞を含まない。従って、自己免疫疾患の関係では、自己抗原に対して惹起された免疫反応は望ましくない免疫反応でありかつ正常組織の破壊および損傷に寄与するものであり、それに対して癌抗原に対して惹起された免疫反応は望ましい免疫反応でありかつ腫瘍または癌の破壊に寄与するものである。従って、自己免疫障害を処置する目的の本発明のいくつかの局面において、CpG免疫賦活オリゴヌクレオチドが、自己抗原、特に自己免疫障害の標的である自己抗原と共に投与されることは推奨されない。
【0147】
その他の例において、CpG免疫賦活オリゴヌクレオチドは、低用量の自己抗原と共に送達され得る。多くの動物研究は、低用量の抗原の粘膜投与が免疫反応性低下状態すなわち「免疫寛容」をもたらすことを実証している。その能動的なメカニズムは、Th1からTh2およびTh3優位(すなわちTGF−β優位)の反応へのサイトカイン媒介性の免疫偏移のようである。低用量抗原の送達による能動的な抑制はまた、関連しない免疫反応も抑制することができ(バイスタンダー抑制(bystandar suppression))、これは自己免疫疾患、例えば関節リウマチおよびSLEの治療において大いに注目されている。バイスタンダー抑制は、炎症促進性およびTh1サイトカインが抗原特異的または抗原非特異的のいずれかの様式で放出される局所的環境におけるTh1対抗調節的なサプレッサーサイトカインの分泌を伴う。本明細書中で使用される場合、「免疫寛容」は、この現象にさすのに使用される。実際、経口寛容は、実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)、実験的自己免疫性重症筋無力症、コラーゲン関節炎(CIA)、およびインスリン依存性糖尿病を含む動物における多くの自己免疫疾患の処置に有効であった。これらのモデルにおいて、自己免疫疾患の予防および抑制は、Th1反応からTh2/Th3反応への抗原特異的な液性反応および細胞性反応のシフトと関係する。
【0148】
本発明はまた、CpG免疫賦活オリゴヌクレオチドを用いる、抗原非特異的な自然免疫の活性化および感染負荷に対する広範な抵抗性を誘導する方法を包含する。本明細書中で使用される場合、自然免疫の活性化という用語は、メモリーB細胞以外の免疫細胞の活性化を意味し、例えば単球、好中球、マクロファージ、樹状細胞、NK細胞、および/または抗原非依存的な様式で反応することができるその他の免疫細胞の活性化が含まれ得る。感染負荷に対する広範な抵抗性は、免疫細胞が活性化形態にありかつ任意の侵入してくる化合物または微生物に対して反応するよう刺激されることにより誘導される。細胞は、特定の抗原に対して特異的に刺激されることを要しない。これは特に、細菌戦および上記の他の状況、例えば旅行者に有用である。
【0149】
他の実施態様において、本オリゴヌクレオチドは、サイトカインまたはケモカインの発現を誘導するのに有効な量で被検体に送達される。状況に応じて、サイトカインまたはケモカインは、IL−6、TNFα、IFN−α、IFN−γ、およびIP−10からなる群より選択される。他の実施態様において、オリゴヌクレオチドは、免疫反応をTh1性
反応からTh2性反応へとシフトさせるのに有効な量で被検体に送達される。
【0150】
本発明の免疫賦活オリゴヌクレオチドは、感染疾患を処置または予防するのに使用することができる。本明細書中で使用される場合、「感染疾患」は、感染性生物による外面的、局所的、または全身的な宿主の侵襲に起因する障害を意味する。感染性生物には、細菌、ウイルス、真菌、および寄生生物が含まれる。従って、「感染疾患」には、細菌感染、ウイルス感染、真菌感染、および寄生生物感染が含まれる。
【0151】
細菌は、二分裂により無性的に増殖する単細胞生物である。これらはその形態、染色反応、栄養、および代謝性要求、抗原性構造、化学的組成、および遺伝的相同性に基づき分類および命名される。細菌は、その形態に基づき、球状(球菌)、直棒状(桿菌)、および湾曲棒状または螺旋棒状(ビブリオ属、カンピロバクター属、スピリルム属、およびスピロヘータ属)の三つのグループに分類することができる。細菌はまた、より一般的に、その染色反応に基づきグラム陽性およびグラム陰性の二つの生物クラスに特徴付けられる。グラムは、微生物研究において一般的に行われている染色法を意味する。グラム陽性生物は、染色手順後も染色を維持し、深紫色に見える。グラム陰性生物は染色を維持しないが、対比染色剤を取り込むので桃色に見える。2001年3月8日に出願された米国非仮特許出願09/801,839は多くの細菌を列挙しており、本発明はそれらの感染の予
防および処置を意図している。
【0152】
グラム陽性細菌には、パスツレラ種、ブドウ球菌種、および連鎖球菌種が含まれるがこれらに限定されない。グラム陰性細菌には、大腸菌、シュードモナス種、およびサルモネラ種が含まれるがこれらに限定されない。感染性細菌の具体例には、ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pyloris)、ボレリア・バーグドルフェリ(Borrelia burgdorferi)、レジオネラ・ニューモフィラ(Legionella pneumophilia)、ミコバクテリア種(例えば、M.チューベルクロシス(M.tuberculosis)、M.アビウム(M.avium)、M.イントラセルレア(M.intracellulare)、M.カンザシイ(M.kansasii)、M.ゴルドナエ(M.gordonae))、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)、ナイセリア・ゴノレエ(Neisseria gonorrhoeae)、ナイセリア・メニンジティディス(Neisseria meningitidis)、リステリア・モノサイトゲンス(Listeria monocytogenes)、ストレプトコッカス・ピオゲネス(Streptococcus pyogenes)(A群連鎖球菌)、ストレプトコッカス・アガラクティエ(Streptococcus agalactiae)(B群連鎖球菌)、ストレプトコッカス(ヴィリダンス群)、ストレプトコッカス・フェカーリス(Streptococcus faecalis)、ストレプトコッカス・ボビス(Streptococcus bovis)、ストレプトコッカス(嫌気性連鎖球菌)、ストレプトコッカス・ニューモニエ(Streptococcus pneumoniae)、病原性のカンピロバクター種、エンテロコッカス種、ヘモフィラス・インフルエンザエ(Haemophilus influenzae)、バチルス・アンスラシス(Bacillus
anthracis)、コリネバクテリウム・ジフテリアエ(Corynebacterium diphtheriae)、コリネバクテリウム種、エリジペロスリックス・リューシオパシエ(Erysipelothrix rhusiopathiae)、クロストリジウム・パーフリンゲンス(Clostridium perfringens)、クロストリジウム・テタニ(Clostridium tetani)、エンテロバクター・アエロゲネス(Enterobacter aerogenes)、クレブシエラ・ニューモニエ(Klebsiella pneumoniae)、パスツレラ・マルトサイダ(Pasturella multocida)、バクテロイド種、フソバクテリウム・ヌクレアタム(Fusobacterium nucleatum)、ストレプ
トバシラス・モニリフォルミス(Streptobacillus moniliformis)、トレポネマ・パリダム(Treponema pallidium)、トレポネマ・パーテニュエ(Treponema pertenue)、レプトスピラ、リケッチア、およびアクチノミセス・イスラエリ(Actinomyces israelli)が含まれるがこれらに限定されない。
【0153】
真菌の例には、クリプトコッカス・ネオフォルマンス(Cryptococcus neoformans)、ヒストプラズマ・カプスラーツム(Histoplasma capsulatum)、コクシジオイデス・イミチス(Coccidioides immitis)、ブラストミセス・デルマティティディス(Blastomyces dermatitidis)、クラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)が含まれる。
【0154】
その他の感染性生物(すなわち原生生物)には、プラスモディウム種、例えばプラスモディウム・ファルシパルム(Plasmodium falciparum)、プラスモディウム・マラリアエ(Plasmodium malariae)、プラスモディウム・オバレ(Plasmodium ovale)、およびプラスモディウム・ビバクス(Plasmodium vivax)、ならびにトキソプラズマ・ゴンジイ(Toxoplasma gondii)が含まれる。血液媒介性寄生生物および/または組織寄生生物には、プラスモディウム種、バベシア・ミクロッチ(Babesia microti)、バベシア・ディバーゲンス(Babesia divergens)、リーシュマニア・トロピカ(Leishmania tropica)、リーシュマニア種、リーシュマニア・ブラジリエンシス(Leishmania braziliensis)、リーシュマニア・ドノバニ(Leishmania donovani)、トリパノソーマ・ガムビエンス(Trypanosoma gambiense)およびトリパノソーマ・ローデシエンス(Trypanosoma rhodesiense)(アフリカ睡眠病)、トリパノソーマ・クルジ(Trypanosoma cruzi)(シャーガス病)、ならびにトキソプラズマ・ゴンジイ(Toxoplasma gondii)が含まれる。寄生生物は、生存のために他の生物に依存する、従ってそのライフサイクルを継続するために別の生物に侵入または感染しなければならない生物である。感染された生物、すなわち宿主は、寄生生物に対して栄養および生息環境の両方を提供する。広義には、寄生生物という用語は、全ての感染因子(すなわち細菌、ウイルス、真菌、原生生物、および蠕虫)を包含するものであり得るが、一般的には、この用語は、もっぱら、原生生物、蠕虫、および外寄生性節足動物(例えばマダニ、ダニ等)をさすのに使用される。原生生物は、細胞内および細胞外の両方で、特に血液、腸管、または組織の細胞外マトリクスにおいて複製することができる単細胞生物である。蠕虫は、ほぼ常に細胞外にいる多細胞生物である(例外は旋毛虫属である)。蠕虫は通常、複製するために一次宿主から出て二次宿主に伝染する必要がある。これらの上記のクラスと異なり、外寄生性節足動物は、宿主の身体の外表面と寄生的関係を構築する。
【0155】
他の医学的に関連する生物は文献に広範囲にわたって記載されている。例えば、その全内容が参照により本明細書に組み入れられるC.G.A Thomas,Medical
Microbiology,Bailliere Tindall,Great Britain 1983を参照のこと。
【0156】
本発明のオリゴヌクレオチドは、抗微生物剤と共に被検体に投与され得る。本明細書中で使用する場合、抗微生物剤は、感染性微生物を殺滅または阻害することのできる天然化合物または合成化合物を意味する。本発明に従い使用できる抗微生物剤のタイプは、被検体が感染したまたは感染する危険のある微生物のタイプに依存する。抗微生物剤には、抗
菌剤、抗ウイルス剤、抗真菌剤、および駆虫剤が含まれるがこれらに限定されない。「抗感染剤」、「抗菌剤」、「抗ウイルス剤」、「抗真菌剤」、「駆虫剤」、および「殺寄生生物剤」等の成句は、当業者に十分定着した意味を有し、かつ標準的な医学書において定義されている。簡単に言うと、抗菌剤は細菌を殺滅または阻害し、抗生物質およびその他の類似の機能を有する合成または天然化合物が含まれる。抗生物質は、細胞、例えば微生物による二次代謝産物として産生された低分子量の分子である。一般的に、抗生物質は、微生物に特異的でありかつ宿主細胞に存在しない一つまたはそれ以上の細菌機能または構造を妨害する。抗ウイルス剤は、天然源から単離することも合成することもでき、これらはウイルスを殺滅または阻害するのに有用である。抗真菌剤は、表在性真菌感染ならびに日和見真菌感染および原発性全身性真菌感染を処置するために使用される。駆虫剤は寄生生物を殺滅または阻害する。
【0157】
ヒトへの投与に有用な、殺寄生生物剤とも称される駆虫剤の例には、アルベンダゾール、アンホテリシンB、ベンズニダゾール、ビチオノール、クロロキンHCl、リン酸クロロキン、クリンダマイシン、デヒドロエメチン、ジエチルカルバマジン、フロ酸ジロキサニド、エフロルニチン、フラゾリドン(furazolidaone)、グルココルチコイド、ハロファントリン、ヨードキノール、アイバメクチン、メベンダゾール、メフロキン、アンチモン酸メグルミン(meglumine antimoniate)、メラルソプロール、メトリホナート、メトロニダゾール、ニクロサミド、ニフルチモクス、オキサムニキン、パロモマイシン、イセチオン酸ペンタミジン、ピペラジン、プラジカンテル、リン酸プリマキン、プログアニル、パモ酸ピランテル、ピリメタミン(pyrimethanmine)−スルホンアミド、ピリメタミン(pyrimethanmine)−スルファドキシン、キナクリンHCl、硫酸キニーネ、グルコン酸キニジン、スピラマイシン、スチボグルコネートナトリウム(グルコン酸アンチモンナトリウム)、スラミン、テトラサイクリン、ドキシサイクリン、チアベンダゾール、チニダゾール、トリメトプリム(trimethroprim)−スルファメトキサゾール、およびトリパルサミドが含まれるがこれらに限定されず、これらのうちのいくつかは単独でまたは他と組み合わせて使用される。
【0158】
抗菌剤は、細菌の成長または機能を殺滅または阻害する。抗菌剤の一つの大きなクラスは抗生物質である。広範囲の細菌を殺滅または阻害するのに有効な抗生物質は、広域抗生物質と称される。抗生物質の他のタイプは、主としてグラム陽性またはグラム陰性のクラスの細菌に対して有効である。これらの抗生物質のタイプは、狭域抗生物質と称される。単一種の生物または疾患に対して有効であり、他の細菌のタイプに対しては有効でない他の抗生物質は、限定スペクトル抗生物質(limited spectrum antibiotics)と称される。抗菌剤は、それらの主たる作用様式に基づき分類されることがある。一般的に抗菌剤は細胞壁合成阻害剤、細胞膜阻害剤、タンパク質合成阻害剤、核酸合成または機能阻害剤、および競合的阻害剤である。
【0159】
抗真菌剤は、感染性真菌の処置および予防に有用である。抗真菌剤は、それらの作用機構により分類されることがある。一部の抗真菌剤は、グルコースシンターゼを阻害することによって細胞壁阻害剤として機能する。これらには、バシウンギン(basiungin)/ECBが含まれるがこれらに限定されない。他の抗真菌剤は、膜の完全性を不安定化させることにより機能する。これらには、イミダゾール、例えばクロトリマゾール、セルタコナゾール(sertaconzole)、フルコナゾール、イトラコナゾール、ケトコナゾール、ミコナゾール、およびボリコナゾール(voriconacole)、ならびにFK 463、アンホテリシンB、BAY 38−9502、MK 991、プラディマイシン、UK 292、ブテナフィン、およびテルビナフィンが含まれるがこれらに限定されない。他の抗真菌剤は、キチンを分解(例えばキチナーゼ)するかまたは免疫抑制を衰退(501クリーム)させることによって機能する。
【0160】
いくつかの実施態様において、抗微生物処置は、微生物抗原を含み得る。微生物抗原は微生物の抗原であり、ウイルス、細菌、寄生生物、および真菌を含むがこれらに限定されない。このような抗原には、微生物そのものならびに自然分離株およびそのフラグメントまたは誘導体だけでなく、天然の微生物抗原と同一または類似でありかつその微生物に対して特異的な免疫反応を誘導する合成化合物も含まれる。化合物は、天然の微生物抗原に対する免疫反応(体液性および/または細胞性)を誘導する場合、天然の微生物抗原に類似する。このような抗原は、当該分野において従来から使用されており、当業者に周知である。
【0161】
本発明の免疫賦活オリゴヌクレオチドは、ウイルス感染を処置または予防するのに使用することができる。ウイルスは、一般的には核酸のコアおよびタンパク質コートを含むが独立して生活する生物ではない小さな感染因子である。ウイルスはまた、タンパク質を欠く感染性核酸の形態をとり得る。ウイルスは生存細胞の不在下で生存することができず、その細胞内で複製することができる。ウイルスは、エンドサイトーシスまたはDNAの直接注入(ファージ)のいずれかによって特定の生存細胞に侵入して増殖し、疾患を引き起こす。その後、増殖したウイルスは放出され、別の細胞に感染し得る。いくつかのウイルスはDNA含有ウイルスであり、他のウイルスはRNA含有ウイルスである。
【0162】
ヒトにおいて見出されたウイルスの例には、レトロウイルス科(例えばヒト免疫不全ウイルス、例えばHIV−1(HTLV−III、LAV、もしくはHTLV−III/LAV、またはHIV−IIIとも称される;および他の単離株、例えばHIV−LP;ピコルナウイルス科(例えばポリオウイルス、A型肝炎ウイルス;エンテロウイルス、ヒトコクサッキーウイルス、ライノウイルス、エコーウイルス);カルシウイルス科(Calciviridae)(例えば胃腸炎を引き起こす菌株);トガウイルス科(例えばウマ脳炎ウイルス、風疹ウイルス);フラビウイルス科(例えばデング熱ウイルス、脳炎ウイルス、黄熱病ウイルス);コロナウイルス科(例えばコロナウイルス);ラブドウイルス科(例えば水疱性口内炎ウイルス、狂犬病ウイルス);フィロウイルス科(例えばエボラウイルス);パラミクソウイルス科(例えばパラインフルエンザウイルス、流行性耳下腺炎ウイルス、麻疹ウイルス、呼吸器合胞体ウイルス);オルトミクソウイルス科(例えばインフルエンザウイルス);ブンヤウイルス科(例えばハンターンウイルス、ブンヤウイルス、フレボウイルス、およびナイロウイルス);アレナウイルス科(出血熱ウイルス);レオウイルス科(例えばレオウイルス、オルビウイルス、およびロタウイルス);ビルナウイルス科;ヘパドナウイルス科(B型肝炎ウイルス);パルボウイルス科(パルボウイルス);パポバウイルス科(パピローマウイルス、ポリオーマウイルス);アデノウイルス科(大部分のアデノウイルス);ヘルペスウイルス科(単純ヘルペスウイルス(HSV)1および2、水痘帯状疱疹ウイルス、サイトメガロウイルス(CMV)、ヘルペスウイルス;ポックスウイルス科(痘瘡ウイルス、ワクシニアウイルス、ポックスウイルス);ならびにイリドウイルス科(例えばアフリカ豚コレラウイルス);ならびに未分類のウイルス(例えばデルタ型肝炎因子(B型肝炎ウイルスの不完全サテライトであると考えられる)、C型肝炎;ノーウォークウイルスおよび関連ウイルス、ならびにアストロウイルス)が含まれるがこれらに限定されない。
【0163】
本発明の免疫賦活オリゴヌクレオチドは、従来的な抗ウイルス処置と同時に投与することができる。いくつかの実施態様において、抗ウイルス剤および本発明のCpGオリゴヌクレオチドは組み合わされる。抗ウイルス剤は、ウイルスによる細胞の感染または細胞内でのウイルスの複製を防止する化合物である。ウイルスの複製プロセスは宿主細胞内でのDNA複製に非常に緊密に関連し、非特異的な抗ウイルス剤は宿主に毒性であることが多いため、抗ウイルス薬は、抗菌薬よりも数が少ない。ウイルスの感染プロセスにおけるいくつかの段階が、抗ウイルス剤によってブロックまたは阻害できる。これらの段階には、
ウイルスの宿主細胞への接着(免疫グロブリンまたは結合ペプチド)、ウイルスの脱殻(例えばアマンタジン)、ウイルスmRNAの合成または翻訳(例えばインターフェロン)、ウイルスRNAまたはDNAの複製(例えばヌクレオシドアナログ)、新たなウイルスタンパク質の成熟(例えばプロテアーゼ阻害剤)、ならびにウイルスの出芽および放出が含まれる。
【0164】
ヌクレオチドアナログは、ヌクレオチドに類似するが不完全または異常なデオキシリボース基またはリボース基を有する合成化合物である。ヌクレオチドアナログは、ひとたび細胞内に入るとリン酸化されて三リン酸形態を形成し、これらはウイルスDNAまたはRNAへの組み込みにおいて通常のヌクレオチドと競合する。ひとたびヌクレオチドアナログの三リン酸形態が合成中の核酸鎖に取り込まれれば、それはウイルスポリメラーゼと不可逆的に結合し、それによって連鎖を停止させる。ヌクレオチドアナログには、アシクロビル(単純ヘルペスウイルスおよび水痘・帯状疱疹ウイルスの処置に使用される)、ガンシクロビル(サイトメガロウイルスの処置に有用である)、イドクスウリジン、リバビリン(呼吸器多核体ウイルスの処置に有用である)、ジデオキシイノシン、ジデオキシシチジン、ジドブジン(アジドチミジン)、イミキモド、およびレジキモドが含まれるがこれらに限定されない。
【0165】
インターフェロンは、ウイルス感染細胞および免疫細胞から分泌されるサイトカインである。インターフェロンは、感染細胞に隣接する細胞上の特定の受容体に結合することにより機能し、ウイルスによる感染から細胞を保護する細胞内変化を導く。αおよびβ−インターフェロンはまた、感染細胞の表面においてクラスIおよびクラスII MHC分子の発現を誘導し、宿主の免疫細胞の認識ための抗原提示を促進する。αおよびβ−インターフェロンは、組換え体として入手可能であり、慢性B型肝炎および慢性C型肝炎の処置に使用されている。抗ウイルス療法において有効な用量において、インターフェロンは重大な副作用、例えば発熱、倦怠感、および体重減を有する。
【0166】
本発明において有用な他の抗ウイルス剤には、免疫グロブリン、アマンタジン、インターフェロン、ヌクレオシドアナログ、およびプロテアーゼ阻害剤が含まれるがこれらに限定されない。抗ウイルス剤の具体例には、アセマンナン;アシクロビル;アシクロビルナトリウム;アデホビル;アロブジン;アルビルセプトスドトクス(Alvircept Sudotox);塩酸アマンタジン;アラノチン;アリルドン;アテビルジンメシレート;アブリジン;シドホビル;シパムフィリン(Cipamfylline);塩酸シタラビン;デラビルジンメシレート;デスシクロビル;ジダノシン;ジソキサリル;エドクスジン;エンビラデン;エンビロキシム;ファムシクロビル;塩酸ファモチン;フィアシタビン;フィアルリジン;ホサリラート;ホスカルネトナトリウム;ホスホネトナトリウム;ガンシクロビル;ガンシクロビルナトリウム;イドクスウリジン;ケトキサール(Kethoxal);ラミブジン;ロブカビル;塩酸メモチン;メチサゾン;ネビラピン;ペンシクロビル;ピロダビル;リバビリン;塩酸リマンタジン;サキナビルメシレート;塩酸ソマンタジン;ソリブジン;スタトロン(Statolon);スタブジン;塩酸チロロン;トリフルリジン;塩酸バラシクロビル;ビダラビン;リン酸ビダラビン;リン酸ビダラビンナトリウム;ビロキシム;ザルシタビン;ジドブジン;およびジンビロキシムが含まれるがこれらに限定されない。
【0167】
CpG免疫賦活オリゴヌクレオチドは、被検体に直接的に投与されることも、核酸送達複合体と共に投与されることもある。核酸送達複合体は、標的化手段(例えば標的細胞に対する結合の親和性を高める分子)を有する(例えばイオン的もしくは共有結合的に結合されている;または被包されている)核酸分子を意味する。核酸送達複合体の例には、ステロール(例えばコレステロール)、脂質(例えば陽イオン性脂、ビロソーム、もしくはリポソーム)、または標的細胞特異的結合因子(例えば標的細胞特異的な受容体によって
認識されるリガンド)を有する核酸が含まれる。好ましい複合体は、インビボで、標的細胞による取り込み前に有意に分解されるのを防止するのに十分安定なものであり得る。しかし、この複合体は、オリゴヌクレオチドが機能的形態で放出されるよう、細胞内の適当な条件下で切断可能であり得る。
【0168】
CpG免疫賦活オリゴヌクレオチドおよび/または抗原および/または他の治療剤は、(例えば、生理食塩水もしくは緩衝液中で)単独で、または当該分野で公知の任意の送達媒体を用いて投与され得る。例えば、以下の送達媒体が記載されている:渦巻体(Cochleates);エマルソーム(Emulsomes);ISCOM;リポソーム;生細菌ベクター(例えばサルモネラ、大腸菌、カルメット・ゲラン杆菌、赤痢菌、乳酸杆菌);生ウイルスベクター(例えばワクシニア、アデノウイルス、単純ヘルペス);マイクロスフィア;核酸ワクチン;ポリマー(例えばカルボキシメチルセルロース、キトサン);ポリマー環;プロテオソーム;フッ化ナトリウム;トランスジェニック植物;ビロソーム;ウイルス様粒子。他の送達媒体も当該分野で公知である。
【0169】
用語「有効量」は、一般的に、所望の生物学的効果を実現するのに必要または十分な量を意味する。例えば、粘膜免疫の誘導のために抗原と共に投与されるCpG免疫賦活オリゴヌクレオチドの有効量は、抗原被曝により抗原に対するIgAを生成させるのに必要な量であり、全身性免疫を誘導するのに必要な量は、抗原被曝により抗原に対するIgGを生成させるのに必要な量である。本明細書中に提供される教示と併せて、様々な活性化合物および重要因子(weighing factor)、例えば効能、相対的な生物利用性、患者の体重、副作用の重度、および好ましい投与様式の中から選択することによって、実質的な毒性をもたらさずなおかつ特定の被検体を処置するのに十分に効果的である有効な予防的または治療的処置レジメンが計画できる。任意の特定の適用における有効量は、処置したい疾患もしくは状態、投与される具体的なCpG免疫賦活オリゴヌクレオチド、被検体のサイズ、または疾患もしくは状態の重症度に依存して変化し得る。当業者は、過度の実験を要することなく、特定のCpG免疫賦活オリゴヌクレオチドおよび/または抗原および/または他の治療剤の有効量を経験的に決定することができる。
【0170】
本明細書中に記載される化合物の粘膜または局所送達のための主な用量は、典型的には、投与あたり10μg〜10gの範囲であり、これはその適用によって、毎日、毎週、毎月、およびその間の任意の他の期間またはそれ以外では必要に応じて与えられ得る。より典型的には、粘膜または局所用量は、投与あたり1mg〜500mg、最も典型的には約1mg〜100mgの範囲であり、2〜4回の投与が、数日または数週間空けて行われる。より典型的には、免疫賦活用量は、投与あたり10μg〜100mg、最も典型的には100μg〜10mgの範囲であり、毎日または毎週の投与がなされる。本明細書中に記載される化合物の、抗原特異的な免疫反応を誘導する目的での非経口送達(すなわちSCまたはIM)のための主な用量(この場合化合物は抗原と共に送達されるが別の治療剤と共には投与されない)は、典型的には、ワクチンアジュバントまたは免疫賦活適用についての粘膜有効用量(すなわちIN、舌下、経口、膣内、直腸等)と同じ用量範囲であるかまたはそれよりもやや少ない。CpG免疫賦活オリゴヌクレオチドを他の治療剤と併せてもしくは特別な送達媒体により投与することによって自然免疫反応を誘導するか、またはADCCを高めるか、または抗原特異的な免疫反応を誘導する目的の非経口送達のための本明細書中に記載される化合物の用量は、典型的には投与あたり約100μg〜10gの範囲であり、これはその適用によって、毎日、毎週、毎月、およびその間の任意の他の期間またはそれ以外では必要に応じて与えられ得る。より典型的には、これらの目的における非経口用量は、投与あたり約1mg〜5g、最も典型的には約1mg〜1gの範囲であり、2〜4回の投与が、数日または数週間空けて行われる。しかし、いくつかの実施態様において、これらの目的の非経口用量は、上記の典型的な用量よりも5〜10,000倍
高い範囲で使用され得る。その適用によって、必要とされる投薬の期間は、一回または数
回のみの投薬であり得るし、慢性的状態の処置のためには、投薬は数年の間、毎日、毎週、または毎月行われ得る。
【0171】
本明細書中に記載される任意の化合物についての治療有効量は、まず始めに動物モデルから決定することができる。治療有効用量はまた、ヒトにおいて試験した(ヒト臨床試験が実施中である)他のCpGオリゴヌクレオチドおよび類似の薬理学的活性を示すことが公知の化合物、例えば他のアジュバント、例えばLTおよびワクチン接種目的の他の抗原についてのヒトデータから決定することもできる。非経口投与にはより高用量が必要とされ得る。適用される用量は、相対的な生物利用性、体重、および投与される化合物の効能に基づき調整され得る。上記の方法および当該分野で周知の他の方法に基づき最大の効果を達成するための用量の調整は、十分に当業者の能力の及ぶ範囲である。
【0172】
本発明の処方物は、薬学的に許容できる溶液として投与され、これは通常、薬学的に許容される濃度の塩、緩衝剤、保存剤、適合する担体、アジュバント、および場合により他の治療成分を含み得る。いくつかの処方物は、アルコール、例えば糖類(例えばデキストロース)またはアミノ酸を含み得る。
【0173】
治療用途においては、有効量のCpG免疫賦活オリゴヌクレオチドおよび/または他の治療剤は、化合物を所望の面、例えば局所、粘膜、全身に送達する任意の様式によって被検体に投与することができる。本発明の医薬組成物の投与は、当業者に公知の任意の手段によって達成され得る。好ましい投与経路には、経口、非経口、静脈内、筋内、皮下、病巣内、腫瘍内、鼻腔内、舌下、気管内、吸入、眼内、膣内、および直腸内が含まれるがこれらに限定されない。
【0174】
経口投与においては、化合物(すなわちCpG免疫賦活オリゴヌクレオチド、抗原、および/または他の治療剤)は、活性化合物を当該分野で周知の薬学的に許容できる担体と組み合わせることによって容易に処方できる。このような担体により、本発明の化合物を、処置される被検体による経口摂取のために錠剤、丸剤、糖剤、カプセル剤、液剤、ゲル剤、シロップ剤、スラリー剤、懸濁剤等として処方することができる。経口用途の医薬製剤は固体賦形剤として得ることができ、場合により得られる混合物を粉砕し、必要な場合は錠剤または糖剤のコアを得るために適当な補助物質を加えた後に顆粒の混合物を処理する。適当な賦形剤は、特に、増量剤、例えばラクトース、スクロース、マンニトール、またはソルビトールを含む糖;セルロース調製物、例えばトウモロコシデンプン、コムギデンプン、コメデンプン、ジャガイモデンプン、ゼラチン、トラガントゴム、メチルセルロース、ヒドロキプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、および/またはポリビニルピロリドン(PVP)である。必要な場合、崩壊剤、例えば架橋型ポリビニルピロリドン、寒天、もしくはアルギン酸、またはそれらの塩、例えばアルギン酸ナトリウムが添加され得る。場合により、経口用処方物はまた、内部の酸条件を中和するため、生理食塩水または緩衝液中で処方され得るか、またはいかなる担体も伴わずに投与され得る。
【0175】
糖衣錠のコアは、適当なコーティングと共に提供される。この目的で、場合によりアラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポールゲル、ポリエチレングリコール、および/または二酸化チタン、ラッカー溶液、ならびに適当な有機溶媒または溶媒混合物を含み得る濃縮糖溶液が使用され得る。染料または顔料は、活性化合物用量の異なる組み合わせの識別または特徴付けのために錠剤または糖衣錠に添加され得る。
【0176】
経口的に使用できる医薬製剤には、ゼラチンで形成されるプッシュフィットカプセルならびにゼラチンおよび可塑剤、例えばグリセロールまたはソルビトールで形成されるソフトシールカプセルが含まれる。プッシュフィットカプセルは、増量剤、例えばラクトース
、結合剤、例えばデンプン、および/または滑沢剤、例えばタルクもしくはステアリン酸マグネシウム、ならびに場合により安定剤と共に活性成分を含み得る。ソフトカプセルにおいて、活性化合物は、適当な液体、例えば脂肪油、流動パラフィン、または液体ポリエチレングリコールに溶解または懸濁され得る。さらに、安定剤が添加され得る。経口投与用に処方されたマイクロスフェアもまた使用され得る。このようなマイクロスフィアは当該分野で十分明確である。全ての経口投与用処方物は、このような投与に適した用量であるべきである。
【0177】
口腔投与のための組成物は、従来的な様式で処方された錠剤またはロゼンジ剤の形態をとり得る。
【0178】
化合物は、標準的な吸入デバイスを用いて、気道(pulmonary tract)、特に気管支およびより具体的には肺深部の肺胞への吸入により投与され得る。化合物は、適当な噴射剤、例えばジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素または他の適当なガスを使用して、加圧容器またはネブライザーから射出するエアゾル噴霧の形態で送達され得る。加圧エアゾルの場合、投与単位は、計量された量を送達するための弁を提供することによって決定され得る。被検体に化合物を送達するために吸入装置が使用され得る。本明細書中で使用される場合、吸入装置は、エアゾル、例えば化合物の乾燥粉末形態を投与するための任意のデバイスである。このタイプの機材は当該分野で周知であり、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,19
th Edition,1995,Mac Publishing Company,Easton,Pennsylvania,pages 1676−1692に見られる記載等、詳細に記載されている。多くの米国特許、例えば米国特許第6,116,237号もまた、吸入デバイスを記載している。
【0179】
本明細書中で使用される場合、「粉末」は、細かく分散された固体粒子からなる組成物を意味する。好ましくは、組成物は、比較的フリーフロー性であり、吸入デバイス内で分散させることができ、その後に被検体によって吸入され化合物が肺に到達し肺胞への浸透を実現する。「乾燥粉末」は、粒子が吸入デバイス内で容易に分散しエアゾルを形成することができる程度の含水率を有する粉末組成物を意味する。この含水率は、概ね、約10重量%(%W)以下の水分であり、いくつかの実施態様においては、約5%w以下であり、好ましくは約3%w未満である。粉末はポリマーと共に処方される場合があり、場合により他の物質、例えばリポソーム、アルブミン、および/または他の担体と共に処方される場合もある。
【0180】
エアゾル投薬・送達系は、例えばGonda,I.“Aerosols for delivery of therapeutic and diagnostic agents to the respiratory tract,”in Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems,6:273−313(1990)およびMoren,“Aerosol dosage forms and formulations,”in Aerosols in Medicine.Principles,Diagnosis and Therapy,Moren,et al.,Eds.,Elsevier,Amsterdam,1985に記載されるように、具体的な治療適用ごとに当業者により選択され得る。
【0181】
化合物は、全身的に送達されることが望まれる場合、注入による、例えばボーラス注入または持続注入による非経口投与用に処方され得る。注入用処方物は、例えば保存剤を添加したアンプルまたは多重用量容器内の単位投薬剤形とされ得る。組成物は、油性または
水性媒体中の懸濁物、溶液、またはエマルジョン等の形態をとり得、かつ懸濁剤、安定剤、および/または分散剤等の処方用薬剤を含み得る。
【0182】
非経口投与用の医薬処方物には、水溶性形態の活性化合物の水溶液が含まれる。さらに、活性化合物の懸濁剤は、適当な油性注入用懸濁剤とされ得る。適当な親油性の溶媒または媒体には、脂肪油、例えばゴマ油もしくは合成脂肪酸エステル、例えばオレイン酸エチルもしくはトリグリセリド、またはリポソームが含まれる。水性注入用懸濁剤は、懸濁剤の粘性を高める物質、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、またはデキストランを含み得る。場合により、懸濁剤は、高濃度溶液の調製のため、適当な安定剤または化合物の溶解性を高める薬剤も含み得る。
【0183】
あるいは、活性化合物は、使用前に適当な媒体、例えば無菌・発熱物質非含有の水による構成のための粉末形態であり得る。
【0184】
化合物はまた、例えば坐剤用基剤、例えばカカオ脂またはその他のグリセリドを含有する直腸または膣用組成物、例えば坐剤または貯留浣腸剤として処方され得る。
【0185】
上記の処方物に加えて、化合物は、デボー製剤としても処方され得る。このような長時間持続型の処方物は、適当なポリマー性または疎水性物質(例えば許容できる油中のエマルジョン)もしくはイオン交換樹脂と共に、または難溶性の誘導体、例えば難溶性の塩として処方され得る。
【0186】
医薬組成物はまた、適当な固体またはゲル相の担体または賦形剤を含み得る。このような担体または賦形剤の例には、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、様々な糖、デンプン、セルロース誘導体、ゼラチン、およびポリマー、例えばポリエチレングリコールが含まれるがこれらに限定されない。
【0187】
適当な液体または固体の医薬製剤形態は、例えば、吸入、マイクロカプセル化、渦巻化(encochleated)、微細金粒子へのコーティング、リポソームへの内包、噴霧化、エアゾル、皮膚移植用ペレット、または皮膚を引っ掻いてこすりつけるための鋭利物への乾燥付着用の水溶液または生理食塩水溶液である。医薬組成物には、顆粒、粉末、錠剤、コーティング錠、(マイクロ)カプセル、坐剤、シロップ剤、エマルジョン剤、懸濁剤、クリーム剤、ドロップ、または活性化合物の長期的放出用製剤も含まれ、これらの製剤においては、賦形剤および添加剤ならびに/または補助物質、例えば崩壊剤、結合剤、コーティング剤、膨張剤、滑沢剤、矯味剤、甘味剤、または溶解剤が上記の通りに慣習的に使用される。医薬組成物は、様々な薬物送達系における使用に適したものである。薬物送達法の簡単なレビューについては、参照により本明細書に組み入れられるLanger R(1990)Science 249:1527−33を参照のこと。
【0188】
CpG免疫賦活オリゴヌクレオチドならびに場合により他の治療剤および/または抗原は、それ自体を(生で)または薬学的に許容できる塩の形態で投与され得る。医薬として使用される場合、塩は、薬学的に許容できるものでなければならないが、薬学的に許容できない塩も、その薬学的に許容できる塩を製造するために従来的に使用され得る。このような塩には、以下の酸:塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、マレイン酸、酢酸、サリチル酸、p−トルエンスルホン酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、ギ酸、マロン酸、コハク酸、ナフタレン−2−スルホン酸、およびベンゼンスルホン酸から得られる塩が含まれるがこれらに限定されない。また、このような塩は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属、例えばカルボン酸グループのナトリウム、カリウム、またはカルシウム塩として得ることができる。
【0189】
適当な緩衝剤には:酢酸および塩(1〜2% w/v);クエン酸および塩(1〜3%
w/v);ホウ酸および塩(0.5〜2.5% w/v);ならびにリン酸および塩(0.8〜2% w/v)が含まれる。適当な保存剤には、塩化ベンザルコニウム(0.003〜0.03% w/v);クロロブタノール(0.3〜0.9% w/v);パラベン(0.01〜0.25% w/v)、およびチメロサール(0.004〜0.02% w/v)が含まれる。
【0190】
本発明の医薬組成物は、場合により薬学的に許容できる担体中に含まれる有効量のCpG免疫賦活オリゴヌクレオチドならびに場合により抗原および/または他の治療剤を含む。薬学的に許容できる担体という用語は、ヒトまたは他の脊椎動物への投与に適する一つまたはそれ以上の適合性の固体もしくは液体増量剤、希釈剤、または被包物質を意味する。担体という用語は、その適用を容易にするために活性成分と混合される有機または無機、天然または合成性の成分をさす。医薬組成物の成分はまた、所望の薬学的効能を実質的に損なわせる相互作用を生じない様式で、本発明の化合物とおよび相互に混合することができるものである。
【0191】
本発明を以下の実施例によってさらに例証するが、この実施例はいかなる様式によってもさらなる限定であると解釈されるべきではない。