(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6434213
(24)【登録日】2018年11月16日
(45)【発行日】2018年12月5日
(54)【発明の名称】弾性的な軸継手
(51)【国際特許分類】
F16D 3/68 20060101AFI20181126BHJP
【FI】
F16D3/68
【請求項の数】10
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-12342(P2014-12342)
(22)【出願日】2014年1月27日
(65)【公開番号】特開2014-181817(P2014-181817A)
(43)【公開日】2014年9月29日
【審査請求日】2017年1月13日
(31)【優先権主張番号】10 2013 004 583.5
(32)【優先日】2013年3月18日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】514023494
【氏名又は名称】ツェンタ−アントリーベ・キルシャイ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100173521
【弁理士】
【氏名又は名称】篠原 淳司
(74)【代理人】
【識別番号】100153419
【弁理士】
【氏名又は名称】清田 栄章
(72)【発明者】
【氏名】ゲールハルト・キルシャイ
【審査官】
日下部 由泰
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2011/088860(WO,A1)
【文献】
実公昭36−029903(JP,Y1)
【文献】
英国特許出願公開第02126690(GB,A)
【文献】
独国実用新案第202011106000(DE,U1)
【文献】
特開昭56−156524(JP,A)
【文献】
特開昭48−103941(JP,A)
【文献】
実開昭59−011921(JP,U)
【文献】
米国特許第3837179(US,A)
【文献】
米国特許第3675750(US,A)
【文献】
米国特許第2873590(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16D 3/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
当該第1の軸ハブの外周にわたって分配されつつ互いに離間された複数の第1のつめ(12)を支持する第1の軸ハブ(11)と、当該第2の軸ハブの外周にわたって分配されつつ互いに離間した複数の第2のつめ(14)を支持する第2の軸ハブ(13)とを備えた弾性的な軸継手(10)であって、前記第1及び第2のつめ(12,14)が、各中間室内に収容されることで互いに係合し、それぞれ隣接する前記つめ(12,14)の間にローラ状の弾性的な継手要素(15)が収容されている、前記軸継手において、
1つの軸ハブ(11,13)の少なくとも外表面に前記つめ(12,14)のための取付面(17)が設けられており、前記軸ハブ(11,13)によって支持される前記つめ(12,14)が、係合式に軸ハブ側の前記取付面(17)上に設置されていることを特徴とする軸継手。
【請求項2】
前記取付面(17)が平坦に形成されていることを特徴とする請求項1記載の軸継手。
【請求項3】
前記取付面(17)が溝(18)を備えていることを特徴とする請求項1又は2記載の軸継手。
【請求項4】
前記つめ(12,14)が、前記軸ハブ側の前記取付面(17)に対して形状補完的に形成された接触面(21)を備えていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の軸継手。
【請求項5】
前記第1のつめ(12)が、皿状の、当該軸継手(10)の軸方向平面に対して鏡像的に配置された保持凹部(25)を備えており、該保持凹部が、互いに結合されていない前記弾性的な継手要素(15)を径方向及び/又は軸方向に保持することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の軸継手。
【請求項6】
前記第2のつめ(14)が、前記弾性的な継手要素(15)のための、形状適合状の着座部を形成することを特徴とする請求項5記載の軸継手。
【請求項7】
前記第2のつめ(14)が、周方向に、前記第1のつめ(12)の前記保持凹部(25)において前記弾性的な継手要素(15)を保持することを特徴とする請求項5又は6記載の軸継手。
【請求項8】
径方向断面において、前記第1のつめ(12)が本質的に対称な台形を形成し、前記第2のつめ(14)が、本質的にウェブ状に形成されているとともにその幾何形状的な基部を当該軸継手(10)の回転軸において有することを特徴とする請求項5〜7のいずれか1項に記載の軸継手。
【請求項9】
隣接するそれぞれ2つの前記第2のつめ(14)間に径方向の所定の開放角度が設けられていることにより、前記第1のつめによって保持される弾性的な継手要素(15)及び前記第1のつめ(12)の径方向の取り外しが可能となっていることを特徴とする請求項5〜8のいずれか1項に記載の軸継手。
【請求項10】
前記第1及び/又は第2の軸ハブ(11,13)が円筒状に形成されており、円筒状の外周面が、前記取付面(17)の範囲で円筒状の輪郭部とは異なるように形成されていることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の軸継手。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、当該第1の軸ハブの外周にわたって分配されつつ互いに離間された複数の第1のつめを支持する円筒状の第1の軸ハブと、当該第2の軸ハブの外周にわたって分配されつつ互いに離間した複数の第2のつめを支持する円筒状の第2の軸ハブとを備えた弾性的な軸継手であって、前記第1及び第2のつめが、各中間室内に収容されることで互いに係合し、それぞれ隣接する前記つめの間に弾性的な継手要素が収容されている、前記軸継手に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、冒頭に記載したような継手は、かみ合い継手と呼ばれる。このような継手が特許文献1に示されている。ここには、つめは、軸ハブの統合された構成部材であり、軸ハブから軸方向へ突出している。それぞれ隣接して配置された2つのつめの間に収容された弾性的な継手要素は、ローラ状あるいはロール状に、かつ、エラストマリングを介して互いに接して配置されている。
【0003】
このようなかみ合い継手は、様々な形態で発展形成されてきた。例えば、特許文献2には、かみ合い継手のための弾性的な継手要素を有するエラストマリングを好ましくは個々の部品から組み立てるための解決手段が開示されている。本出願人自身も、Centaflex Bという名称でかみ合い継手を販売しており、そのつめは、径方向に
軸ハブへ固定されているとともに、簡易な径方向の交換性を保障するものである。
軸ハブの外周部と
軸ハブに対向するつめの面の間には、摩擦係合式の結合部が存在する。また、この継手においても、各つめの間に配置されたエラストマ要素がリング体を介して上下に結合されている。
【0004】
径方向に取り外し可能なつめを有するかみ合い継手は、実務においてさまざまに実証されている。差し当たり、継手の取付及び取外しのために、通常はユニットの軸方向の引き離しは不要である。加えて、必要な場合には、個々のつめを交換することも可能である。材料及び結合が許容される限り、弾性的な継手要素は、リングの取外しにより、同様に軸方向のユニット変位なくして取り付けられることが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】独国特許出願公開第2211512号明細書
【特許文献2】独国実用新案第29806632号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、ロック部材の交換時、特に弾性的な継手要素の交換時及び冒頭に記載したようなかみ合い継手の製造時に改善の余地があることが分かった。複数の弾性的な継手要素は、その全体においてのみ交換され得る。なぜなら、これら弾性的な継手要素が一体的に互いに固定されているためである。径方向に
取り外し可能なつめは、異なる
軸ハブ外周により、各
軸ハブ直径に対して、及び適当なトルクに対して特有に製造されるべきである。
【0007】
本発明の課題は、生産の手間及び摩耗部材の交換に関するこの欠点を最適化することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題は請求項1の特徴、特に特徴部における特徴により達成され、これによれば、1つの
軸ハブの少なくとも外表面につめのための取付面が設けられており、
軸ハブによって支持されるつめが、係合式に
軸ハブ側の取付面上に設置されている。
【0009】
本発明の本質的な利点は、軸ハブの外周面が処理されること、及びつめの収容のための取付面が設けられることにある。つめのためのこの取付面は、様々な
軸ハブの大きさにかかわらず同一である。その結果、異なる直径の
軸ハブに対して同一のつめを使用することが可能である。これにより、各
軸ハブの直径に対して適合するつめを提供する必要がないため、生産にかかる手間が大幅に削減される。この限りにおいては、各
軸ハブ外周が、つめ外周幅の何倍にも相当しつつ同様のつめに設けられる。実務において、このことは、異なる性能のかみ合い継手が同様のつめの使用の下で単につめの数及びそのピッチ円によってのみ製造可能であることを意味している。したがって、結局のところ、かみ合い継手は、より小さなトルクの伝達のために、より大きなトルクを伝達するための継手と同様のつめを有している。継手は、単につめの数及びつめのピッチ円に適合する
軸ハブ直径によってのみ異なる。
【0010】
この点では、多数の異なる継手の大きさが、わずかな規格化された部材から容易に製造され得る。このことにより、製造及びストックが簡易化される。
【0011】
通常、
軸ハブは円筒状であり、そのため、取付面の範囲において、外周輪郭部が円筒状の周囲構造とは異なるように形成されている。
【0012】
特に、取付面が平坦に形成されている。このとき、取付面が溝を備えているか、溝によって形成されているのが好ましい。
【0013】
溝を有する平坦な取付面の形成又は溝状の取付面の形成により、つめを係合式に支持するための最適な前提が提供される。
【0014】
軸ハブ上におけるつめの最適な支持を保障し、したがって、つめと
軸ハブの間の結合のトルク負荷を最適化するために、つめが、隣接側の取付面に対して形状補完的に形成された接触面を備えている。
【0015】
第1のつめが、皿状の、軸継手の軸方向平面に対して鏡像的に配置された保持凹部を備えており、該保持凹部が、上下に結合されていない弾性的な継手要素を径方向及び/又は軸方向に保持することを特徴とする実施形態が特に好ましい。
【0016】
この形態は、摩耗を受ける弾性的な継手要素が個々に交換され得るための前提である。最適には、このことは、保持されるつめが径方向に離間され、つめによって保持される弾性的な継手要素が交換のためにアクセス可能であることにより行われる。
【0017】
さらに、特に第2のつめが周方向に第1の
つめの保持凹部において弾性的な継手要素を保持する場合には、第2のつめが、弾性的な継手要素のための、形状適合状の着座部を形成するようになっている。
【0018】
この実施形態は、第2のつめが弾性的な継手要素の保持を除いて周方向に更なる保持機能を有さないことによって特徴付けられている。周方向のこの保持機能は、本来備わっているものである。なぜなら、第1及び第2のつめの支持のみが互いに弾性的な継手要素を介して保障されているためである。まとめると、このことは、上下に結合されていない弾性的な継手要素の径方向及び軸方向の保持が第1のつめによってのみ保障されていることを意味している。
【0019】
さらに、第2のつめ
が径方向の所定の開放角度
を有することにより、第2のつめによって保持される弾性的な継手要素と
共に第1のつめの径方向の
取り外しが可能となっていることを考慮すれば、弾性的な継手要素の交換のために第1のつめのみが径方向へ離間される必要がある。
【0020】
したがって、具体的な実施形態においては、径方向断面において、第1のつめが本質的に対称な台形を形成し、第2のつめが、本質的にウェブ上に形成されているとともにその幾何形状的な基部を軸継手の回転軸において有するようになっている。
【0021】
本発明の他の利点及びそのより良好な理解は、以下の実施例の説明により明らかである。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、生産の手間及び摩耗部材の交換に関するこの欠点を最適化することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図2】
図1に基づく軸継手の軸方向の部分図である。
【
図3】
図1に基づく軸継手の第1のつめを通る
図2における切断線A−Aに基づく軸方向断面を示す図である。
【
図4】第1のつめに隣接する、
図1に基づく軸継手の弾性的な継手本体部を通る、
図2における切断線B−Bに基づく軸方向断面図である。
【
図5】
図1に基づく軸継手の第2のつめを通る
図2における切断線C−Cに基づく軸方向断面図である。
【
図6】
図1に基づく軸継手の第1及び第2の
軸ハブの配置を示す斜視図である。
【
図7】第1のつめを備えた第1の
軸ハブを示す斜視図である。
【
図8】第2のつめを備えた第2の
軸ハブを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
各図面には、本発明に対応した軸継手が全体的に符号10で示されている。
【0025】
この軸継手は、まず、複数の第1のつめ12を有する第1の
軸ハブ11と、次に、複数の第2のつめ14を有する第2の
軸ハブ13とを含んでいる。第1のつめ12は、外周を覆うように第1の
軸ハブ11上に配置されているとともに、外周にわたって均等に分配されて整向されている。また、第2のつめ14も、外周を覆うように第2の
軸ハブ13上に配置されているとともに、その外周にわたって均等に分配されて整向されている。
【0026】
図1では、第1のつめ12及び第2のつめ14が互いに係合している。このとき、それぞれ1つの第1のつめ12が、互いに隣接する2つの第2のつめ14の間の中間室にある。各第2のつめ14は、2つの互いに隣接する第1のつめ12の中間室に収容されている。それぞれ隣接するつめ12,14の間には、弾性的な継手本体部15が配置されており、各第1のつめ12は、それぞれ軸継手10の回転方向に隣接する第2のつめ14において、中間の弾性的な継手本体部15を介して支持されている。
【0027】
図6には、第1の
軸ハブ11及び第2の
軸ハブ13が、場合によっては存在する付加部材を省いて斜視図で示されている。
軸ハブ11,13の各中央の凹部16(
軸ハブ孔)は、各軸上での固定された配置に寄与するものである。両
軸ハブ11,13は、本質的に円筒状の外部輪郭を備えており、この外部輪郭は、取付面17で中断されている。
図6の本実施例においては、これは平面的な底面を有しつつ外周部に埋め込まれた(eingesenkt)溝18及び底面に対して垂直に形成された2つの側壁部である。溝18の範囲には、複数のネジ穴19が配置されており、このネジ穴は、第1のつめ12あるいは第2のつめ14の固定に利用されるものである。
【0028】
本実施例において、両
軸ハブ11,13は、その真価により(dem Grunde nach)同一である。しかしながら、これら
軸ハブは、ラジアル平面に対して鏡像状に整向されている。取付面について、これら
軸ハブは、互いに外周がずらされて整向されている。
【0029】
図9には、第1のつめ12が、下方からの斜視図で示されている。この
図9からは、まず、第1のつめ12が脚部20を備えていることが分かり、この脚部20は、下側、すなわち第1の
軸ハブ11に向いた側に接触面21を形成している。この接触面21は、その寸法において隣接側の取付面17に対応している。本ケースにおいては
軸ハブ11,13が取付溝18を形成しているため、つめ側の接触面21が、溝18に対して形状補完的な、脚部を下方へ閉鎖する脚部基礎22の一部となっている。第1の
軸ハブ11の取付溝18での第1のつめ12の取付時には、脚部基礎22は、完全に溝18内に収容されている。このことは、特に
図7から見て取ることができ、この
図7は、第1の
軸ハブ11を、取り付けられた第1のつめ12と共に斜視図で示している。
【0030】
図9においては紙面に対して入り込む方向である径方向においては、更に軸方向において脚部基礎22に対して突出する支持体23が脚部基礎22から延びている。
【0031】
支持体23からは、2つの保持翼24が延びている。保持翼24のうち1つは、周方向において反時計回りに延在しており、もう1つは、時計回りに延在している。支持体23と共通に、保持翼24がそれぞれ1つの、本質的に皿状に形成された保持凹部25を形成しており、保持翼は、少なくともその軸方向端部において、ラジアル平面内に配置された軸方向の端壁26を備えている。
【0032】
脚部20の範囲には支持体23に穿設された複数の保持穴27が径方向に配置されており、これら保持穴は、その数及び整向が第1の
軸ハブ11のネジ穴19と同様となっている。
図7及び
図9の共通の考察から、第1のつめ12、特にその複数の保持凹部25が、回転軸におけるその基部を有する軸方向平面に対して鏡面対称に構成されていることが明らかである。
【0033】
図10には、第2のつめ14が下方からの斜視図で示されている。また、
図8には、これに属する第2の
軸ハブ13が周方向に分配されて設けられた第2のつめ14と共に示されている。第1のつめ12のように、第2のつめ14もまず脚部20を有しており、
軸ハブに向いたその下側が接触面21を形成している。第2の
軸ハブ13も取付溝18を備えているため、接触面21は、溝補完的な脚部基礎22の一部となっている。
【0034】
脚部基礎22から径方向に、
図10における紙面に向かって延びるつめ本体部28が、脚部基礎22に対して軸方向に突出している。
【0035】
第2のつめ14も、脚部基礎22の範囲において径方向の複数の保持穴27によって貫通されており、これら保持穴は、数及び整向が第1の
軸ハブ13の取付溝18におけるネジ穴19と同様となっている。周方向へ向いた第2のつめ14の側面部29は、凹状に埋め込まれているとともに、ローラあるいはロール状の弾性的なつめ本体部15のためのそれぞれ1つの着座部を形成する。
【0036】
図7及び
図8には、複数の第1あるいは第2のつめ12,14がそれぞれ第1あるいは第2の
軸ハブ11,13上で均等に周囲を覆うように配置されていることが示されている。第1あるいは第2のつめ12,14の間には、複数の中間室が形成されている。ここで、複数の第1のつめ12間の中間室は、第2のつめ14がここに収容されるように採寸されることができる。同様に、第1のつめ12は、複数の第2のつめ14間の中間室に収容されることも可能である。
図7及び
図8から同様に明らかなように、第1及び第2のつめ12,14は、ボルト30によって各
軸ハブ11,13上に固定されている。このために、このボルトは、つめ12,14の保持穴27に挿入され、
軸ハブ11,13のネジ穴19に螺合している。
【0037】
このことは、
図3及び
図5からも良好に見て取れる。ここで、
図3は、
図2における切断面A−Aすなわち第1のつめ12の切断面に基づく軸方向の断面図である。さらに、この
図3からは、脚部20に対して軸方向に突出する支持体23の範囲がその保持翼24と共に第2の
軸ハブ13の径方向空間へ収容されていることが分かる。
【0038】
図5も同様に軸方向の断面図であるが、ここでは
図2における切断面C−Cに基づくものとなっている。したがって、第2のつめ14を通る軸方向断面である。径方向に設けられたボルト30による第2のつめ14の第2の
軸ハブ13での固定のほかに、脚部基礎22に対して突出したつめ本体部28の軸方向範囲が第1のつめ11の径方向空間へ収容されていることも分かる。
【0039】
第1のつめ12及び第2のつめ14の第2の
軸ハブ13及び第1の
軸ハブ11の径方向空間への相互の収容により、
図2あるいは
図11に示された、第1のつめ12が第2のつめ14の中間室へ収容され、第2のつめ14が第1のつめ12の中間室へ収容される取り付け状況となる。
【0040】
緩衝のために、ローラ状あるいはロール状の弾性的な複数の継手本体部15が、隣接する第1のつめ12と第2のつめ14の間に配置されている。これら継手本体部15は軸方向及び径方向の変位に対して単に第1のつめ12によってのみ保持されており、その保持凹部25内に継手本体部15が収容されている。その凹状の形状により着座部を形成している第2のつめ14の側面部29は、第1の継手本体部15の保持凹部25内で周方向へ弾性的な継手本体部15を保持している。側面部29の凹状の形状により、湾曲された側面部29におけるリニア状の接触に代えて、弾性的な継手本体部15の面状の接触が可能となる。これは、弾性的な継手本体部15の保護につながるものである。
【0041】
図12には
図11における軸継手10の第2の
軸ハブ13への軸方向に見た図が示されている。ボルト30による第1及び第2のつめ12,14の径方向の固定のほかに、この図示から、まず、第1の
つめ12の保持凹部25における弾性的な継手本体部15の収容が明確に分かる。さらに、保持翼24が継手本体部15を径方向に保持することが分かる。軸方向においては、端壁26が軸方向の保持の役割を担う。これら端壁のうち観察方向後方の端壁26のみが示されており、前方に位置しつつ取付状態において継手要素15への軸方向の観察を遮る前側壁部31が取り外されている。
【0042】
特に
図1から分かるように、前側壁部31は、取外し可能に第1のつめ12に螺着されている。各第1のつめ12は、その保持凹部25を軸方向へロックする前側壁部31を支持している。これにより、好ましくは第1のつめ12を個々に径方向へ
取り外すことが可能であるか、又は適当なアクセス性を前提として、個々の継手本体部15の軸方向の
取り外しが可能である。
【0043】
これに代えて、個々の前側壁部31の代わりに第1のつめ12の保持凹部25をリングディスクによって覆うとともに軸方向にロックすることも可能である。不図示のこのリングディスクも、第1のつめ12において螺着される。リングディスクの本質的な利点は、第1のつめ12の上下の結合にある。この結合により、第1のつめ12が、作用する遠心力に対して安定するとともに、径方向の固定を担うボルト30の負荷が軽減される。螺着の解除後には、第1のつめ12の径方向の
取り外しが引き続き可能である。
【0044】
軸継手10のラジアル平面における周方向輪郭部は、第1の継手本体部12では本質的に対称の台形状に形成されている。このことは、
図12において記入された周囲線Tによって明らかにされている。これに対して、ラジアル平面、すなわちここでは第2のつめ14への正面図における第2のつめ14は、本質的に長方形状あるいはウェブ状の周方向輪郭部を示している。この周方向輪郭部は、
図12における周囲線Sによって象徴されている。
【0045】
図12から、第2のつめ14が弾性的な継手本体部15に対する径方向保持機能を発揮しないことも明らかである。さらに、
図12には、隣接した2つの第2のつめ14の開放角度αがこれらの間に位置する第1のつめ12の径方向の
取り外し及びこれに伴う弾性的な継手本体部15の径方向の交換性を保障することも示されている。この開放角度αは、具体的な実施形態のために、
図12においても示されている。凹状に埋め込まれるとともに着座部を形成しつつ周方向へ向いた側壁部を有する第2のつめ14の本実施形態においてはその開放角度αが規定されるべきであり、この開放角度は、凹状の埋め込み部(Einsenkung)の頂点に関して径方向外方へ配置された壁部分の間を占めるものである。これら壁部分は、互いに平行に整向されるか(開放角度α=0°)、又は正の開放角度をなす必要があり、この結果、回転軸から見て、漏斗状の開口部を形成するものである。
【0046】
個々の継手本体部15又は個々のつめ12,14の径方向の
取り外しが不要である限り、従来技術より十分に知られているように、相違し、同種の形状のつめ12,14を使用することが可能である。
【0047】
まとめると、統一された取付面17により規格化されたつめ12,14の配置が
軸ハブ直径に依存せずに可能な軸継手10が開示された。さらに、ウェブ状及び台形状のつめ本体部の交互の配置並びに結合されていない継手本体部15に対する台形状のつめ12の保持機能により、継手本体部15の径方向の交換が可能であることが示された。
【符号の説明】
【0048】
10 軸継手
11 第1の
軸ハブ
12 第1のつめ
13 第2の
軸ハブ
14 第2のつめ
15 継手本体部
16 凹部
17 取付面
18 溝
19 ネジ穴
20 脚部
21 接触面
22 脚部基礎
23 支持体
24 保持翼
25 保持凹部
26 端壁
27 保持穴
28 つめ本体部
29 側面部
30 ボルト
31 前側壁部
S 周囲線
T 周囲線