特許第6434238号(P6434238)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6434238
(24)【登録日】2018年11月16日
(45)【発行日】2018年12月5日
(54)【発明の名称】流量計および補正値算出方法
(51)【国際特許分類】
   G01F 1/696 20060101AFI20181126BHJP
【FI】
   G01F1/696 A
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-140721(P2014-140721)
(22)【出願日】2014年7月8日
(65)【公開番号】特開2016-17844(P2016-17844A)
(43)【公開日】2016年2月1日
【審査請求日】2017年3月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】清田 久夫
【審査官】 細見 斉子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−216906(JP,A)
【文献】 特開2006−138688(JP,A)
【文献】 特開2004−000583(JP,A)
【文献】 特開2004−257870(JP,A)
【文献】 特開2012−159314(JP,A)
【文献】 特開2013−076601(JP,A)
【文献】 特開2009−288153(JP,A)
【文献】 特開2001−349759(JP,A)
【文献】 特開平05−223611(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F 1/68 − 1/696
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定流体の流量を計測する流れセンサと、計測された前記流量を補正するための補正値を算出する補正値算出部と、を備え、
前記流れセンサは、
基板と、
前記被測定流体の温度に強く影響を受けるように配置された第1抵抗体と、
前記基板の温度に強く影響を受けるように配置された第2抵抗体と、を備え、
前記流れセンサは、前記第1抵抗体を含む周囲温度センサで計測される温度よりも一定温度高くなるように制御されるヒータで加えられた熱が前記被測定流体の流れ下流方向に運ばれる運搬効果によって、前記ヒータより前記被測定流体の流れ上流側に設けられた上流側測温抵抗素子の温度よりも、前記ヒータより前記被測定流体の流れ下流側に設けられた下流側測温抵抗素子の温度が高くなった場合における、前記上流側測温抵抗素子の電気抵抗と前記下流側測温抵抗素子の電気抵抗との間の差に基づいて被測定流体の流量を計測し、
前記補正値算出部は、前記第1抵抗体の抵抗値と前記第2抵抗体の抵抗値との差の変化量に対応づけられる、前記流量を補正するための補正値を算出する、
流量計。
【請求項2】
前記流量を補正する流量補正部をさらに備え、
前記流量補正部は、前記補正値に基づいて前記流量を補正する、
請求項1に記載の流量計。
【請求項3】
前記第1抵抗体の抵抗値の変化量と、前記補正値と、の相関関係を示す関係式又はテーブルを記憶する記憶部をさらに備える、
請求項1又は2に記載の流量計。
【請求項4】
流れセンサにより被測定流体の流量を計測する工程と、
計測された前記流量を補正するための補正値を算出する工程と、を含み、
前記流れセンサは、
基板と、
前記被測定流体の温度に強く影響を受けるように配置された第1抵抗体と、
前記基板の温度に強く影響を受けるように配置された第2抵抗体と、を備え、
前記流量を計測する工程は、前記第1抵抗体を含む周囲温度センサで計測される温度よりも一定温度高くなるように制御されるヒータで加えられた熱が前記被測定流体の流れ下流方向に運ばれる運搬効果によって、前記ヒータより前記被測定流体の流れ上流側に設けられた上流側測温抵抗素子の温度よりも、前記ヒータより前記被測定流体の流れ下流側に設けられた下流側測温抵抗素子の温度が高くなった場合における、前記上流側測温抵抗素子の電気抵抗と前記下流側測温抵抗素子の電気抵抗との間の差に基づいて被測定流体の流量を計測する工程を含み、
前記補正値を算出する工程は、前記第1抵抗体の抵抗値と前記第2抵抗体の抵抗値との差の変化量に対応づけられる、前記流量を補正するための補正値を算出する工程を含む、
補正値算出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流量計および補正値算出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ガスや空気等の流体の温度を計測する流量計として、抵抗R11、R12、ヒータRhおよび周囲温度センサRrからなるブリッジ回路が平衡状態となるように供給電位を制御し、所定の温度分布が得られるようにヒータRhを駆動するヒータ駆動手段11Bと、供給電位V1とブリッジ回路の出力電位V2とに基づき、シリコンチップなどの基材からなる基台50の表面に埋め込まれた周囲温度センサRrの温度を流体の温度として算出する流体温度算出手段14Bと、を備える流量計が知られていた(特許文献1)。
【0003】
また、上述したような流量計は、周囲温度センサで計測された流体の温度より一定温度だけ高くなるようにヒータで被測定流体を加熱し、所定の温度分布を発生させ、その温度分布から被測定流体の流速を算出し、その流速に基づいて流体流量を計測することが知られていた(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−117159号公報
【特許文献2】特開2004−117157号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述したような流量計においては、周囲温度センサは基台の表面に埋め込まれているため、周囲温度センサの温度を、被測定流体の温度として算出するよりも、基台の温度として算出するおそれがあり、被測定流体の正確な温度を算出することができないおそれがあった。このように、被測定流体の正確な温度を算出することができない結果、被測定流体の流量を正確に計測することができないおそれがあった。
【0006】
そこで、本発明は、被測定流体の流量を正確に計測することを目的の一つとし得る。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の一側面に係る流量計は、被測定流体の流量を計測する流れセンサと、計測された前記流量を補正するための補正値を算出する補正値算出部と、を備え、前記流れセンサは、基板と、前記被測定流体の温度に強く影響を受けるように配置された第1抵抗体と、前記基板の温度に強く影響を受けるように配置された第2抵抗体と、を備え、前記流れセンサは、前記第1抵抗体を含む周囲温度センサで計測される温度よりも一定温度高くなるように制御されるヒータで加えられた熱が前記被測定流体の流れ下流方向に運ばれる運搬効果によって、前記ヒータより前記被測定流体の流れ上流側に設けられた上流側測温抵抗素子の温度よりも、前記ヒータより前記被測定流体の流れ下流側に設けられた下流側測温抵抗素子の温度が高くなった場合における、前記上流側測温抵抗素子の電気抵抗と前記下流側測温抵抗素子の電気抵抗との間の差に基づいて被測定流体の流量を計測し、前記補正値算出部は、前記第1抵抗体の抵抗値と前記第2抵抗体の抵抗値との差の変化量に対応づけられる、前記流量を補正するための補正値を算出する。
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の一側面に係る補正値算出方法は、流れセンサにより被測定流体の流量を計測する工程と、計測された前記流量を補正するための補正値を算出する工程と、を含み、前記流れセンサは、基板と、前記被測定流体の温度に強く影響を受けるように配置された第1抵抗体と、前記基板の温度に強く影響を受けるように配置された第2抵抗体と、を備え、前記流量を計測する工程は、前記第1抵抗体を含む周囲温度センサで計測される温度よりも一定温度高くなるように制御されるヒータで加えられた熱が前記被測定流体の流れ下流方向に運ばれる運搬効果によって、前記ヒータより前記被測定流体の流れ上流側に設けられた上流側測温抵抗素子の温度よりも、前記ヒータより前記被測定流体の流れ下流側に設けられた下流側測温抵抗素子の温度が高くなった場合における、前記上流側測温抵抗素子の電気抵抗と前記下流側測温抵抗素子の電気抵抗との間の差に基づいて被測定流体の流量を計測する工程を含み、前記補正値を算出する工程は、前記第1抵抗体の抵抗値と前記第2抵抗体の抵抗値との差の変化量に対応づけられる、前記流量を補正するための補正値を算出する工程を含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、基板と、上記基板上に配置され、上記基板から熱絶縁された第1抵抗体と、を備える流れセンサにより計測された被測定流体の流量を、補正値算出部により上記第1抵抗体の抵抗値の変化量に対応づけられる、上記流量を補正するための補正値を算出することにより、当該補正値に基づいて被測定流体の流量を補正することができ、被測定流体の流量を正確に計測することにつなげることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1実施形態に係る流量計の構成を示す構成図である。
図2】本発明の第1実施形態に係る流量計の熱式流れセンサの構成を説明するための斜視図である。
図3図2に示すI−I線に沿った断面図である。
図4】本発明の第1実施形態に係る2つの周囲温度測温抵抗素子の出力電圧(抵抗値の差)と温度差との関係を示すグラフである。
図5】本発明の第1実施形態に係る流量計の回路構成例である。
図6】本発明の第1実施形態に係る流量計の流量補正機能を説明するためのフローチャートである。
図7】本発明の第2実施形態に係る流量計の熱式流れセンサの構成を説明するための斜視図である。
図8図7に示すI−I線に沿った断面図である。
図9】本発明の第2実施形態に係る流量計の回路構成例である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付して表している。図面は模式的なものであり、必ずしも実際の寸法や比率等とは一致しない。図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることがある。
【0012】
<第1実施形態>
図1図6を用いて、本発明の第1実施形態に係る流量計1(第1実施形態においては1A)について説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る流量計1Aの構成を示す構成図である。図1に示すように、本実施形態に係る流量計1Aは、例示的に、ガスなどの被測定流体が流通する図示していない配管の一部に取り付けられる流路保持体2と、流路保持体2に一体的に接続される計測ユニット3と、を備えて構成されている。
【0013】
流路保持体2の内部には、被測定流体が矢印の方向に流通する流路2aが形成されている。計測ユニット3は、流路2a内を流通する被測定流体の流量を計測するものである。なお、図1は、流路保持体2の断面図と、計測ユニット3の機能的構成を説明するためのブロック図と、を複合的に示した構成図である。
【0014】
流路保持体2には、上流側の端部に流入口4が、下流側の端部に流出口5が、各々設けられており、流路2aは、流入口4及び流出口5の各々に取り付けられる図示していない配管と連通している。また、流路2aの内壁には、流路2a内を流通する被測定流体の流量を計測するための熱式流れセンサ10が設置されている。
【0015】
図2は、図1に示す流量計1Aの熱式流れセンサ10(第1実施形態においては10A)の構成を説明するための斜視図である。また、図3は、図2に示すI−I線に沿った断面図である。図2及び図3に示すように、熱式流れセンサ10Aは、例示的に、キャビティ12及びキャビティ19が設けられた基板11と、基板11上にキャビティ12及びキャビティ19を覆うように配置された絶縁膜13と、絶縁膜13に設けられたヒータ14と、ヒータ14より上流側に設けられた上流側測温抵抗素子15と、ヒータ14より下流側に設けられた下流側測温抵抗素子16と、上流側測温抵抗素子15より上流側に設けられた周囲温度測温抵抗素子17及び周囲温度測温抵抗素子18(第1抵抗体)と、ヒータ14より下流側に設けられた周囲温度測温抵抗素子100と、を備えて構成されている。
【0016】
絶縁膜13のうち、キャビティ12を覆う部分は、断熱性の第1ダイヤフラムを構成している。また、絶縁膜13のうち、キャビティ19を覆う部分は、断熱性の第2ダイヤフラムを構成している。ここで、ヒータ14、上流側測温抵抗素子15、および下流側測温抵抗素子16は、第1ダイヤフラムに設けられている。このように、ヒータ14、上流側測温抵抗素子15、および下流側測温抵抗素子16は、基板11から熱的に遮断(熱絶縁)されている。また、周囲温度測温抵抗素子18(第1抵抗体)は、第2ダイヤフラムに設けられている。このように、周囲温度測温抵抗素子18(第1抵抗体)は、基板11から熱的に遮断(熱絶縁)されている。また、図2に示すように、周囲温度測温抵抗素子18(第1抵抗体)は、ヒータ14と同一基板11上に設けられながらも、ヒータ14から出来るだけ離し、且つ、被測定流体の流れ上流側に配置するとよい。さらに、上述したとおり、周囲温度測温抵抗素子18(第1抵抗体)は、ヒータ14が設けられるダイヤフラム(第1ダイヤフラム)とは異なるダイヤフラム(第2ダイヤフラム)に設けられる。このような構成を採用するのは、ヒータ14の周辺はヒータ14により加熱されており、周囲温度測温抵抗素子18がヒータ14の近くに設置され、周囲温度測温抵抗素子18が、ヒータ14が設けられるダイヤフラムと同一のダイヤフラムに設けられ、又は、周囲温度測温抵抗素子18が被測定流体の流れ下流側に配置されると、周囲温度測温抵抗素子18(第1抵抗体)を含む周囲温度センサ(不図示)の被測定流体の温度測定に誤差が生じるおそれがある。このような被測定流体の温度測定の誤差を防ぐためである。
【0017】
基板11に設けられている周囲温度測温抵抗素子17を含む周囲温度センサ(不図示)は、周囲温度を計測する。また、基板11に設けられている周囲温度測温抵抗素子100を含む周囲温度センサ(不図示)は、周囲温度を計測する。ヒータ14は、キャビティ12を覆う絶縁膜13の略中心に配置されており、流路2aを流通する被測定流体を、周囲温度センサが計測した温度よりも一定温度高くなるように加熱する。上流側測温抵抗素子15はヒータ14より上流側の温度を検出するために用いられ、下流側測温抵抗素子16はヒータ14より下流側の温度を検出するために用いられる。
【0018】
ここで、流路2a内における被測定流体の流量が零の場合、ヒータ14で加えられた熱は、上流方向と下流方向へ対称的に拡散する。従って、上流側測温抵抗素子15の温度と下流側測温抵抗素子16との温度は等しくなり、上流側測温抵抗素子15の電気抵抗と下流側測温抵抗素子16の電気抵抗とは等しくなる。これに対し、流路2a内における被測定流体が上流側から下流側へと流通している場合、ヒータ14で加えられた熱は下流方向に運ばれる(運搬効果)。
【0019】
従って、上流側測温抵抗素子15の温度よりも下流側測温抵抗素子16の温度が高くなり、上流側測温抵抗素子15の電気抵抗と下流側測温抵抗素子16の電気抵抗との間に差が生じる。この電気抵抗の差は、流路2a内を流通する被測定流体の速度や流量と相関関係があることが知られている。このため、上流側測温抵抗素子15の電気抵抗と下流側測温抵抗素子16の電気抵抗との差に基づいて、流路2a内を流通する被測定流体の速度や流量を算出(計測)することができる。
【0020】
なお、基板11の材料としては、シリコン(Si)等が使用可能である。絶縁膜13の材料としては、酸化ケイ素(SiO2)、シリコンナイトライド(Si34)等が使用可能である。キャビティ12は、異方性エッチング等により形成される。また、ヒータ14、上流側測温抵抗素子15、下流側測温抵抗素子16、周囲温度測温抵抗素子17及び周囲温度測温抵抗素子18の各々の材料としては、白金(Pt)等が使用可能であり、これらは、リソグラフィ法等により形成可能である。
【0021】
図1に戻り、計測ユニット3は、例示的に、熱式流れセンサ10Aに電気的に接続された中央演算装置20と、中央演算装置20に電気的に接続された記憶装置30及び表示装置40と、を備えて構成されている。
【0022】
記憶装置30は、例えばDRAM等の揮発性メモリから構成することができる。記憶装置30には、各種制御プログラムに加えて、熱式流れセンサ10Aのセンサ出力に基づいて被測定流体の流量を算出するための情報(演算式、テーブル等)や、後述する、算出された被測定流体の流量を補正するための情報、即ち、周囲温度測温抵抗素子18(第1抵抗体)の抵抗値の変化量と、算出された被測定流体の流量を補正するための補正値と、の相関関係を示す関係式又はテーブルなどが記憶されている。
【0023】
表示装置40は、例えば液晶ディスプレイ等の画像表示部と、入力キー等を有して各種設定や情報入力が可能な操作部と、などを備えて構成される。
【0024】
中央演算装置20は、例えばCPU等から構成されており、記憶装置30に記憶された各種情報や各種制御プログラムを読み込み、各種演算処理を実行して流量計1Aの各種機器を統合制御する。本実施形態における中央演算装置20は、熱式流れセンサ10Aを用いて算出した被測定流体の流量を、後述する補正値に基づいて補正する装置であり、機能的に、流量計測部22、補正値算出部24、及び流量補正部26を備えて構成されている。
【0025】
ここで、熱式流れセンサ10Aは、上述したとおり、周囲温度測温抵抗素子17及び周囲温度測温抵抗素子18(第1抵抗体)を備えている。そして、周囲温度測温抵抗素子17は、基板11上に設けられており、周囲温度測温抵抗素子18は、第2ダイヤフラムに設けられている。本願発明者は、周囲温度測温抵抗素子17を含む周囲温度センサは、基板11の温度に強く影響を受け、基板11の温度を計測し、周囲温度測温抵抗素子18を含む周囲温度センサは、被測定流体の温度に強く影響を受け、被測定流体の温度を計測することを見出した。これは、周囲温度測温抵抗素子17は、基板11に設けられている一方で、周囲温度測温抵抗素子18は、第2ダイヤフラムに設けられているため、基板11から熱絶縁され、そして、第2ダイヤフラム下に位置するキャビティ19内では被測定流体が流通していることによって、より被測定流体の温度の影響を受け易いためである。
【0026】
また、例えば、被測定流体の温度が一定である場合において、抵抗素子の抵抗値は一定であるため、周囲温度測温抵抗素子17の抵抗値と、周囲温度測温抵抗素子18の抵抗値と、の差は一定であり、周囲温度測温抵抗素子17を含む周囲温度センサと、周囲温度測温抵抗素子18を含む周囲温度センサと、が算出する温度の差も一定である。しかしながら、被測定流体の温度が変化した場合、当該被測定流体の温度の変化に対応して、周囲温度測温抵抗素子17及び周囲温度測温抵抗素子18の抵抗値の差(出力電圧)は変動する。また、被測定流体の温度が変化した場合、当該被測定流体の温度の変化に対応して、周囲温度測温抵抗素子17を含む周囲温度センサと、周囲温度測温抵抗素子18を含む周囲温度センサと、が算出する温度の差も変動する。具体的には、被測定流体の温度が変化した場合、周囲温度測温抵抗素子18の抵抗値は変化する。一方で、周囲温度測温抵抗素子17の抵抗値は、被測定流体の温度の変化に関わらず、一定である。また、被測定流体の温度が変化した場合、周囲温度測温抵抗素子18を含む周囲温度センサは、被測定流体の変化後の温度を計測する。一方で、周囲温度測温抵抗素子17を含む周囲温度センサは、被測定流体の温度の変化に関わらず、基板11の温度を計測するため、計測温度は一定である。よって、被測定流体の温度の変化前後で、周囲温度測温抵抗素子17及び周囲温度測温抵抗素子18の抵抗値の差(出力電圧)も変動し、周囲温度測温抵抗素子18を含む周囲温度センサと周囲温度測温抵抗素子17を含む周囲温度センサとが算出する温度の差も変動する。
【0027】
図4は、本発明の第1実施形態に係る周囲温度センサに含まれる周囲温度測温抵抗素子17及び周囲温度測温抵抗素子18(第1抵抗体)の出力電圧(抵抗値差)と温度差との関係を示すグラフである。上述したとおり、被測定流体の温度が変化すると、図4に示すように、周囲温度測温抵抗素子17の抵抗値と、周囲温度測温抵抗素子18の抵抗値と、の差(出力電圧)の変化に対応して、周囲温度測温抵抗素子17を含む周囲温度センサと、周囲温度測温抵抗素子18を含む周囲温度センサと、が算出する温度の差も変化する。より具体的には、図4に示すように、上記温度差と上記出力電圧との関係は、一次相関関係である。
【0028】
本実施形態における中央演算装置20は、上述したとおり、被測定流体の温度の変化がある場合に、周囲温度測温抵抗素子17の抵抗値は一定であることから、周囲温度測温抵抗素子18(第1抵抗体)の抵抗値の変化量を被測定流体の温度変化として算出する。そして、中央演算装置20は、周囲温度測温抵抗素子18(第1抵抗体)の抵抗値の変化量に対応づけられる、被測定流体の流量を補正するための補正値を算出し、当該補正値に基づいて流量を補正する。
【0029】
図1に戻り、流量計測部22は、熱式流れセンサ10Aの上流側測温抵抗素子15の電気抵抗と下流側測温抵抗素子16の電気抵抗との差(出力電圧)に対応するセンサ出力に基づいて流路2a内を流通する被測定流体の流量(補正前流量)を計測する機能ブロックである。
【0030】
補正値算出部24は、被測定流体の流量を補正するための補正値を算出する機能ブロックである。補正値算出部24は、上述したとおり、周囲温度測温抵抗素子18(第1抵抗体)と周囲温度抵抗素子17との抵抗値差の変化量、すなわち、上記第1抵抗体の抵抗値の変化量に対応づけられる、被測定流体の流量を補正するための補正値を算出する。より具体的には、補正値算出部24は、周囲温度測温抵抗素子18(第1抵抗体)と周囲温度抵抗素子17との抵抗値差の変化量(上記第1抵抗体の抵抗値の変化量)と、被測定流体の流量を補正するための補正値と、の相関関係を示す関係式又はテーブルをあらかじめ作成し、そして、たとえば被測定流体の温度変化があった際に、上記関係式又はテーブルを参照することによって補正値を算出する。なお、上記補正値は、被測定流体の温度の変化(変化量)に対応づけられるものであってもよく、上記関係式又はテーブルは、被測定流体の温度の変化(変化量)と、被測定流体の流量を補正するための補正値と、の相関関係を示すものであってもよい。
【0031】
流量補正部26は、補正値算出部24により算出された補正値に基づいて、被測定流体の流量を補正する機能ブロックである。流量補正部26は、流量計測部22が計測した被測定流体の流量(補正前流量)を、たとえば、被測定流体の温度変化があった際に、補正値算出部24により算出された補正値に基づいて補正前流量を補正し、被測定流体の補正後の流量を得ることができる。
【0032】
図5は、本発明の第1実施形態に係る流量計1Aの回路構成例である。上記回路は、例示的に、ヒータ14に含まれる抵抗素子Rhと、ヒータ14を駆動するヒータ駆動部50Aと、熱式流れセンサ10Aに含まれる周囲温度測温抵抗素子17(TRr)、周囲温度測温抵抗素子18(DRr)、抵抗素子R1、および抵抗素子R2で構成されるブリッジ回路と、熱式流れセンサ10Aを駆動するセンサ駆動部50Bと、計装アンプU1と、を備えて構成されている。
【0033】
ヒータ14の一端は、ヒータ駆動部50Aと接続されており、他端は、GND電位に接続されている。ヒータ駆動部50Aは、ヒータ14の温度が、図2及び図3に示す周囲温度測温抵抗素子100(図5には不図示)を含む周囲温度センサで計測される温度よりも一定温度高くなるように、ヒータ14を駆動・制御する。
【0034】
計装アンプU1の非反転入力端子は、周囲温度測温抵抗素子17(TRr)および周囲温度測温抵抗素子18(DRr)に接続されている。周囲温度測温抵抗素子17(TRr)の他端は、GND電位に接続され、周囲温度測温抵抗素子18(DRr)の他端は、センサ駆動部50Bに接続されている。
【0035】
また、計装アンプU1の反転入力端子は、抵抗素子R1およびR2に接続されている。抵抗素子R1の他端は、センサ駆動部50Bに接続されており、センサ駆動部50Bからブリッジ回路への電位が供給される。抵抗素子R2の他端は、GND電位に接続されている。
【0036】
ここで、上述したとおり、周囲温度測温抵抗素子17(TRr)、周囲温度測温抵抗素子18(DRr)、抵抗素子R1、および抵抗素子R2はブリッジ回路を構成しており、周囲温度測温抵抗素子17(TRr)および周囲温度測温抵抗素子18(DRr)の抵抗値の比と、抵抗素子R1およびR2の抵抗値の比とが等しくなるよう、抵抗素子R1およびR2の値が設定されている。
【0037】
計装アンプU1は、被測定流体の温度の変化を、周囲温度測温抵抗素子17(TRr)の抵抗値と周囲温度測温抵抗素子18(DRr)の抵抗値との差の変化量、即ち、上述したとおり、周囲温度測温抵抗素子18(DRr)の抵抗値の変化量から検出する。そして、計装アンプU1は、周囲温度測温抵抗素子18(DRr)の抵抗値の変化量に対応づけられる、被測定流体の流量を補正するための補正値についての補正値信号を出力する。
【0038】
図6は、本発明の第1実施形態に係る流量計の流量補正機能を説明するためのフローチャートである。
【0039】
図6に示すように、まず、被測定流体の流量(補正前流量)を計測する(ステップS1)。
【0040】
次に、被測定流体の流量を補正するための補正値を算出する(ステップS2)。
【0041】
次に、上記補正値に基づいて補正前流量を補正する(ステップS3)。
【0042】
<第2実施形態>
図7は、本発明の第2実施形態に係る流量計1(第2実施形態においては1B)の熱式流れセンサ10(第2実施形態においては10B)の構成を説明するための斜視図である。図8は、図7に示すI−I線に沿った断面図である。
【0043】
図7及び図8に示すように、熱式流れセンサ10Bは、例示的に、キャビティ12及びキャビティ19が設けられた基板11と、基板11上にキャビティ12及びキャビティ19を覆うように配置された絶縁膜13と、絶縁膜13に設けられたヒータ14と、ヒータ14より上流側に設けられた上流側測温抵抗素子15と、ヒータ14より下流側に設けられた下流側測温抵抗素子16と、上流側測温抵抗素子15より上流側に設けられた周囲温度測温抵抗素子17及び周囲温度測温抵抗素子18(第1抵抗体)と、を備えて構成されている。以下では、第1実施形態と異なる点について特に説明し、他の点については説明を省略する。
【0044】
図7及び図8に示す本発明の第2実施形態に係る熱式流れセンサ10Bの構成と、図2及び図3に示す本発明の第1実施形態に係る熱式流れセンサ10Aの構成との相違点は、熱式流れセンサ10Bが、熱式流れセンサ10Aが例示的に備える構成のうち、周囲温度測温抵抗素子100を備えていない点である。
【0045】
図9は、本発明の第2実施形態に係る流量計1Bの回路構成例である。上記回路は、例示的に、ヒータ14に含まれる抵抗素子Rhと、ヒータ14を駆動するヒータ駆動部50Aと、周囲温度測温抵抗素子17(TRr)と、周囲温度測温抵抗素子18(DRr)と、抵抗素子R1、R2、R6、R7と、熱式流れセンサ10Aを駆動するセンサ駆動部50Bと、計装アンプU1と、増幅制御部50Cと、を備えて構成されている。図9に示すように、流量計1Bの回路構成は、図5に示す本発明の第1実施形態に係る流量計1Aの回路構成に、増幅制御部50Cと、抵抗素子R6及びR7とをさらに備えるものである。
【0046】
図9に示すように、増幅制御部50Cは、例示的に、計装アンプU2と、計装アンプU2に接続された抵抗素子R3,R4,R5を備えて構成されている。また、抵抗素子R5の他端は、GND電位に接続されている。また、増幅制御部50Cの計装アンプU2の非反転入力端子は、抵抗素子R1、抵抗素子R6、及び周囲温度測温抵抗素子18(DRr)と接続されている。さらに、増幅制御部50Cの抵抗素子R3及びR4のそれぞれは、ヒータ駆動部50Aと接続されている。
【0047】
図9に示すように、抵抗素子R6は、センサ駆動部50Bと抵抗素子R1との間に配置されている。抵抗素子R6の一端は、センサ駆動部50Bと接続され、他端は、抵抗素子R1に接続されている。また、抵抗素子R7は、ヒータ駆動部50Aとヒータ14との間に配置されている。抵抗素子R7の一端は、ヒータ駆動部50Aと接続され、他端は、ヒータ14に接続されている。
【0048】
流量計1Bの上記回路は、周囲温度測温抵抗素子17(TRr)の抵抗値と周囲温度測温抵抗素子18(DRr)の抵抗値との合成抵抗値と抵抗素子R6の抵抗値との比が、抵抗素子R7の抵抗値とヒータ14に含まれる抵抗素子Rhの抵抗値との比と等しくなるように、構成されている。
【0049】
ここで、周囲温度測温抵抗素子18(DRr)は断熱性のダイヤフラム上に設けられる抵抗素子であるため、自己加熱が想定よりも進んでしまうおそれがある。周囲温度測温抵抗素子18(DRr)の自己加熱を所定の範囲内に抑えるためには、周囲温度測温抵抗素子18(DRr)に加わる電圧を下げる必要がある。しかしながら、単に周囲温度測温抵抗素子18(DRr)に加わる電圧を下げてしまうと、ヒータ14での加熱を十分行うことができなくなる。そこで、増幅制御部50Cは、周囲温度測温抵抗素子18(DRr)に加わる電圧を下げた分だけ増幅して、上記増幅した電圧に対応する制御信号をヒータ駆動部50Aに送る。そして、ヒータ駆動部50Aは、その制御信号に応じてヒータ14に電圧を加える。
【0050】
以上説明したように、本発明の第1及び第2実施形態によれば、基板と、上記基板上に配置され、上記基板から熱絶縁された第1抵抗体と、を備える流れセンサにより計測された被測定流体の流量を、補正値算出部により上記第1抵抗体の抵抗値の変化量に対応づけられる、上記流量を補正するための補正値を算出することにより、当該補正値に基づいて被測定流体の流量を補正することができ、被測定流体の流量を正確に計測することができる。
【0051】
なお、本発明において、上述した各実施形態は、あくまでも例示であり、明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。即ち、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変形(各実施形態を組み合わせる等)して実施することができる。
【符号の説明】
【0052】
1、1A、1B 流量計
2 流路保持体
2a 流路
3 計測ユニット
4 流入口
5 流出口
10、10A、10B 熱式流れセンサ
11 基板
12 キャビティ
13 絶縁膜
14 ヒータ
15 上流側測温抵抗素子
16 下流側測温抵抗素子
17 周囲温度測温抵抗素子
18 周囲温度測温抵抗素子
19 キャビティ
20 中央演算装置
22 流量計測部
24 補正値算出部
26 流量補正部
30 記憶装置
40 表示装置
50A ヒータ駆動部
50B センサ駆動部
50C 増幅制御部
R1〜R7 抵抗
U1、U2 計装アンプ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9