特許第6434333号(P6434333)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6434333位相制御信号生成装置、位相制御信号生成方法及び位相制御信号生成プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6434333
(24)【登録日】2018年11月16日
(45)【発行日】2018年12月5日
(54)【発明の名称】位相制御信号生成装置、位相制御信号生成方法及び位相制御信号生成プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04R 3/04 20060101AFI20181126BHJP
   H04S 7/00 20060101ALI20181126BHJP
   H04R 3/00 20060101ALI20181126BHJP
【FI】
   H04R3/04
   H04S7/00 330
   H04R3/00 310
【請求項の数】17
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-30143(P2015-30143)
(22)【出願日】2015年2月19日
(65)【公開番号】特開2016-152566(P2016-152566A)
(43)【公開日】2016年8月22日
【審査請求日】2017年12月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001487
【氏名又は名称】クラリオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078880
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 修平
(72)【発明者】
【氏名】橋本 武志
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 哲生
(72)【発明者】
【氏名】森田 英之
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 隆富
(72)【発明者】
【氏名】藤田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】福江 一智
【審査官】 下林 義明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−012366(JP,A)
【文献】 特開2008−283600(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 3/00 − 3/14
H04S 1/00 − 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
周波数領域に変換されたオーディオ信号について周波数帯域毎の位相制御信号を生成する位相制御信号生成装置であって、
所定の周波数帯域毎に伝搬遅延時間を設定変更することが可能な設定変更手段と、
設定変更された伝搬遅延時間の設定変更前後の差分値を取得する差分値取得手段と、
取得された差分値に基づいて前記伝搬遅延時間が設定変更された周波数帯域の位相制御量を更新する更新手段と、
更新後の位相制御量を用いて周波数領域における位相制御量のスムージング処理を行うことにより周波数帯域毎の位相制御信号を生成する位相制御信号生成手段と、
を備える、
位相制御信号生成装置。
【請求項2】
周波数帯域毎の重み係数を保持する重み係数保持手段と、
前記設定変更手段により伝搬遅延時間が設定変更された周波数帯域に対応する重み係数を前記重み係数保持手段より取得する重み係数取得手段と、
を備え、
前記更新手段は、
前記重み係数取得手段により取得された重み係数及び前記差分値取得手段により取得された差分値に基づいて、前記設定変更手段により伝搬遅延時間が設定変更された周波数帯域の位相制御量を更新する、
請求項1に記載の位相制御信号生成装置。
【請求項3】
前記重み係数取得手段により取得される重み係数は、
前記設定変更手段により伝搬遅延時間が設定変更された周波数帯域の中心周波数付近で第一の値を持ち、該周波数帯域に隣接する周波数帯域で該第一の値よりも小さい第二の値を持つ係数である、
請求項2に記載の位相制御信号生成装置。
【請求項4】
前記重み係数取得手段により取得される重み係数は、
前記隣接する周波数帯域において前記位相制御量が変化しないように、前記設定変更手段により伝搬遅延時間が設定変更された周波数帯域から該隣接する周波数帯域にかけて、前記第一の値から矩形状の減衰カーブを用いて前記第二の値となるように減衰された値となっている、
請求項3に記載の位相制御信号生成装置。
【請求項5】
位相制御される対象の周波数帯域は、
低域から高域にかけて帯域幅が対数的に広くなる、
請求項1から請求項4の何れか一項に記載の位相制御信号生成装置。
【請求項6】
周波数帯域毎にフィルタ次数及びカットオフ周波数の異なる複数のフィルタ係数を保持するフィルタ係数保持手段
を備え、
前記位相制御信号生成手段は、
前記周波数帯域毎に異なるフィルタ係数を用いて位相制御量をスムージング処理する、
請求項1から請求項5の何れか一項に記載の位相制御信号生成装置。
【請求項7】
前記フィルタ次数及びカットオフ周波数は、
周波数帯域内の周波数スペクトル信号数に基づいて設定されている、
請求項6に記載の位相制御信号生成装置。
【請求項8】
前記フィルタ係数は、
周波数帯域が高いものほど前記位相制御信号生成手段によるスムージング量が多くなる値に設定されている、
請求項6又は請求項7に記載の位相制御信号生成装置。
【請求項9】
周波数領域に変換されたオーディオ信号について周波数帯域毎の位相制御信号を生成する位相制御信号生成方法であって、
所定の周波数帯域毎に伝搬遅延時間を設定変更することが可能な設定変更ステップと、
設定変更された伝搬遅延時間の設定変更前後の差分値を取得する差分値取得ステップと、
取得された差分値に基づいて前記伝搬遅延時間が設定変更された周波数帯域の位相制御量を更新する更新ステップと、
更新後の位相制御量を用いて周波数領域における位相制御量のスムージング処理を行うことにより周波数帯域毎の位相制御信号を生成する位相制御信号生成ステップと、
を含む、
位相制御信号生成方法。
【請求項10】
所定のメモリに保持された周波数帯域毎の重み係数の中から、前記設定変更ステップにて前記伝搬遅延時間が設定変更された周波数帯域に対応する重み係数を取得する重み係数取得ステップ
を含み、
前記更新ステップにて、
前記重み係数取得ステップにて取得された重み係数及び前記差分値取得ステップにて取得された差分値に基づいて、前記設定変更ステップにて前記伝搬遅延時間が設定変更された周波数帯域の位相制御量を更新する、
請求項9に記載の位相制御信号生成方法。
【請求項11】
前記重み係数取得ステップにて取得される重み係数は、
前記設定変更ステップにて前記伝搬遅延時間が設定変更された周波数帯域の中心周波数付近で第一の値を持ち、該周波数帯域に隣接する周波数帯域で該第一の値よりも小さい第二の値を持つ係数である、
請求項10に記載の位相制御信号生成方法。
【請求項12】
前記重み係数取得ステップにて取得される重み係数は、
前記隣接する周波数帯域において前記位相制御量が変化しないように、前記設定変更ステップにて前記伝搬遅延時間が設定変更された周波数帯域から該隣接する周波数帯域にかけて、前記第一の値から矩形状の減衰カーブを用いて前記第二の値となるように減衰された値となっている、
請求項11に記載の位相制御信号生成方法。
【請求項13】
位相制御される対象の周波数帯域は、
低域から高域にかけて帯域幅が対数的に広くなる、
請求項9から請求項12の何れか一項に記載の位相制御信号生成方法。
【請求項14】
周波数帯域毎にフィルタ次数及びカットオフ周波数の異なる複数のフィルタ係数の中から、前記設定変更ステップにて前記伝搬遅延時間が設定変更された周波数帯域に対応するフィルタ係数を取得するフィルタ係数取得ステップ
を含み、
前記位相制御信号生成ステップにて、
前記フィルタ係数取得ステップにて取得されたフィルタ係数を用いて位相制御量をスムージング処理することにより、周波数帯域毎の位相制御信号を生成する
請求項9から請求項13の何れか一項に記載の位相制御信号生成方法。
【請求項15】
前記フィルタ次数及びカットオフ周波数は、
周波数帯域内の周波数スペクトル信号数に基づいて設定されている、
請求項14に記載の位相制御信号生成方法。
【請求項16】
前記フィルタ係数は、
周波数帯域が高いものほど前記位相制御信号生成ステップにおけるスムージング量が多くなる値に設定されている、
請求項14又は請求項15に記載の位相制御信号生成方法。
【請求項17】
請求項9から請求項16の何れか一項に記載の位相制御信号生成方法をコンピュータに実行させるための位相制御信号生成プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の周波数帯域の伝搬遅延時間を調節するタイムアライメント処理を行うための位相制御信号を生成する位相制御信号生成装置、位相制御信号生成方法及び位相制御信号生成プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、車室内には複数の位置にスピーカが設置されている。例えば、左フロントスピーカと右フロントスピーカは、車室空間の中心線を挟んで対称となる位置に設置されている。しかし、これらのスピーカは、リスナの聴取位置(運転席や助手席、後部座席など)を基準に考えると、対称となる位置にはない。そのため、リスナの聴取位置と複数のスピーカのそれぞれとの間の距離の差(各スピーカから放出された再生音が到達する時間の差)により、ハース効果による音像定位の偏りが発生する。
【0003】
例えば特許文献1に、音像定位の偏りを改善することが可能な装置が記載されている。特許文献1に記載の装置は、各スピーカから放出される再生音をリスナの聴取位置に同時に到達させるように時間調節(すなわちタイムアライメント処理)することにより、音像定位の偏りを抑える。より詳細には、特許文献1に記載の装置は、オーディオ信号を帯域分割回路によって高域と低域とに分割したうえで、低域用、高域用の各スピーカから放出される再生音のそれぞれを時間調節することにより、音像定位の偏りや位相干渉による周波数特性の乱れを全帯域に亘って補正する。
【0004】
しかし、特許文献1に記載の装置では、帯域分割回路において信号のロスや二重加算が生じることにより、リスナの聴取位置での伝達特性のリニアリティが劣化するという問題がある。また、特許文献1に記載の装置では、帯域分割回路により分割された信号をミキシングする際にクロスオーバ周波数付近の周波数特性にディップが生じるという問題点もある。
【0005】
そこで、特許文献2に、タイムアライメント処理を行う装置において、リスナの聴取位置での伝達特性のリニアリティを改善すると共にミキシング時点でのディップの発生を抑えることが可能なものが提案されている。
【0006】
特許文献2に記載の装置では、リスナの聴取位置での伝達特性のリニアリティを改善するため、デジタルフィルタが用いられている。より具体的には、特許文献2に記載の装置では、FIR(Finite Impulse Response)フィルタが用いられている。特許文献2に記載のFIRフィルタは、ディップの発生を抑えるため、急峻なカットオフ周波数を持つ高次のフィルタとなっており、多数の遅延回路及び乗算器が必要な構成となっている。特に、全ての周波数帯域で位相が一定の直線位相特性を持つFIRフィルタを持つ構成とする場合は、多数の遅延器及び乗算器が必要であり、処理負荷が増大するという問題がある。また、特許文献2に記載の構成では、分割される周波数帯域の数を増やすほど(時間調節される周波数帯域を細かく分けるほど)必要な遅延回路及び乗算器が更に増えて、処理負荷がより一層増大するという問題もある。
【0007】
そこで、特許文献3に、複数の周波数帯域の伝搬遅延時間を調節するタイムアライメント処理を行う装置において、ディップの発生を低減する構成でありつつも処理負荷を抑えるのに好適なものが記載されている。具体的には、特許文献3に記載の装置は、オーディオ信号について周波数帯域毎の位相制御(位相回転及び位相オフセット)に関する位相制御信号を生成し、生成された位相制御信号に対してスムージング処理を行って周波数帯域間の位相変化を滑らかに接続することにより、多数のFIRフィルタが不要な構成(すなわち処理負荷が低減される構成)でありつつもディップの発生が低減される構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平7−162985号公報
【特許文献2】国際公開第2009/095965号パンフレット
【特許文献3】特開2015−12366号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、この種の装置に対しては、処理負荷を軽減させるという要請が恒常的に存在する。そこで、本発明の目的とするところは、ディップの発生を低減するのに好適な構成でありつつもタイムアライメント処理を行うための位相制御信号の生成処理負荷をより一層抑えるのに好適な位相制御信号生成装置、位相制御信号生成方法及び位相制御信号生成プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施形態に係る位相制御信号生成装置は、周波数領域に変換されたオーディオ信号について周波数帯域毎の位相制御信号を生成する装置であり、所定の周波数帯域毎に伝搬遅延時間を設定変更することが可能な設定変更手段と、設定変更された伝搬遅延時間の設定変更前後の差分値を取得する差分値取得手段と、取得された差分値に基づいて伝搬遅延時間が設定変更された周波数帯域の位相制御量を更新する更新手段と、更新後の位相制御量を用いて周波数領域における位相制御量のスムージング処理を行うことにより周波数帯域毎の位相制御信号を生成する位相制御信号生成手段とを備える。
【0011】
また、本発明の一実施形態に係る位相制御信号生成装置は、周波数帯域毎の重み係数を保持する重み係数保持手段と、設定変更手段により伝搬遅延時間が設定変更された周波数帯域に対応する重み係数を重み係数保持手段より取得する重み係数取得手段とを備えた構成としてもよい。この構成において、更新手段は、重み係数取得手段により取得された重み係数及び差分値取得手段により取得された差分値に基づいて、設定変更手段により伝搬遅延時間が設定変更された周波数帯域の位相制御量を更新してもよい。
【0012】
また、本発明の一実施形態において、重み係数取得手段により取得される重み係数は、例えば、設定変更手段により伝搬遅延時間が設定変更された周波数帯域の中心周波数付近で第一の値を持ち、該周波数帯域に隣接する周波数帯域で該第一の値よりも小さい第二の値を持つ係数である。
【0013】
また、本発明の一実施形態において、重み係数取得手段により取得される重み係数は、例えば、隣接する周波数帯域において位相制御量が変化しないように、設定変更手段により伝搬遅延時間が設定変更された周波数帯域から該隣接する周波数帯域にかけて、第一の値から矩形状の減衰カーブを用いて第二の値となるように減衰された値となっている。
【0014】
また、本発明の一実施形態において、位相制御される対象の周波数帯域は、例えば、低域から高域にかけて帯域幅が対数的に広くなる。
【0015】
また、本発明の一実施形態に係る位相制御信号生成装置は、周波数帯域毎にフィルタ次数及びカットオフ周波数の異なる複数のフィルタ係数を保持するフィルタ係数保持手段を備えた構成としてもよい。この構成において、位相制御信号生成手段は、周波数帯域毎に異なるフィルタ係数を用いて位相制御量をスムージング処理してもよい。
【0016】
また、本発明の一実施形態において、フィルタ次数及びカットオフ周波数は、周波数帯域内の周波数スペクトル信号数に基づいて設定されたものであってもよい。
【0017】
また、本発明の一実施形態において、フィルタ係数は、周波数帯域が高いものほど位相制御信号生成手段によるスムージング量が多くなる値に設定されたものであってもよい。
【0018】
また、本発明の一実施形態に係る位相制御信号生成方法は、周波数領域に変換されたオーディオ信号について周波数帯域毎の位相制御信号を生成する方法であり、所定の周波数帯域毎に伝搬遅延時間を設定変更することが可能な設定変更ステップと、設定変更された伝搬遅延時間の設定変更前後の差分値を取得する差分値取得ステップと、取得された差分値に基づいて伝搬遅延時間が設定変更された周波数帯域の位相制御量を更新する更新ステップと、更新後の位相制御量を用いて周波数領域における位相制御量のスムージング処理を行うことにより周波数帯域毎の位相制御信号を生成する位相制御信号生成ステップとを含む方法である。
【0019】
また、本発明の一実施形態に係る位相制御信号生成プログラムは、上記の位相制御信号生成方法をコンピュータに実行させるためのものである。
【発明の効果】
【0020】
本発明の一実施形態によれば、ディップの発生を低減するのに好適な構成でありつつもタイムアライメント処理を行うための位相制御信号の生成処理負荷をより一層抑えるのに好適な位相制御信号生成装置、位相制御信号生成方法及び位相制御信号生成プログラムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施形態に係る音響システムの構成を示すブロック図である。
図2】本発明の一実施形態に係る音響システムに備えられる情報処理端末において実行される位相制御信号生成処理のフローチャートを示す図である。
図3】本発明の一実施形態において情報処理端末の表示画面に表示される遅延時間調節画面を示す図である。
図4】本発明の一実施形態に係る位相制御信号生成処理の実行時に参照される重み係数を示す図である。
図5】本発明の一実施形態に係る位相制御信号生成処理の実行時に参照されるフィルタ係数を示す図である。
図6】本発明の一実施形態において所定の伝搬遅延時間が設定されている場合の位相スムージング処理後の位相制御信号を示す図である。
図7】本発明の一実施形態において入力オーディオ信号が帯域制限されたホワイトノイズについて、所定の伝搬遅延時間が設定されている場合の出力オーディオ信号を示す図である。
図8】従来(特許文献3)における位相スムージング処理前後の位相制御信号を示す図(図8(a))及び本実施形態における位相スムージング処理前後の位相制御信号を示す図(図8(b))である。
図9】本発明の一実施形態において周波数フラットなインパルス信号が入力されたときの出力オーディオ信号の周波数特性であって、位相スムージング処理を行わなかった場合の出力オーディオ信号の周波数特性を示す図(図9(a))及び位相スムージング処理を行った場合の出力オーディオ信号の周波数特性を示す図(図9(b))である。
図10】本発明の一実施形態において入力オーディオ信号が低域に制限されたホワイトノイズについて、特許文献3での出力オーディオ信号を示す図(図10(a))及び本実施形態での出力オーディオ信号を示す図(図10(b))である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下においては、本発明の一実施形態として音響システムを例に取り説明する。
【0023】
[音響システム1の構成]
図1は、本発明の一実施形態に係る音響システム1の構成を示すブロック図である。本実施形態に係る音響システム1は、オーディオ装置10及び情報処理端末20を備えている。
【0024】
オーディオ装置10は、例えば車両に搭載される車載型オーディオ装置であり、図1に示されるように、短時間フーリエ変換(STFT:Short-Term Fourier Transform)部11、位相制御部12及び短時間逆フーリエ変換(ISTFT:Inverse Short-Term Fourier Transform)部13を備えている。オーディオ装置10は、情報処理端末20と協働することにより、車室内に配置された各スピーカ(不図示)に出力されるオーディオ信号の伝搬遅延時間を調節する(すなわち、タイムアライメント処理を行う)。これにより、伝搬遅延時間が調節(補正)されたオーディオ信号がパワーアンプを介して各スピーカから出力される。そのため、ユーザは、ハース効果による音像定位の偏りが抑えられた環境で楽曲等を聴取することができる。
【0025】
STFT部11には、音源部(不図示)より可逆圧縮フォーマットや非可逆圧縮フォーマットの符号化信号を復号化したオーディオ信号(例えばCD(Compact Disc)やDVD(Digital Versatile Disc)等のオーディオ信号)が入力される。STFT部11は、入力されたオーディオ信号に対してオーバラップ処理及び窓関数による重み付けを行った後、STFTにより時間領域から周波数領域への変換を行い、実数及び虚数の周波数スペクトル信号を位相制御部12に出力する。
【0026】
本実施形態では、STFT部11には、サンプリング周波数が96kHzのオーディオ信号が入力される。また、STFT部11は、フーリエ変換長が16,384サンプルであり、オーバラップ長が12,288サンプルであり、窓関数がハニングである。STFT部11は、4,096サンプルずつ時間シフトしながらSTFTを行うことにより、16,384ポイントの周波数スペクトル信号を取得する。ここでは、16,384ポイントのうち0Hz〜48kHzのナイキスト周波数までの8,193ポイントの周波数スペクトル信号が位相制御部12に出力される。
【0027】
位相制御部12は、情報処理端末20より入力される周波数帯域毎の位相制御信号(詳しくは後述)に基づいてSTFT部11より入力される周波数スペクトル信号の位相を周波数帯域毎に制御(位相回転及び位相オフセット)する。位相制御部12は、位相が周波数帯域毎に制御された周波数スペクトル信号をISTFT部13に出力する。
【0028】
ISTFT部13は、位相制御部12より入力される周波数スペクトル信号をISTFTにより周波数領域から時間領域の信号に変換し、変換された信号について窓関数による重み付け及びオーバラップ加算を行う。オーバラップ加算後に得られるオーディオ信号は、情報処理端末20を用いて行われた設定変更(詳しくは後述)に従って伝搬遅延補正された信号であり、ISTFT部13から後段の回路(パワーアンプ、スピーカ等)に出力される。
【0029】
情報処理端末20は、例えば、スマートフォン、フィーチャフォン、PHS(Personal Handy phone System)、タブレット端末、ノートPC、PDA(Personal Digital Assistant)、PND(Portable Navigation Device)、携帯ゲーム機など、車室内に持ち込める携帯型端末である。図2に示されるように、情報処理端末20は、設定変更受付部21、重み係数選択部22、正規化遅延時間生成部23、位相制御計算部24及び位相スムージング部25を備えている。
【0030】
[位相制御信号生成処理]
図2は、本発明の一実施形態に係る情報処理端末20において実行される位相制御信号生成処理のフローチャートを示す図である。情報処理端末20は、ユーザによる所定の操作を受け付けると、その表示画面に、伝搬遅延時間を調節するための遅延時間調節画面を表示する。
【0031】
図3に、情報処理端末20の表示画面に表示される遅延時間調節画面の一例を示す。図3に示されるように、遅延時間調節画面は、縦軸を遅延時間(Time(単位:msec))とし、横軸を周波数(Frequency(単位:Hz))とする操作画面であり、オーディオ信号の周波数帯域毎の伝搬遅延時間を横軸に並べてグラフィカルに示す棒グラフ画面となっている。なお、人間の聴覚特性は、周波数に対して対数的である。そのため、横軸の周波数は、人間の聴覚特性に合わせて対数表示となっている。また、横軸の周波数は、30Hz〜40kHzの範囲を1/3オクターブ毎に32分割したものとなっている。従って、本実施形態において、位相制御される対象の周波数帯域は、低域から高域にかけて帯域幅が対数的に広くなっている。図3に例示される遅延時間調節画面が表示されることにより、図2に示される位相制御信号生成処理が開始される。
【0032】
図2のS11(伝搬遅延時間の設定変更)]
ユーザは、情報処理端末20の表示画面に表示される遅延時間調節画面に対し、例えばタッチ操作を行うことにより、伝搬遅延時間を設定変更したい周波数帯域を指定しその遅延量を入力することができる。なお、設定変更可能な伝搬遅延時間は、例えば±5msecの範囲である。また、遅延時間調節画面には、伝搬遅延時間の設定変更操作を補助する所定のユーザ補助情報が表示されてもよい。遅延時間調節画面に表示されるユーザ補助情報の例として、現在設定変更中のスピーカ名やその再生可能周波数、楽器、ボーカル等の周波数の情報(例えば、低音を奏でる楽器のアイコンが棒グラフの低域部分に重畳表示されたり、高音を奏でる楽器のアイコンが棒グラフの高域部分に重畳表示されたりする等)等が挙げられる。
【0033】
設定変更受付部21は、設定変更操作を受け付けると、該操作により指定された周波数帯域の情報を重み係数選択部22に出力すると共に、該操作により指定された伝搬遅延時間の情報を正規化遅延時間生成部23に出力する。
【0034】
なお、伝搬遅延時間の設定変更は、遅延時間調節画面に対するマニュアル操作によるものに限らず、自動的に行われてもよい。例示的には、リスナの聴取位置(運転席や助手席、後部座席など)にマイクが設置される。この場合、リスナの聴取位置に設置されたマイクを用いて車内空間の音響特性が測定され、測定された結果に基づいて周波数帯域毎の伝搬遅延時間の設定変更値が自動的に算出される。設定変更受付部21は、算出された周波数帯域の情報を重み係数選択部22に出力すると共に、該算出された伝搬遅延時間の情報を正規化遅延時間生成部23に出力する。
【0035】
図2のS12(重み係数の選択)]
重み係数選択部22は、予め計算された周波数帯域毎の重み係数を所定のメモリ領域に保持している。重み係数選択部22は、処理ステップS11(伝搬遅延時間の設定変更)にて設定変更操作により指定された周波数帯域の情報が設定変更受付部21より入力されると、該情報が示す周波数帯域に対応する重み係数を所定のメモリ領域から読み出して、周波数帯域の情報と共に正規化遅延時間生成部23に出力する。
【0036】
図4(a)、図4(b)に、所定のメモリ領域に保持されている重み係数を例示する。図4(a)、図4(b)の各図中、縦軸は、重み係数を示し、横軸は、オーディオ装置10の位相制御部12で更新される帯域毎の位相制御信号の数量を示す。位相制御信号の数量は、図4(a)では「31」であり、図4(b)では「2560」である。図4(a)、図4(b)の各図に示されるように、重み係数は、周波数帯域の中心周波数付近の値が1であり、隣接する周波数帯域において影響を及ぼさないように(隣接する周波数帯域において位相制御量が実質的に変化しないように)矩形状の減衰カーブを用いてゼロとなるように減衰されたものとなっている。図4(a)に例示される重み係数は、中心周波数帯域が400Hz帯であり、隣接する周波数帯域が315Hz帯と500Hz帯である。図4(b)に例示される重み係数は、中心周波数帯域が31.5kHz帯であり、隣接する周波数帯域が25kHz帯と40kHz帯である。
【0037】
図2のS13(正規化遅延時間の更新)]
正規化遅延時間生成部23は、処理ステップS11(伝搬遅延時間の設定変更)にて設定変更操作により指定された周波数帯域について、該操作により指定された伝搬遅延時間と現行の遅延時間との差分値を差分遅延時間として算出する。正規化遅延時間生成部23は、算出された差分遅延時間と、重み係数選択部22より入力される重み係数とを乗算し、その乗算値を現行の遅延時間に加算して、更に、周波数帯域内の位相を保持したまま伝搬遅延時間だけを制御するため、伝搬遅延時間の分解能がサンプリング周波数の逆数となるように変換する。これにより、周波数帯域毎の正規化遅延時間が更新(より正確には、処理ステップS11(伝搬遅延時間の設定変更)にて設定変更操作により指定された周波数帯域の正規化遅延時間のみが現行の値に対して変更)される。
【0038】
図2のS14(位相制御信号の更新)]
位相制御計算部24は、更新された正規化遅延時間とこれに対応する周波数(処理ステップS11(伝搬遅延時間の設定変更)にて設定変更操作により指定された周波数帯域に含まれる周波数)とを乗算することにより、周波数帯域毎の位相制御量を更新(より正確には、該設定変更操作により指定された周波数帯域の位相制御量のみを現行の値に対して変更)し、更新された位相制御信号として位相スムージング部25に出力する。ここで、位相制御とは、周波数スペクトル信号の位相の回転量を制御することである。位相の回転量を制御することは、時間領域において伝搬遅延時間を制御することと等価である。また、周波数帯域毎の位相回転に対して周波数に応じた位相オフセットが与えられる。
【0039】
特許文献3においては、一部の周波数帯域の伝搬遅延時間が設定変更されると、全周波数帯域に亘って位相制御信号が再度生成されるが、本実施形態では、設定変更された周波数帯域の位相制御信号のみが再度生成(更新)される。そのため、本実施形態では、位相制御信号生成時の処理負荷がより一層抑えられる。
【0040】
図2のS15(位相スムージング)]
位相スムージング部25は、処理ステップS11(伝搬遅延時間の設定変更)にて設定変更操作により指定された周波数帯域について、位相制御計算部24より入力される位相制御信号に対してFIRローパスフィルタを用いた積分処理によりスムージングを掛ける。これにより、伝搬遅延時間の異なる周波数帯域間における位相の変化が滑らかとなり、周波数帯域間の位相干渉による周波数特性の乱れ(ディップの発生)が抑えられる。位相スムージング部25は、周波数特性の乱れが抑えられた位相制御信号を位相制御部12に出力する。
【0041】
特許文献3においては、一部の周波数帯域の伝搬遅延時間が設定変更されると、全周波数帯域に亘って位相スムージング処理が行われるが、本実施形態では、設定変更された周波数帯域においてのみ位相スムージング処理が行われる。この点においても、本実施形態では、位相制御信号生成時の処理負荷がより一層抑えられる。
【0042】
例えば、低域から高域に亘る全周波数帯域が1/3オクターブ毎に分割された場合を考える。この場合、周波数帯域あたりの周波数スペクトル信号の数(ポイント数)が比較的少ない数百Hz以下の低域においては、積分処理によるスムージング量が高域と比べて相対的に大きくなる。そのため、低域においては、位相スムージング処理前の位相制御信号と位相スムージング処理後の位相制御信号との差が大きくなる。
【0043】
そこで、本実施形態では、FIRローパスフィルタのフィルタ係数が周波数帯域毎に予め計算されて、所定のメモリ領域に保持されている。フィルタ係数は、フィルタ次数及びカットオフ周波数が周波数帯域毎にそれぞれ異なる値となっている。位相スムージング部25は、所定のメモリ領域からフィルタ係数を読み出して、積分処理による位相制御信号のスムージング処理を行う。
【0044】
下記は、ポイント数P(周波数帯域内の周波数スペクトル信号の数)に対するフィルタ次数及び正規化カットオフ周波数を示す。
・ポイント数P<20
フィルタ次数 :設定なし
正規化カットオフ周波数:設定なし
・20≦ポイント数P<40
フィルタ次数 :4
正規化カットオフ周波数:1/4
・40≦ポイント数P<80
フィルタ次数 :8
正規化カットオフ周波数:1/8
・80≦ポイント数P<160
フィルタ次数 :16
正規化カットオフ周波数:1/16
・160≦ポイント数P
フィルタ次数 :32
正規化カットオフ周波数:1/32
【0045】
上記の例では、ポイント数Pが20未満の周波数帯域では、スムージング処理が行われず、ポイント数Pが20以上の周波数帯域では、ポイント数Pが大きい周波数帯域ほどスムージング量が大きくなるように、フィルタ次数が長く且つ正規化カットオフ周波数が小さく設定されている。また、ポイント数Pが160以上の周波数帯域では、スムージング量が維持されるように、フィルタ次数及びカットオフ周波数が固定された値となっている。例示的には、ポイント数Pが20未満の周波数帯域は、250Hz未満の周波数帯域が該当し、ポイント数Pが160以上の周波数帯域は、2.5kHz以上の周波数帯域が該当する。
【0046】
一例として、図5(a)に、ポイント数Pが40以上80未満の周波数帯域に対応するフィルタ係数を示し、図5(b)に、ポイント数Pが160以上の周波数帯域に対応するフィルタ係数を示す。図5(a)、図5(b)の各図中、縦軸は、振幅であり、横軸は、サンプル数(フィルタ次数)である。
【0047】
このように、本実施形態では、周波数帯域毎に最適なフィルタ係数が与えられることにより、位相制御信号は、周波数帯域内の周波数スペクトル信号の数に応じた最適な量でスムージングされる。これにより、低域においては、遅延時間の設定精度が向上すると共に、中高域においては、遅延時間の設定精度が維持されつつも帯域間の干渉によるディップが低減される。
【0048】
[より詳細な例示]
図3に示される遅延時間調節画面において、4kHz帯の伝搬遅延時間が0msecに設定されている場合(すなわち、伝搬遅延時間が一切設定変更されていない場合)の位相スムージング処理後の位相制御信号を図6(a)に例示し、同じく4kHz帯の伝搬遅延時間が1msecに設定されている場合の位相スムージング処理後の位相制御信号を図6(b)に例示する。図6(a)、図6(b)の各図中、縦軸は、位相(Phase(単位:degree))であり、横軸は、周波数(Frequency(単位:Hz))である。また、入力オーディオ信号が4kHz帯で帯域制限されたホワイトノイズについて、伝搬遅延時間が0msec、1msecに設定されている場合の出力オーディオ信号を、それぞれ、図7(a)、図7(b)に例示する。図7(a)、図7(b)の各図中、縦軸は、振幅(Amplitude)であり、横軸は、時間(Time(単位:msec))である。なお、位相制御信号は、位相角を±180度に制限したものとなっている。
【0049】
図6及び図7を参照すると、出力オーディオ信号が遅延時間調節画面にて設定された伝搬遅延時間通りに遅延していることが判る。
【0050】
図8(a)に、特許文献3における位相スムージング処理前後の位相制御信号を例示し、図8(b)に、本実施形態における位相スムージング処理前後の位相制御信号を例示する。図8(a)、図8(b)の各図中、縦軸は、位相(Phase(単位:degree))であり、横軸は、周波数(Frequency(単位:Hz))である。また、図8(a)、図8(b)の各図中、細実線は、位相スムージング処理前の位相制御信号を示し、太実線は、位相スムージング処理後の位相制御信号を示す。
【0051】
特許文献3では、全周波数帯域に亘り同じフィルタ係数を用いて位相スムージング処理が行われているため、積分処理によるスムージング量がポイント数Pの少ない低域ほど相対的に大きくなる。その結果として、図8(a)に示されるように、位相スムージング処理前後の位相制御信号(特に、数百Hz以下の低域)で差異が生じる。これに対し、本実施形態では、周波数帯域毎に最適なフィルタ係数が与えられることにより、位相制御信号が周波数帯域内の周波数スペクトル信号の数に応じた最適な量でスムージングされる。その結果として、図8(b)に示されるように、ポイント数Pの少ない数百Hz以下の低域においても、位相制御信号の差異が位相スムージング処理前後で殆ど生じておらず、特許文献3に対して改善されていることが判る。
【0052】
図9に、周波数フラットなインパルス信号が入力されたときの出力オーディオ信号の周波数特性を例示する。図9(a)は、本実施形態の位相スムージング処理を行わなかった場合の出力オーディオ信号の周波数特性を示し、図9(b)は、本実施形態の位相スムージング処理を行った場合の出力オーディオ信号の周波数特性を示す。図9(a)、図9(b)の各図中、縦軸は、信号レベル(Level(単位:dB))であり、横軸は、周波数(Frequency(単位:Hz))である。
【0053】
図9(a)と図9(b)と比較すると、位相スムージング処理を行うことにより、全周波数帯域においてディップが大幅に改善されており、伝搬遅延時間の設定精度を維持しつつ周波数帯域間の干渉が低減されていることが判る。
【0054】
入力オーディオ信号が0Hz〜63Hz帯まで帯域制限された低域のホワイトノイズについて、特許文献3における出力オーディオ信号を図10(a)に例示し、本実施形態における出力オーディオ信号を図10(b)に例示する。図10(a)、図10(b)の各図中、細実線は、伝搬遅延時間が0msecに設定されている場合の出力オーディオ信号を示し、太実線は、伝搬遅延時間が5msecに設定されている場合の出力オーディオ信号を示す。図10(a)、図10(b)の各図中、縦軸は、振幅(Amplitude)であり、横軸は、時間(Time(単位:msec))である。
【0055】
本実施形態によれば、出力オーディオ信号が振幅を維持しつつ設定変更された伝搬遅延時間通りに遅延しており(図10(b)参照)、特許文献3(図10(a)参照)に対して改善されていることが判る。
【0056】
以上が本発明の例示的な実施形態の説明である。本発明の実施形態は、上記に説明したものに限定されず、本発明の技術的思想の範囲において様々な変形が可能である。例えば明細書中に例示的に明示される実施例等又は自明な実施例等を適宜組み合わせた内容も本願の実施形態に含まれる。
【0057】
例として、上記の実施形態では、音響システム1を構成する各種要素がオーディオ装置10と情報処理端末20に分けて備えられているが、本発明はこれに限らない。別の実施形態では、音響システム1を構成する各種要素が全てオーディオ装置10に備えられていてもよく、また、全て情報処理端末20に備えられていてもよい。
【0058】
また、上記の実施形態では、処理ステップS11(伝搬遅延時間の設定変更)にて設定変更操作により指定された周波数帯域についてのみ、対応するフィルタ次数及び正規化カットオフ周波数を用いた位相スムージング処理が行われているが、本発明はこれに限らない。別の実施形態では、該操作により指定された周波数帯域だけでなく、常に、全ての周波数帯域について、対応するフィルタ次数及び正規化カットオフ周波数を用いた位相スムージング処理が行われてもよい。
【符号の説明】
【0059】
1 音響システム
10 オーディオ装置
11 STFT部
12 位相制御部
13 ISTFT部
20 情報処理端末
21 設定変更受付部
22 重み係数選択部
23 正規化遅延時間生成部
24 位相制御計算部
25 位相スムージング部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10