特許第6434514号(P6434514)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6434514ポリカルバメートを生成するためのプロセス、それによって生成されたポリカルバメート、及びポリカルバメートを含むコーティング組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6434514
(24)【登録日】2018年11月16日
(45)【発行日】2018年12月5日
(54)【発明の名称】ポリカルバメートを生成するためのプロセス、それによって生成されたポリカルバメート、及びポリカルバメートを含むコーティング組成物
(51)【国際特許分類】
   C07C 269/04 20060101AFI20181126BHJP
   C07C 271/12 20060101ALI20181126BHJP
   B01J 31/12 20060101ALI20181126BHJP
   B01J 31/14 20060101ALI20181126BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20181126BHJP
   C09D 133/00 20060101ALN20181126BHJP
【FI】
   C07C269/04CSP
   C07C271/12
   B01J31/12 Z
   B01J31/14 Z
   !C07B61/00 300
   !C09D133/00
【請求項の数】4
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2016-534852(P2016-534852)
(86)(22)【出願日】2014年8月15日
(65)【公表番号】特表2016-534106(P2016-534106A)
(43)【公表日】2016年11月4日
(86)【国際出願番号】US2014051174
(87)【国際公開番号】WO2015023905
(87)【国際公開日】20150219
【審査請求日】2017年6月26日
(31)【優先権主張番号】61/866,075
(32)【優先日】2013年8月15日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000589
【氏名又は名称】特許業務法人センダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シンルイ・ユー
(72)【発明者】
【氏名】イヨン・ヘ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・ダブリュ・ハル・ジュニア
(72)【発明者】
【氏名】ダリューシ・ベイクザデー
(72)【発明者】
【氏名】デュアン・ローマー
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・クラーク
(72)【発明者】
【氏名】ピーター・マーグル
(72)【発明者】
【氏名】コンコン・リュー
【審査官】 桜田 政美
(56)【参考文献】
【文献】 特表2010−536988(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0124532(US,A1)
【文献】 特表2003−503560(JP,A)
【文献】 国際公開第01/000689(WO,A1)
【文献】 特公昭48−016495(JP,B1)
【文献】 特公昭54−003863(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 269/04
B01J 31/12
B01J 31/14
C07C 271/12
C07B 61/00
C09D 181/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリカルバメートを調製するためのプロセスであって、
式Mを有する化合物からなる群から選択される少なくとも1つの触媒の存在下、尿素をポリオールに添加することを含み、式中、Mが、Bi(III)、b(III)、Y(III)、(III)a(III)、Sc(III)、またはCe(III)からなる群から選択される三価金属であり、Zが、2−エチルヘキサノエート、ベンゾエート、ヘキサフルオロアセチルアセトネート、イソプロポキシド、アセチルアセトネート、ヒドロキシル、フェノキシド、ステアレート、tert−ブトキシド、ネオデカノエート、シトレート、トリフルオロメタンスルホネート、n−ブトキシド、トリフルオロアセテート、1,1,1−トリフルオロ−2,4−ペンタンジオネート、2,2,6,6,−テトラメチル−3,5−ヘキサンジオネート、クレシレート、エトキシド、メトキシド、トリエタノールアミナート、2−メチル−2−ブトキシド、オキソ、フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、アリールもしくは置換アリール、それらの混合物、及びそれらのキレートからなる群から選択され、Zが、アニオン性官能部であるか、またはMと共有結合を形成することができる官能部である、前記プロセス。
【請求項2】
カルバミル化触媒からなる群から選択される第2の触媒が存在する、請求項1に記載のロセス。
【請求項3】
前記第2の触媒が、酸化ジブチルスズ及び/または酢酸ジブチルスズである、請求項2に記載のロセス。
【請求項4】
前記触媒が、ビスマス(III)トリフルオロメタンスルホネート、Bi(III)(アセチルアセトネート)、Bi(III)トリ(2−エチルヘキサノエート)、酢酸ビスマス(III)、酸化ビスマス(III)、ハロゲン化ビスマス(III)、トリフェニルビスマス、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項1〜3のいずれか一項に記載のロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリカルバメートを生成するためのプロセス、それによって生成されたポリカルバメート、及びポリカルバメートを含むコーティング組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリオールとアミドまたはエステルとの反応のために幅広く使用される触媒クラスのうちの1つが、スズ系触媒である。しかしながら、現在、スズ系材料は、欧州等の一部の地域において、コーティング材料として禁止されている。したがって、ポリオールとアミドまたはエステルとの反応のための代替的な触媒が望ましいであろう。
【発明の概要】
【0003】
本発明は、ポリカルバメートを生成するためのプロセス、それによって生成されたポリカルバメート、及びポリカルバメートを含むコーティング組成物である。
【0004】
本発明によるプロセスは、(i)式Mを有する化合物からなる群から選択される少なくとも1つの触媒の存在下、尿素をポリオールに添加することを含み、式中、Mが三価金属であり、Zが、アニオン性官能基であるか、またはMと共有結合を形成することができる官能基であり、n×Zの価数=Xであり、m×3=Yであり、Xの絶対値=Yの絶対値である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
本発明は、ポリカルバメートを生成するためのプロセス、それによって生成されたポリカルバメート、及びポリカルバメートを含むコーティング組成物である。
【0006】
本発明によるプロセスは、(i)式Mを有する化合物からなる群から選択される少なくとも1つの触媒の存在下、尿素をポリオールに添加することを含み、式中、Mが三価金属であり、Zが、アニオン性官能基であるか、またはMと共有結合を形成することができる官能基であり、n×Zの価数=Xであり、m×3=Yであり、Xの絶対値=Yの絶対値である。
【0007】
代替的な実施形態において、本発明は、本明細書に開示される本発明のプロセスのうちのいずれかの実施形態に従って生成されたポリカルバメートをさらに提供する。
【0008】
別の代替的な実施形態において、本発明は、本明細書に開示される実施形態のうちのいずれかに従うポリカルバメートを含むコーティング組成物をさらに提供する。
【0009】
尿素
プロセスの実施形態において、尿素は、固体または液体形態のいずれかにおいて添加され得る。特定の実施形態において、尿素は、液体形態で添加される。
【0010】
尿素の液体形態(または「液体尿素」)は、任意の許容される様式で得られ得る。例えば、尿素は第1の溶媒中に溶解され得る。あるいは、尿素は融解され得る。更なる別の代替手段において、尿素は包接体中に懸濁され得る。尿素包接体はまた、尿素包含化合物としても知られ、“Supramolecular Chemistry”John Wiley&Sons,Jonathan w.Steed,Jerry L.Atwood,pp.393−398、及びHarris,K.D.M.,“Fundamental and Applied Aspects of Urea and Thiourea Inclusion Compounds”,Supramol.Chem.2007,19,47−53において説明されるような構造を有し得る。
【0011】
尿素の液体形態は、液体形態の組み合わせで代替的に存在し得る。
【0012】
特定の実施形態において、尿素は、水中に溶解される。別の実施形態において、尿素は、2つ以上の第1の溶媒の混合物中に溶解され得る。そのような第1の溶媒は、有機溶媒を含む。代替的な一実施形態において、尿素は、水及び有機アルコールから選択される1つ以上の第1の溶媒中に溶解される。一実施形態において、尿素は、第1の溶媒中または第1の溶媒の混合物中に部分的に可溶性である。更に別の実施形態において、尿素は、第1の溶媒中または第1の溶媒の混合物中に完全に可溶性である。
【0013】
ポリオール
本明細書において使用される場合、「ポリオール」という用語は、少なくとも2つの−OH官能基を有する有機分子を意味する。本明細書において使用される場合、「ポリエステルポリオール」という用語は、少なくとも2つのアルコール(−OH)基、及び少なくとも1つのカルボキシルエステル(CO−C)官能基を有する有機分子であるポリオールの細分類を意味する。「アルキド」という用語は、脂肪酸修飾ポリエステルポリオールであるポリエステルポリオールの細分類を意味し、少なくとも1つのカルボキシルエステル官能基は、好ましくはポリオールのアルコール性−OHと(C−C60)脂肪酸のカルボキシルとの間のエステル化反応に由来する。ポリオールは任意のポリオールであり得、例えば、ポリオールは、アクリル、スチレンアクリル、スチレンブタジエン、飽和ポリエステル、ポリアルキレンポリオール、ウレタン、アルキド、ポリエーテル、またはポリカーボネートからなる群から選択され得る。例示的な一実施形態において、ポリオール成分は、アクリル酸ヒドロキシエチルを含む。別の例示的な実施形態において、ポリオール成分は、メタクリル酸ヒドロキシエチルを含む。
【0014】
反応混合物は、10〜100重量%のポリオール、例えば、30〜70重量%のポリオールを含み得る。一実施形態において、ポリオールは、1,2−ジオール、1,3−ジオール、またはそれらの組み合わせの官能基構造を有する。
【0015】
ポリオールは、非環状鎖、直鎖、もしくは分岐鎖、環状鎖かつ非芳香族、環状鎖かつ芳香族、またはそれらの組み合わせであり得る。いくつかの実施形態において、ポリオールは、1つ以上の非環状鎖、直鎖、または分岐鎖ポリオールを含む。例えば、ポリオールは、1つ以上の非環状鎖、直鎖、または分岐鎖ポリオールから本質的になり得る。
【0016】
一実施形態において、ポリオールは、炭素、水素、及び酸素原子から本質的になる。別の実施形態において、ポリオールは第一ヒドロキシル基からなる。更に別の実施形態において、ヒドロキシル基は1,2及び/または1,3構成である。例示的な目的のために、例示的なポリオール構造を以下に示す。
【0017】
【化1】
【0018】
本発明の実施形態において有用なポリオールは、ヒドロキシ含有アクリルモノマー単位に由来するオリゴマーまたはポリマーを含む。好適なモノマーは、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリル酸ヒドロキシブチル、アクリル酸ヒドロキシドデシル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ヒドロキシブチル、メタクリル酸ヒドロキシドデシル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、ジエチレングリコールビニルエーテル、及びそれらの組み合わせであり得るが、これらに限定されない。実施形態において有用なポリオールは、少なくとも1つのヒドロキシル含有モノマーを1つ以上のモノマーと反応させることによって調製され得る。好適なモノマーは、スチレン等のビニルモノマー、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル等のビニルエーテル、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、2−アクリル酸エチルヘキシル、2−メタクリル酸エチルヘキシル、アクリル酸ドデシル、メタクリル酸ドデシル、マレイン酸ジメチル等の不飽和炭酸及びジ炭酸のエステル、ならびにそれらの混合物であり得るが、これらに限定されない。
【0019】
本発明のプロセスのある特定の実施形態において有用なポリオールは、ポリエーテルポリオール及びポリエステルポリオールを含む。好適なポリオールは、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセロール、ペンタエリスリトール、ソルビトール、及びマンニトールを含む。したがって、好適なグリコールは、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、ヘキサエチレングリコール、ヘプタエチレングリコール、オクタエチレングリコール、ノナエチレングリコール、デカエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、グリセロール、1,3−プロパンジオール、2,4−ジメチル−2−エチル−ヘキサン−1,3−ジオール、2,2−ジメチル−1,2−プロパンジオール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−イソブチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2,4−テトラメチル−1,6−ヘキサンジオール、チオジエタノール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2,2,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール、p−キシレンジオール、ヒドロキシピバリルヒドロキシピバレート、1,10−デカンジオール、水素化ビスフェノールA、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、エリスリトール、トレイトール、ジペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール、グリセリン、ジメチロールプロピオン酸等を含む。
【0020】
本発明において有用なポリカルボン酸は、これらに限定されないが、無水フタル酸またはフタル酸、無水マレイン酸またはマレイン酸、フマル酸、イソフタル酸、無水コハク酸またはコハク酸、アジピン酸、アゼレイン酸(azeleic acid)、及びセバシン酸、テレフタル酸、無水テトラクロロフタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、ドデカン二酸、セバシン酸、アゼライン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、グルタル酸、無水トリメリット酸またはトリメリット酸、クエン酸、ピロメリット酸二無水物またはピロメリット酸、トリメシン酸、スルホイソフタル酸ナトリウム、ならびにそのような酸の無水物からのもの、及び存在する場合はそれらのエステルを含み得る。任意選択で、安息香酸を含むが、これに限定されない、モノカルボン酸が使用されてもよい。アルキドを生成するための反応混合物は、1種以上の脂肪酸または芳香族ポリカルボン酸、そのエステル化重合生成物、及びそれらの組み合わせを含む。本明細書において使用される場合、「ポリカルボン酸」という用語は、ポリカルボン酸及びその無水物の両方を含む。本発明における使用のための好適なポリカルボン酸の例は、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ならびにそれらの無水物及び組み合わせを含む。
【0021】
添加ステップ
尿素のポリオールへの添加は、任意の手段によって達成され得る。このプロセスの特定の一実施形態において、尿素をポリオールに添加することは、バッチ様式で実行される。このプロセスの特定の一実施形態において、尿素をポリオールに添加することは、半バッチ様式で実行される。一実施形態において、尿素は、反応が進行する期間にわたって一定の速度で添加される。更に別の実施形態において、尿素は、反応が進行する期間にわたって速度が変化して、2つ以上の速度でポリオールに添加される。更に別の実施形態において、尿素は、尿素が第1の期間ある速度で添加され、尿素の添加のない第2の期間が続き、第3の期間同じ速度での尿素の添加が続く等の、パルス状の一定速度を使用してポリオールに添加される。別の代替的な実施形態において、液体形態の尿素は、尿素が第1の期間第1の速度で添加され、尿素の添加のない第2の期間が続き、第3の期間第2の速度での尿素の添加が続く等の、パルス状の可変速度を使用してポリオールに添加される。
【0022】
このプロセスの一実施形態において、ポリオールは、いずれの溶媒の不在下でも完全なポリオールである。このプロセスの代替的な一実施形態において、ポリオールは、尿素を溶解したポリオールに添加する前に第2の溶媒中に溶解される。第2の溶媒は、ポリオールが可溶性であるか、または部分的に可溶性である任意の溶媒または溶媒の混合物であり得る。ある特定の実施形態において、第1及び第2の溶媒は、不均一共沸混合物を形成して、傾瀉または他の手段による第1の溶媒の除去を可能にする。ある特定の実施形態において、不均一共沸混合物からの第1の溶媒の除去は、第1の溶媒中に可溶性であるアンモニア等のある特定の副生成物の同時除去を可能にする。更なる代替的な一実施形態において、第1及び第2の溶媒は、不均一共沸混合物を形成して、第1の溶媒の除去を可能にし、かつ更に、第2の溶媒が反応器に戻される。
【0023】
更に別の実施形態において、「Process to Produce Polycarbamate Using a Gradient Feed of Urea」と題された、2013年7月31日に出願された係属中の米国特許出願第13/955,612号(この開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載される勾配方法において、尿素が、ポリオールに添加される。
【0024】
ある特定の実施形態において、本プロセスは、ポリオールのヒドロキシル基の少なくとも50%の変換率を達成する。少なくとも50%の変換率からの全ての個々の値及び部分範囲が本明細書に含まれ、本明細書に開示される。例えば、ヒドロキシル変換率は50%の下限からの範囲であり得、または代替的な実施形態において、ヒドロキシル変換率は55%の下限からの範囲であり得、または代替的な実施形態において、ヒドロキシル変換率は60%の下限からの範囲であり得、または代替的な実施形態において、ヒドロキシル変換率は65%の下限からの範囲であり得、または代替的な実施形態において、ヒドロキシル変換率は70%の下限からの範囲であり得、または代替的な実施形態において、ヒドロキシル変換率は75%の下限からの範囲であり得、または代替的な実施形態において、ヒドロキシル変換率は80%の下限からの範囲であり得、または代替的な実施形態において、ヒドロキシル変換率は85%の下限からの範囲であり得る。
【0025】
三価金属触媒
本発明のプロセスの実施形態において含まれる触媒は、(i)式Mを有する化合物からなる群から選択され、式中、Mが三価金属であり、Zが、アニオン性官能基であるか、またはMと共有結合を形成することができる官能基であり、n×Zの価数=Xであり、m×3=Yであり、Xの絶対値=Yの絶対値である。
【0026】
例示的な三価金属としては、ビスマス(III)(「Bi(III)」)、アルミニウム(III)(「Al(III)」)、イッテルビウム(III)(「Yb(III)」)、イットリウム(III)(「Y(III)」)、鉄(III)(「Fe(III)」)、ランサナム(III)(「La(III)」)、サマリウム(III)(「Sm(III)」)、ルテニウム(III)(「Ru(III)」)、ガリウム(III)(「Ga(III)」)、スカンジウム(III)(「Sc(III)」)、及びセリウム(III)(「Ce(III)」)が挙げられる。
【0027】
例示的なBi(III)含有触媒としては、ビスマス(III)トリフルオロメタンスルホネート、Bi(III)アセチルアセトネート、Bi(III)トリ(2−エチルヘキサノエート)、酢酸ビスマス(III)、ビスマス(III)ネオデカノエート、酸化ビスマス(III)、塩化ビスマス(III)、臭化ビスマス(III)、及びトリフェニルビスマスが挙げられる。
【0028】
例示的なAl(III)含有触媒としては、Al(III)アセチルアセトネート、Al(III)イソプロポキシド、酸化アルミニウム、塩化アルミニウム、臭化アルミニウム、Al(III)トリフルオロメタンスルホネート、Al(III)ブトキシド、及びAl(III)トリス(2−エチルヘキサノエート)が挙げられる。
【0029】
例示的なYb(III)含有触媒としては、Yb(III)トリフルオロメタンスルホネート、塩化Yb(III)、臭化Yb(III)、酸化Yb(III)、Yb(III)イソプロポキシド、Yb(III)アセチルアセトネート、Yb(III)2,4−ペンタンジオネート、Yb(III)2−エチルヘキサノエートが挙げられる。
【0030】
例示的なY(III)含有触媒としては、Y(III)トリフルオロメタンスルホネート、Y(III)アセチルアセトネート、Y(III)イソプロポキシド、Y(III)2−エチルヘキサノエート、酸化Y(III)、塩化Y(III)、及び臭化Y(III)が挙げられる。
【0031】
例示的なFe(III)触媒としては、Fe(III)(アセチルアセトネート)、Fe(III)トリス(2−エチルヘキサノエート)、酸化Fe(III)、Fe(III)イソプロポキシド、塩化Fe(III)、及び臭化Fe(III)が挙げられる。
【0032】
例示的なLa(III)触媒としては、La(III)(アセチルアセトネート)、塩化La(III)、臭化La(III)、La(III)トリフルオロメタンスルホネート、La(III)トリフルオロメタンスルホネート、La(III)イソプロポキシド、及び酸化La(III)が挙げられる。
【0033】
例示的なSm(III)触媒としては、Sm(III)トリフルオロメタンスルホネート、Sm(III)アセチルアセトネート、Sm(III)イソプロポキシド、塩化Sm(III)、臭化Sm(III)、及び酸化Sm(III)が挙げられる。
【0034】
例示的なRu(III)触媒としては、Ru(III)アセチルアセトネート、Ru(III)トリ(2−エチルヘキサノエート)、塩化Ru(III)、及び臭化Ru(III)が挙げられる。
【0035】
例示的なGa(III)触媒としては、トリス(2,2,6,6)テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナート)ガリウム(III)が挙げられる。
【0036】
例示的なSc(III)触媒としては、スカンジウム(III)トリフルオロメタンスルホネートが挙げられる。
【0037】
例示的なCe(III)触媒としては、セリウム(III アセチルアセトネート、セリウム(III)2−エチルヘキサノエート、及びセリウム(III)トリフルオロメタンスルホネートが挙げられる。
【0038】
Zは、アニオン性官能基であるか、またはMと共有結合を形成することができる官能基である。前述の実施例から見られるように、Zは、1つ以上のアニオン性官能基の組み合わせ、Mと共有結合を形成することができる1つ以上の官能基の組み合わせ、またはアニオン性官能基(複数可)とMと共有結合を形成することができる官能基(複数可)との組み合わせであり得る。Zが1つを超える官能基の組み合わせであるような例、例えば、Z1n1Z2n2において、当業者であれば、価数の合計×適切なnの絶対値=m×3の絶対値に等しいことを理解するであろう。例えば、触媒が式MZ1n1Z2n2=FeOClである場合、M=Fe(III)、m=1、Z1=−2の価数を有するO、Z2=−1の価数を有するCl、n1=1、及びn2=1であり、そのため、m×3=Y=3、及びn1×−2=−2、及びn2×−1=−1、及びX=−2+−1=−3であり、したがって、Y及びXの絶対値は等しい。
【0039】
Z基の例示的な構成成分としては、2−エチルヘキサノエート、ベンゾエート、ヘキサフルオロアセチルアセトネート、イソプロポキシド、アセチルアセトネート、フェノキシド、ステアレート、tert−ブトキシド、ネオデカノエート、シトレート、トリフルオロメタンスルホネート、n−ブトキシド、トリフルオロアセテート、1,1,1−トリフルオロ−2,4−ペンタンジオネート、2,2,6,6,−テトラメチル−3,5−ヘキサンジオネート、クレシレート、エトキシド、メトキシド、トリエタノールアミナート、2−メチル−2−ブトキシド、オキソ、フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、アリールもしくは置換アリール、またはそれらの混合物、及びそれらのキレートが挙げられる。
【0040】
このプロセスの一実施形態において、尿素をポリオールに添加することは、前述の触媒のうちの任意の1つ以上の存在下で生じる。
【0041】
更なる触媒
このプロセスのある特定の一実施形態において、尿素をポリオールに添加することは、カルバミル化触媒からなる群から選択される1つ以上の更なる触媒の存在下で生じる。そのような第2のカルバミル化触媒としては、例えば、酸化ジブチルスズ、酢酸ジブチルスズ、四価金属系触媒、例えばチタン(IV)系化合物及びジルコニウム(IV)系化合物、ならびに二価金属系触媒、例えばマンガン(II)系化合物及び亜鉛(II)系化合物が挙げられる。
【0042】
副生成物
代替的な実施形態において、本発明は、100%固体生成物のポリカルバメートが、ビウレット、シアヌル酸、及びポリアロファン酸塩を合わせて5重量%未満含むことを除いては、前述の実施形態のうちのいずれかに従う、プロセス、ポリカルバメート、及びポリカルバメートを含むコーティング剤を提供する。5重量%未満の全ての個々の値及び部分的な範囲が、本明細書に含まれ、例えば、100重量%の固体ポリカルバメート生成物中のビウレット、シアヌル酸、及びポリアロファン酸塩の総量は、5重量%の上限から、または代替例では、4重量%の上限から、または代替例では、3重量%の上限から、または代替例では、2重量%の上限から、または代替例では、1重量%の上限から、または代替例では、0.5重量%の上限からであり得る。
【0043】
コーティング剤
本明細書で開示される実施形態に従うポリカルバメートは、コーティング組成物において使用され得る。そのようなコーティング剤は、例えば、ポリカルバメートと複数のアルデヒド官能基を有する構成成分との架橋反応からのポリウレタンを含み得る。そのようなコーティング剤における例示的な最終用途は、例えば、ウインドブレードコーティング剤及び自動車用コーティング剤を含む、金属、セラミック、木、及びプラスチックコーティング剤を含む。
【実施例】
【0044】
以下の実施例は、本発明を例示するが、本発明の範囲を限定することを意図しない。
【0045】
本発明実施例1:Al(III)アセチルアセトネートの存在下でのポリオールへの尿素の添加
加熱マントルを有する1L反応器をこの反応に使用した。撹拌器、熱伝対、及び窒素散布機を反応器に備え付けた。水冷式凝縮器を反応器蓋上のアダプターに接続した。塔頂凝縮物を受容器によって回収し、非凝縮物は鉱油で充填されたバブラーを通過し、次いで水で充填された1Lスクラバーに進入した。
【0046】
58%の固体及び42%の溶媒(キシレン)からなり、0.75molのヒドロキシル官能基を有する、842.87gのPARALOID AU−608Xポリオール(The Dow Chemical Companyから市販されている)を反応器に添加した。6.65gのAl(III)アセチルアセトネート(純度99%)を反応器に添加した。45.49gの尿素(純度99%)をこの反応に使用した。加熱マントルを始動し、158℃に設定した。窒素散布流量を20sccmに設定した。反応混合物を100rpmで撹拌し、次いで反応器温度が60℃を超えたときに400rpmに調整した。反応器温度が138℃に達したとき、30%の尿素(13.65g)を反応器に添加した。また、反応タイマーも始動した。尿素を、半バッチ様式で反応器に供給した。供給速度を表1に示す。
【0047】
【表1】
【0048】
総反応時間が18時間に達するまで、反応を実行した。反応温度は、138〜142℃である。反応が完了した後、加熱マントルを停止し、撹拌速度を60rpmまで低減させた。反応器温度が60℃まで低下したとき、ポリカルバメート生成物を反応器から注ぎ出した。13C NMRを使用して最終生成物を分析した。最終生成物のヒドロキシル変換率は、76.4%であった。副生成物レベルを表2に示す。
【0049】
【表2】
【0050】
ポリカルバメートの最終生成物は、ガードナー色度3であった。
【0051】
本発明実施例2:Al(III)イソプロポキシドの存在下でのポリオールへの尿素の添加
加熱マントルを有する1L反応器をこの反応に使用した。撹拌器、熱伝対、及び窒素散布機を反応器に備え付けた。水冷式凝縮器を反応器蓋上のアダプターに接続した。塔頂凝縮物を受容器によって回収し、非凝縮物は鉱油で充填されたバブラーを通過し、次いで水で充填された1Lスクラバーに進入した。
【0052】
58%の固体及び42%の溶媒(キシレン)からなり、0.79モルのヒドロキシル官能基を有する、884.49gのPARALOID AU−608Xポリオールを反応器に添加した。4.35gのAl(III)イソプロポキシド(純度98%)を反応器に添加した。40.57gの尿素(純度99%)をこの反応に使用した。加熱マントルを始動し、158℃に設定した。窒素散布流量を20sccmに設定した。反応混合物を100rpmで撹拌し、次いで反応器温度が60℃を超えたときに400rpmに調整した。47.1%の尿素(19.09g)を、反応器温度が138℃に達したとき、反応器に添加し、反応タイマーを始動した。反応を138〜142℃で実行した。反応時間が4時間に達したとき、29.4%の尿素(11.93g)を反応器に添加した。反応時間が7時間に達したとき、残りの23.5%の尿素(9.55g)を反応器に添加した。総反応時間は13時間であった。反応温度は、138〜142℃である。反応が完了した後、加熱マントルを停止し、撹拌速度を60rpmまで低減させた。反応器温度が60℃まで低下したとき、ポリカルバメート生成物を反応器から注ぎ出した。13C NMRを使用して最終生成物を分析した。最終生成物のヒドロキシル変換率は、44.0%であった。副生成物レベルを表3に示す。
【0053】
【表3】
【0054】
ポリカルバメートの最終生成物は、ガードナー色度3であった。
【0055】
比較例1:Al(III)アセチルアセトネートの存在下でのポリオールへのメチルカルバメートの添加
加熱マントルを有する1L反応器をこの反応に使用した。撹拌器、熱伝対、及び窒素散布機を反応器に備え付けた。加熱型凝縮器を反応器蓋上のアダプターに接続した。循環ポンプを備え付けた加熱型バッチを使用して、凝縮器内で循環する水を加熱した。塔頂凝縮物を受容器によって回収し、非凝縮物は鉱油で充填されたバブラーを通過し、次いで水で充填された1Lスクラバーに進入した。
【0056】
58%の固体及び42%の溶媒(キシレン)からなり、0.78モルのヒドロキシル官能基を有する、877.91gのPARALOID AU−608Xポリオールを反応器に添加した。13.86gのAl(III)アセチルアセトネート(純度99%)を反応器に添加した。加熱マントルを始動し、158℃に設定した。塔頂凝縮器における加熱型バッチを70℃に設定した。窒素散布流量を20sccmに設定した。反応混合物を100rpmで撹拌し、次いで、反応器温度が60℃を超えたときに400rpmに調整した。反応器温度が70℃に達したとき、59.82g(純度98%)のカルバミン酸メチルを反応器に添加した。反応器温度が138℃に達したとき、反応タイマーを始動した。
【0057】
総反応時間は20時間であった。反応温度は、138〜142℃である。反応が完了した後、加熱マントルを停止し、撹拌速度を60rpmまで低減させた。反応器温度が60℃まで低下したとき、ポリカルバメート生成物を反応器から注ぎ出した。13C NMRを使用して最終生成物を分析した。最終生成物のヒドロキシル変換率は、53.6%であった。
【0058】
本発明実施例3:ビスマス(III)トリフルオロメタンスルホネートの存在下でのポリオールへの尿素の添加
加熱マントルを有する1L反応器をこの反応に使用した。撹拌器、熱伝対、及び窒素散布機を反応器に備え付けた。水冷式凝縮器を反応器蓋上のアダプターに接続した。塔頂凝縮物を受容器によって回収し、非凝縮物は鉱油で充填されたバブラーを通過し、次いで水で充填された1Lスクラバーに進入した。
【0059】
58%の固体及び42%の溶媒(キシレン)からなり、0.68モルのヒドロキシル官能基を有する、767.57gのPARALOID AU−608Xポリオールを反応器に添加した。6.2gのビスマス(III)トリフルオロメタンスルホネート(純度99%)を反応器に添加した。加熱マントルを始動し、158℃に設定した。窒素散布流量を20sccmに設定した。反応混合物を100rpmで撹拌し、次いで反応器温度が60℃を超えたときに400rpmに調整した。反応器温度が138℃に達したとき、41.42gの尿素(純度99%)を反応器に添加した。また、反応タイマーも始動した。
【0060】
総反応時間は12.5時間であった。反応温度は、138〜142℃である。反応が完了した後、加熱マントルを停止し、撹拌速度を60rpmまで低減させた。反応器温度が60℃まで低下したとき、ポリカルバメート生成物を反応器から注ぎ出した。13C NMRを使用して最終生成物を分析した。最終生成物のヒドロキシル変換率は、77.8%であった。副生成物レベルを表4に示す。
【0061】
【表4】
【0062】
ポリカルバメートの最終生成物は、ガードナー色度4であった。
【0063】
本発明実施例4:ビスマス(III)トリフルオロメタンスルホネートの存在下でのポリオールへの尿素の添加
加熱マントルを有する1L反応器をこの反応に使用した。撹拌器、熱伝対、及び窒素散布機を反応器に備え付けた。水冷式凝縮器を反応器蓋上のアダプターに接続した。塔頂凝縮物を受容器によって回収し、非凝縮物は鉱油で充填されたバブラーを通過し、次いで水で充填された1Lスクラバーに進入した。
【0064】
58%の固体及び42%の溶媒(キシレン)からなり、0.71モルのヒドロキシル官能基を有する、793.2gのPARALOID AU−608Xポリオールを反応器に添加した。加熱マントルを始動し、158℃に設定した。窒素散布流量を20sccmに設定した。反応混合物を100rpmで撹拌し、次いで反応器温度が60℃を超えたときに400rpmに調整した。
【0065】
6.33gのビスマス(III)トリフルオロメタンスルホネート(純度99%)及び42.81gの尿素(純度99%)を、この反応のために使用した。尿素固体及び触媒(ビスマス(III)トリフルオロメタンスルホネート)の両方を、半バッチ様式で反応器に両方とも添加した。反応器温度が138℃に達したとき、尿素及び触媒の添加を開始し、反応タイマーを始動した。触媒及び尿素の添加を表5及び6に示す。
【0066】
【表5】
【0067】
【表6】
【0068】
総反応時間は20時間であった。反応温度は、138〜142℃である。反応が完了した後、加熱マントルを停止し、撹拌速度を60rpmまで低減させた。反応器温度が60℃まで低下したとき、ポリカルバメート生成物を反応器から注ぎ出した。13C NMRを使用して最終生成物を分析した。最終生成物のヒドロキシル変換率は、88.8%であった。副生成物レベルを表7に示す。
【0069】
【表7】
【0070】
ポリカルバメートの最終生成物は、ガードナー色度4であった。
【0071】
本発明実施例5:Bi(III)トリフルオロメタンスルホネートの存在下でのポリオールへの尿素の添加
加熱マントルを有する1L反応器をこの反応に使用した。撹拌器、熱伝対、及び窒素散
布機を反応器に備え付けた。水冷式凝縮器を反応器蓋上のアダプターに接続した。塔頂凝
縮物を受容器によって回収し、非凝縮物は鉱油で充填されたバブラーを通過し、次いで水
で充填された1Lスクラバーに進入した。
【0072】
58%の固体及び42%の溶媒(キシレン)からなり、0.52モルのヒドロキシル官能基を有する、579.94gのPARALOID AU−608Xポリオールを反応器に添加した。加熱マントルを始動し、158℃に設定した。窒素散布流量を20sccmに設定した。反応混合物を100rpmで撹拌し、次いで反応器温度が60℃を超えたときに400rpmに調整した。
【0073】
4.63gのビスマス(III)トリフルオロメタンスルホネート(純度99%)を、触媒として、この反応のために使用した。以下に示されるように、この触媒を、半バッチ様式で反応器に添加した。31.30gの尿素(純度99%)を29.0gの脱イオン水中に溶解させて、水溶液を形成した。尿素溶液を、半バッチ様式でシリンジポンプを使用して反応器に供給した。反応器温度が138℃に達したとき、触媒及び尿素溶液の両方の添加を開始し、反応タイマーを始動した。初期のシリンジポンプ速度を10分間にわたり2ml/分に設定し、全尿素溶液の約30%を供給した。次いで、このポンプ速度を5ml/時まで低減させて、溶液の残りの70%を供給した。総供給時間は約10時間であった。触媒の添加の割合を表8に示す。
【0074】
【表8】
【0075】
尿素の供給が完了した後、総反応時間が15時間に達するまで、この反応を継続した。反応温度は、138〜142℃である。反応が完了した後、加熱マントルを停止し、撹拌速度を60rpmまで低減させた。反応器温度が60℃まで低下したとき、ポリカルバメート生成物を反応器から注ぎ出した。13C NMRを使用して最終生成物を分析した。最終生成物のヒドロキシル変換率は、67.2%であった。副生成物レベルを表9に示す。
【0076】
【表9】
【0077】
ポリカルバメートの最終生成物は、ガードナー色度4であった。
【0078】
本発明実施例6:Bi(III)2−エチルヘキサノエートの存在下でのポリオールへの尿素の添加
加熱マントルを有する1L反応器をこの反応に使用した。撹拌器、熱伝対、及び窒素散布機を反応器に備え付けた。水冷式凝縮器を反応器蓋上のアダプターに接続した。塔頂凝縮物を受容器によって回収し、非凝縮物は鉱油で充填されたバブラーを通過し、次いで水で充填された1Lスクラバーに進入した。
【0079】
58%の固体及び42%の溶媒(キシレン)からなり、0.69モルのヒドロキシル官能基を有する、777.48gのPARALOID AU−608Xポリオールを反応器に添加した。11.97gのビスマス(III)2−エチルヘキサノエート(純度99%)を反応器に添加した。加熱マントルを始動し、158℃に設定した。窒素散布流量を20sccmに設定した。反応混合物を100rpmで撹拌し、次いで反応器温度が60℃を超えたときに400rpmに調整した。
【0080】
35.66gの尿素(純度99%)をこの反応のために使用した。半バッチ方法を使用して尿素固体を反応器に供給した。反応器温度が138℃に達したとき、尿素の添加を開始し、反応タイマーを始動した。尿素の添加を表10に示す。
【0081】
【表10】
【0082】
尿素の供給が完了した後、総反応時間が13時間に達するまで、この反応を継続した。反応温度は、138〜142℃である。反応が完了した後、加熱マントルを停止し、撹拌速度を60rpmまで低減させた。反応器温度が60℃まで低下したとき、ポリカルバメート生成物を反応器から注ぎ出した。13C NMRを使用して最終生成物を分析した。最終生成物のヒドロキシル変換率は、78.0%であった。副生成物レベルを表11に示す。
【0083】
【表11】
【0084】
ポリカルバメートの最終生成物は、ガードナー色度4であった。
【0085】
本発明実施例7:Bi(III)2−エチルヘキサノエートの存在下でのポリオールへの尿素の添加
加熱マントルを有する1L反応器をこの反応に使用した。撹拌器、熱伝対、及び窒素散布機を反応器に備え付けた。水冷式凝縮器を反応器蓋上のアダプターに接続した。塔頂凝縮物を受容器によって回収し、非凝縮物は鉱油で充填されたバブラーを通過し、次いで水で充填された1Lスクラバーに進入した。
【0086】
58%の固体及び42%の溶媒(キシレン)からなり、0.77モルのヒドロキシル官能基を有する、863.31gのPARALOID AU−608Xポリオールを反応器に添加した。13.29gのビスマス(III)2−エチルヘキサノエート(純度99%)を反応器に添加した。加熱マントルを始動し、158℃に設定した。窒素散布流量を20sccmに設定した。反応混合物を100rpmで撹拌し、次いで反応器温度が60℃を超えたときに400rpmに調整した。
【0087】
41.0gの尿素(純度99%)を38.0gの脱イオン水中に溶解させて、水溶液を形成した。尿素溶液を、半バッチ様式でシリンジポンプを使用して反応器に供給した。反応器温度が138℃に達したとき、尿素の添加を開始し、反応タイマーを始動した。初期の尿素供給速度を2ml/分に設定し、尿素溶液の30%を供給した。次いで、供給速度を5ml/時に調整して、尿素溶液の残りの70%を供給した。尿素供給は、約10時間続いた。
【0088】
尿素の供給が完了した後、総反応時間が16時間に達するまで、この反応を継続した。反応温度は、138〜142℃である。反応が完了した後、加熱マントルを停止し、撹拌速度を60rpmまで低減させた。反応器温度が60℃まで低下したとき、ポリカルバメート生成物を反応器から注ぎ出した。13C NMRを使用して最終生成物を分析した。最終生成物のヒドロキシル変換率は、70.8%であった。副生成物レベルを表12に示す。
【0089】
【表12】
【0090】
ポリカルバメートの最終生成物は、ガードナー色度4であった。
【0091】
ハイスループット実施例
35mLの内部体積を有し(ガラス管挿入を利用する)、撹拌を備え、生成物による揮発物(アンモニアガス)を除去するための反応器ヘッドスペースの連続的な窒素パージが可能な48のハイスループット反応器の配列において、カルバミン酸メチル及び尿素の両方を用いたアクリル系ポリオール(PARALOID AU608x)のカルバミル化反応を実行した。
【0092】
異なる金属及びリガンドに基づいた化合物の総合リストをこの研究において試験した。実験は、48を組にして三重に行った。1組48の各組は、酸化ジブチルスズを用いた4つの実験、及び対照実験として触媒を用いない2つの実験を含んだ。予め重さを量ったガラス管に、約9gの、キシレン中のAu608xポリオールの65%溶液を充填した。次いで、それらの重さを量り、添加したポリオールの正確な重さを決定した。次いで、0.6のモル(尿素/OH)比を達成するためにポリオールの重量に基づいて尿素及び触媒を、また、ポリオールの重量に基づいてヒドロキシル基及び1重量%の触媒を、それぞれ添加した。次いで、この管をハイスループット反応器の底部分に置いた。反応器ヘッドを上部に置き、反応器を密閉するために締め付けた。次いで、窒素でパージしながら、反応器を140℃まで加熱した。
【0093】
FT−IRを使用して、各反応の程度の尺度として、ヒドロキシル基の消失を監視した。1組48の各組において、酸化ジブチルスズ、BuSnOを用いて行った実験は、その組内でカルバミル化反応を触媒する際の各化合物の効率を比較するための参照として使用された。FT−IRによって決定した各管における反応の程度を、その組におけるBuSnOを利用する反応の程度の平均値で除算した。これは、存在した可能性がある、実験における潜在的な組ごとのばらつきをブロックするためであった。
【0094】
「触媒なし」の反応の結果を含むカルバミル化実験における相対変換率のデータを表13に示す。
【0095】
【表13-1】
【0096】
【表13-2】
【0097】
試験方法
OH価滴定
OH価は、ポリオール1グラム当たりの水酸化カリウムのミリグラム(mg KOH/g ポリオール)で表現されるような、ポリオールのヒドロキシル価の大きさである。ヒドロキシル価(OH数)は、ポリマー、特にポリオールの組成物におけるヒドロキシル部分の濃度を示す。ポリマーの試料のヒドロキシル価は、まず、酸価(mg KOH/g ポリオール)を得るための酸基の滴定、次に、ピリジン及び無水酢酸によるアセチル化により決定され、結果は、水酸化カリウム溶液による2つの滴定(1つは参照のためのブランクによる滴定、1つは試料による滴定)の間の差として得られる。ヒドロキシル価は、アセチル化により1グラムのポリオールと組み合わせることができる無水酢酸を中和するミリグラム単位の水酸化カリウムの重量、加えて、ポリオール中の酸基を中和するミリグラム単位の水酸化カリウムの重量に基づく酸滴定からの酸価である。より高いヒドロキシル価は、組成物内のより高い濃度のヒドロキシル部分を示す。組成物のヒドロキシル価を決定する方法の説明は、当業者に周知である、例えば、Woods,G.,The ICI Polyurethanes Book,2nd ed.(ICI Polyurethanes,Netherlands,1990)に記載されている。
【0098】
ガードナー色は、HunterLab比色計を使用して、ASTM D1544“Standard Test Method for Color of Transparent Liquids(Gardner Color Scale)”に従って測定された。
【0099】
13C NMRは、全ての試料を溶液中の13C NMRによって特性評価した。典型的な試料調製物について、室温、ガラスバイアル中で、0.6gの乾燥材料を2.5mLのDMSO−d溶媒中に溶解させた。DMSO−d溶媒は、緩和剤として0.015M Cr(acac)を含有する。次いで、特性評価のために溶液を10mmのNMR管に移した。10mmのDUAL C/Hクライオプローブを備えるBruker Avance400MHz(H周波数)NMR分光計上に、定量的逆ゲーテッド13C NMR実験を実施した。全ての実験を、試料スピンなし、25.0℃で実行した。逆ゲーテッドパルスシーケンス中に較正された90°パルスを適用した。連続的データ取得間の緩和遅延は5であり、Tは測定されるシステム中の全ての核の最長のスピン格子緩和時間である。13C NMRスペクトルを1Hzの線広がりで処理し、DMSO−d共振ピークについて39.5ppmに参照した。
【0100】
13C NMRスペクトルから得ることができる情報は、ヒドロキシル変換のパーセント、副生成物レベル、及び反応生成物の固体含量を含む。ヒドロキシル基の隣の炭素は、カルバミル化反応後の化学シフト変化を有する。ヒドロキシル変換率は、カルバミル化反応の前後の炭素のピーク強度比から計算した。定量的13C NMRスペクトルにおいて、測定されるシステムの各構成成分は特有の共振ピークを有し、そのピーク強度はその種のモル濃度に比例する。副生成物レベル及び固体含量は、所望のピークを積分することによって計算した。全ての種のモル重量が既知である場合、モル濃度は重量パーセンテージに変換され得る。固体含量を計算するとき、既知の溶媒以外のあらゆる構成成分は、固体として分類される。
【0101】
本発明は、本発明の趣旨及び本質的属性から逸脱することなく他の形態で具現化されてもよく、したがって、本発明の範囲を示すものとしては、上記明細書ではなく添付の特許請求の範囲が参照されるべきである。