特許第6434612号(P6434612)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6434612
(24)【登録日】2018年11月16日
(45)【発行日】2018年12月5日
(54)【発明の名称】自動二輪車のエアクリーナ装置
(51)【国際特許分類】
   F02M 35/024 20060101AFI20181126BHJP
   F02M 35/10 20060101ALI20181126BHJP
   F02M 35/14 20060101ALI20181126BHJP
   F02M 35/16 20060101ALI20181126BHJP
【FI】
   F02M35/024 511A
   F02M35/10 101K
   F02M35/14 B
   F02M35/16 M
   F02M35/16 L
   F02M35/10 101G
【請求項の数】7
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2017-504563(P2017-504563)
(86)(22)【出願日】2015年11月26日
(86)【国際出願番号】JP2015083281
(87)【国際公開番号】WO2016143199
(87)【国際公開日】20160915
【審査請求日】2017年8月30日
(31)【優先権主張番号】特願2015-47936(P2015-47936)
(32)【優先日】2015年3月11日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100169111
【弁理士】
【氏名又は名称】神澤 淳子
(74)【代理人】
【識別番号】100067840
【弁理士】
【氏名又は名称】江原 望
(74)【代理人】
【識別番号】100098176
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 訓
(72)【発明者】
【氏名】中村 正志
(72)【発明者】
【氏名】小林 篤
(72)【発明者】
【氏名】丸山 敦士
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 勇介
(72)【発明者】
【氏名】村木 悠平
【審査官】 種子島 貴裕
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−062948(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/115178(WO,A1)
【文献】 特開平11−198885(JP,A)
【文献】 特開2015−025366(JP,A)
【文献】 特開2005−343356(JP,A)
【文献】 特開2004−270559(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 35/024
F02M 35/10
F02M 35/14
F02M 35/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケース本体(30)と、
該ケース本体(30)の空気流入側端部(34)に取付けられるエアクリーナエレメント(70)と、
該エアクリーナエレメント(70)を覆って前記ケース本体(30)に取付けられるケースカバー(60)と、を備え、
前記ケース本体(30)の空気流出側端部(37)にコネクティングチューブ(27)が取付けられる自動二輪車(1)のエアクリーナ装置(3)において、
前記ケース本体(30)の内側には前記コネクティングチューブ(27)と連通するエア通路(50)が形成され、
該エア通路(50)は、前記ケース本体(30)の一部であるエア通路構成部(39)と、該エア通路構成部(39)とは別体の前記エア通路構成部(39)に接合されるエア通路構成部材(40)とからなることを特徴とする自動二輪車のエアクリーナ装置。
【請求項2】
前記ケース本体(30)は、前記エア通路構成部(39)が形成される第一ケース本体部(30A)と、該第一ケース本体部(30A)とは別体の第二ケース本体部(30B)とが接合されて形成され、
前記第一ケース本体部(30A)と前記第二ケース本体部(30B)との接合部(33)は、上方視において前記接合部(33)の一部が、前記エア通路構成部(39)と前記エア通路構成部材(40)との接合部(54)の一部に沿って形成されたことを特徴とする請求項1に記載の自動二輪車のエアクリーナ装置。
【請求項3】
前記エア通路(50)は、該エア通路(50)の内側の空気の流れ(F1)に垂直な面(X3)で切断した断面視において、前記エア通路(50)の内壁面(50a)の断面の形状が円形状に形成されたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の自動二輪車のエアクリーナ装置。
【請求項4】
前記ケース本体(30)は、前記空気流入側端部(34)から前記空気流出側端部(37)に向うに従って、前記エアクリーナエレメント(70)と平行な面(X2)で切断した前記ケース本体(30)内の空間断面積が減少する先細り形状に形成されたことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の自動二輪車のエアクリーナ装置。
【請求項5】
前記ケース本体(30)には、前記自動二輪車(1)の吸気音を低減させるレゾネータ(100)が設けられ、
該レゾネータ(100)は、前記エア通路(50)の内側に連通管(102)を介して連通するレゾネータ室(101)を備え、
該レゾネータ室(101)は、前記エア通路構成部(39)の一部を含む前記ケース本体(30)の一部(104,105)であるレゾネータ壁(106)と、該レゾネータ壁(106)の開口(105b)を覆う蓋部材(103)により区画されたことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の自動二輪車のエアクリーナ装置。
【請求項6】
前記ケース本体(30)には、排気二次エア供給用のサブエアクリーナ(110)が設けられ、 該サブエアクリーナ(110)は、サブエアクリーナ室(111)と、該サブエアクリーナ室(111)を区画するサブエアクリーナケース(117)と、該サブエアクリーナケース(117)の内側に配設されるサブエアフィルタ(112)とを備え、
前記サブエアクリーナケース(117)は、前記ケース本体(30)の一部(113,114)であるサブエアクリーナ壁部(116)と、サブエアクリーナ壁部(116)の開口(116b)を覆う蓋部材(115)とからなり、
前記サブエアクリーナ室(111)は、前記サブエアフィルタ(112)により二分され、
前記サブエアクリーナケース(117)には、二分される前記サブエアクリーナ室(111)の一方(111a)に空気を流入させる空気流入孔(118)と、二分される前記サブエアクリーナ室(111)の他方(111b)から前記サブエアフィルタ(112)を通過して浄化された空気を流出させる空気流出孔(119)とが形成されたことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の自動二輪車のエアクリーナ装置。
【請求項7】
前記コネクティングチューブ(27)は前記ケース本体(30)内に延出する流入側端延出部(127)を有し、
同流入側端延出部(127)は、前記エア通路構成部(39)と前記エア通路構成部材(40)とによって形成された前記エア通路(50)の流出側通路端部(53)に、外側から嵌合して接合されたことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の自動二輪車のエアクリーナ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動二輪車に取付けられるエアクリーナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の図2および図3には、エアクリーナケース、エアフィルタエレメントおよびレゾネータを備える自動二輪車のエアクリーナ装置が開示されている。エアクリーナケースの内部には、前側にエアフィルタエレメントが、後側にレゾネータがそれぞれ配置されている。エアクリーナ装置は、エアクリーナケースの前部に取付けられたコネクティングチューブにより、キャブレタと接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−285924号公報 図2図3
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
コネクティングチューブは、吸気管長を確保する役割を果たしており、最適な長さとなるように形成される。しかしながら、コネクティングチューブの最適な長さを確保しようとすると、コネクティングチューブが大型化しやすくなることが課題となっていた。
【0005】
本発明は、前記課題を解決するものであり、その目的は、コネクティングチューブとエアクリーナ装置を小型化、軽量化できる自動二輪車のエアクリーナ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明に係る自動二輪車のエアクリーナ装置は、ケース本体と、該ケース本体の空気流入側端部に取付けられるエアクリーナエレメントと、該エアクリーナエレメントを覆って前記ケース本体に取付けられるケースカバーと、を備え、前記ケース本体の空気流出側端部にコネクティングチューブが取付けられ、
前記ケース本体の内側には前記コネクティングチューブに連通するエア通路が形成され、該エア通路は、前記ケース本体の一部であるエア通路構成部と、前記ケース本体とは別体の前記エア通路構成部に接合されるエア通路構成部材とからなることを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、従来コネクティングチューブに必要とされている吸気管長の確保という機能を、ケース本体の一部とエア通路構成部材とにより区画され、コネクティングチューブに連通するエア通路が担うこととなり、コネクティングチューブを短くすることが可能となり、コネクティングチューブの製造コストおよび重量が低減される。そのため、エアクリーナ装置とコネクティングチューブの小型化および軽量化を図ることができる。
【0008】
前記構成において、前記ケース本体を、前記エア通路構成部が形成される第一ケース本体部と、該第一ケース本体部とは別体の第二ケース本体部とを接合して形成し、前記第一ケース本体部と前記第二ケース本体部との接合部は、上方視において前記接合部の一部を、前記エア通路構成部と前記エア通路構成部材との接合部の一部に沿って形成しても良い。
【0009】
この構成によれば、第二ケース本体部を第一ケース本体部に接合する前に、別体として形成されるエア通路構成部材を第一ケース本体部のエア通路構成部に接合することができる。また、第一ケース本体部の壁部が、エア通路構成部材を第一ケース本体部のエア通路構成部に接合する作業を妨げ難くなる。そのため、エア通路を形成する際に、エア通路構成部材のエア通路構成部への接合時の作業スペースが確保され、エア通路構成部材のエア通路構成部への接合を容易にすることができる。
【0010】
前記構成において、前記エア通路は、該エア通路の内側の空気の流れに垂直な面で切断した断面視において、前記エア通路の内壁面の断面の形状を円形状に形成しても良い。
【0011】
この構成によれば、エア通路構成部とエア通路構成部材とからなるエア通路の内側を流れる空気の吸気抵抗を減少させることができる。
【0012】
前記構成において、前記ケース本体を、前記空気流入側端部から前記空気流出側端部に向うに従って、前記エアクリーナエレメントと平行な面で切断したケース本体内の空間断面積が減少する先細り形状に形成しても良い。
【0013】
この構成によれば、ケース本体の先細りになる部分にエア通路が設けられることとなり、簡素な構成でケース本体の内部に取り入れられる空気を効率よくエア通路へ収束させることが可能となる。
【0014】
前記構成において、前記ケース本体に、前記エア通路の吸気音を低減させるレゾネータを設け、該レゾネータは、前記エア通路の内側に連通管を介して連通するレゾネータ室を備え、該レゾネータ室は、前記エア通路構成部の一部を含む前記ケース本体の一部であるレゾネータ壁と、該レゾネータ壁の開口を覆う蓋部材により区画しても良い。
【0015】
この構成によれば、レゾネータ室を区画する部材の内、レゾネータ壁をケース本体と一体に形成することが可能となる。そのため、エアクリーナ装置にレゾネータを設けるための製造コストを低減するとともに、エアクリーナ装置にレゾネータを簡易に設けることができる。
【0016】
前記構成において、前記ケース本体に、排気二次エア供給用のサブエアクリーナを設け、該サブエアクリーナは、サブエアクリーナ室と、該サブエアクリーナ室を区画するサブエアクリーナケースと、該サブエアクリーナケースの内側に配置されるサブエアフィルタとを備え、前記サブエアクリーナケースは、前記ケース本体の一部であるケース側サブエアクリーナ壁部と該ケース側サブエアクリーナ壁部の開口を覆う蓋部材とからなり、前記サブエアクリーナ室は、前記サブエアフィルタにより二分され、前記サブエアクリーナケースに、二分される前記サブエアクリーナ室の一方に空気を流入させる空気流入孔と、二分される前記サブエアクリーナ室の他方から前記サブエアフィルタを通過して浄化された空気を流出させる空気流出孔とを形成しても良い。
【0017】
この構成によれば、サブエアクリーナケースの内、ケース側サブエアクリーナ壁部をケース本体と一体に形成することが可能となる。そのため、エアクリーナ装置にサブエアクリーナを設けるための製造コストを低減するとともに、エアクリーナ装置にサブエアクリーナを簡易に設けることができる。
【0018】
前記構成において、前記コネクティングチューブは前記ケース本体内に延出する流入側端延出部を有し、同流入側端延出部は、前記エア通路構成部と前記エア通路構成部材とによって形成された前記エア通路の流出側通路端部に、外側から嵌合して接合してもよい。
【0019】
この構成によれば、エア通路とコネクティングチューブの接続部に高いシール性を確保することができる。
【発明の効果】
【0020】
コネクティングチューブが有する吸気管長の確保という機能を、ケース本体の内壁の一部と、別体のエア通路構成部材とからなるエア通路が担うことで、コネクティングチューブを短くし、コネクティングチューブとエアクリーナ装置の小型化および軽量化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の第一の実施の形態に係るエアクリーナ装置を搭載した自動二輪車を左側方から見た左側面図である。
図2】エアクリーナ装置を左側方から見たエアクリーナ装置の左側面図である。
図3】エアクリーナ装置の分解図である。
図4図2のIV−IV線で切断した断面図である。
図5】エアクリーナ装置を上方から見たエアクリーナ装置の平面図である。
図6図5のVI−VI線で切断して拡大した拡大断面図である。
図7図2のエアクリーナ装置からケースカバーを取除いた状態の左側面図である。
図8図7の状態からエアクリーナエレメントと第二ケース本体部を取除いた状態の第一ケース本体部の左側面図である。
図9図8の状態からエア通路構成部材とコネクティングチューブを取除いた状態の第一ケース本体部の左側面図である。
図10】本発明の第二の実施の形態に係るエアクリーナ装置の平面図である。
図11図10のXI−XI線で切断して拡大した断面図である。
図12】本発明の第三の実施の形態に係るエアクリーナ装置の平面図である。
図13図12のXIII−XIII線で切断して拡大した断面図である。
図14】本発明の第四の実施の形態に係るエアクリーナ装置の、図4と同様の断面図である。
図15図14のXV−XV線で切断して拡大した断面図である。
図16図14の断面図の変形例である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の第一の実施の形態に係る自動二輪車1のエアクリーナ装置3について、図を用いて以下に説明する。
特許請求の範囲および本明細書の説明における前後左右上下の方向は、自動二輪車1の向きに従うものとし、図中の矢印FRは前方を、REは後方を、LTは左方を、RTは右方を、UPは上方を、DWは下方を、それぞれ示している。
【0023】
図1に示されるように、自動二輪車1は、車体前半部1Aと車体後半部1Cとがフロア部1Bを介して連結されている。車体前半部1A、フロア部1Bおよび車体後半部1Cは、車体フレーム10に支持されている。
車体フレーム10は、車体前半部1Aに配置されるヘッドパイプ11と、ヘッドパイプ11から下方へ延出し水平に屈曲してフロア部1Bの下部にて後方へ延びるダウンチューブ12と、ダウンチューブ12の後端から後方斜め上方に延出し水平に屈曲して後方へ延びるメインパイプ13とを備えている。メインパイプ13の下端には、ブラケット13aが後方へ向けて突設されている。
【0024】
車体前半部1Aの上方には、ヘッドパイプ11に支持される操向ハンドル14が設けられている。車体前半部1Aの下方には、ヘッドパイプ11に支持されるフロントフォーク15が延出している。フロントフォーク15の下端には、前輪16が回転自在に支持されている。
【0025】
車体後半部1Cの上方には、乗員用シート17が設けられている。車体後半部1Cの下方には、パワーユニット2が、リンク部材13bを介してメインパイプ13のブラケット13aに搖動自在に支持されている。パワーユニット2の後部には、後輪18が回転自在に支持されている。パワーユニット2の後部とメインパイプ13の後部との間には、リアクッション19が連結されている。
【0026】
パワーユニット2の前部には、パワーユニット2の前部から順次前方へ向ってシリンダブロック22、シリンダヘッド23およびシリンダヘッドカバー24が結合されて単気筒の四ストロークサイクル内燃機関(以下単に「内燃機関20」という)が設けられている。
【0027】
パワーユニット2は、パワーユニット2の前部に設けられる内燃機関20のシリンダ軸線Sを略水平に近い状態に前傾させ、クランク軸20aを車幅方向に向けた状態で車体フレーム10に取付けられている。内燃機関20のシリンダヘッド23の上部には、図示されない吸気ポートから吸気管25が延出して後方へ向って湾曲している。吸気管25の後端には、スロットルボディ26が接続されている。スロットルボディ26の後部には、コネクティングチューブ27を介してエアクリーナ装置3が接続されている。シリンダヘッド23の下部には、排気管28が下方へ向って延出した後、後方へ向って屈曲して後方へ延出して、後輪18の右側に位置するマフラ29に接続されている。
【0028】
図2も参照して、エアクリーナ装置3は、エアクリーナ装置3の下部から下方へ向けて突設されている取付けブラケット3aを介して、パワーユニット2のパワーユニットケース21の上方に取付けられている。
【0029】
図3ないし図5に示されるように、エアクリーナ装置3は、第一ケース本体部30Aと第二ケース本体部30Bとが接合されて形成されるケース本体30と、ケース本体30に取付けられるエアクリーナエレメント70と、エアクリーナエレメント70を覆ってケース本体30に取付けられるケースカバー60と、を備えている。ケース本体30の内側には、ケース本体30の一部とともにエア通路50を区画するエア通路構成部材40が取付けられている。ケース本体30には、エアクリーナ装置3とスロットルボディ26とを接続するコネクティングチューブ27が取付けられている。
【0030】
図4に示されるように、ケース本体30とケースカバー60の内側は、エアクリーナエレメント70によりケースカバー60の内側の未浄化室62とケース本体30の内側の浄化室32とにそれぞれ区画されている。未浄化室62に吸入された空気は、エアクリーナエレメント70を介して浄化室32へ通過する際に、エアクリーナエレメント70により空気中の粉塵等が濾過されることで浄化され、エア通路50およびコネクティングチューブ27を介してスロットルボディ26へ供給されるようになっている。
【0031】
ケース本体30は、壁部31により内部に浄化室32が区画される中空構造に形成されている。図4および図5に示されるように、ケース本体30の左端には、エアクリーナエレメント70が取付けられる空気流入側端部34が、空気流入側端部34の右斜め前方に位置するケース本体30の前端には、コネクティングチューブ27が取付けられる空気流出側端部37が、それぞれ配されている。
【0032】
図4に示されるように、ケース本体30の空気流入側端部34には、側方視で、ケース本体30の内側(図4では右方)に向って矩形状に凹む凹部35と、凹部35を略矩形状に取り囲む本体側シール溝36が形成されている。凹部35の底部35aには、矩形状に開口する空気流入側開口34aが設けられている。凹部35の底部35aのケース本体30の内側(浄化室32側)には、ケース本体30の空気流入側開口34aを覆う網目状のエレメントガード80が、溶着されている。凹部35には、エアクリーナエレメント70が、ケース本体30の空気流入側開口34aを覆うように嵌め込まれている。
【0033】
ケース本体30の空気流出側端部37には、前方やや斜め下方へ向って円形に開口する空気流出側開口37aが設けられている。空気流出側開口37aには、円筒状のコネクティングチューブ27が嵌め込まれている。
【0034】
図6も参照して、ケース本体30の右側前端寄りには、ケース本体30の壁部31から右方へ向って円筒状に突出するチューブ接続管30aが設けられている。チューブ接続管30aには、図示されないブリーザ室からブローバイガスをケース本体30の内側に導入する図示されないブローバイガス戻りチューブが接続されている。
また、図2も参照して、ケース本体30の後下部には、図示されない浄化室側ドレン管が後斜め下方へ向けて延出し、浄化室側ドレン管には、浄化室側ドレンチューブ38が接続されている。
【0035】
図2および図5に示されるように、ケースカバー60は、左右方向に扁平な略直方体形状の箱型に形成され、四本のネジ69でケース本体30の空気流入側端部34に取付けられている。
図4も参照して、ケースカバー60の壁部61の前側壁61FRには、矩形筒状の空気流入管63が前後方向に開口してケースカバー60と一体に形成されている。空気流入管63の前端63aはケースカバー60の前側壁61FRから前方に延出され、空気流入管63の後端63bはケースカバー60の前側壁61FRからケースカバー60の内側中央に延出されている。
なお、空気流入管63は、ケースカバー60と別体に形成されて、ケースカバー60に取付けられても良い。
【0036】
図4に示されるように、ケースカバー60の右端64は開口端となっており、右端64に形成されているケース本体30との合わせ面65には、ケース本体30の本体側シール溝36に対向する位置にカバー側シール溝66が形成されている。
図2も参照して、ケースカバー60の壁部61の下側壁61DWの後端には、ケースカバー60の下側壁61DWから下方へ延出する未浄化室側ドレン管67が一体に形成されている。未浄化室側ドレン管67には、ドレン孔67aが開口するとともに、未浄化室側ドレンチューブ68が接続されている。
【0037】
図4および図7に示されるように、エアクリーナエレメント70は、濾紙を複数回折り返して外形が直方体状に収まる、いわゆる蛇腹構造に形成されるフィルタ部材71と、フィルタ部材71の周囲を矩形状に取り囲むエレメントホルダ部72を備えている。エレメントホルダ部72の外周縁には、外周縁から周方向外方に向って突出してエレメントホルダ部72を矩形状に取り囲む支持部73が形成されている。
【0038】
図4に示されるように、エアクリーナエレメント70は、エレメントホルダ部72の支持部73が、ケース本体30の本体側シール溝36とケースカバー60のカバー側シール溝66とに嵌め込まれるとともに、ケース本体30とケースカバー60とに挟持されることで、ケース本体30の空気流入側端部34に取付けられている。
このように、エアクリーナエレメント70とケースカバー60をケース本体30に取付けることで、エアクリーナエレメント70は、ケース本体30とケースカバー60とにより挟持されて固定される。
【0039】
前述したように構成されるエアクリーナエレメント70は、ケース本体30の空気流入側端部34の凹部35と本体側シール溝36の形状、ケースカバー60のカバー側シール溝66の形状、エレメントホルダ部72および支持部73の形状を規格化することで、複数種のエアクリーナ間で共用することが可能となり、エアクリーナエレメント70の製造コストを低減することができるようになっている。
【0040】
ケース本体30は、壁部31が、空気流入側端部34から空気流出側端部37に向って右斜め前方に延びるとともに、空気流入側端部34から空気流出側端部37に向うに連れて、図4に二点鎖線で例示するエアクリーナエレメント70と平行な面X2で切断した空間断面積が減少する、先細り形状に形成されている。そのため、エアクリーナエレメント70にて浄化された空気を、ケース本体30の浄化室32内で空気流出側端部37に向って効率的に収束させ、ケース本体30の内側にエア通路50を形成しつつケース本体30の大型化を抑制することが可能となる。
ここで、本明細書および特許請求の範囲の記載において、エアクリーナエレメント70と平行な面X2とは、エアクリーナエレメント70のフィルタ部材71の複数の浄化室側端部71a(本実施の形態ではフィルタ部材71の山折り部)を通る面X1と平行な面をいう。
【0041】
図2および図4に示されるように、ケース本体30の内側の空気流出側端部37寄りには、空気流出側端部37に連なるエア通路50が、エア通路構成部39として形成されるケース本体30の壁部31の一部と、エア通路構成部39に接合される別体のエア通路構成部材40により形成されている。
【0042】
エア通路50は、エア通路50の内側の空気の流れF1に垂直な面(以下、「エア通路横断面X3」という)にて切断した断面視(以下、「エア通路横断面視」という)で、図6に示されるように、エア通路50の内壁面50aの断面の形状が円形状に形成されている。そのため、エア通路50を流れる空気の吸気抵抗を低減することができるようになっている。
また、図4および図8に示されるように、エア通路50は、一方の開口端である流入側通路端部51の流入側通路開口51aがケース本体30の空気流入側開口34aに向き、他方の開口端である流出側通路端部53の流出側通路開口53aがケース本体30の空気流出側開口37aに向く、上方視で円弧状に湾曲した略円筒状に形成されている。
【0043】
図4に示されるように、エア通路50は、その内径が、流出側通路端部53から中央部52までは略同じ径に形成されているが、中央部52から流入側通路端部51までは流入側通路端部51に向うに従って緩やかに拡径して形成されている。そのため、エア通路50の内側に流入する空気を整流し、効率よくエア通路50に供給することができるようになっている。
【0044】
図4に示されるように、エア通路構成部39とエア通路構成部材40との2つ割り部の接合部(以下、エア通路接合部54という)は、上方視で、エア通路50をエア通路50の内側の空気の流れF1に沿って略半分に二分し、エア通路50の内側の空気の流れF1に沿う略円弧上に湾曲して形成されている。
【0045】
図6および図9も参照して、エア通路構成部39は、ケース本体30の壁部31の内、空気流出側端部37に連なる右側壁31RTの一部を、エア通路横断面視で半円状に成形するとともに、一方の端部39aがケース本体30の空気流入側開口34aに向き、他方の端部39bがケース本体30の空気流出側開口37aに向くように、上方視で、半円の凹面側39cの方向を中心に円弧状に湾曲する略半円筒状に成形して形成されている。
【0046】
図4および図8に示されるように、エア通路構成部材40は、ケース本体30と同じ材料を、エア通路横断面視で半円状に成形するとともに、一方の端部40aがケース本体30の空気流入側開口34aに向き、他方の端部40bがケース本体30の空気流出側開口37aに向くように、上方視で、半円の凸面側40dの方向を中心に円弧状に湾曲した略半円筒状に成形して形成されている。
【0047】
図8に示されるように、エア通路構成部39に、エア通路構成部材40が、互いの凹面側39c,40cを向い合せてエア通路接合部54にて溶着されることで、エア通路50が形成される。
なお、図8において、30bは浄化室側ドレン管に連通するドレン孔であり、30cはチューブ接続管30aに連通するブローバイガス導入孔を示している。
【0048】
図4に示されるように、エア通路50の流出側通路端部53には、ケース本体30の空気流出側開口37aに嵌め込まれているコネクティングチューブ27の流入側端部27aが密着して、エア通路50とコネクティングチューブ27とが連通している。コネクティングチューブ27は、長さがエア通路50の長さの約三分の一、内径がエア通路50の流出側通路開口53aの内径と同じ大きさに形成されている。
【0049】
このように、ケース本体30の内側に、コネクティングチューブ27と連通するエア通路50を形成することで、吸気管長がエア通路50の流入側通路端部51からシリンダヘッド23の図示されない吸気バルブシートまでの長さとなり、吸気管長を長く確保することが可能となる。すなわち、従来、コネクティングチューブ27が担っていた吸気管長の確保という機能を、その一部がエアクリーナ装置3のケース本体30で形成されたエア通路50に担わすことが可能となり、コネクティングチューブ27の長さを短くすることができる。
一般に、プロポリピレン等の樹脂系材料は、ゴム系樹脂材料と比較して、成形性が良く比重も小さい傾向にある。そのため、エアクリーナ装置3のケース本体30をポリプロピレン等の熱硬化性樹脂で形成し、コネクティングチューブ27をゴム系樹脂材料で形成することで、エアクリーナ装置3とコネクティングチューブ27の総重量および総製造コストを低減することができる。また、コネクティングチューブ27が短くなることで、コネクティングチューブ27が負圧等により変形し難くなり、内燃機関20への安定した空気の供給が可能となる。
【0050】
前述したように、ケース本体30は、概ね左右方向に分かたれる第一ケース本体部30Aと第二ケース本体部30Bとが接合されて形成されている。図3および図4に示されるように、第一ケース本体部30Aには、空気流出側開口37aとエア通路構成部39が形成されている。第二ケース本体部30Bには、空気流入側開口34aが形成されている。
そのため、第一ケース本体部30Aに第二ケース本体部30Bを接合する前に、エア通路構成部材40をエア通路構成部39に接合することで、エア通路構成部材40をエア通路構成部39に接合するための作業スペースを確保することが可能となる。
【0051】
図6に示されるように、第一ケース本体部30Aの第二ケース本体部30Bとの合わせ面30Aaには凸部30Abが、第二ケース本体部30Bの第一ケース本体部30Aとの合わせ面30Baには凹部30Bbがそれぞれ形成されている。第一ケース本体部30Aの合わせ面30Aaの凸部30Abを、第二ケース本体部30Bの合わせ面30Baの凹部30Bbに嵌め込み、両合わせ面30Aa,30Baを振動溶着することで、ケース本体30は、第一ケース本体部30Aと第二ケース本体部30Bとの接合部(以下、「ケース接合部33」という)から浄化室32内へ外気が浸入することが無いように一体に形成されている。
【0052】
図4および図5に示されるように、ケース接合部33は、上方視において、ケース本体30の前端の空気流出側開口37aの左方から、エア通路50の流出側通路端部53の左方をエア通路接合部54に沿って後方へ向って延出し、エア通路50の中央部52の左斜め前方でエア通路接合部54に沿って左斜め後方に向って湾曲し、エア通路接合部54の流入側の前方をエア通路接合部54に沿うように左斜め後方に向って延出し、空気流入側端部34の前部上方で後方に向って屈曲し、ケース本体30の後端に接続するように形成されている。
すなわち、ケース接合部33は、上方視において、ケース接合部33の一部が、エア通路接合部54の一部に沿って形成されている。
そのため、第一ケース本体部30Aに第二ケース本体部30Bを接合する前に、エア通路構成部材40をエア通路構成部39に接合することで、第一ケース本体部30Aの壁部31が接合作業の妨げになり難くなり、エア通路構成部材40をケース本体30のエア通路構成部39に接合するための作業スペースが確保されるようになっている。
【0053】
以上、詳細に説明した本発明に係る自動二輪車1のエアクリーナ装置3の第一の実施の形態では、以下の効果を奏する。
エアクリーナ装置3のケース本体30の内側には、空気流出側端部37に連なりコネクティングチューブ27に連通するエア通路50が形成されている。エア通路50を区画するエア通路壁は、ケース本体30の壁部31の内の右側壁31RTの一部をエア通路構成部39として形成し、エア通路構成部39に別体のエア通路構成部材40が接合されて形成されている。
【0054】
このような構成によれば、ケース本体30に取付けられるコネクティングチューブ27に求められる吸気管長の確保という機能を、ケース本体30の内側に形成されるエア通路50に担わせて、コネクティングチューブ27の長さを短くすることができる。そのため、コネクティングチューブ27の製造コストおよび重量が低減され、コネクティングチューブ27およびエアクリーナ装置3の全体としての小型化、軽量化を図ることができる。また、コネクティングチューブ27が変形し難くなり、内燃機関20の出力を安定させることが可能となる。
【0055】
ケース本体30は、エア通路構成部39が形成される第一ケース本体部30Aと、第一ケース本体部30Aとは別体の第二ケース本体部30Bとが接合されて形成されている。そして、第一ケース本体部30Aと第二ケース本体部30Bとのケース接合部33は、その一部が、上方視で、エア通路構成部39とエア通路構成部材40とのエア通路接合部54の一部の形状に沿って形成されている。
【0056】
このような構成によれば、第二ケース本体部30Bを第一ケース本体部30Aに接合する前の状態において、別体として形成されるエア通路構成部材40を第一ケース本体部30Aのエア通路構成部39に接合することができる。また、第一ケース本体部30Aの壁部31が、エア通路構成部材40を第一ケース本体部30Aのエア通路構成部39に接合する作業を妨げ難くなる。そのため、エア通路50を形成する際に、エア通路構成部材40のエア通路構成部39への接合時の作業スペースが確保され、エア通路構成部材40のエア通路構成部39への接合を容易にすることができる。
【0057】
エア通路50は、エア通路50の空気の流れF1に垂直な面、すなわちエア通路横断面X3で切断した断面視において、エア通路50の内壁面50aの断面の形状が円形状に形成されている。そのため、エア通路50を流れる空気の吸気抵抗を減少させることができる。
【0058】
ケース本体30は、空気流入側端部34から空気流出側端部37に向うに従って、空気流入側端部34に取付けられたエアクリーナエレメント70と平行な面X2で切断したケース本体30内の空間断面積が減少する先細り形状に形成されている。
このような構成によれば、ケース本体30内の先細りになる部分にエア通路50が設けられることになり、簡素な構成でケース本体30の内部に取り入れられる空気を効率よくエア通路50へ収束させることができる。また、ケース本体30の内側にエア通路50を形成しつつ、ケース本体30の大型化を抑制することができる。
【0059】
以上、本発明の第一の実施の形態について図を参照して説明したが、第一の実施の形態は前記の説明に限られず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更することができる。
【0060】
例えば、本実施の形態において、エア通路50は、エア通路構成部39とエア通路構成部材40とが、エア通路50の空気の流れの方向F1に沿って略半分に構成されているが、いずれか一方の構成比率を上げて他方の構成比率を下げて形成しても良い。
また、本実施の形態において、エア通路50は円弧状に湾曲した略円筒状に形成されているが、エア通路50によって吸気管長が確保されるのであれば、エア通路50を湾曲しない円筒状に形成しても良い。
さらに、本実施の形態において、エア通路50は、エア通路横断面視において、エア通路50の内壁面50aの形状が円形状に形成されていれば良く、エア通路50の形状は筒状に限定されない
【0061】
次に、本発明に係る自動二輪車1のエアクリーナ装置3の第二の実施の形態について、図を参照して説明する。
第二の実施の形態において、前述した第一の実施の形態と同一の部材については、同じ符号を付して説明を省略する。
【0062】
図10および図11に示されるように、ケース本体30には、自動二輪車1の吸気音を低減させるレゾネータ100が、ケース本体30の空気流出側端部37に隣接してケース本体30の壁部31から右方へ突出して設けられている。
レゾネータ100は、レゾネータ室101と、レゾネータ室101とエア通路50の内側とを連通させる連通管102とを備えている。
【0063】
ケース本体30の壁部31の内、エア通路構成部39の一部を含む壁部31の一部(以下、「レゾネータ底壁部104」という)は、ケース本体30の壁部31から右方向に立ち上がるレゾネータ周壁部105により、右方視で矩形状に囲われている。レゾネータ周壁部105の右端105aは開口端となっている。レゾネータ周壁部105の右端105aには、レゾネータ周壁部105の開口105bを右側方から覆う蓋部材103が溶着されている。
レゾネータ室101は、ケース本体30の一部であるレゾネータ底壁部104およびレゾネータ周壁部105とから構成されるレゾネータ壁106と、レゾネータ壁106の開口(すなわちレゾネータ周壁部105の開口105b)を右側方から覆う蓋部材103とにより区画されて形成されている。
【0064】
レゾネータ底壁部104の内、エア通路構成部39の一部には、エア通路構成部39から右方へ向って円筒状に立ち上がる連通管102が、エア通路構成部39(すなわちケース本体30)と一体に形成されている。連通管102の内部には、一端がエア通路50に、他端がレゾネータ室101に開口する連通孔102aが形成されている。連通管102により、エア通路50の内側とレゾネータ室101は連通されている。
【0065】
このようにレゾネータ100を構成することで、レゾネータ室101を区画する部材の内、レゾネータ壁106であるレゾネータ周壁部105およびレゾネータ底壁部104と、連通管102とをケース本体30と一体に形成することが可能となる。そのため、エアクリーナ装置3の製造コストを低減するとともに、エアクリーナ装置3にレゾネータ100を簡易に設けることができる。
【0066】
また、レゾネータ壁106、蓋部材および連通管102の大きさや形状を変更することで容易にレゾネータ室101の共鳴周波数の変更を行うことができる。
【0067】
以上、詳細に説明した本発明に係る自動二輪車1のエアクリーナ装置3の第二の実施の形態では、レゾネータ室101を区画する部材の内、レゾネータ壁106であるレゾネータ周壁部105およびレゾネータ底壁部104をケース本体30と一体に形成することが可能となる。そのため、エアクリーナ装置3の製造コストを低減しつつ、エアクリーナ装置3にレゾネータ100を簡易に設けることができる。
【0068】
以上、本発明の第二の実施の形態について図を参照して説明したが、前記の説明に限られず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更することができる。
例えば、本実施の形態において、レゾネータ100は、ケース本体30の右方ではなく、上方や下方に突出して形成されても良い。
また、レゾネータ周壁部105は矩形状に形成されているが、円筒状等であっても良い。
【0069】
次に、本発明に係る自動二輪車1のエアクリーナ装置3の第三の実施の形態について、図を参照して説明する。
第三の実施の形態において、前述した第一の実施の形態と同一の部材については、同じ符号を付して説明を省略する。
【0070】
図12および図13に示されるように、ケース本体30には、排気二次エア供給用のサブエアクリーナ110が、ケース本体30の空気流出側端部37に隣接してケース本体30から右方へ突出して設けられている。
サブエアクリーナ110は、排気管28内の排気ガスを浄化するために、排気管28へ排気二次エアを浄化して供給するもので、サブエアクリーナ室111と、サブエアクリーナ室111を区画するサブエアクリーナケース117と、サブエアクリーナケース117の内側に配置されるサブエアフィルタ112とを備えている。
【0071】
ケース本体30の壁部31の内、エア通路構成部39の一部を含む壁部31の一部(以下、「サブエアクリーナ底壁部113」という)は、ケース本体30の壁部31から右方向に立ち上がるサブエアクリーナ周壁部114により、右方視で矩形状に囲われている。サブエアクリーナ周壁部114の開口端である右端114aには、右端114aの開口114bを右側方から覆う蓋部材115が溶着されている。
【0072】
サブエアクリーナケース117は、ケース本体30の一部であるサブエアクリーナ底壁部113およびサブエアクリーナ周壁部114とからなるサブエアクリーナ壁116と、サブエアクリーナ壁116の開口(すなわちサブエアクリーナ周壁部114の開口114b)を右側方から覆う蓋部材115とからなり、サブエアクリーナ室111を区画している。
【0073】
サブエアフィルタ112には、左右方向に扁平な直方体形状に形成される合成樹脂製のスポンジフィルタが用いられている。サブエアフィルタ112は、サブエアクリーナ周壁部114の右端114aの開口114bに嵌め込まれて、サブエアクリーナケース117に装着されている。サブエアクリーナ室111は、サブエアフィルタ112により、サブエアフィルタ112より左方の未浄化室111aと、サブエアフィルタ112より右方の浄化室111bとに二分されている。
なお、サブエアフィルタ112には、エアクリーナエレメント70のフィルタ部材71と同様に、蛇腹状に複数回折り返した濾紙を用いても良い。
【0074】
エア通路50の下方には、浄化室32の一部32aがエア通路50に並んで形成されている。
サブエアクリーナケース117の内、サブエアクリーナ底壁部113のエア通路構成部39の一部ではない領域113aには、ケース本体30の内側の浄化室32の一部32aと連通してサブエアクリーナケース117の内側の未浄化室111aに空気を流入させる空気流入孔118が形成されている。
【0075】
また、サブエアクリーナケース117の内、蓋部材115の前下端寄りには、サブエアクリーナケース117の内側の浄化室111bから空気を流出させる空気流出孔119が形成されるとともに、空気流出孔119を囲んで蓋部材115から右方へ向けて突出する円筒状の接続管120が一体に形成されている。
【0076】
接続管120には、排気二次エア導入管121の一端121aが接続され、排気二次エア導入管121の図示されない他端は、排気管28に供給する排気二次エアの流量を調整する図示されないエアサクションバルブに接続されている。
ケース本体30の内側の浄化室32から空気流入孔118を介してエアクリーナ室111の未浄化室111aに流入した空気は、サブエアフィルタ112により浄化されて空気流出孔119から接続管120を介して排気二次エア導入管121へ流出し、エアサクションバルブによって排気管28へと導入される。
【0077】
このようにケース本体30にサブエアクリーナ110を設けることで、サブエアクリーナ室111を区画する部材の内、サブエアクリーナ壁116であるサブエアクリーナ周壁部114、サブエアクリーナ底壁部113をケース本体30と一体に形成することが可能となる。そのため、エアクリーナ装置3の製造コストを低減しつつ、エアクリーナ装置3にサブエアクリーナ110を簡易に設けることができる。
【0078】
以上、詳細に説明した本発明に係る自動二輪車1のエアクリーナ装置3の第三の実施の形態では、サブエアクリーナケース117の内、サブエアクリーナ壁116であるサブエアクリーナ周壁部114およびサブエアクリーナ底壁部113をケース本体30と一体に形成することが可能となる。そのため、エアクリーナ装置3の製造コストを低減するとともに、エアクリーナ装置3にサブエアクリーナ110を簡易に設けることができる。
【0079】
以上、本発明の第三の実施の形態について図を参照して説明したが、前記の説明に限られず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更することができる。
【0080】
例えば、本実施の形態において、サブエアクリーナ110は、ケース本体30の右方ではなく、上方や下方に突出して形成されても良い。また、サブエアクリーナ壁116の一部に、エア通路構成部39の一部を含まなくとも良い。
また、本実施の形態では、サブエアクリーナ110の空気流入孔118は、ケース本体30の内側の浄化室32と連通しているが、浄化室32と連通せずに直接外気をサブエアクリーナ室111に流入させても良い。
蓋部材115は、溶着ではなく、嵌め込み等により取外し可能に、サブエアクリーナ周壁部114の右端114aに取付けられても良い。
また、本実施の形態では、空気流入孔118はサブエアクリーナ底壁部113に、空気流出孔119は蓋部材115にそれぞれ形成されているが、サブエアフィルタ112の配置により、サブエアクリーナケース117の他の部分に形成されても良い。
【0081】
次に、本発明に係る自動二輪車1のエアクリーナ装置3の第四の実施の形態について、図を参照して説明する。
第四の実施の形態において、前述した第一の実施の形態と同様の機能の部材については、同じ符号を付して説明を省略する。
【0082】
図14に示されるように、第四の実施の形態においては、ケース本体30の空気流出側端部37の空気流出側開口37aに嵌め込まれたコネクティングチューブ27は、ケース本体30内に延出する流入側端延出部127を備えている。
【0083】
一方、ケース本体30の壁部31の一部であるエア通路構成部39と、それに接合される別体のエア通路構成部材40によりエア通路50が形成されるが、壁部31は、エア通路50の流出側通路端部53の周囲が間隙部128をなすように、流出側通路端部53から離間して形成されている。
【0084】
そして、コネクティングチューブ27の流入側端延出部127は、エア通路50の流出側通路端部53に外側から嵌合して接合している。
したがって、エア通路50とコネクティングチューブ27の接続部は高いシール性を確保したものとなる。
【0085】
また、ケース本体30の壁部31は、コネクティングチューブ27の流入側端延出部127とケース本体30の内面との間に空間部129が設けられるように流入側端延出部127の周囲に膨出部131を形成している。
膨出部131には、空間部129に連通するブローバイガス導入口130cを備えたチューブ接続管130aが取付けられており、内燃機関20の図示されないブリーザ室からブローバイガスをケース本体30の内側に導入する図示されないブローバイガス戻りチューブが接続されている。
【0086】
本実施の形態においても、エア通路50を形成するエア通路構成部材40は、エア通路50の流出側端部53では、エア通路横断面X3において略半円形状に形成され(図15図16参照)、壁部31の一部であり同断面において略半円形状をなすエア通路構成部39(図15図16参照)と、2つ割り部のエア通路接合部54で接合され、エア通路50が略円筒状に形成される。
【0087】
しかし、本実施の形態においては、エア通路50の流入側通路端部51側は、エア通路構成部材40とエア通路構成部39との2つ割り部をエア通路接合部54で接合するのではなく、全周がエア通路構成部材40で形成された流入側筒状部41で形成されている。
そして、流入側筒状部41の外面が壁部31の内面31aと接する接合部31bからは、壁部31の内面31aからエア通路構成部39が立ち上がるように形成されて、立ち上げ接合部54′によってエア通路構成部材40に接合され、立ち上げ接合部54′はエア流れ下流側に向けて延在し上記の2つ割り部のエア通路接合部54に達して、エア通路50全体が形成される。
【0088】
すなわち、エア通路構成部材40は、エア通路50の流入側通路端部51側ではエア通路50の筒状部全周を構成し、流入側通路端部51よりエア流れ下流側の流出側端部53までは略円筒状のエア通路50の内側半割り部を構成する。
そのように構成されたことにより、エア通路50の流入側通路端部51側の形状が安定しエアの流れが安定するほか、エア通路50の組み立てにおいてエア通路構成部材40の形状が安定し組立容易となる。
【0089】
また、図14中XV−XV矢視断面である図15、およびその断面図の変形例を示す図16に示されるように、本実施の形態では、エア通路50の流出側端部53側は、エア通路横断面X3において断面略半円形状のエア通路構成部材40の端縁に形成された端縁凹部40eと、断面略半円形状のエア通路構成部39の端縁に形成された端縁凸部39eとがエア通路接合部54をなして嵌合接合され形成されている。
【0090】
そのため、第一〜第三の実施の形態で示されたような、エア通路構成部材40の端縁とエア通路構成部39の端縁との突合せ接合の場合よりも、エア通路50の組み立てにおいて接合が容易かつ確実なものとなる。
なお、エア通路接合部54において、凹部と凸部を逆に形成して嵌合接合させてもよい。
【0091】
以上、本発明の第四の実施の形態について図を参照して説明したが、前記の説明に限られず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更することができる。
【符号の説明】
【0092】
1…自動二輪車、3…エアクリーナ装置、27…コネクティングチューブ、30…ケース本体、30A…第一ケース本体部、30B…第二ケース本体部、33…接合部、34…空気流入側端部、37…空気流出側端部、39…エア通路構成部、40…エア通路構成部材、41…流入側筒状部、50…エア通路、50a…内壁面、53…流出側通路端部、54…エア通路接合部、54′…立ち上げ接合部、60…ケースカバー、70…エアクリーナエレメント、100…レゾネータ、101…レゾネータ室、102…連通管、103…蓋部材、105b…開口、106…レゾネータ壁、110…サブエアクリーナ、111…サブエアクリーナ室、111a…未浄化室(一方)、111b…浄化室(他方)、112…サブエアフィルタ、115…蓋部材、116…サブエアクリーナ壁部、117…サブエアクリーナケース、118…空気流入孔、119…空気流出孔、127…流入側端延出部、128…間隙部、129…空間部、130a…チューブ接続管、130c…ブローバイガス導入口、131…膨出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16