【文献】
松宮翔・他,音響特徴量を用いた吹き出しテキストの生成,日本音響学会 2014年 春季研究発表会講演論文集,日本,一般社団法人日本音響学会,2014年 3月 3日,pp.11〜12
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記対応テーブルは、漫画に掲載されている台詞と当該台詞の表示を含んだ吹き出し表示の形態との関係に基づいて前記特徴情報を学習し、その学習結果に基づいて構築されている請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のメッセージ処理装置。
他の端末装置から送信される前記メッセージとともに当該メッセージの表示を含んだ吹き出し表示を表示するために必要な情報を受信すると、前記情報から特定される吹き出し表示の形態に応じて着信鳴動の態様を変更する受信制御部をさらに備えている請求項7に記載の端末装置。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、好ましい実施形態について図面を参照しつつ説明する。
〔システムの構成について〕
図1は、一実施形態に係るメッセージ送受信システムのブロック図である。
図1中、このメッセージ送受信システム1は、ネットワークを介して、複数のユーザ同士の間でメッセージ交換を行うためのシステムであり、インターネット等のネットワーク2に接続されたサーバ3と、ネットワーク2に接続された複数の端末装置4とを備えている。
【0025】
サーバ3は、ネットワーク2を介して複数の端末装置4と通信する機能を有している。また、サーバ3は、各端末装置4同士の間で行われるメッセージの送受信を管理する機能を有している。各端末装置4が他の端末装置4に向けて送信したメッセージは、一旦サーバ3を経由し、サーバ3が送信先の端末装置4に送信する。つまり、サーバ3は、端末装置4同士が行うメッセージ交換を中継する機能を有している。
【0026】
各端末装置4は、ネットワーク2を介してサーバ3と通信する機能を有している。各端末装置4は、サーバ3と通信することで、端末装置4同士の間で行われるメッセージ交換を行うことができる。
【0027】
図2は、端末装置4の構成を示すブロック図である。なお、各端末装置4は、いずれも以下に説明する構成とほぼ同様の構成とされている。
端末装置4は、スマートフォンや、携帯電話、パソコン等によって構成されている。
端末装置4は、ネットワーク2に接続するための通信機能の他、CPUや、記憶部等を含むコンピュータを備えることで後述の各処理を実行する機能も有している。
【0028】
端末装置4は、
図2に示すように、処理部10、記憶部11、音声入出力部12、テキスト入力部13、表示部14、及び通信部15を備えている。
記憶部11は、ハードディスクやメモリ等により構成されている。記憶部11には、処理部10によって実行されるオペレーティングシステムや、通信処理等の各種処理を実行するためのコンピュータプログラムがインストールされている。
また、記憶部11には、他の端末装置4との間でメッセージ交換(メッセージ送受信処理)を行うためのメッセージングアプリケーションソフト19や、メッセージ送受信処理を行う際に必要な処理に用いる各種データベースとして、対応データベース20、ユーザ履歴データベース21、ユーザ情報22、吹き出し形態データベース23、及び着信鳴動データベース24も記憶されている。これらの内容については、後に詳述する。
【0029】
処理部10は、CPU、ROM、RAM等を含み、記憶部11に記憶されたオペレーティングシステムや各種コンピュータプログラムを読み出して端末装置4の各部を制御するとともに各種処理を実行する機能を有している。
音声入出力部12は、マイク及びスピーカ等によって構成されており、端末装置4を操作するユーザが発話する音声等の音を受け付ける機能と、ユーザに対して音声等の音を発して出力する機能とを有している。
【0030】
テキスト入力部13は、キーボード等によって構成されており、ユーザが入力するテキストデータ(文字データ)を受け付ける機能を有している。
表示部14は、液晶ディスプレイ等によって構成されており、ユーザに対してテキストデータや、映像等を表示することでこれら情報を出力する機能を有している。なお、表示部14がタッチパネルによって構成されている場合、表示部14は、テキスト入力部13の機能も有することがある。
通信部15は、移動体通信や、LAN通信等の通信機能を有しており、端末装置4がネットワーク2に接続するための通信処理を行う。
【0031】
処理部10は、記憶部11に記憶された各種コンピュータプログラムを実行することで実現される機能部として、音声認識部30、特徴抽出部31、特定部32、選択受付部33、送信処理部34、学習部35、及び受信処理部36を備えている。
これら各機能部は、端末装置4のユーザが、自端末装置4以外の他の端末装置4のユーザとの間でメッセージの送受信処理を行う際に必要な処理を行う機能を有している。
【0032】
音声認識部30は、音声入出力部12が音声として受け付けた送信メッセージをテキストデータに変換する機能を有している。
特徴抽出部31は、テキスト入力部13によってテキストデータとして受け付けた送信メッセージを予め設定された基準に従って形態素に分解した上で、送信メッセージの特徴を数値化した特徴値を抽出する機能を有している。
また、特徴抽出部31は、音声認識部30が音声として受け付けた送信メッセージを変換したテキストデータを受け付けることもできる。
【0033】
また、特徴抽出部31は、音声入出力部12が音声等の音として受け付けた送信メッセージの特徴値を抽出する機能も有している。特徴抽出部31は、音で構成された送信メッセージの特徴を取得するために、その音の音量や中心周波数、発話スピードといったその音に関する複数の特性を測定する。特徴抽出部31は、これら複数の測定結果を、音で構成された送信メッセージの特徴を特徴値として取得する機能も有している。
なお、このように、送信メッセージは、テキストデータ等の文字情報で構成される場合の他、音で構成される場合がある。送信メッセージが音で構成される場合、音声に限らず、音楽や、チャイム、衝撃音といった音が含まれる。
【0034】
特定部32は、記憶部11に記憶された対応データベース20、ユーザ履歴データベース21、及びユーザ情報22を参照し、特徴抽出部31が抽出した送信メッセージの特徴値に応じて、当該送信メッセージを表示するための吹き出し表示の形態(吹き出し形態)を特定する。
この吹き出し表示とは、当該送信メッセージが送信先(受信側)である他の端末装置4に送信されたときに、他の端末装置4の表示部14に表示させるものであり、当該送信メッセージをテキストデータで表示したものを含んだものである。
【0035】
図3は、吹き出し表示の一例を示す図である。
図3では、「明日,いい天気になればいいのになぁ・・・」というテキストデータで表された送信メッセージを含んでいる場合を示している。
図3に示すように、吹き出し表示40は、送信メッセージを囲む線図によって構成されており、送信メッセージのテキスト表示を含んだ状態で、受信側の他の端末装置4の表示部14に表示される。
なお、吹き出し形態は、吹き出し表示の形状の他、吹き出し表示の色、吹き出し表示に含まれる送信メッセージのフォントを要素として含んでいる。
つまり、特定部32は、吹き出し表示の形状、色、送信メッセージのフォントを特定する。また、特定部32は、送信メッセージを表示するための吹き出し表示の吹き出し形態を複数特定することができる。
なお、以下の説明では、吹き出し形態を構成する上記要素の内、吹き出し形状を特定する場合に着目して説明する。
【0036】
図2に戻って、選択受付部33は、特定部32が特定した吹き出し形態(吹き出し形状)を自端末装置4の表示部14に表示させ、特定部32が特定した吹き出し形状の中から自端末装置4のユーザが選択した選択結果を受け付ける機能を有している。
【0037】
送信処理部34は、送信メッセージをテキストデータとして他の端末装置4に送信するとともに、選択受付部33が受け付けた選択結果に応じた吹き出し形状の吹き出し表示を他の端末装置4に表示させるために必要な情報を他の端末装置4に宛てて送信する。
【0038】
学習部35は、選択受付部33が選択結果を受け付けるごとに、ユーザ履歴データベース21を更新する機能を有している。
学習部35は、送信メッセージと、この送信メッセージに対して選択された吹き出し形状との関係を示す情報が反映されるようにユーザ履歴データベース21を更新し、ユーザ履歴データベース21がユーザの選択傾向に沿う内容となるように学習する。よって、ユーザ履歴データベース21には、履歴である過去の選択結果が反映されている。
【0039】
受信処理部36は、端末装置4が他の端末装置4からのメッセージを受信したときの処理を行う機能を有している。
【0040】
本実施形態の端末装置4は、上述の各機能部によって、送信メッセージを送信する際に、その送信メッセージの特徴に応じて、送信先の他の端末装置4に表示させる吹き出し表示に用いる吹き出し形状を特定する等、自端末装置4以外の他の端末装置4のユーザとの間でメッセージの送受信処理を行う際に必要な処理を行う。
【0041】
〔メッセージ送信処理について〕
図4は、端末装置4が行うメッセージ送信処理の手順の一例を示すフローチャートである。
まず端末装置4のユーザによってメッセージングアプリケーションソフトが起動され(ステップS1)、ユーザが送信先を示す情報、及び送信メッセージをテキスト入力部13に対して入力することで当該テキスト入力部13が送信先を示す情報、及び送信メッセージを受け付けると(ステップS2)、テキスト入力部13は受け付けた送信メッセージのデータを特徴抽出部31に与える。なお、ここでは送信メッセージをテキストデータとして受け付けた場合を示す。
【0042】
送信メッセージが与えられた特徴抽出部31は、この送信メッセージの特徴を抽出する(ステップS3)。
特徴抽出部31は、受け付けた送信メッセージを複数の形態素に分解し、送信メッセージに現れた各形態素の出現個数をカウントし、この各形態素の出現個数を送信メッセージの特徴を表す特徴値として取得する。
【0043】
図5は、テキストデータである送信メッセージから当該送信メッセージの特徴を表す特徴値を抽出する態様を説明するための図である。
受け付けた送信メッセージのテキストデータT1が、
図5に示すように、「今日抜き打ち試験の日なんだってっ!!」である場合、特徴抽出部31は、このテキストデータT1を形態素に分解し、分解した各形態素の出現個数をカウントする。
【0044】
特徴抽出部31は、予め所定の基準で定義した形態素を記憶している。特徴抽出部31は、
図5に示すように、予め記憶している形態素と、その形態素それぞれの出現個数とを対応付けるためのテーブルを有している。特徴抽出部31は、このテーブルに、テキストデータT1に含まれる各形態素の出現個数を格納する。また、テキストデータT1に含まれていなかった形態素に対応する出現個数には「0」を格納する。
【0045】
図5に示すように、テキストデータT1には、形態素として「末尾の「っ」」が1個含まれているので、対応する出現個数の枠内には「1」が格納されている。また、「!」は、2回出現しているので、対応する出現個数の枠内には「2」が格納されている。
一方、「なぁ」や、「否定語」はテキストデータT1には含まれていないので、「0」が格納されている。
【0046】
特徴抽出部31は、
図5に示すように、テキストデータT1に現れた形態素の出現個数をカウントし、その結果を上述のテーブルに格納することで、テキストデータT1の各形態素の出現個数をベクトル化する。
特徴抽出部31は、ベクトル化したテキストデータT1の各形態素の出現個数を、送信メッセージの特徴を表す特徴値として取得する。以下、送信メッセージの特徴を表している特徴値を特徴ベクトルともいう。
なお、特徴抽出部31がテキストデータから抽出する特徴ベクトルの要素数は、特徴抽出部31が予め記憶している形態素の総数となる。
【0047】
図4に戻って、送信メッセージの特徴値(送信メッセージの特徴ベクトル)を抽出した特徴抽出部31は、抽出した特徴値を特定部32に与える。
特徴値が与えられた特定部32は、まず、吹き出し表示の形状を特定するために参照する必要がある各種データベースを特定する(ステップS4)。
特定部32は、記憶部11に記憶されている対応データベース20と、ユーザ履歴データベース21とを参照する。
両データベース20、21は、それぞれ複数記憶されている。よって、特定部32は、複数の対応データベース20の中から、使用する対応データベース20を選択し、さらに、複数のユーザ履歴データベース21の中から、使用するユーザ履歴データベース21を選択する(ステップS4)。
【0048】
図6は、対応データベース20の一例を示す図である。
対応データベース20には、予め定型分類された複数の吹き出し形状と、その吹き出し形状としたときのメッセージの特徴値を示した特徴情報と、が対応付けられて登録されている。
この対応データベース20は、漫画の紙面に掲載されている台詞と当該台詞の表示を含んだ吹き出し表示の形状との関係に基づいて、吹き出し形状に応じたメッセージの特徴値を学習し、その学習結果に基づいて得られた数値が登録されている。
【0049】
対応データベース20には、学習に用いた漫画において、吹き出し形状それぞれごとに台詞に含まれていた各形態素の出現頻度が登録されている。
図6に示すように対応データベース20の各列には、特徴抽出部31が抽出する特徴ベクトルの要素を構成している形態素と同じ形態素が割り当てられており、対応データベース20の各行には、予め定型分類した複数の吹き出し形状が割り当てられている。
例えば、吹き出し形状が破裂型である場合、「末尾の「っ」」の出現頻度として「0.87」が登録され、「!」の出現頻度としては「0.90」が登録され、「なぁ」の出現頻度としては「0.01」が登録され、「否定語」の出現頻度としては「0.7」が登録されている。
【0050】
対応データベース20に登録されている各形態素の出現頻度は、各吹き出し形状における台詞の特徴量を示している。つまり、対応データベース20には、その漫画における、各吹き出し形状とされた吹き出し表示に含まれる台詞(メッセージ)が有する特徴が、各形態素の出現頻度として登録されている。
ここで、対応データベース20に登録されている各吹き出し形状それぞれにおける各形態素の出現頻度は、特徴抽出部31が抽出するテキストデータの特徴ベクトルと同じ次元のベクトルと考えることができる。
つまり、対応データベース20に登録されている各吹き出し形状それぞれにおける各形態素の出現頻度は、各吹き出し形状としたときのメッセージの特徴値であり、各吹き出し形状としたときのメッセージの特徴値をベクトルとして示した特徴情報を構成している。
さらに、対応データベース20には、予め定型分類された複数の吹き出し形状と、各吹き出し形状としたときのメッセージの特徴情報とが対応付けて登録されている。
【0051】
よって特定部32は、この対応データベース20を参照し、特徴抽出部31が抽出する送信メッセージの特徴ベクトルと、対応データベース20に登録されている各吹き出し形状それぞれに対応付けられている特徴情報とを対比し、互いの類似度を求めることができる。
これにより、特定部32は、特徴抽出部31が抽出する送信メッセージの特徴ベクトルに最も類似する特徴情報に対応する吹き出し形状を特定することで、送信メッセージに対応した吹き出し形状を特定することができる。
【0052】
対応データベース20は以下のようにして構築される。
例えば、ある特定のタイトルの漫画の紙面に掲載されている台詞と、その台詞が含まれている吹き出し表示における吹き出し形態との組み合わせを多数抽出する。さらに抽出した台詞について形態素で分割し、tf−idf法によって吹き出し形態ごとの特徴的な形態素を求めた。なお、ここでは、吹き出し形状ごとの特徴的な形態素を求めた場合について説明する。
【0053】
定型分類された複数の吹き出し形状の内のある吹き出し形状をSとし、台詞中に含まれる任意の形態素をtとし、吹き出し形状Sにおける任意の形態素tの出現頻度をn
t,sとする。また、吹き出し形状Sに含まれる全台詞で用いられる形態素の種類数をNot
sとすると、HARMANの正規化tf値tf(t,S)は下記式(1)で求めることができる。
【0055】
形態素tが出現する吹き出し形状の種類数をdf(t)、吹き出し形状の全種類数をDとすると、idf(t)は、下記式(2)のように表される。
【0057】
上記式(1)及び(2)を用いて、吹き出し形状dにおける台詞中の形態素tのtf−idf値w(t,d)は、下記式(3)のように表される。なお吹き出し形状dとは、任意の吹き出し形状を示す。
【0059】
以上のようにして、定型分類した複数の吹き出し形状それぞれについて、各形態素の出現頻度を求め、この出現頻度を
図6に示す対応データベース20に登録する。
以上のようにして、対応データベース20は、漫画に掲載されている台詞と当該台詞の表示を含んだ吹き出し表示の形態との関係に基づいて特徴情報を構成する各形態素の出現頻度を学習し、その学習結果に基づいて構築される。
【0060】
対応データベース20は、漫画の紙面に掲載されている台詞と当該台詞の表示を含んだ吹き出し表示の形態との関係に基づいて特徴情報を学習し、その学習結果に基づいて構築されているので、漫画に掲載されている台詞が表す感情や音声表現と、吹き出し形態との対応関係を、対応データベース20に登録される特徴情報と、吹き出し形態との対応関係に反映させることができる。
【0061】
このため、内容の異なる漫画を用いて学習すれば、内容が異なる対応データベース20を構築することができる。
なお、前記内容には、予め定型分類された複数の吹き出し形状と、各吹き出し形状としたときのメッセージの特徴情報との対応関係や、分類される吹き出し形状、特徴情報を構成する特徴値の値等が含まれる。
【0062】
例えば、少女漫画を用いて学習した場合の対応データベース20と、主人公が格闘を演じる漫画を用いて学習した場合の対応データベース20とは、同じテキストデータに対して特定される吹き出し形態も異なり、その内容が大きく異なる。
そこで、本実施形態では、複数の対応データベース20を備えている。各対応データベース20は、互いに異なる漫画を用いて学習した結果に基づいて構築されている。
これにより、互いに異なる基準で吹き出し形態を特定可能な対応データベース20を複数備えることができる。
【0063】
図4に戻って、特定部32は、ステップS4において、複数の対応データベース20の中から、使用する対応データベース20を選択する。
特定部32は、記憶部11に記憶されているユーザ情報を参照し、使用する対応データベース20を選択する。
ユーザ情報には、端末装置4のユーザの性別や年齢、趣味等、当該ユーザを特定するための情報が登録されている。
対応データベース20は、その学習に用いた漫画の内容に応じて、性別、年齢、及び趣味で予め分類分けしておくことができる。
特定部32は、その分類と、ユーザ情報とを比較して対応データベース20を選択するので、ユーザの嗜好に応じた適切な対応データベース20を選択することができる。
【0064】
さらに、特定部32は、ステップS4において、複数のユーザ履歴データベース21の中から、使用するユーザ履歴データベース21を特定する。
【0065】
各ユーザ履歴データベース21は、上述の対応データベース20と同様、予め定型分類された複数の吹き出し形状と、各吹き出し形状としたときのメッセージの特徴情報とが対応付けて登録されているデータベースを構成している。
また、ユーザ履歴データベース21は、上述のように、学習部35によって、ある送信メッセージに対するユーザが過去に選択した吹き出し形状を示す情報が反映されるように更新される。
ユーザ履歴データベース21は、学習部35によって更新される前は、対応データベース20と同じ内容とされている。学習部35は、ユーザが送信メッセージを含んだ吹き出し形状を選択するごとにその選択結果が反映されるようにユーザ履歴データベース21を更新する。学習部35は、ユーザによる選択結果から得られる情報を、対応データベース20を作成する際に用いたデータと同様に取り扱うことで、ユーザ履歴データベース21を更新する。
【0066】
この際、学習部35は、ユーザによる選択結果から得られる情報については、対応データベース20を作成する際に用いたデータに対して、重み付けを設定することができる。
これによって、学習部35は、ユーザによる選択結果がユーザ履歴データベース21に与える影響の度合を調整することができる。
【0067】
また、各ユーザ履歴データベース21は、それぞれ送信先ごとに対応している。つまり、複数のユーザ履歴データベース21は、互いに異なる送信先のユーザとのメッセージ交換で用いられることによって内容の異なる学習がなされる。よって、送信先(受信側)の各ユーザそれぞれに適した内容となっている。
【0068】
よって、特定部32は、複数のユーザ履歴データベース21の中から、送信メッセージを送信しようとしている送信先のユーザに対応するユーザ履歴データベース21を選択する(ステップS4)。
【0069】
使用する対応データベース20及びユーザ履歴データベース21を選択すると、特定部32は、これらデータベース20、21を参照して、一又は複数の吹き出し形状を特定する(ステップS5)。
特定部32は、対応データベース20及びユーザ履歴データベース21を参照し、特徴抽出部31が抽出する送信メッセージの特徴ベクトルと、対応データベース20及びユーザ履歴データベース21それぞれに登録されている各吹き出し形状それぞれに対応付けられている特徴情報とを対比し、その類似度を求める。
【0070】
特定部32は、求めた前記類似度から、対応データベース20及びユーザ履歴データベース21において、送信メッセージの特徴ベクトルに対して最も類似していると判断することができる特徴情報を特定し、特定した特徴情報に対応する吹き出し形状を、送信メッセージに対応した吹き出し形状として特定することができる。
【0071】
このように、特定部32は、対応データベース20とユーザ履歴データベース21とを参照して吹き出し形状を特定するので、特定部32が特定する吹き出し形状に、自端末装置4のユーザによる過去の選択結果を反映させることができる。
【0072】
また、各ユーザ履歴データベース21は、互いに異なる送信先のユーザとのメッセージ交換で用いられることによって内容の異なる学習がなされ、送信先(受信側)の各ユーザそれぞれに適した内容となっている。
このため、特定部32は、送信先の各ユーザそれぞれに適した吹き出し形状が特定可能となる。
【0073】
また、特定部32は、送信メッセージの特徴ベクトルと最も類似している特徴情報に対応する吹き出し形状の他、例えば、2番目に類似している特徴情報に対応する吹き出し形状と、3番目に類似している特徴情報に対応する吹き出し形状も特定する。
【0074】
以上のように、本実施形態の特徴抽出部31と、対応データベース20と、特定部32とは、送信メッセージを含んだ吹き出し表示に関する処理を行うメッセージ処理装置を構成している。
【0075】
次いで、特定部32は、特定した3つの吹き出し形状を示す情報を選択受付部33に与える。
選択受付部33は、特定部32から吹き出し形状を示す情報が与えられると、その情報に対応する吹き出し形状を自端末装置4の表示部14に表示する(ステップS6)。
【0076】
選択受付部33は、特定部32から吹き出し形状を示す情報が与えられると、記憶部11に記憶されている吹き出し形態データベース23を参照する。
吹き出し形態データベース23には、吹き出し表示を選択可能な各形態(吹き出し形状、色、フォント等)として表示するために必要な情報が登録されている。
選択受付部33は、特定部32からの吹き出し形状(形態)を示す情報に基づいて、吹き出し形態データベース23を参照し、吹き出し形状を示す情報に対応する吹き出し形状を表示するために必要な情報を取得する。
【0077】
吹き出し形状を表示するために必要な情報を取得した選択受付部33は、取得した情報を用いて吹き出し形状を表示部14に表示する(ステップS6)。
さらに、選択受付部33は、特定部32が特定した3つの吹き出し形状の内のいずれかについて、自端末装置4のユーザによる選択を受け付ける(ステップS7)。
【0078】
図7(a)は、特定部32が特定した複数の吹き出し形状を表示したときの表示部14の一例を示す図である。
図7(a)中、表示部14における上側のメッセージ表示領域14aは、送受信された各メッセージの表示を含んだ吹き出し表示40がログとして時系列で配列されている。
【0079】
選択受付部33は、メッセージ表示領域14aの下側の吹き出し形状表示領域14bに特定部32が特定した各吹き出し形状を表示する。
選択受付部33は、
図7(a)中、吹き出し形状表示領域14bに表示されている3つの吹き出し形状の部分の内のいずれかの部分がユーザによってタップされることで、ユーザがいずれの吹き出し形状を選択したかを判断することができる。
【0080】
自端末装置4のユーザによって
図7(a)中の吹き出し形状表示領域14bに表示されている3つの吹き出し形状の表示部分のいずれか1つが指でタップされれば、選択受付部33は、タップされた表示形状がユーザの希望する吹き出し形状であると判断する。
これによって、選択受付部33は、特定部32が特定した各吹き出し形状を表示するとともに、自端末装置4のユーザによる吹き出し形状の選択を受け付けることができる。
【0081】
このように、選択受付部33は、特定部32が特定した複数の吹き出し形状の中から送信先(受信側)の端末装置4に表示させる吹き出し形状を自端末装置4のユーザに選択させることができる。
【0082】
図4中、ステップS7において自端末装置4のユーザによる吹き出し形状の選択を受け付けると、選択受付部33は、選択された吹き出し形状を採用した吹き出し表示を表示部14の吹き出し形状表示領域14bに表示する(ステップS8)。
【0083】
図7(b)は、選択された吹き出し形状を採用した吹き出し表示を表示した場合の表示部14の一例を示す図である。
図7(b)に示すように、吹き出し形状表示領域14bには、送信メッセージの表示を含んだ吹き出し表示40が表示されている。
自端末装置4のユーザは、吹き出し形状表示領域14bに表示された吹き出し表示40によって、自らが選択した吹き出し形状が採用された吹き出し表示を確認することができる。
【0084】
また、選択受付部33は、吹き出し形状表示領域14bに、吹き出し表示40とともに、「OK」と表示された承諾ボタン14cと、「戻る」と表示された再選択ボタン14dとを表示する。
選択受付部33は、承諾ボタン14cが自端末装置4のユーザによってタップされると、当該ユーザが吹き出し形状表示領域14bに表示した吹き出し表示40で送信メッセージを送信することを承諾したと判断する。
また、選択受付部33は、再選択ボタン14dが自端末装置4のユーザによってタップされると、当該ユーザが吹き出し形状表示領域14bに表示した吹き出し表示40以外の表示への再選択を望んでいると判断する。
【0085】
よって、選択受付部33は、承諾ボタン14c及び再選択ボタン14dによって、自端末装置4のユーザが吹き出し形状表示領域14bに表示した吹き出し表示40で送信メッセージを送信することを承諾したか否かを判断する。
【0086】
図4に戻って、自端末装置4のユーザによって承諾ボタン14cがタップされれば、選択受付部33は、自端末装置4のユーザが吹き出し形状表示領域14bに表示した吹き出し表示40で送信メッセージを送信することを承諾したと判断し(ステップS9)、送信メッセージや選択された吹き出し形状を表示するために必要な情報を送信処理部34に与える。
【0087】
選択受付部33から送信メッセージや選択された吹き出し形状を表示するために必要な情報が与えられると、送信処理部34は、送信メッセージをテキストデータとして送信先の端末装置4に送信するとともに、選択された吹き出し形状の吹き出し表示を表示するために必要な情報を送信先の端末装置4に送信し(ステップS10)、処理を終える。
【0088】
一方、自端末装置4のユーザによって再選択ボタン14dがタップされれば、選択受付部33は、自端末装置4のユーザが吹き出し形状表示領域14bに表示した吹き出し表示40で送信メッセージを送信することを承諾しなかったと判断し(ステップS9)、再度ステップS6に戻り、特定部32が特定した3つの吹き出し形状を表示する。
以降、選択受付部33は、送信メッセージの送信が承諾されたと判断するまで(ステップS9)、上述の処理を繰り返す。
【0089】
〔メッセージ受信処理について〕
図8は、端末装置4が行うメッセージ受信処理の手順の一例を示すフローチャートである。
端末装置4の受信処理部36は(
図2)、他の端末装置4からのメッセージを受信したか否かを判断する(ステップS21)。
受信処理部36は、他の端末装置4からのメッセージを受信していないと判断すれば、再度、他の端末装置4からのメッセージを受信したか否かを判断する。よって、受信処理部36は、他の端末装置4からのメッセージの受信を継続的に判断する。
【0090】
他の端末装置4からのメッセージを受信したと判断すると、受信処理部36は、メッセージとともに送信されてくる当該メッセージを表示するための吹き出し表示を表示するために必要な情報を参照し、吹き出し表示の形状を特定する(ステップS22)。
受信処理部36は、吹き出し表示の形状を特定するために、記憶部11に記憶された吹き出し形態データベース23を参照し、受信した吹き出し表示の吹き出し形状を特定する。
【0091】
次いで、受信処理部36は、特定した吹き出し形状に応じた態様で着信鳴動する(ステップS23)。つまり、受信処理部36は、特定した吹き出し形状に応じて着信鳴動の態様を変更する。
受信処理部36は、特定した吹き出し形状に応じた着信音及びバイブレーションパターンによって着信鳴動するために、記憶部11に記憶された着信鳴動データベース24を参照する。
着信鳴動データベース24には、各吹き出し形状それぞれに対して予め設定された着信音及びバイブレーションパターンのデータが登録されている。
受信処理部36は、着信鳴動データベース24を参照し、特定した吹き出し形状に応じた着信音及びバイブレーションパターンのデータを取得し、鳴動する。
【0092】
この場合、当該端末装置4のユーザは、着信音及びバイブレーションパターンに対応する吹き出し形状を把握していれば、着信音に基づいて、受信したメッセージが表示される吹き出し形状を特定することができる。よって、メッセージを閲覧することなく、その吹き出し形状によって表現されているメッセージに付随する感情や音声表現に関する情報を把握することができる。この結果、当該端末装置4のユーザは、受信したメッセージを閲覧せずとも前記メッセージの概略を把握することができる。
【0093】
例えば、メッセージの詳細な内容に応じて着信音やバイブレーション等を変更させた場合、あまりにも多様で実現可能性が低い。
一方、本実施形態のように、予め定型分類された吹き出し形状に応じて変更する場合、定型分類される吹き出し形状の種類はそれほど多様でないため、実現が容易であり、かつ感情等を端的に表現できるため、メッセージの概略を伝える上で有用である。
【0094】
ステップS23において着信音を再生すると、受信処理部36は、テキストデータであるメッセージと、メッセージとともに受信した当該メッセージを表示するための吹き出し表示を表示するために必要な情報とを用いて、表示部14に表示するための処理(受信メッセージの処理)を行い(ステップS24)、処理を終える。
【0095】
〔効果について〕
以上のように、本実施形態の端末装置4は、送信メッセージを含んだ吹き出し表示に関する処理を行うメッセージ処理装置を含んでいる。
このメッセージ処理装置は、送信メッセージの特徴値である特徴ベクトルを抽出する特徴抽出部31と、予め定型分類された複数の吹き出し形状と、前記吹き出し形状としたときのメッセージの特徴値を示した特徴情報と、が対応付けられて登録されている対応データベース20と、対応データベース20を参照し、送信メッセージの特徴ベクトルと特徴情報とを対比して、対応データベース20に登録されている吹き出し形状の中から一又は複数の吹き出し形態を特定する特定部32とを備えている。
【0096】
上記のように構成されたメッセージ送受信システム1によれば、対応データベース20に基づいて、送信メッセージの特徴に応じた吹き出し形状(形態)を特定することができる。この結果、送信メッセージを当該送信メッセージに応じた形状とされた吹き出し表示に含めて表示することができ、送信メッセージに付随する感情や音声表現に関する情報を吹き出し表示によって適切に表現することができる。
【0097】
また、本実施形態において、上記送信メッセージの特徴値は、テキストデータ(文字情報)である送信メッセージを構成する複数の要素である形態素ごとの特徴量で表されている。なお、形態素ごとの特徴量は、形態素ごとの出現個数である。
よって、この場合、送信メッセージの特徴を複数の要素(形態素)ごとに特徴値として数値化(ベクトル化)し、同じく形態素ごとの特徴量(出現頻度)で表されている特徴情報と対比することで送信メッセージに応じた吹き出し形状を数値計算によって容易に特定することができる。
【0098】
〔その他〕
本発明は、上記実施形態に限定されない。例えば、上記実施形態において特定部32は、複数の吹き出し形状を特定した場合を例示したが、送信メッセージの特徴ベクトルと最も類似している特徴情報に対応する吹き出し形状を1つだけ特定するように構成してもよい。
【0099】
また、上記実施形態では、
図4中、ステップS6において、選択受付部33が3つの吹き出し形状を表示部14に表示し、その後、ステップS8において、ユーザが選択した吹き出し形状を採用した吹き出し表示を表示部14に表示する場合を例示したが、ステップS6の段階で、送信メッセージの特徴ベクトルと最も類似している特徴情報に対応する吹き出し形状のみについては、メッセージを含めた吹き出し表示(
図7(b)に示す表示)として表示部14に表示してもよい。
【0100】
また、上記実施形態では、吹き出し表示における吹き出し形態の内、主として吹き出し形状を特定する態様について説明したが、吹き出し形態を構成する他の要素である、吹き出し表示の色や、吹き出し表示に含まれる送信メッセージのフォントについても、吹き出し形状と同様、送信メッセージを表示するための吹き出し表示の色、及びフォントを特定するように構成することができる。
【0101】
図6で示した対応データベース20には、各吹き出し形状と、それぞれにおける特徴情報(各形態素の出現頻度)が登録されている場合を示したが、例えば、
図9(a)に示すように、吹き出し形状に加えて、各吹き出し表示におけるメッセージを表示するためのフォントそれぞれにおける特徴情報についても登録されている対応データベース20や、
図9(b)に示すように、各吹き出し表示の色それぞれにおける各形態素の出現頻度が登録されている対応データベース20を用意しておくこともできる。また、出現頻度、フォント、及び色の全てが登録されている対応データベース20とすることもできる。
さらに、例えば、破裂型の吹き出し形状における、突起部分の数等、同一形状の吹き出し形状における変形態様についても上記同様、対応データベース20に盛り込むことができる。
【0102】
これにより、特定部32は、吹き出し形状以外の吹き出し形態を構成する要素である、吹き出し表示における色やフォントについても対応データベース20を参照し特定することができる。
【0103】
また、上記実施形態では、特徴抽出部31が、テキスト入力部13によってテキストデータとして受け付けた送信メッセージを形態素に分解し、当該送信メッセージの特徴を特徴ベクトルとして抽出する場合を示した。
一方、特徴抽出部31は、上述したように、音声入出力部12が音として受け付けた送信メッセージの特徴を抽出する機能も有している。
音として受け付けた送信メッセージを処理する場合、特徴抽出部31は、音で構成された送信メッセージの特徴として、その音の音量や中心周波数、発話スピードといった複数の音特性を測定する。特徴抽出部31は、これら複数の音特性に関する測定結果を、音で構成された送信メッセージの特徴を表す特徴値(特徴ベクトル)として取得する。
【0104】
この場合、特定部32には、複数の音特性の測定結果が、音で構成された送信メッセージの特徴を表す特徴ベクトルとして与えられるため、対応データベース20についても、複数の音特性に関する値が特徴情報として登録されたものが用いられる。
図10は、対応データベース20の他の例を示す図である。
図10に示す対応データベース20では、上記実施形態における形態素に代えて、複数の音特性に関する値が各行に割り当てられている。
【0105】
例えば、吹き出し形状が破裂型である場合、「音量」として「0.92」が登録され、「中心周波数」としては「0.53」が登録され、「発話スピード」としては「0.78」が登録され、「包絡線のアタックタイム」としては「0.03」が登録されている。
【0106】
図10に示す対応データベース20は、アニメ化された漫画を用いて学習した結果に基づいて構築されている。
図10に示す対応データベース20は、以下のようにして構築される。
まず、漫画の紙面に記載されている吹き出し表示の形状と、この吹き出し表示に含まれている台詞をアニメーションの声優が発話したときの音声との組み合わせを多数抽出する。
そして、音声について、上記複数の音特性の測定を行いその測定値を得る。その後、同じ吹き出し形状ごとに各測定値を平均化する。
これによって、吹き出し表示に含まれる台詞が発話されたときの複数の音特性に関する値を求めることができる。
上記のように求めた値を、予め定型分類された複数の吹き出し形状と対応付けて登録することで、対応データベース20を構築することができる。
【0107】
なお、送信メッセージを音として受け付けた場合、端末装置4は、その送信メッセージをそのまま音データとして送信先の端末装置4に送信することもできるし、テキストデータに変換できる場合には送信メッセージを送信することもできる。また、送信メッセージを音データとして送信する場合、テキストデータとして送信する場合のいずれにおいても、これらデータの表示を吹き出し表示に含めて送信することができる。
【0108】
また、上記実施形態では、端末装置4が、特徴抽出部31、特定部32、学習部35、対応データベース20、ユーザ履歴データベース21、ユーザ情報22、及び吹き出し形態データベース23を備えることで、メッセージ処理装置の機能を端末装置4が有する場合を例示したが、対応データベース20や、吹き出し形態データベース23、着信鳴動データベース24等は、サーバ3に記憶させてもよい。
この場合、各端末装置4は、処理を行う上で必要に応じてサーバ3にアクセスし、各データベースを参照して情報を取得する。
【0109】
また、特徴抽出部31、特定部32、及び学習部35についても、サーバ3に設けてもよい。
この場合、各端末装置4は、メッセージの吹き出し表示の形態を特定する処理を行うために、必要な情報をサーバ3に与えるとともに、処理要求をサーバ3に与える。サーバ3は、各端末装置4からの要求に応じてメッセージの吹き出し表示の形態を特定する処理を実行することができる。