(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
(a)その主面にメモリセル領域と、前記主面の第1方向において、前記メモリセル領域に隣り合うシャント領域と、周辺回路領域と、を有する半導体基板を準備する工程、
(b)前記半導体基板の主面上に第1シリコン膜を堆積する工程、
(c)前記第1シリコン膜を加工し、前記メモリセル領域に、前記第1方向に延在する第1ゲート電極を形成し、前記シャント領域に、前記第1ゲート電極と一体の第1電極を形成する工程、
(d)前記第1ゲート電極および前記第1電極を覆うように、前記半導体基板の主面上に第2シリコン膜を堆積する工程、
(e)前記シャント領域において、前記第1電極の上面の一部および第2電極形成領域を覆うマスク膜を形成する工程、
(f)前記第2シリコン膜に異方性ドライエッチングを施し、前記メモリセル領域の前記第1ゲート電極の側壁上に第2ゲート電極を形成し、前記シャント領域において、前記第1電極の側壁に沿う第1部分と、前記第1部分から前記半導体基板の主面に沿って延在する第2部分と、前記第1部分から前記第1電極の上面上に延在する第3部分を有する第2電極を形成する工程、
(g)前記周辺回路領域において、前記第1シリコン膜を加工し、第3ゲート電極形成用のダミー電極を形成する工程、
(h)前記第1ゲート電極および前記第2ゲート電極を挟むように、前記半導体基板の主面に第1ソース領域および第1ドレイン領域を、前記ダミー電極を挟むように、前記半導体基板の主面に第2ソース領域および第2ドレイン領域を形成する工程、
(i)前記第1ゲート電極、前記第2ゲート電極、ダミー電極、前記第1電極および前記第2電極を覆うように、前記半導体基板の主面上に第1絶縁膜を堆積する工程、
(j)前記第1絶縁膜に第1研磨処理を施し、前記第1ゲート電極上、前記第2ゲート電極上、ダミー電極上、前記第1電極上、および、前記第2電極上に位置する前記第1絶縁膜を部分的に除去するとともに、前記第2電極の前記第3部分を除去し、前記第1ゲート電極の上面、前記第2ゲート電極の上面、前記ダミー電極の上面、前記第1電極の上面、および、前記第2電極の前記第1部分の上面を露出する工程、
(k)前記ダミー電極を選択的に除去して、前記第1絶縁膜に溝を形成する工程、
(l)前記溝内を、選択的に、第2絶縁膜および金属膜で埋め込み、前記第3ゲート電極を形成する工程、
(m)前記第1ゲート電極、前記第2ゲート電極、前記第3ゲート電極、前記第1電極および前記第2電極を覆うように、前記半導体基板の主面上に第3絶縁膜を堆積する工程、
(n)前記第1絶縁膜および前記第3絶縁膜を貫通し、前記第1ドレイン領域に接続する導電性の第1プラグを形成し、前記第1絶縁膜および前記第3絶縁膜を貫通し、前記第2電極に接続する導電性の第2プラグを形成する工程、
(o)前記第3絶縁膜上であって、前記第1プラグに接続する第1金属配線、前記第2プラグに接続する第2金属配線を形成する工程、
を有する、半導体装置の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その言及した数に限定されるものではなく、言及した数以上でも以下でもよい。さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
【0012】
以下、実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の実施の形態では、特に必要なとき以外は同一または同様な部分の説明を原則として繰り返さない。
【0013】
また、実施の形態で用いる図面においては、断面図であっても図面を見易くするためにハッチングを省略する場合もある。また、平面図であっても図面を見易くするためにハッチングを付す場合もある。
【0014】
(実施の形態)
<半導体装置の製造工程について>
本実施の形態および以下の実施の形態の半導体装置は、不揮発性メモリ(不揮発性記憶素子、フラッシュメモリ、不揮発性半導体記憶装置)を備えた半導体装置である。本実施の形態および以下の実施の形態では、不揮発性メモリは、nチャネル型MISFET(MISFET:Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)を基本としたメモリセルをもとに説明を行う。
【0015】
本実施の形態の半導体装置の製造方法を、図面を参照して説明する。
【0016】
図1〜
図3は、本実施の形態の半導体装置の製造工程の一部を示すプロセスフロー図である。
図4〜
図21は、本実施の形態の半導体装置の製造工程中の要部断面図である。なお、
図4〜
図21の断面図には、メモリセル領域1A、周辺回路領域1Bおよびシャント領域SHの要部断面図が示されており、半導体基板SBにおいて、メモリセル領域1Aに不揮発性メモリのメモリセルが、周辺回路領域1BにMISFETが、シャント部SHにシャント構造が、それぞれ形成される様子が示されている。
【0017】
メモリセル領域1A、周辺回路領域1Bおよびシャント領域SHは、同じ半導体基板SBに存在している。
図4〜
図21の断面図においては、メモリセル領域1A、周辺回路領域1Bおよびシャント領域SHの順に図示しているが、メモリセル領域1Aと周辺回路領域1B、周辺回路領域1Bとシャント領域SHとは隣り合っていなくともよい。
【0018】
メモリセル領域1Aには、複数のスプリットゲート型のメモリセルが行列状(マトリックス状)に配置されており、メモリセルは、nチャネル型のMISFET(制御トランジスタおよびメモリトランジスタ)で構成されている。メモリセルは、半導体基板上にゲート絶縁膜を介して形成された制御ゲート電極と、半導体基板上に電荷蓄積領域を含むゲート絶縁膜を介して形成されたメモリゲート電極と、制御ゲート電極およびメモリゲート電極を挟むように半導体基板の表面に形成された一対の半導体領域(ソース領域およびドレイン領域)を有している。
【0019】
また、本実施の形態においては、メモリセル領域1Aにnチャネル型のMISFET(制御トランジスタおよびメモリトランジスタ)を形成する場合について説明するが、導電型を逆にしてpチャネル型のMISFET(制御トランジスタおよびメモリトランジスタ)をメモリセル領域1Aに形成することもできる。後述するが、制御トランジスタは、例えば、シリコン膜(多結晶シリコン膜)からなる制御ゲート電極、そして、メモリトランジスタは、例えば、シリコン膜(多結晶シリコン膜)からなるメモリゲート電極を有している。
【0020】
シャント領域(給電領域)SHとは、複数のメモリセルに対して、一体(共通)に形成された制御ゲート電極およびメモリゲート電極を、制御ゲート線(選択ゲート線)およびメモリゲート線に接続するための領域であり、メモリセル領域1Aに隣接して配置されている。メモリセル領域1Aに延在する制御ゲート電極およびメモリゲート電極は、連続して、シャント領域SHにまで延在しており、シャント領域SHにおいて、制御ゲート電極は制御ゲート線に、メモリゲート電極MGは、メモリゲート線に接続されている。
【0021】
周辺回路1Bとは、不揮発性メモリ以外の回路であり、例えば、CPUなどのプロセッサ、制御回路、センスアンプ、カラムデコーダ、ロウデコーダなどである。周辺回路領域1Bに形成されるMISFETは、周辺回路用のMISFETである。本実施の形態においては、周辺回路領域1Bにnチャネル型のMISFETを形成する場合について説明するが、導電型を逆にしてpチャネル型のMISFETを周辺回路領域1Bに形成することもでき、また、周辺回路領域1BにCMISFET(Complementary MISFET)などを形成することもできる。
【0022】
図4に示されるように、まず、例えば1〜10Ωcm程度の比抵抗を有するp型の単結晶シリコンなどからなる半導体基板(半導体ウエハ)SBを用意(準備)する(
図1のステップS1)。それから、半導体基板SBの主面に、活性領域を規定(画定)する素子分離領域(素子間分離絶縁領域)STを形成する(
図1のステップS2)。
【0023】
素子分離領域STは、酸化シリコンなどの絶縁体からなり、例えばSTI(Shallow Trench Isolation)法またはLOCOS(Local Oxidization of Silicon)法などにより形成することができる。例えば、半導体基板SBの主面に素子分離用の溝STRを形成した後、この素子分離用の溝STR内に、例えば酸化シリコンからなる絶縁膜を埋め込むことで、素子分離領域STを形成することができる。より具体的には、半導体基板SBの主面に素子分離用の溝STRを形成した後、半導体基板SB上に、この素子分離用の溝STRを埋めるように、素子分離領域形成用の絶縁膜(例えば酸化シリコン膜)を形成する。それから、素子分離用の溝STRの外部の絶縁膜(素子分離領域形成用の絶縁膜)を除去することで、素子分離用の溝STRに埋め込まれた絶縁膜からなる素子分離領域STを形成することができる。素子分離領域STは、半導体基板SBの主面において、素子が形成される活性領域を囲むように配置されている。つまり、素子間は、素子分離領域STで分離されている。素子分離領域STは、メモリセル領域1Aと周辺回路領域1B間を電気的に分離するとともに、メモリセル領域1Aにおいて、メモリセル間を、周辺回路領域1Bにおいて、複数のMISFET間を電気的に分離している。シャント部SHには、幅広の素子分離領域STが形成されている。
【0024】
次に、
図5に示されるように、半導体基板SBのメモリセル領域1Aにp型ウエルPW1を、周辺回路領域1Bにp型ウエルPW2を形成する(
図1のステップS3)。p型ウエルPW1,PW2は、例えばホウ素(B)などのp型の不純物を半導体基板SBにイオン注入することなどによって形成することができる。p型ウエルPW1,PW2は、半導体基板SBの主面から所定の深さにわたって形成される。p型ウエルPW1とp型ウエルPW2とは、同じ導電型であるため、同じイオン注入工程で形成しても、あるいは異なるイオン注入工程で形成してもよい。図示しないが、メモリセル領域1Aのp型ウエルPW1は、平面視および断面視において、n型ウエルで覆われており、周辺回路領域1Bのp型ウエルPW2とは、電気的に分離されている。
【0025】
次に、希釈フッ酸洗浄などによって半導体基板SB(p型ウエルPW1,PW2)の表面を清浄化した後、半導体基板SBの主面(p型ウエルPW1,PW2の表面)に、ゲート絶縁膜用の絶縁膜GIを形成する(
図1のステップS4)。
【0026】
絶縁膜GIは、例えば薄い酸化シリコン膜または酸窒化シリコン膜などにより形成し、絶縁膜GIの形成膜厚は、例えば2〜3nm程度とすることができる。絶縁膜GIは、熱酸化法、CVD(Chemical Vapor Deposition:化学的気相成長)法、あるいは、プラズマ窒化法により形成することができる。絶縁膜GIを、熱酸化法により形成した場合には、素子分離領域ST上には絶縁膜GIは形成されない。
【0027】
他の形態として、ステップS4において、周辺回路領域1Bの絶縁膜GIを、メモリセル領域1Aの絶縁膜GIとは別の工程で、異なる膜厚で形成することもできる。
【0028】
次に、
図6に示されるように、半導体基板SBの主面(主面全面)上に、すなわちメモリセル領域1A、周辺回路領域1Bの絶縁膜GI上およびシャント領域SHの素子分離領域ST上に、シリコン膜PS1を形成(堆積)する(
図1のステップS5)。
【0029】
シリコン膜PS1は、後述の制御ゲート電極CGを形成するための導電膜であり、シャント領域SHにおいて、制御ゲート電極CGと一体に形成される後述の第1電極D1を形成するための導電膜である。また、シリコン膜PS1は、後述のゲート電極DGを形成するための導電膜を兼ねている。すなわち、シリコン膜PS1により、後述の制御ゲート電極CG、後述のゲート電極DGおよび後述の第1電極が、形成される。
【0030】
シリコン膜PS1は、多結晶シリコン膜(ポリシリコン膜)からなり、CVD法などを用いて形成することができる。シリコン膜PS1の堆積膜厚は、例えば50〜100nm程度とすることができる。シリコン膜PS1は、成膜時に不純物を導入するか、あるいは成膜後に不純物をイオン注入することなどにより、低抵抗の半導体膜(ドープトポリシリコン膜)とすることができる。メモリセル領域1Aおよびシャント領域SHのシリコン膜PS1は、好ましくは、リン(P)またはヒ素(As)などのn型不純物が導入されたn型のシリコン膜である。
【0031】
次に、半導体基板SBの主面(主面全面)上に、すなわちシリコン膜PS1上に、絶縁膜IL1を形成(堆積)する(
図1のステップS6)。
【0032】
絶縁膜IL1は、後述のキャップ絶縁膜CP1,CP2,CP3を形成するための絶縁膜である。絶縁膜IL1は、例えば窒化シリコン膜などからなり、CVD法などを用いて形成することができる。絶縁膜IL1の堆積膜厚は、例えば20〜50nm程度とすることができる。ステップS5,S6を行うことにより、シリコン膜PS1とシリコン膜PS1上の絶縁膜IL1との積層膜LFが形成された状態になる。ここで、積層膜LFは、シリコン膜PS1とシリコン膜PS1上の絶縁膜IL1とからなる。
【0033】
次に、積層膜LFを、すなわち絶縁膜IL1およびシリコン膜PS1を、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術によりパターニングして、制御ゲート電極CGと制御ゲート電極CG上のキャップ絶縁膜CP1とを有する積層体(積層構造体)LM1をメモリセル領域1Aに形成する(
図1のステップS7)。
【0034】
ステップS7は、次のようにして行うことができる。すなわち、まず、
図6に示されるように、絶縁膜IL1上にフォトリソグラフィ法を用いてレジストパターンとしてフォトレジストパターンPR1を形成する。このフォトレジストパターンPR1は、メモリセル領域1Aにおける制御ゲート電極CG形成予定領域と、周辺回路領域1B全体と、シャント領域SHにおける第1電極D1形成予定領域とに形成される。それから、このフォトレジストパターンPR1をエッチングマスクとして用いて、メモリセル領域1Aおよびシャント領域SHにおけるシリコン膜PS1と絶縁膜IL1との積層膜LFをエッチング(好ましくはドライエッチング)してパターニングし、その後、このフォトレジストパターンPR1を除去する。これにより、
図7に示されるように、メモリセル領域1Aに、パターニングされたシリコン膜PS1からなる制御ゲート電極CGと、パターニングされた絶縁膜IL1からなるキャップ絶縁膜CP1との積層体LM1が形成される。また、シャント領域SHに、パターニングされたシリコン膜PS1からなる第1電極D1と、パターニングされた絶縁膜IL1からなるキャップ絶縁膜CP2との積層体LM2が形成される。
【0035】
積層体LM1は、制御ゲート電極CGと制御ゲート電極CG上のキャップ絶縁膜CP1とからなり、メモリセル領域1Aの半導体基板SB(p型ウエルPW1)上に絶縁膜GIを介して形成される。制御ゲート電極CGとキャップ絶縁膜CP1とは、平面視ではほぼ同じ平面形状を有しており、平面視で重なっている。
【0036】
積層体LM2は、第1電極D1と第1電極上のキャップ絶縁膜CP2とからなり、シャント領域SHの素子分離領域ST上に絶縁膜GIを介して形成される。
図8以降では、素子分離領域ST上の絶縁膜GIを省略する。第1電極D1とキャップ絶縁膜CP2とは、平面視ではほぼ同じ平面形状を有しており、平面視で重なっている。
【0037】
ステップS7を行うと、メモリセル領域1Aにおいては、積層体LM1となる部分以外のシリコン膜PS1および絶縁膜IL1は除去され、シャント領域SHにおいては、積層体LM2となる部分以外のシリコン膜PS1および絶縁膜IL1は除去される。一方、フォトレジストパターンPR1は、周辺回路領域1Bにおいては、周辺回路領域1B全体に形成される。このため、ステップS7を行っても、周辺回路領域1Bにおいては、シリコン膜PS1とシリコン膜PS1上の絶縁膜IL1との積層膜LF1は、除去されずに、従ってパターニングされずに、そのまま残存する。周辺回路領域1Bに残存する積層膜LFを、符号LF1を付して積層膜LF1と称することとする。
【0038】
メモリセル領域1Aにおいて、パターニングされたシリコン膜PS1からなる制御ゲート電極CGが形成され、制御ゲート電極CGは、制御トランジスタ用のゲート電極である。制御ゲート電極CGの下に残存する絶縁膜GIが、制御トランジスタのゲート絶縁膜となる。従って、メモリセル領域1Aにおいて、シリコン膜PS1からなる制御ゲート電極CGは、半導体基板SB(p型ウエルPW1)上にゲート絶縁膜としての絶縁膜GIを介して形成された状態となる。
【0039】
メモリセル領域1Aにおいて、積層体LM1で覆われた部分以外の絶縁膜GI、すなわちゲート絶縁膜となる部分以外の絶縁膜GIは、ステップS7のパターニング工程で行うドライエッチングや、あるいはそのドライエッチング後にウェットエッチングを行うことによって除去され得る。
【0040】
次に、
図8に示されるように、半導体基板SBの主面全面に、すなわち、半導体基板SBの主面(表面)上と積層体LM1,LM2の表面(上面および側面)上とに、メモリトランジスタのゲート絶縁膜用の絶縁膜MZを形成する(
図1のステップS8)。
【0041】
周辺回路領域1Bでは、積層膜LF1が残存しているので、この積層膜LF1の表面(上面および側面)上にも絶縁膜MZが形成され得る。このため、ステップS8において、絶縁膜MZは、半導体基板SB上に、メモリセル領域1Aの積層体LM1、シャント領域SHの積層体LM2および周辺回路領域1Bの積層膜LF1を覆うように形成される。
【0042】
絶縁膜MZは、メモリトランジスタのゲート絶縁膜用の絶縁膜であり、内部に電荷蓄積部を有する絶縁膜である。この絶縁膜MZは、酸化シリコン膜(酸化膜)MZ1と、酸化シリコン膜MZ1上に形成された窒化シリコン膜(窒化膜)MZ2と、窒化シリコン膜MZ2上に形成された酸化シリコン膜(酸化膜)MZ3との積層膜からなる。酸化シリコン膜MZ1、窒化シリコン膜MZ2および酸化シリコン膜MZ3の積層膜は、ONO(oxide-nitride-oxide)膜とみなすこともできる。
【0043】
なお、図面を見やすくするために、
図8では、酸化シリコン膜MZ1、窒化シリコン膜MZ2および酸化シリコン膜MZ3からなる絶縁膜MZを、単に絶縁膜MZとして図示している。本実施の形態においては、トラップ準位を有する絶縁膜(電荷蓄積層)として、窒化シリコン膜MZ2を例示しているが、窒化シリコン膜に限定されるものではなく、例えば酸化アルミニウム膜(アルミナ)、酸化ハフニウム膜または酸化タンタル膜など、窒化シリコン膜よりも高い誘電率を有する高誘電率膜を電荷蓄積層または電荷蓄積部として使用することもできる。また、シリコンナノドットで電荷蓄積層または電荷蓄積部を形成することもできる。
【0044】
絶縁膜MZを形成するには、例えば、まず酸化シリコン膜MZ1を熱酸化法(好ましくはISSG酸化)により形成してから、酸化シリコン膜MZ1上に窒化シリコン膜MZ2をCVD法で堆積し、更に窒化シリコン膜MZ2上に酸化シリコン膜MZ3をCVD法または熱酸化法あるいはその両方で形成する。これにより、酸化シリコン膜MZ1、窒化シリコン膜MZ2および酸化シリコン膜MZ3の積層膜からなる絶縁膜MZを形成することができる。
【0045】
酸化シリコン膜MZ1の厚みは、例えば2〜10nm程度とすることができ、窒化シリコン膜MZ2の厚みは、例えば5〜15nm程度とすることができ、酸化シリコン膜MZ3の厚みは、例えば2〜10nm程度とすることができる。最後の酸化膜、すなわち絶縁膜MZのうちの最上層の酸化シリコン膜MZ3は、例えば窒化膜(絶縁膜MZのうちの中間層の窒化シリコン膜MZ2)の上層部分を酸化して形成することで、高耐圧膜を形成することもできる。絶縁膜MZは、後で形成されるメモリゲート電極MGのゲート絶縁膜として機能する。
【0046】
次に、半導体基板SBの主面(主面全面)上に、すなわち絶縁膜MZ上に、メモリセル領域1Aおよびシャント領域SHにおいては積層体LM1,LM2を覆うように、周辺回路領域1Bにおいては積層膜LF1を覆うように、メモリゲート電極MG形成用の導電膜としてシリコン膜PS2を形成(堆積)する(
図1のステップS9)。
【0047】
シリコン膜PS2は、メモリトランジスタのゲート電極用の導電膜であり、シャント領域SHにおいて、メモリゲート電極MGと一体に形成される後述の第2電極D2を形成するための導電膜である。シリコン膜PS2は、多結晶シリコン膜からなり、CVD法などを用いて形成することができる。シリコン膜PS2の堆積膜厚は、例えば30〜150nm程度とすることができる。
【0048】
また、シリコン膜PS2は、成膜時に不純物を導入するか、あるいは成膜後に不純物をイオン注入することなどにより、不純物が導入されて低抵抗の半導体膜(ドープトポリシリコン膜)とされている。シリコン膜PS2は、好ましくは、リン(P)またはヒ素(As)などのn型不純物が導入されたn型のシリコン膜である。
【0049】
次に、異方性エッチング技術により、シリコン膜PS2をエッチバック(エッチング、異方性ドライドライエッチング、異方性エッチング)する(
図1のステップS10)。
【0050】
ステップS10のエッチバック工程により、シリコン膜PS2がエッチバックされることで、積層体LM1の両方の側壁上に絶縁膜MZを介してシリコン膜PS2がサイドウォールスペーサ状に残され、メモリセル領域1Aの他の領域のシリコン膜PS2が除去される。これにより、
図9に示されるように、メモリセル領域1Aにおいて、積層体LM1の両方の側壁のうち、一方の側壁上に絶縁膜MZを介してサイドウォールスペーサ状に残存したシリコン膜PS2により、メモリゲート電極MGが形成され、また、他方の側壁上に絶縁膜MZを介してサイドウォールスペーサ状に残存したシリコン膜PS2により、シリコンスペーサSPが形成される。メモリゲート電極MGは、絶縁膜MZ上に、絶縁膜MZを介して積層体LM1と隣り合うように形成される。積層体LM1は、制御ゲート電極CGと制御ゲート電極CG上のキャップ絶縁膜CP1とからなるため、メモリゲート電極MGは、絶縁膜MZ上に、絶縁膜MZを介して制御ゲート電極CGおよびキャップ絶縁膜CP1と隣り合うように形成される。
【0051】
なお、シャント領域SHにおいては、ステップS10のエッチバック工程の前に、シリコン膜PS2上にフォトリソグラフィ法を用いてレジストパターン(マスク膜)としてフォトレジストパターンPR2を形成しておく。このフォトレジストパターンPR2は、シャント領域SHにおける第2電極D2形成予定領域に形成される。したがって、ステップS10のエッチバック工程の後のシャント領域SHにおいては、絶縁膜MZを介して、積層体LM2の上面の一部および側面を覆い、素子分離領域ST上に延在する第2電極D2が形成される。
図9に示すように、第2電極D2は、逆S字形状を有し、第1電極D1の側壁に沿って形成された第1部分と、素子分離領域ST上に形成され、第1電極D1から離れる方向に、第1部分の一端(下端)から連続的に延在する第2部分と、第1部分の他端(上端)から第1電極D1上に延在する第3部分とからなる。また、第2電極D2で覆われない積層体LM2の側壁には、絶縁膜MZを介して、シリコンスペーサSPが形成される。
【0052】
また、周辺回路領域1Bに残存させている積層膜LF1の側壁上にも、絶縁膜MZを介してシリコンスペーサSPが形成される。
【0053】
シリコンスペーサSPは、導電体からなるサイドウォールスペーサ、すなわち導電体スペーサとみなすこともできる。メモリセル領域1Aにおいて、メモリゲート電極MGとシリコンスペーサSPとは、積層体LM1の互いに反対側となる側壁上に形成されており、積層体LM1を挟んでほぼ対称な構造を有している。
【0054】
ステップS10のエッチバック工程を終了した段階で、メモリゲート電極MGおよびシリコンスペーサSPの高さは、制御ゲート電極CGの高さよりも高いことが好ましい。メモリゲート電極MGの高さを、制御ゲート電極CGの高さよりも高くしておくことで、後述のステップS20の研磨工程において、メモリゲート電極MGの上部を的確に露出させることができ、メモリゲート電極MGの露出不良を防止できる。
【0055】
次に、フォトリソグラフィ技術を用いて、メモリゲート電極MGが覆われかつシリコンスペーサSPが露出されるようなフォトレジストパターン(図示せず)を半導体基板SB上に形成してから、そのフォトレジストパターンをエッチングマスクとしたドライエッチングにより、シリコンスペーサSPを除去する(
図2のステップS11)。このフォトレジストパターンは、シャント領域SHにおいて、第2電極D2を覆うパターンとすることが肝要である。その後、そのフォトレジストパターンを除去する。ステップS11のエッチング工程により、
図10に示されるように、シリコンスペーサSPが除去されるが、メモリゲート電極MGは、フォトレジストパターンで覆われていたので、エッチングされずに残存する。また、積層体LM2,LF1の側壁のシリコンスペーサSPは除去される。
【0056】
次に、
図10に示されるように、絶縁膜MZのうち、メモリゲート電極MGまたは第2電極D2で覆われずに露出する部分をエッチング(例えばウェットエッチング)によって除去する(
図2のステップS12)。この際、メモリセル領域1Aにおいて、メモリゲート電極MGの下とメモリゲート電極MGおよび積層体LM1間とに位置する絶縁膜MZは、除去されずに残存し、他の領域の絶縁膜MZは除去される。また、シャント領域SHにおいて、第2電極D2で覆われた絶縁膜MZは、除去されずに残存し、他の領域の絶縁膜MZは除去される。
図10からも分かるように、メモリセル領域1Aにおいて、メモリゲート電極MGと半導体基板SB(p型ウエルPW1)の間の領域と、メモリゲート電極MGと積層体LM1の間の領域の、両領域にわたって絶縁膜MZが連続的に延在している。
【0057】
メモリゲート電極MGと半導体基板SB(p型ウエルPW1)の間の領域の絶縁膜MZが、メモリトランジスタのゲート絶縁膜として機能する。
【0058】
次に、周辺回路領域1Bの積層膜LF1をフォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を用いてパターニングすることにより、
図11に示されるように、ゲート電極DGとゲート電極DG上のキャップ絶縁膜CP3とを有する積層体(積層構造体)LM3を周辺回路領域1Bに形成する(
図2のステップS13)。
【0059】
ステップS13のパターニング工程は、例えば次のようにして行うことができる。すなわち、まず、半導体基板SBの主面上に、フォトリソグラフィ法を用いてフォトレジストパターン(図示せず)を形成する。このフォトレジストパターンは、メモリセル領域1A全体およびシャント領域SH全体と、周辺回路領域1Bにおけるゲート電極DG形成予定領域とに形成される。このため、メモリゲート電極MGおよび積層体LM1ならびに第1電極D1および第2電極D2は、このフォトレジストパターンで覆われることになる。それから、このフォトレジストパターンをエッチングマスクとして用いて、周辺回路領域1Bにおけるシリコン膜PS1と絶縁膜IL1との積層膜LF1をエッチング(好ましくはドライエッチング)してパターニングし、その後、このフォトレジストパターンを除去する。これにより、
図11に示されるように、パターニングされたシリコン膜PS1からなるゲート電極DGと、パターニングされた絶縁膜IL1からなるキャップ絶縁膜CP3との積層体LM3が、周辺回路領域1Bに形成される。
【0060】
積層体LM3は、ゲート電極DGとゲート電極DG上のキャップ絶縁膜CP3とからなり、周辺回路領域1Bの半導体基板SB(p型ウエルPW2)上に絶縁膜GIを介して形成される。ゲート電極DGとキャップ絶縁膜CP3とは、平面視ではほぼ同じ平面形状を有しており、平面視で重なっている。なお、ゲート電極DGは、ダミーのゲート電極(擬似的なゲート電極)であり、後で除去される。このため、ゲート電極DGは、ダミーゲート電極と称することができる。また、ゲート電極DGは、後で除去されて後述のゲート電極GEに置き換えられるため、リプレイスメントゲート電極(Replacement Gate Electrode)または置換用ゲート電極とみなすこともできる。
【0061】
周辺回路領域1Bにおいて、積層体LM3で覆われた部分以外の絶縁膜GIは、ステップS13のパターニング工程で行うドライエッチングや、あるいはそのドライエッチング後にウェットエッチングを行うことによって除去され得る。
【0062】
このようにして、周辺回路領域1Bにおいて、半導体基板SB(p型ウエルPW2)上に、絶縁膜GIを介して、ゲート電極DGとゲート電極DG上のキャップ絶縁膜CP3とを有する積層体LM3が形成される。
【0063】
このようにして、
図11に示されるように、メモリセル領域1Aにおいて、半導体基板SB上に絶縁膜GIを介して制御ゲート電極CGが形成され、半導体基板SB上に絶縁膜MZを介してメモリゲート電極MGが形成される。さらに、周辺回路領域1Bにおいて、半導体基板SB上に絶縁膜GIを介してゲート電極DGが形成され、シャント領域SHにおいて、素子分離領域ST上に第1電極D1および第2電極D2が形成される。そして、制御ゲート電極CG上にはキャップ絶縁膜CP1が形成され、第1電極D1上にはキャップ絶縁膜CP2が形成され、ゲート電極DG上にはキャップ絶縁膜CP3が形成された状態となっている。シャント領域SHに形成された第2電極D2は、絶縁膜MZを介して、第1電極D1の上面の一部を覆う第3部分、第1電極D1の側壁を覆う第1部分、および素子分離領域ST上に形成された第2部分で構成されている。
【0064】
次に、
図12に示すように、n
−型半導体領域(不純物拡散層)EX1,EX2,EX3を、イオン注入法などを用いて形成する(
図2のステップS14)。
【0065】
ステップS14において、例えばヒ素(As)またはリン(P)などのn型の不純物を、積層体LM1、メモリゲート電極MGおよび積層体LM3をマスク(イオン注入阻止マスク)として用いて半導体基板SB(p型ウエルPW1,PW2)にイオン注入法で導入することにより、n
−型半導体領域EX1,EX2,EX3を形成することができる。この際、n
−型半導体領域EX1は、メモリセル領域1Aにおいて、メモリゲート電極MGがマスク(イオン注入阻止マスク)として機能することにより、メモリゲート電極MGの側壁(絶縁膜MZを介して制御ゲート電極CGに隣接している側とは反対側の側壁)に自己整合して形成される。また、n
−型半導体領域EX2は、メモリセル領域1Aにおいて、積層体LM1がマスク(イオン注入阻止マスク)として機能することにより、制御ゲート電極CGの側壁(絶縁膜MZを介してメモリゲート電極MGに隣接している側とは反対側の側壁)に自己整合して形成される。また、n
−型半導体領域EX3は、周辺回路領域1Bにおいて、積層体LM3がマスク(イオン注入阻止マスク)として機能することにより、ゲート電極DGの両側壁に自己整合して形成される。n
−型半導体領域EX1およびn
−型半導体領域EX2は、メモリセル領域1Aに形成されるメモリセルのソース・ドレイン領域(ソースまたはドレイン領域)の一部として機能し、n
−型半導体領域EX3は周辺回路領域1Bに形成されるMISFETのソース・ドレイン領域(ソースまたはドレイン領域)の一部として機能することができる。n
−型半導体領域EX1とn
−型半導体領域EX2とn
−型半導体領域EX3とは、同じイオン注入工程で形成することができるが、異なるイオン注入工程で形成することも可能である。
【0066】
次に、積層体LM1およびメモリゲート電極MGの側壁上と、積層体LM2の側壁上および第2電極D2の側壁上と、積層体LM3の側壁上とに、側壁絶縁膜として、絶縁膜からなるサイドウォールスペーサ(サイドウォール、側壁絶縁膜)SWを形成する(
図2のステップS15)。サイドウォールスペーサSWは、側壁絶縁膜とみなすことができる。
【0067】
ステップS15のサイドウォールスペーサSW形成工程は、例えば次のようにして行うことができる。すなわち、半導体基板SBの主面全面上に絶縁膜IL2を形成(堆積)する。絶縁膜IL2は、例えば、酸化シリコン膜または窒化シリコン膜あるいはそれらの積層膜などからなり、CVD法などを用いて形成することができる。絶縁膜IL2は、半導体基板SB上に、メモリゲート電極MG、第2電極D2、積層体LM1,LM2,LM3を覆うように形成される。それから、
図13に示されるように、この絶縁膜IL2を、異方性エッチング技術によりエッチバック(エッチング、ドライエッチング、異方性ドライエッチング)する。これにより、積層体LM1およびメモリゲート電極MGの側壁上と、積層体LM2および第2電極D2の側壁上と、第3積層体LM3の側壁上とに、選択的にこの絶縁膜IL2が残存して、サイドウォールスペーサSWが形成される。サイドウォールスペーサSWは、メモリセル領域1Aにおいて、積層体LM1の側壁のうち、絶縁膜MZを介してメモリゲート電極MGに隣接している側とは反対側の側壁上と、メモリゲート電極MGの側壁のうち、絶縁膜MZを介して積層体LM1に隣接している側とは反対側の側壁上とに形成される。そして、サイドウォールスペーサSWは、周辺回路領域1Bにおいて、積層体LM3の両側壁上に形成され、シャント領域SHにおいては、積層体LM2の側壁のうち、第2電極D2が形成されていない側の側壁上、および第2電極D2の側壁上に形成される。つまり、第2電極D2の第1部分、第2部分および第3部分の側壁上に、それぞれ形成される。
【0068】
次に、
図13に示されるように、n
+型半導体領域(不純物拡散層)SD1,SD2,SD3を、イオン注入法などを用いて形成する(
図2のステップS16)。
【0069】
ステップS16において、例えばヒ素(As)又はリン(P)等のn型不純物を、積層体LM1、メモリゲート電極MG、積層体LM3、およびサイドウォールスペーサSWをマスク(イオン注入阻止マスク)として用いて半導体基板SB(p型ウエルPW1,PW2)にイオン注入法で導入することで、n
+型半導体領域SD1,SD2,SD3を形成することができる。この際、n
+型半導体領域SD1は、メモリセル領域1Aにおいて、メモリゲート電極MGとメモリゲート電極MG上のサイドウォールスペーサSWとメモリゲート電極MGの側壁上のサイドウォールスペーサSWとがマスク(イオン注入阻止マスク)として機能することにより、メモリゲート電極MGの側壁上のサイドウォールスペーサSWに自己整合して形成される。また、n
+型半導体領域SD2は、メモリセル領域1Aにおいて、積層体LM1とその側壁上のサイドウォールスペーサSWとがマスク(イオン注入阻止マスク)として機能することにより、積層体LM1の側壁上のサイドウォールスペーサSWに自己整合して形成される。また、n
+型半導体領域SD3は、周辺回路領域1Bにおいて、積層体LM3とその側壁上のサイドウォールスペーサSWとがマスク(イオン注入阻止マスク)として機能することにより、積層体LM3の両側壁上のサイドウォールスペーサSWに自己整合して形成される。これにより、LDD(Lightly doped Drain)構造が形成される。n
+型半導体領域SD1とn
+型半導体領域SD2とn
+型半導体領域SD3は、同じイオン注入工程で形成することができるが、異なるイオン注入工程で形成することも可能である。また、n
+型半導体領域SD1とn
+型半導体領域SD2とを同じイオン注入で形成し、n
+型半導体領域SD3を他のイオン注入で形成することもできる。
【0070】
このようにして、n
−型半導体領域EX1とそれよりも高不純物濃度のn
+型半導体領域SD1とにより、メモリトランジスタのソース領域として機能するn型の半導体領域が形成され、n
−型半導体領域EX2とそれよりも高不純物濃度のn
+型半導体領域SD2とにより、制御トランジスタのドレイン領域として機能するn型の半導体領域が形成される。また、n
−型半導体領域EX3とそれよりも高不純物濃度のn
+型半導体領域SD3とにより、周辺回路領域1BのMISFETのソース・ドレイン領域として機能するn型の半導体領域が形成される。n
+型半導体領域SD1は、n
−型半導体領域EX1よりも不純物濃度が高くかつ接合深さが深く、n
+型半導体領域SD2は、n
−型半導体領域EX2よりも不純物濃度が高くかつ接合深さが深く、n
+型半導体領域SD3は、n
−型半導体領域EX3よりも不純物濃度が高くかつ接合深さが深い。
【0071】
次に、ソースおよびドレイン用の半導体領域(n
−型半導体領域EX1,EX2,EX3およびn
+型半導体領域SD1,SD2,SD3)などに導入された不純物を活性化するための熱処理である活性化アニールを行う(
図2のステップS17)。
【0072】
このようにして、メモリセル領域1Aに不揮発性メモリのメモリセルが形成される。一方、ゲート電極DGは、ダミーのゲート電極であるため、周辺回路領域1BのMISFETは、ソース・ドレイン領域は形成されたが、最終的に使用するゲート電極(後述のゲート電極GE)は、まだ形成されていない。
【0073】
次に、シリサイド層SL1を形成する(
図2のステップS18)。シリサイド層SL1は、次のようにして形成することができる。
【0074】
まず、n
+型半導体領域SD1,SD2,SD3の上面(表面)上を含む半導体基板SBの主面全面上に、積層体LM1、メモリゲート電極MG、積層体LM2および第2電極D2、積層体LM3、ならびにサイドウォールスペーサSWを覆うように、金属膜を形成(堆積)する。金属膜は、単体の金属膜(純金属膜)または合金膜とすることができ、好ましくは、コバルト(Co)膜、ニッケル(Ni)膜、またはニッケル白金合金膜からなるが、ニッケル白金合金膜(白金添加ニッケル膜)であれば、特に好ましい。金属膜は、スパッタリング法などを用いて形成することができる。
【0075】
次に、半導体基板SBに対して熱処理を施すことによって、n
+型半導体領域SD1,SD2,SD3、メモリゲート電極MG、および第2電極D2の各上層部分(表層部分)を金属膜と反応させる。これにより、
図14に示されるように、n
+型半導体領域SD1,SD2,SD3、メモリゲート電極MG、および第2電極D2の各上部(上面、表面、上層部)に、それぞれシリサイド層SL1が形成される。シリサイド層SL1は、例えばコバルトシリサイド層(金属膜がコバルト膜の場合)、ニッケルシリサイド層(金属膜がニッケル膜の場合)、または、白金添加ニッケルシリサイド層(金属膜がニッケル白金合金膜の場合)とすることができる。なお、白金添加ニッケルシリサイド層とは、白金が添加されたニッケルシリサイド層、すなわち白金を含有するニッケルシリサイド層であり、ニッケル白金シリサイド層と言うこともできる。その後、未反応の金属膜をウェットエッチングなどにより除去した後に、更に熱処理を行い、シリサイド層SL1を低抵抗化することもできる。
【0076】
このように、いわゆるサリサイド(Salicide:Self Aligned Silicide)プロセスを行うことによって、n
+型半導体領域SD1,SD2,SD3、メモリゲート電極MG、および第2電極D2の上部にシリサイド層SL1を形成し、それによって、ソース、ドレインの低抵抗化、およびメモリゲート電極MGおよび第2電極D2(第2部分)の低抵抗化を実現できる。
【0077】
次に、半導体基板SBの主面全面上に、積層体LM1、メモリゲート電極MG、積層体LM2および第2電極D2、積層体LM3およびサイドウォールスペーサSWを覆うように、層間絶縁膜として絶縁膜IL3を形成(堆積)する(
図2のステップS19)。
【0078】
絶縁膜IL3は、酸化シリコン膜の単体膜、あるいは、窒化シリコン膜と該窒化シリコン膜上に該窒化シリコン膜よりも厚く形成された酸化シリコン膜との積層膜などからなり、例えばCVD法などを用いて形成することができる。
【0079】
次に、絶縁膜IL3の上面を、CMP法などを用いて研磨(研磨処理)する(
図2のステップS20)。ステップS20の研磨工程により、
図15に示されるように、制御ゲート電極CG、メモリゲート電極MG、ゲート電極DG、第1電極D1、および第2電極D2の各上面を露出させる。つまり、ステップS20の研磨工程では、制御ゲート電極CG、第1電極D1およびゲート電極DGの上に形成されていたキャップ絶縁膜CP1,CP2,CP3は、完全に除去される。もちろん、キャップ絶縁膜CP1,CP2,CP3の側壁上に位置しているサイドウォールSWも一部除去される。また、メモリゲート電極MGの上部に形成されていたシリサイド層SL1は除去される。さらに、シャント領域SHにおいて、第2電極D2の第3部分は、シリサイド層SL1とともに除去され、断面視にて、L字形状の第2電極D2となる。つまり、第1電極D1の側壁に沿って延在する第1部分と、第1部分から素子分離領域ST上に延在する第2部分とで構成され、第2部分の表面に形成されていたシリサイド層SL1は、研磨されずに残存している。
【0080】
なお、ステップS19で絶縁膜IL3を成膜した段階では、絶縁膜IL3の上面には、積層体LM1、メモリゲート電極MG、積層体LM2、LM3およびサイドウォールスペーサSWなどを反映した凹凸または段差が形成されているが、ステップS20の研磨工程の後は、絶縁膜IL3の上面は平坦化されている。つまり、制御ゲート電極CGの上面、メモリゲート電極MGの上面、第1電極D1の上面、第2電極D2(第1部分)の上面、ゲート電極DGの上面、および絶縁膜IL3の上面は、半導体基板SBの上面または素子分離領域STの上面から等しい高さとなっている。また、制御ゲート電極CG、メモリゲート電極MG、ゲート電極DG、第1電極D1、および第2電極D2の第1部分に形成されたサイドウォールスペーサSWの上面(上端)も、前述の制御ゲート電極CG他の高さと等しい。
【0081】
次に、
図16に示すように、半導体基板SB上に所定のパターンを有する絶縁膜IL4を形成する(
図3のステップS21)。
【0082】
絶縁膜IL4は、例えば窒化シリコン膜などからなり、CVD法などを用いて形成することができる。絶縁膜IL4は、平面視において、メモリセル領域1A全体およびシャント領域SH全体を覆い、周辺回路領域1Bにおいて、ゲート電極DGを露出するパターンを有する。つまり、絶縁膜IL4は、制御ゲート電極CG、メモリゲート電極MG、第1電極D1、および、第2電極D2を覆い、ゲート電極DGを露出するパターンを有する。
【0083】
次に、ゲート電極DGをエッチングして除去する(
図3のステップS22)。ステップS22のエッチングは、ドライエッチングまたはウェットエッチングあるいは両者の組み合わせを用いることができる。
【0084】
ステップS22でゲート電極DGが除去されたことにより、研磨処理された絶縁膜IL3(サイドウォールスペーサSWを含む)には、溝(凹部、窪み部)TR1が形成される。溝TR1は、ゲート電極DGが除去された領域であり、ゲート電極DGを除去するまでゲート電極DGが存在していた領域に対応している。溝TR1の底部(底面)は、絶縁膜GIの上面により形成され、溝TR1の側壁(側面)は、サイドウォールスペーサSWの側面(ゲート電極DGの除去前までゲート電極DGに接していた側面)により形成されている。
【0085】
ステップS22のゲート電極DGのエッチング工程は、ゲート電極DGに比べて絶縁膜IL4、絶縁膜IL3、絶縁膜GIおよびサイドウォールスペーサSWがエッチングされにくい条件で、エッチングを行うことが好ましい。すなわち、ゲート電極DGのエッチング速度に比べて絶縁膜IL4、絶縁膜IL3、絶縁膜GIおよびサイドウォールスペーサSWのエッチング速度が小さくなる条件で、エッチングを行うことが好ましい。これにより、ゲート電極DGを選択的にエッチングすることができる。絶縁膜IL4は、メモリセル領域1A全体およびシャント領域SH全体を覆っているため、ステップS22でメモリゲート電極MG、制御ゲート電極CG、第1電極D1および第2電極D2はエッチングされない。
【0086】
次に、
図17に示すように、半導体基板SB上に、すなわち溝TR1の内部(底部および側壁上)を含む絶縁膜IL3上に、絶縁膜HKを形成する(
図3のステップS23)。それから、半導体基板SB上に、すなわち絶縁膜HK上に、溝TR1内を埋めるように、導電膜として金属膜MEを形成する(
図3のステップS24)。
【0087】
溝TR1において、ステップS23では溝TR1の底部(底面)および側壁(側面)上に絶縁膜HKが形成されるが、溝TR1は絶縁膜HKでは完全には埋まらず、ステップS24で金属膜MEを形成することにより、溝TR1は絶縁膜HKと金属膜MEにより完全に埋まった状態になる。
【0088】
絶縁膜HKは、ゲート絶縁膜用の絶縁膜であり、金属膜MEは、ゲート電極用の導電膜である。具体的には、絶縁膜HKは、周辺回路領域1Bに形成するMISFETのゲート絶縁膜用の絶縁膜であり、金属膜MEは、周辺回路領域1Bに形成するMISFETのゲート電極用の導電膜である。
【0089】
絶縁膜HKは、窒化シリコンよりも誘電率(比誘電率)が高い絶縁材料膜、いわゆるHigh−k膜(高誘電率膜)である。なお、本願において、High−k膜、高誘電率膜あるいは高誘電率ゲート絶縁膜と言うときは、窒化シリコンよりも誘電率(比誘電率)が高い膜を意味する。
【0090】
絶縁膜HKとしては、酸化ハフニウム膜、酸化ジルコニウム膜、酸化アルミニウム膜、酸化タンタル膜または酸化ランタン膜などの金属酸化物膜を用いることができ、また、これらの金属酸化物膜は、窒素(N)およびケイ素(Si)の一方または両方を更に含有することもできる。絶縁膜HKは、例えば、ALD(Atomic layer Deposition:原子層堆積)法またはCVD法により形成することができる。ゲート絶縁膜に高誘電率膜(ここでは絶縁膜HK)を用いた場合は、酸化シリコン膜を用いた場合に比べて、ゲート絶縁膜の物理的膜厚を増加させることができるため、リーク電流を低減できるという利点を得られる。
【0091】
金属膜MEとしては、例えば、窒化チタン(TiN)膜、窒化タンタル(TaN)膜、窒化タングステン(WN)膜、炭化チタン(TiC)膜、炭化タンタル(TaC)膜、炭化タングステン(WC)膜、窒化炭化タンタル(TaCN)膜、チタン(Ti)膜、タンタル(Ta)膜、チタンアルミニウム(TiAl)膜またはアルミニウム(Al)膜などの、金属膜を用いることができる。なお、ここで言う金属膜とは、金属伝導を示す導電膜を言い、単体の金属膜(純金属膜)や合金膜だけでなく、金属伝導を示す金属化合物膜(窒化金属膜や炭化金属膜など)も含むものとする。このため、金属膜MEは、金属伝導を示す導電膜であり、単体の金属膜(純金属膜)や合金膜に限定されず、金属伝導を示す金属化合物膜(窒化金属膜や炭化金属膜など)であってもよい。また、金属膜MEを積層膜(複数の膜が積層された積層膜)とすることもできるが、その場合、その積層膜の最下層は金属膜(金属伝導を示す導電膜)とする。また、その積層膜を、複数の金属膜(金属伝導を示す導電膜)の積層膜とすることもできる。金属膜MEは、例えばスパッタリング法などを用いて形成することができる。
【0092】
図17では、金属膜MEの好適な一例として、金属膜MEを、チタンアルミニウム(TiAl)膜ME1とチタンアルミニウム膜ME1上のアルミニウム(Al)膜ME2との積層膜とした場合が示されている。この場合、ステップS24において、まず絶縁膜HK上にチタンアルミニウム膜ME1を形成してから、チタンアルミニウム膜ME1上に、溝TR1内を埋めるように、アルミニウム膜ME2を形成することになる。この際、チタンアルミニウム膜ME1よりもアルミニウム膜ME2を厚くすることが好ましい。アルミニウム膜ME2は、低抵抗であるため、後で形成するゲート電極GEの低抵抗化を図ることができる。また、後で形成されるゲート電極GEにおけるゲート絶縁膜に接する部分(ここではチタンアルミニウム膜ME1)の材料の仕事関数で、そのゲート電極GEを備えるMISFETのしきい値電圧を制御することができる。また、密着性の向上の観点で、チタンアルミニウム膜ME1とアルミニウム膜ME2との間に、チタン(Ti)膜または窒化チタン(TiN)膜あるいはそれらの積層膜を介在させることもできる。その場合、チタンアルミニウム膜ME1を形成した後に、チタンアルミニウム膜ME1上にチタン膜または窒化チタン膜あるいはそれらの積層膜を形成してから、その上にアルミニウム膜ME2を形成することになる。
【0093】
次に、
図18に示されるように、溝TR1の外部の不要な金属膜MEおよび絶縁膜HKをCMP法などの研磨処理によって除去することにより、溝TR1内に絶縁膜HKおよび金属膜MEを残す(
図3のステップS25)。
【0094】
すなわち、ステップS25では、溝TR1の外部の金属膜MEおよび絶縁膜HKを除去し、溝TR1内に絶縁膜HKおよび金属膜MEを残す。これにより、溝TR1内に絶縁膜HKと金属膜MEとが残存して埋め込まれた状態になる。
【0095】
溝TR1に埋め込まれた金属膜MEが、MISFETのゲート電極GEとなり、溝TR1に埋め込まれた絶縁膜HKが、そのMISFETのゲート絶縁膜として機能し、ゲート電極GEは、MISFETのゲート電極として機能する。
【0096】
また、金属膜MEを用いてゲート電極GEを形成しているため、ゲート電極GEをメタルゲート電極とすることができる。ゲート電極GEをメタルゲート電極としたことで、ゲート電極GEの空乏化現象を抑制し、寄生容量を低減してMISFETを高速化できるという利点を得られる。
【0097】
絶縁膜HKは、溝TR1の底部(底面)および側壁上に形成され、ゲート電極GEは、底部(底面)および側壁(側面)が絶縁膜HKに隣接する。ゲート電極GEと半導体基板SB(p型ウエルPW2)との間には、絶縁膜GIと絶縁膜HKが介在しており、ゲート電極GEとサイドウォールスペーサSWとの間には、絶縁膜HKが介在している。ゲート電極GEの直下の絶縁膜GI,HKがMISFETのゲート絶縁膜として機能するが、絶縁膜HKは高誘電率膜であるため、高誘電率ゲート絶縁膜として機能する。
【0098】
また、ステップS25において、絶縁膜IL4もCMP法などで研磨して除去することができる。このため、ステップS25を行うと、メモリゲート電極MG上、制御ゲート電極CG上、第1電極D1上および第2電極D2上からも金属膜MEおよび絶縁膜HKが除去され、更に絶縁膜IL4も除去されるため、メモリゲート電極MGの上面、制御ゲート電極CGの上面、第1電極D1の上面、および第2電極D2の上面が露出される。
【0099】
他の形態として、ステップS22でゲート電極DGをエッチングした後、ステップS23で絶縁膜HKを形成する前に、溝TR1の底部の絶縁膜GIを除去することも可能である。この場合、溝TR1の底部の絶縁膜GIを除去した後で、溝TR1の底部で露出する半導体基板SB(p型ウエルPW2)の表面に酸化シリコン膜または酸窒化シリコン膜からなる界面層を形成してから、ステップS23で絶縁膜HKを形成すれば、より好ましい。そうすれば、絶縁膜HKと周辺回路領域1Bの半導体基板SB(p型ウエルPW2)との間(界面)に、酸化シリコン膜または酸窒化シリコン膜からなる界面層が介在することになる。
【0100】
図3のステップ25が完了した段階で、制御ゲート電極CGの上面、メモリゲート電極MGの上面、第1電極D1の上面、第2電極D2(第1部分)の上面、ゲート電極GEの上面、および絶縁膜IL3の上面は、半導体基板SBの上面または素子分離領域STの上面から等しい高さとなっている。また、制御ゲート電極CG、メモリゲート電極MG、ゲート電極GE、第1電極D1、および第2電極D2の第1部分に形成されたサイドウォールスペーサSWの上面(上端)も、前述の制御ゲート電極CG他の高さと等しい。
【0101】
次に、
図19に示されるように、半導体基板SB上に所定のパターンを有する絶縁膜IL5を形成する(
図3のステップS26)。
【0102】
絶縁膜IL5は、例えば酸化シリコン膜などからなり、CVD法などを用いて形成することができる。絶縁膜IL5は、平面視において、周辺回路領域1B全体を覆い、メモリセル領域1Aおよびシャント領域SHを露出するようなパターン(平面形状)を有している。つまり、絶縁膜IL5は、MISFETのゲート電極GEを覆い、制御ゲート電極CG、メモリゲート電極MG、第1電極D1および第2電極D2の上面が露出するパターンを有している。
【0103】
次に、
図19に示すように、メモリゲート電極MG上と制御ゲート電極CG上および第1電極D1と第2電極D2上にシリサイド層SL2を形成する(
図3のステップS27)。シリサイド層SL2は、次のようにして形成することができる。
【0104】
まず、半導体基板SB上に、金属膜を形成(堆積)する。金属膜は、単体の金属膜(純金属膜)または合金膜とすることができ、好ましくは、コバルト(Co)膜、ニッケル(Ni)膜、またはニッケル白金合金膜(白金添加ニッケル膜)からなるが、ニッケル(Ni)膜であれば、特に好ましい。金属膜は、スパッタリング法などを用いて形成することができる。
【0105】
金属膜は、半導体基板SBの主面全面上に形成されるため、メモリゲート電極MG、制御ゲート電極CG、第1電極D1および第2電極D2の上面(表面)上にも金属膜が形成される。このため、金属膜を形成すると、メモリゲート電極MGの上面(表面)、制御ゲート電極CGの上面(表面)、第1電極D1および第2電極D2の上面(表面)とが、金属膜に接した状態になる。一方、周辺回路領域1Bでは、金属膜は絶縁膜IL5上に形成されるため、金属膜を形成しても、ゲート電極GEは金属膜に接触せず、ゲート電極GEと金属膜との間には絶縁膜IL5が介在した状態になる。
【0106】
次に、半導体基板SBに対して熱処理を施すことによって、メモリゲート電極MG、制御ゲート電極CG、第1電極D1および第2電極D2の各上層部分(表層部分)を金属膜と反応させる。これにより、
図19に示されるように、メモリゲート電極MG、制御ゲート電極CG、第1電極D1および第2電極D2の各上部(上面、表面、上層部)に、それぞれシリサイド層SL2が形成される。シリサイド層SL2は、好ましくは、コバルトシリサイド層(金属膜がコバルト膜の場合)、ニッケルシリサイド層(金属膜がニッケル膜の場合)、または、白金添加ニッケルシリサイド層(金属膜がニッケル白金合金膜の場合)とすることができる。その後、未反応の金属膜をウェットエッチングなどにより除去する。
図19にはこの段階の断面図が示されている。また、未反応の金属膜を除去した後に、更に熱処理を行うこともできる。また、ゲート電極GE上にはシリサイド層SL2は形成されない。
【0107】
このように、いわゆるサリサイドプロセスを行うことによって、メモリセル領域1Aにおいて、メモリゲート電極MGおよび制御ゲート電極CGの上部にシリサイド層SL2を形成し、それによって、メモリゲート電極MGおよび制御ゲート電極CGの抵抗を低減することができる。サリサイドプロセスを用いることにより、メモリゲート電極MGおよび制御ゲート電極CG上に、それぞれシリサイド層SL2を自己整合的に形成することができる。また、メモリゲート電極MGおよび制御ゲート電極CGの各上面のほぼ全体に、シリサイド層SL2を形成することができる。
【0108】
また、シャント領域SHにおいて、第1電極D1および第2電極D2の上面にシリサイド層SL2を形成し、それによって、第1電極D1および第2電極D2の抵抗を低減することができる。なお、第2電極D2では、第1部分の上面にのみシリサイド層SL2が形成される。
【0109】
図19に示すように制御ゲート電極CG、メモリゲート電極MG、および第1電極D1の表面にシリサイド層SL2を形成する例を示した。つまり、制御ゲート電極CGおよび第1電極D1は、シリコン膜PS1とシリサイド層SL2の積層構造、メモリゲート電極MGは、シリコン膜PS2とシリサイド層SL2の積層構造となっている。そして、第2電極D2は、第2部分では、シリコン膜PS2とシリサイド層SL1の積層構造、第1部分は、シリコン層PS2とシリサイド層SL2の積層構造となっている。シリサイド層SL1とシリサイド層SL2とは、第1部分の側壁に形成されたサイドウォールSWによって分離されている。
【0110】
他の態様として、
図20に示すように、第2電極D2の第1部分のシリサイド層SL20を厚く形成して、第1部分のシリコン膜PS2の全体をシリサイド層SL20にしてもよい。具体的には、
図3のステップ27において、第2部分のシリコン膜PS2の上に金属膜を形成(堆積)した後の熱処理時間を増加することで、実現出来る。この場合、第1電極D1および制御ゲート電極CGのシリコン膜PS1、ならびにメモリゲート電極MGのシリコン膜PS2も、シリサイド層SL20に置換されることとなる。
【0111】
図20の構造によれば、メモリセル領域1Aおよびシャント領域SHにおいて、制御ゲート電極CG、メモリゲート電極MG、第1電極D1および第2電極D2の低抵抗化が実現できる。
【0112】
次に、
図21に示されるように、半導体基板SBの主面全面上に、絶縁膜(層間絶縁膜)IL6を形成する(
図3のステップS28)。
【0113】
絶縁膜IL6は、絶縁膜IL5が形成されている領域(例えば周辺回路領域1B)では絶縁膜IL5上に形成され、絶縁膜IL5が形成されていない領域では、主として絶縁膜IL3上に形成され、また、メモリセル領域1Aでは、メモリゲート電極MG上のシリサイド層SL2と制御ゲート電極CG上のシリサイド層SL2とを覆うように形成される。シャント領域SHでは、第1電極D1上のシリサイド層SL2と第2電極D2上のシリサイド層SL2を覆うように形成される。絶縁膜IL6としては、例えば、酸化シリコンを主体とした、酸化シリコン系の絶縁膜を用いることができる。
【0114】
絶縁膜IL6の形成後、絶縁膜IL6の上面をCMP法により研磨して、絶縁膜IL6の上面の平坦性を高める。
【0115】
また、本実施の形態では、絶縁膜IL5を除去せずに絶縁膜IL6を形成している。これにより、半導体装置の製造工程を低減することができる。他の形態として、ステップS27でシリサイド層SL2を形成した後、絶縁膜IL5を除去してから、ステップS28で絶縁膜IL6を形成することもできる。
【0116】
次に、フォトリソグラフィ法を用いて絶縁膜IL6上に形成したフォトレジストパターン(図示せず)をエッチングマスクとして、絶縁膜IL6,IL5,IL3をドライエッチングすることにより、絶縁膜IL6,IL5,IL3にコンタクトホール(開口部、貫通孔)CTを形成する(
図3のステップS29)。
【0117】
絶縁膜IL5が形成されている領域(例えば周辺回路領域1B)では、絶縁膜IL6と絶縁膜IL5と絶縁膜IL3との積層膜を貫通するようにコンタクトホールCTが形成され、絶縁膜IL5が形成されていないメモリセル領域1Aでは、絶縁膜IL6と絶縁膜IL3との積層膜を貫通するようにコンタクトホールCTが形成される。また、絶縁膜IL5が形成されていないシャント領域SHでは、絶縁膜IL6を貫通するようにコンタクトホールCTが形成される。
【0118】
次に、
図21に示されるように、コンタクトホールCT内に、接続用の導電体部として、タングステン(W)などからなる導電性のプラグPGを形成する(
図3のステップS30)。
【0119】
プラグPGを形成するには、例えば、コンタクトホールCTの内部(底部および側壁上)を含む絶縁膜IL6上に、バリア導体膜(例えばチタン膜、窒化チタン膜、あるいはそれらの積層膜)を形成する。それから、このバリア導体膜上にタングステン膜などからなる主導体膜でコンタクトホールCTを埋めるように形成してから、コンタクトホールCTの外部の不要な主導体膜およびバリア導体膜をCMP法またはエッチバック法などによって除去することにより、プラグPGを形成することができる。なお、図面の簡略化のために、
図21では、プラグPGを構成するバリア導体膜および主導体膜(タングステン膜)を一体化して示してある。
【0120】
コンタクトホールCTおよびそれに埋め込まれたプラグPGは、n
+型半導体領域SD1,SD2,SD3、制御ゲート電極CG、メモリゲート電極MG、ゲート電極GE、第1電極D1、および第2電極D2(第2部分)の上部などに形成される。コンタクトホールCTの底部では、半導体基板SBの主面の一部、例えばn
+型半導体領域SD1,SD2,SD3(の表面上のシリサイド層SL1)の一部、制御ゲート電極CG(の表面上のシリサイド層SL2)の一部、メモリゲート電極MG(の表面上のシリサイド層SL2)の一部、あるいはゲート電極GEの一部などが露出される。また、コンタクトホールCTの底部では、第1電極D1(の表面上のシリサイド層SL2)の一部および第2電極D2の第2部分(の表面上のシリサイド層SL1)の一部も露出される。
【0121】
なお、
図21の断面図においては、n
+型半導体領域SD2,SD3、第1電極D1および第2電極D2に対するコンタクトホールCTと、そのコンタクトホールCTを埋めるプラグPGとを示している。
【0122】
次に、プラグPGが埋め込まれた絶縁膜IL6上に第1層目の配線である配線(配線層)M1を形成する(
図3のステップS31)。この配線M1を、ダマシン技術(ここではシングルダマシン技術)を用いて形成する場合について説明する。
【0123】
まず、
図21に示されるように、プラグPGが埋め込まれた絶縁膜IL6上に、絶縁膜IL7を形成する。絶縁膜IL7は、複数の絶縁膜の積層膜で形成することもできる。それから、フォトレジストパターン(図示せず)をエッチングマスクとしたドライエッチングによって絶縁膜IL7の所定の領域に配線溝(配線用の溝)を形成した後、配線溝の底部および側壁上を含む絶縁膜IL7上にバリア導体膜(例えば窒化チタン膜、タンタル膜または窒化タンタル膜など)を形成する。それから、CVD法またはスパッタリング法などによりバリア導体膜上に銅のシード層を形成し、さらに電解めっき法などを用いてシード層上に銅めっき膜を形成して、銅めっき膜により配線溝の内部を埋め込む。それから、配線溝以外の領域の主導体膜(銅めっき膜およびシード層)とバリア導体膜をCMP法により除去して、配線溝に埋め込まれた銅を主導電材料とする第1層目の配線M1を形成する。
図22では、図面の簡略化のために、配線(金属配線)M1は、バリア導体膜、シード層および銅めっき膜を一体化して示してある。
【0124】
配線M1はプラグPGを介して、メモリトランジスタのソース領域(n
+型半導体領域SD1)、制御トランジスタのドレイン領域(n
+型半導体領域SD2)、周辺回路領域1BのMISFETのソース・ドレイン領域(n
+型半導体領域SD3)、制御ゲート電極CG、メモリゲート電極MG、ゲート電極GE、第1電極D1あるいは第2電極D2などと電気的に接続される。その後、デュアルダマシン法などにより2層目以降の配線(金属配線)を形成するが、ここでは図示およびその説明は省略する。また、配線M1およびそれよりも上層の配線は、ダマシン配線に限定されず、配線用の導電体膜をパターニングして形成することもでき、例えばタングステン配線またはアルミニウム配線などとすることもできる。
【0125】
以上のようにして、本実施の形態の半導体装置が製造される。
【0126】
<半導体装置の構造について>
次に、本実施の形態の半導体装置における不揮発性メモリのメモリセルの構成について、
図22および
図23を参照して説明する。
【0127】
図22は、本実施の形態の半導体装置のメモリセル領域およびシャント領域の要部断面図であり、
図23は、メモリセル領域1A、周辺回路領域1Bおよびシャント領域SHの要部断面図である。メモリセル領域1Aには、
図22のX−X線に沿う要部断面図、シャント領域SHには、
図22のY−Y線に沿う要部断面図、周辺回路領域1Bには、
図21と同様のMISFTEの要部断面図を示している。
図23では、
図21に対して、絶縁膜IL8,IL9、第2層目の配線(金属配線)M2、および配線M1と配線M2間のプラグPGを追加している。つまり、
図4〜
図21の要部断面図のメモリセル領域1Aは、
図22のX−X線に沿う要部断面図であり、シャント領域SHは、
図22のY−Y線に沿う要部断面図である。
図22において、サイドウォールスペーサSWは省略している。
【0128】
図22および
図23を参照しながらメモリセル領域1Aおよびシャント領域SHの構造を説明する。
【0129】
図23に示すように、半導体基板SBには、メモリトランジスタおよび制御トランジスタからなる不揮発性メモリのメモリセルMCが形成されている。各メモリセルMCにおいて、電荷蓄積部(電荷蓄積層)を含むゲート絶縁膜およびメモリゲート電極MGを備えるMISFETをメモリトランジスタといい、また、ゲート絶縁膜および制御ゲート電極CGを備えるMISFETを制御トランジスタという。
【0130】
図23に示すように、不揮発性メモリのメモリセルMCは、半導体基板SBのp型ウエルPW1中に形成されたソースおよびドレイン用のn型の半導体領域MS,MDと、半導体基板SB(p型ウエルPW1)の上部に形成された制御ゲート電極CGと、半導体基板SB(p型ウエルPW1)の上部に形成されて制御ゲート電極CGと隣り合うメモリゲート電極MGとを有している。そして、不揮発性メモリのメモリセルMCは、更に、制御ゲート電極CGおよび半導体基板SB(p型ウエルPW1)間に形成された絶縁膜(ゲート絶縁膜)GIと、メモリゲート電極MGおよび半導体基板SB(p型ウエルPW1)間に形成された絶縁膜MZと、を有している。
【0131】
制御ゲート電極CGおよびメモリゲート電極MGは、それらの対向側面の間に絶縁膜MZを介した状態で、並んで配置され、半導体基板SBの主面に沿って延在している。制御ゲート電極CGおよびメモリゲート電極MGの延在方向は、
図23の紙面の垂直方向(
図22のY方向)である。制御ゲート電極CGおよびメモリゲート電極MGは、半導体領域MDおよび半導体領域MS間の半導体基板SB(p型ウエルPW1)の上部に絶縁膜GIおよび絶縁膜MZを介して形成されており、半導体領域MS側にメモリゲート電極MGが位置し、半導体領域MD側に制御ゲート電極CGが位置している。但し、制御ゲート電極CGは絶縁膜GIを介し、メモリゲート電極MGは絶縁膜MZを介して、半導体基板SB上に形成されている。
【0132】
制御ゲート電極CGとメモリゲート電極MGとは、間に絶縁膜MZを介在して互いに隣り合っている。絶縁膜MZは、メモリゲート電極MGと半導体基板SB(p型ウエルPW1)の間の領域と、メモリゲート電極MGと制御ゲート電極CGの間の領域の、両領域にわたって延在している。
【0133】
半導体領域MSおよび半導体領域MDは、ソースまたはドレイン用の半導体領域である。すなわち、ソース用の半導体領域MSは、n
−型半導体領域EX1(エクステンション領域)と、n
−型半導体領域EX1よりも高い不純物濃度を有するn
+型半導体領域SD1(ソース領域)とを有している。また、ドレイン用の半導体領域MDは、n
−型半導体領域EX2(エクステンション領域)と、n
−型半導体領域EX2よりも高い不純物濃度を有するn
+型半導体領域SD2(ドレイン領域)とを有している。
【0134】
n
+型半導体領域SD1,SD2の上部には、サリサイド技術などにより、シリサイド層SL1が形成されている。メモリゲート電極MGの上部と制御ゲート電極CGの上部には、サリサイド技術などにより、シリサイド層SL2が形成されている。
【0135】
図22に示すように、メモリセル領域1Aには、複数のメモリセルMCがX方向およびY方向に行列状に配置されており、Y方向において、各メモリセルMCは、隣り合う素子分離領域STによって電気的に分離されている。X方向において、隣接する2つのメモリセルMCは、共通のドレイン用の半導体領域MDを有しており、共通のドレイン用の半導体領域MDには、X方向に延在するビット線BLに接続されている。ビット線BLは、例えば、第1層目の配線M1で構成されている。制御ゲート電極CGとメモリゲート電極MGに対して、共通のドレイン用の半導体領域MDの反対側に配置されたソース用の半導体領域MSは、Y方向に連続的に形成されており、メモリセル1Aの端部で、プラグPGを介してソース線SLに接続されている。ソース線SLは、例えば、第1層目の配線M1で構成され、X方向に延在している。
【0136】
また、Y方向に配列された複数のメモリセルMCに対し、制御ゲート電極CGは、共通(一体)に形成されており、Y方向に延在している。Y方向に配列された複数のメモリセルMCに対し、メモリゲート電極MGは、共通(一体)に形成されており、Y方向に延在している。2つのメモリセル領域1Aの間には、シャント領域SHが配置されている。隣り合う2つのメモリセル領域1Aとシャント領域SHに連続的に延在する制御ゲート電極CGとメモリゲート電極MGは、シャント領域SHにおいて、それぞれ制御ゲート配線MCGとメモリゲート配線MMGに接続されている。制御ゲート配線MCGとメモリゲート配線MMGは、例えば、2層目の配線M2で構成されており、Y方向に延在している。
【0137】
制御ゲート電極CGは、所定の幅を持って、Y方向に延在しており、シャント領域SHにおいて、X方向に延在するパッド部(突起部)CPADを有している。そして、制御ゲート電極CGは、パッド部CPAD上に形成されたプラグPGを介して制御ゲート配線MCGに接続されている。パッド部CPADは、絶縁膜MZを介して制御ゲート電極CGに隣接するメモリゲート電極MGの反対方向に突出している。
図23に示すように、シャント領域SHの第1電極D1は、制御ゲート電極CGとパッド部CPADとで構成されており、パッド部CPAD上に形成されたプラグPG、1層目の配線M1、およびプラグPG2を介して2層目の配線(金属配線)M2(制御ゲート配線MCG)に接続されている。
【0138】
メモリゲート電極MGは、制御ゲート電極CGの側壁上に形成され、所定の幅を持って、Y方向に延在しており、シャント領域SHにおいて、X方向に延在するパッド部(突起部)MPADを有している。そして、メモリゲート電極MGは、パッド部MPAD上に形成されたプラグPGを介してメモリゲート配線MMGに接続されている。パッド部MPADは、絶縁膜MZを介してメモリゲート電極MGに隣接する制御ゲート電極CGの反対方向に突出している。
図23に示すように、シャント領域SHの第2電極D2は、メモリゲート電極MGとパッド部MPADとで構成されており、パッド部MPAD上に形成されたプラグPG、1層目の配線M1、およびプラグPG2を介して2層目の配線(金属配線)M2(メモリゲート配線MMG)に接続されている。前述の製造方法等の説明において、第2電極D2の第1部分はメモリゲート電極MGに相当し、第2部分はパッド部MPADに相当する。
【0139】
制御ゲート配線MCGとメモリゲート配線MMGとは、制御ゲート電極CGとメモリゲート電極MGの延在方向と等しい方向に延在すればよく、異なる層の配線で形成しても良い。
【0140】
なお、
図23において、周辺回路領域1BのMISFETは、前述の製造方法で説明した通りである。
【0141】
図23において、シリサイド層SL2を含む制御ゲート電極CGの上面、シリサイド層SL2を含むメモリゲート電極MGの上面、シリサイド層SL2を含む第1電極D1の上面、シリサイド層SL2を含む第2電極D2(第1部分)の上面、ゲート電極GE(の上面、および絶縁膜IL3の上面は、半導体基板SBの上面または素子分離領域STの上面から等しい高さ(H2)となっている。また、制御ゲート電極CG、メモリゲート電極MG、ゲート電極GE、第1電極D1、および第2電極D2の第1部分に形成されたサイドウォールスペーサSWの上面(上端)も、前述の制御ゲート電極CG他の高さ(H2)と等しい。また、シリサイド層SL1を含む第2電極D2の第2部分の上面の高さ(H1)は、シリサイド層SL2を含む第2電極D2の第1部分の上面の高さ(H2)よりも低い。
【0142】
また、
図3のステップS28の絶縁膜IL6形成後に、絶縁膜IL6の上面をCMP法により研磨しているので、メモリセル領域1A、周辺回路領域1Bおよびシャント領域SHにおいて、半導体基板SBの上面または素子分離領域STの上面から絶縁膜IL6の上面までの高さは等しい。言い換えると、シリサイド層SL2を含む制御ゲート電極CGまたはメモリゲート電極MGの上面から絶縁膜IL6の上面までの高さ(H3)、ゲート電極GEの上面から絶縁膜IL6の上面までの高さ(H3)、および、シリサイド層SL2を含む第1電極D1または第2電極D2の上面から絶縁膜IL6の上面までの高さ(H3)は、それぞれ等しい。ここで、高さが等しいとは、研磨処理によって等しくなっているという意味である。したがって、たとえば、研磨処理面の場所に依存する高さバラツキを含む意味で使用しているので、「ほぼ等しい」とも言える。
【0143】
また、メモリセルMCのドレイン用の半導体領域MDの表面に形成されたシリサイド層SL1の上面から絶縁膜IL6の上面(言い換えると、配線M1の下面)の高さ(H4)は、MISFETのソース・ドレイン領域の表面に形成されたシリサイド層SL1の上面から絶縁膜IL6の上面(言い換えると、配線M1の下面)の高さ(H4)と等しい。ここで、高さ(H4)は、シリサイド層SL1に接続されるプラグPGの高さまたはコンタクトホールCTの深さとも言える。
【0144】
<主要な特徴と効果について>
次に、本実施の形態の主要な特徴と効果について説明する。
【0145】
本実施の形態の半導体装置において、シャント領域SHにおいて、メモリゲート電極MGと一体の第2電極D2は、制御ゲート電極CGと一体の第1電極D1の上面に乗り上げておらず、第2電極D2の第1部分の上面は、第1電極D1の上面と等しい(ほぼ等しい)高さとなっている。したがって、半導体基板SBの上面に対する、制御ゲート電極CG、メモリゲート電極MG、第1電極D1および第2電極D2上に絶縁膜IL6を介して形成された配線M1の下面の高さを低減することが出来る。つまり、メモリセル領域1AにおけるメモリセルMCのドレイン用の半導体領域MDに接続されたプラグPGの高さ(コンタクトホールCTの深さ)(H4)を低くできるため、配線M1とドレイン用の半導体領域MDとの接続信頼性を向上できるとともに、プラグPGおよびコンタクトホールCTの製造歩留りを向上できる。仮に、シャント領域SHの第2電極D2が第1電極D1の上面上に乗り上げた構造では、第2電極D2の膜厚分だけ、半導体基板SBの上面に対する、配線M1の下面の高さが高くなってしまう。そして、プラグPGの高さ(コンタクトホールCTの深さ)が増加するため、配線M1とドレイン用の半導体領域MDとの接続信頼性が低下するとともに、コンタクトホールCTおよびプラグPGの製造歩留りが低下する。周辺回路領域1BのMISFETのソース・ドレイン領域に接続されたプラグPGについても同様の効果がある。なぜなら、第2電極D2と配線M1との距離(つまり、絶縁膜IL6の膜厚)は、両者間の耐圧を確保するために所定の膜厚が必要となるからである。
【0146】
また、シャント領域SHにおいて、第1電極D1の上面の高さ(H2)と、第2電極D2の上面の高さ(H2)が等しい(ほぼ等しい)ので、第2電極D2(言い換える、メモリゲート電極MG)とメモリゲート配線MMGとの接続信頼性を向上できるとともに、複数のメモリゲート電極MG間での第2電極D2の形状バラツキを低減できる。たとえば、本実施の形態では、特許文献2の
図90〜
図94に示されたような第2電極D2の形状バラツキ(第1部分の高さバラツキ)を懸念する必要がない。
【0147】
また、シャント領域SHにおいて、第2電極D2の第1部分の上面にシリサイド層SL2が、そして、第2部分の上面にシリサイド層SL1が形成されているので、第2電極の抵抗を低減でき、半導体装置の高速動作が可能となる。
【0148】
本実施の形態の半導体装置の製造方法は、シャント領域SHにおいて、半導体基板SB上に、制御ゲート電極CGと一体の第1電極D1を形成する工程、メモリゲート電極MGと一体の第2電極D2を、第1電極D1の上面、側面および素子分離領域STに沿って連続的に形成する工程、研磨処理を用いて、第1電極D1の上面上に位置する第2電極D2の第3部分を除去し、第1電極D1の上面と、第1電極D1の側壁に沿う第2電極D2の第1部分の上面を露出する工程、を有する。このように、研磨処理により、第1電極D1と等しい高さを有する第2電極D2を形成するので、特許文献2の
図90〜
図94に示されたウェットエッチング法を用いた第2電極の加工に比べ、形状バラツキを低減できる。
【0149】
また、第2電極D2の第3部分を除去する工程は、周辺回路領域1Bに形成されるMISFETの形成工程である、リプレイスメントゲート電極の形成工程を併用して実施することができるため、製造工程を増加することなく実現することができる。
【0150】
また、本実施の形態の半導体装置の製造方法は、メモリセル領域1Aに、第1方向に延在する制御ゲート電極CGを形成し、シャント領域SHに、制御ゲート電極CGと一体の第1電極D1を形成した後、制御ゲート電極CGおよび第1電極D1を覆うように、シリコン膜PS2を堆積し、シリコン膜PS2に異方性ドライエッチングを施して、制御ゲート電極CGの側壁に沿ってメモリゲート電極MGを形成する。異方性ドライエッチングに先立って、シャント領域SHのシリコン膜PS2上に、第1電極D1の上面を一部覆い、制御ゲート電極CGの延在方向である第1方向に直交する第2方向に延在する第2電極D2形成領域を覆うフォトレジストパターン(マスク膜)を形成する。
【0151】
そのため、半導体装置の微細化に伴い、メモリゲート電極MG形成用のシリコン膜PS2の膜厚の薄膜化が進んでも、高精度に第2電極D2を形成することができ、半導体装置の信頼性を向上させることができる。たとえば、特許文献3には、シャント領域SHにおいて、制御(選択)ゲート電極CGに隣接して、孤立した補助パターンを設けた後に、メモリゲート電極MG形成用のシリコン膜PS2に異方性ドライエッチングを施して、制御ゲート電極CGおよび補助パターンの側壁に連続する配線部を形成し、この配線部でメモリゲート配線とコンタクトを取ることが開示されている。しかし、特許文献3の方法では、シリコン膜PS2の薄膜化が進んだ場合、制御ゲート電極CGおよび補助パターンの側壁に連続する配線部が形成できない可能性がある。
【0152】
以上、本発明者によってなされた発明をその実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。