【実施例】
【0019】
以下に、添付の図面に基づいて本発明の好ましい実施例を説明する。
【0020】
図1は実施例の概念図である。エンジン本体の一部を覆うエンジンカバーを取り外した状態で図示する
図1を参照して、参照符号100は携帯式作業機の駆動部分を示す。図示の駆動部分100はチェーンソーの本体部分に相当する。駆動部分100はエンジン本体2と気化器4とを含む。エンジン本体2は2ストローク内燃エンジンで構成されている。この2ストローク内燃エンジンは単気筒であり、また、空冷式である。
【0021】
図1の参照符号6は空冷フィンを示す。空冷フィン6はシリンダブロックのシリンダ部分8に形成されている。上記シリンダブロック(後に説明する
図9の参照符号64)はアルミニウム合金から作られている。アルミニウム合金は周知のように熱伝導性に優れている。
【0022】
シリンダ部分8の頂部には点火プラグ10が取付けられている。図示を省略したが、シリンダ部分8の頂部にはネジ穴を備えた取付座がシリンダ部分8と一体成形されている。他方、点火プラグ10はその先端部にネジ山を有する。周知のように、点火プラグ10は上記取付座に螺着される。
【0023】
エンジン本体2は、ハンドル12に配置されたスロットルレバー14を操作することにより、エンジン出力が制御される。エンジン出力軸つまりクランクシャフト(後に説明する
図8の参照符号16)の一端にファンローター18が取付けられている。
【0024】
参照符号20は電子式の制御ユニットを示す。制御ユニット20は、脱着可能なエンジンカバーによって覆われる。制御ユニット20は、樹脂で固められたマイコンを含む。
図2は、制御ユニット20及びその周辺の拡大図である。
図3は、
図1に示す作業機の駆動部分100の側面図であり、制御ユニット20を取り外した状態で示す図である。
図4は、
図2に示す駆動部分100の側面図である。
【0025】
制御ユニット20はベースプレート22に支持されている。ベースプレート22は鉄系材料から作られている。
図4を参照して、制御ユニット20はベースプレート22を介してシリンダ部分8に2本のボルト24を使って固定される。ボルト24は既知のようにねじ山を備えている。制御ユニット20をシリンダ部分8に固定したときには、ファンローター18に対して位置決めされた状態となる。
【0026】
図3、
図5、
図8を参照して、ファンローター18は、その外周面に磁石26が固定されている。他方、制御ユニット20は、ファンローター18の外周面に向けて伸びる鉄心28を有する。制御ユニット20は、鉄心28の先端面と、板状の磁石26との間のクリアランスが所定値となるように位置決めされる。
【0027】
回転するファンローター18に配置した磁石26と、これに隣接して位置する鉄心28は発電機構の一部を構成する。エンジン本体2が動作を開始することで発電が行われ、この電力を受けて制御ユニット20が動作する。
【0028】
図3、
図5、
図8、
図9の参照符号30はボスを示す。ボス30はねじ穴を有する。この2つのボス30の各々に上記各ボルト24が受け入れられる。2つのボス30を使って制御ユニット20がシリンダブロック64のシリンダ部分8に固定される。
【0029】
図1、
図2の参照符号40は温度センサ部品を示す。
図6は温度センサ部品40を示す。温度センサ部品40は金属製の扁平な端子つまりワッシャ42を有する。
図7は、
図6のVII−VII線に沿って切断した図である。ワッシャ42は伝熱性材料から作られており、典型的には金属から作られている。図示のワッシャ42の変形例として、Y字状の端子であってもよい。
【0030】
図6を参照して、伝熱性ワッシャ42はスリット付きチューブ又は少なくとも一対の互いに対向した爪44を有する。円筒状のセンサ本体46はスリット付きチューブ又は互いに対向した爪44の中に挿入され、そして、スリット付きチューブ又は互いに対向した爪44を変形させることによってセンサ本体46が固定されている。すなわち、温度センサ部品40は、スリット付きチューブ又は互いに対向した爪44を備えた伝熱性ワッシャ42と、スリット付きチューブ又は互いに対向した爪44に固定されたセンサ本体46で構成されている。
【0031】
温度センサ部品40は、伝熱性ワッシャ42を通じてエンジン温度をセンサ本体46に伝える。センサ本体46が検知したエンジン温度を制御ユニット20に供給する。
【0032】
図8は、温度センサ部品40の取り付け部位を説明するための図である。温度センサ部品40は、好ましくは、制御ユニット20を固定するための2つのボス30のうち、最も近いボス30に配置される。
図9は、
図8の要部拡大図である。
図8、
図9を参照して、ボス30には、断熱性のスリーブ50を介してベースプレート22が配置され、そして、このベースプレート22とボルト24のヘッド24Hとの間に温度センサ部品40が配置されている。
【0033】
すなわち、ボス30にはボルト24が締結される。ボス30とボルトヘッド24Hとの間には、ボス30側から、順に、断熱性スリーブ50、ベースプレート22、ワッシャ42(温度センサ部品40)が配置され、これら断熱性スリーブ50、ベースプレート22、ワッシャ42(温度センサ部品40)は共通のボルト24によって固定される。ボルト24は金属製である。
【0034】
温度センサ部品40のセンサ本体46から延出するリード線52は、制御ユニット20の端子20aに接続される。変形例として、別途用意した配線によってセンサ本体46と制御ユニット20とを接続するようにしてもよい。
【0035】
なお、
図8に見られる参照符号60はリコイルスタータを示す。エンジン本体2を起動するとき、周知のように、作業者は、リコイルスタータ60に関連したリコイルグリップつまり操作部材62を手で引き上げる操作を行う。
【0036】
図8は、また、シリンダブロック64がシリンダ部分8とアッパークランクケース部分66とで構成されていることを示す。アッパークランクケース部分66にはロアクランクケース68が固定される。周知のように、アッパークランクケース部分66とロアクランクケース68によってクランク室(図示せず)が形成される。なお、シリンダ部分8には、その内部にピストン(図示せず)が往復動可能に配置され、ピストンによって燃焼室が形成される。
【0037】
上記の実施例によれば、温度センサ部品40は、制御ユニット20のベースプレート22を固定する金属製ボルト24によってボス30に共締めされる。これにより温度センサ部品40の優れた組み付け性及びメンテナンス性を実現できる。このメンテナンスには温度センサ部品40の交換を含む。
【0038】
ボス30は、燃焼室を構成するシリンダ部分8に位置している。したがって、エンジン本体2の熱は、金属製のボルト24を通じて温度センサ部品40に伝わる。換言すれば、エンジン本体2の熱は、ボルト24を介してであるが直接的に且つリアルタイムに温度センサ部品40に伝わる。また、アルミニウム合金製のシリンダブロック64のシリンダ部分8に隣接して温度センサ部品40が配置されている。したがって、空冷フィン6から放出された熱を含む雰囲気の中に温度センサ部品40が位置している。これらのことにより、エンジン本体2の温度を検出する目的で配置されたセンサ本体46は優れた応答性を有する。
【0039】
また、センサ本体46は制御ユニット20に隣接して位置しているため、センサ本体46と制御ユニット20とを接続する配線つまりリード線52は短くて足りる。また、センサ本体46が制御ユニット20に隣接して位置することで、他の部材(例えばケーシング)を跨ぐことなくリード線52を配索できることから、リード線52の断線事故を招く虞のある部品とリード線52との干渉問題を意識する必要はない。
【0040】
図1〜
図9を参照して説明した実施例では、温度センサ部品40を取り付けるボス30は、本来的には制御ユニット20をエンジン本体2に固定する部位である。このように、本来的に別の目的に使用するねじ穴付き取付部位つまりシリンダブロック64(アッパークランクケース部分66を含む)に形成されたボスや取付座などを利用することで、シリンダブロック64の成型型を作り直す必要がない。
【0041】
すなわち、シリンダブロック64が、エンジン本体2に関連する部品を、ボルトなどのネジ付き部品を使って固定するためのボスや取付座などの取付部を有する場合がある。このために、ねじ穴付き取付部がシリンダブロック64と一体成形される場合には、このねじ穴付き取付部を利用して温度センサ部品40(伝熱性ワッシャ42)を固定するのがよい。これによりシリンダブロック64の成型型をそのまま利用して温度センサ部品40をシリンダブロック64に固定することができる。
【0042】
シリンダブロック64に形成されたねじ穴付き取付部の一例として、点火プラグ10を取り付けるための座を挙げることができる。伝熱性ワッシャ42を挿入した状態で点火プラグ10をシリンダブロック64に固定することで、シリンダ部分8の頂部に温度センサ部品40を設置することができる。
【0043】
温度センサ部品40を設置するのを主目的として、
図10に示すように、シリンダブロック64の任意の箇所に専用取付部70を用意し、ボルト72を使って温度センサ部品40を専用取付部70に固定するようにしてもよい。変形例として、図示を省略したが、専用取付部70をネジ部材で構成してもよい。シリンダブロック64にネジ部材を配置させる手法として、シリンダブロック64のねじ穴に上記ネジ部材を固定してもよい。また、ネジ部材の一端を埋め込んでシリンダブロック64を鋳造してもよい。このネジ部材に螺着するナットを使って温度センサ部品40をシリンダブロック64に固定することができる。
【0044】
この専用取付部70は、シリンダブロック64の好ましくは燃焼室に相当する部位に配置するのがよい。具体的には、シリンダブロック64の軸線に沿った高さレベルにおいて、点火プラグ10から掃気ポートまでの範囲又は点火プラグ10から排気ポートまでの範囲に専用取付部70を配置するのが良い。これにより燃焼室の温度を応答性良くセンサ本体46で検出することができる。
【0045】
また、温度センサ部品40は、エンジンカバーを取り外すだけで、温度センサ部品40のセンサ本体46及びリード線52の全体を露出させることができる位置に配置するのがよい。また、温度センサ部品40は制御ユニット20に極力近い位置となるように、温度センサ部品40の配置位置を設定するのが好ましい。すなわち、制御ユニット20の端子20aに隣接した位置に専用取付部70を配置するのが良い。最も好ましくは、リード線52と干渉する部材が存在しない部位に専用取付部70を配置するのがよい。
【0046】
図1に図示の携帯式作業機の駆動部分100は、図示を省略したがエンジンカバーを含んでいる。このエンジンカバーによってエンジン本体2が覆われる。エンジンカバーを取り外すことで、温度センサ部品40のセンサ本体46及びリード線52の全体を露出させることができる。したがって、温度センサ部品40が故障したときに、温度センサ部品40の交換作業は容易である。