(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
1996年以降、水道におけるクリプトスポリジウムの水質汚染が発覚し、多くの浄水場でクリプトスポリジウム対策を行う必要性が生じてきた。特に、厚生労働省から平成13年11月に発表されたクリプトスポリジウム暫定策指針においては、凝集操作として、(1)凝集剤を注入した直後に攪拌し、被処理液全体に一様に凝集剤を拡散させること、(2)凝集用薬品の注入率を変えたときには、必ずフロック形成池及び沈澱池での処理結果を確認すること、等の記載があり、最近の「水道におけるクリプトスポリジウムへの対策」としての、混和・凝集処理の重要性が益々高まっている。
【0003】
前述した凝集処理は、一般的には混和池及びフロック形成池にて行われる。混和池とは、凝集剤を添加してできるだけ急速に攪拌し、濁質を凝集して微小なフロックを形成する池であり、フロック形成池は、混和池にて生成した微小フロックを大きく成長させる為に緩やかに攪拌する池である。
【0004】
混和・凝集処理には、混和池攪拌機を用いることが有効であり、混和池攪拌機は、凝集剤を注入した後、直ちに急速な攪拌を与え、凝集剤を被処理液中に均一に拡散させるものとして広く知られている。そして、混和・凝集処理における攪拌装置においては、阻流板による攪拌効果が前記クリプトスポリジウムへの対策の上でも有効であることも知られている。
【0005】
図21には、従来の混和池における攪拌装置の側面断面図が示されている。
図22は、側面阻流板の配置を示した混和池の平面図であり、
図23は側面阻流板による被処理液の流れを示した側面断面拡大図である。
図21、
図22、
図23に示すように、従来における攪拌装置は、被処理液が導入される混和池100と、混和池100の上方に設けられ駆動装置101による回転運動により水平方向に被処理液を循環させ攪拌する攪拌羽根(インペラ)104と、混和池100内に設けられ前記攪拌により被処理液の短絡流及び共回りを防止する阻流部110と、を備えた主要構成としている。
【0006】
阻流部110としての側面阻流板は、混和池100の側壁に複数配置され、駆動装置101による攪拌羽根104の回転により、図示矢印で示す様に流入管111より流入された被処理液を攪拌する。その被処理液の攪拌状態は、
図21の矢印に示す様に攪拌羽根104の回転により、混和池100中央へ渦が発生すると共に、
図22及び
図23に示す様に、同時に側面阻流板110により被処理液に乱流を発生させる。側面阻流板110の近傍には大きな渦が発生し、これによって、攪拌効果を得ている。
【0007】
この側面阻流板110を設置する目的は、
図22及び
図23に示す様に、混和池100内の水流を阻害して乱流を発生させること、及び混和池100内の被処理液が攪拌羽根104の動きにつれて共回りすることを防止し、被処理液の短絡流を防止することである。この共回りとは、混和池100内の被処理液が内壁沿いに攪拌羽根104と共に回るだけの液流になり、上下方向での攪拌ができていない状態を示すものである。また、短絡流とは、被処理液が均等に流れず、平均的な滞留時間を経ずに、短い時間で混和池100から流出する流れを意味する。
【0008】
そして、この共回り状態では、混和池100における被処理液中の濁質のうち、粒子径が10
−2mm程度以上のものは単純な沈澱によって除去可能であるが、粒子径が10
−3mm以下のコロイド粒子は殆ど沈降しないため、凝集処理によってコロイド状の濁質をフロック化して、沈澱池や急速ろ過池で除去する必要がある。
【0009】
この様な混和池攪拌機は、凝集剤を使用する場合でも、凝集剤の注入後、直ちに急速な攪拌を与え、凝集剤を被処理液中に均一に拡散させることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、前述した従来技術における側面阻流板110を用いた攪拌装置では、拡散効果はあるものの、
図22及び
図23に示す様に渦が大きく、また渦の発生が少ないために十分な攪拌効果が得られなかった。従って、水流の短絡流(ショートパス)や共回りにより、被処理液全体に一様に、且つ迅速に凝集剤を攪拌させることが出来ないという問題があった。
【0012】
本発明は、上記従来の課題に鑑み成されたものであり、その目的は、混和池内の被処理液により多くの乱流を起こし、短絡流や共回りを抑制することにより、被処理液を均一にかつ高効率で攪拌させることができる攪拌装置及びその設置方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述した目的を達成するために、本発明の一態様は、被処理液が導入される混和池と、前記混和池内に設けられ回転運動により水平方向に被処理液を循環流通させ攪拌する攪拌羽根と、前記混和池内に設けられ前記攪拌により被処理液の短絡流及び共回りを防止する阻流部と、を備
え、前記阻流部は、前記混和池内の側壁に沿って所定間隔を空けて複数設けられ、前記攪拌時に、該混和池内の側壁近傍の被処理液の流れに乱流を発生させる乱流発生部を有する側面阻流装置で
あり、前記乱流発生部は、互いに平行に隙間を設けて配置された複数の棒体から構成されていることを特徴とする攪拌装置
である。
【0014】
本発明の好ましい態様は、前記混和池を上下二分する様に該混和池内に設けられ、中央部に前記被処理液の流通を可能とする開口を有
する水平阻流装置をさらに備え、前記水平阻流装置の上下のそれぞれにおいて被処理液を循環流通させ
ることを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記攪拌羽根は、前記水平阻流装置を挟むように配置された上下2段の撹拌羽根であることを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記側面阻流装置は、前記乱流発生部と、前記混和池内の定位置固定する支持部と、から構成された三角柱形状であることを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記側面阻流装置は、前記乱流発生部と、前記混和池内の所定位置に固定するための支持部と、から構成された三角錐形状であることを特徴とする
。
本発明の好ましい態様は、前記棒体は、
前記被処理液の流れに対して逆V字型又はL字型の断面を有することを特徴とする。
【0015】
本発明の他の態様は、混和池内の側壁近傍の被処理液の流れに乱流を発生させる乱流発生部を有する側面阻流装置を、前記混和池内の側壁に沿って所定間隔を空けて複数設け、
前記乱流発生部は、互いに平行に隙間を設けて配置された複数の棒体から構成されており、前記混和池の中央に設けられ、回転運動により水平方向に被処理液を循環流通させ攪拌する攪拌羽根を配置し、前記攪拌羽根の回転運動により水平方向に被処理液を循環流通させ攪拌すると共に、前記側面阻流装置により側壁近傍の被処理液の流れに乱流を発生させることにより、被処理液の短絡流及び共回りを防止することを特徴とする攪拌装置の設置方法である。
【0016】
本発明の他の態様は、被処理液が導入される混和池と、前記混和池内に設けられ回転運動により水平方向に被処理液を循環流通させ攪拌する攪拌羽根と、前記混和池内に設けられ前記攪拌により被処理液の短絡流及び共回りを防止する阻流部と、を有する攪拌装置の設置方法において、前記阻流部は、前記混和池を上下二分する様に設けられ、中央部に前記被処理液の流通を可能とする開口を有
する水平阻流装置と、前記混和池内の側壁近傍の被処理液の流れに乱流を発生させる乱流発生部を有する側面阻流装置と、から構成され、
前記乱流発生部は、互いに平行に隙間を設けて配置された複数の棒体から構成されており、前記
側面阻流装置を前記混和池の側壁に沿って所定間隔を空けて複数配置し、前記水平阻流
装置の開口に前記攪拌羽根を挿通して前記混和池の中央に該攪拌羽根を配置し、前記
水平阻流装置の上下のそれぞれにおいて被処理液を循環流通させると共に、前記混和池内の側壁近傍の被処理液の流れに乱流を発生させることを特徴とする攪拌装置の設置方法である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、側面阻流装置の乱流発生部により、混和池内の被処理液に乱流の発生を促進し、短絡流や共回りを抑制することができる。また、凝集剤を添加した場合には、凝集剤を被処理液と均一に混合させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明に係る実施例を、
図1〜
図20を用いて詳細に説明する。まず、攪拌装置の構造を説明する。攪拌装置としての混和池攪拌機(例えばフラッシュミキサ)は、被処理液が導入される混和池1と、混和池1の上方に設けられた駆動装置3と、駆動装置3による回転運動により水平方向に被処理液を循環させ攪拌する攪拌羽根5A,5Bと、混和池1内に設けられ攪拌羽根5A,5Bにより被処理液の短絡流及び共回りを防止する阻流装置11,31と、を備える。阻流装置11,31は、混和池1の側壁に沿って配置された複数の側面阻流装置11と、水平に延びる水平阻流装置31とを備えている。被処理液は、混和池1の下部に設けられた流入管2から混和池1内に流入し、混和池1の上部に設けられた流出部4から排出される。
【0020】
混和池1は、一般的には、1〜100m
3程度の容積を有しており、
図1に示す様に、攪拌羽根5A,5Bや阻流装置11,31を設置する際、上面は開放されているか、又は開閉可能とする蓋を備えている。混和池1は、四方を囲まれた金属又はコンクリート製で、被処理液を内部に導入し、溜める池である。混和池1として、混和槽を適用してもよく、また、同等の大きさの容器や、プールなども適用可能である。
【0021】
攪拌羽根機構は、混和池1内において、例えば添加された凝集剤を、被処理液と混合するためのものであり、駆動装置3と、駆動シャフト6と、攪拌羽根(インペラ)5A,5Bとから構成されている。駆動装置3に駆動シャフト6が連結され、該駆動シャフト6の下端に攪拌羽根5Aが設けられる。本実施例では、攪拌効果を上げるために、駆動シャフト6の中間位置に攪拌羽根5Bが更に設けられており、2段式の攪拌羽根5A,5Bが構成されている。この様な構成を備えた攪拌装置によれば、凝集剤を注入した後、直ちに急速な攪拌を与え、凝集剤を被処理液中に均一に拡散させることができる。
【0022】
阻流部としての阻流装置11,31は、複数の側面阻流装置11と、水平阻流板(水平邪魔板)である水平阻流装置31とから構成されている。側面阻流装置11は、混和池1内の側壁に沿って所定間隔を空けて複数設けられており、被処理液の攪拌時に、混和池1の側壁に沿って周方向に流れる被処理液に乱流を発生させるように構成されている。
図1に示すように、側面阻流装置11は水平阻流板31の上方に複数配置され、さらに水平阻流板31の下方にも複数配置されている。
図1に示す例では、4つの側面阻流装置11が水平阻流板31の上方に複数配置され、4つの側面阻流装置11が水平阻流板31の下方に配置されている。
【0023】
以下、側面阻流装置11についてより詳細に説明する。
図2は、側面阻流装置11の一例を示す図である。側面阻流装置11は、金属製の棒状の剛体、パイプ(断面O字型の鋼材)、アングル(断面L字型の鋼材)などを用いて構成された乱流発生部12を有する。この側面阻流装置11は、互いに平行に水平に延びる複数の棒体(横型フラットバー)14と、これら棒体14が固定される支持部(支持フレーム)15とを有している。乱流発生部12は、これら複数の棒体14から構成されている。
【0024】
図3は、側面阻流装置11の他の例を示す図である。この側面阻流装置11は、互いに平行に鉛直に延びる複数の棒体(縦型フラットバー)14と、これら棒体14が固定される支持部15(支持フレーム)とを有している。乱流発生部12は、これら複数の棒体14から構成されている。
図2及び
図3に示す側面阻流装置11は、全体として三角柱形状を有している。
【0025】
乱流発生部12を構成する棒体14の向きは、図示の例に限らず、乱流が形成される様に攪拌効果があればよいので、縦、横、斜めのどれでもよい。これらの側面阻流装置11は、
図4に示す様に、混和池1の各側壁のほぼ中央部に配置されており、支持部15をボルト締め、又は溶接することによって混和池1の側壁に固定される。このような側面阻流装置11を混和池1の側壁に配置することにより、混和池1の壁面に、より多くの乱流を起こさせることが可能となる。
【0026】
また、
図5に示す様に、混和池1の4隅に、ボルト締めや、溶接によって固定してもよい。これにより、混和池1の4隅部に、より多くの乱流を起こさせることが可能となる。
図1〜
図5に示している矢印は、攪拌羽根5A,5Bの攪拌による被処理液の流れを示す。
図4及び
図5では、水平阻流装置31の下方に配置されている側面阻流装置11のみを図示しているが、
図1に示すように、水平阻流装置31の上方にも同じように側面阻流装置11が配置される。
【0027】
図6は、側面阻流装置11の一実施例を示す上面図及び正面図であり、
図7は
図6のA−A線断面図である。この実施例に係る側面阻流装置11は、乱流発生部12として、逆V字型断面を有する金属製の複数の棒体14を備えている。これら棒体14は鉛直方向に延びており、所定の隙間を空けて水平方向に沿って配列されている。従って、乱流発生部12には、多数の縦スリット16、すなわち多数の開口が形成されている。
図7に示すように、側面阻流装置11は、被処理液が各棒体14に垂直に当たるように配置される。被処理液の一部は棒体14に衝突し、被処理液の一部は縦スリット(開口)16を通過する。このような被処理液の速度差によって棒体14の裏側には小さな渦が多数形成され、これによって撹拌効果を向上させることができる。
【0028】
図8は、側面阻流装置11の一実施例を示す上面図及び正面図であり、
図9は
図8のB−B線断面図である。この実施例に係る側面阻流装置11は、乱流発生部12として、L字型断面を有する金属製の複数の棒体14を備えている。このような棒体14はアングルと呼ばれている。これら棒体14は鉛直方向に延びており、所定の隙間を空けて水平方向に沿って配列されている。従って、乱流発生部12には、多数の縦スリット16、すなわち多数の開口が形成されている。
【0029】
図9に示すように、側面阻流装置11は、被処理液が各棒体14に垂直に当たるように配置される。この実施例においても、棒体14の裏側には小さな渦が多数形成され、これによって撹拌効果を向上させることができる。
図9から分かるように、棒体14がL字型断面を有しているために、被処理液は、まず棒体14の突出部に衝突し、その後水平部に衝突する。このように、棒体14に接触する被処理液には時間差が生じるので、より効果的に渦を発生させることが期待される。
【0030】
図10は、側面阻流装置11の一実施例を示す上面図及び正面図であり、
図11は
図10のC−C線断面図である。この実施例に係る側面阻流装置11は、乱流発生部12として、長板状の金属製の複数の棒体14を備えている。これら棒体14は水平方向に延びており、所定の隙間を空けて鉛直方向に沿って配列されている。従って、乱流発生部12には、多数の横スリット16、すなわち多数の開口が形成されている。
図11に示すように、側面阻流装置11は、被処理液が各棒体14に垂直に当たるように配置される。この実施例においても、棒体14の裏側には小さな渦が多数形成され、これによって撹拌効果を向上させることができる。
【0031】
図12は、側面阻流装置11の一実施例を示す上面図及び正面図であり、
図13は
図12のD−D線断面図である。この実施例に係る側面阻流装置11は、乱流発生部12として、長板状の金属製の複数の棒体14を備えている。これら棒体14は鉛直方向に延びており、所定の隙間を空けて水平方向に沿って配列されている。従って、乱流発生部12には、多数の縦スリット16、すなわち多数の開口が形成されている。
図13に示すように、側面阻流装置11は、被処理液が各棒体14に垂直に当たるように配置される。この実施例においても、棒体14の裏側には小さな渦が多数形成され、これによって撹拌効果を向上させることができる。
【0032】
図14は、側面阻流装置11の一実施例を示す上面図及び正面図であり、
図15は
図14のE−E線断面図である。この実施例に係る側面阻流装置11は、乱流発生部12として、金属製の1枚の板体17を備えている。この板体17には複数の通孔(すなわち開口)18が形成されている。
図15に示すように、側面阻流装置11は、被処理液が板体17に垂直に当たるように配置される。この実施例においても、板体17の裏側には小さな渦が多数形成され、これによって撹拌効果を向上させることができる。
【0033】
図16および
図17は、
図3に示す側面阻流装置11を
図1に示す混和池1内に設置したときの流れ解析を行ったシミュレーション結果を示す図である。この側面阻流装置11は、互いに平行に鉛直に延びる複数の棒体(縦型フラットバー)14を持つタイプである。シミュレーションの目的は、側面阻流装置11によって乱流の発生が促進されること、および被処理液の共回りが側面阻流装置11によって防止されることを確認することである。
【0034】
図16は、
図1に示す攪拌羽根5と、側面阻流装置11を想定して4つ間隔をあけて立設した棒体14と、により、シミュレーションを行った図であり、側面斜め上方から見た図である。
図17は、側面阻流装置11を想定して間隔をあけて立設した棒体14のシミュレーションを行った図であり、側面斜め上方から見た拡大図である。
図16および
図17に示す濃淡部分は、流速が変化している部分を表し、また矢印は、べクトルで流れの方向、向きを表し、矢印の長さは流速の大きさ表す。
【0035】
シミュレーションの条件は以下の通りである。
・混和池1の水槽の幅と長さ900mm、水槽高さ1000mm
・攪拌羽根5A,5B(上下二段)の直径290mm、各翼の幅40mm、各翼の長さ100mm、翼の枚数6枚
・下段の攪拌羽根5Aの池底からの高さ300mm、上段の攪拌羽根5Bの池底からの高さ660mm
・攪拌羽根5A,5Bの周速1.7m/s、攪拌羽根5A,5Bの回転速度1.9回/s
【0036】
以上の条件下でシミュレーションを実行し、流れ解析を行ったところ、
図16および
図17に示す結果が得られた。これらの図面に示す流れ解析結果から分かるように、棒体14の後方には小さな乱流が形成されており、棒体14の間を被処理液が通過することによって多くの乱流が発生している。また、
図16から分かるように、攪拌羽根5A,5Bによって掻き回された被処理液の流れが棒体14によって大きく変化し、被処理液の共回りが防止されている。このように、本実施形態の側面阻流装置11は、混和池1内の被処理液により多くの乱流を起こし、短絡流や共回りを抑制することができる。
【0037】
次に、水平阻流装置(水平邪魔板)31について説明する。水平邪魔板としての水平阻流装置31の材料には、例えば金属材料、ステンレス鋼、SS400、SUS304を用いることができる。
図1に示すように、水平阻流装置(水平邪魔板)31は、上から見たときに四角形状の板状のものであり、中央に円形形状の開口32が設けられている。この開口32の直径は、攪拌羽根5A,5Bの直径よりも大きくてもよく、又は小さくてもよい。
【0038】
この水平阻流装置31は、混和池1を上下二分する様に設けられ、中央部の開口32により混和池1内の上下方向に被処理液を循環流通させることが可能である。この水平阻流装置31により、無い場合に比して、混和池1の上下方向に乱流を発生させることが可能となる。攪拌羽根5Aは水平阻流装置31の上方に配置されており、攪拌羽根5Bは水平阻流装置31の下方に配置されている。
【0039】
水平阻流装置31を混和池1に設置するためには、サポートが必要である。このサポートに、縦型フラットバーの側面阻流装置11を用いることもできる。即ち、水平阻流装置31を混和池1の側壁に直接、溶接やボルト締めにより固定するのではなく、
図1、
図4、
図5に示す様に、水平阻流装置31の上面及び/又は下面の所定位置に、側面阻流装置11を予め溶接、又はボルト締めで固定しておき、一体化させて、これを混和池1に設置する。この場合、例えば
図1に示す様に、水平阻流装置31が混和池1をほぼ二分する高さに位置する様に、側面阻流装置11に支持脚33を設ける様にしてもよい。
【0040】
図18乃至
図20は、水平阻流装置31のサポートにフラットバー14を取り付けて乱流発生部12を構成した例を示している。これらの例では、水平阻流装置31のサポートは、側面阻流装置11の支持部15としても機能しており、より簡易な構成となっている。
図18乃至
図20に示す側面阻流装置11は、全体として三角錐形状を有している。
図18及び
図20に示す側面阻流装置11の配置は、
図4及び
図5に示す配置とほぼ同じである。
【0041】
次に、上述のように構成された攪拌装置の動作について説明する。まず、攪拌羽根5A,5Bの回転により、混和池1内で被処理液が水平方向に回転し、攪拌する循環流通が行われる。
図1に示す様に、攪拌羽根5A,5Bが水平阻流装置31を挟む様に上下2段に配置されているので、混和池1内の槽列数が増すことから、短絡流が減る。そして、混和池1の側壁に沿って複数の側面阻流装置11が設けられているため、乱流が生じ、凝集に必要なエネルギーを被処理液に与えることができる。
【0042】
前述した被処理液の水平方向の循環流通は、側面阻流装置11の乱流発生部12により、該混和池1内の側壁近傍において、被処理液の流れに多くの乱流を発生させることができる。つまり、前記乱流発生部12には、複数の開口16,18が設けられているので、乱流発生部12の裏側に多くの小さな乱流を発生させることができる。さらに、断面L字状又は断面逆V字状の棒体14を使用した場合には、乱流発生部12の表面に複数の凹凸が形成されるので、乱流発生部12の表面においても多くの小さな乱流を発生させることができる。
【0043】
以上のような、側面阻流装置11と水平阻流装置31とを組合せることにより、より多くの大小の乱流を起こし、短絡流や共回りを抑制して、攪拌効果を最大限に向上させることができる。
【0044】
尚、本実施例によれば、側面阻流装置11と水平阻流装置31とを組合せ、両方を設置することにより、より確実に最大限に短絡流と共回りを防止する場合の例を挙げたが、これに限定されず、必ずしも水平阻流装置31が必要とされるものではなく、夫々、単独に、別々に適用しても良い。
【0045】
上述した実施例によれば次のような効果を得ることができる。浄水場内の混和池1において、2種類の阻流装置を設置することにより、阻流板が池内の水流を阻害して乱流を発生し、混和池1内の被処理液が攪拌羽根5A,5Bの動きにつれて共回り運動をすることを防止し、また、短絡流を減らすことができ、より確実な混和を行うことができる。これにより、阻流装置を設置しない場合に比べ、混和池1に注入された凝集剤を被処理液中により均一に拡散させることができる。
【0046】
一方の阻流装置、例えば、縦型フラットバーを備えた側面阻流装置11は、他方の阻流装置、例えば、水平邪魔板からなる水平阻流装置31のサポートを兼ねることもできる。このように構成すれば、阻流装置の設置が簡単になり、阻流装置の構造も簡素になり、軽量化することができ、装置本体価格の低減、及び設置に関わる工事費用も低減できる。
【0047】
以上本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。