(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。
[第1の実施の形態]
第1の実施の形態について、
図1を用いて説明する。
【0011】
図1は、第1の実施の形態の読み取り装置を説明するための図である。
なお、
図1(A)は、照明部4がオフ時の読み取り装置1を、
図1(B)は、帳票5の画像のヒストグラムを、
図1(C)は、照明部4がオン時の読み取り装置1を、それぞれ示している。また、
図1(B)は、横軸は階調を、縦軸は、その頻度を表している。
【0012】
読み取り装置1は、
図1(A)に示されるように、イメージスキャナ2と、イメージスキャナ2の撮像を制御する情報処理部6とを有する。このような読み取り装置1は、例えば、室内灯等の外光9のもとで読み取り処理を実行する。
【0013】
イメージスキャナ2は、帳票5を撮像する撮像部3と、帳票5を照明する照明部4と、を備える。
帳票5は、図示を省略するものの、例えば、その媒体の背景色が白色であって、この媒体に、文字が記載される文字枠と文字とが黒色で記載されている。このような帳票5は、例えば、白色で適切な明るさの外光が照明されると、
図1(B)に示されるように、ヒストグラムA(破線)の階調の分布を表す。ヒストグラムAは、背景色の白色と、文字並びに文字枠の黒色とにピークがある。また、背景色の方が、文字並びに文字枠よりも頻度(面積)が多い。このため、背景色(白色)のピークの方が、文字並びに文字枠(黒色)のピークよりも高い。
【0014】
情報処理部6は、照明決定部7と、撮像実行部8とを有する。
照明決定部7は、照明部4から照明されずに外光9から照明されて、撮像部3に撮像させた帳票5の画像に基づき、照明部4の照明出力を決定する。
【0015】
撮像実行部8は、照明部4から照明出力で照明させて、撮像部3に帳票5を撮像させる。
なお、照明決定部7と撮像実行部8とは、読み取り装置1の情報処理部6が備える図示しないCPU(Central Processing Unit)によって所定の読み取り処理プログラムが実行されることにより、その処理機能が実現される。
【0016】
次に、このような読み取り装置1による帳票5の読み取り方法について説明する。
まず、撮像部3は、照明部4から照明されずに外光9から照明された状態で、帳票5の画像を撮像する。
【0017】
照明決定部7は、このようにして撮像された画像に基づき、照明部4の照明出力を決定する。
ここで、撮像部3で撮像される画像について説明する。例えば、外光9からの照明が十分暗い(照明出力が低い)場合、当該画像は、
図1(B)に示されるように、ヒストグラムB(実線)で表される。ヒストグラムBは、外光9の照明出力が低いために、背景色(白色)のピークが、ヒストグラムAの背景色(白色)のピークよりも階調が低い(暗い)方に移動してしまう。そこで、照明決定部7は、このようなヒストグラムAに対するヒストグラムBのピークの移動が補正されるように照明部4からの照明出力を決定する。
【0018】
撮像実行部8は、このようにして決定した照明出力で照明部4から帳票5を照明させて(
図1(C))、再び、撮像部3に帳票5を撮像させる。
このようにして読み取られた帳票5は、
図1(B)に示されるように、ヒストグラムAで表されるようになり、鮮明に読み取られるようになる。
【0019】
上記読み取り装置1では、照明決定部7が、照明部4から照明されていない状態で外光9から照明されて撮像部3に撮像させた帳票5の画像に基づき、照明部4の照明出力を決定し、照明部4から照明出力で照明させて、撮像部3に帳票5を撮像させるようにした。これにより、外光9の照明出力に関わらず、撮像される帳票5の画像の階調値が一定以上を示すようになる。したがって、読み取り装置1は、外光9の明るさに関わらず帳票5を適切に読み取ることができるようになる。
【0020】
[第2の実施の形態]
第2の実施の形態では、第1の実施の形態についてより具体的に説明する。
まず、第2の実施の形態の読み取り装置のハードウェア構成について
図2を用いて説明する。
【0021】
図2は、第2の実施の形態の読み取り装置のハードウェア構成例を示す図である。
読み取り装置100は、情報処理装置110と、係員からの操作入力を受け付けると共に、受付画面、読み取った画像等を表示する表示入力装置120と、帳票の画像を撮像するイメージスキャナ130とを有する。
【0022】
情報処理装置110は、CPU111と、メモリ部112と、グラフィック処理部113と、入出力インタフェース114と、通信制御部115とを備えており、これらの各部はバス116で相互に接続されている。
【0023】
CPU111は、メモリ部112の記録媒体に記憶された各種プログラムを実行することにより、情報処理装置110全体を統括的に制御する。
メモリ部112には、CPU111に実行させるOS並びにプログラムの少なくとも一部が一時的に格納される。メモリ部112には、CPU111による処理に必要な各種データが格納される。また、メモリ部112には、情報処理装置110上のOS、アプリケーション等のプログラムが格納される。また、メモリ部112には、情報処理装置110に対する設定情報並びにCPU111による処理に必要な各種情報が格納される。
【0024】
グラフィック処理部113には、表示入力装置120のディスプレイ121が接続されている。グラフィック処理部113は、CPU111からの命令に従って所定の画面を表示入力装置120のディスプレイ121に表示させる。
【0025】
入出力インタフェース114には、表示入力装置120のタッチパネル122と、イメージスキャナ130が接続されている。入出力インタフェース114は、バス116を介してCPU111からの制御信号を各ユニットに通知し、表示入力装置120並びにイメージスキャナ130とからの信号を同様にCPU111に通知する。
【0026】
通信制御部115は、ネットワーク(図示を省略)を介して、他の装置に通信可能に接続されており、他の装置と信号の送受信を行う。
続いて、情報処理装置110以外の各部について説明する。
【0027】
表示入力装置120は、ディスプレイ121とタッチパネル122とを備え、ディスプレイ121とタッチパネル122とはグラフィック処理部113と入出力インタフェース114とにそれぞれ接続されている。
【0028】
ディスプレイ121は、グラフィック処理部113からの画面情報に基づいて画面を表示する。
タッチパネル122は、ディスプレイ121が表示する画面に対する顧客のタッチ入力を検知する。なお、タッチパネル122が検知した画面のタッチ位置に表示されている取引内容が情報処理装置110のCPU111で実行される。
【0029】
イメージスキャナ130は、帳票を撮像する撮像部131と、撮像される帳票を照明する照明部132とを有する。
このようなイメージスキャナ130の構成の詳細について、
図3を用いて説明する。
【0030】
図3は、第2の実施の形態の読み取り装置に含まれるイメージスキャナの構成例を示す図である。
なお、
図3(A)はイメージスキャナ130の斜視図を、
図3(B)は、イメージスキャナ130の読み取りヘッド部133の撮像部131の設置面側の平面図をそれぞれ表している。
【0031】
イメージスキャナ130は、
図3(A)に示されるように、撮像部131が設けられた読み取りヘッド部133と、読み取りヘッド部133を支持する支柱134と、帳票がセットされる台座135とを有する。
【0032】
また、読み取りヘッド部133は、撮像部131の周囲に、複数のLED(Light Emitting Diode)からなる照明部132が設けられている。なお、照明部132の設置箇所は、撮像部131の周囲に限らず、台座の帳票を照明することができる箇所であればどこでも構わない。
【0033】
このようなイメージスキャナ130で撮像される帳票の一例について、
図4を用いて説明する。
図4は、帳票例を示す図である。
【0034】
図4に示す帳票50は、例えば、入金時に用いられるものであり、媒体51に、入金者の氏名が記入される文字枠52と、入金金額が記入される文字枠53と、入金先口座が記入される文字枠54とが印字されている。これらの文字枠52〜54に記入される氏名と入金金額と入金先口座との文字は、黒色で記載される。また、媒体51の背景色は、例えば、白色であり、文字枠52〜54は、例えば、赤色で印字されている。さらに、媒体51には、媒体51の印字パターン(例えば、媒体51の背景色、文字枠52〜54の色等)を識別する識別情報55(
図4の場合には、「0011」)が黒色で印字されている。例えば、識別情報55が「0011」は、媒体51の背景色が白色で、文字枠52〜54が赤色であることを表す。
【0035】
また、帳票50では、例えば、このように文字枠52〜54を着色させることで、ユーザに対して文字の記入箇所を容易に認識させ、または、デザイン的な観点から着色した模様等が印字される場合がある。このように着色を含む帳票50では、文字認識の際に、着色された文字枠、模様等を消して、黒色で記入された文字だけを残すドロップアウト処理が実行される。なお、ドロップアウト処理では、帳票50の画像において、黒色、白色以外の文字枠並びに模様等の色を黒色または白色のいずれかに取り込んで二値化を行うものである。
【0036】
次に、読み取り装置100が備える機能について、
図5を用いて説明する。
図5は、第2の実施の形態の読み取り装置が備える機能の一例を示す機能ブロック図である。
【0037】
読み取り装置100は、まず、画像情報保持部101と、照明出力変動率情報保持部102とを有する。
ここで、画像情報保持部101が保持する画像情報と、照明出力変動率情報保持部102が保持する照明出力変動率情報とについて、
図6〜
図9を用いて説明する。
【0038】
図6は、第2の実施の形態の読み取り装置の画像情報保持部が保持する画像情報の一例を示す図である。
なお、
図6(A)は、明度に関し、
図6(B)は色相に関する画像情報を表している。
【0039】
図7は、第2の実施の形態の照明の明度及び色相に関する画像情報の具体例を示す図である。
なお、
図7の各グラフの横軸は階調を、縦軸は各階調の頻度をそれぞれ表している。また、
図7(A)は、明度に関して、媒体の背景色が白色(文字は黒色、文字枠は赤色)の場合を、
図7(B)は、明度に関して、
図7(A)よりも明度が低い(暗い)場合をそれぞれ示す図である。
図7(C)は、色相に関して、媒体の背景色が白色の場合(文字は黒色、文字枠は赤色)を、
図7(D)は、色相に関して、
図7(C)よりも外光が青色を多く含む場合をそれぞれ示す図である。
【0040】
さらに、
図8は、第2の実施の形態の読み取り装置の照明出力変動率情報保持部が保持する照明出力変動率情報の一例を示す図である。
画像情報保持部101は、
図6(A)に示されるように、帳票50に印字されている識別情報と、当該識別情報に対応付けられた、(明度に関する)画像情報とを有する。
【0041】
例えば、
図4の識別情報55の「0011」には、画像情報「aa」として、
図7(A)に示されるような、ヒストグラムの情報が対応付けられている。
図7(A)のヒストグラムは、
図4の帳票50に適切な明度の白色の外光が照明された場合である。
図4の帳票50は、その媒体51が白色の背景色の頻度(専有面積)が最も多いために、背景色のピークが最も高く、赤色の文字枠、黒色の文字の高さの順でピークが表されている。
【0042】
また、画像情報保持部101は、
図6(B)に示されるように、帳票50に印字されている識別情報と、当該識別情報に対して対応付けられた、(色相に関する)画像情報とを有する。
【0043】
例えば、
図4の識別情報55の「0011」には、画像情報「ba」として、
図7(C)に示されるような、ヒストグラムの情報が対応付けられている。
図7(C)のヒストグラムは、
図4の帳票50に適切な明るさの白色の外光が照明された場合である。
図4の帳票50は、その媒体51が白色の背景色の頻度(専有面積)が最も多いために、背景色のピークが高く、赤色の文字枠、黒色の文字の高さの順でピークが表されている。但し、背景色及び文字に関しては、赤色、青色、緑色のそれぞれのピークで構成されている。赤色の文字枠に関しては、青色、緑色のピークで構成されている。
【0044】
一方、照明出力変動率情報保持部102は、
図8に示されるように、ヒストグラムのピークが移動した移動量(階調差)と、当該階調差に対応する照明出力の変動率とが対応付けられた照明出力変動率情報が保持されている。
【0045】
ここでヒストグラムのピークの移動(並びに移動量)について説明する。
既述の通り、帳票50は、
図7(A)に示されるような、明度のヒストグラムを示す。このような帳票50が、例えば、
図7(A)の場合よりも暗い外光のもとで撮像された画像は、
図7(B)に示されるように、ヒストグラムのピークが、
図7(A)に比べて、低階調(暗い)側に移動する。特に、背景色に対応するピークは、「20」程、低階調側に移動していることが分かる。すなわち、
図7(B)の場合の帳票50の画像は、
図7(A)の場合と比べて、暗く、鮮明ではなくなっている。
【0046】
そこで、
図7(B)の外光のもとで、読み取り装置100は、イメージスキャナ130の撮像部131で帳票50を撮像する際に、照明部132により照明して帳票50を明るくする。これにより、ヒストグラムの低階調側に移動するピークが元のピークの位置に維持されるようになる。照明出力変動率情報では、この際の照明部132の照明出力が、ピークの移動量(階調差)に対応付けられている。例えば、
図8に示されるように、ヒストグラムのピークが予め設定された基準値に対して「20」だけ低階調値側(「−20」)に移動する場合には、照明部132からの照明出力をプラス10%向上させる。これにより、
図7(B)の外光のもとでありながら、
図7(A)のヒストグラムを表す帳票50の画像が撮像されるようになる。
【0047】
また、既述の通り、帳票50は、
図7(C)に示されるような、色相のヒストグラムを示す。このような帳票50が、例えば、
図7(C)の場合よりも青色を多く含む外光のもとで撮像された場合の画像は、
図7(D)に示されるように、ヒストグラムの赤色と緑色とのピークが、
図7(C)に比べて、低階調(暗い)側に移動する。特に、背景色に対応する赤色と緑色とのピークは、「20」程、低階調側に移動する。すなわち、
図7(D)の場合の帳票50の画像は、
図7(C)の場合と比べて、暗く、鮮明ではなくなっている。
【0048】
そこで、
図7(D)の外光のもとで、読み取り装置100は、イメージスキャナ130の撮像部131で帳票50を撮像する際に、照明部132から、赤色と緑色との照明出力を大きくして帳票50を照明する。これにより、ヒストグラムの低階調側に移動するピークが元のピークの位置に維持されるようになる。照明出力変動率情報では、この際の照明部132の照明出力が、ピークの移動量(階調差)に対応付けられている。例えば、
図8に示されるように、ヒストグラムのピークが予め設定された基準値に対して「20」だけ低階調値側(「−20」)に移動する場合には、照明部132からの赤色と緑色との照明出力をプラス10%向上させる。これにより、
図7(D)の青色を多く含む外光のもとでありながら、
図7(C)のヒストグラムを表す帳票50の画像が撮像されるようになる。
【0049】
このようにして、照明出力変動率情報では、ヒストグラムの外光の影響により移動した移動量(階調差)に対して、移動したピークが元のピークに維持されるような、照明部132の照明出力の増減率が対応付けられている。
【0050】
なお、上記の
図7(C)の外光が青色を多く含むのは一例であって、外光が赤色または緑色を多く含む場合であっても構わない。外光が赤色を多く含む場合には、青色と緑色とのピークが低階調側に移動する。このため、照明部132からは、青色と緑色との照明出力を大きくして帳票50を照明する。また、外光が緑色を多く含む場合には、赤色と青色とのピークが低階調側に移動する。このため、照明部132からは、赤色と青色との照明出力を大きくして帳票50を照明する。
【0051】
引き続き、
図5の説明を続ける。
読み取り装置100は、さらに、撮像制御部103と、画像処理部104と、移動算出部105と、照明制御部106とを有する。
【0052】
撮像制御部103は、撮像部131の撮像を制御して、帳票等の撮像を実行させる。また、撮像制御部103は、撮像部131が撮像した帳票の画像情報を取得する。
画像処理部104は、撮像制御部103が取得した画像に対して画像処理を実行する。画像処理部104は、例えば、帳票50の画像において階調に対するヒストグラムを生成する。また、画像処理部104は、帳票50の画像に対してドロップアウト処理を行って、黒色の文字のみを残して、文字認識処理を実行する。
【0053】
移動算出部105は、帳票の画像の背景色のヒストグラムのピークのずれ(移動量)を算出して、照明出力変動率情報保持部102を参照して、当該ずれに対応する照明部132の照明出力を決定する。
【0054】
このような構成を有する読み取り装置100により実行される読み取り方法について、
図9を用いて説明する。
図9は、第2の実施の形態の読み取り装置で実行される読み取り処理を示すフローチャートである。
【0055】
読み取り装置100では、イメージスキャナ130の台座135の所定位置に帳票50がセットされて、読み取り開始処理の操作入力を受け付けると、以下の処理が実行される。
【0056】
[ステップS11] 撮像制御部103は、イメージスキャナ130の撮像部131に撮像要求を通知する。
[ステップS12] 撮像部131は、ステップS11により通知された撮像要求に基づき、台座135上の帳票50の撮像を行う。
【0057】
この際、撮像部131は、読み取り装置100が設置されている室内の外光(室内灯)のみのもとで、台座135上の帳票50の撮像を行う。
なお、この際の外光は、比較的暗く、青色を多く含むものである。
【0058】
[ステップS13] 撮像部131は、撮像した帳票50の画像を撮像制御部103に通知する。
[ステップS14] 撮像制御部103は、撮像部131から、撮像された帳票50の画像を取得する。
【0059】
このようにして取得された帳票50の画像のヒストグラムは、明度及び色相に関して
図7(B)及び
図7(D)にそれぞれ示したように、背景色のピークが低階調側に移動している。
【0060】
[ステップS15] 画像処理部104は、ステップS14で取得した帳票50の画像に対して画像解析処理を行う。
移動算出部105は、画像解析処理の結果に基づき、照明部132の赤色(R)、緑色(G)、青色(B)のそれぞれの照明出力を算出する。
【0061】
なお、ステップS15の詳細の処理については後述する
図10により説明する。
[ステップS16] 照明制御部106は、照明部132に、ステップS15で算出した赤色(R)、緑色(G)、青色(B)のそれぞれの照明出力に基づくRGB比率変動要求を通知する。
【0062】
[ステップS17] 照明部132は、ステップS16で通知された照明出力によるRGB比率変動要求に基づき、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の照明出力の比率を変動させて、台座135上の帳票50を照明する。
【0063】
[ステップS18] 撮像制御部103は、イメージスキャナ130の撮像部131に撮像要求を通知する。
[ステップS19] 撮像部131は、ステップS18で通知された撮像要求に基づき、台座135上の帳票50の撮像を行う。
【0064】
この際、撮像部131は、読み取り装置100が設置されている室内の外光(室内灯)に加えて、ステップS17で設定された照明出力の照明部132からの照明のもと、台座135上の帳票50の撮像を行う。
【0065】
[ステップS20] 撮像部131は、撮像した帳票50の画像を撮像制御部103に通知する。
[ステップS21] 撮像制御部103は、撮像部131から、撮像された帳票50の画像を取得する。
【0066】
このようにして取得した帳票50の画像のヒストグラムは、明度及び色相に関して
図7(A)及び
図7(C)に示したように、背景色のピークが移動せずに基準値の位置に維持されている。
【0067】
[ステップS22] 画像処理部104は、ステップS21で取得した帳票50の画像に対して、ドロップアウト処理を実行して、赤色で印字されている文字枠52〜54を消して、黒色で記入された文字だけを残す。
【0068】
ドロップアウト処理では、例えば、ステップS21で取得した帳票50の画像の
図7(A)に示すヒストグラムにおいて、(破線で示される)階調Xを閾値とし、当該閾値Xから左側を黒色に、右側を白色に変換して二値化する。これにより、赤色の文字枠52〜54を消して、黒色で記入された文字だけを残すことができる。
【0069】
なお、照明部132による照明を行わずに撮像された帳票50の画像(
図7(B))に、上記ドロップアウト処理を実行すると、上記と同様に設定した閾値(階調X)が文字枠によるピークを跨ってしまう。このため、当該閾値により白色と黒色とにそれぞれ変換すると、文字枠の階調が白色と黒色とにそれぞれ含まれてしまい、文字枠を十分に消すことができなくなる。したがって、ステップS15〜S17に基づき照明部132を照明させて撮像された帳票50の画像は、ドロップアウト処理による精度の低下が抑制される。
【0070】
[ステップS23] 画像処理部104は、ステップS22でドロップアウト処理を行った画像に文字認識処理を実行して、帳票50に記載されている内容(文字)を特定する。
【0071】
[ステップS24] 照明制御部106は、照明部132に、照明のRGB比率初期化要求を通知する。
[ステップS25] 照明部132は、照明のRGB比率を変動させて照明する。
【0072】
次に、ステップS15の画像解析処理について、
図10を用いて説明する。
図10は、第2の実施の形態の読み取り装置で実行される読み取り処理の画像解析処理を示すフローチャートである。
【0073】
[ステップS31] 画像処理部104は、ステップS14で取得した帳票50の画像から識別情報55を取得する。
例えば、
図4の帳票50の画像の場合には、画像処理部104は、識別情報55の「0011」を取得する。
【0074】
[ステップS32] 画像処理部104は、画像情報保持部101を参照して、ステップS31で取得した識別情報55に対応するヒストグラム(画像情報)を特定する。
例えば、ステップS31で取得した識別情報55が「0011」の場合には、
図6の画像情報保持部101を参照して、画像情報として、明度については「aa(
図7(A)に対応)」を、色相については「ba(
図7(C)に対応)」を特定する。
【0075】
[ステップS33] 画像処理部104は、ステップS14で取得した画像のヒストグラムを生成する。この際、明度と色相とに関する2種のヒストグラムを生成する。
例えば、ステップS14で取得した帳票50の画像から、明度に関しては
図7(B)のヒストグラムを、色相に関しては
図7(D)のヒストグラムをそれぞれ生成する。
【0076】
[ステップS34] 移動算出部105は、明度と色相とに関して、ステップS32で特定したヒストグラムの背景色のピークに対する、ステップS33で生成したヒストグラムの背景色のピークの移動量(階調差)を算出する。
【0077】
例えば、明度に関しては、
図7(B)の帳票50の媒体51の背景色のピークが、
図7(A)と同様に背景色のピークに対してどの程度移動しているかを算出する。
図7(B)の場合であれば、階調が「20」程度、低階調側に移動している。
【0078】
また、色相に関しては、
図7(D)の帳票50の媒体51の背景色のピークが、
図7(C)と同様に背景色のピークに対してどの程度移動しているかを算出する。
図7(D)の場合であれば、赤色と緑色とのピークの階調が「20」程度、低階調側に移動している。
【0079】
[ステップS35] 移動算出部105は、照明出力変動率情報保持部102を参照して、ステップS34で算出した階調差に対応する照明出力を決定する。
例えば、明度に関しては、ステップS34で説明したように、帳票50の媒体51の背景色のピークの階調が「20」程、低階調側(「−20」)に移動している。このため、移動算出部105は、照明出力変動率情報保持部102の照明出力変動率情報(
図8)を参照して、「−20」に対応する照明出力として「+10%」を決定する。
【0080】
また、色相に関しては、ステップS34で説明したように、帳票50の媒体51の背景色の赤色及び緑色のピークの階調がそれぞれ「20」程、低階調側(「−20」)に移動している。このため、移動算出部105は、照明出力変動率情報保持部102の照明出力変動率情報(
図8)を参照して、赤色及び緑色の階調差「−20」に対応するそれぞれの照明出力として「+10%」を決定する。
【0081】
したがって、照明制御部106は、照明部132に、照明の明度を「+10%」向上させて、照明の赤色及び緑色の照明出力を「+10%」向上させた(青色の照明出力は「0%」)照明のRGB比率変動要求を通知する(ステップS16)。照明部132は、このような照明出力に基づいて帳票50を照明する(ステップS17)。
【0082】
上記読み取り装置100では、適切な明度の白色の外光のもとで撮像された帳票50の画像のヒストグラムに対する、外光のみのもとで撮像部131に撮像させた帳票50の画像のヒストグラムの移動量に基づき、照明部132の照明出力を決定する。そして、読み取り装置100は、決定した照明出力に基づき照明部132から照明させて、撮像部131で帳票50の画像を撮像させるようにした。このようにして撮像された帳票50の画像は、外光の暗さに関わらず、適切な明度の白色の外光のもとで撮像された帳票50の画像のヒストグラムを再現でき、帳票50を適切に読み取ることができるようになる。さらに、適切な明度の白色の外光のもとで撮像された帳票50の画像のヒストグラムを再現できることから、当該画像に対するドロップアウト処理の精度の低下を抑制することができるようになる。
【0083】
なお、連続して帳票の読み取りを行う場合に一部処理を省略しても良い。例えば、2回目の読み取り時はステップS16で通知されたRGB比率変動要求からステップS21の画像取得を省略して読み取りを行うことで応答を優先させても良い。
【0084】
上記の処理機能は、コンピュータによって実現することができる。その場合、コンピュータが有すべき機能の処理内容を記述したプログラムが提供される。そのプログラムをコンピュータで実行することにより、上記処理機能がコンピュータ上で実現される。
【0085】
処理内容を記述したプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録しておくことができる。コンピュータで読み取り可能な記録媒体には、磁気記憶装置、光ディスク、光磁気記憶媒体、半導体メモリ等がある。磁気記憶装置には、HDD(Hard Disk Drive)、フレキシブルディスク(FD)、磁気テープ(MT)等がある。光ディスクには、DVD(Digital Versatile Disc)、DVD−RAM(Random Access Memory)、CD−ROM(Compact Disc - Read Only Memory)、CD−R(Recordable)/RW(ReWritable)等がある。光磁気記憶媒体には、MO(Magneto - Optical disk)等がある。半導体メモリには、USB(Universal Serial Bus)メモリ等のフラッシュメモリがある。
【0086】
上記プログラムを流通させる場合には、例えば、そのプログラムが記録されたDVD、CD−ROM等の可搬型記録媒体が販売される。また、プログラムをサーバコンピュータに格納しておき、ネットワークを介して、サーバコンピュータから他のコンピュータにそのプログラムを転送することもできる。
【0087】
上記プログラムを実行するコンピュータは、例えば、可搬型記録媒体に記録されたプログラム若しくはサーバコンピュータから転送されたプログラムを、自己の記憶装置に格納する。そして、コンピュータは、自己の記憶装置からプログラムを読み取り、プログラムに従った処理を実行する。なお、コンピュータは、可搬型記録媒体から直接プログラムを読み取り、そのプログラムに従った処理を実行することもできる。また、コンピュータは、サーバコンピュータからプログラムが転送される毎に、逐次、受け取ったプログラムに従った処理を実行することもできる。
【0088】
また、プログラムで記述された処理の一部または全てを、電子回路に置き換えることが可能である。例えば、上記の処理機能の少なくとも一部を、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)等の電子回路で実現してもよい。
【0089】
なお、上述の実施の形態は、実施の形態の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えることができる。
さらに、上述の実施の形態は、多数の変形、変更が当業者にとって可能であり、説明した正確な構成及び応用例に限定されるものではない。