特許第6434919号(P6434919)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6434919光源、照明器具及び外科的な照明ユニット
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6434919
(24)【登録日】2018年11月16日
(45)【発行日】2018年12月5日
(54)【発明の名称】光源、照明器具及び外科的な照明ユニット
(51)【国際特許分類】
   F21S 2/00 20160101AFI20181126BHJP
   F21K 9/64 20160101ALI20181126BHJP
【FI】
   F21S2/00 610
   F21K9/64
【請求項の数】14
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-554298(P2015-554298)
(86)(22)【出願日】2014年1月29日
(65)【公表番号】特表2016-514972(P2016-514972A)
(43)【公表日】2016年5月26日
(86)【国際出願番号】IB2014058628
(87)【国際公開番号】WO2014118706
(87)【国際公開日】20140807
【審査請求日】2017年1月25日
(31)【優先権主張番号】61/757,785
(32)【優先日】2013年1月29日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516043960
【氏名又は名称】フィリップス ライティング ホールディング ビー ヴィ
(74)【代理人】
【識別番号】100163821
【弁理士】
【氏名又は名称】柴田 沙希子
(72)【発明者】
【氏名】ファン ボメル ティース
(72)【発明者】
【氏名】ヒクメト リファト アタ ムスタファ
【審査官】 下原 浩嗣
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−279255(JP,A)
【文献】 特開2010−287323(JP,A)
【文献】 特開2010−162214(JP,A)
【文献】 特開2008−258356(JP,A)
【文献】 特開2009−259703(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
F21K 9/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
両方とも40ナノメートル以下の半値全幅を有する狭いスペクトルピークにおいて光を発する2つの狭帯域発光体であって、両方とも青色範囲内、緑色範囲内又は赤色範囲内の異なる中心発光波長を有している狭帯域発光体を有する光源であって、前記2つの狭帯域発光体の少なくとも一方は、前記狭いスペクトルピークを生成する発光材料を有しており、前記少なくとも2つの狭帯域発光体の前記狭いスペクトルピーク間の距離は、前記狭いスペクトルピークの重複を防止するように構成されており、前記狭いスペクトルピークの最大強度の半分における2つの隣接する前記狭いスペクトルピーク間の距離が前記半値全幅値以上である、光源。
【請求項2】
前記2つの狭いスペクトルピークの前記中心発光波長が、590ナノメートルと800ナノメートルとの間の波長範囲内にある、請求項1に記載の光源。
【請求項3】
前記発光材料は、量子ドット、量子ロッド又は量子テトラポッド、ナノクリスタル及び狭い発光特性を有する希土類元素複合物を含むリストからの材料の何れかを有する、請求項1に記載の光源。
【請求項4】
前記発光材料を有する前記少なくとも1つの狭帯域発光体により発される前記光の前記狭いスペクトルピークの前記中心発光波長は、所定の可視要素のコントラストを向上するための所定の波長に調整される、請求項3に記載の光源。
【請求項5】
前記青色範囲、前記緑色範囲又は前記赤色範囲は、400ナノメートルと800ナノメートルとの間の拡張された波長範囲まで拡張されており、前記光源は、5つの狭帯域発光体を有するように構成され、前記5つの狭帯域発光体の各々は40ナノメートル以下の半値全幅を有する狭いスペクトルピークにおいて光を発し、前記5つの狭帯域発光体の各々は前記拡張された波長範囲内の異なる中心発光波長を有する、請求項1に記載の光源。
【請求項6】
前記狭いスペクトルピークの半分最大強度における前記狭いスペクトルピーク間の距離は、40ナノメートル以上であるように配されている、請求項5に記載の光源。
【請求項7】
前記拡張された波長範囲内の前記狭いスペクトルピークの前記半値全幅値の合計は、前記拡張された波長範囲の半分に実質的に等しい、請求項5に記載の光源。
【請求項8】
前記青色範囲、緑色範囲内、赤色範囲内又は前記拡張された波長範囲内の全体的な発光スペクトルは、前記複数の狭いスペクトルピークの平均強度の25%以下の強度を有する広いスペクトル帯域において発される光を更に有する、請求項1又は請求項5に記載の光源。
【請求項9】
前記発光材料は、
発光装置の光射出面上に、
前記発光装置の前記光射出面の近傍に、及び/又は
前記発光装置の前記光射出面から離れた場所に、
配されている、請求項1乃至8の何れか一項に記載の光源。
【請求項10】
前記発光材料は、異なる発光材料の混合を有し、前記異なる発光材料の少なくとも1つは、異なる中心波長において光を発すると共に40ナノメートル以下の半値全幅を有する狭いスペクトルピーク有する狭帯域発光体である、請求項9に記載の光源。
【請求項11】
前記光源の前記発光スペクトルは、前記発光装置により発される光を有する、請求項9に記載の光源。
【請求項12】
前記狭帯域発光体の少なくとも1つは、発光ダイオード、有機発光ダイオード及びレーザダイオードを含むリストから選択される、請求項1に記載の光源。
【請求項13】
請求項1乃至12の何れか一項に記載の光源を有する照明器具。
【請求項14】
請求項1乃至12の何れか一項に記載の光源を有する外科的な光源。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各々が狭いスペクトルのピークの光を発する少なくとも2つの狭帯域エミッタを有している光源に関する。本発明は、更に、照明器具及び外科的な照明ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
このような光源は、これら自体は知られている。これらは、なかでも、一般的な照明目的のための照明器具、例えば、オフィス照明、店舗照明のための、又は、例えば、ショーウィンドウ照明のための照明器具において使用されている。これらの光源は、特に、例えば、手術において使用される病院の手術照明ユニットのような特別な照明アプリケーション、又は、例えば、グラフィック的な産業、印刷産業又は特定の店舗照明アプリケーション及び広告において使用される特別な照明アプリケーションに使用されている。
【0003】
光源における現在のトレンドは、例えば、発光装置として半導体装置を使用することにより前記光源の効率を改善することにある。これらの半導体発光装置は、例えば、発光ダイオード(更にLEDとも称される)又は半導体LASERである。最近、有機LED(OLEDとも称される)もしばしば使用されている。これらの半導体発光装置は、典型的には、比較的高い強度において限定されたスペクトル帯域幅内で光を発する。半導体発光装置を有するこれらの光源が、やはり適切な演色を有することを保証するために、しばしば、発光材料が前記光源内に含まれている。発光材料内で、第1のスペクトルの分布の光が吸収されると共に、第2のスペクトルの分布の光に部分的に変換される。典型的には、吸収されるフォトンは、低い周波数(又はより長い波長:Stokesシフト)を有するフォトンとして発され、フォトン当たりのエネルギーの損失は熱に変化される。代替的には、発されたフォトンは、より高い周波数(又はより短い波長:anti-Stokesシフト)を有することができる。
【0004】
発光材料を有するこのような光源の一例は、半導体ナノ粒子ベースの発光装置に関する公開されている米国特許出願第2010/0123155号において見出される。この装置は、電流が供給されると青色の一次光を発するように配されているLEDであって、複数の量子ドット含有の重合ビードが埋め込まれる商業的に入手可能なLEDカプセル材料に浸漬されるLEDを有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
既知の光源は、通常、比較的良好な演色を有するにもかかわらず、しばしば、色間のコントラストは十分に良好でない。
【0006】
本発明の目的は、改善された色コントラストを有する光源を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の見地は、光源を提供する。本発明の第2の見地は、照明器具を提供する。本発明の第3の見地は、外科的な光源を提供する。有利な実施例は、添付の従属請求項において規定されている。
【0008】
本発明の第1の見地による光源は、2つの狭帯域発光体を有し、当該2つの狭帯域発光体は、両方とも40ナノメートル以下の半値全幅(full-width-half-maximum)を有する狭いスペクトルのピークにおいて光を発する。前記2つの狭帯域発光体の各々は、青色範囲内、緑色範囲内又は赤色範囲内の異なる中心発光波長を有する。前記2つの狭帯域発光体の少なくとも一方は、前記狭いスペクトルピークを生成する発光材料を有しており、前記少なくとも2つの狭帯域発光体の前記狭いスペクトルピーク間の距離は、前記狭いスペクトルピークの重複を防止するように構成されている。本発明による光源は、前記可視光スペクトルの前記青、緑又は赤色範囲内の少なくとも1つにおいて複数の狭いスペクトルピークを生成し、前記複数の狭いスペクトルピーク内で前記2つの狭いスペクトルピークのうちの少なくとも1つが発光材料を使用して生成される。前記2つの狭帯域発光体のうちの1つは、例えば、前記所定の波長のコントラストを向上するために所定の波長に調整されることができ、発された前記狭いスペクトルピークの分離は、知覚されるコントラストを強化する。この強く増大されたコントラストは、例えば、手術において使用されることができる。このような実施例において、前記外科的な器具は、例えば、前記青色範囲において光を発する前記狭帯域発光体のうちの少なくとも1つにより向上される所定の青色を有することができる。このような実施例において、前記外科的な器具と同じ色に調整される前記光源からの光は、手術を施している人のための前記外科的な器具の可視性を大幅に向上する。前記光源の代替的な実施例において、前記光源は、広告目的のために、又は宣伝される特定製品の光学的な向上を強化するためにグラフィック的な産業において使用されることができる。このような実施例では、前記2つの狭帯域発光体のうちの一方は、例えば、会社又はブランド名のロゴ内に存在する色に調整されることができる。本発明による光源を使用して、例えば、特定のロゴ又はブランドの可視性を向上するように、店内に存在する他のブランド又はロゴと比較して前記特定のロゴ又はブランド名のコントラストを向上することができる。更に代替的には、増大された当該コントラストは、ロボットのための視覚システムにおいて使用されることもでき、例えば、前記所定の波長を有する前記ロボットのための情報が、カラフルな画像内に視覚的に隠される。隠された情報の可視性は、(例えば、ロボットに取り付けられている)本発明による光源を使用する場合に向上されるであろう。このような実施例において、前記ロボットは、更に、前記所定の波長に調整された特定のカメラを有することもでき、この結果、前記コントラストが向上される前記隠れた情報さえも前記特定のカメラを使用することにより更に向上される。
【0009】
本発明による光源において、狭帯域発光体が使用される。このような狭帯域発光体は、単一の発光ピークにおいて又は自身の発光スペクトルにおいて大幅に向上された狭帯域発光ピークにおいて略全ての光を発する(前記狭帯域発光ピーク内の最大強度は、少なくとも10、前記発光スペクトルの残りにおける最大強度を囲っている(at least ten fold)。このような狭帯域発光体の例は、LED、半導体レーザー又はOLEDである。このような狭帯域発光体の他の例は、量子ドット材料(別名ナノクリスタル材)、及び、例えばユーロピウム、セリウムのような希土類元素複合物のような、幾つかの発光材料である。中心発光波長は、前記狭いスペクトルピークの前記半値全幅の中心における前記波長に対応する前記狭いスペクトルピークの前記スペクトルの分布の波長である。狭帯域発光体の場合、この中心発光波長は、しばしば、最大発光強度における波長に対応する。本発明による光源は、前記光源における前記少なくとも2つの狭いスペクトルピークが重複しないように構成される。このことは、前記最も高いスペクトル光ピークの最大強度の半分における前記2つの隣接するスペクトル発光ピーク間の距離が前記半値全幅値以上である距離を有する場合に、達成される。前記2つの隣接するスペクトル発光ピークが異なるFWHM値を有する場合、前記2つの隣接するスペクトル発光ピーク間の距離は、2つの前記FWHM値の平均以上でなければならない。本発明による光源は、例えば、前記狭いスペクトルピークにおいて、前記光源の前記全体的な強度を増大させるように、付加的な実質的に同一の狭帯域発光体を有することができる。これらの実質的に同一の狭帯域発光体の場合、例えば、バリエーションを製造することによって生じ得る幾らかの軽微な発光の変化が、あるかもしれない。
【0010】
本発明による光源において、前記少なくとも2つの狭いスペクトルピークの前記中心発光波長は、前記青色範囲内、前記緑色範囲内又は前記赤色範囲内にある。青色範囲は380ナノメートルと495ナノメートルとの間に規定され、緑色範囲内は495ナノメートルと590ナノメートルと間に規定され、赤色範囲内は590ナノメートルと800ナノメートルとの間に規定されている。
【0011】
本発明による光源の実施例において、前記2つの狭いスペクトルピークの前記中心発光波長は、590ナノメートルと800ナノメートルとの間の波長範囲にある。更に、本発明のこの実施例は、手術において有益であり得て、例えば、前記2つの狭いスペクトルピークのうちの1つは、手術されることを必要としている特定の組織の特定の色に調整されることができる。本発明による光源の使用は、前記特定の組織とその周囲との間のコントラストを大幅に向上することを可能にし、この結果、コントラスト流体が手術において必要とされ得ないような十分なコントラスト向上さえも、もたらし得る。
【0012】
前記発光材料は、量子ドット、量子ロッド、量子テトラポッド、ナノクリスタル、及び狭い発光特性を有する希土類元素複合物を含むリストからの前記材料の何れかを有することができる。これらの材料の使用は、発される光の中心波長が比較的正確に調整されることができることを保証することにある。量子ドット、量子ロッド、量子テトラポッド又はナノクリスタルを使用することによって、この調整は、例えば、量子ドットの寸法の変化による、比較的単純なものであり得るかもしれない。量子ドット(量子ロッド及び量子テトラポッド)又はナノクリスタルは、一般的に、わずか2、3ナノメートルの幅又は直径を有する半導性材料の小さい結晶である。前記発光材料の結晶は、量子的制限を示す粒子を有しており、少なくとも一次元におけるナノメートル範囲の大きさを有する。入射光により励起される場合、量子ドット結晶は、前記結晶の大きさ及び材料により決定される色の光を発する。従って、特定の色の光が、前記量子ドットの大きさを適応化することにより生成されることができる。前記可視範囲内の発光を有する大部分の既知の量子ドットは、硫化カドミウム(CdS)及び/又は硫化亜鉛(ZnS)のシェルを有するカドミウム・セレン化物(CdSe)に基づいている。インジウム・リン化物(InP)、銅インジウム硫化物(CuInS2)及び/又は銀インジウム硫化物(AgInS)のような、カドミウムのない量子ドットも使用されることができる。量子ドットは、非常に狭い発光帯域を示し、従って、これらは飽和色を示す。カドミウム含有量子ドット発光体は、15又は20ナノメートル(FWHM)までの狭いスペクトルピークを有する光を発することができる。カドミウムのない量子ドットは、25又は30ナノメートル(FWHM)までの狭いスペクトルピークを有する光を発することができる。狭帯域発光材料である希土類元素複合物の例は、例えば、約5ナノメートル(FWHM)の狭いスペクトルピークを有するEu(dbt)―4HOのような、ランタニド複合物である。
【0013】
オプションとして、前記発光材料を有する前記少なくとも1つの狭帯域発光体により発される前記光の前記狭いスペクトルピークの前記中心発光波長は、所定の可視要素のコントラストを向上するために所定の波長に調整される。特に、量子ドット又はナノクリスタルを使用する場合、前記狭いスペクトルピークの中心発光波長は、例えば、前記光源において使用される前記量子ドット又はナノクリスタルの寸法を変化させることによって、比較的容易に調整されることができる。上述されたように、量子ドットは半導体材料の小さい結晶である。これらは、典型的には、中で前記結晶が特定の大きさまで成長する液体内で生成され、この大きさが前記量子ドットの前記中心発光波長を決定する。従って、例えば、時間、温度及び前記液体内の結晶濃度のような、成長条件を変化させることによって、前記発光材料の前記中心発光波長を前記所定の波長に調整することは、比較的容易である。本発明による光源におけるこのような調整された発光材料の使用によって、ブランド又はロゴの内の色を向上するために使用される、又は手術における特定の種類の組織の向上に使用されることができる。
【0014】
本発明による光源の実施例において、前記青色範囲内、緑色範囲内又は赤色範囲内は、400ナノメートルと800ナノメートルと間の拡張された波長範囲に拡張され、前記光源は、40ナノメートル以下の半値全幅を有する狭いスペクトルピークにおいて各々光を発すると共に、前記拡張された波長範囲内の異なる中心発光波長を各々有する少なくとも5つの狭帯域発光体を有するように構成されている。前記少なくとも5つの狭帯域発光体の前記中心波長は、例えば、前記光源が5つの異なる色を比較的良好にレンダリングすることができる一方で、前記個々の狭いスペクトルピーク間の分離が、可視範囲全体における個々の色間の色コントラストを向上するように、前記拡張された波長範囲にわたって実質的に均一に分布されることができる。また、この実質的に等しい分布は、例えば、広告目的又は医学目的のための向上を必要とする特定の色に、例えば、局所的に微調整されることができる。広告において、前記光源内の複数の狭帯域発光体は、全てブランド又はロゴ内の異なる色に調整されることができ、この結果、本発明による光源を使用する場合、ブランド又はロゴ全体の可視性は強く向上される。代替的には、前述の2つの医学的な例において、本発明による単一の光源は、手術されることを必要としている特定の組織(図示略)の色に詳細に調整されることができる狭帯域発光体を有することができる一方で、同じ光源の異なる狭帯域発光体が、外科的な器具の色に対応する色に同調され、この結果、本発明による単一の光源を使用すると同時に両方が向上される。
【0015】
オプションとして、前記狭いスペクトルピークの半値強度(half-maximum)における前記狭いスペクトルピーク間の距離は、40ナノメータ以上であるように配されている。この距離は、2つの隣接する狭いスペクトルピークの中心波長間の距離ではなく、2つの隣接するピーク間の間隔であり、前記2つの隣接するピーク間の著しいコントラストを維持するように前記2つの狭いスペクトルピーク間の十分な距離を保証する。
【0016】
オプションとして、前記拡張された波長範囲内の前記狭いスペクトルピークの前記半値全幅の値の合計は、前記拡張された波長範囲の半分に実質的に等しい。前記狭いスペクトルピークのこのような広がりの便益は、前記拡張された波長範囲が、前記完全な拡張された波長範囲にわたる演色を保証する一方で、個々の色間の良好なコントラストを保証するために、前記複数の狭帯域発光体の個々の狭いスペクトルピークによって、ほぼ完全に充填されることにある。
【0017】
オプションとして、前記青色範囲内、緑色範囲内、赤色範囲内又は前記拡張された波長範囲内の全体的な光発光スペクトルは、前記複数の狭いスペクトルピークの平均強度の25%以下の強度を有する広いスペクトル帯域において発される光を更に有する(この背景照明の電力は、前記狭いスペクトルピークにおける出力よりも大幅に小さい)。広いスペクトル帯域は40ナノメートルよりも大幅に大きく、一種の背景発光スペクトルとして幾らかの実質的に連続的な光発光スペクトルを含むことができる。この実施例の便益は、低い強度の広いスペクトル帯域が前記所定の波長範囲又は前記拡張された波長範囲内の前記光源の最小の演色性を向上する一方で、個々の色間の強いコントラスト向上を維持する。また、この実施例において、前記狭帯域発光体の一部の前記中心発光波長は、向上を必要とする特定の色に調整されることができる。
【0018】
前記光源の実施例において、前記発光材料は、前記発光装置の光射出面上に、前記発光装置の前記光射出面の近傍に、及び/又は前記発光装置の前記光射出面から離れた場所に配されることができる。
【0019】
オプションとして、前記発光材料は、異なる発光材料の混合を有し、前記異なる発光材料の少なくとも1つは、異なる中心波長において光を発すると共に40ナノメートル以下の半値全幅を有する狭いスペクトルピーク有する狭帯域発光体である。前記混合における他の発光材料は、これらが一種の背景照明として機能するように、狭帯域発光材料の強度よりも大幅に低い強度を有していても良く、又は異なる色範囲内にあっても良い。代替的には、前記異なる発光材料のうちの1つ以上は、狭帯域発光体である。
【0020】
オプションとして、前記光源の発光スペクトルは、前記発光装置により発される光を有する。しばしば、青色LEDは、前記発光材料を照明するのに使用される。前記青色LEDも狭帯域発光体として機能することができるので、前記光源は、前記LEDにより発される青色光の一部だけが前記発光材料により吸収されると共に、前記青色光の残りが前記光源の発光スペクトル全体に貢献するように、構成されることができる。
【0021】
前記第2の見地による照明器具は、本発明による光源を有する。
【0022】
前記第3の見地による外科的な光源は、本発明による光源を有する。
【0023】
これら及び本発明の見地は、以下に記載される実施例を参照して明らかになり説明されるであろう。
【0024】
当業者であれば、上述した選択肢、実施化及び/又は本発明の見地の2つ以上が、有用と考えられる如何なる仕方においても組み合わされることができることを理解するであろう。
【0025】
前記色変換配置の変形及び変更、並びに(前記色変換配置の上述された変形及び変更に対応する)前記照明ユニット及び前記固体状態発光体パッケージの変形及び変更は、本明細書に基づいて当業者により実行されることができる。
【0026】
図面の説明は後述する通りである。異なる図において、同一符号により示されている項目は、同一の構造的なフィーチャ及び同一の機能を有している又は同一の信号であることに留意されたい。
【0027】
このような項目の機能又は構造は説明されており、詳細な説明におけるこれらの反復の説明の必要はない。これらの図は、単に概略であり、縮尺で描かれているわけではない。特に明確さのために、幾らかの寸法が強く誇張されている。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明による光源の異なる発光スペクトルを示している。
図2】複数の狭帯域発光体を生成するための複数の発光装置を有する本発明による光源の異なるコンフィギュレーションを模式的に示している。
図3a】ユーロピウムを有する希土類元素複合物の構造式を示している。
図3b】この希土酸化物複合物の吸収及び発光スペクトルを示している。
図4】発光体に対する前記発光材料の異なる位置決めを模式的に更に示している。
図5】光源、照明器具及び外科的な照明ユニットの実施例をそれぞれ模式的に示している。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1a乃至1cは、本発明による光源500、510(図2及び5を参照)の異なる発光スペクトル100、102、104を示している。本発明による光源500、510は、複数の狭帯域発光体210、220―228を有している(図2を参照)。このような狭帯域発光体210、220―228は、例えば、狭いスペクトルピークのPs1、Ps2において光を発する発光装置210(例えば、発光ダイオード、有機発光ダイオード又はレーザダイオードのような、固体状態発光体)を有する、又は狭帯域発光体210、220―228は、狭いスペクトルピークP1―P9において光を発する発光材料を有する発光変換材料220―228を有する。狭帯域発光体210、220―228のこれらの狭いスペクトルのピークP1―P9の幅w1、w3は、40ナノメートル以下であり、2つの隣接するスペクトル発光ピークP1―P9間の距離d1、d2は、2つの隣接するスペクトル発光ピークP1―P9が実質的に重複しないようなものである。光源500、510の便益は、この発光スペクトル100、102、104が高い色コントラストを可能にし、前記色コントラストが所定の可視要素間で発生するように発光スペクトル100、102、104を微調整することを可能にすることにある。特に、青色範囲内、緑色範囲内又は赤色範囲内の異なる中心発光波長λ1―λ9、λs1、λs2を有する少なくとも2つの狭帯域発光体210、220―228を使用する場合、特定の色範囲内の前記色コントラストは、大幅に向上されることができる。本発明による光源500、510は、更に、より広いスペクトルの範囲w2において光を発する発光体230を有する。この付加的な発光体230は、良好な色コントラストを保持する、前記可視スペクトルの少なくとも一部における全体の演色を向上するために使用されることもできる。
【0030】
狭いスペクトルピークP1―P9において光を発する発光材料は、しばしば、幾らかの種類の量子的制限を示している。このような発光材料は、しばしば、量子的制限を示すと共に、少なくとも一次元において、ナノメートル範囲の大きさを有する粒子を有し、例えば、量子ドット、量子ロッド又は量子テトラポッドである。前記ナノメートル範囲における一次元の大きさを有するとは、例えば、前記粒子が実質的に球形である場合、これらの直径がナノメートル範囲内にあることを意味する。又は、このことは、前記粒子がワイヤ形である場合、例えば、前記ワイヤの断面の大きさは、前記ナノメートル範囲における一方向におけるものであることを意味する。前記ナノメートル範囲における大きさとは、これらの大きさが、1マイクロメートルよりも小さく、従って、500、510ナノメートルよりも小さく、0.5ナノメートル以上であることを意味する。一実施例において、一次元における前記大きさは、50ナノメートルより小さい。他の実施例において、一次元の前記大きさは、2から30ナノメートルの範囲内にある。量子ドットは、一般に、僅か2、3ナノメートルの幅又は直径を有する半導性材料の小さい結晶である。入射光線により励起される場合、量子ドットは、当該結晶の大きさ及び材料により決定される色の光を発する。従って、特定の色の光が、前記ドットの大きさを適応化することにより生成されることができる。前記可視範囲における発光を有する大部分の既知の量子ドットは、硫化カドミウム(CdS)及び硫化亜鉛(ZnS)のようなシェルを有するカドミウム・セレン化物(CdSe)に基づいている。インジウム・リン化物(InP)及び硫化銅インジウム(CuInS2)、並びに/又は硫化銀インジウム(AgInS)のような、カドミウムのない量子も使用されることができる。量子ドットは、非常に狭い発光帯域を示し、従って、これらは飽和色を示す。更に、前記発光色は、前記量子ドットの大きさを適応化することによって容易に調整されることができる。適切な波長変換特性を有する場合、従来技術において知られている如何なる種類の量子ドットも、使用されることができる。
【0031】
狭いスペクトルピークにおける光も発する代替的な発光材料は、ユーロピウム及びセリウムのような、幾らかの希土類元素複合物である。このような希土類元素複合物の1つの例は、図3に示されている。
【0032】
光源500、510の第1の実施例に関して、発光スペクトル100が図1aに示されている。本発明による光源500、510は、例えば、可視光スペクトル全体にわたって分散されている狭いスペクトルピークPs1、P2、P4、P5、P9において光を発する複数の狭帯域発光体210、220―226(図2参照)を有する。これらの狭いスペクトルピークPs1、P2、P4、P5、P9の幅w1は40ナノメートル未満であり、2つの隣接するスペクトル発光ピークP5、P9間の距離d1は、2つの隣接するスペクトル発光ピークPs1、P2、P4、P5、P9が実質的には重複しないようなものである。図1aに示されている発光スペクトル100において、実質的に、発光スペクトル100全体が可視スペクトル全体にわたって分散されている個々の狭いスペクトルピークPs1、P2、P4、P5、P9によって構成される。図1aに示されている模式的なスペクトル100において全ての狭いスペクトルピークPs1、P2、P4、P5、P9は実質的に同じ強度を有する。しかしながら、前記強度は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で変化できることは当業者に明らかである。このような発光スペクトル100を有する光源500、510の便益は、このような光源500、510を使用する場合の色コントラストが非常に高い一方で、依然として実質的に白色光を発することにある。この光源500、510の実施例において、個々の狭いスペクトルピークPs1、P2、P4、P5、P9の一部若しくは全ては、例えば、会社のブランド又はロゴ内にある色に対応する特定の中心発光波長λs1、λ2、λ4、λ5、λ9に調整されることができる。発光スペクトル100を有する光源500、510を使用することによって、結果として、実質的に整合している色を有する前記ブランド又はロゴの、特に整合している色を有さないブランド又はロゴと比較される場合における強いコントラスト向上が得られる。このような光源500、510は、例えば、他のブランドと比較して特定のブランドの可視性を向上するために店舗照明において使用されることができる。
【0033】
図1aに示されている発光スペクトルを有する光源500、510は、図2aに示されているような光源500、510内の狭帯域発光体210、222―226の配置200を使用して生成されることができるかもしれない。図2aのコンフィギュレーションは、青色範囲内の狭いスペクトルピークPs1を発する発光装置210を示しており、光源500、510の出力として使用される。図2aに示される前記コンフィギュレーションは、発光材料を有すると共に狭いスペクトルピークP2、P4、P5、P9の光を発する狭帯域発光体220―226である光変換要素220、222、224、226を使用して光が変換される4つの発光装置210を有する。これらの光変換要素のうちの2つ220、222は緑色範囲内の中心発光波長λ2、λ4を有する光を発し、これらの光変換要素の2つ224、226は赤色範囲内の中心発光波長λ5、λ9を有する。
【0034】
図1bに示される発光スペクトル102は、より広いスペクトルの範囲w2の光を発する発光体230(図2参照)と共に狭帯域発光体210、224、226(図2参照)からの狭いスペクトルピークPs1、P5、P8の組み合わせを有する。この付加的な発光体230は、光源500、510の発光スペクトル102の緑色範囲内の中心発光波長λbを有し、発光スペクトル102の緑色範囲内の演色全体を強化するのに使用されることができる。また、図1bに示されている模式的なスペクトル102において、全ての狭いスペクトルピークPs1、P5、P6は、実質的に同じ強度を有する。しかしながら、上述されたように、前記強度が本発明の要旨を逸脱しない範囲で変化し得ることは当業者にとって明らかである。図1bに示される発光スペクトル102を有する光源500、510は、例えば、外科的な照明ユニット504の光源500、510として使用されることができる(図5参照)。このような実施例において、赤色範囲内の狭いスペクトルピークP5、P8の中心発光波長λ5、λ9の少なくとも一方は、手術されることを必要としている特定の組織(図示略)の色に調整されることができる一方で、例えば、青色範囲内の狭いスペクトルピークPs1は手術において使用されている器具(図示略)の中心発光波長λs1の色に調整されることができ、緑色範囲内のより広いスペクトル範囲w2を発している発光体230は全体の良好な色コントラスト及び可視性を維持するために使用される。
【0035】
図1bに示される発光スペクトルを有する光源500、510は、図2bに示したような光源500、510内部の狭帯域発光体210、220―228の配置を使用して生成されることができた。図2bの当該コンフィギュレーションは、青色範囲の狭いスペクトルピークPs1を発する発光装置210を示しており、光源500、510の出力として部分的に使用される。図2bに示される当該コンフィギュレーションは、発光装置210の光をより長い波長の光に部分的に変換する発光材料を有する光変換要素224、226、230を有する。これらの光変換要素224、226は、赤色範囲内の中心発光波長λ5、λ8を有する狭いスペクトルピークP5、P8において光を発する狭帯域発光体224、226である。他の発光変換要素230は、発光装置210の光の一部を前記緑色範囲内の前記より広いスペクトル範囲w2を有する光に変換する発光材料又は発光材料の混合を有する。
【0036】
図1cに示される発光スペクトル103は、本発明による光源500、510の発光スペクトルを有しており、光源500、510は、可視スペクトル範囲にわたって分散されている中心発光波長λs2、λ1、λ3、λ4、λ6、λ7を有する複数の狭いスペクトルピークPs2、P1、P3、P4、P6、P7を発している複数の狭帯域発光体210、220―228を有する。再び、図1cにおける模式的なスペクトル103は、実質的に同じ強度において全ての狭いスペクトルピークPs1、P5、P6を示しているが、前記強度が本発明の要旨を逸脱しない範囲で変化することができることは明らかである。発光スペクトル103は、図1aに示されているスペクトルと類似しており、今や、更なる1つの狭帯域発光体が、6つの狭いスペクトルピークPs2、P1、P3、P4、P6、P7を有する発光スペクトルを生成するために含まれている。
【0037】
図2a〜2cは、複数の狭帯域発光体210、220―228を生成するための複数の発光装置210、212を有する本発明による光源500、510の異なるコンフィギュレーションを模式的に示している。図2a及び2bに示されている実施例は、本願明細書において既に記載されている。図2cに示されている実施例は、例えば、紫外光を発する発光装置212を有する。この紫外光は、狭帯域発光体220―228である光変換要素220―228によって可視光へと変換される。図1aに示される狭いスペクトルピークPs1、P2、P4、P5、P9と類似している種々の狭いスペクトルピークPs1、P2、P4、P5、P9において光を発する発光材料を選択する場合、図2cのコンフィギュレーションは、図1aに示されている発光スペクトル100を生成するために使用されることもできる。
【0038】
図3aはユーロピウムを有する希土類元素複合物の構造式300を示しており、図3bはこの希土酸化物複合物の吸収310及び発光スペクトル320を示している。この希土類元素複合物の発光スペクトル320に見られるように、幾らかの残りの発光強度は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で狭いスペクトル発光ピークの周りにあっても良い。
【0039】
図4a乃至4dは、更に、発光装置210に対する発光材料を有する光変換要素410―416の異なる位置決めを模式的に示している。図4aに示されている実施例において、光変換要素410は、発光装置210と直接的に接触して設けられている。このような実施例において、発光装置210は、ここから前記光が発光装置210から発される窓又は開口である光射出窓(図示略)を有する。光変換要素410は、前記光射出窓に直接的に設けられる物質であっても良く、又は前記光射出窓に設けられる別個の要素であっても良い。この実施例の便益は、発光装置210及び光変換要素410の組合せが較的コンパクトであることにある。
【0040】
図4bに示されている実施例において、光変換要素412は、発光装置210の近くに配される。この実施例の便益は、光変換要素412の発光材料の温度が、前記発光材料の寿命を改善する図4aに示されている実施例と比較して低いことにある。
【0041】
図4c及び4dに示されている実施例は、発光装置210から更に離れている光変換要素414、416を示している。光変換要素414、416のこのような配置は、「遠隔蛍光体配置」としても知られている。ここで、光変換要素414、416は、発光装置210からこのような距離に位置されており、光変換要素414、416の温度が発光装置210の温度と比較して非常に低いために、前記発光材料の寿命を更に改善する。典型的には、比較的高い温度にさらされる場合、発光材料は劣化する。異なる発光材料は、異なる温度範囲に耐えることができ、従って、上述の配置の各々は光変換要素414、416内で選択される発光材料に依存して選択されることができる。図4dに示されている実施例において、光変換要素416は、反射表面420上に配される。発光装置210により発される光は、光変換要素416を2回通過する。このように、図4dにおける光変換要素416は、類似の変換効率を達成するように図4cに示されている光変換要素414の厚さの半分を有すること必要とするのみである。
【0042】
図5a乃至5dは、光源500、510、照明器具520及び外科的な照明ユニット530の実施例をそれぞれ模式的に示している。図5a及び5bに示されている光源500、510は、例えば、図2a乃至2cに示されている配置の何れかを有する、又は本発明による異なる配置を有することができる。図5aに示される光源500の形状因子は、従来の白熱照明ハウジングにおいて使用可能なものであり得て、図5bに示される光源510の形状因子は、従来の管状照明ハウジングにおいて使用可能なものであり得る。図5cに示されている照明器具520及び本発明による外科的な照明ユニット530は、本発明による光源500、510の何れかを有することができる。
【0043】
前記光源、ランプ又は照明器具は、好ましくは白色光を生じる。好ましくは、黒体線(BBL)に沿った相関色温度(CCT)を有する光である。更に好ましくは、前記光源は、少なくとも80の演色評価数(CRI)を有する。
【0044】
背景照明に使用されることができる蛍光体は、これらに限定されるわけではないが、無機蛍光体、有機蛍光体、又は量子ドットの組合せ(即ち異なる材料/大きさ)である。
【0045】
当該無機発光材料は、YAG又はLuAGのような、黄色、若しくは黄色/緑色無機蛍光体、又はECAS及び/又はBSSNのような、赤色無機蛍光体を有することができる。
【0046】
発光材料として適切な無機蛍光体の例は、これらに限定されるわけではないが、セリウム・ドープ・イットリウム・アルミニウム・ガーネット(YAG:Ce又はCeドープYAGとも称されるYAl12:Ce3+)、又はルテチウム・アルミニウム・ガーネット(LuAG、LuAl12)、α―SiAlON:Eu2+(黄色)及びMSi:Eu2+(赤色)であり、ここで、Mは、カルシウムCa、Sr及びBaから選択される少なくとも1つの元素である。更に、前記アルミニウムの一部は、ガドリニウム(Gd)又はガリウム(Ga)と置換されることができ、より多くのGdは、結果として黄色発光の赤方偏移をもたらす。他の適切な材料は、赤色範囲において発光するSrSiEu2+のような、(Sr1―x―yBaCa2―zSi5―aAl8―a:Eu2+を含むことができ、ここで、0≦a<5、0≦x≦1、0≦y≦1、及び0<z≦1、及び(x+y)≦1である。
【0047】
無機蛍光体の粒子は、例えば、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリエチレン・テレフタル酸塩(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)又はポリカーボネート(PC)のような、マトリックス重合体内に分散されることができる。前記無機蛍光体は、シリコーン又は他のエポキシ及び/又は樹脂内に散されていても良い。他の実施例において、無機蛍光体は、セラミック発光層のベースを形成する。
【0048】
有機蛍光体は高い量子効率を有し、しばしば透明であり、望ましくない散乱を防止すると共に効率を増大させる。有機発光材料は、より多くの有利な点を有する。前記発光スペクトルの位置及び帯域幅は、前記可視範囲内の何れにあるようにも容易に設計されることができる。このように、高い有効性を有する白色光を発する光源を製造することは、比較的容易である。前記白色光は、少なくとも2つの色の光の組合せであっても良く、従って、前記光源は、第1の色の光を発する単一の発光体を有すると共に、前記第1の色の前記光の一部を第2の色の光に変換する少なくとも1つの有機発光材料を有する。
【0049】
前記有機蛍光体は、黄色発光ペリレン誘導体又は赤色/オレンジ色発光ペリレン誘導体のような、ペリレン誘導体を有する材料であっても良い。このようなペリレン誘導体は、Lumogen黄色F083又はF170、Lumogen赤色F305及びLumogenオレンジ色F240という名前の下で商業的に入手可能である。
【0050】
このような有機発光材料又は染料(dyes)のほぼ無制限の取り合わせが、存在する。関連する実施例は、ペリレン(例えば、ドイツ国のルートヴィヒスハーフェンにおけるBASF社の商品名Lumogenの下で知られている染料であり、Lumogen F240オレンジ色、Lumogen F300赤色、Lumogen F305赤色、Lumogen F083黄色、Lumogen F170黄色、Lumogen F850緑色)、インド国のムンバイにおけるNeelikon Food Dyes&Chemical社からの黄色172、及び多くの売買業者から利用可能である、クマリン(例えばクマリン6、クマリン7、クマリン30、クマリン153、基本的な黄色51)、ナフタルイミド(例えば溶剤黄色11、溶剤黄色116)、フルオロール7GA、ピリジン(例えば、ピリジン1)、ピロメテン(例えば、ピロメテン546、ピロメテン567)、ウラニン、ローダミン(例えばローダミン110、ローダミンB、ローダミン6G、ローダミン3B、ローダミン101、スルホローダミン101、スルホローダミン640、基本的なバイオレット色11、基本的な赤色2)、シアニン(例えば、フタロシアニン、DCM)、スチルベン(例えばBis―MSB、DPS)のような染料である。酸性染料、基本的な染料、直接的な染料及び分散染料のような、幾つかの他の染料も、当該用途に対する十分に高い蛍光量子収量を示す限り、使用されることができる。従って、1つ以上の当該発光部分は、ペリレン族を有していても良い。特に、1つ以上の発光部分は、青色及び/又は紫外光による励起に応じて赤色発光を生成するように構成される。
【0051】
有機蛍光体の分子は、例えばポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリエチレン・テレフタル酸塩(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)又はポリカーボネート(PC)のような、マトリックス重合体内に溶解されることもできる。有機蛍光体の分子は、シリコーン又はポキシ又は樹脂内に溶解されることもできる。
【0052】
発光材料の層をどのように製造すべきか、及びこれらを例えば前記支持層のような他の層にどのように設けるかは、当業者によく知られている。
【0053】
図5は、照明器具500、510の実施例を模式的に示している。照明器具500、510は、図1a乃至1d又は図4a乃至4dの状況において開示されているような少なくとも1つの色変換配置を有する、及び/又は、図2又は図3a及び3bに関連して開示されているような少なくとも1つの照明ユニットを有する。
【0054】
要約すると、本発明は、2つの狭帯域発光体の両方が40ナノメートル以下の半値全幅を有する狭いスペクトルピークにおいて光を発する、光源、照明器具及び外科的な照明ユニットを提供する。前記狭帯域発光体の両方は、青色範囲内、緑色範囲内又は赤色範囲内の異なる中心発光波長を有する。前記2つの狭帯域発光体の少なくとも1つは、前記狭いスペクトルピークを生成する発光材料を有する。前記光源は、更に、前記2つの狭帯域発光体の前記狭いスペクトルピーク間の距離が前記狭いスペクトルピークの重複を防止するように構成されている。個々の狭いスペクトルピークのために、前記色範囲のうちの1つ内の色コントラストは大幅に向上される。
【0055】
上述した実施例は、本発明を制限するというよりはむしろ、説明しているものであり、当業者であれば、添付の特許請求の範囲の要旨を逸脱することなく、多くの代替的な実施例を設計することが可能であることに留意されたい。
【0056】
前記請求項において括弧内に配される如何なる符号も、前記請求項を制限するものとして解釈されてはならない。「有する」なる語の使用は、添付の請求項において述べられているもの以外の要素又はステップの存在を除外するものではない。単数形の構成要素は、複数の構成要素の存在を排除するものではない。本発明は、幾つかの別個の要素を有するハードウェアによって、及び適切にプログラムされたコンピュータによって、実施化されることができる。幾つかの手段を列挙している装置の請求項において、これらの手段の幾つかがハードウェアの全く同一の項目により実施されることもできる。特定の手段が、相互に異なる従属請求項において引用されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利になるように使用されることができないと示すものではない。
図1a
図1b
図1c
図2a
図2b
図2c
図3a
図3b
図4a
図4b
図4c
図4d
図5a
図5b
図5c
図5d