【実施例】
【0027】
以下、実施例および比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0028】
(実施例1)
ゴキブリに対する忌避効果を、
図2に示す試験用バットを用いて検証した。まず、バット4(1m×1m×25cm)に、チャバネゴキブリ60頭(オス30頭およびメス30頭)を放ち、1時間以上放置して馴化させた。馴化後、バット4内に水場・固形飼料5を設置し、ゴキブリに水および飼料を自由に摂取させた。次に、バット4内に2つのボックス6(35cm×25cm×25cm)を設置した。ボックス6は、天面が透明の塩ビ板、側面および底面が化粧板からなり、側面の1ヶ所にゴキブリが出入りする出入口61(1cm×5cm)が形成されている。
なお、バット4の内壁面上部には、ゴキブリが逃亡しないように炭酸カルシウムを塗布した。また試験は開放系で実施した。
【0029】
次に、パルプマット(3cm×3cm×0.3cm)0.85gに、400mgの酢酸(−)−メンチルを含浸させ、含浸させた前記パルプマットをアルミホイルで密封した。針を用いてアルミホイルに0.002cm
2の孔を8つ開け、検体Aを得た。得られた検体Aを一方のボックス6内(6a)に静置し、他方のボックス6を無処理区(6b)とした。
【0030】
試験開始日から1日後に、処理区6a内および無処理区6b内に生息しているゴキブリの頭数を確認した。確認した頭数から、忌避率(%)を下記の式によって求めた。同様の手順で試験を3回行い(反復数1〜3)、その結果を表1に示す。なお、試験は、温度約25℃、湿度約50%RHに保たれた部屋で行い、12時間ごとに明暗サイクルを繰り返した。
忌避率(%)={(無処理区頭数−処理区頭数)/無処理区頭数}×100
【0031】
<酢酸(−)−メンチルの蒸散量測定方法>
酢酸(−)−メンチルの蒸散量を測定し、1日あたりの蒸散量を確認した。バット4内にボックス6を1つ設置し、検体Aをボックス6内に設置した。検体Aの重量を経時的に計量し、6日後から18日後までの減少重量から酢酸メンチルの1日あたりの蒸散量を算出した。
【0032】
(実施例2)
パルプマット(3cm×3cm×0.3cm)0.85gに、400mgの酢酸(−)−メンチルを含浸させ、含浸させた前記パルプマットをアルミホイルで密封した。アルミホイルに1cm角の開口部を開け、検体Bを得た。
実施例1で用いた検体Aの代わりに検体Bを用いた以外は、実施例1と同様の手順で忌避効果の検証と1日あたりの蒸散量の測定とを行った。結果を表1に示す。
【0033】
(比較例1)
パルプマット(3cm×3cm×0.3cm)0.85gに、400mgの酢酸(−)−メンチルを含浸させ、含浸させた前記パルプマットをアルミホイルで包んだ。針を用いてアルミホイルに0.002cm
2の孔を3つ開け、検体Cを得た。
実施例1で用いた検体Aの代わりに検体Cを用いた以外は、実施例1と同様の手順で忌避効果の検証と1日あたりの蒸散量の測定とを行った。結果を表1に示す。
【0034】
(比較例2)
パルプマット(3cm×3cm×0.3cm)0.85gに、グリコールエーテルの一種であるエチルセロソルブを400mg含浸させ、含浸させた前記パルプマットをアルミホイルで密封した。アルミホイルに1cm角の開口部を開け、検体Dを得た。
実施例1で用いた検体Aの代わりに検体Dを用いた以外は、実施例1と同様の手順で忌避効果の検証を行った。結果を表1に示す。また、下記の方法で1日あたりの蒸散量の測定を行った。
【0035】
<エチルセロソルブの蒸散量測定方法>
エチルセロソルブの蒸散量を測定し、1日あたりの蒸散量を確認した。バット4内にボックス6を1つ設置し、検体Dをボックス6内に設置した。1日後、検体Dの重量を計量し、減少重量からエチルセロソルブの1日あたりの蒸散量を算出した。
【0036】
(比較例3)
パルプマット(3cm×3cm×0.3cm)0.85gに、二塩基酸エステルの一種であるフタル酸ジオクチルを400mg含浸させ、含浸させた前記パルプマットをアルミホイルで密封した。アルミホイルに1cm角の開口部を開け、検体Eを得た。
実施例1で用いた検体Aの代わりに検体Eを用いた以外は、実施例1と同様の手順で忌避効果の検証と1日あたりの蒸散量の測定とを行った。結果を表1に示す。
【0037】
(比較例4)
パルプマット(3cm×3cm×0.3cm)0.85gに、オクタン酸−p−メンタンを400mg含浸させ、含浸させた前記パルプマットをアルミホイルで密封した。アルミホイルに1cm角の開口部を開け、検体Fを得た。
実施例1で用いた検体Aの代わりに検体Fを用いた以外は、実施例1と同様の手順で忌避効果の検証と1日あたりの蒸散量の測定とを行った。結果を表1に示す。
【0038】
【表1】
【0039】
表1に示すように、酢酸メンチルを1日あたり0.05mg/L蒸散させた場合、ゴキブリの忌避効果が得られ、1日あたり0.25mg/Lの蒸散量であれば、ほぼ100%の忌避効果が得られた。
一方、グリコールエーテルの一種であるエチルセロソルブ(比較例2)は、高濃度で蒸散しているにもかかわらず、全く忌避効果を発揮していないことがわかる。また、二塩基酸エステルの一種であるフタル酸ジオクチル(比較例3)や、オクタン酸−p−メンタン(比較例4)は蒸散せず、全く忌避効果を発揮していないことがわかる。
【0040】
(製剤例1)
ゼオライト5gに酢酸メンチルのエタノール溶液1g(50%溶液(w/w))を含浸し、粉剤を得た。
【0041】
(製剤例2)
ゲル化剤としてオクタン酸アルミニウム5gと溶媒として流動パラフィン90gと酢酸メンチル5gとを混合し、60℃まで加熱して溶解させた。その後、室温まで冷却し、ゲル剤を得た。
【0042】
(製剤例3)
1号灯油90gに酢酸メンチル10gを溶解し、加熱蒸散用の薬液を得た。
【0043】
(製剤例4)
10cm×15cmのメッシュ状のネット3.5gに酢酸メンチル0.5gを含浸し、忌避ネットを得た。
【0044】
(製剤例5)
酢酸メンチル0.5gを樹脂3.5gに練り込んでネット状に作製し、忌避ネットを得た。
【0045】
(製剤例6)
縦6cm、横6cmおよび高さ1cmのハニカム形状に成型したパルプ3gに、酢酸メンチル1gを含浸し、送風蒸散用の薬剤含浸体を得た。
【0046】
(製剤例7)
酢酸メンチル5gおよびエタノール20gを混合してエアゾール原液を調製した。得られたエアゾール原液25gとLPG(3.5kg/m
3)25gとをエアゾール缶に加圧充填し、エアゾール剤を得た。
【0047】
(製剤例8)
酢酸メンチル1g、発泡剤としてアゾジカルボンアミド8.99g、結合剤として澱粉0.01gおよび水を混合し、造粒機で造粒して乾燥させることで加熱蒸散用の粒剤を得た。