(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように、ヒータを用いた加熱によりオゾンの分解を促進させる構成とされる場合、比較的大きな電力を消費し易い。また、上記の構成は、消臭等の対象物が熱に弱い場合には適用しにくい。そこで、本願の発明者は、加熱に替わる他の条件でのオゾンの分解を促進する方法を考えた結果、オゾンの供給が停止された後に、洗濯槽内を加湿することで、オゾンの分解が促進されることを見出した。
【0006】
このような知見に基づいてオゾンの分解促進を図るべく、洗濯機において、ミストを発生する手段を用いて洗濯槽内を加湿する構成が採られ得る。この場合に、ミスト発生手段として、たとえば、ミストを噴霧するスプレーノズルを用いることができる。
【0007】
スプレーノズルから噴霧されるミストは、スプレーノズルから離れるに従って、その粒子が細かくなってゆく。しかしながら、比較的狭い空間である洗濯槽内に、直接、スプレーノズルからミストを噴霧するような構成とされた場合には、スプレーノズルと洗濯槽内の衣類との間に、ミストが十分に細かくなるだけの距離が取りにくい。このため、洗濯槽内では、ミストが十分に細かくなる前に衣類に接触しやすく、接触したミストによって衣類が濡れやすい。
【0008】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、十分に細かなミストの供給が可能なミスト発生器を提供することを目的とする。さらに、本発明は、オゾンが存在する洗濯槽内にミストを供給する際、供給されたミストによって洗濯槽内の衣類が濡らされにくい洗濯機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様に係るミスト発生器は、排出口を有するハウジングと、ミストを噴霧する噴霧部を含み、前記ハウジング内で、前記噴霧部から噴霧されたミストの衝突を生じさせて当該噴霧されたミストよりも粒子の細かなミストを発生させるミスト発生手段と、前記ハウジング内に前記排出口へ向かう空気の流れを生じさせ、前記ミスト発生手段が発生させた前記粒子の細かなミストを当該空気の流れに乗せて前記排出口から排出させる排出手段と、を備える。
【0010】
上記の構成によれば、ミスト発生器から十分に粒子の細かなミストを排出させることができる。
【0011】
本態様に係るミスト発生器において、前記ミスト発生手段は、前記噴霧部が第1の噴霧部と第2の噴霧部とを有し、噴霧された互いのミストが衝突するように、前記第1の噴霧部および第2の噴霧部が前記ハウジング内に配置される構成を含み得る。
【0012】
上記の構成によれば、第1の噴霧部および第2の噴霧部からミストが噴霧されるので、全体としてミストの噴霧量を多くすることができ、粒子の細かなミストの発生量を多くすることができる。
【0013】
本態様に係るミスト発生器において、前記ミスト発生手段は、噴霧されたミストが前記ハウジングの壁面に衝突するように、前記噴霧部が前記ハウジング内に配置される構成を含み得る。
【0014】
上記の構成によれば、1つの噴霧部を用いて、ハウジング内で粒子の細かなミストを発生させるミスト発生器を実現できる。
【0015】
本態様に係るミスト発生器において、前記排出手段は、送風ファンを含む構成とされ得る。
【0016】
上記の構成によれば、送風ファンの動作により生起させた空気の流れによって、ハウジング内で発生した粒子の細かなミストを良好に排出口から排出させることができる。
【0017】
本態様に係るミスト発生器において、前記第1の噴霧部および第2の噴霧部を含む構成とされた場合、さらに、前記ハウジングには、空気を取り込むための取込口が設けられ得る。この場合、前記排出手段は、前記取込口側から前記排出口側に向かって互いのミストが噴霧されるように、前記第1の噴霧部および第2の噴霧部が前記ハウジング内に配置される構成を含み得る。
【0018】
上記の構成によれば、第1の噴霧部および第2の噴霧部から噴霧されるミストの勢いによってハウジング内に排出口へ向かう空気の流れを生じさせることができ、この空気の流れを利用して、ハウジング内で発生した粒子の細かなミストを排出口から排出させることができる。
【0019】
上記の構成とされた場合、さらに、前記ハウジング内には、前記第1の噴霧部からのミストと前記第2の噴霧部からのミストとが衝突する位置よりも前記排出口へ向かう空気の流れの下流に、前記第1の噴霧部および前記第2の噴霧部からのミストを遮断する遮蔽壁が設けられ得る。
【0020】
このような構成とされると、第1の噴霧部および第2の噴霧部から噴霧され、衝突後さらに排出口側へと向かうミストを、遮蔽壁により遮断することができる。これにより、粒子の粗いミストが排出口から放出されてしまうことを防止できる。
【0021】
本態様に係るミスト発生器において、前記ハウジングの底部には、前記噴霧部から噴霧されたミストの衝突位置よりも前記排出口へ向かう空気の流れの下流に排水口が設けられ得る。
【0022】
上記の構成によれば、粒子の細かなミスト以外の水を、ハウジング内の空気の流れに逆らうことなく排水口へ向かわせることができ、排水口から円滑に排出させることができる。
【0023】
本発明の第2の態様に係る洗濯機は、衣類を収容する洗濯槽と、前記洗濯槽内に供給されるオゾンを発生するオゾン発生器と、オゾンが存在する前記洗濯槽内に供給されるミストを発生するミスト発生器と、を備える。ここで、前記ミスト発生器は、排出口を有するハウジングと、ミストを噴霧する噴霧部を含み、前記ハウジング内で、前記噴霧部から噴霧されたミストの衝突を生じさせて当該噴霧されたミストよりも粒子の細かなミストを発生させるミスト発生手段と、前記ハウジング内に前記排出口へ向かう空気の流れを生じさせ、前記ミスト発生手段が発生させた前記粒子の細かなミストを当該空気の流れに乗せて前記排出口から排出させる排出手段と、を含む。
【0024】
上記の構成によれば、オゾンが存在する洗濯槽内に十分に粒子の細かなミストが供給されるので、供給されたミストによって洗濯槽内に収容された衣類を濡らしにくくすることができる。
【0025】
本態様に係る洗濯機において、前記ミスト発生器は、前記ハウジングに設けられ、空気を取り込むための取込口と、前記取込口を通じて外部に漏れ出ようとするオゾンを除去するオゾン除去部と、を含む構成とされ得る。
【0026】
上記の構成によれば、ミスト発生器を通じた洗濯機の外部へのオゾンの流出を防止することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、十分に粒子の細かなミストの供給が可能なミスト発生器を提供することができる。さらに、本発明によれば、オゾンが存在する洗濯槽内にミストを供給する際、供給されたミストによって洗濯槽内の衣類が濡らされにくい洗濯機を提供することができる。
【0028】
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施形態の説明によりさらに明らかとなろう。ただし、以下の実施形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施形態に記載されたものに何ら制限されるものではない。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0031】
図1および
図2は、全自動洗濯乾燥機1の構成を示す図である。
図1(a)は、全自動洗濯乾燥機1の側面断面図であり、
図2は、後カバー16が外されるとともに上蓋15が開放された状態の全自動洗濯乾燥機1の平面図である。
【0032】
全自動洗濯乾燥機1は、外観を構成する筺体10を備える。筺体10は、上下の面が開放された方形筒状の胴体部11と、胴体部11の上面を覆う上面板12と、胴体部11を支持する脚台13とを含む。上面板12には、洗濯物の投入口14が形成される。投入口14は、開閉自在な上蓋15により覆われる。
【0033】
筺体10内には、外槽20が、防振装置を有する4本の吊棒21により弾性的に吊り下げ支持される。外槽20の上面は、外槽カバー22により覆われる。外槽カバー22には、投入口14に対応する位置に、投入口14とほぼ同じ大きさの開口部22aが形成される。開口部22aは、外槽蓋23により開閉可能に覆われる。
【0034】
外槽20内には、洗濯脱水槽24が配される。洗濯脱水槽24の内周面には、全周に亘って多数の脱水孔24aが形成される。洗濯脱水槽24の上部には、バランスリング25が設けられる。洗濯脱水槽24は、本発明の洗濯槽に相当する。外槽20の底部には、パルセータ26が配される。パルセータ26の表面には、放射状に複数の羽根26aが設けられる。
【0035】
外槽20の外底部には、洗濯脱水槽24およびパルセータ26を駆動するトルクを発生させる駆動ユニット30が配される。駆動ユニット30は、駆動モータ31と、伝達機構部32とを含む。伝達機構部32は、クラッチ機構を有し、当該クラッチ機構による切替操作により、洗い工程およびすすぎ工程では、駆動モータ31のトルクをパルセータ26のみに伝達してパルセータ26のみを回転させ、脱水工程では、駆動モータ31のトルクをパルセータ26および洗濯脱水槽24に伝達してパルセータ26および洗濯脱水槽24を一体的に回転させる。
【0036】
外槽20の外底部には、排水口部20aが形成される。排水口部20aには、排水バルブ40が設けられる。排水バルブ40は、排水ホース41に接続される。排水バルブ40が開放されると、洗濯脱水槽24および外槽20に溜められた水が排水ホース41を通じて機外へ排出される。
【0037】
上面板12の後部には、上面が開放する収容部12aが設けられる。収容部12a内に、乾燥ユニット50、オゾン発生器60、ミスト発生器70および給水バルブ80が配される。収容部12aの上面は、後カバー16により覆われる。
【0038】
乾燥ユニット50は、循環風路51と、循環ブロワ52と、ヒータ53とを備える。循環風路51は、弾性材料からなる排気筒51aおよび吸気筒51bを含む。排気筒51aは外槽カバー22を貫通し、その排気口が洗濯脱水槽24内に臨む。吸気筒51bは外槽カバー22を貫通し、その吸気口が洗濯脱水槽24と外槽20との間の空間に臨む。循環ブロワ52は、たとえば、遠心ブロワであり、下面に吸込口52a、を有し、周面に吐出口52bを有する。吸込口52aは吸気筒51bの上方に位置する。循環ブロワ52は、外槽20と循環風路51との間で空気を循環させる。ヒータ53は、乾燥工程において、循環する空気を加熱する。
【0039】
オゾン発生器60は、放電方式のオゾン発生器であり、一対の電極間にコロナ放電、無声放電等の放電を生じさせ、一対の電極間に通された空気からオゾンを生成する。オゾン発生器60は、オゾン供給管61を介して循環風路51における循環ブロワ52の吸込口52a側につながる。循環ブロワ52が回転すると、吸込口52a側は負圧となるため、オゾン発生器60で発生したオゾンが循環ブロワ52に吸い込まれる。吸い込まれたオゾンは、循環する空気に混合されて洗濯脱水槽24内に供給される。オゾン発生器60は、放電方式以外の方式、たとえば、紫外線方式のオゾン発生器であっても良い。
【0040】
ミスト発生器70は、微細なミストを発生し、発生したミストを、蛇腹状のミスト供給管71と外槽蓋23に設けられた供給口23aとを通じて洗濯脱水槽24内に供給する。ミスト発生器70の詳細な構成については、追って説明する。
【0041】
給水バルブ80は、水道栓に接続される。給水バルブ80は、2連バルブであり、第1バルブ81および第2バルブ82を備える。第1バルブ81は、図示しない給水ホースを介して外槽20の後部につながる。給水工程において、第1バルブ81が開放されると、給水ホースを通じて水道水が外槽20内に供給される。第2バルブ82は、ミスト発生器70を構成する、後述のスプレーノズルにつながる。第2バルブ82が開放されると、水道水がスプレーノズルに供給される。
【0042】
上面板12の前部には、操作部17が設けられる。操作部17には、電源ボタン、スタートボタン、コース選択ボタン等の各種の操作ボタンが配される。
【0043】
全自動洗濯乾燥機1では、各種運転コースの洗濯運転、洗濯乾燥運転または乾燥運転が行われる。洗濯運転は、洗濯のみを行う運転であり、洗い工程、中間脱水工程、すすぎ工程および最終脱水工程が順番に実行される。洗濯乾燥運転は、洗濯から乾燥までを連続的に行う運転であり、最終脱水工程に続いて乾燥工程が実行される。乾燥運転は、乾燥のみを行う運転であり、乾燥工程のみが実行される。
【0044】
洗い工程およびすすぎ工程では、洗濯脱水槽24内に水が溜められた状態で、パルセータ26が右方向および左方向に回転する。パルセータ26の回転により洗濯脱水槽24内に水流が発生する。洗い工程では、発生した水流と水に含まれる洗剤とにより洗濯物が洗われる。すすぎ工程では、発生した水流により洗濯物がすすがれる。
【0045】
中間脱水工程および最終脱水工程では、洗濯脱水槽24およびパルセータ26が一体となって高速回転する。洗濯脱水槽24に発生する遠心力の作用により、洗濯物が脱水される。
【0046】
乾燥工程では、ヒータ53で加熱された加熱空気が循環風路51と外槽20との間で循環する。また、一定の時間毎に、パルセータ26が右回転および左回転する。洗濯脱水槽24内の洗濯物は、パルセータ26により撹拌されつつ、洗濯脱水槽24内に導入された加熱空気に接触する。接触により洗濯物から水分を奪った加熱空気は、脱水孔24aから洗濯脱水槽24と外槽20の間の空間に排出される。加熱空気は、この空間内で外槽20の壁面と接触して冷却されることにより除湿され、その後、循環風路51内に取り込まれ、再びヒータ53で加熱されて洗濯脱水槽24内に導入される。このようにして、洗濯物が乾燥する。
【0047】
さらに、全自動洗濯乾燥機1では、上記洗濯運転等とは別に、洗濯脱水槽24内にオゾンを供給し、オゾンにより衣類の消臭、除菌等を行うエアウォッシュコースの運転が行われる。
【0048】
エアウォッシュコースの運転は、オゾン発生器60が発生したオゾンを洗濯脱水槽24内に供給し衣類の消臭、除菌等を行うオゾン発生工程と、当該オゾン発生工程に続いて行われる、洗濯脱水槽24内に残留したオゾンを分解により消滅させるオゾン分解工程とを含む。オゾン分解工程により洗濯脱水槽24内のオゾン濃度が十分に低下した後に、エアウォッシュコースが終了する。エアウォッシュコースが終了すると、上蓋15と上面板12との間に設けられた、図示しないドアロック装置による上蓋15のロックが解除されて衣類の取出しが可能となる。
【0049】
オゾン分解工程では、ミスト発生器70から洗濯脱水槽24内にミストが供給され、ミストによって洗濯脱水槽24内が加湿される。この洗濯脱水槽24内の加湿により、洗濯脱水槽24内に残留するオゾンの分解が促進されるので、オゾン濃度を早く低下させることができる。
【0050】
加湿によりオゾン濃度が低下するのは、オゾンガスが加湿中の微細な水(ミスト)に溶解されたり、反応して分解されたりすることが原因であると考えられる。オゾンの水中での反応機構と同様であり、以下の反応が進んでいると考えられている。
O
3 + OH
− → O
2−+ HO
2
O
3 + HO
2 → 2O
2 + ・OH
O
3 + ・OH → O
2 + HO
2
2HO
2 → O
3 + H
2O
HO
2 + OH → O
2 + H
2O
【0051】
なお、上記反応機構によれば、水との反応によるオゾンの分解過程においてOHラジカルが生成される。よって、オゾン分解工程では、オゾンよりも高い酸化力を持つOHラジカルが衣類に作用することにより、衣類に付着した皮脂汚れなど有機物汚れが分解される効果が期待され得る。
【0052】
エアウォッシュコースは、主として乾いた衣類の脱臭、除菌等を行うものであるため、洗濯脱水槽24内を加湿するために導入されたミストによって、脱臭、除菌等が施された後の衣類が濡らされてしまうことは望ましくない。
【0053】
本実施の形態の全自動洗濯乾燥機1は、ミスト発生器70の構成を特徴としている。本実施の形態のミスト発生器70によれば、以下に説明する通り、微細なミストを洗濯脱水槽24内に供給することができるので、洗濯脱水槽24内の衣類を濡らしにくくすることができる。以下、ミスト発生器70の詳細な構成について説明する。
【0054】
図3および
図4は、ミスト発生器70の構成を示す図である。
図3は、ミスト発生器70の分解斜視図である。
図4(a)は、上面カバー102が外された状態のミスト発生器70の平面図であり、
図4(b)は、
図4(a)のA−A´断面図である。
【0055】
ミスト発生器70は、ハウジング100と、第1スプレーノズル200と、第2スプレーノズル300と、オゾン除去フィルタ400とを含む。
【0056】
ハウジング100は、ハウジング本体101と、上面カバー102とにより構成される。ハウジング本体101は、上面が開放された、左右方向を長手方向とするほぼ直方体の箱状に形成される。ハウジング本体101は、左端部に、やや前方に張り出す張出部101aを有し、張出部101aの前面に円筒状の排出口103が設けられる。排出口103は上面板12の収容部12aの前面から前方に突き出し、突き出した排出口103にミスト供給管71が接続される。ハウジング本体101の左側面には、空気を取り込むための取込口104が形成される。
【0057】
ハウジング本体101の底面には、左後ろの角部に排水口105が形成される。排水口105は、図示しない排水チューブを介して排水ホース41につながる。ハウジング本体101の底面には、排水口105に水が集まりやすいように、前方から後方に向かって下る第1傾斜面106と右方から左方に向かって下る第2傾斜面107とが形成される。
【0058】
ハウジング本体101内には、フィルタ収容部108と、第1取付台109と、第2取付台110と、遮蔽壁111とが設けられる。
【0059】
フィルタ収容部108は、ハウジング本体101の右端部に仕切板112を設けることにより、左側面と仕切板112と間に形成される。仕切板112には、空気が通る通気口113が形成される。
【0060】
第1取付台109は、仕切板112から左方に少し離れた位置に、ハウジング本体101の前面に接するように設けられる。第2取付台110は、第1取付台109の真後ろの位置に、ハウジング本体101の後面に接するように設けられる。第1取付台109および第2取付台110は、ハウジング本体101の底面から隆起し、その裏側は空洞となる。第1取付台109および第2取付台110には、上面に取付口109a、110aが形成される。
【0061】
遮蔽壁111は、張出部101aの右端部から左斜め後方に延びるように設けられる。遮蔽壁111とハウジング本体101の左側面との間には、所定の隙間が形成される。
【0062】
上面カバー102は、上面と同じ形状を有する平板であり、水や空気の漏れがないよう、パッキンなど、図示しないシール部材を介してハウジング本体101の上面に固定される。
【0063】
第1スプレーノズル200および第2スプレーノズル300は同じ構成であり、共にほぼL字形を有する。第1スプレーノズル200は、その噴射口部201が左斜め後ろ方向を向くように第1取付台109の取付口109aに固定される。第1スプレーノズル200は、第1取付台109に固定された状態において、その入水口部202が、第1取付台109の裏側の空洞内に突き出る。第2スプレーノズル300は、その噴射口部301が左斜め前方向を向くよう第2取付台110の取付口110aに固定される。第2スプレーノズル300は、第2取付台110に固定された状態において、その入水口部302が、第2取付台110の裏側の空洞内に突き出る。噴射口部201、301は、上下方向に扇形に拡がるミストが噴射されるよう構成される。第1スプレーノズル200は、本発明の第1の噴霧部に相当し、第2スプレーノズル300は、本発明の第2の噴霧部に相当する。
【0064】
第1スプレーノズル200および第2スプレーノズル300と給水バルブ80の第2バルブ82とは、中継ホースユニット90により接続される。
図4(b)に示すように、中継ホースユニット90は、メインホース91と、Y字継手92と、第1分岐ホース93と、第2分岐ホース94とを含む、第1分岐ホース93と第2分岐ホース94が、Y字継手92によりメインホース91に接続される。メインホース91は、第2バルブ82に接続される。第1分岐ホース93は、第1スプレーノズル200の入水口部202に接続され、第2分岐ホース94は、第2スプレーノズル300の入水口部302に接続される。
【0065】
オゾン除去フィルタ400は、フィルタ収容部108内に設置される。オゾン除去フィルタ400は、活性炭フィルタ、光触媒セラミックフィルタ等であり、フィルタ内部を通過する空気に含まれるオゾンを除去する。オゾン除去フィルタ400は、本発明のオゾン除去部に相当する。
【0066】
図5は、ミスト発生器70によるミスト発生動作について説明するための図である。なお、
図5では、便宜上、上面カバー102の図示が省略されているが、実際のミスト発生動作時には、ハウジング本体101の上面が上面カバー102で閉鎖されている。
【0067】
給水バルブ80から中継ホースユニット90を通じて第1スプレーノズル200および第2スプレーノズル300に水が送られる。第1スプレーノズル200からは、上下方向に扇形に拡がるミストが左斜め後ろ方向に噴霧され、第2スプレーノズル300からは、上下方向に扇形に拡がるミストが左斜め後ろ方向に噴霧される。噴霧された互いのミストは、遮蔽壁111よりも手前の位置で衝突する。この衝突により、双方のスプレーノズル200、300から噴霧されたミストよりも粒子の細かなミスト(以下、「微細ミスト」と称する)が発生し、空中に漂う。ハウジング100内では、取込口104側から排出口103側へ向かう方向へ2つのスプレーノズル200、300から勢い良くミストが噴霧されることにより、取込口104側から排出口103側へ向かう空気の流れが生じる。即ち、
図5に矢印で示すように、外部の空気が取込口104からハウジング100内に取り込まれ、取り込まれた空気が、左側面側へと向かい、遮蔽壁111と左側面との隙間を縫って張出部101aへと流れ、排出口103からハウジング100の外へと流れ出る。ハウジング100内で発生した微細ミストは、ハウジング100内で生じた空気の流れに乗って排出口103へと向かい、排出口103から排出される。ミスト発生器70から排出された微細ミストは、ミスト供給管71を通じて洗濯脱水槽24内に供給される。
【0068】
ここで、2つのスプレーノズル200、300から噴霧されたミストの衝突位置よりもハウジング100内を流れる空気の下流側には遮蔽壁111が設けられており、衝突後にさらに下流側へと向かうミストは遮蔽壁111によって遮断される。
【0069】
また、ミスト発生器70から排出される微細ミスト以外の水は、ハウジング100の底部に溜まり、排水口105から排出される。排水口105は、噴霧されたミスト同士が衝突する位置よりもハウジング100内における空気の流れの下流に設けられているため、底部の水は、空気の流れに逆らうことなく排水口105へと流れ、排水口105から排出される。
【0070】
上述の通り、オゾン発生工程では、洗濯脱水槽24内にオゾンが供給される。洗濯脱水槽24内の圧力は外部の圧力より高くなるため、洗濯脱水槽24内のオゾンが空気とともに排出口103を通じてハウジング100内に侵入し、取込口104から外部に逃げようとする。取込口104の前段には、オゾン除去フィルタ400が設けられているので、取込口104から空気とともに逃げようとするオゾンは、オゾン除去フィルタ400により除去される。
【0071】
<本実施の形態の効果>
以上、本実施の形態によれば、第1スプレーノズル200および第2スプレーノズル300から噴霧されたミスト同士の衝突により、これらミストよりも粒子の細かなミストをハウジング100内で発生させ、発生した粒子の細かなミストを洗濯脱水槽24内に供給するように、ミスト発生器70が構成されている。これにより、残留するオゾンの分解を促進させるために洗濯脱水槽24内を加湿する際、ミスト発生器70から洗濯脱水槽24内に十分に粒子の細かなミストが供給されるので、供給されたミストによって洗濯脱水槽24内に収容された衣類を濡らしにくくすることができる。
【0072】
また、本実施の形態によれば、ミスト発生器70は、2つのスプレーノズル200、300からミストが噴霧される構成とされているので、全体としてミストの噴霧量を多くすることができ、粒子の細かなミストの発生量を多くすることができる。
【0073】
さらに、本実施の形態によれば、第1スプレーノズル200および第2スプレーノズル300から噴霧されるミストの勢いによってハウジング100内に排出口103へ向かう空気の流れを生じさせるように、ミスト発生器70が構成されている。これにより、2つのスプレーノズル200、300からのミストの噴霧によって生じた空気の流れを利用して、ハウジング100内で発生した粒子の細かなミストを排出口103から排出させることができる。
【0074】
さらに、本実施の形態によれば、ミスト発生器70は、第1スプレーノズル200および第2スプレーノズル300から噴霧され、衝突後さらに排出口103側へと向かうミストを、遮蔽壁111により遮断することができる。これにより、粒子の粗いミストが排出口103から放出されてしまうことを防止できる。
【0075】
さらに、本実施の形態によれば、ミスト発生器70には、噴霧されたミスト同士が衝突する位置よりもハウジング100内における空気の流れの下流に排水口105が設けられている。これにより、粒子の細かなミスト以外の水を、空気の流れに逆らうことなく排水口105へ向かわせることができ、排水口105から円滑に排出させることができる。
【0076】
さらに、本実施の形態によれば、ミスト発生器70は、洗濯脱水槽24からハウジング100内に侵入し取込口104を通じて外部に逃げようとするオゾンを、オゾン除去フィルタ400により除去することができる。これにより、ミスト発生器70を通じた全自動洗濯乾燥機1の外部へのオゾンの流出を防止することができる。
【0077】
<変更例1>
図6は、変更例1に係る、ミスト発生器70Aの構成を示す平面図である。
【0078】
本変更例に係る、ミスト発生器70Aでは、第1取付台109および第2取付台110が張出部101aの近傍に設けられる。また、第1スプレーノズル200は、その噴射口部201が右斜め後ろ方向を向くように第1取付台109に固定され、第2スプレーノズル300は、その噴射口部301が右斜め前方向を向くように第2取付台110に固定される。さらに、ハウジング本体101には、フィルタ収容部108の左方に送風ファン500の設置スペース114が設けられ、この設置スペース114に送風ファン500が設置される。送風ファン500は、たとえば、防水タイプの軸流ファンであり、通気口113に対面する背面に吸込口を有し、正面に吐出口を有する。さらに、ハウジング本体101内には、遮蔽壁111が設けられない。
【0079】
第1スプレーノズル200からは、上下方向に扇形に拡がるミストが右斜め後ろ方向に噴霧され、第2スプレーノズル300からは、上下方向に扇形に拡がるミストが右斜め前方向に噴霧される。噴霧されたミスト同士が衝突することによって微細ミストが発生する。送風ファン500の動作により、
図6に矢印で示すように、ハウジング100内では、排出口103への空気の流れが生じ、微細ミストが、この空気の流れに乗って排出口103へと向かい、排出口103から排出される。
【0080】
衝突後のミストは、排出口103とは反対側へ向かうため、粒子の粗いミストは、遮蔽壁が設けられていなくても排出口103から漏れ出にくい。なお、送風ファン500による風量が大きい場合など、粒子の粗いミストが空気の流れで戻されて排出口103から漏れることが懸念される場合には、遮蔽壁が設けられても良い。
【0081】
以上、本変更例によれば、上記実施の形態と同様、残留するオゾンの分解を促進させるために洗濯脱水槽24内を加湿する際、供給されたミストによって洗濯脱水槽24内に収容された衣類を濡らしにくくすることができる。
【0082】
また、本変更例によれば、上記実施の形態と同様、粒子の細かなミスト以外の水を、排水口105から円滑に排出させることができる。
【0083】
さらに、本変更例によれば、上記実施の形態と同様、ミスト発生器70Aを通じた全自動洗濯乾燥機1の外部へのオゾンの流出を防止することができる。
【0084】
さらに、本変更例によれば、送風ファン500の動作により生起させた空気の流れによって、ハウジング100内で発生した粒子の細かなミストを良好に排出口103から排出させることができる。
【0085】
<変更例2>
図7は、変更例2に係る、ミスト発生器70Bの構成を示す分解斜視図である。
【0086】
ミスト発生器70Bは、ハウジング600と、スプレーノズル700と、オゾン除去フィルタ800と、送風ファン900とを含む。
【0087】
ハウジング600は、ハウジング本体601と、上面カバー602とにより構成される。ハウジング本体601は、上面が開放された、左右方向を長手方向とするほぼ直方体の箱状に形成される。ハウジング本体601は、左端部に、やや前方に張り出す張出部601aを有し、張出部601aの前面に円筒状の排出口603が設けられる。ハウジング本体601の左側面には、空気を取り込むための取込口604が形成される。
【0088】
ハウジング本体601の底面には、左後ろの角部に排水口605が形成される。さらに、ハウジング本体601の底面には、排水口605に水が集まりやすいように、排水口605の周りに、前方から後方に向かって下る第1傾斜面606と右方から左方に向かって下る第2傾斜面607とが形成される。
【0089】
ハウジング本体601の右端部には、仕切板608により、フィルタ収容部609が区画形成される。仕切板608には、空気が通る通気口610が形成される。
【0090】
上面カバー602は、上面と同じ形状を有する平板であり、水や空気の漏れがないよう、パッキンなど、図示しないシール部材を介してハウジング本体601の上面に固定される。
【0091】
スプレーノズル700は、ほぼL字形を有する。スプレーノズル700は、その噴射口部701がハウジング本体601の中央付近に下向きに配置されるように、ハウジング本体601の後面に固定される。噴射口部701は、前後方向に扇形に拡がるミストが噴射されるよう構成される。スプレーノズル700は、本発明の噴霧部に相当する。
【0092】
スプレーノズル700は、ハウジング本体601の後面に固定された状態において、その入水口部702が、後面の後方に突き出る。図示しない中継ホースが、入水口部702に接続される。中継ホースは、給水バルブ80の第2バルブ82につながる。
【0093】
オゾン除去フィルタ800は、フィルタ収容部609内に設置される。オゾン除去フィルタ800は、活性炭フィルタ、光触媒セラミックフィルタ等であり、フィルタ内部を通過する空気に含まれるオゾンを除去する。オゾン除去フィルタ800は、本発明のオゾン除去部に相当する。
【0094】
送風ファン900は、フィルタ収容部609に隣接して設けられる。送風ファン900は、たとえば、防水タイプの軸流ファンであり、通気口610に対面する背面に吸込口を有し、正面に吐出口を有する。
【0095】
図8は、変更例2に係る、ミスト発生器70Bによるミスト発生動作について説明するための図である。なお、
図8では、便宜上、上面カバー602の図示が省略されているが、実際のミスト発生動作時には、ハウジング本体601の上面が上面カバー602で閉鎖されている。
【0096】
給水バルブ80からスプレーノズル700に水が送られると、スプレーノズル700からは、前後方向に扇形に拡がるミストが下方向に噴霧される。噴霧された水は、ハウジング本体601の底壁面601bに衝突する。この衝突により、スプレーノズル700から噴霧されたミストよりも粒子の細かなミスト(以下、「微細ミスト」と称する)が、底壁面601bから立ち上るように発生し、空中に漂う。送風ファン900の動作により、
図8に矢印で示すように、ハウジング600内では、取込口604から排出口603への空気の流れが生じ、ハウジング600内で発生した微細ミストが、この空気の流れに乗って排出口603へと向かい、排出口603から排出される。
【0097】
ミスト発生器70Bから排出される微細ミスト以外の水は、排水口605から排出される。排水口605は、噴霧されたミストがハウジング本体601の底壁面601bに衝突する位置より、ハウジング600内における空気流れの下流に設けられている。このため、定部の水は、空気の流れに逆らうことなく排水口605へと流れ、排水口605から排出される。
【0098】
さらに、本変更例においても、上記実施の形態と同様、オゾン発生工程において、ハウジング600内に侵入し、取込口604から外部に逃げようとするオゾンは、オゾン除去フィルタ800により除去される。
【0099】
なお、本変更例のミスト発生器70Bにおいて、
図9に示すように、送風ファン900を排出口603に隣接して設けるようにしても良い。
【0100】
以上、本変更例によれば、スプレーノズル700から噴霧されたミストをハウジング600の内壁面に衝突させることにより、噴霧されたミストより粒子の細かなミストをハウジング600内で発生させ、発生した粒子の細かなミストを洗濯脱水槽24内に供給するように、ミスト発生器70Bが構成されている。これにより、残留するオゾンの分解を促進させるために洗濯脱水槽24内を加湿する際、洗濯脱水槽24内に十分に粒子の細かなミストが供給されるので、供給されたミストによって洗濯脱水槽24内に収容された衣類を濡らしにくくすることができる。
【0101】
また、本変更例によれば、1つのスプレーノズル700を用いて、ハウジング100内で粒子の細かなミストを発生させるミスト発生器70Bを実現できる。
【0102】
さらに、本変更例によれば、上記実施の形態と同様、粒子の細かなミスト以外の水を、排水口605から円滑に排出させることができる。
【0103】
さらに、本変更例によれば、上記実施の形態と同様、ミスト発生器70Bを通じた全自動洗濯乾燥機1の外部へのオゾンの流出を防止することができる。
【0104】
さらに、本変更例によれば、上記変更例1と同様、送風ファン900の動作により生起させた空気の流れによって、ハウジング600内で発生した粒子の細かなミストを良好に排出口603から排出させることができる。
【0105】
<その他の変更例>
以上、本発明の実施の形態および変更例について説明したが、本発明は、上記実施の形態等によって何ら制限されるものではなく、また、本発明の実施の形態および変更例も、上記以外に種々の変更が可能である。
【0106】
たとえば、上記実施の形態および変更例1では、ミスト発生器70、70Aにおいて、第1スプレーノズル200および第2スプレーノズル300が、その噴射口部201、301が取込口104側から排出口103側に向う空気の流れに沿う方向を向くように、ハウジング100内に配置される。しかしながら、ハウジング100内において、第1スプレーノズル200および第2スプレーノズル300から噴霧されたミスト同士が衝突すれば、第1スプレーノズル200および第2スプレーノズル300は、如何なる向きとなるように配置されても良い。
【0107】
さらに、上記実施の形態では、2つのスプレーノズル200、300から噴霧されたミスト同士を衝突させるようにミスト発生器70が構成される。しかしながら、これに限らず、3つ以上のスプレーノズルから噴霧されたミスト同士を衝突させるようにミスト発生器70が構成されても良い。
【0108】
さらに、変更例2では、ミスト発生器70Bにおいて、スプレーノズル700が、噴霧されたミストがハウジング600の底壁面601bに衝突するように、ハウジング600内に配置される。しかしながら、スプレーノズル700は、ハウジング600内において、噴霧されたミストが前壁面、後壁面等の如何なる壁面に衝突するように配置されても良い。
【0109】
さらに、上記実施の形態では、全自動洗濯乾燥機1に搭載されたミスト発生器70が例示されたが、本発明のミスト発生器は、他の洗濯機は勿論のこと、たとえば、衣類乾燥機、衣類のしわ伸ばし、脱臭、芳香等を行う衣類リフレッシュ装置など、他の電気機器に用いることができる。
【0110】
さらに、上記実施の形態では、全自動洗濯乾燥機1が例示されたが、本発明は、全自動洗濯機、ドラム式洗濯乾燥機、ドラム式洗濯機等にも適用することができる。
【0111】
この他、本発明の実施の形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。