【実施例】
【0037】
以下に、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。本発明における特性の測定方法および効果の評価方法は、次の通りである。
【0038】
(1)樹脂の密度
JIS K 7112(1980)に規定された密度勾配管法に従い密度を測定した。
【0039】
(2)フィルム厚さ
ダイヤルゲージ式厚さ計(JIS B 7509(1992)、測定子5mmφ平型)を用いて、フィルムの長手方向及び幅方向に10cm間隔で10点測定して、その平均値とした。
【0040】
(3)各層の厚さ
フィルムの断面をミクロトームにて切り出し、その断面についてデジタルマイクロスコープVHX−100形((株)キーエンス製)を用いて1000倍に拡大観察して撮影した断面写真を用いて、各層の厚さ方向の距離を計測し、拡大倍率から逆算して各層の厚さを求めた。なお、各層の厚さを求めるに当たっては、互いに異なる測定視野から任意に選んだ計5箇所の断面写真計5枚を使用し、それらの平均値として算出した。
【0041】
(4)メルトフローレート(MFR)
JIS K 7210に準拠して、ポリエチレン系樹脂は190℃、ポリプロピレン系樹脂は230℃で測定した。
【0042】
(5)容器蓋部
腐食防止用途でエポキシ樹脂コートなどしていないアルミシート#3000(例えば、東洋製罐社製や大和製罐社製)を使用した。
【0043】
(6)第1の積層フィルム
基材層がポリプロピレン系樹脂でヒートシール層が変性ポリプロピレン系樹脂の2層で構成された無延伸ポリプロピレンフィルム(東レフィルム加工(株)製“トレファン”NO 9710B)を使用した。
【0044】
(7)評価用シートの作成
(5)で準備したアルミシートを幅100mm×100mmに成型したものを準備し、(6)で準備した第1の積層フィルムを同じ大きさにしたサンプルのヒートシール層をのせ富士インパルス(株)製のインパルスシーラー(CA−450−10)を使用し、加熱時間1.0秒、冷却時間3.0秒の条件でシールし評価用シートとした。
【0045】
(8)評価用易開封性シートの作成
(7)で作成した評価用シートの第1の積層フィルム側に第2の積層フィルムを幅75mm×長さ75mmに切ったサンプルの第一の外層を重ね合わせ、(7)でシールした位置と同じ位置にインパルスシーラーの条件は同じにしてシールし、シールされた場所に直径5mmの開孔を作成し評価用易開封性シートとし、手で第2の積層フィルムを引っ張ってシールできていた場合を○、シールできなかった場合を×とした。
【0046】
(9)蓋材の作成
無延伸ポリプロピレンフィルム(東レフィルム加工(株)製“トレファン”NO ZK93KM)をポリウレタン接着剤で固形分塗布量2g/cm
2でドライラミネートし、40℃で72時間エージングし、蓋材を作成した。
【0047】
(10)評価用易開封性シートと蓋材とのシール強度
(9)で準備した蓋材を幅75mm×長さ75mmに切ったサンプルの蓋材を(8)で準備した評価用易開封性シートの第2の積層フィルムがシールされ直径5mmの開孔を有している場所が覆われるように重ね、(8)で作成した評価用易開封性シートと評価用シートをシールした位置よりも奥側1mmの位置をインパルスシーラーの条件は同じにしてシールしたときに、適度な力で第2の積層フィルム内で層間剥離できた場合を○、層間剥離しなかった場合を×とした。
【0048】
実施例で使用した原料は次の通りである。
(1)変性ポリプロピレン(変性PP)(PP−1)
三菱化学(株)製“モディック”P614V、MFR(230℃):3.4g/10分、密度:0.90g/cm
3
【0049】
(2)変性ポリプロピレン(変性PP)(PP−2)
三菱化学(株)製“モディック”P565、MFR(230℃):5.9g/10分、密度:0.89g/cm
3
【0050】
(3)ホモポリプロピレン(H−PP)(PP−3)
(株)プライムポリマー製“プライムポリプロ”F107DJ、MFR(230℃):8.0g/10分、密度:0.90g/cm
3
【0051】
(4)エチレン・プロピレンランダムコポリマー(EPC)(PP−4)
住友化学(株)製 住友“ノーブレン”FL6412、MFR(190℃):6.0g/10分、密度:0.900g/cm
3
【0052】
(5)エチレン・プロピレンブロック共重合体(B−PP)(PP−5)
住友化学(株)製WFS5293−17、MFR(190℃):3.0g/10分、密度:0.90g/cm
3
【0053】
(6)ポリ4−メチルペンテン−1(TPX)(MP−1)
三井化学(株)製“TPX”EP0518、MFR(190℃):4.0g/10分、密度:0.83g/cm
3
【0054】
(7)エチレン・ビニルアルコール共重合体(EVOH)(EV−1)
(株)クラレ製“エバール”E105B、MFR(190℃):5.7g/10分、密度:1.14g/cm
3
【0055】
(8)ナイロン6(N6)(NY−1)
宇部興産(株)製UBEナイロン1013B、密度:1.14g/cm
3
【0056】
(9)ポリエステル(PET)(PT−1)
東洋紡(株)製“バイロン”GM913、密度:1.15g/cm
3
【0057】
実施例1
第一の外層の樹脂として変性ポリプロピレン(PP−1)100重量%を用い、中間層としてポリ4−メチルペンテン−1(TP−1)100重量%を用い、第二の外層としてホモポリプロピレン(PP−3)100重量%を、3種3層無延伸フィルム成形機の押出機3台に各々投入し、180〜230℃の押出温度で230℃のTダイより押し出し、40℃のキャスティングロールで急冷し易開封性積層フィルム(第2の積層フィルム)を成形した。得られた易開封性積層フィルムの総厚さは50μmで第一の外層の厚さが5μm、中間層の厚さが40μm、第二の外層の厚さが5μmであった。
【0058】
実施例2
第一の外層を変性ポリプロピレン(PP−2)100重量%とする以外は実施例1と同様に行った。
【0059】
実施例3
中間層をエチレン・ビニルアルコール共重合体(EV−1)100重量%とする以外は実施例1と同様に行った。
【0060】
実施例4
中間層をナイロン6(NY−1)100重量%とする以外は実施例1と同様に行った。
【0061】
実施例5
中間層をポリエステル(PT−1)100重量%とする以外は実施例1と同様に行った。
【0062】
実施例6
第二の外層をエチレン・プロピレンランダムコポリマー(PP−4)100重量%とする以外は実施例1と同様に行った。
【0063】
実施例7
第二の外層をエチレン・プロピレンブロック共重合体(PP−5)100重量%とする以外は実施例1と同様に行った。
【0064】
実施例8
第二の外層を変性ポリプロピレン(PP−1)100重量%とする以外は実施例1と同様に行った。
【0065】
実施例9
第一の外層をエチレン・プロピレンブロック共重合体(PP−5)100重量%、第二の外層を変性ポリプロピレン(PP−1)100重量%とする以外は実施例1と同様に行った。
【0066】
実施例10
第一の外層の厚さを10μm、中間層の厚さを30μm、第二の外層の厚さを10μmとする以外は実施例1と同様に行った。
【0067】
【表1】
【0068】
実施例1から9では、第1の積層フィルムと第2の積層フィルムの第一の外層間および蓋材と第2の積層フィルムの第二の外層間で剥離することなく、第二の外層と中間層の間で層間剥離をすることができた。実施例10では、第二の外層の厚さが10μmであり、初期の剥離の抵抗が大きいものであったが、層間での剥離ができ実用レベルと判断した。