(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記伝熱管は、各段毎または複数段毎に、前記中心軸から離れるほど前記仮想水平面に対する傾斜角度が大きいことを特徴とする請求項1又は2に記載の空気調和機の室外機。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態(以下「実施形態」という)について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、説明の便宜上、各実施形態で共通する部材については同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
なお、図11に示す第6実施形態については、参考形態とする。
図1は、本発明の実施形態に係る空気調和機を示す構成図である。
図1に示すように、空気調和機100は、室外機(室外ユニット)8と室内機(室内ユニット)9とが、接続配管10,11によって接続されることで冷房および暖房が可能な冷凍サイクルを構成している。室外機8は、圧縮機1と、流路切替手段としての四方弁2と、室外熱交換器(熱交換部)3と、冷暖房運転用の絞り装置(流量制御弁)4と、室外送風手段6と、を備えて構成されている。室内機9は、室内熱交換器5と、貫流ファンなどの室内送風手段7と、を備えて構成されている。
【0010】
空気調和機100において冷房運転する場合には、破線矢印で示すように、圧縮機1で圧縮された高温・高圧のガス冷媒が四方弁2を通って室外熱交換器3に流れ、外気(空気)と熱交換することで凝縮し、高圧の液冷媒となる。液冷媒は、絞り装置4の作用で減圧され、低温低圧の気液二相状態となり、接続配管11を通じて室内機9に流れる。室内機9に入った冷媒は、室内熱交換器5で室内空気の熱と熱交換することで蒸発する。室内熱交換器5で蒸発した冷媒は、接続配管10を通じて、室外機8に戻り、四方弁2を通って再び圧縮機1で圧縮される。
【0011】
空気調和機100において暖房運転する場合には、実線矢印で示すように、圧縮機1で圧縮された高温・高圧のガス冷媒が四方弁2および接続配管10を通って室内機9に流れる。室内機9に入ったガス冷媒は、室内熱交換器5で室内空気と熱交換することで凝縮し、高圧の液冷媒となる。高圧の液冷媒は、接続配管11を通って室外機8に流れる。室外機8に入った高圧の液冷媒は、絞り装置4の作用で減圧され、低温低圧の気液二相状態となり、室外熱交換器3に流れ、室外空気の熱と熱交換することで蒸発し、ガス冷媒となる。室外熱交換器3でガス状となった冷媒は、四方弁2を通って再び圧縮機1で圧縮される。
【0012】
図2は、室外熱交換器の概略構造を示す斜視図である。
図2に示すように、室外熱交換器3は、クロスフィンチューブ型であり、板厚方向に所定の間隔を置いて設けられた複数の板状フィン(冷却フィン)12と、各板状フィン12を板厚方向に貫通し、所定間隔で上下方向に複数段(
図2では、10段)に配置された伝熱管13と、を含む熱交換部3S,3Sを備えている。また、熱交換部3S,3Sは、空気の流れ方向Aに沿って2列に配置されて構成されている。
【0013】
板状フィン12と伝熱管13とは、板状フィン12に挿通された伝熱管13を液圧または機械的に拡管することにより密着している。なお、図示省略しているが、伝熱管13の端部には、他の伝熱管13の端部とリターンベンドを介して溶接などで接続され、冷媒流路を構成している。また、伝熱管13の段数は、10段に限定されるものではなく、9段以下であっても、11段以上であってもよい。
【0014】
例えば、板状フィン12は、アルミニウム合金などの金属製の薄板(例えば、厚さ0.1mm)によって形成されている。伝熱管13は、アルミニウム合金などの金属製であり、伝熱管13の一部である上下に平行に配置された平面部13a,13bと、長手方向の両端に配置されて平面部13a,13b同士を繋ぐ曲面部13c,13dと、を備えた扁平形状である。また、伝熱管13は、内部が複数の隔壁で区画された流路を備えている。
【0015】
なお、室外熱交換器3の構成としては、
図2に示すような板状フィン12と伝熱管13との組み合わせに限定されるものではなく、扁平管(伝熱管13)と扁平管(伝熱管13)との間に、波型(ひだ状)のフィンを溶着したものでもよく、また櫛歯状に切り欠かれた板状フィンに伝熱管13を挿入して溶着したものであってもよい。
【0016】
(第1実施形態)
図3は、第1実施形態における室外機の内部構造を示す側面図、
図4は、
図3の熱交換部の一部拡大図である。なお、
図3では、圧縮機1、四方弁2および絞り装置4の図示を省略している。また、
図4(a)〜(g)は、熱交換部3Aのプロペラファン60の中心軸Oよりも上側の伝熱管13について、中心軸Oに近い側から順に示したものである。
【0017】
図3に示すように、室外機8は、室外熱交換器3(室外熱交換手段)および室外送風手段6が四角箱型の筺体21内に収容されて構成されている。また、筺体21内において、室外熱交換器3が後側(背面側)に配置され、室外送風手段6が前側(正面側)に配置されている。
【0018】
室
外送風手段6は、軸流ファンであるプロペラファン(送風機)60およびベルマウス61によって構成されている。プロペラファン60は、回転中心に設けられた円筒状のボス60aと、このボス60aの周囲に設けられた複数枚の羽根60bとによって構成され、図示しない電動機によって回転駆動される。ベルマウス61は、プロペラファン60の軸方向に沿う略円筒形状であり、羽根60bの外周に沿って配置されている。
【0019】
室外熱交換器3は、プロペラファン60と対向して配置されている。なお、室外熱交換器3の形状は、平板状のものに限定されず、L字状、コ字状など従来からある形状を採用することもできる。
【0020】
また、室外熱交換器3は、熱交換部3A,3Bが空気の流れ方向(
図4参照)に沿って配置され、熱交換部3Aの前面と熱交換部3Bの背面とが互いに接するように配置されている。また、室外熱交換器3は、プロペラファン60の直径Rよりも上下方向に長く形成され、室外熱交換器3の上端3aがプロペラファン60の上端60cの上方に位置し、室外熱交換器3の下端3bがプロペラファン60の下端60dの下方に位置している。また、図示していないが、室外熱交換器3は、プロペラファン60の直径Rよりも左右方向(
図3の紙面垂直方向)に長く形成されている。つまり、室外熱交換器3は、プロペラファン60の軸方向からの平面視において、プロペラファン60の全体が室外熱交換器3(熱交換部3A,3B)に含まれるように配置されている。
【0021】
熱交換部3Aにおいては、プロペラファン60の中心軸Oを通る仮想水平面S(
図3では、線状に図示)を基準にして、上側に複数段(
図3では、7段)の伝熱管13A,13B,13C,13D,13E,13F,13Gが配置され、下側に複数段(
図3では、7段)の伝熱管13H,13I,13J,13K,13L,13M,13Nが配置されている。また、伝熱管13A〜13G(13H〜13N)は、上下方向に等間隔に配置されている。
【0022】
また、伝熱管13A〜13Gは、長手方向の下流側P1(曲面部13d)が中心軸O側を向くように傾斜して配置される。換言すると、伝熱管13A〜13Gは、空気吸込み側の曲面部13cが上向きで、逆側の曲面部13dが下向きとなるように、傾斜状態で配置される。
【0023】
また、伝熱管13H〜13Nは、長手方向の下流側P2(曲面部13d)が中心軸O側を向くように傾斜して配置される。換言すると、伝熱管13H〜13Nは、空気吸込み側の曲面部13cが下向きで、逆側の曲面部13dが上向きとなるように、傾斜状態で配置される。
【0024】
図4(a)〜(g)に示すように、伝熱管13A〜13Gの仮想水平面S(
図3参照)に対する傾斜角度をそれぞれα1,α2,α3,α4,α5,α6,α7としたときに、α1<α2<α3<α4<α5<α6<α7の関係が成り立つように設定されている。つまり、伝熱管13A〜13Gは、プロペラファン60の中心軸Oから離れるほど仮想水平面Sに対する傾斜角度が大きくなるように設定されている。
【0025】
また、伝熱管13H〜13Nは、中心軸Oを通る仮想水平面Sを基準にして上下対称に構成されている。よって、伝熱管13H〜13Nの傾斜角度についても、伝熱管13A〜13Gの傾斜角度α1〜α7と同様な傾斜状態で配置されている。つまり、伝熱管13H〜13Nは、プロペラファン60の中心軸Oから離れるほど仮想水平面Sに対する傾斜角度が大きくなるように設定されている。
【0026】
このように、熱交換部3Aにおいて、伝熱管13A〜13Gと伝熱管13H〜13Nとは、中心軸Oを通る仮想水平面Sに対して上下対称に構成されている。また、熱交換部3Aの空気の流れ方向の下流側に配置される熱交換部3Bについても、熱交換部3Aと同様にして構成されている。
【0027】
なお、本実施形態では、中心軸Oが、室外熱交換器3の高さ方向(上下方向)の中心Pと一致するように構成されているが、必ずしも一致させる必要はない(上下非対称であってもよい)。例えば、室外熱交換器3の上端3aとプロペラファン60の上端60cとの長さL1(
図3参照)が、室外熱交換器3の下端3bとプロペラファン60の下端60dとの長さL2(
図3参照)よりも長く形成されている場合、室外熱交換器3の下端側に位置する伝熱管13の傾斜角度よりも、室外熱交換器3の上端側に位置する伝熱管13の傾斜角度が大きくなるように設定される。
【0028】
図5は、第1実施形態におけるファン回転時に形成される空気の流れ図である。
図5に示すように、室外機8では、プロペラファン60とベルマウス61とによって室外送風手段6が構成されているので、プロペラファン60が回転することで、室外機8の背面側から空気を巻き込むようにして吸い込まれる。すなわち、室外熱交換器3の中心軸Oより上側では、室外熱交換器3の上端3aよりも上側の空気を取り込み、室外熱交換器3の中心軸Oより下側では、室外熱交換器3の下端3bよりも下側の空気を取り込むように、空気の流れが形成される。すなわち、プロペラファン60の中心軸Oに近い側においては、矢印A1,A2で示すように、仮想水平面Sに対する空気の流入角度が小さく、中心軸Oに遠くなるにつれて矢印A3,A4で示すように、仮想水平面Sに対する空気の流入角度が大きくなる。
【0029】
このように、通常、プロペラファン60の直径Rよりも室外熱交換器3の高さが高く(大きく)形成されているため、プロペラファン60の外側に配置される部分の室外熱交換器3にも空気が十分に流れるように、プロペラファン60が形成する空気流れがプロペラファン60の上流側で広く、下流側で絞られるように、羽根60bの角度が調整されている。したがって、
図5に示すように、室外熱交換器3の上流側での空気の流れ方向は、中心軸Oの上側で矢印A3方向、下側で矢印A4方向となり、空気が上下方向から中心軸Oに向かって斜めに流入する。このとき、空気が流入する角度は、中心軸Oから離れるほど中心軸Oを通る水平面(仮想水平面S)に対して大きくなる。
【0030】
そこで、
図3および
図4において説明したように、第1実施形態では、空気の流入角度分布に合うように、中心軸Oから離れた位置の伝熱管13ほど仮想水平面Sに対する角度を大きくしている。例えば、伝熱管13A〜13Gにおいては、中心軸Oに近い側から一段毎に3°ずつ増加している。
【0031】
続いて、このように構成された空気調和装置の室外機8の動作について、
図1〜
図5を参照して説明する。
暖房運転時においては、冷媒が実線方向(
図1参照)に流れるように四方弁2を切換え、冷媒を
図1の実線矢印方向(
図1の時計回り方向)に、圧縮機1、四方弁2、室内熱交換器5、絞り装置4、室外熱交換器3の順に流す。このとき、絞り装置4は、空調負荷に応じた適度な開度に調整され、凝縮器として働く室内熱交換器5で十分に凝縮して液化した冷媒は絞り装置4で気液二相流となって、室外熱交換器3に流入する。
【0032】
室外送風手段6であるプロペラファン60は、所定の回転速度で回転しており、矢印A1〜A4で示すように外気(空気)が室外熱交換器3に流入する。ところで、伝熱管13の仮想水平面Sに対する傾斜角度が0°である(伝熱管13と仮想水平面Sとが平行である)と、特にプロペラファン60の中心軸Oから遠い側に位置する伝熱管13では、流入した空気が伝熱管に衝突して、空気の流れ方向が大きく変わり、空気の流れに剥離(かい離)が生じる。そこで、第1実施形態では、
図3および
図4に示すように、伝熱管13(13A〜13N)の平面部13aを傾斜させることで、プロペラファン60への空気の流れを整流することが可能になる。これにより、プロペラファン60の動力を減少させることができるだけでなく、伝熱管13(13A〜13N)を通過する上下の風速分布が均一化されるため、熱交換性能が向上する。
【0033】
流入した空気は、伝熱管13(13A〜13N)を介して冷媒と熱交換し、空気の温度が低下する。例えば、外気温度が7℃のとき、伝熱管13の温度を1℃とすると、空気はおよそ3℃程度まで低下する。このとき、空気に水分が含まれていると、伝熱管13の表面で空気が露点温度まで冷やされた際に水分が結露し、水滴となる。第1実施形態のように、伝熱管13の平面部13aを傾斜させることで、水滴が平面部13aの傾斜に沿って流れ、滞留することがないため、通風抵抗はほとんど増加しない。また、伝熱管13の平面部13aを傾斜配置したことで、伝熱管13に水滴が滞留するのを低減でき、空気と冷媒との熱交換が阻害されて蒸発性能が低下したり、また着霜し易くなるのを防止できる。その後、冷媒は、蒸発器として働く室外熱交換器3で十分蒸発してガス化した後、圧縮機1に戻る。
【0034】
一方、冷房運転時においては、四方弁2を冷媒が
図1の破線矢印方向に流れるように切換え、冷媒を
図1の破線矢印方向(
図1の反時計回り方向)に、圧縮機1、四方弁2、凝縮器として働く室外熱交換器3、絞り装置4、蒸発器として働く室内熱交換器5の順に流す。このとき、圧縮機1を出た高温、高圧のガス冷媒は、凝縮器として働く室外熱交換器3に流入する。
【0035】
図5に示すように、室外送風手段6であるプロペラファン60は、所定の回転速度で回転しており、矢印A1〜A4で示すように空気が室外熱交換器3に流入する。
図3および
図4に示すように、伝熱管13の平面部13aを傾斜させることで、伝熱管13の傾斜角度が空気の流入角度に近づくので、プロペラファン60への空気の流れを整流でき(空気の剥離を低減でき)、プロペラファン60の動力を低減させることができ、また伝熱管13(13A〜13N)を通過する上下の風速分布が均一化されるため、熱交換性能が向上する。
【0036】
流入した空気は、伝熱管13(13A〜13N)を介して冷媒と熱交換し、空気の温度が低下する。例えば、外気温度が35℃のとき、伝熱管13の温度を45℃とすると、空気はおよそ40℃程度まで上昇する。その後、冷媒は、絞り装置弁4によって空調負荷に応じた適度な開度に調整され、室外熱交換器3によって十分に凝縮して液化し、絞り装置4によって減圧膨張して蒸発器として働く室内熱交換器5で十分蒸発して、圧縮機1に戻る。
【0037】
なお、伝熱管13の傾斜角度は、プロペラファン60の直径Rと室外熱交換器3の高さ(大きさ)、室外熱交換器3の通風抵抗やプロペラファン60の性能によって適正角度があるため、実験や流れ解析により微調整することが好ましい(以下の実施形態においても同様)。
【0038】
以上説明したように、第1実施形態では、伝熱管13A〜13Nが扁平形状であって、プロペラファン60の中心軸Oを通る仮想水平面Sに対して当該伝熱管13A〜13Nの長手方向の下流側P1,P2が中心軸O(仮想水平面S)を向くように傾斜している。これにより、室外熱交換器3が蒸発器として作用している際に発生する湿り空気の凝縮水をスムーズに下方に流すことができ、凝縮水の滞留による通風抵抗の増加を最小限に抑えることができる。なお、室外熱交換器3の中心軸Oより上側では、伝熱管13A〜13Gに付着した凝縮水が、平面部13aに沿って流れ、筺体21の内側に落下し、中心軸Oより下側では、伝熱管13H〜13Nに付着した凝縮水が、平面部13aに沿って流れ、筺体21の外側に落下する。
【0039】
また、第1実施形態によれば、前記のように伝熱管13A〜13Nを傾斜して配置したことで、プロペラファン60への空気の流れを整流し、プロペラファン60に必要な動力を低減することができる。さらに、伝熱管13(13A〜13N)を通過する上下の風速分布が均一化されるため、熱交換性能が向上する。
【0040】
ところで、前記したように、プロペラファン60の中心軸Oに近い側で空気の流入角度が小さく(
図4の矢印A1,A2参照)、中心軸Oに遠くなるにつれて流入角度(
図4の矢印A3,A4参照)が大きくなる。そこで、第1実施形態では、各段毎(1段毎)に、伝熱管13A〜13G(13H〜13N)の仮想水平面Sに対する傾斜角度を、中心軸Oから離れるほど大きくしているので、各高さ位置における空気の流入角度に合わせることができ、プロペラファン60への空気の流れをさらに整流でき、熱交換性能をさらに向上できる。
【0041】
また、第1実施形態では、熱交換部3A,3Bが中心軸Oを通る仮想水平面Sに対して上下対称に構成されているので、中心軸Oより上側だけでなく、中心軸Oより下側についても室外熱交換器3が蒸発器として作用している際に発生する湿り空気の凝縮水をスムーズに下方に流すことができ、凝縮水の滞留による通風抵抗の増加を最小限に抑えることができる。また、プロペラファン60への空気の流れを整流し、プロペラファン60に必要な動力を低減することができるとともに、室外熱交換器3を通過する上下の風速分布が均一化されるため、熱交換性能が向上する。このように、室外熱交換器3の上下方向の全体における熱交換性能を向上できる。
【0042】
(第2実施形態)
図6は、第2実施形態における室外機の内部構造を示す側面図、
図7は、第2実施形態における伝熱管の周囲に形成される空気の流れを示し、(a)は千鳥状に配置された場合、(b)はタンデム状に配置された場合である。第2実施形態の空気調和機の室外機8Aは、第1実施形態の室外熱交換器3に替えて室外熱交換器30としたものである。
【0043】
図6に示すように、室外熱交換器30は、熱交換部30A(一の熱交換部)の各伝熱管13A〜13Gの延長線E1〜E7(1点鎖線参照)上に熱交換部30B(他の熱交換部)の各伝熱管13A´〜13G´が配置されないように構成されている。なお、熱交換部30A,30Bは、第1実施形態の熱交換部3A,3Bと基本的な構成は同じである。
【0044】
すなわち、熱交換部30Aの伝熱管13Aの延長線E1と伝熱管13Bの延長線E2との中間に熱交換部30Bの伝熱管13A´が位置している。また、熱交換部30Aの伝熱管13Bの延長線E2と伝熱管13Cの延長線E3との中間に熱交換部30Bの伝熱管13B´が位置している。また、熱交換部30Aの伝熱管13Cの延長線E3と伝熱管13Dの延長線E4との中間に熱交換部30Bの伝熱管13C´が位置している。また、熱交換部30Aの伝熱管13Dの延長線E4と伝熱管13Eの延長線E5との中間に熱交換部30Bの伝熱管13D´が位置している。また、熱交換部30Aの伝熱管13Eの延長線E5と伝熱管13Fの延長線E6との中間に熱交換部30Bの伝熱管13E´が位置している。また、熱交換部30Aの伝熱管13Fの延長線E6と伝熱管13Gの延長線E7との中間に熱交換部30Bの伝熱管13F´が位置している。また、熱交換部30Bの伝熱管13G´は、熱交換部30Aの伝熱管13Gの延長線E7よりも上側に位置している。なお、
図6に示す実施形態では、熱交換部30Bの伝熱管13A´〜13G´が、熱交換部30Aの伝熱管13A〜13Gよりも高い位置に配置(上側にオフセットして配置)されているが、その逆に配置(下側にオフセットして配置)されていてもよい。
【0045】
また、前記と同様に、熱交換部30Aの伝熱管13Hの延長線(不図示、以下同様)と伝熱管13Iの延長線との中間に熱交換部30Bの伝熱管13H´が位置している。また、熱交換部30Aの伝熱管13Iの延長線と伝熱管13Jの延長線との中間に熱交換部30Bの伝熱管13I´が位置している。また、熱交換部30Aの伝熱管13Jの延長線と伝熱管13Kの延長線との中間に熱交換部30Bの伝熱管13J´が位置している。また、熱交換部30Aの伝熱管13Kの延長線と伝熱管13Lの延長線との中間に熱交換部30Bの伝熱管13K´が位置している。また、熱交換部30Aの伝熱管13Lの延長線と伝熱管13Mの延長線との中間に熱交換部30Bの伝熱管13L´が位置している。また、熱交換部30Aの伝熱管13Mの延長線と伝熱管13Nの延長線との中間に熱交換部30Bの伝熱管13M´が位置している。また、熱交換部30Bの伝熱管13N´は、熱交換部30Aの伝熱管13Nの延長線よりも下側に位置している。なお、
図5に示す実施形態では、熱交換部30Bの伝熱管13H´〜13N´が、熱交換部30Aの伝熱管13H〜13Nよりも低い位置に配置(下側にオフセットして配置)されているが、その逆に配置(上側にオフセットして配置)されていてもよい。
【0046】
ところで、
図7(b)に示すように、一方の熱交換部の伝熱管13と他方の熱交換部の伝熱管13をタンデム状に配置、換言すると一方の伝熱管13の長手方向と他方の伝熱管13の長手方向とが直線上に位置するように配置すると、流入した空気が、矢印A10で示すように、上流側の伝熱管13の平面部13aを通過した後に下流側の伝熱管13の平面部13aを通過する。また、流入した空気は、矢印A11で示すように、上流側の伝熱管13の平面部13bを通過した後に下流側の伝熱管13の平面部13bを通過する。このような配置の場合、一方の熱交換部の伝熱管13と他方の熱交換部の伝熱管13との間に空気が流れ難くなる空間が形成されるので、熱交換性能が低下する。
【0047】
そこで、
図7(a)に示すように、熱交換部30A(一方の熱交換部)の伝熱管13A〜13Nと熱交換部30B(他方の熱交換部)の伝熱管13A´〜13N´とを千鳥状に(互い違いに)配置することで、流入した空気が、矢印A5で示すように、熱交換部30Aの図示上側の伝熱管13の平面部13bを通過した後に熱交換部30Bの伝熱管13の平面部13aを通過する。また、流入した空気は、矢印A6で示すように、熱交換部30Aの図示下側の伝熱管13の平面部13aを通過した後に熱交換部30Bの伝熱管13の平面部13bを通過する。このように、熱交換部30Aの伝熱管13と熱交換部30Bの伝熱管13との間に空気の流れが生じるので、熱交換性能が低下するのを抑制することができる。
【0048】
(第3実施形態)
図8は、第3実施形態における室外機の内部構造を示す側面図である。
図8に示すように、第3実施形態の空気調和機の室外機8Bは、伝熱管13A〜13G(13H〜13N)を一定間隔で複数段とした室外熱交換器3(第1実施形態)に替えて、室外熱交換器40としたものである。なお、室外熱交換器40において、熱交換部40Aと熱交換部40Bとは同様の構成であるので、以下では、熱交換部40Aのみについて説明する。
【0049】
ところで、プロペラファン60が作る空気の流れは、プロペラファン60に近いほど(周囲に対して中心軸Oに近くなればなるほど)速くなり、中心軸O付近に流れ易い分布が形成される。そこで、第3実施形態では、熱交換部40Aにおいて、プロペラファン60の中心軸Oに近い側の隣り合う伝熱管13同士の距離L10(例えば、伝熱管13Aと伝熱管13Bとの距離、伝熱管13Bと伝熱管13Cとの距離)を、中心軸Oから遠い側の伝熱管13同士の距離L20(例えば、伝熱管13Cと伝熱管13Dとの距離、伝熱管13Dと伝熱管13Eとの距離、伝熱管13Eと伝熱管13Fとの距離、伝熱管13Fと伝熱管13Gとの距離)よりも狭めたものである(L10<L20)。
【0050】
これにより、第1実施形態の効果に加えて、中心軸O側の空気の流れが抑えられるので、その分中心軸Oから遠い側に空気が流れ易くなり、室外熱交換器3を通過する上下の風速分布がより均一化され、熱交換器性能が向上する。
【0051】
(第4実施形態)
図9は、第4実施形態における室外機の内部構造を示す側面図である。
図9に示すように、第4実施形態の空気調和機の室外機8Cは、伝熱管群13P,13Q,13R,13Sの仮想水平面Sに対する傾斜角度を、中心軸Oから離れるほど大きくしている。なお、熱交換部50Aと熱交換部50Bは、同様の構成であるので、以下では熱交換部50Aのみについて説明する。なお、伝熱管群13P,13Q,13R,13Sの伝熱管13の段数は、一例であって、本実施形態に限定されるものではない。
【0052】
伝熱管群13Pは、3本の伝熱管13で構成され、いずれの伝熱管13も仮想水平面Sに対して傾斜角度β1に設定されている。伝熱管群13Qは、3本の伝熱管13で構成され、いずれの伝熱管13も仮想水平面Sに対して傾斜角度β1よりも大きい傾斜角度β2に設定されている。伝熱管群13Rは、4本の伝熱管13で構成され、いずれの伝熱管13も仮想水平面Sに対して傾斜角度β2よりも大きい傾斜角度β3に設定されている。伝熱管群13Sは、いずれの伝熱管13も仮想水平面Sに対して傾斜角度β3よりも大きい傾斜角度β4に設定されている(β1<β2<β3<β4)。
【0053】
例えば、伝熱管群13Pの傾斜角度β1を5°、伝熱管群13Qの傾斜角度β2を10°、伝熱管群13Rの傾斜角度β3を15°、伝熱管群13Sの傾斜角度β4を20°というように、伝熱管群13P,13Q,13R,13Sの各伝熱管13に対して同じ角度が適用される。
【0054】
このように、第4実施形態では、伝熱管群13P,13Q,13R,13S毎に、仮想水平面Sに対する傾斜角度を、中心軸Oから離れるほど大きくしている。これにより、各高さ位置における空気の流入角度に伝熱管13の傾斜角度β1,β2,β3,β4を近づけることができ、プロペラファン60への空気の流れを整流でき、熱交換性能を向上できる。
【0055】
図10は、第5実施形態における室外機の内部構造を示す側面図である。
図10に示すように、第5実施形態の空気調和機の室外機8Dは、熱交換部60A,60Bにおいて、伝熱管13の傾斜角度γをひとつの角度に固定し、中心軸Oを通る仮想水平面Sに対して上下対称に構成したものである。傾斜角度γは、例えば、15°に設定される。
【0056】
このように、第5実施形態では、伝熱管13の傾斜角度γをひとつの角度に固定することで、第1実施形態の効果に加えて、室外熱交換器3を製造する際の作り勝手を向上できる(作り易くなる)。
【0057】
(第6実施形態)
図11は、第6実施形態における室外機の内部構造を示す側面図である。
図11に示すように、第6実施形態の空気調和機の室外機8Eは、上下に2分割された熱交換部70A,70Bを備えるものである。熱交換部70Aは、側面視(縦断面視)において細長四角形状を呈する板状フィン12の延在方向S1に沿って複数段に配置された伝熱管13を備えている。伝熱管13は、扁平形状であり、該伝熱管13の長手方向が延在方向S1に対して直交するように配置されている。また、各伝熱管13は、等間隔に配置されている。その他の熱交換部70Bについても、熱交換部70Aと同一形状である。
【0058】
また、熱交換部70A,70Bは、プロペラファン60の中心軸Oを通る仮想水平面Sを基準に分割して配置され、当該熱交換部70A,70Bが傾斜した状態で配置されることで、各伝熱管13の長手方向の下流側が中心軸Oを向くように構成されている。また、仮想水平面Sの上下において、熱交換部70Aにおける伝熱管13の傾斜角度と、熱交換部70Bにおける伝熱管13の傾斜角度は対称に構成されている。また、傾斜角度は、第1実施形態と同様に決めることができる。なお、空気調和機の室外機8Eとしての運転動作も第1実施形態と同様である。
【0059】
このように、第6実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果が得られるとともに、熱交換部70A,70Bを同様の構成にできるので、室外熱交換器70の作り勝手を向上できる。また、室外熱交換器70を製作後に傾斜角度の調整が可能となるため、より最適な角度にすることが可能になる。
【0060】
なお、第6実施形態では、仮想水平面Sを基準にして、熱交換部70A,70Bとして2分割した場合を例に挙げて説明したが、プロペラファン60の風速分布に応じて、プロペラファン60の中心軸Oを通る仮想水平面Sを基準にして4分割としてもよく、それ以上の分割数にしてもよい。また、仮想水平面Sを基準にして上下の分割数を同じする構成に限定されるものではなく、上下で分割数を変えてもよい。
【0061】
図12は、伝熱管の形状の変形例を示す縦断面図である。
図12に示すように、伝熱管130は、13a,13bを有する扁平形状の伝熱管13(
図2参照)に替えて、扁平形状である翼形状としたものである。この伝熱管130は、例えば、前縁130aから後縁130bに向けて、厚みが徐々に薄くなる形状である。このような形状であっても、伝熱管130の上面130cに付着した凝縮水の滞留を抑制できるとともに、プロペラファン60への空気を整流できる。なお、
図12では、伝熱管130の断面形状を翼形状としたが、扁平形状であり、かつ、凝縮水の滞留を抑制できるものであれば、断面視扁平な楕円形状などであってもよい。
【0062】
なお、本発明は前記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々変更することができる。例えば、第1実施形態ないし第6実施形態の複数を選択して適用してもよい。また、
図12に示す伝熱管130を第1実施形態ないし第6実施形態に適用してもよい。